説明

液状の充填製品を備えた大容量の容器を低酸素充填するための充填素子及び方法

少なくとも洗浄工程が充填工程の前にあり、停止位置と稼動位置の間を動作可能な洗浄パイプ(4)と、液体バルブ(3)とを備えた容器を充填するための充填素子(2)の場合、洗浄パイプ(4)及び充填素子(2)の内部の液体路(8)は、空間的に、互いに別々に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による充填素子に関する。請求項10の目的は、方法である。好ましい更なる形態は、従属請求項で述べられている。
【背景技術】
【0002】
飲料産業や他の産業分野でも、非常に頻繁に、例えば詰め替え飲料のような液体が、酸素、特に大気の酸素により、損傷効果を及ぼしている。
【0003】
それゆえ、例えば、外気に含まれる酸素が、液体によって吸収された場合、その酸素は、耐久性、色、希釈性、消化、及び/又は、味に関して、マイナスの影響を与える。
【0004】
ただ単に、本出願を分かり易くするためではあるに、今後、飲料を用いて記載されているが、本発明の保護範囲を限定することなく、この飲料は、全ての比較可能な、酸素に対して敏感な液体の代表例である。
【0005】
大気に吸収された酸素を、生産工程の間、できる限り詰め替え飲料から遠くに保つために、多くの飲料の酸素敏感度によって、多くの負担が必要である。
【0006】
その対策のため、例えば、そこに存在する大気や、その大気によって飲料に吸収された大気の酸素を容器から取り除くために、充填される容器の内部を、本来は充填工程の前に、例えば数回、無酸素又は低酸素の処理ガスを用いて洗浄することがなされている。
【0007】
容器内部の洗浄に対しては、これまで、多くの方法が公知である。それゆえ、容器内部に、例えば数回、低圧で処理され、続いて、例えばCOのような無酸素の処理ガスが供給され、かつ、同時に高圧で処理され、最終的に、容器内部の酸素含有量が明らかに減少する。
【0008】
他の方法の場合、特に、不安定な容器の場合、その方法の適用が見られ、最初に、いわゆる洗浄パイプが容器に挿入される。続いて、この洗浄パイプを介して、例えば、同様にCOのような無酸素の処理ガスが、容器に流れ、容器の内部にある外気は、容器から排除される。その際、容器を処理させるため、わずかに低圧又は高圧で入れられ、この場合、対応する圧力は、容器のわずかな安定性と調和している。
【0009】
このような装置は、例えば、出願された独国特許発明第1216952号明細書から公知である。
【0010】
この公知文献で紹介された装置は、以下のように働く。
【0011】
充填素子軸に対して真ん中に配置された洗浄パイプは、容器の上部領域に入れられ、かつ、無酸素の処理ガスを用いて処理される。洗浄パイプから流れ込む無酸素処理ガスは、ほぼ容器底の方向に洗浄パイプが挿入された後に流れ込み、容器の内部にある例えば、外気のような気体が、容器口の方向に押し出され、例えば、外気のような気体は、そこに形成された気体路を通じて、容器から排出される。
【0012】
洗浄工程が終了した場合、最初に、洗浄パイプが、再び、容器から外に出され、その後に、液体バルブが開放され、すぐに充填製品の容器への流し込みが連続して行われる。
【0013】
その際、充填製品は、液体通路の内部に配置された回転部によって、回転させられ、それによって、充填製品が容器の内壁に運ばれ又は向けられる遠心力が生じ、容器内壁と隣接して、容器に流れ込む液体膜が形成される。所望の充填位置に達した場合、液体バルブは閉じられる。
【0014】
このような方法の欠点は、特に、大きな上面であり、この大きな上面には、容器内壁で下に流れる液体があり、この大きな上面は、場合によっては、容器内部にもある酸素を収容してしまう。空いている上面が大きいほど、さらされる時間が多くなり、流れ込む液体によって、結果的に吸収される酸素の量が大きくなる。
【0015】
同様に、洗浄パイプのわずかな挿入深さが欠点となる。なぜなら、無酸素の処理ガスが、酸素の含んだガスのほぼ中心に流れ込むためであり、その結果、最適、かつ、損失のないガス交換ができない。
【0016】
処理され、又は、充填される容器が、所定の量を超えた場合、残留酸素含有量及び経済性の面で、公知の方法及び装置は、限界にある。
【0017】
これは、特に、外気を、容器の一方の端部、つまり、容器底から、他方の端部、つまり、容器口の方向に追い出すために、洗浄パイプを容器に十分に入れることは、公知の装置では不可能である。
【0018】
更なる動機は、公知の洗浄パイプを備えた充填素子は、ただ、液体が他の方向にずれた場合の後でのみ、容器内部壁に作用すること、及び、より大きな直径を備えた容器が同様に、流れ込む液体の表面を増大させることである。更に、大きな容器の高さが、液体のさらされる時間を長くさせる。この2つの要因が、たくさんの液体の酸素吸収を助長している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】独国特許発明第1216952号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記の欠点や課題を回避することが、本発明の課題と目的である。それに加えて、本発明は、第1に、自由噴出充填又は全開噴出充填を可能にし、かつ、次に、不安定な、特に、例えば、プラスチック材料からなるミニたる(KEG)のような非常に大容量の容器な場合にも、改善された洗浄工程を可能にする充填素子を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明による充填素子の重要な素子は、空間的に、互いに別々の配置の洗浄パイプ4と充填製品ノズルからなり、かつ、使用可能な洗浄パイプで、非常に大きな調節領域を備えることである。
【0022】
次に、本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。
【0023】
本発明の更なる構成、利点、及び、適用手段は、次の実施例及び図面の記載から明らかである。同時に、記載され及び/又は図示されたすべての特徴は、それ自身の又は任意の組合せで、請求項又はこの後の点での概要と独立して、発明の対象を構成する。同時に、請求項の内容は、構想要素の記載のために形成されている。
【0024】
本発明の範囲に、次の定義がなされている。
【0025】
全開噴出:この概念の下では、液体噴出を理解することであり、いずれの時間にも全体の横断面が、完全に液体からなり、外部との干渉がなく又は本質的になく容器に流れる。
【0026】
洗浄:この概念の下では、容器内部領域にある、好ましくない寸法で万一生じる酸素を含んだガスの交換が、無酸素の処理ガスによって行われ、この場合、洗浄される容器は、例えば、低圧又は加圧を用いた少なくとも2つの方法で処理されている。
【0027】
洗浄パイプ:この概念の下では、移動可能な素子を理解することであり、それは、制御され、又は、制御されないガス路を収容する又は構成しており、このガス路を通って、ガス状の媒体が容器1の内部に流されることが可能である。
【0028】
無酸素処理ガス:この概念の下では、ガス(気体)を理解することであり、それは、酸素又は結合酸素の量が全くない又は非常にわずかな量だけ含んでいるため、詰め替える製品が、許容される量を超えて、傷み効果が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】簡略化した断面図で、洗浄パイプ(4)が、稼動位置にある場合の本発明による充填素子(2)を示したものである。
【図2】簡略化した断面図で、洗浄パイプ(4)が、停止位置にある場合の本発明による充填素子(2)を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明による充填素子2を示し、洗浄時点で充填素子2に対して密閉位置にある容器1を備えている。
【0031】
最初に洗浄され、かつ、続いて充填される容器1は、充填素子2とともに、密閉位置にある。この場合、容器1は、首輪で固定することは必須でない。液体バルブ3は、閉じている。洗浄パイプ4は、容器1に挿入され、かつ、稼動位置にある。充填素子2の内部に設けられたガス路5は、開放され、例えば、出口又はガス貯蔵部と接続されている。
【0032】
洗浄パイプ4を通って、無酸素の処理ガス、例えば、二酸化炭素は、容器1に到達する。好ましくは、洗浄パイプ4は、容器底上付近に達し、その結果、無酸素の処理ガスが、容器底上に直接当たり、それによって、容器底からガス路5の方向に向かうガス流又は洗浄動作が生じ、それは、容器1にある酸素含有するガスを、できる限り完全に、かつ、旋廻せずに容器から排除している。
【0033】
好ましくは、洗浄パイプ4は、洗浄パイプ4の進入及び退出が、ただ圧力又は流れ力のみによって容器に流れ込む又は流れでる媒体で動かされるように形成されている。
【0034】
本発明による提案された洗浄パイプ及び充填製品バルブの、又は、これらの充填製品バルブを案内する液体路8の空間的に別々の配置によって、これらの配置によって可能な更なる措置は、非常に有用な洗浄工程を、同様の全開噴出の場合に可能としている。
【0035】
図2は、他のより小さい容器の充填工程を示している。
【0036】
液体バルブ3は開口され、その結果、充填製品が容器に注入可能である。洗浄パイプ4は、その停止位置にあり、その結果、洗浄パイプ4は、容器1に注入する充填製品の領域から完全に離れている。それによって、充填製品は、全開噴出として、最も小さい表面で容器に注入している。
【0037】
洗浄パイプ4は、充填製品噴出の領域から完全に離れているため、これまで通例の充填製品を容器内壁に案内する追加の回転部をなしで済ませることが可能である。これによって、容器1に、できる限り均一かつ層流の充填製品を注入することを促進している。
【0038】
注入する充填製品によって押しのけられた容器1に含まれるガス(気体)は、充填素子の内部に設けられたガス路5を通って出て行く。
【0039】
できるだけ有用な洗浄工程を達成するために、洗浄パイプ4又はその収容が、容器1にできる限り垂直で、かつ、できるだけ深く進入することが可能なように構成することが好ましい。
【0040】
この対処方法によって、容器1内部のガスの動きを方向づけるほぼ完全な構造を達成できる。容器充填機の幾何学的な関係、特に、制限された幾何学的な関係が、充填素子で、洗浄パイプ4の直角の配置を一般的に許容できないため、例えば、洗浄パイプ4を、ある程度傾斜した位置で配置される。
【0041】
提案された洗浄パイプ4と充填ノズルの別々の配置の場合、洗浄パイプ4の垂直又はほぼ垂直な配置も、充填製品ノズルの垂直の噴出も可能にするために、容器に流れる充填製品ノズルの軸の外に、液体バルブ3を配置することが代案として例えば考えられる。
【0042】
洗浄パイプ4が傾斜した位置の場合も、最適かつ迅速な容器の充填を可能にするために、同様に、洗浄パイプ4の下端を、折れ目を用いて、再び垂直又はほぼ垂直に方向付けること考えられる。これによって、構造が、ガスの動きの方向付けを追加的に促進している。
【0043】
異なるサイズの容器でも、洗浄かつ充填を可能にするために、本発明によると、洗浄パイプ4又はその収容が、洗浄パイプ4の進入深さ及び/又は傾斜位置が、制御され、又は、調整され、又は、変更可能なように形成するように構成することが考えられる。
【0044】
例えば、2つの異なる進入深さを再作成可能に収容するために、洗浄パイプ4の収容部に、道を制限するための素子、例えば、留め具6が設けられている。それによって、洗浄パイプ4は、完全に容器1に入ることができず、短時間の容器の処理が可能となる。
【0045】
例えば、線形電動機、位置測定システム、及び/又は、運動関節のような適切な手段によって、洗浄パイプ4の動作を測定し、洗浄パイプ4の動作に影響を及ぼし、又は、洗浄パイプ4の動作を制限する方法も考えられる。
【0046】
移動可能な洗浄パイプ4を備えた充填素子2の公知の形態は、ただ、容器高さHの約20又は30%に相当する、容器への洗浄パイプ4の進入深さを可能にしている。予期せず、出願人の会社の研究で、洗浄パイプの進入深さの明らかな増大によって、無酸素処理ガスの節約や、洗浄工程の改善や短縮によって生じるコスト削減がわかり、かつ、より大きな進入深さを備えた洗浄パイプを作成するために、高い製造技術の費用がかかることわかった。
【0047】
第1の好ましい効果は、容器高さHの50%より大きな進入深さから達成される。特に明らかな節約及び改善は、容器高さHの80%より大きな進入深さから達成される。
【0048】
回転構造の充填機の場合、構造上、出口と入口の間に、いわゆる死角があり、この死角の領域に、充填素子の容器1が位置している。同様に、この死角領域で、全ての導管が集まっており、意図しない洗浄パイプ4の出口に到っている。
【0049】
この角度領域内で、洗浄パイプ4の意図しない洗浄パイプ4の方法を避けるために、本発明による手段は、洗浄パイプが自身の停止位置に保持する本発明による手段を備えている。この手段の場合、例えば、磁気的、又は、電磁気的に作用する停止装置7が用いられる。
【0050】
上記のように、本発明は、実施例を用いて記載されている。本発明の範囲を逸脱することなしに、多くの変更や変形することが可能であることは自明である。
【0051】
それゆえ、洗浄パイプ4を斜めにする代わりに、充填製品噴出部を斜め位置にすることも例えば同様に可能である。このような形態によって、洗浄パイプ4を容器1の容器底のすぐ近くにまで入れることが可能である。同様に、洗浄パイプ4を、容器軸に対して中心に、又は、本質的に中心に配置することも可能であり、これは、容器1の洗浄のために、非常に均一なガス動作を構成するのに好ましい。
【符号の説明】
【0052】
1 容器
2 洗浄素子
3 液体バルブ
4 洗浄パイプ
5 ガス路
6 留め具
7 停止装置
8 液体路
H 容器高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも洗浄工程が充填工程の前にあり、停止位置と稼動位置の間を動作可能な洗浄パイプ(4)と、液体バルブ(3)とを備えた容器を充填するための充填素子(2)において、
洗浄パイプ(4)及び充填素子(2)の内部の液体路(8)は、空間的に、互いに別々に配置されていることを特徴とする充填素子(2)。
【請求項2】
請求項1に記載の充填素子(2)において、
洗浄パイプ(4)が、完全に充填ノズルの領域から離れるように、充填素子(2)が配置され、
充填製品が、全開噴出で、容器に流れ込むことが可能であることを特徴とする充填素子(2)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の充填素子(2)において、
洗浄パイプ(4)の中央軸は、垂直に対して傾いていることを特徴とする充填素子(2)。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の充填素子(2)において、
容器(1)に流れ込む充填製品の速度ベクトルは、垂直に対して傾いていることを特徴とする充填素子(2)。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の充填素子(2)において、
洗浄パイプ(4)の中央軸が垂直に向いていない場合、
洗浄パイプ(4)の下端は、垂直、又は、本質的に垂直、又は、容器底の方向に向いていることを特徴とする充填素子(2)。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の充填素子(2)において、
洗浄パイプ(4)の容器(1)への動作又は進入に作用する手段を備えていることを特徴とする充填素子(2)。
【請求項7】
請求項6に記載の充填素子(2)において、
この手段は、線形電動機、油圧電動機、空気圧電動機、動作ねじ山、又は、留め具(6)で取り扱われることを特徴とする充填素子(2)
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の充填素子(2)において、
洗浄パイプ(4)の動作は、本質的に無酸素工程で、又は、無酸素工程によって生じる流れ力によって引き起こされることを特徴とする充填素子(2)。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の充填素子(2)において、
洗浄パイプ(4)は、停止位置に、停止装置によって、固定されることを特徴とする充填素子(2)。
【請求項10】
容器(1)を充填素子(2)に配置した後、洗浄パイプ(4)は、停止位置から稼動位置に移動し、かつ、容器(1)に進入し、
その後、容器(1)にある気体は、洗浄パイプ(4)を流れる無酸素処理ガスによって、ガス路(5)を通じて、容器(1)から排除され、
その後、洗浄パイプ(4)は、稼動位置から、停止位置に移動し、
その後、液体バルブ(3)が開口し、充填製品が容器(1)に注がれ、
その後、液体バルブ(3)が閉められる容器を洗浄かつ充填する方法において、
充填製品は、全開噴出で、容器に注入されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
洗浄パイプ(4)は、容器深さHの50%より深く容器(1)に進入することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、
洗浄パイプ(4)は、容器深さHの80%より深く容器(1)に進入することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれかに記載の方法において、
洗浄パイプ(4)を、容器(1)の容器底の近傍まで進入させることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれかに記載の方法において、
容器(1)は、充填素子(2)への配置と、充填製品の注入との間に、少なくとも1回、低圧で作用させることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
容器(1)に低圧処理を通じて生成される低圧は、無酸素処理ガスによって調整され、
無酸素処理ガスは、制御されるガス路を介して、容器に供給され、かつ、
無酸素処理ガスは、中断なしの場合も、中断する場合も供給されることが可能であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項10乃至15のいずれかに記載の方法において、
無酸素処理ガスは、少なくとも所定の期間の間、ガス路5を開く場合、洗浄パイプ(4)から噴出することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項10乃至16のいずれかに記載の方法において、
無酸素処理ガスは、ガス路(5)を介して、容器(1)に至り、かつ、
容器(1)から排除された気体は、洗浄パイプ(4)を通じて、容器(1)から排出されることを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−536670(P2010−536670A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521324(P2010−521324)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005826
【国際公開番号】WO2009/026993
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(598125028)カーハーエス・アクチエンゲゼルシヤフト (125)
【Fターム(参考)】