説明

液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置

【課題】インクを供給する共通インク供給路中の圧力損失を抑え、かつ、共通インク供給路内の気泡を除去する気泡除去性を高くする。
【解決手段】第2チューブポンプがインクタンクのインクを断面積調整室66へ送り、共通インク供給路45の流路断面積を小さくする。これにより、共通インク供給路45の流路を流通するインクの流速が上がり、共通インク供給路内の気泡を除去する気泡除去性が高くなる。また、第2チューブポンプが、断面積調整室66内のインクを断面積調整室66から排出する。これにより、共通インク供給路45の流路断面積が大きくなり、共通インク供給路45中の圧力損失を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出装置の一例として、インク滴を吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置としては、特許文献1に開示されるインクジェット記録装置が公知である。
【0003】
特許文献1のインクジェット記録装置は、インクを噴射して印字動作を行う複数のアクチュエータを有する印字ヘッドと、その複数のアクチュエータに供給するインクを収容するインクタンクと、そのインクタンクから供給されたインクを前記複数のアクチュエータに分配するマニホールドと、前記インクタンクから前記マニホールドにインクを供給する第1のインク流路と、前記マニホールドから前記インクタンクにインクを回収する第2のインク流路と、を備えている。
【0004】
このインクジェット記録装置では、前記インクタンク、第1のインク流路、マニホールドおよび第2のインク流路からなる循環流路において、インクを循環させることにより循環流路内の気泡を除去する際に、前記循環流路内のインクの流れ方向を変えて、循環流路の内壁に付着した気泡を揺さぶって、気泡を除去する。
【特許文献1】特開2000−33714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置においては、液体を供給する供給路中の圧力損失を抑え、かつ、供給路内の気泡を除去する気泡除去性を高くすることが望まれている。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、供給路中の圧力損失を抑え、かつ、供給路内の気泡を除去する気泡除去性を高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出する液滴吐出素子と、液体が流通可能な2以上の流通口を有し、前記流通口から流入した液体を前記液滴吐出素子へ供給する液体供給路と、前記液体供給路の流路断面積を変化させる流路断面積可変手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る液滴吐出ヘッドは、請求項1の構成において、前記流路断面積可変手段は、可撓性を有する膜体と前記液体供給路の壁面とで形成される断面積調整室と、前記断面積調整室へ媒体を供給可能であると共に前記媒体を前記断面積調整室から排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係る液滴吐出ヘッドは、請求項1の構成において、前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路内に配置された可撓性を有する袋体と、前記袋体の内部へ媒体を供給可能であると共に前記袋体の内部から前記媒体を排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に係る液滴吐出ヘッドは、請求項1の構成において、前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路の壁面の一部を構成すると共に前記液体供給路の流路断面積を変化させる方向へ移動可能な可動部材を備えて構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係る液滴吐出装置は、請求項1に記載の液滴吐出ヘッドと、前記液体供給路に供給される液体を貯留する液体貯留手段と、前記液体貯留手段に貯留された液体を一の前記流通口から前記液体供給路へ供給し、前記液体供給路内の液体を他の前記流通口から排出して前記液体供給路から気泡を除去する気泡除去手段と、前記気泡除去手段が気泡除去を実行する際に、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合よりも前記液体供給路の断面積が小さくなるように、前記供給路断面積可変手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6に係る液滴吐出装置は、請求項5の構成において、前記流路断面積可変手段は、可撓性を有する膜体と前記液体供給路の壁面とで形成される断面積調整室と、前記断面積調整室へ媒体を供給可能であると共に前記媒体を前記断面積調整室から排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室から排出する媒体供給排出手段を備え、前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記媒体を前記断面積調整室から排出するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項7に係る液滴吐出装置は、請求項5の構成において、前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路内に配置された可撓性を有する袋体と、前記袋体の内部へ媒体を供給可能であると共に前記袋体の内部から前記媒体を排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部から排出する媒体供給排出手段を備え、前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記媒体を前記袋体の内部から排出するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項8に係る液滴吐出装置は、請求項6の構成において、前記媒体供給排出手段は、前記液体貯留手段に貯留された液体を前記媒体として前記断面積調整室に供給し、前記断面積調整室から排出することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項9に係る液滴吐出装置は、請求項5の構成において、前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路の壁面の一部を構成すると共に前記液体供給路の流路断面積を変化させる方向へ移動可能な可動部材を備えて構成され、前記可動部材を前記液体供給路の断面積を変化させる方向へ移動させる移動手段を備え、前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記可動部材が前記液体供給路の断面積を小さくする方向へ移動し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記可動部材が前記液体供給路の断面積を大きくする方向へ移動するように、前記移動手段を制御することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項10に係る液滴吐出ヘッドは、請求項1の構成において、前記液体供給路は、前記流通口から流入した液体を前記液滴吐出素子へ供給する供給口を有し、前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路の流路断面積が小さくなるように該流路断面積を変化させた際に、前記供給口を閉鎖することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項11に係る液滴吐出ヘッドは、請求項10の構成において、前記流路断面積可変手段は、可撓性を有する膜体と前記液体供給路の壁面とで形成される断面積調整室と、前記断面積調整室へ媒体を供給可能であると共に前記媒体を前記断面積調整室から排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、さらに該膜体で前記供給口を閉鎖することを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項12に係る液滴吐出ヘッドは、請求項11の構成において、前記膜体に設けられ、前記供給口を密閉する密閉部材を備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項13に係る液滴吐出ヘッドは、請求項10の構成において、前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路内に配置された可撓性を有する袋体と、前記袋体の内部へ媒体を供給可能であると共に前記袋体の内部から前記媒体を排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、さらに該袋体で前記供給口を閉鎖することを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項14に係る液滴吐出ヘッドは、請求項13の構成において、前記袋体に設けられ、前記供給口を密閉する密閉部材を備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項15に係る液滴吐出ヘッドは、請求項10の構成において、前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路の壁面の一部を構成すると共に前記液体供給路の流路断面積を変化させる方向へ移動可能な可動部材を備えて構成され、さらに前記可動部材の端面で前記供給口を閉鎖することを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項16に係る液滴吐出装置は、請求項10に記載の液滴吐出ヘッドと、前記液体供給路に供給される液体を貯留する液体貯留手段と、前記液体貯留手段に貯留された液体を一の前記流通口から前記液体供給路へ供給し、前記液体供給路内の液体を他の前記流通口から排出して前記液体供給路から気泡を除去する気泡除去手段と、前記気泡除去手段が気泡除去を実行する際に、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合よりも前記液体供給路の断面積が小さくなるように、前記供給路断面積可変手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項17に係る液滴吐出装置は、請求項16の構成において、前記流路断面積可変手段は、可撓性を有する膜体と前記液体供給路の壁面とで形成される断面積調整室と、前記断面積調整室へ媒体を供給可能であると共に前記媒体を前記断面積調整室から排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、さらに該膜体で前記供給口を閉鎖し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室から排出する媒体供給排出手段を備え、前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記媒体を前記断面積調整室から排出するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項18に係る液滴吐出装置は、請求項16の構成において、前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路内に配置された可撓性を有する袋体と、前記袋体の内部へ媒体を供給可能であると共に前記袋体の内部から前記媒体を排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、さらに該袋体で前記供給口を閉鎖し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部から排出する媒体供給排出手段を備え、前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記媒体を前記袋体の内部から排出するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項19に係る液滴吐出装置は、請求項17の構成において、前記媒体供給排出手段は、前記液体貯留手段に貯留された液体を前記媒体として前記断面積調整室に供給し、前記断面積調整室から排出することを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項20に係る液滴吐出装置は、請求項16の構成において、前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路の壁面の一部を構成すると共に前記液体供給路の流路断面積を変化させる方向へ移動可能な可動部材を備えて構成され、さらに前記可動部材の端面で前記供給口を閉鎖し、前記可動部材を前記液体供給路の断面積を変化させる方向へ移動させる移動手段を備え、前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記可動部材が前記液体供給路の断面積を小さくする方向へ移動し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記可動部材が前記液体供給路の断面積を大きくする方向へ移動するように、前記移動手段を制御することを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項21に係る液滴吐出装置は、請求項5の構成において、前記流路断面積可変手段は、可撓性を有する膜体と前記液体供給路の壁面とで形成される断面積調整室と、前記断面積調整室へ媒体を供給可能であると共に前記媒体を前記断面積調整室から排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室から排出する媒体供給排出手段を備え、前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記気泡除去の実行の際に供給される前記媒体の供給量よりも少ない量の空気を媒体として前記断面積調整室へ供給するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項22に係る液滴吐出装置は、請求項21の構成において、前記膜体は、前記液体を加熱可能な加熱機能を有することを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項23に係る液滴吐出装置は、請求項5の構成において、前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路内に配置された可撓性を有する袋体と、前記袋体の内部へ媒体を供給可能であると共に前記袋体の内部から前記媒体を排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部から排出する媒体供給排出手段を備え、前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記気泡除去の実行の際に供給される前記媒体の供給量よりも少ない量の空気を媒体として前記袋体の内部へ供給するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする。
【0030】
本発明の請求項24に係る液滴吐出装置は、請求項23の構成において、前記袋体は、前記液体を加熱可能な加熱機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明の請求項1の構成によれば、流路断面積が一定の場合に比較して、供給路中の圧力損失を抑え、かつ、供給路内の気泡を除去する気泡除去性を高くすることができる。
【0032】
本発明の請求項2の構成によれば、流路断面積が一定の場合に比較して、供給路中の圧力損失を抑え、かつ、供給路内の気泡を除去する気泡除去性を高くすることができる。
【0033】
本発明の請求項3の構成によれば、流路断面積が一定の場合に比較して、供給路中の圧力損失を抑え、かつ、供給路内の気泡を除去する気泡除去性を高くすることができる。
【0034】
本発明の請求項4の構成によれば、流路断面積が一定の場合に比較して、供給路中の圧力損失を抑え、かつ、供給路内の気泡を除去する気泡除去性を高くすることができる。
【0035】
本発明の請求項5の構成によれば、流路断面積が一定の場合に比較して、供給路中の圧力損失を抑え、かつ、供給路内の気泡を除去する気泡除去性を高くすることができる。
【0036】
本発明の請求項6の構成によれば、流路断面積が一定の場合に比較して、供給路中の圧力損失を抑え、かつ、供給路内の気泡を除去する気泡除去性を高くすることができる。
【0037】
本発明の請求項7の構成によれば、流路断面積が一定の場合に比較して、供給路中の圧力損失を抑え、かつ、供給路内の気泡を除去する気泡除去性を高くすることができる。
【0038】
本発明の請求項8の構成によれば、膜体又は袋体の不透性、すなわち液体と媒体とを遮断する性能が低くても、吐出不良が生じにくい。
【0039】
本発明の請求項9の構成によれば、流路断面積が一定の場合に比較して、供給路中の圧力損失を抑え、かつ、供給路内の気泡を除去する気泡除去性を高くすることができる。
【0040】
本発明の請求項10の構成によれば、供給路内を加圧したり供給路内に負圧を付与したりして供給路内の気泡を除去したとしても、本構成を有していない場合と比較して、液滴吐出素子の液滴を吐出する吐出口から液体が流出することや、その吐出口から空気を引き込むこと等の影響を抑制できる。
【0041】
本発明の請求項11の構成によれば、供給路内を加圧したり供給路内に負圧を付与したりして供給路内の気泡を除去したとしても、本構成を有していない場合と比較して、液滴吐出素子の液滴を吐出する吐出口から液体が流出することや、その吐出口から空気を引き込むこと等の影響を抑制できる。
【0042】
本発明の請求項12の構成によれば、上記影響をより効果的に抑制できる。
【0043】
本発明の請求項13の構成によれば、供給路内を加圧したり供給路内に負圧を付与したりして供給路内の気泡を除去したとしても、本構成を有していない場合と比較して、液滴吐出素子の液滴を吐出する吐出口から液体が流出することや、その吐出口から空気を引き込むこと等の影響を抑制できる。
【0044】
本発明の請求項14の構成によれば、上記影響をより効果的に抑制できる。
【0045】
本発明の請求項15の構成によれば、供給路内を加圧したり供給路内に負圧を付与したりして供給路内の気泡を除去したとしても、本構成を有していない場合と比較して、液滴吐出素子の液滴を吐出する吐出口から液体が流出することや、その吐出口から空気を引き込むこと等の影響を抑制できる。
【0046】
本発明の請求項16の構成によれば、供給路内を加圧したり供給路内に負圧を付与したりして供給路内の気泡を除去したとしても、本構成を有していない場合と比較して、液滴吐出素子の液滴を吐出する吐出口から液体が流出することや、その吐出口から空気を引き込むこと等の影響を抑制できる。
【0047】
本発明の請求項17の構成によれば、供給路内を加圧したり供給路内に負圧を付与したりして供給路内の気泡を除去したとしても、本構成を有していない場合と比較して、液滴吐出素子の液滴を吐出する吐出口から液体が流出することや、その吐出口から空気を引き込むこと等の影響を抑制できる。
【0048】
本発明の請求項18の構成によれば、供給路内を加圧したり供給路内に負圧を付与したりして供給路内の気泡を除去したとしても、本構成を有していない場合と比較して、液滴吐出素子の液滴を吐出する吐出口から液体が流出することや、その吐出口から空気を引き込むこと等の影響を抑制できる。
【0049】
本発明の請求項19の構成によれば、供給路内を加圧したり供給路内に負圧を付与したりして供給路内の気泡を除去したとしても、本構成を有していない場合と比較して、液滴吐出素子の液滴を吐出する吐出口から液体が流出することや、その吐出口から空気を引き込むこと等の影響を抑制できる。
【0050】
本発明の請求項20の構成によれば、供給路内を加圧したり供給路内に負圧を付与したりして供給路内の気泡を除去したとしても、本構成を有していない場合と比較して、液滴吐出素子の液滴を吐出する吐出口から液体が流出することや、その吐出口から空気を引き込むこと等の影響を抑制できる。
【0051】
本発明の請求項21の構成によれば、流路断面積が一定の場合に比較して、供給路中の圧力損失を抑えつつ、供給路内の圧力変動を緩和することができる。
【0052】
本発明の請求項22の構成によれば、供給路内の液体の温度を効率よく上昇させられる。
【0053】
本発明の請求項23の構成によれば、流路断面積が一定の場合に比較して、供給路中の圧力損失を抑えつつ、供給路内の圧力変動を緩和することができる。
【0054】
本発明の請求項24の構成によれば、供給路内の液体の温度を効率よく上昇させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
本実施形態では、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドの一例として、インク滴を吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録ヘッドについて説明する。
【0056】
また、液滴を吐出する液滴吐出装置の一例として、前記インクジェット記録ヘッドを備え、そのインクジェット記録ヘッドからインク滴を吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置について説明する。
【0057】
なお、液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドとしては、画像を記録するものに限定されるものではなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドとしては、例えば、フィルムやガラス上にインク等を吐出してカラーフィルタを製造するカラーフィルタ製造装置、溶解状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成する装置、液状の金属を吐出して配線パターンを形成する装置及び液滴を吐出して膜を形成する各種の成膜装置であってもよく、液滴を吐出するものであればよい。
【0058】
(本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成)
まず、本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を説明する。図1には、本実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成が概略図にて示されている。
【0059】
図1に示すように、インクジェット記録装置10は、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部12と、記録媒体Pに画像を記録する画像記録部14と、記録媒体収容部12から画像記録部14へ記録媒体Pを搬送する搬送手段16と、画像記録部14によって画像が記録された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部18と、を備えている。
【0060】
画像記録部14は、インク滴を吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録ヘッド20Y、20M、20C、20K(以下、20Y〜20Kと示す)を備えている。
【0061】
このインクジェット記録ヘッド20Y〜20Kは、記録媒体Pの搬送方向の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色の順で配置されており、その各色に対応したインク滴を、複数のノズルが形成されたノズル面から吐出し、画像を記録する構成となっている。
【0062】
また、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kは、ぞれぞれ、画像記録が可能な幅が、記録媒体Pの被記録領域の幅以上とされている。なお、幅とは、記録媒体Pの搬送方向と交差する方向の長さである。
【0063】
インクジェット記録装置10には、液体を貯留する液体貯留手段の一例として、インクを貯留するインクタンク21Y、21M、21C、21Kが設けられている。このインクタンク21Y、21M、21C、21Kから、各インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kへインクが供給される。なお、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kへ供給されるインクとしては、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、各種インクの使用が可能である。
【0064】
更に、インクジェット記録装置10には、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kのメンテナンスをするメンテナンスユニット22Y、22M、22C、22K(以下、22Y〜22Kと示す)が設けられている。このメンテナンスユニット22Y〜22Kは、それぞれ、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kのノズル面に対向する対向位置と、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kのノズル面から退避した退避位置(図1に示す位置)との間を移動可能に構成されている。
【0065】
各メンテナンスユニット22Y〜22Kは、インクジェット記録ヘッド20のノズル面を覆うキャップ、予備吐出(空吐出)された液滴を受ける受け部材、インクジェット記録ヘッド20のノズル面を清掃するクリーニング部材等を有しており、各インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kをメンテナンスする際には、各インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kが所定高さ上昇すると共にメンテナンスユニット22Y〜22Kが対向位置に移動し、各種のメンテナンスを行う。
【0066】
搬送手段16は、記録媒体収容部12に収容された記録媒体Pを送り出す送出しロール24と、送出しロール24によって送り出された記録媒体Pを挟持搬送する搬送ロール対25と、搬送ロール対25によって搬送された記録媒体Pの被記録面をインクジェット記録ヘッド20Y〜20Kに対面させる無端状の搬送ベルト30と、を備えている。
【0067】
搬送ベルト30は、記録媒体Pの搬送方向下流側に配置された駆動ロール26と、記録媒体Pの搬送方向上流側に配置された従動ロール28とに張架され、所定方向(図1においてA方向)に循環移動するように構成されている。
【0068】
また、従動ロール28の上部には、搬送ベルト30に従動すると共に記録媒体Pを搬送ベルト30へ押え付ける押さえロール32が配設されている。この押さえロール32は、帯電ロールを兼ねており、この押さえロール32によって搬送ベルト30が帯電されることにより、記録媒体Pが搬送ベルト30に静電吸着されて搬送される構成である。
【0069】
なお、搬送ベルト30は、記録媒体Pを静電吸着して保持する構成に限定されるものではなく、記録媒体Pとの摩擦により、あるいは記録媒体Pを吸引や粘着などの非静電的手段によって保持する構成にしてもよい。
【0070】
また、搬送ベルト30の下流側には、その搬送ベルト30から記録媒体Pを剥離する剥離爪34が接近・離隔可能に配設されている。インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kにより画像が記録された記録媒体Pは、搬送ベルト30の曲率及び剥離爪34により記録媒体Pが搬送ベルト30から剥離される構成となっている。
【0071】
剥離爪34の下流側には、記録媒体Pの被記録面側がスターホイールとされた複数の搬送ロール対38が設けられている。この搬送ロール対38により、画像記録部14で画像が記録された記録媒体Pが、記録媒体排出部18へ搬送されて排出される。
【0072】
また、搬送ベルト30の下方には、記録媒体Pを反転させる反転部36が設けられており、搬送ロール対38が記録媒体Pを下流に一旦搬送した後、搬送ロール対38が逆転して記録媒体Pが反転部36に送られる構成となっている。
【0073】
この反転部36には、記録媒体Pの被記録面側がスターホイールとされた複数の搬送ロール対39が設けられ、反転部36に送り込まれた記録媒体Pを再度、搬送ベルト30へ送るようになっている。
【0074】
その他、図示しないが、このインクジェット記録装置10には、画像信号に応じてインク滴の吐出タイミングと使用するノズルを決定し、そのノズルに駆動信号を印加するインクジェット記録ヘッド20Y〜20Kの制御手段と、インクジェット記録装置10の全体の動作を制御するシステム制御手段が備えられている。
【0075】
次に、インクジェット記録装置10の画像記録動作について説明する。
【0076】
まず、送出しロール24により、記録媒体収容部12から記録媒体Pが送り出され、搬送ベルト30よりも上流側の搬送ロール対25により、搬送ベルト30へ送られる。
【0077】
搬送ベルト30へ送られた記録媒体Pは、その搬送ベルト30の搬送面に吸着・保持され、インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kの記録位置へ搬送され、記録媒体Pの被記録面に画像が記録される。そして、その画像記録終了後、記録媒体Pは搬送ベルト30から剥離爪34によって剥離される。
【0078】
記録媒体Pの片面へのみ画像を記録する場合は、搬送ベルト30よりも下流側の搬送ロール対38によって記録媒体排出部18へ排出される。
【0079】
記録媒体Pの両面へ画像を記録する場合には、片面に画像が記録された後、記録媒体Pは、反転部36で反転されて、再び搬送ベルト30に送られる。反対面側に上記と同様に画像が記録されて、記録媒体Pの両面に画像が記録され、記録媒体排出部18へ排出される。
【0080】
(本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構成)
次に、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構成について説明する。インクジェット記録ヘッド20Y〜20Kは、同一構成であるので、ここでは、インクジェット記録ヘッド20Yを例にとって説明する。
【0081】
インクジェット記録ヘッド20Yは、図2に示すように、液滴を吐出する液滴吐出素子の一例として、インク滴を吐出するヘッドユニット部40を備えている。また、インクジェット記録ヘッド20Yは、図2、図3及び図4に示すように、液体を液滴吐出素子へ供給する液体供給管の一例として、ヘッドユニット部40へインクを供給する共通インク供給路ブロック42を備えている。
【0082】
ヘッドユニット部40は、インク滴を吐出する複数のヘッド部40Aがユニット化されて構成されている。この複数のヘッド部40Aは、図中のX方向に沿って配列されている。なお、図中のX方向は、インクジェット記録ヘッド20Y及び共通インク供給路ブロック42の長手方向であり、共通インク供給路45においてインクが流通する流通方向であり、ヘッド部40Aの配列方向である。
【0083】
また、液滴吐出素子としては、複数のヘッド部40Aを備えるヘッドユニット部40に限られず、単一のヘッド部で構成されたものであっても良い。
【0084】
ヘッド部40Aは、図4に示すように、インク滴を吐出する複数のノズル52と、各ノズル52と通じる圧力室54と、各圧力室54にインクを供給する供給路56と、各供給路56と通じる共通液室58と、共通液室58と通じるインク流入口43と、圧力室の壁面の一部を構成する振動板62と、圧力室54内のインクに圧力を付与する駆動部60と、を備えている。なお、ヘッド部40Aを構成する各部の数、配置及びサイズは、任意に設定することができ、図4に示す構成に限られない。
【0085】
以上の構成により、共通インク供給路ブロック42からヘッド部40Aへ供給されるインクは、インク流入口43から流入し、共通液室58、各供給路56、各圧力室54を経て各ノズル52へ流れ、共通液室58、各供給路56、各圧力室54及び各ノズル52にインクが充填される。
【0086】
インクが充填された状態において、駆動部60を駆動させることにより、圧力室54内の容積を減少させるように振動板62を変形させ、圧力室54内のインクへ圧力を付与する。これより、圧力室54と通じるノズル52からインク滴が吐出される。
【0087】
なお、液滴吐出素子におけるインク滴を吐出させる方式としては、圧電方式のほかに、サーマル方式等の方式を用いてもよく、インク滴が吐出されるように構成されていればよい。
【0088】
共通インク供給路ブロック42は、直方体形状に形成されており(図2及び図3参照)、ヘッドユニット部40の上部に載せられて接合されている(図4参照)。共通インク供給路ブロック42の下面には、図3に示すように、インクが流出する複数のインク流出口44が形成されている。
【0089】
一方、ヘッドユニット部40を構成する各ヘッド部40Aの上面には、インク流出口44と接続されるインク流入口43が形成されており、インク流出口44から流出したインクは、インク流入口43へ流入するようになっている。すなわち、インク流出口44は、インク流入口43を通じてヘッドユニット部40へインクを供給するインク供給口として機能する。
【0090】
インク流入口43とインク流出口44との接続部分の外周には、図4に示すように、インク流入口43とインク流出口44との接続部分からインクが漏れることを防止するパッキン46が設けられている。
【0091】
各ヘッド部40Aの上面には、インクに混入した異物を除去するフィルタ48が設けられている。フィルタ48は、インク流入口43の上に覆い被さっており、インク流入口43に流入するインク中に混入した異物を除去する。
【0092】
共通インク供給路ブロック42の内壁には、インクに混入した異物を除去するフィルタ50が設けられている。フィルタ50は、インク流出口44の上に覆い被さっており、インク流出口44から流出するインク中に混入した異物を除去する。
【0093】
共通インク供給路ブロック42内には、液体を液滴吐出素子へ供給する液体供給路の一例として、ヘッドユニット部40へインクを供給する共通インク供給路45が形成されている。この共通インク供給路45は、各インク流出口44を介して各インク流入口43と通じており、共通インク供給路45から各インク流出口44を通じてインクが各ヘッド部40Aへ供給される。
【0094】
また、共通インク供給路45は、図5に示すように、インクが流通可能な第1流通口71及び第2流通口72を有している。すなわち、本実施形態に係る共通インク供給路45は、2つの流通口を有している。なお、流通口は、2以上であればよく、2つに限られない。
【0095】
この第1流通口71は、共通インク供給路ブロック42の長手方向一端部に形成され、第2流通口72は、共通インク供給路ブロック42の長手方向他端部に形成されている。また、第1流通口71及び第2流通口72は、図中のY方向の片側に片寄って形成されている。なお、図中のY方向は、記録媒体Pの搬送方向に沿った方向であり、X方向と交差する方向であり、共通インク供給路45の上面視における短手方向である。
【0096】
第1流通口71には、図5及び図6に示すように、インクを流通させる流通管の一例としての第1チューブ81の一端部が接続されている。第1チューブ81の他端部は、インクタンク21Yに接続されている。第1チューブ81内には、インクを流通させる流通路84が形成されており、インクタンク21Yと共通インク供給路ブロック42との間を、第1流通口71を通じて双方向にインクが流通可能となっている。
【0097】
第2流通口72には、図5及び図6に示すように、インクを流通させる流通管の一例としての第2チューブ82の一端部が接続されている。第2チューブ82の他端部は、インクタンク21Yに接続されている。第2チューブ82内には、インクタンク21Yから共通インク供給路ブロック42へインクを流通させる流通路86と、流通路86と通じる迂回路87が形成されている。
【0098】
第2チューブ82には、液体供給路から気泡を除去する気泡除去手段の一例として、共通インク供給路45から気泡を除去する第1チューブポンプ91が設けられている。第1チューブポンプ91は、図示しない回転体を備えており、この回転体の外周には、第2チューブ82を巻き掛けられ、回転体の外周の一部で第2チューブ82を押しつぶした状態となっている。
【0099】
第1チューブポンプ91には、制御手段を構成する制御回路89が接続され、この制御回路89によって、第1チューブポンプ91はその駆動が制御される。
【0100】
制御回路89から第1チューブポンプ91へ駆動信号が入力されると、第1チューブポンプ91の回転体は、第2チューブ82を押しつぶした状態で回転し、第2チューブ82をしごいて、インクタンク21Yから第2流通口72を通じて共通インク供給路45へインクを送る。
【0101】
これにより、気泡を含むインクが共通インク供給路45から第1流通口71を通じて排出される一方、気泡を含まないインクがインクタンク21Yから第2流通口72を通じて共通インク供給路45に送られ、共通インク供給路45から気泡が除去される。このように、気泡除去時においては、第2流通口72は、共通インク供給路45へインクを供給する供給口として機能し、第1流通口71は共通インク供給路45からインクを排出する排出口として機能する。
【0102】
なお、気泡除去手段としては、チューブポンプに限られず、他のポンプを用いてもよく、液体を送ることができる送液装置であればよい。
【0103】
また、上記の例では、インクタンク21Yから、第2流通口72、共通インク供給路45、第1流通口71、インクタンク21Yの順でインクを流通させていたが、逆方向にインクを流通させて、気泡を除去しても良い。
【0104】
迂回路87は、第1チューブポンプ91とインクタンク21Yとの間において、一端部が流通路86と通じ、第1チューブポンプ91と第2流通口72との間において、他端部が流通路86と通じている。
【0105】
迂回路87には、液体の流通を停止させる流通停止手段の一例として、インクの流通を停止するバルブ88が設けられている。このバルブ88には、制御回路89が接続され、この制御回路89によって、バルブ88はその駆動が制御される。
【0106】
バルブ88は、制御回路89からの駆動信号が入力されない状態においては、開放状態となり、迂回路87におけるインクの流通が可能となる。また、バルブ88は、制御回路89からバルブ88へ駆動信号が入力されると、閉鎖状態となり、迂回路87におけるインクの流通が不可能となる。
【0107】
(共通インク供給路の流路断面積を変化させる構成の第1の例)
次に、共通インク供給路の流路断面積を変化させる構成の第1の例について説明する。
【0108】
第1の例に係るインクジェット記録ヘッド20Yは、図5に示すように、共通インク供給路45の流路断面積を変化させる流路断面積可変手段の一例として、可撓性を有する膜体64と共通インク供給路45の壁面とで形成される断面積調整室66と、断面積調整室66へ媒体を供給可能であると共に媒体を断面積調整室66から排出可能な媒体供給排出口68と、を備えている。
【0109】
膜体64は、共通インク供給路45内に設けられており、共通インク供給路45内を2つの空間に仕切っている。一方の空間は、共通インク供給路45の流路を構成し、他方の空間は、共通インク供給路45の流路断面積の調整用の断面積調整室66を構成する。
【0110】
膜体64は、その上端部が、図中のY方向の第1流通口71及び第2流通口72がある側の上壁面に固定され、下端部は、図中のY方向の第1流通口71及び第2流通口72がない側の下壁面に固定されている。また、膜体64の側端部は、第1流通口71が形成された共通インク供給路45の側壁面と、第2流通口72が形成された共通インク供給路45の側壁面とにそれぞれ固定されている。
【0111】
また、膜体64は、媒体として、吐出されるインクと同じインクを用いる場合には、膜体64の内外での圧力差により膜体の形状・位置を維持できる程度に透過性が低ければよい。また、膜体64は、媒体として、インク以外の後述の流動体を用いる場合には、その流動体が透過しない透過性を有していればよい。
【0112】
共通インク供給路45の流路側の壁面には、第1流通口71、第2流通口72及びインク流出口44が形成されている。一方、断面積調整室66側にある共通インク供給路45の壁面には、媒体供給排出口68が形成されており、断面積調整室66へ媒体を供給可能であると共に媒体を断面積調整室66から排出可能である。
【0113】
媒体供給排出口68には、図6に示すように、インクを流通させる流通管の一例としての第3チューブ83の一端部が接続されている。第3チューブ83の他端部は、インクタンク21Yに接続されている。第3チューブ83には、媒体供給排出口68を通じて媒体を断面積調整室66へ供給すると共に媒体供給排出口68を通じて媒体を断面積調整室66から排出する媒体供給排出手段の一例としての第2チューブポンプ92が設けられている。
【0114】
媒体供給排出手段としては、チューブポンプに限られず、他のポンプを用いてもよく、また、媒体を断面積調整室66へ供給可能であると共に媒体を断面積調整室66から排出可能な媒体供給排出装置であればよい。
【0115】
この図6に示す例では、媒体として、インクタンク21Yに貯留されたインクを用いる。なお、媒体としては、インクタンク21Yとは別に貯留したインクを用いてもよく、また、インクに限られず、インクタンク21Yとは別に貯留した他の液体を用いても良い。また、断面積調整室66への供給及び断面積調整室66からの排出が可能であれば、液体に限られず、流動性を有する流動体であればよい。流動体としては、液体の他に、例えば、気体、ゼリー状のもの、粉体などがある。
【0116】
第2チューブポンプ92は、図示しない回転体を備えており、この回転体の外周には、第3チューブ83を巻き掛けられ、回転体の外周の一部で第3チューブ83を押しつぶした状態となっている。
【0117】
第2チューブポンプ92には、制御回路89が接続され、この制御回路89によって、第2チューブポンプ92はその駆動が制御される。制御回路89から第2チューブポンプ92へ駆動信号が入力されて、第3チューブ83を押しつぶした状態で回転体が正転することにより、第3チューブ83をしごいて、インクタンク21Yのインクが、媒体供給排出口68を通じて断面積調整室66へ送られる。これにより、図7(B)に示すように、断面積調整室66へインクが供給された場合における共通インク供給路45の流路断面積S2は、断面積調整室66からインクが排出された場合における共通インク供給路45の流路断面積S1より小さくなる。このように、流路断面積が小さくなることにより、共通インク供給路45の流路を流通するインクの流速が上がる。
【0118】
また、第2チューブポンプ92は、制御回路89から駆動信号が入力されて、回転体が逆転することにより、第3チューブ83をしごいて、断面積調整室66内のインクが、媒体供給排出口68を通じて排出され、インクタンク21Yへ送られる。これにより、図7(A)に示すように、断面積調整室66からインクが排出された場合における共通インク供給路45の流路断面積S1は、断面積調整室66へインクが供給された場合における共通インク供給路45の流路断面積S2より大きくなる。
【0119】
なお、流路断面積とは、気泡除去時において、共通インク供給路45へインクを供給する供給口と共通インク供給路45からインクを排出する排出口との共通インク供給路45の容積を、その供給口と排出口との間の距離で割った平均的な断面積をいう。本実施形態において、供給口は第1流通口71であり、排出口は第2流通口72である。
【0120】
(本実施形態に係るインクジェット記録装置の作用)
次に、本実施形態に係るインクジェット記録装置の作用について説明する。
【0121】
インク滴を吐出して記録媒体Pに画像を記録する画像記録時においては、制御回路89は、第1チューブポンプ91へ駆動信号を入力せず、第1チューブポンプ91は作動しない。また、制御回路89は、バルブ88へも駆動信号を入力せず、バルブ88は開放状態となる。
【0122】
これにより、各ヘッド部40Aのノズル52からインク滴を吐出すると、その消費された分のインクがインクタンク21Yから迂回路87を経て共通インク供給路ブロック42へ供給される。また、インクタンク21Yから流通路84を経て共通インク供給路ブロック42へインクが供給される。共通インク供給路ブロック42へ送られたインクは、各ヘッド部40Aに供給される。
【0123】
共通インク供給路45から気泡を除去する気泡除去時においては、まず、制御回路89が第2チューブポンプ92へ駆動信号を入力して、第2チューブポンプ92を正転させ、インクタンク21Yから断面積調整室66へ媒体としてのインクを供給する。
【0124】
断面積調整室66へインクが供給されると、図8(A)、(B)、(C)、(D)及び図9(A)、(B)に示すように、徐々に、断面積調整室66が大きくなり、共通インク供給路45内の気泡が、図中のY方向の第1流通口71及び第2流通口72がある側へ追いやられる。
【0125】
このように、断面積調整室66にインクが供給されることにより、断面積調整室66へインクが供給された場合における共通インク供給路45の流路断面積S2は、断面積調整室66からインクが排出された場合における共通インク供給路45の流路断面積S1より小さくなる(図7(B)参照)。
【0126】
次に、制御回路89により第2チューブポンプ92を停止させると共に、制御回路89がバルブ88へ駆動信号を入力して、バルブ88は閉鎖状態とする。
【0127】
次に、制御回路89が第1チューブポンプ91へ駆動信号を入力して、第1チューブポンプ91を作動させ、インクタンク21Yから共通インク供給路ブロック42へ強制的にインクを流す(図9(C)参照)。このとき、共通インク供給路45の流路を流れるインクの流速は、流路断面積が小さくなることにより、流路断面積が大きい場合に比べて上がる。
【0128】
このように、インクタンク21Yから共通インク供給路ブロック42へ強制的にインクを流すことにより、インクタンク21Yに貯留されたインクを第2流通口72から共通インク供給路45へ流入させる。共通インク供給路45に流入したインクは、第1流通口71から流出し、流通路84を通じてインクタンク21Yにもどる。
【0129】
すなわち、本実施形態においては、インクタンク21Y、流通路86、共通インク供給路45、流通路84、インクタンク21Yの順で、インクが循環している。共通インク供給路45から気泡を含むインクをインクタンク21Yに戻し、インクタンク21Yで気泡を除去して、気泡が除去されたインクを共通インク供給路45へ送る。このようにして、共通インク供給路45内において、フィルタ50や共通インク供給路45の壁面に付着した気泡が、共通インク供給路45から除去される。
【0130】
なお、インクタンク21Yには、気泡を除去する不図示の気泡除去機構が設けられており、共通インク供給路45からの気泡を含むインクから、気泡が除去されるようになっている。なお、気泡除去機構としては、例えば、インクタンク21Yを大気開放して、インクから気泡を除去する構成がある。
【0131】
また、上記の例では、インクを循環させていたが、共通インク供給路45から排出されるインク、すなわち、気泡を含むインクを回収する回収装置をインクタンク21Yとは別に設け、インクタンク21Yから気泡を含まないインクを供給する構成であってもよい。
【0132】
(共通インク供給路45の流路断面積を変化させる構成の第2の例)
次に、共通インク供給路45の流路断面積を変化させる構成の第2の例について説明する。
【0133】
第2の例に係るインクジェット記録ヘッド20Yは、図10(A)、(B)に示すように、共通インク供給路45の流路断面積を変化させる流路断面積可変手段の一例として、共通インク供給路45内に配置された可撓性を有する袋体74と、袋体74の内部へ媒体を供給可能であると共に袋体74の内部から媒体を排出可能な媒体供給排出口76とを備えている。
【0134】
袋体74の上面74Aは、共通インク供給路45の上壁面に接着材等により固定されている。また、袋体74の片側の側面74Bは、共通インク供給路45の側壁面に接着材等により固定されている。
【0135】
袋体74には、袋体74の内側に折り畳まれるひだ、すなわち、まちが形成されており、媒体が袋体74の内部に供給された際に、袋体74が共通インク供給路45の形状に対応して、直方体形状に広がるようになっている(図10(B)参照)。一方、袋体74の内部に供給された媒体が袋体74から排出された際には、扁平状態にまとめられる(図10(A)参照)。なお、媒体としては、第1の例と同様に、インクタンク21Yに貯留されたインク、その他の流動体を用いることができる。
【0136】
また、袋体74は、媒体として、吐出されるインクと同じインクを用いる場合には、袋体74の内外での圧力差により膜体の形状・位置を維持できる程度に透過性が低ければよい。また、袋体74は、媒体として、インク以外の流動体を用いる場合には、その流動体が透過しない透過性を有していればよい。
【0137】
媒体供給排出口76は袋体74に形成されており、この媒体供給排出口76には、第1の例と同様に、第3チューブ83が接続されている。この第3チューブ83には、第1の例と同様に、第2チューブポンプ92が設けられ、第2チューブポンプ92により、インクタンク21Yのインクが媒体供給排出口76を通じて袋体74の内部へ送られる。
【0138】
これにより、袋体74の内部へインクが供給された場合における共通インク供給路45の流路断面積S2は、袋体74の内部からインクが排出された場合における共通インク供給路45の流路断面積S1より小さくなる(図7(B)参照)。このように、流路断面積が小さくなることにより、共通インク供給路45の流路を流通するインクの流速が上がる。
【0139】
また、第2チューブポンプ92により、袋体74の内部のインクが媒体供給排出口76を通じて排出されてインクタンク21Yへ送られる。これにより、袋体74の内部からインクが排出された場合における共通インク供給路45の流路断面積S1は、袋体74の内部へインクが供給された場合における共通インク供給路45の流路断面積S2より大きくなる(図7(A)参照)。
【0140】
第2の例のインクジェット記録ヘッド20Yの構成によれば、第1の例のインクジェット記録ヘッド20Yと同様の作用を有する。
【0141】
なお、袋体74は、袋体74の内部へインクが供給された場合に流路断面積が小さくなる形状であって、かつ第1流通口71及び第2流通口72を閉塞しないような形状であれば、他の形状でも構わない。
【0142】
(共通インク供給路の流路断面積を変化させる構成の第3の例)
次に、共通インク供給路の流路断面積を変化させる構成の第3の例について説明する。
【0143】
第3の例に係るインクジェット記録ヘッド20Yは、図11(A)、(B)及び図12(A)、(B)に示すように、共通インク供給路45の流路断面積を変化させる流路断面積可変手段の一例として、共通インク供給路45の壁面の一部を構成すると共に共通インク供給路45の流路断面積を変化させる方向へ移動可能な可動部材を備えている。
【0144】
第3の例の構成では、可動部材の一例として、共通インク供給路45の壁面に密着し、共通インク供給路45を密閉した状態で移動する密閉部材78が用いられている。
【0145】
密閉部材78は、図中のY方向に沿って移動可能に設けられており、第1流通口71及び第2流通口72側へ前進し、反対側へ後退する構成となっている。
【0146】
また、第3の例のインクジェット記録ヘッド20Yは、可動部材を移動させる移動手段の一例として、外周にねじ溝が形成されたねじ体80と、ねじ体80を回転させる駆動部85とを備えている。第3の例のインクジェット記録ヘッド20Yにおいては、駆動部85に制御回路89が接続され、この制御回路89によって駆動部85によるねじ体80の回転が制御される。
【0147】
ねじ体80は、共通インク供給路ブロック42の側面に形成された円孔79に挿し通され、ねじ体80の先端部は、密閉部材78の側面に固定されている。共通インク供給路ブロック42の側面には、ねじ体80に嵌め合うねじ部94が設けられる。制御回路89から駆動部85へ駆動信号が入力されて、ねじ体80が駆動部85により正転することにより、ねじ部94に対してねじ体80が共通インク供給路ブロック42の内側へ前進し、ねじ体80が逆転することにより、ねじ部94に対してねじ体80が共通インク供給路ブロック42の外側へ後退する。
【0148】
なお、可動部材を移動させる移動手段としては、ねじ体80及び駆動部85の構成に限られず、種々の移動機構を用いることができる。
【0149】
また、密閉部材78の長手方向両端部には、密閉部材78を図中のY方向に沿って案内するガイド軸93が設けられている。ガイド軸93は、共通インク供給路ブロック42の側面に形成された円孔77に挿し通されており、ねじ体80の移動に伴って、共通インク供給路ブロック42の内側へ前進すると共に、共通インク供給路ブロック42の外側へ後退する。
【0150】
密閉部材78は、図12(A)に示すように、共通インク供給路45の長手方向に沿って見た場合において、上辺が下辺よりも長い台形に形成されている。なお、密閉部材78が前進し、共通インク供給路45の流路断面積を小さくした状態で、第1流通口71及び第2流通口72を閉塞しないような形状であれば、密閉部材78は、台形形状に限定されない。
【0151】
第3のインクジェット記録ヘッド20Yでは、密閉部材78が第1流通口71及び第2流通口72側へ前進し、共通インク供給路45の壁面に当たって停止する。このとき、共通インク供給路45の流路断面積S2は、密閉部材78が後退した場合における共通インク供給路45の流路断面積S1より小さくなる(図7(B)参照)。このように、流路断面積が小さくなることにより、共通インク供給路45の流路を流通するインクの流速が上がる。
【0152】
また、第3のインクジェット記録ヘッド20Yでは、密閉部材78が後退、共通インク供給路45の壁面に当たって停止する。このとき、共通インク供給路45の流路断面積S1は、密閉部材78が後退した場合における共通インク供給路45の流路断面積S2より大きくなる(図7(A)参照)。
【0153】
第3の例のインクジェット記録ヘッド20Yの構成によれば、第1の例のインクジェット記録ヘッド20Yと同様の作用を有する。
【0154】
なお、共通インク供給路の流路断面積を変化させる構成としては、上記の第1の例、第2の例及び第3の例に限られず、例えば、共通インク供給路45の壁面の一部を可撓性の膜体で形成し、その膜体の外面から膜体を押す押し部材で膜体を押すことにより膜体を内側へ凹まして、共通インク供給路45の流路断面積を変化させる構成であっても良く、共通インク供給路の流路断面積を変化させられる構成であればよい。
【0155】
また、上記の第1の例、第2の例及び第3の例においては、共通インク供給路45の流路断面積が小さくなるようにその流路断面積を変化させた際に、インク流出口44を閉鎖する構成としてもよい。
【0156】
第1の例では、図8(D)に示すように、断面積調整室66へインクが供給され、断面積調整室66が所定の大きさになると、膜体64は、インク流出口44の上に覆いかぶさり、インク流出口44を閉鎖するようになっている。これにより、インクがインク流出口44を通じてインク流入口43へ流入しにくく、共通インク供給路45から気泡を除去する際に、共通インク供給路45に圧力を加えてインクを循環させたり、共通インク供給路45に負圧を付与してインクを循環させたりしたとしても、共通インク供給路45内で生じた圧力変化がヘッドユニット部40へ伝播することが抑制される。
【0157】
また、図13に示すように、インク流出口44を密閉する密閉部材53を膜体64の表面に設けてもよい。図13に示す構成では、インク流出口44の縁部(フィルタ50の外周部)にリブ55が形成されており、膜体64がフィルタ50の上に覆いかぶさった際に、図13(D)に示すように、密閉部材53がリブ55に密着し、インク流出口44を密閉する構成となっている。密閉部材53としては、例えば、ゴムパッキンが用いられる。
【0158】
第2の例では、図14に示すように、袋体74の内部へインクが供給され、袋体74が所定の大きさになると、袋体74は、フィルタ50の上に覆いかぶさり、インク流出口44を閉鎖するようになっている。これにより、インクが、インク流出口44を通じてインク流入口43へ流入しにくく、共通インク供給路45から気泡を除去する際に、共通インク供給路45に圧力を加えてインクを循環させたり、共通インク供給路45に負圧を付与してインクを循環させたりしたとしても、共通インク供給路45内で生じた圧力変化がヘッドユニット部40へ伝播することが抑制される。
【0159】
また、図15に示すように、インク流出口44を密閉する密閉部材57を袋体74の表面に設けてもよい。図15に示す構成では、インク流出口44の縁部(フィルタ50の外周部)にリブ59が形成されており、袋体74がフィルタ50の上に覆いかぶさった際に、密閉部材57がリブ59に密着し、インク流出口44を密閉する構成となっている。密閉部材55としては、例えば、ゴムパッキンが用いられる。
【0160】
第3の例では、密閉部材78は、上面が下面より広く形成されており、その下面は、インク流出口44を閉鎖可能な大きさに形成されている。
【0161】
第3の例のインクジェット記録ヘッド20Yでは、図12(B)に示すように、密閉部材78が第1流通口71及び第2流通口72側へ前進し、共通インク供給路45の壁面に当たって停止した際は、密閉部材78の下面がインク流出口44を覆い、インク流出口44を閉鎖するようになっている。これにより、インクが、インク流出口44を通じてインク流入口43へ流入しにくく、共通インク供給路45から気泡を除去する際に、共通インク供給路45に圧力を加えてインクを循環させたり、共通インク供給路45に負圧を付与してインクを循環させたりしたとしても、共通インク供給路45内で生じた圧力変化がヘッドユニット部40へ伝播することが抑制される。
【0162】
なお、上記のように第1の例、第2の例及び第3の例において、インク流出口44を閉鎖する構成は、必須の構成ではなく、インク流出口44を閉鎖しない構成としても良い。
【0163】
また、上記の第1の例においては、ヘッドユニット部40からインク滴を吐出させるためにヘッドユニット部40へインクを供給する場合に、断面積調整室66に空気を供給する構成としても良い。
【0164】
この構成では、図16に示すように、第3チューブ83には、第2チューブポンプ92とインクタンク21Yとの間に、断面積調整室66に供給される媒体を切り替えるためのバルブ95が設けられている。
【0165】
このバルブ95には、制御回路89が接続され、この制御回路89によって、バルブ95はその駆動が制御される。
【0166】
バルブ95は、制御回路89からの駆動信号が入力されない状態においては、開放状態となり、第3チューブ83によって形成される流通路69を大気開放して、流通路69への空気の流入が可能となる。このとき、インクタンク21Yからのインクの流通が不可能となる。
【0167】
また、バルブ88は、制御回路89からバルブ88へ駆動信号が入力されると、閉鎖状態となり、流通路69が大気開放された状態が解除され、インクタンク21Yからのインクの流通が可能となる。なお、その他の構成は、図6に示す構成と同様である。
【0168】
この構成によれば、インク滴を吐出して記録媒体Pに画像を記録する前に、バルブ95を開放状態として流通路69へ空気を流入させ、制御回路89が第2チューブポンプ92へ駆動信号を入力して第2チューブポンプ92を正転させ、断面積調整室66へ媒体としての空気を供給する。
【0169】
このとき、断面積調整室66へ供給される空気は、共通インク供給路45から気泡を除去する気泡除去時において断面積調整室66に供給されるインクの供給量よりも、少ない量である。
【0170】
インク滴を吐出して記録媒体Pに画像を記録する画像記録時において、制御回路89は、第1チューブポンプ91へ駆動信号を入力せず、第1チューブポンプ91は作動しない。また、制御回路89は、バルブ88へも駆動信号を入力せず、バルブ88は開放状態となる。さらに、バルブ95は開放状態が維持される。
【0171】
これにより、各ヘッド部40Aのノズル52からインク滴を吐出すると、その消費された分のインクがインクタンク21Yから迂回路87を経て共通インク供給路ブロック42へ供給される。また、インクタンク21Yから流通路84を経て共通インク供給路ブロック42へインクが供給される。共通インク供給路ブロック42へ送られたインクは、各ヘッド部40Aに供給される。
【0172】
共通インク供給路ブロック42から各ヘッド部40Aへインクが供給される際に共通インク供給路ブロック42内で変動する圧力が、空気が供給された断面積調整室66により吸収される。これにより、断面積調整室66に空気が供給されていない構成に比して、共通インク供給路ブロック42内で生じる圧力変動の高低差が減少する。
【0173】
具体的には、図17(A)に示すように、インク滴を吐出して記録媒体Pに画像を記録すると、断面積調整室66に空気が供給されていない構成においては、インク滴を吐出した後、共通インク供給路ブロック42内の背圧が低下し、場合によっては吐出不良を引き起こす(図7の矢印Aで示す最低部分参照)。
【0174】
また、インク滴を吐出した後に供給されるインクの慣性により、共通インク供給路ブロック42内の背圧が上昇し、場合によってはノズルからのインクたれを引き起こす(図7の矢印Bで示す最上部分参照)。特に、図8に示すように、記録媒体Pへベタ画像を記録する場合には、共通インク供給路ブロック42内のインクの流通量が増加し、図17(A)に示す圧力変動は顕著となる。
【0175】
これに対して、本実施形態では、図17(B)に示すように、共通インク供給路ブロック42内で変動する圧力が、空気が供給された断面積調整室66により吸収され、共通インク供給路ブロック42内で生じる圧力変動の高低差が減少する。
【0176】
共通インク供給路45から気泡を除去する気泡除去時においては、まず、バルブ95を閉鎖状態としてインクタンク21Yからのインクの流通を可能とし、制御回路89が第2チューブポンプ92へ駆動信号を入力して第2チューブポンプ92を正転させ、インクタンク21Yから断面積調整室66へ媒体としてのインクを供給する。
【0177】
断面積調整室66へインクが供給されると、図8(A)、(B)、(C)、(D)及び図9(A)、(B)に示すように、徐々に、断面積調整室66が大きくなり、共通インク供給路45内の気泡が、図中のY方向の第1流通口71及び第2流通口72がある側へ追いやられる。
【0178】
このように、断面積調整室66にインクが供給されることにより、断面積調整室66へインクが供給された場合における共通インク供給路45の流路断面積S2は、断面積調整室66からインクが排出された場合における共通インク供給路45の流路断面積S1より小さくなる(図7(B)参照)。
【0179】
次に、制御回路89により第2チューブポンプ92を停止させると共に、制御回路89がバルブ88へ駆動信号を入力して、バルブ88は閉鎖状態とする。
【0180】
次に、制御回路89が第1チューブポンプ91へ駆動信号を入力して、第1チューブポンプ91を作動させ、インクタンク21Yから共通インク供給路ブロック42へ強制的にインクを流す(図9(C)参照)。このとき、共通インク供給路45の流路を流れるインクの流速は、流路断面積が小さくなることにより、流路断面積が大きい場合に比べて上がる。
【0181】
このように、インクタンク21Yから共通インク供給路ブロック42へ強制的にインクを流すことにより、インクタンク21Yに貯留されたインクを第2流通口72から共通インク供給路45へ流入させる。共通インク供給路45に流入したインクは、第1流通口71から流出し、流通路84を通じてインクタンク21Yにもどる。
【0182】
すなわち、本実施形態においては、インクタンク21Y、流通路86、共通インク供給路45、流通路84、インクタンク21Yの順で、インクが循環している。共通インク供給路45から気泡を含むインクをインクタンク21Yに戻し、インクタンク21Yで気泡を除去して、気泡が除去されたインクを共通インク供給路45へ送る。このようにして、共通インク供給路45内において、フィルタ50や共通インク供給路45の壁面に付着した気泡が、共通インク供給路45から除去される。
【0183】
さらに、ヘッドユニット部40からインク滴を吐出させるためにヘッドユニット部40へインクを供給する場合に、断面積調整室66に空気を供給する構成においては、膜体64が、共通インク供給路45内のインクを加熱可能な加熱機能を有する構成であってもよい。
【0184】
これにより、膜体64に接触する共通インク供給路45内のインクが直接的に加熱される。また、加熱されたインクの熱が、断面積調整室66に供給された空気により断熱される。
【0185】
なお、膜体64が加熱機能を有する構成としては、ラバーヒータのように可撓性を有するヒータを膜体64として用いる構成であってもよく、また、膜体64にヒータを取り付ける構成であってもよい。
【0186】
また、上記の第2の例においては、ヘッドユニット部40からインク滴を吐出させるためにヘッドユニット部40へインクを供給する場合に、袋体74に空気を供給する構成としても良い。
【0187】
この構成においても、第1の例の場合と同様に、図16示すように、袋体74の内部に供給される媒体を切り替えるためのバルブ95が設ける構成とする。
【0188】
この構成によれば、インク滴を吐出して記録媒体Pに画像を記録する前に、バルブ95を開放状態として流通路69へ空気を流入させ、制御回路89が第2チューブポンプ92へ駆動信号を入力して第2チューブポンプ92を正転させ、袋体74の内部へ媒体としての空気を供給する。
【0189】
このとき、袋体74の内部へ供給される空気は、共通インク供給路45から気泡を除去する気泡除去時において袋体74の内部に供給されるインクの供給量よりも、少ない量である。
【0190】
インク滴を吐出して記録媒体Pに画像を記録する画像記録時において、第1の例の場合と同様に、各ヘッド部40Aへインクが供給される。
【0191】
共通インク供給路45から気泡を除去する気泡除去時においては、まず、バルブ95を閉鎖状態としてインクタンク21Yからのインクの流通を可能とし、制御回路89が第2チューブポンプ92へ駆動信号を入力して第2チューブポンプ92を正転させ、インクタンク21Yから袋体74の内部へ媒体としてのインクを供給する。そして、第1の例の場合と同様に、共通インク供給路45内の気泡の除去が行われる。
【0192】
さらに、第1の例の場合と同様に、袋体74が、共通インク供給路45内のインクを加熱可能な加熱機能を有する構成であってもよい。
【0193】
本発明は、本実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの構成を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る共通インク供給路ブロックをインク流出口側から見た斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るヘッドユニット部及び共通インク供給路ブロック内部構成を概略的に示す断面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る共通インク供給路ブロックを示す断面図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の内部構成を模式的に示すブロック図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る共通インク供給路の流路断面積の変化を示す斜視図である。
【図8】図8は、本実施形態に係る断面積調整室が大きくなる様子を示す側面図である。
【図9】図9は、本実施形態に係る断面積調整室が大きくなる様子を示す平面図である。
【図10】図10は、本実施形態に係る共通インク供給路の流路断面積を変化させる構成の第2の例を示す斜視図である。
【図11】図11は、本実施形態に係る共通インク供給路の流路断面積を変化させる構成の第3の例を示す平面図である。
【図12】図12は、本実施形態に係る共通インク供給路の流路断面積を変化させる構成の第3の例を示す側面図である。
【図13】図13は、インク流出口を密閉する密閉部材を膜体に設けた構成を示す断面図である。
【図14】図14は、共通インク供給路の流路断面積を変化させる構成の第2の例において、共通インク供給路の流路断面積が変化された際に、インク流出口を閉鎖する構成を示す図である。
【図15】図15は、図14の構成において、インク流出口を密閉する密閉部材を袋体に設けた構成を示す断面図である。
【図16】図16は、断面積調整室に空気を供給する構成におけるインクジェット記録装置の内部構成を模式的に示すブロック図である。
【図17】図17は、共通インク供給路ブロック内で生じる圧力変動を示す図であり、(A)は、断面積調整室に空気を供給していない場合における圧力変動を示し、(B)は、断面積調整室に空気を供給した場合における圧力変動を示す。
【図18】図18は、記録媒体にベタ画像を記録する様子を示す図である。
【符号の説明】
【0195】
10 インクジェット記録装置
20Y、20M、20C、20K インクジェット記録ヘッド
21Y、21M、21C、21K インクタンク(液体貯留手段)
40 ヘッドユニット部(液体吐出素子)
44 インク流出口(供給口)
45 共通インク供給路(液体供給路)
53 密閉部材
57 密閉部材
64 膜体
66 断面積調整室(流路断面積可変手段)
68 媒体供給排出口(流路断面積可変手段)
71 第1流通口
72 第2流通口
74 袋体(流路断面積可変手段)
76 媒体供給排出口(流路断面積可変手段)
78 密閉部材(可動部材、流路断面積可変手段)
80 ねじ体(移動手段)
85 駆動部(移動手段)
89 制御回路(制御手段)
91 第1チューブポンプ(気泡除去手段)
92 第2チューブポンプ(媒体供給排出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する液滴吐出素子と、
液体が流通可能な2以上の流通口を有し、前記流通口から流入した液体を前記液滴吐出素子へ供給する液体供給路と、
前記液体供給路の流路断面積を変化させる流路断面積可変手段と、
を備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
前記流路断面積可変手段は、可撓性を有する膜体と前記液体供給路の壁面とで形成される断面積調整室と、前記断面積調整室へ媒体を供給可能であると共に前記媒体を前記断面積調整室から排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路内に配置された可撓性を有する袋体と、前記袋体の内部へ媒体を供給可能であると共に前記袋体の内部から前記媒体を排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路の壁面の一部を構成すると共に前記液体供給路の流路断面積を変化させる方向へ移動可能な可動部材を備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項1に記載の液滴吐出ヘッドと、
前記液体供給路に供給される液体を貯留する液体貯留手段と、
前記液体貯留手段に貯留された液体を一の前記流通口から前記液体供給路へ供給し、前記液体供給路内の液体を他の前記流通口から排出して前記液体供給路から気泡を除去する気泡除去手段と、
前記気泡除去手段が気泡除去を実行する際に、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合よりも前記液体供給路の断面積が小さくなるように、前記供給路断面積可変手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
前記流路断面積可変手段は、可撓性を有する膜体と前記液体供給路の壁面とで形成される断面積調整室と、前記断面積調整室へ媒体を供給可能であると共に前記媒体を前記断面積調整室から排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、
前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室から排出する媒体供給排出手段を備え、
前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記媒体を前記断面積調整室から排出するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路内に配置された可撓性を有する袋体と、前記袋体の内部へ媒体を供給可能であると共に前記袋体の内部から前記媒体を排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、
前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部から排出する媒体供給排出手段を備え、
前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記媒体を前記袋体の内部から排出するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記媒体供給排出手段は、前記液体貯留手段に貯留された液体を前記媒体として前記断面積調整室に供給し、前記断面積調整室から排出することを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路の壁面の一部を構成すると共に前記液体供給路の流路断面積を変化させる方向へ移動可能な可動部材を備えて構成され、
前記可動部材を前記液体供給路の断面積を変化させる方向へ移動させる移動手段を備え、
前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記可動部材が前記液体供給路の断面積を小さくする方向へ移動し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記可動部材が前記液体供給路の断面積を大きくする方向へ移動するように、前記移動手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記液体供給路は、前記流通口から流入した液体を前記液滴吐出素子へ供給する供給口を有し、
前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路の流路断面積が小さくなるように該流路断面積を変化させた際に、前記供給口を閉鎖することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項11】
前記流路断面積可変手段は、可撓性を有する膜体と前記液体供給路の壁面とで形成される断面積調整室と、前記断面積調整室へ媒体を供給可能であると共に前記媒体を前記断面積調整室から排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、さらに該膜体で前記供給口を閉鎖することを特徴とする請求項10に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項12】
前記膜体に設けられ、前記供給口を密閉する密閉部材を備えたことを特徴とする請求項11に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項13】
前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路内に配置された可撓性を有する袋体と、前記袋体の内部へ媒体を供給可能であると共に前記袋体の内部から前記媒体を排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、さらに該袋体で前記供給口を閉鎖することを特徴とする請求項10に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項14】
前記袋体に設けられ、前記供給口を密閉する密閉部材を備えたことを特徴とする請求項13に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項15】
前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路の壁面の一部を構成すると共に前記液体供給路の流路断面積を変化させる方向へ移動可能な可動部材を備えて構成され、さらに前記可動部材の端面で前記供給口を閉鎖することを特徴とする請求項10に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項16】
請求項10に記載の液滴吐出ヘッドと、
前記液体供給路に供給される液体を貯留する液体貯留手段と、
前記液体貯留手段に貯留された液体を一の前記流通口から前記液体供給路へ供給し、前記液体供給路内の液体を他の前記流通口から排出して前記液体供給路から気泡を除去する気泡除去手段と、
前記気泡除去手段が気泡除去を実行する際に、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合よりも前記液体供給路の断面積が小さくなるように、前記供給路断面積可変手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項17】
前記流路断面積可変手段は、可撓性を有する膜体と前記液体供給路の壁面とで形成される断面積調整室と、前記断面積調整室へ媒体を供給可能であると共に前記媒体を前記断面積調整室から排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、さらに該膜体で前記供給口を閉鎖し、
前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室から排出する媒体供給排出手段を備え、
前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記媒体を前記断面積調整室から排出するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする請求項16に記載の液滴吐出装置。
【請求項18】
前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路内に配置された可撓性を有する袋体と、前記袋体の内部へ媒体を供給可能であると共に前記袋体の内部から前記媒体を排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、さらに該袋体で前記供給口を閉鎖し、
前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部から排出する媒体供給排出手段を備え、
前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記媒体を前記袋体の内部から排出するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする請求項16に記載の液滴吐出装置。
【請求項19】
前記媒体供給排出手段は、前記液体貯留手段に貯留された液体を前記媒体として前記断面積調整室に供給し、前記断面積調整室から排出することを特徴とする請求項17に記載の液滴吐出装置。
【請求項20】
前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路の壁面の一部を構成すると共に前記液体供給路の流路断面積を変化させる方向へ移動可能な可動部材を備えて構成され、さらに前記可動部材の端面で前記供給口を閉鎖し、
前記可動部材を前記液体供給路の断面積を変化させる方向へ移動させる移動手段を備え、
前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記可動部材が前記液体供給路の断面積を小さくする方向へ移動し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記可動部材が前記液体供給路の断面積を大きくする方向へ移動するように、前記移動手段を制御することを特徴とする請求項16に記載の液滴吐出装置。
【請求項21】
前記流路断面積可変手段は、可撓性を有する膜体と前記液体供給路の壁面とで形成される断面積調整室と、前記断面積調整室へ媒体を供給可能であると共に前記媒体を前記断面積調整室から排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、
前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記断面積調整室から排出する媒体供給排出手段を備え、
前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記断面積調整室へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記気泡除去の実行の際に供給される前記媒体の供給量よりも少ない量の空気を媒体として前記断面積調整室へ供給するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項22】
前記膜体は、前記液体を加熱可能な加熱機能を有することを特徴とする請求項21に記載の液滴吐出装置。
【請求項23】
前記流路断面積可変手段は、前記液体供給路内に配置された可撓性を有する袋体と、前記袋体の内部へ媒体を供給可能であると共に前記袋体の内部から前記媒体を排出可能な媒体供給排出口と、を備えて構成され、
前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記媒体供給排出口を通じて前記媒体を前記袋体の内部から排出する媒体供給排出手段を備え、
前記制御手段は、前記気泡除去を実行する際に前記媒体を前記袋体の内部へ供給し、前記液滴吐出素子から液滴を吐出させるために前記液滴吐出素子へ液体を供給する場合に前記気泡除去の実行の際に供給される前記媒体の供給量よりも少ない量の空気を媒体として前記袋体の内部へ供給するように、前記媒体供給排出手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項24】
前記袋体は、前記液体を加熱可能な加熱機能を有することを特徴とする請求項23に記載の液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−998(P2009−998A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294280(P2007−294280)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】