説明

液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び画像形成装置

【課題】安価で単純な構造を有し、且つ熱効率が良いことにより液室内の高粘度のインクを速やかに低粘度化することが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】液滴を吐出するためのノズル17を設けたノズル基板16と、ノズル17に連通した液室18及び液室18に液体を導入するための液体導入路15を備える液室基板と、液室の一部を構成する振動板21と、振動板21上の液室18に対応する箇所に設けられ、外部から電圧が印加されて変形することで振動板21を変形させて液室18に圧力を発生させ、液室18内の液体をノズル17から吐出させる電気機械変換素子19と、液体導入路15を介して液室18と連通し液室18に液体を供給する共通液室13と、を備え、共通液室13の少なくとも一部の外壁の外面に、共通液室13内の液体を加熱するための面状の発熱手段12を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にUVインクなどの高粘度インクを吐出するインクジェットヘッド及びそれを備えたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、インク等の記録液の液滴を吐出する液体吐出ヘッド(記録ヘッド)を含む液体吐出装置を用いて、搬送される紙等の記録媒体上に記録液を付着させて画像形成を行うものがある。
昨今では、特にインクを吐出するインクジェットヘッドにおいて、従来の低粘度インクのみならずUVインクなどの高粘度インクも使用されるようになってきている。
しかしながら、高粘度インクは、低粘度インクに比べて飛翔力に劣るため、安定した吐出を得るためには、インクジェットヘッドに組み込まれる圧電アクチュエータの駆動力を増加させるなどの対応が必要となる。
インクジェットヘッドにおいて高粘度のインクを使用するための別の方法として、ヘッドにヒーターを実装し、ヒーターの熱によってインクを加温し、適正な粘性にしてから吐出する方法がある。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2003−136756公報)には、記録ヘッドにおけるインク供給路の内部・外部に設けた高粘度インクを加熱して低粘度化する為の加熱手段を有するインクジェットヘッドが開示されている。
また、特許文献2(特開2005−096150公報)にはインクジェットヘッドを構成するアクチュエータの上面下面に夫々設けたマニホールドの内部にインクを加熱するヒーターを埋め込む構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるように、記録ヘッド内部にインク供給路内のインクを加熱する手段を設けると、ヘッドの構造が複雑になるという問題がある。
また、特許文献2に開示されるように、マニホールドの内部にヒーターを埋め込む方法では、射出成形で一体成形としていることでヒーターは熱伝導の悪い樹脂で覆われている構成となっているので、熱伝導効率が悪く、十分にインクを加熱することが出来ない可能性がある。
本発明は、以上の問題点を鑑みて、安価で単純な構造を有し、且つ熱効率が良いことにより液室内の高粘度のインクを速やかに低粘度化することが可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、液滴を吐出するためのノズルを設けたノズル基板と、前記ノズルに連通した液室及び該液室に液体を導入するための液体導入路を備える液室基板と、前記液室の一部を構成する振動板と、該振動板上の前記液室に対応する箇所に設けられ、外部から電圧が印加されて変形することで前記振動板を変形させて前記液室に圧力を発生させ、前記液室内の液体を前記ノズル孔から吐出させる電気機械変換素子と、前記液体導入路を介して前記液室と連通し前記液室に液体を供給する共通液室と、を備え、前記共通液室の少なくとも一部の外壁の外面に、前記共通液室内の液体を加熱するための面状の発熱手段を配置した液滴吐出ヘッドを特徴とする。
本発明によれば、共通液室の外壁に設けた発熱手段の熱を、共通液室内のインクに伝えて、液室内の高粘度のインクを速やかに低粘度化することが可能になる。
また、請求項2の発明は、前記発熱手段を配置した外壁の外壁面の少なくとも一部を覆うと共に、前記共通液室の一部の外壁を構成する樹脂製のフレーム部材を備え、前記発熱手段を配置した前記共通液室の外壁の厚みは、前記共通液室の外壁を構成するフレーム部材の厚みの1/2以下である請求項1に記載の液滴吐出ヘッドを特徴とする。
本発明によれば、共通液室の中に貯蔵されたインクと発熱手段との隔たりを少なくすることが可能となり、発熱手段の熱を短時間でインクに伝えて、液室内の高粘度のインクを速やかに低粘度化することが可能になる。
【0006】
また、請求項3の発明は、前記発熱手段を配置した前記共通液室の外壁は、金属薄板部材からなる請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドを特徴とする。
本発明によれば、熱伝導率の高い金属薄板によって発熱手段の熱をさらに短時間でインクに伝えることが出来る。
また、請求項4の発明は、前記金属薄板部材は射出成形により前記フレーム部材と一体成形されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の液滴吐出ヘッドを特徴とする。
本発明によれば、フレーム全体の剛性を高くすることが出来る。
また、請求項5の発明は、前記発熱手段はフィルム状ヒーターである請求項1乃至4の何れか一項に記載の液滴吐出ヘッドを特徴とする。
本発明によれば、スペースの限られた金属薄板部材にも容易に接着できると共に、ヒーター自体が薄いことで、フレーム自体を大型化する必要もないという効果がある。
【0007】
また、請求項6の発明は、前記発熱手段は、高熱伝導性の接着剤で接合している請求項1乃至5の何れか一項に記載の液滴吐出ヘッドを特徴とする。
ヘッドの構造を複雑化せず、製造コストを安くすることが可能となり、高熱伝導性接着剤を用いることで熱伝達ロスを小さくすることが出来る。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか一項に記載の液滴吐出ヘッドと、当該液滴吐出ヘッドの共通液室に供給する液体を格納するタンクと、を備えた液滴吐出装置を特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項7に記載の液滴吐出装置を備えた画像形成装置を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置に適用されるインクジェットヘッドの一例を示す正面図。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドの側面図。
【図3】図1に示すインクジェットヘッドの断面図。
【図4】図1に示すインクジェットヘッドの分解斜視図。
【図5】本発明の他の実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図。
【図6】本発明のヘッドを適用したインクカートリッジを示す概略斜視図。
【図7】インクジェット記録装置を示す斜視図。
【図8】図7のインクジェット記録装置の機構部の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係るインクジェット記録装置に適用されるインクジェットヘッドの一例を示す正面図であり、図2は図1に示すインクジェットヘッドの側面図であり、図3は図1に示すインクジェットヘッドの断面図であり、図4は図1に示すインクジェットヘッド要部の分解斜視図である。
本実施形態に係るインクジェットヘッドは、図1乃至図4に示すように複数のノズル孔17を設けたノズル基板16に、各ノズル孔17に連通する複数の液室(圧力室)19を設けたシリコン基板等で構成される液室基板18及び液室19の一部を構成する振動板21を順次積層し、さらに、振動板21における液室19に対応する箇所には、液室19に圧力を加えてノズル孔17からインクを吐出する為の圧電素子14が一体的に設けられている。なお、図3では、圧電素子、液室及びノズル孔は一つのみ表示されているが、実際には、インクジェットヘッドの長手方向に複数設けられていてもよい。
さらに、振動板21上に、液室19に供給するためのインクを格納する共通液室13を内部に備える樹脂製のフレーム部材10を積層している。
また、特に図3に示すように、液室基板18には、液室19にインクを導入するために共通液室13と連通した連通管(液体導入路)15と、流体抵抗20と、が設けられている。
かかるインクジェットヘッドにおいては、不図示の駆動ICと圧電素子14とを配線部材30を介して接合し、圧電素子14に電圧を印加することで圧電素子14と一体形成されている振動板21を変形させ、液室19に圧力を発生させる。
変形した振動板21は液室19内に充填されているインクに圧力を発生させ、ノズル孔17からインクを吐出し、記録紙に対し画像を記録する。
【0010】
ところで、図1乃至図4に示すように、本発明のインクジェットヘッドにおいて、フレーム部材10内に設けられている共通液室13を形成する外壁のうち、例えば、2面(外壁13a、外壁13b)に面状の発熱手段(面状発熱体)12(12a、12b)を備えている。
この発熱手段によって、共通液室13内に格納された液体(インク)を加熱して、簡単な構成で高粘度のインクを適正な粘度にすることが出来る。
フレーム部材10は、面状発熱体12を配置した外壁13a、13bの外壁面の少なくとも一部を覆うと共に(符号10c)、共通液室13の一部の外壁を構成している(符号10d)。外壁13a、13bの厚みは、フレーム部材10により構成される外壁10c、10dの厚みに対して1/2以下となるようにすることで、面状発熱体12の共通液室13に対する隔たりが少なくなり、より効率的に、共通液室13内の液体を加熱することが出来る。
さらに、図3において、面状発熱体12を配置する外壁13a、13bを、ステンレス(SUS)など、熱伝導性の高い金属薄板部材11にて形成してもよい。これにより、発熱手段12の熱をさらに金属薄板によって効率よくインクに伝えることが出来る。
【0011】
換言すれば、フレーム部材10における面状発熱体12(12a、12b)の設置箇所に貫通穴10a、10bを設け、貫通穴内に金属薄板部材11(外壁13a、13b)が露出していると見なすことも出来る。そして、各々の貫通穴の底部に露出した金属薄板部材11に、面状発熱体12を設置することで、熱伝導率の高い金属薄板によって面状発熱体12の熱を短時間でインクに伝えることが出来る。
さらに、上記のようにフレーム部材10は熱伝導率の低い樹脂で形成されている(金属薄板部材11も露出していない)ので、フレーム部材10全体からの放熱を抑えることが出来、共通液室13内のインクの温度を均一にすることができる。
金属薄板部材11は厚さが0.5mmから0.3mmであり、プレス加工によりL型に成形されている。さらに、金属薄板部材11はインサート射出成形により樹脂製のフレーム部材10と一体形成するハイブリット構造としている。これにより、フレーム全体の剛性を高くすることが出来る効果もある。
【0012】
また、面状発熱体12a、12bを、金属薄板部材11(外壁13a、13b)に接着剤で固定することで、ヘッドの構造を複雑化せず、製造コストを安くすることが可能となる。また、高熱伝導性接着剤を用いることで、熱伝達ロスをさらに小さくすることが出来る。
通常、共通液室を具備するフレームは、金属で一体加工したものや樹脂成形で形成したもの、あるいは金属薄板を積層して構成ものがある。金属一体加工のフレームは熱伝達速度を早くすることが可能ではあるが加工費用が高くなってしまう。また、樹脂成形フレームは安価では有るが、熱伝達速度が金属と比較し著しく悪くなる。金属薄板を積層したフレームもエポキシ樹脂などの接着剤を用いる為、熱伝達効率を悪化させる恐れがある。
【0013】
本発明では、上記のようにフレーム部材10は樹脂で形成し、フレーム部材10内に設けられた共通液室13を形成する壁のうち、面状発熱体12を設置する部分の壁のみを他の壁厚より1/2以上薄くすることで共通液室13内に貯蔵されているインクと面状発熱体12の距離を近づけて、共通液室13内のインク温度を短時間で最適温度にして、インクの粘性を下げることが可能となる。
また、面状発熱体12の設置箇所を、フレーム部材10に設けた貫通穴底部に露出する金属薄板部材11とすることで、共通液室13内のインクに対する熱伝達速度をさらに早くすることが可能となる。
又、面状発熱体12の設置部の壁を金属薄板部材11とし、射出成形によりフレーム部材10と一体成形することで、面状発熱体12を設置しない壁は、樹脂の有する断熱性によって放熱を防止し、面状発熱体12設置部の壁は金属を有する熱伝導効率有効に利用するハイブリットフレーム構成が簡単に形成できると共にフレーム自体の剛性を上げることができる。従って、共通液室13内のインク圧力変動などの影響も受けにくい。
さらに、面状発熱体12a、12bをフィルム状のヒーターにすることで、スペースの限られた金属薄板部材にも容易に接着できると共に、ヒーター自体が薄いことでフレームに設けられた面状発熱体設置部に取り付けてもフレーム自体の幅を増やすことはなく、フレーム自体を大型化する必要もない。
【0014】
図5は別の実施形体の断面図である。図1〜図4と同じ構成には、同じ符号を付し、詳細な説明は省略している。
図5は、図1乃至図4と異なり、金属薄板部材11を共通液室13の上面のみに形成した例であり、共通液室13の上面において、金属薄板部材11及びフレーム部材10を射出成形により一体化したものである。
共通液室13に貯蔵されたインクを短時間で適切な温度に加温するには、面状発熱体の面積を大きくするか、面状発熱体の容量を大きくするか、又は熱伝導率の高い金属薄板部材11にするか、金属薄板部材11の厚さを薄くする方法が考えられる。
このうち、面状発熱体の面積を大きくする方法は、ヘッド自体が大きくなるため最適な方法とは言えない。
【0015】
また、面状発熱体の容量を大きくする方法も消費電力の面から最適な方法ではない。さらに、金属薄板部材を熱伝導率の良い材料、例えばアルミや銅にすることが考えられるが耐インク性の点から最適部材とはいえない。
そこで、本発明は、面状発熱体を設置する壁に金属薄板部材を用いて熱伝達速度を速くし、面状発熱体を設置しない壁は熱伝達速度の遅い樹脂を用いることで断熱効果を上げるようにした。これは、インクの温度を安定させることができるハイブリット構造である。
【0016】
図6は本発明のヘッドを適用したインクカートリッジ(液体吐出装置)を示す概略斜視図である。
インクカートリッジについて図8を参照して説明する。このインクカートリッジ50は、ノズル孔17等を有する上述した実施の形態の何れかのインクジェットヘッド61と、このインクジェットヘッド61に対してインクを供給するインクタンク62とを一体化したものである。
【0017】
図7はインクジェット記録装置を示す斜視図である。図8は図7のインクジェット記録装置の機構部の側面図である。
インクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置(画像形成装置)の一例について図7及び図8を参照して説明する。
このインクジェット記録装置は、記録装置本体81の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ93、このキャリッジ93に搭載した本発明を実施したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部82等を収納している。
装置本体81の下方部には前方側から多数枚の用紙83を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい)84を抜き差し自在に装着することができる。また、用紙83を手差しで給紙するための手差しトレイ85を開倒することができ、給紙カセット84或いは手差しトレイ85から給送される用紙83を取り込み、印字機構部82によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ86に排紙する。
【0018】
印字機構部82は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド91と従ガイドロッド92とでキャリッジ93を主走査方向に摺動自在に保持している。
このキャリッジ93にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係るインクジェットヘッドからなるヘッド94の複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ93にはヘッド94に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ95を交換可能に装着している。
インクカートリッジ95は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有している。この多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクを僅かな負圧に維持している。また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド94を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0019】
ここで、キャリッジ93は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド91に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド92に摺動自在に載置している。
そして、このキャリッジ93を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ97で回転駆動される駆動プーリ98と従動プーリ99との間にタイミングベルト100を張装し、このタイミングベルト100をキャリッジ93に固定しており、主走査モータ97の正逆回転によりキャリッジ93が往復駆動される。
【0020】
一方、給紙カセット84にセットした用紙83を記録ヘッド94の下方側に搬送するために、給紙カセット84から用紙83を分離給装する給紙ローラ101及びフリクションパッド102と、用紙83を案内するガイド部材103と、給紙された用紙83を反転させて搬送する搬送ローラ104と、この搬送ローラ104の周面に押し付けられる搬送コロ105及び搬送ローラ104からの用紙83の送り出し角度を規定する先端コロ106とを設けている。搬送ローラ104は副走査モータ107によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0021】
キャリッジ93の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ104から送り出された用紙83を記録ヘッド94の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材109を設けている。
この印写受け部材109の用紙搬送方向下流側には、用紙83を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ111、拍車112を設け、さらに用紙83を排紙トレイ86に送り出す排紙ローラ113及び拍車114と、排紙経路を形成するガイド部材115、116とを配設している。
記録時には、キャリッジ93を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド94を駆動することにより、停止している用紙83にインクを吐出して1行分を記録し、用紙83を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙83の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙83を排紙する。
【0022】
また、キャリッジ93の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド94の吐出不良を回復するための回復装置117を配置している。この回復装置117は図示しないキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。
キャリッジ93は、印字待機中には、回復装置117側に移動されてキャッピング手段で記録ヘッド94をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で記録ヘッド94の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、
吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去されて吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(図示せず)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0023】
このように、このインクジェット記録装置においては本発明を実施したインクジェットヘッドを搭載しているので、UVインクなど高粘度のインクを使用しても、安定したインクの飛翔が得られ、高品質な画像を得ることが出来る。また、使用するインクジェットヘッドの構成は、簡単且つ低コストである。
なお、上記実施の形態においては、液滴吐出ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドとして、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド(スポッタ)などの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。
【符号の説明】
【0024】
10 フレーム部材、10a 凹陥部、10a 貫通穴、10c 外壁、10d 外壁、11 金属薄板部材、12 面状発熱体、13 共通液室、13a 外壁、13b 外壁、14 圧電素子、15 連通管、16 ノズル基板、17 ノズル孔、18 液室基板、19 液室、20 流体抵抗、21 振動板、30 配線部材、50 インクカートリッジ、61 インクジェットヘッド、62 インクタンク、81 記録装置本体、82 印字機構部、83 用紙、84 給紙カセット、85 トレイ、86 排紙トレイ、91 主ガイドロッド、92 従ガイドロッド、93 キャリッジ、94 記録ヘッド、95 インクカートリッジ、97 主走査モータ、98 駆動プーリ、99 従動プーリ、100 タイミングベルト、101 給紙ローラ、102 フリクションパッド、103 ガイド部材、104 搬送ローラ、105 搬送コロ、106 先端コロ、107 副走査モータ、109 部材、111 搬送コロ、112 拍車、113 排紙ローラ、114 拍車、115 ガイド部材、117 回復装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2003−136756公報
【特許文献2】特開2005−096150公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するためのノズルを設けたノズル基板と、
前記ノズルに連通した液室及び該液室に液体を導入するための液体導入路を備える液室基板と、
前記液室の一部を構成する振動板と、
該振動板上の前記液室に対応する箇所に設けられ、外部から電圧が印加されて変形することで前記振動板を変形させて前記液室に圧力を発生させ、前記液室内の液体を前記ノズル孔から吐出させる電気機械変換素子と、
前記液体導入路を介して前記液室と連通し前記液室に液体を供給する共通液室と、
を備え、
前記共通液室の少なくとも一部の外壁の外面に、前記共通液室内の液体を加熱するための面状の発熱手段を配置したことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
前記発熱手段を配置した外壁の外壁面の少なくとも一部を覆うと共に、前記共通液室の一部の外壁を構成する樹脂製のフレーム部材を備え、
前記発熱手段を配置した前記共通液室の外壁の厚みは、前記共通液室の外壁を構成するフレーム部材の厚みの1/2以下であることを特徴とすること特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
前記発熱手段を配置した前記共通液室の外壁は、金属薄板部材からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
前記金属薄板部材は射出成形により前記フレーム部材と一体成形されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
前記発熱手段はフィルム状ヒーターであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項6】
前記発熱手段は、高熱伝導性の接着剤で接合していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の液滴吐出ヘッドと、当該液滴吐出ヘッドの共通液室に供給する液体を格納するタンクと、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の液滴吐出装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−171319(P2012−171319A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38262(P2011−38262)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】