液状体吐出方法、及びカラーフィルターの製造方法
【課題】区画形成された膜形成区画(配置区画)に向けて吐出され、膜形成区画に着弾した液状体が膜形成区画から溢れることを抑制する液状体吐出方法、及びカラーフィルターの製造方法を提供する。
【解決手段】液状体吐出方法は、基材上に区画形成された配置区画における着弾領域に向けて、所定のノズルピッチで配列された複数の吐出ノズルから液状体の液滴を吐出させる液状体吐出方法であって、複数の吐出ノズルは、着弾領域の長手方向における中心位置を含むノズルピッチの範囲に向けて液滴を吐出させる第一吐出ノズルを含み、着弾領域に対する単位面積あたりの吐出量は、第一吐出ノズルの方が、他の吐出ノズルよりも少ない。
【解決手段】液状体吐出方法は、基材上に区画形成された配置区画における着弾領域に向けて、所定のノズルピッチで配列された複数の吐出ノズルから液状体の液滴を吐出させる液状体吐出方法であって、複数の吐出ノズルは、着弾領域の長手方向における中心位置を含むノズルピッチの範囲に向けて液滴を吐出させる第一吐出ノズルを含み、着弾領域に対する単位面積あたりの吐出量は、第一吐出ノズルの方が、他の吐出ノズルよりも少ない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体を吐出する吐出ノズルを用いて、区画形成された領域に向けて液状体を吐出させる液状体吐出方法、及び液状体を吐出する吐出ノズルを用いてカラーフィルターを形成するカラーフィルターの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから液状体を液滴として吐出し、任意の位置に着弾させることによって、所定の量の液状体を所定の位置に精度よく配置する液滴吐出装置が知られている。このような液状体吐出装置を用いて、基材上に区画形成された膜形成区画に、機能膜の材料を含む液状体を着弾させることによって、フィルター膜などの機能膜が形成されている。多くの機能膜は、所定の機能を実現するために、膜形成区画の全面に均等な膜厚の膜が形成されることが好ましい。
【0003】
特許文献1には、基板上の画素Gを形成する描画対象領域A内に、吐出ヘッドを走査させながら一定の吐出間隔にて液滴を吐出させる際に、描画対象領域Aを取り囲むバンクに沿う外周側を除いた中央側に、描画対象領域A内に液滴を吐出させない非吐出箇所Nを設けることによって、膜厚にムラを生じさせることなく描画対象領域に合わせて適量の液滴を着弾させ、高精度かつ高品質な描画を行うことができる液滴吐出方法、電気光学装置の製造方法及び電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−150342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、適切な膜厚の膜を形成するためには、膜厚に対応した適切な量の材料を吐出して着弾させることが必要である。形成する膜の厚さに対して着弾させる液状体の体積が大きい液状体を用いる場合には、着弾した液状体が区画形成された膜形成区画から溢れる場合があるという課題があった。溢れた液状体が隣の膜形成区画の液状体と混じりあう可能性があり、混じりあうことで、液状体が固化されて形成される膜の機能が本来の機能とは異なる機能になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる液状体吐出方法は、基材上に区画形成された配置区画における着弾領域に向けて、所定のノズルピッチで配列された複数の吐出ノズルから液状体の液滴を吐出させる液状体吐出方法であって、前記複数の吐出ノズルは、前記着弾領域の長手方向における中心位置を含む前記ノズルピッチの範囲に向けて前記液滴を吐出させる第一吐出ノズルを含み、前記着弾領域に対する単位面積あたりの吐出量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかる液状体吐出方法によれば、着弾領域の長手方向における中心位置を含むノズルピッチの範囲に向けて液滴を吐出させる第一吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量が、他の吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量より少ない。
一般的に、液状体はその表面張力によって、表面積が小さい球形になろうとし、重力や液状体が置かれた面との濡れ特性などによる影響を受け、それらの力によって定まる形状になる。また、液状体を配置する配置区画は液状体に対して親液性を有し、配置区画を区画形成する区画境界部材は、液状体に対して撥液性を有することが好ましい。区画境界部材が液状体に対して撥液性を有することで、液状体が区画境界部材を乗り越え難くなり、液状体が区画境界部材を乗り越えて流出することを抑制することができる。これにより、区画境界部材によって周囲を囲まれた体積を超える量の液状体を配置区画の範囲内に保持することが可能となる。
配置区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が配置区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。
中央部分と端の部分との高低差は、配置区画の長手方向も長手方向と交差する方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、配置区画から流出し易くなる。例えば、矩形の配置区画であれば、短辺方向において中央部分と端との距離が短くなり、液状体の中央部との距離が最も短い長辺方向の中央において、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。
第一吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量が、他の吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量より少ないことによって、着弾領域の長手方向における中心位置を含むノズルピッチの範囲に着弾する液状体の量を少なくすることができる。中心位置を含む中央部分に着弾させられる液状体の量を少なくすることにより、配置区画内の液状体の中央部が盛上った形状における中央部の高さを抑制することができる。これにより、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができ、配置区画から流出し易くなることを抑制することができる。
また、液状体が存在する部分に液滴が着弾して液状体に衝撃を加えることで、液状体が揺れる可能性がある。液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。当該揺れは、液状体が盛上った中央の部分に液滴が着弾する方が、周辺の薄い部分に着弾した場合にくらべて、大きくなると考えられる。液状体が盛上った中央の部分に着弾する液状体の量を少なくすることで、液滴が着弾することによって液状体が揺れることに起因して液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができ、配置区画から流出し易くなることを抑制することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかる液状体吐出方法は、前記着弾領域の単位面積あたりの吐出数が、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことが好ましい。
【0010】
この液状体吐出方法によれば、第一吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の、着弾領域の単位面積あたりの数が、他の吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の、着弾領域の単位面積あたりの数より少ない。供給される液状体の量は、着弾した液滴の体積と数の積である。したがって、第一吐出ノズルに吐出させる液滴の着弾領域の単位面積あたりの数を少なくすることで、第一吐出ノズルが吐出する液状体の、着弾領域の単位面積あたりの量を少なくすることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかる液状体吐出方法は、前記着弾領域に向けて吐出させる少なくとも一部の前記液滴の液滴重量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも小さいことが好ましい。
【0012】
この液状体吐出方法によれば、第一吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の少なくとも一部の液滴の液滴重量が、他の吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の液滴重量より小さい。供給される液状体の量は、着弾した液滴の液滴重量(体積)と数の積である。したがって、第一吐出ノズルに吐出させる液滴の液滴重量を小さくすることで、第一吐出ノズルが吐出する液状体の、着弾領域の単位面積あたりの量を少なくすることができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかる液状体吐出方法は、前記第一吐出ノズルが、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、前記短辺方向の両端の前記着弾点位置に吐出することが好ましい。
【0014】
この液状体吐出方法によれば、第一吐出ノズルから、短辺方向の両端の着弾点位置に吐出する。したがって、短辺方向の中央である着弾領域の中央の部分に向けての吐出量は少なくなる。
着弾領域の中央の部分は、配置区画の中央付近である。配置区画の中央付近は、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が配置区画に着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されて、中央側が盛上った形状となっている液状体の、最も高くなる部分である。液状体が最も高くなる部分に着弾する液状体の単位面積あたりの量を少なくすることで、その周辺の部分に着弾する液状体の単位面積あたりの量を少なくする場合にくらべて効率よく、配置区画内の液状体の中央部が盛上った形状における中央部の高さを抑制することができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかる液状体吐出方法は、前記第一吐出ノズルが、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、中央の前記着弾点位置に吐出することが好ましい。
【0016】
この液状体吐出方法によれば、第一吐出ノズルから、短辺方向における中央の着弾点位置に吐出する。したがって、長辺方向の中央のノズルピッチの範囲で、短辺方向の両端に向けての吐出量は少なくなる。
配置区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が配置区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。中央部分と端の部分との高低差は、配置区画の長手方向も短辺方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、配置区画から流出し易くなる。短辺方向における3個所以上の着弾点位置の中の両端の着弾点位置は、着弾点位置の中でも、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に在る着弾点位置である。
最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い着弾点位置に多くの液状体が供給されることで、区画境界部材に乗り上げ易くなる可能性が高い。当該着弾点位置に向けて吐出する吐出量を少なくすることで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液状体の量を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
また、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することで、乗り上げ易い部分の液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。当該着弾点位置に向けて吐出する吐出量を少なくすることで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液滴の数を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかる液状体吐出方法は、他の前記吐出ノズルのみ吐出することが好ましい。
【0018】
この液状体吐出方法によれば、他の吐出ノズルのみが吐出を実施し、第一吐出ノズルは吐出を実施しない。
配置区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が配置区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。中央部分と端の部分との高低差は、配置区画の長手方向も長手方向と交差する方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、配置区画から流出し易くなる。
最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることで、区画境界部材に乗り上げ易くなる可能性が高い。第一吐出ノズルが吐出を実施しないことで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液状体の量を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
また、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することで、乗り上げ易い部分の液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。第一吐出ノズルが吐出を実施しないことで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液滴の数を少なくすることができる。これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
【0019】
[適用例7]本適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、基材上に区画形成された膜形成区画における着弾領域に向けて、所定のノズルピッチで配列された複数の吐出ノズルから、カラーフィルターを構成するフィルター膜の材料を含む液状体の液滴を吐出し、前記膜形成区画に前記フィルター膜を形成するカラーフィルターの製造方法であって、前記複数の吐出ノズルは、前記着弾領域の長手方向における中心位置を含む前記ノズルピッチの範囲に向けて前記液滴を吐出させる第一吐出ノズルを含み、前記着弾領域に対する単位面積あたりの吐出量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とする。
【0020】
本適用例にかかるカラーフィルターの製造方法によれば、着弾領域の長手方向における中心位置を含むノズルピッチの範囲に向けて液滴を吐出させる第一吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量を、他の吐出ノズルが吐出する液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量より少なくする。
一般的に、液状体はその表面張力によって、表面積が小さい球形になろうとし、重力や液状体が置かれた面との濡れ特性などによる影響を受け、それらの力によって定まる形状になる。また、液状体を配置する膜形成区画は液状体に対して親液性を有し、膜形成区画を区画形成する区画境界部材は、液状体に対して撥液性を有することが好ましい。区画境界部材が液状体に対して撥液性を有することで、液状体が区画境界部材を乗り越え難くなり、液状体が区画境界部材を乗り越えて流出することを抑制することができる。これにより、区画境界部材によって周囲を囲まれた体積を超える量の液状体を膜形成区画の範囲内に保持することが可能となる。
膜形成区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が膜形成区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。
中央部分と端の部分との高低差は、膜形成区画の長手方向も長手方向と交差する方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、膜形成区画から流出し易くなる。例えば、矩形の膜形成区画であれば、短辺方向において中央部分と端との距離が短くなり、液状体の中央部との距離が最も短い長辺方向の中央において、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。
第一吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量を、他の吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量より少なくすることによって、着弾領域の長手方向における中心位置を含むノズルピッチの範囲に着弾する液状体の量を少なくすることができる。中心位置を含む中央部分に着弾させられる液状体の量を少なくすることにより、膜形成区画内の液状体の中央部が盛上った形状における中央部の高さを抑制することができる。これにより、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができ、膜形成区画から流出し易くなることを抑制することができる。
また、液状体が存在する部分に液滴が着弾して液状体に衝撃を加えることで、液状体が揺れる可能性がある。液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。当該揺れは、液状体が盛上った中央の部分に液滴が着弾する方が、周辺の薄い部分に着弾した場合にくらべて、大きくなると考えられる。液状体が盛上った中央の部分に着弾する液状体の量を少なくすることで、液滴が着弾することによって液状体が揺れることに起因して液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができ、膜形成区画から流出し易くなることを抑制することができる。
【0021】
[適用例8]上記適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、前記着弾領域の単位面積あたりの吐出数が、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことが好ましい。
【0022】
このカラーフィルターの製造方法によれば、第一吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の単位面積あたりの数を、他の吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の単位面積あたりの数より少なくする。供給される液状体の量は、着弾した液滴の体積と数の積である。したがって、第一吐出ノズルに吐出させる液滴の単位面積あたりの数を少なくすることで、第一吐出ノズルが吐出して着弾させる液状体の単位面積あたりの量を少なくすることができる。
【0023】
[適用例9]上記適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、前記着弾領域に向けて吐出させる少なくとも一部の前記液滴の液滴重量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも小さいことが好ましい。
【0024】
このカラーフィルターの製造方法によれば、第一吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の少なくとも一部の液滴の液滴重量が、他の吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の液滴重量より小さい。供給される液状体の量は、着弾した液滴の液滴重量(体積)と数の積である。したがって、第一吐出ノズルに吐出させる液滴の液滴重量を小さくすることで、第一吐出ノズルが吐出する液状体の、着弾領域の単位面積あたりの量を少なくすることができる。
【0025】
[適用例10]上記適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、前記第一吐出ノズルが、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、前記短辺方向の両端の前記着弾点位置に吐出することが好ましい。
【0026】
このカラーフィルターの製造方法によれば、第一吐出ノズルから、短辺方向の両端の着弾点位置に吐出する。したがって、短辺方向の中央である着弾領域の中央の部分に向けての吐出量は少なくなる。
着弾領域の中央の部分は、膜形成区画の中央付近である。膜形成区画の中央付近は、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が膜形成区画に着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されて、中央側が盛上った形状となっている液状体の、最も高くなる部分である。液状体が最も高くなる部分に着弾する液状体の単位面積あたりの量を少なくすることで、その周辺の部分に着弾する液状体の単位面積あたりの量を少なくする場合にくらべて効率よく、膜形成区画内の液状体の中央部が盛上った形状における中央部の高さを抑制することができる。
【0027】
[適用例11]上記適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、前記第一吐出ノズルが、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、中央の前記着弾点位置に吐出することが好ましい。
【0028】
このカラーフィルターの製造方法によれば、第一吐出ノズルから、短辺方向における中央の着弾点位置に向けて吐出する。したがって、長辺方向の中央のノズルピッチの範囲で、短辺方向の両端に向けての吐出量は少なくなる。
膜形成区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が膜形成区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。中央部分と端の部分との高低差は、膜形成区画の長手方向も短辺方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、膜形成区画から流出し易くなる。短辺方向における3個所以上の着弾点位置の中の両端の着弾点位置は、着弾点位置の中でも、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に在る着弾点位置である。
最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い着弾点位置に多くの液状体が供給されることで、区画境界部材に乗り上げ易くなる可能性が高い。当該着弾点位置に向けて吐出する吐出量を少なくすることで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液状体の量を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
また、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することで、乗り上げ易い部分の液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。当該着弾点位置に向けて吐出する吐出量を少なくすることで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液滴の数を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
【0029】
[適用例12]上記適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、他の前記吐出ノズルのみ吐出することが好ましい。
【0030】
このカラーフィルターの製造方法によれば、他の吐出ノズルのみが吐出を実施し、第一吐出ノズルは吐出を実施しない。
膜形成区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が膜形成区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。中央部分と端の部分との高低差は、膜形成区画の長手方向も長手方向と交差する方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、膜形成区画から流出し易くなる。
最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることで、区画境界部材に乗り上げ易くなる可能性が高い。第一吐出ノズルが吐出を実施しないことで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液状体の量を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
また、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することで、乗り上げ易い部分の液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。第一吐出ノズルが吐出を実施しないことで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液滴の数を少なくすることができる。これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図。
【図2】(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図。(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図。(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図。
【図3】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図4】液滴吐出ヘッドの電気的構成と信号の流れを示す説明図。
【図5】(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図。(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(c)は、液滴を主走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図。
【図6】液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図。
【図7】(a)は、対向基板の平面構造を模式的に示す平面図。(b)は、マザー対向基板の平面構造を模式的に示す平面図。
【図8】(a)は、ストライプ配列を示す模式平面図。(b)は、モザイク配列を示す模式平面図。(c)は、デルタ配列を示す模式平面図。
【図9】(a)は、フィルター膜領域における全ての着弾点位置の位置を示す説明図。(b)は、1回の吐出走査において着弾させる着弾点位置の位置を示す説明図。(c)は、吐出走査を3回実施して着弾させる着弾点位置の位置を示す説明図。
【図10】(a)は、配置された機能液の平面視の形状を示す説明図。(b)は、配置された機能液の長辺方向の断面における形状を示す説明図。(c)、(d)、及び(e)は、配置された機能液の短辺方向の断面における形状を定性的に示す説明図。
【図11】(a)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行における着弾点位置の数を減らした例の着弾点位置の位置を示す説明図。(b)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行における着弾点位置に着弾させる液滴の液滴重量を小さくする例の着弾点位置の位置を示す説明図。(c)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行に着弾点位置を設定しない例の着弾点位置の位置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、液状体吐出方法、及びカラーフィルターの製造方法について、図面を参照して説明する。本実施形態は、液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドによって機能液の液滴を吐出し、被吐出媒体上の所定の位置に機能液を配置する液滴吐出装置を用いて、カラーフィルターのフィルター膜を形成する工程における吐出方法を例に説明する。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを相対移動させると共に、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液の液滴を吐出して、被吐出媒体上の所定の位置に着弾させることによって、所定の位置に機能液を配置する装置である。機能液が、液状体に相当する。
なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0033】
<液滴吐出法>
最初に、液状体を液滴として吐出する液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。
帯電制御方式は、液状体に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で液状体の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、液状体に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に液状体を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には液状体が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると液状体間に静電的な反発が起こり、液状体が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって液状体を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から液状体を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
【0034】
また、電気熱変換方式は、液状体を貯留した空間内に設けたヒーターにより、液状体を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の液状体を吐出させるものである。静電吸引方式は、液状体を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに液状体のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから液状体を引き出すものである。この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。
【0035】
液滴吐出法は、液状体の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の液状体を的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピエゾ方式は、液状体に熱を加えないため、液状体の組成等に影響を与えないなどの利点を有する。本実施形態では、液状体選択の自由度の高さ、及び液滴の制御性の良さの点から上記ピエゾ方式を用いる。
【0036】
<液滴吐出装置>
次に、液滴吐出ヘッド20(図2参照)を備える液滴吐出装置1の構成の全般について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。
【0037】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、ワーク機構部3と、機能液供給部4と、保守装置部5とを備えている。ヘッド機構部2は、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド20を有している。ワーク機構部3は、液滴吐出ヘッド20から吐出された液滴を着弾させる対象であるワークWを載置するワーク載置台30を有している。機能液供給部4は、貯留タンクと、中継タンクと、給液チューブとを有し、当該給液チューブが、液滴吐出ヘッド20に接続されており、給液チューブを介して機能液が液滴吐出ヘッド20に供給される。保守装置部5は、液滴吐出ヘッド20の検査又は保守を実施する各装置を備えている。液滴吐出装置1は、また、これら各機構部などを総括的に制御する吐出装置制御部6を備えている。液滴吐出ヘッド20が、吐出ヘッドに相当する。
【0038】
さらに、液滴吐出装置1は、床上に設置された複数の支持脚8と、支持脚8の上側に設置された定盤9とを備えている。定盤9の上側には、ワーク機構部3が定盤9の長手方向(X軸方向)に延在する状態で配設されている。ワーク機構部3の上方には、定盤9に立設された2本の支持柱で支持されているヘッド機構部2が、ワーク機構部3と直交する方向(Y軸方向)に延在する状態で配設されている。また、定盤9の傍らには、ヘッド機構部2の液滴吐出ヘッド20に連通する給液チューブを有する機能液供給部4の貯留タンクなどが配置されている。ヘッド機構部2の一方の支持柱の近傍には、保守装置部5がワーク機構部3と並んでX軸方向に配設されている。さらに、定盤9の下側に、吐出装置制御部6が収容されている。
【0039】
ヘッド機構部2は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、ヘッドユニット21を有するヘッドキャリッジと、ヘッドキャリッジが吊設された移動枠22と、移動枠22をY軸方向に移動させるY軸走査機構26とを、備えている。
移動枠22を、Y軸走査機構26によってY軸方向に移動させることで、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
ワーク機構部3は、ワーク載置台30と、X軸走査機構36とを備えている。ワーク機構部3は、ワーク載置台30を、X軸走査機構36によって、X軸方向に移動させることで、ワーク載置台30に載置されたワークWをX軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
【0040】
液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にあるワークWのX軸方向の移動に同調して、機能液を液滴として吐出する。X軸方向に移動するワークWと、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド20とを相対的に制御することにより、ワークW上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する位置に機能液を配置することが可能である。
【0041】
保守装置部5は、各種検査装置、各種保守装置、及び保守装置走査機構を備えている。検査装置は、液滴吐出ヘッド20の吐出状態の検査を実施する吐出検査ユニットなどの、液滴吐出ヘッド20の検査を実施する装置である。保守装置は、液滴吐出ヘッド20の各種の保守を実施する装置である。保守装置走査機構は、これらの各装置をX軸方向に移動可能であって、任意の位置に保持可能に支持する装置である。
液滴吐出ヘッド20の検査や保守を実施する際には、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)が、Y軸走査機構26を用いて保守装置部5に臨む位置に移動させられる。また、実施する検査又は保守に対応する検査装置又は保守装置が、保守装置走査機構によって、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)に臨む位置に移動させられる。
【0042】
<液滴吐出ヘッド>
次に、液滴吐出ヘッド20について、図2を参照して説明する。図2は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。図2(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図であり、図2(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図であり、図2(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図である。図2に示したY軸、及びZ軸は、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態において、図1に示したY軸、及びZ軸と一致している。
【0043】
図2(a)に示したように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25を備えている。ノズル基板25には、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aが形成されている。吐出ノズル24から機能液を液滴として吐出し、対向する位置にある描画対象物などに着弾させることで、当該位置に機能液を配置する。ノズル列24Aは、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態で、図1に示したY軸方向に延在している。ノズル列24Aにおいて吐出ノズル24は、等間隔のノズルピッチで並んでいる。液滴吐出ヘッド20としては、Y軸方向にノズルピッチ間隔で機能液の液滴を配置することができる。ノズルピッチは、例えば、70.5μmである。
【0044】
図2(b)及び(c)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25に圧力室プレート51が積層されており、圧力室プレート51に振動板52が積層されている。
圧力室プレート51には、液滴吐出ヘッド20に供給される機能液が常に充填される液たまり55が形成されている。液たまり55は、振動板52と、ノズル基板25と、圧力室プレート51の壁とに囲まれた空間である。機能液は、機能液供給部4から液滴吐出ヘッド20に供給され、振動板52の液供給孔53を経由して液たまり55に供給される。また、圧力室プレート51には、複数のヘッド隔壁57によって区切られた圧力室58が形成されている。振動板52と、ノズル基板25と、2個のヘッド隔壁57とによって囲まれた空間が圧力室58である。
【0045】
圧力室58は吐出ノズル24のそれぞれに対応して設けられており、圧力室58の数と吐出ノズル24の数とは同じである。圧力室58には、2個のヘッド隔壁57の間に位置する供給口56を経由して、液たまり55から機能液が供給される。ヘッド隔壁57と圧力室58と吐出ノズル24と供給口56との組は、液たまり55に沿って1列に並んでおり、1列に並んだ吐出ノズル24がノズル列24Aを形成している。
【0046】
振動板52の圧力室58を構成する部分には、それぞれ圧電素子59の一端が固定されている。圧電素子59の他端は、固定板(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド20全体を支持する基台(図示省略)に固定されている。
圧電素子59は、電極層と圧電材料とを積層した活性部を有している。圧電素子59は、電極層に駆動電圧を印加することで、活性部が長手方向(図2(b)又は(c)における振動板52の厚さ方向)に縮む。電極層に印加されていた駆動電圧が解除されることで、活性部が元の長さに戻る。
【0047】
電極層に駆動電圧が印加されて、圧電素子59の活性部が縮むことで、圧電素子59の一端が固定された振動板52が圧力室58と反対側に引張られる力を受ける。振動板52が圧力室58と反対側に引張られることで、振動板52が圧力室58の反対側に撓む。これにより、圧力室58の容積が増加することから、機能液が液たまり55から供給口56を経て圧力室58に供給される。次に、電極層に印加されていた駆動電圧が解除されると、活性部が元の長さに戻ることで、圧電素子59が振動板52を押圧する。振動板52が押圧されることで、圧力室58側に戻る。これにより、圧力室58の容積が急激に元に戻る。すなわち増加していた容積が減少することから、圧力室58内に充填されていた機能液に圧力が加わり、当該圧力室58に連通して形成された吐出ノズル24から機能液が液滴となって吐出される。
【0048】
<ヘッドユニット>
次に、ヘッド機構部2が備えるヘッドユニット21の概略構成について、図3を参照して説明する。図3は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図3に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。
【0049】
図3に示したように、ヘッドユニット21は、ユニットプレート23と、ユニットプレート23に搭載された9個の液滴吐出ヘッド20と、を有している。液滴吐出ヘッド20は、図示省略したヘッド保持部材を介してユニットプレート23に固定されている。固定された液滴吐出ヘッド20は、ヘッド本体がユニットプレート23に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル基板25が、ユニットプレート23の面より突出した位置に位置している。図3は、ノズル基板25の側から見た図である。9個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向に分かれて、それぞれ3個ずつの液滴吐出ヘッド20を有するヘッド組20Aを3群、形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド20のノズル列24Aは、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、Y軸方向に延在している。
【0050】
一つのヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド20の、一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24がノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。ヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20において、全ての吐出ノズル24のX軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル24は、Y軸方向にノズルピッチの等間隔で並ぶ。すなわち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド20が有するそれぞれのノズル列24Aを構成する吐出ノズル24から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。
【0051】
一つのヘッド組20Aが備える3個の液滴吐出ヘッド20が有する3列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列は、例えば360個の3倍、1080個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズルピッチは、70.5μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約76.07mmである。液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状に並んでヘッド組20Aを構成している。
【0052】
ヘッドユニット21が有する3つのヘッド組20Aは、それぞれが有する1本のノズル列とみなせるノズル列が、Y軸方向において、ノズル列24Aのノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。言い換えると、それぞれのヘッドユニット21は、互いに隣り合うヘッド組20Aを構成する液滴吐出ヘッド20の、一方のヘッド組20Aにおける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方のヘッド組20Aにおける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が、Y軸方向において、ノズルピッチずれた位置に、配設されている。
【0053】
一つのヘッドユニット21が備える3つのヘッド組20Aにおける9個の液滴吐出ヘッド20が有する9列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列を「ユニットノズル列240A」と表記する。ユニットノズル列240Aは、例えば360個の9倍、3240個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズルピッチは、70.5μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約228.4mmである。即ち、一つのヘッドユニット21の吐出ノズル24から一滴ずつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、3240個の点が70.5μmのピッチ間隔で連なる直線が形成される。ユニットノズル列240Aを構成する吐出ノズル24が、複数の吐出ノズルに相当する。
【0054】
液滴吐出装置1は、1個のヘッドユニット21を備えており、1個のユニットノズル列240Aを備えている。当該ユニットノズル列240Aによって、1回の走査の間に、例えば3240個の点が70.5μmのピッチ間隔で連なる直線を形成することができる。
【0055】
<機能液の吐出>
次に、液滴吐出装置1における液滴吐出ヘッド20からの吐出制御方法について、図4を参照して説明する。図4は、液滴吐出ヘッドの電気的構成と信号の流れを示す説明図である。
【0056】
上述したように、液滴吐出装置1は、液滴吐出装置1の各部の動作を制御する吐出装置制御部6を備えている。吐出装置制御部6は、制御信号を出力するCPU84と、液滴吐出ヘッド20の電気的な駆動制御を行うヘッドドライバー20dとを備えている。
図4に示すように、ヘッドドライバー20dは、FFCケーブルを介して各液滴吐出ヘッド20と電気的に接続されている。また、液滴吐出ヘッド20は、吐出ノズル24(図2参照)ごとに設けられた圧電素子59に対応して、シフトレジスター(SL)85と、ラッチ回路(LAT)86と、レベルシフター(LS)87と、スイッチ(SW)88とを備えている。
【0057】
液滴吐出装置1における吐出制御は次のように行われる。最初に、CPU84がワークWなどの被吐出媒体における機能液の配置パターンをデータ化したドットパターンデータをヘッドドライバー20dに伝送する。そして、ヘッドドライバー20dは、ドットパターンデータをデコードして吐出ノズル24ごとのON/OFF(吐出/非吐出)情報であるノズルデータを生成する。ノズルデータは、シリアル信号(SI)化されて、クロック信号(CK)に同期して各シフトレジスター85に伝送される。
【0058】
シフトレジスター85に伝送されたノズルデータは、ラッチ信号(LAT)がラッチ回路86に入力されるタイミングでラッチされ、さらにレベルシフター87でスイッチ88用のゲート信号に変換される。即ち、ノズルデータが「ON」の場合にはスイッチ88が開いて、圧電素子59に駆動信号(COM)が供給され、ノズルデータが「OFF」の場合にはスイッチ88が閉じられて、圧電素子59に駆動信号(COM)は供給されない。そして、「ON」に対応する吐出ノズル24からは機能液が液滴となって吐出され、吐出された機能液の液滴がワークWなどの描画対象物の上に着弾して、描画対象物の上に機能液が配置される。
【0059】
<着弾位置>
次に、液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24と、それぞれの吐出ノズル24から吐出された液滴の着弾位置と、の関係について、図5を参照して説明する。図5は、吐出ノズルと、それぞれの吐出ノズルから吐出された液滴の着弾位置と、の関係を示す説明図である。図5(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図であり、図5(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図5(c)は、液滴を主走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図5(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図である。図5に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。X軸方向が主走査方向であって、図5に示した矢印aの方向に吐出ノズル24(液滴吐出ヘッド20)を相対移動させながら、任意の位置において機能液の液滴を吐出させることによって、X軸方向の任意の位置に液滴を着弾させることができる。
【0060】
図5(a)に示すように、ノズル列24Aを構成する吐出ノズル24は、Y軸方向にノズルピッチPの中心間距離で配列されている。
【0061】
図5(b)に示すように、着弾位置を示す着弾点91と、着弾した液滴の濡れ広がり状態を示す着弾円91Aとで、着弾した1滴の液滴の状態を示している。ノズル列24Aの全部の吐出ノズル24から、図5(b)に一点鎖線で示した仮想線L上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が形成される。
【0062】
図5(c)に示すように、一つの吐出ノズル24から連続して液滴を吐出させることによって、X軸方向に着弾円91Aが連なる直線が形成される。X軸方向における着弾点91間の中心間距離の最小値を、最小着弾距離dと表記する。最小着弾距離dは、主走査方向の相対移動速度と、吐出ノズル24の最小吐出間隔との積である。
【0063】
図5(d)に示すように、一点鎖線で示した仮想線L1,L2,L3上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が、X軸方向に並列した着弾面が形成される。図5(d)に示した仮想線L1,L2,L3間の距離が最小着弾距離dの場合のそれぞれの着弾点91が、液滴吐出装置1によって機能液の液滴を配置可能な位置である。
【0064】
機能液の配置に際しては、配置位置の情報に従って、図5(d)に示したそれぞれの着弾点91の位置について、液滴を着弾させる位置を定める。例えば、当該着弾位置、及び着弾位置に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24を指定した配置表を形成し、配置表に従って機能液の液滴を着弾させることによって、配置位置の情報によって規定される位置に機能液を配置する。なお、一般的に、機械装置は誤差を有しており、液滴吐出装置1による着弾位置も、規格を満たす範囲の位置誤差を有している。したがって、規定された着弾位置に着弾させるのは、詳細には、規定された着弾位置に向けて液滴を吐出して、規定された着弾位置に対して規格を満たす位置誤差の範囲内に着弾させることである。
また、図5(d)に示した例では、着弾円91Aの間に隙間が存在するが、ノズルピッチPや最小着弾距離dに対して、吐出させる液滴の1滴あたりの吐出重量を適切に定めることによって、隙間なく機能液を配置することが可能である。
【0065】
<液晶表示パネルの構成>
次に、液滴吐出装置1を用いてフィルター膜を形成する対象物の一例としての液晶表示パネルについて、図6を参照して説明する。液晶表示パネル200(図6参照)は、液晶装置の一例であり、カラーフィルターの一例である液晶表示パネル用のカラーフィルターを備える液晶表示パネルである。
図6は、液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図である。図6に示した液晶表示パネル200は、駆動素子として薄膜トランジスター(TFT(Thin Film Transistor)素子)を用いるアクティブマトリックス方式の液晶装置であり、図示省略したバックライトを用いる透過型の液晶装置である。
【0066】
図6に示すように、液晶表示パネル200は、TFT素子215を有する素子基板210と、対向電極207を有する対向基板220と、シール材(図示省略)によって接着された素子基板210と対向基板220との隙間に充填された液晶と、を備えている。貼り合わされた素子基板210と、対向基板220とには、互いに貼り合わされた面の反対側の面に、それぞれ偏光板231又は偏光板232が、配設されている。
【0067】
素子基板210は、ガラス基板211の対向基板220と対向する面に、TFT素子215や、導電性を有する画素電極217や走査線212や信号線214が、形成されている。これらの素子や導電性を有する膜の間を埋めるように、絶縁層216が形成されており、走査線212及び信号線214は、絶縁層216の一部分を挟んで互いに交差する状態で形成されている。走査線212と信号線214とは、絶縁層216の一部分を間に挟むことで互いに絶縁されている。これらの走査線212と信号線214とに囲まれた領域内には画素電極217が形成されている。画素電極217は方形状の一部の角部分が方形状に欠けた形状をしている。画素電極217の切欠部と走査線212と信号線214とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体部、及びゲート電極を具備するTFT素子215が組み込まれて構成されている。走査線212と信号線214とに信号を印加することによってTFT素子215をオン・オフして画素電極217への通電制御を実施する。
【0068】
素子基板210の液晶と接する面には、上記した走査線212や信号線214や画素電極217が形成された領域全体を覆う配向膜218が設けられている。
【0069】
対向基板220は、ガラス基板201の素子基板210と対向する面に、カラーフィルター(以降、「CF」と表記する。)層208が形成されている。CF層208は、隔壁204と、赤色フィルター膜205Rと、緑色フィルター膜205Gと、青色フィルター膜205Bとを有している。ガラス基板201の上に、格子状に隔壁204を構成するブラックマトリックス202が形成されており、ブラックマトリックス202の上にバンク203が形成されている。ブラックマトリックス202とバンク203とで構成された隔壁204によって、方形のフィルター膜領域225が形成されている。フィルター膜領域225には、赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、又は青色フィルター膜205Bが形成されている。赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、及び青色フィルター膜205Bは、それぞれ上述した画素電極217のそれぞれと対向する位置及び形状に形成されている。
【0070】
CF層208の上(素子基板210側)には、平坦化膜206が設けられている。平坦化膜206の上には、ITOなどの透明な導電性材料で形成された対向電極207が設けられている。平坦化膜206を設けることによって、対向電極207を形成する面を略平坦な面にしている。対向電極207は、上述した画素電極217が形成された領域全体を覆う大きさの連続した膜である。対向電極207は、図示省略した導通部を介して、素子基板210に形成された配線に接続されている。
【0071】
対向基板220の液晶と接する面には、少なくとも画素電極217の全面を覆う配向膜228が設けられている。液晶は、素子基板210と対向基板220とが貼り合わされた状態において、対向基板220の配向膜228と、素子基板210の配向膜218と、対向基板220と素子基板210とを貼り合わせるシール材とに囲まれた空間に充填されている。
なお、液晶表示パネル200は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0072】
<マザー対向基板>
次に、マザー対向基板201Aについて、図7を参照して説明する。対向基板220は、分割されることによってガラス基板201となるマザー対向基板201Aの上に上述したCF層208などを形成した後、マザー対向基板201Aを個別の対向基板220(ガラス基板201)に分割して形成される。図7(a)は、対向基板の平面構造を模式的に示す平面図であり、図7(b)は、マザー対向基板の平面構造を模式的に示す平面図である。なお、本実施形態においては、マザー対向基板201Aの上にCF層208などを形成したものや、CF層208などを形成する途中の状態のものや、CF層208などを形成する前の状態のものも、マザー対向基板201Aと表記する。
【0073】
対向基板220は、厚みおよそ1.0mmの透明な石英ガラスからなるガラス基板201を用いて形成されている。図7(a)に示すように、対向基板220は、ガラス基板201の周囲の僅かな額縁領域を除く部分に、CF層208が形成されている。CF層208は、方形状のガラス基板201の表面に複数のフィルター膜領域225をドットパターン状、本実施形態ではドット・マトリックス状に形成し、当該フィルター膜領域225にフィルター膜205を形成することによって形成されている。ガラス基板201のCF層208が形成される領域にかからない位置には、図示省略したアライメントマークが形成されている。アライメントマークは、CF層208などを形成する諸工程を実行するためにガラス基板201を、液滴吐出装置1などの製造装置に取り付ける際などに位置決め用の基準マークとして用いられる。
【0074】
図7(b)に示すように、マザー対向基板201Aには、対向基板220のCF層208が、分割されてガラス基板201となる部分のそれぞれに形成されている。
【0075】
<カラーフィルター膜の配列>
次に、対向基板220などに形成されているCF層208などにおけるフィルター膜205(赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、及び青色フィルター膜205B)などの配列について、図8を参照して説明する。図8は、3色カラーフィルターのフィルター膜の配列例を示す模式平面図である。図8(a)は、ストライプ配列を示す模式平面図であり、図8(b)は、モザイク配列を示す模式平面図であり、図8(c)は、デルタ配列を示す模式平面図である。
【0076】
図8に示すように、フィルター膜205は、透光性のない樹脂材料によって格子状のパターンに形成された隔壁204によって区画されてドット・マトリックス状に並んだ複数の例えば方形状のフィルター膜領域225を色材で埋めることによって形成される。例えば、フィルター膜205を構成する色材を含む機能液をフィルター膜領域225に充填し、当該機能液の溶媒を蒸発させて機能液を乾燥させることで、フィルター膜領域225を埋める膜状のフィルター膜205を形成する。フィルター膜領域225が、配置区画、又は膜形成区画に相当する。
【0077】
3色カラーフィルターにおける赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、及び青色フィルター膜205Bなどの配列としては、例えば、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などが知られている。
ストライプ配列は、図8(a)に示したように、マトリックスの縦列が全て同色の赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、又は青色フィルター膜205B、になる配列である。
モザイク配列は、図8(b)に示したように、横方向の各行ごとにフィルター膜205を一つ分だけ色をずらした配列で、3色フィルターの場合、縦横の直線上に並んだ任意の3つのフィルター膜205が3色となる配列である。
デルタ配列は、図8(c)に示したように、フィルター膜205の配置を段違いにし、3色フィルターの場合、任意の隣接する3つのフィルター膜205が異なる色となる配色である。
【0078】
図8(a)、(b)、又は(c)に示した3色フィルターにおいて、フィルター膜205は、それぞれが、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)のうちのいずれか1色の色材によって形成されている。隣り合って形成された赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、及び青色フィルター膜205Bを各1個ずつ含むフィルター膜205の組で、画像を構成する最小単位である絵素のフィルター(以降、「絵素フィルター254」と表記する。)を形成している。
絵素フィルター254などの一つの絵素フィルターにおける、赤色フィルター膜(赤色フィルター膜205R)、緑色フィルター膜(緑色フィルター膜205G)、及び青色フィルター膜(青色フィルター膜205B)のいずれか一つ又はそれらの組み合わせに光を選択的に通過させること、及び通過させる光の光量を調整することにより、フルカラー表示を行う。
【0079】
<着弾点位置の分布>
次に、フィルター膜領域225における、着弾点位置191の分布、及び配置された機能液の状態について、図9及び図10を参照して説明する。着弾点位置191は、機能液の液滴を着弾させる位置であって、上述した着弾点91を位置させる位置である。
図9は、フィルター膜領域における着弾点位置の位置を示す説明図である。図9(a)は、フィルター膜領域における全ての着弾点位置の位置を示す説明図であり、図9(b)は、1回の吐出走査において着弾させる着弾点位置の位置を示す説明図であり、図9(c)は、吐出走査を3回実施して着弾させる着弾点位置の位置を示す説明図である。図10は、配置された機能液の形状状態を示す説明図である。図10(a)は、配置された機能液の平面視の形状を示す説明図であり、図10(b)は、配置された機能液の長辺方向の断面における形状を示す説明図であり、図10(c)、図10(d)、及び図10(e)は、配置された機能液の短辺方向の断面における形状を定性的に示す説明図である。図9又は図10に矢印で示したX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、マザー対向基板201Aが液滴吐出装置1のワーク載置台30に載置された状態において、図1に示したX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向と一致している。CF層208などを形成する前の状態のマザー対向基板201Aが、基材に相当する。
【0080】
マザー対向基板201Aが液滴吐出装置1のワーク載置台30に載置された状態においては、図9に示すように、略長方形形状のフィルター膜領域225の短辺方向が、液滴吐出装置1のX軸方向である。上述したように、吐出走査では、ヘッドユニット21に対してマザー対向基板201Aを走査させながら、吐出ノズル24からフィルター膜領域225に向けて機能液を吐出させる。吐出走査における相対移動方向である吐出走査方向は、X軸方向に平行な、図9に矢印aで示した方向である。ユニットノズル列240Aは、Y軸方向に延在しており、1回の吐出走査において、Y軸方向にユニットノズル列240Aのノズルピッチで線状に連なる着弾点位置191に、機能液の液滴を着弾させることができる。ユニットノズル列240Aが備える1個の吐出ノズル24からは、X軸方向に、最小着弾距離dの間隔で線状に連なる着弾点位置191に、機能液の液滴を着弾させることができる。すなわち、1回の吐出走査において、ユニットノズル列240Aは、Y軸方向にユニットノズル列240Aのノズルピッチで線状に連なる着弾点位置191が、X軸方向に、最小着弾距離dの間隔で並んだ着弾点位置191に、機能液の液滴を着弾させることができる。
液滴を着弾させることができるが着弾点位置191としない位置を、着弾点位置191でないことを明示する場合に、非着弾点位置192と表記する。着弾点位置191のX軸方向の並びを着弾点位置191の行と表記し、着弾点位置191のY軸方向の並びを着弾点位置191の列と表記する。
【0081】
着弾点位置191は、フィルター膜領域225に設定された着弾領域125の範囲に設定されている。着弾領域125は、着弾円91Aの半径や、着弾位置精度などを考慮して、設定されている。着弾領域125は、着弾点91が着弾領域125の範囲に入れば、着弾円91Aは、隔壁204に重なることはなく、機能液が着弾する時点で液滴が隔壁204にかからない範囲である。
【0082】
図9(a)に示したように、フィルター膜領域225には、211個所の着弾点位置191が設定されており、所定の液滴重量の211滴の液滴を着弾させることによって、所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる。着弾点位置191は、33行×7列の範囲に設定されている。33行×7列の範囲の中央部分に、20個所の非着弾点位置192が設定されており、着弾点位置191は211個所設定されている。
33行の一番端の行を行9a1、5行目の行を行9b1、以下4行目ごとに、行9c1、行9d1、行9e1、行9f1、行9g1、行9h1、行9i1と表記する。行9a1、行9b1、行9c1、行9d1、行9e1、行9f1、行9g1、及び行9h1の隣の行を、それぞれ行9a2、行9b2、行9c2、行9d2、行9e2、行9f2、行9g2、行9h2と表記する。さらに隣の行を、それぞれ行9a3、行9b3、行9c3、行9d3、行9e3、行9f3、行9g3、行9h3と表記する。さらに隣の行を、それぞれ行9a4、行9b4、行9c4、行9d4、行9e4、行9f4、行9g4、行9h4と表記する。
【0083】
Y軸方向における行間ピッチは、ノズル列24AにおけるノズルピッチPの1/4である。Y軸方向における中央の行は、行9e1である。行9e1を挟んで対称の位置に位置する行9d3と行9e3行との行間ピッチはPである。行9e1を挟んでノズルピッチPの範囲に、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行が位置している。
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行のいずれかの着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0084】
行9d3は、第1列、第2列、及び第7列が、液滴を着弾させる着弾点位置191であり、第3列、乃至第6列が、液滴を着弾させない非着弾点位置192である。行9e1、及び行9e3も同様である。行9d4、及び行9e2は、第1列、第6列、及び第7列が、液滴を着弾させる着弾点位置191であり、第2列、乃至第5列が、液滴を着弾させない非着弾点位置192である。行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1の各行は、7列全てが着弾点位置191である。
着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させることによって、液滴が着弾領域125に着弾し、機能液がフィルター膜領域225に配置される。着弾領域125の長手方向の中央のノズルピッチPの範囲に位置している、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行には、非着弾点位置192が設定されており、当該範囲に向けて吐出される単位面積あたりの液滴の数が、行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1を含む範囲における単位面積あたりの液滴の数より少なくなっている。
【0085】
1個のフィルター膜領域225に対して複数回(本実施形態では4回)の吐出走査を実施して、必要な量の機能液を配置する。配置される機能液の量は液滴の体積と個数の積であり、図9に示した例では、液滴の個数は、211個である。
吐出走査を複数回数実施する理由の1つは、1回の吐出走査において供給される機能液の量を少なくすることである。1回に211個の液滴を着弾させると、フィルター膜領域225を形成する隔壁204に囲まれた体積に対して、供給された機能液の量が過多となり、隔壁204を乗り越えて、隣のフィルター膜領域225に流入する可能性がある。211個の液滴を、4回に分けて吐出させることで、1回の吐出走査において供給される機能液の量を少なくしている。
吐出走査を複数回数実施する他の理由の1つは、ノズル列24Aの延在方向における着弾点位置191の配設ピッチを小さくすることである。着弾点位置191の配設ピッチを小さくすることで、着弾点位置191が重なることを抑制して、多数の着弾点位置191を設定することができる。ノズル列24Aの延在方向における改行幅をノズルピッチPの整数倍と異ならせることによって、着弾点位置191の配設ピッチを、ノズルピッチPより小さい行ピッチ(本実施形態では、ノズルピッチPの1/4のピッチ)にしている。
【0086】
1回目の吐出走査では、図9(b)に示した、行9a1、行9b1、行9c1、行9d1、行9e1、行9f1、行9g1、行9h1、及び9i1の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させる。2回目の吐出走査では、行9a2、行9b2、行9c2、行9d2、行9e2、行9f2、行9g2、及び行9h2の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出し、3回目の吐出走査では、行9a3、行9b3、行9c3、行9d3、行9e3、行9f3、行9g3、及び行9h3の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させる。3回の吐出走査を実施して、上記した各行の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させることで、図9(c)に示した着弾点位置191に向けての液滴の吐出を完了する。さらに、行9a4、行9b4、行9c4、行9d4、行9e4、行9f4、行9g4、及び行9h4の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させる4回目の吐出走査を実施して、図9(a)に示した着弾点位置191のそれぞれに向けての液滴の吐出を完了する。
【0087】
吐出走査の間に、Y軸走査機構26によってヘッドユニット21をY軸方向に移動させることによって、ヘッドユニット21とマザー対向基板201AとのY軸方向の相対位置を移動させる改行を実施する。改行量は、例えば(nP+1/4P)である。nは整数であり、PはノズルピッチPである。n=0の場合、行9a1の着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24から、行9a2、行9a3、及び行9a4の着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる。n=1の場合、行9a1の着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24から、行9b2、行9c3、及び行9a4の着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる。
上述したように、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行には、非着弾点位置192が設定されており、当該範囲に向けて吐出される液滴の数が少なくなっている。行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させる吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0088】
フィルター膜領域225に着弾して、未だ固化していない状態の機能液を機能液93と表記する。機能液93の液面を液面93aと表記する。
図10(b)、図10(c)、図10(d)、及び図10(e)に示すように、機能液93は、機能液93に対して撥液性に処理された隔壁204に乗り上げ難いため、隔壁204に囲まれた部分に入りきらない機能液93が、フィルター膜領域225に盛上った状態となる。液面93aは、長辺方向及び短辺方向において中央が高くなる形状になっている。図10に二点鎖線で示した液面95は、着弾領域125の全面に、略均等に着弾点位置191を設定した場合の機能液93の液面である。
【0089】
図10(c)に示した断面は、行9e1の近傍におけるY軸方向に略垂直な断面における断面形状である。上述したように、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行には、非着弾点位置192が設定されており、当該範囲に向けて吐出されて着弾する液滴の数が少ないため、液面93aの高さが、液面95の高さより低くなっている。
図10(e)に示した断面は、行9i1の近傍におけるY軸方向に略垂直な断面における断面形状である。図10(d)に示した断面は、行9e1と行9i1との中間付近におけるY軸方向に略垂直な断面における断面形状である。行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行に非着弾点位置192が設定されて、当該部分に着弾させない液滴に相当する液滴は、その他の位置に設定された着弾点位置191に着弾させる。これにより、フィルター膜領域225に配置することが必要な機能液93の量が確保される。フィルター膜領域225の中央から離れた位置に向けて吐出されて着弾する液滴の数が多くなることによって、図10(e)に示した断面では、液面93aの高さが、液面95の高さより高くなっている。図10(d)に示した断面では、液面93aの高さが、液面95の高さと同じ程度の高さになっている。
【0090】
図10(a)及び図10(c)に示したように、フィルター膜領域225の中央における液面位置が高い部分では、平面方向に機能液を広げる方向に作用する圧力が高くなることに起因して、液面95は、長辺方向の中央において、隔壁204に乗り上げる方向に広がっている。液面93aは、中央の高い部分の高さが液面95より低いため、広がり方が小さくなっている。
液面93aは、液面95にくらべて、隔壁204に乗り上げ難くなっている。すなわち、フィルター膜領域225の中央に配置する機能液液滴の数を少なくすることによって、フィルター膜領域225(着弾領域125)の中央における機能液の高さを抑制することで、機能液が隔壁204に乗り上げ難くすることができる。
【0091】
<着弾点位置の他の分布例>
次に、図9を参照して説明したフィルター膜領域225における着弾点位置191の分布とは異なる、着弾点位置191の分布例について、図11を参照して説明する。図11は、フィルター膜領域における着弾点位置の位置を示す説明図である。図11(a)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行における着弾点位置の数を減らした例の着弾点位置の位置を示す説明図である。図11(b)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行における着弾点位置に着弾させる液滴の液滴重量を小さくする例の着弾点位置の位置を示す説明図である。図11(c)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行に着弾点位置を設定しない例の着弾点位置の位置を示す説明図である。
【0092】
図11(a)に示した着弾点位置191の分布例では、着弾点位置191は、33行×7列の範囲に設定されている。33行のそれぞれの行を、上述した例と同様に、行9a1から行9i1と表記する。上述した例と同様に、フィルター膜領域225には、211個所の着弾点位置191が設定されており、所定の液滴重量の211滴の液滴を着弾させることによって、所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる。図11(a)に示した着弾点位置191の分布例では、33行×7列の範囲の中に、20個所の非着弾点位置192が設定されている。
【0093】
上述した分布例と同様に、Y軸方向における行間ピッチは、ノズル列24AにおけるノズルピッチPの1/4である。Y軸方向における中央の行は、行9e1である。行9e1を挟んで対称の位置に位置する行9d3と行9e3行との行間ピッチはPである。行9e1を挟んでノズルピッチPの範囲に、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行が位置している。当該5行の中に、20個所の非着弾点位置192が設定されている。
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行のいずれかの着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0094】
行9d3は、第1列、第2列、第6列、及び第7列が、液滴を着弾させない非着弾点位置192であり、第3列、第4列、及び第5列が、液滴を着弾させる着弾点位置191である。行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の4行も、行9d3と同様である。行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1の各行は、7列全てが着弾点位置191である。
着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させることによって、液滴が着弾領域125に着弾し、機能液がフィルター膜領域225に配置される。着弾領域125の長手方向の中央のノズルピッチPの範囲に位置している、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行には、非着弾点位置192が設定されており、当該範囲に向けて吐出される単位面積あたりの液滴の数が、行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1を含む範囲における単位面積あたりの液滴の数より少なくなっている。すなわち、配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなっている。
【0095】
着弾領域125の長手方向の中央のノズルピッチPの範囲に位置している5行が含まれる範囲に配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなることで、図10を参照して説明した液面93aと同様に、中央の高さを抑制することができる。これにより、フィルター膜領域225(着弾領域125)の中央における機能液の高さを抑制することで、機能液が隔壁204に乗り上げ難くすることができる。
【0096】
図11(b)に示した着弾点位置191の分布例では、着弾点位置191及び着弾点位置193が、33行×7列の範囲に設定されている。着弾点位置193は、着弾点位置191に着弾させる液滴より液滴重量が小さい液滴を着弾させる位置を示している。33行のそれぞれの行を、上述した例と同様に、行9a1から行9i1と表記する。
フィルター膜領域225には、196個所の着弾点位置191と、35個所の着弾点位置193とが設定されている。着弾点位置193に向けて吐出される液滴の液滴重量は、35滴で、着弾点位置191に向けて吐出される液滴の15滴分の液滴重量と同等の重量となる液滴重量である。196個所の着弾点位置191と、35個所の着弾点位置193とにそれぞれ所定の液滴重量の液滴を着弾させることによって、所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる量の機能液を供給することができる。
【0097】
上述した分布例と同様に、Y軸方向における行間ピッチは、ノズル列24AにおけるノズルピッチPの1/4である。Y軸方向における中央の行は、行9e1である。行9e1を挟んで対称の位置に位置する行9d3と行9e3行との行間ピッチはPである。行9e1を挟んでノズルピッチPの範囲に、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行が位置している。当該5行は、35個所の着弾点位置193が設定されて形成されている。
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行のいずれかの着弾点位置193に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0098】
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行は、35個所の着弾点位置193が設定されて形成されている。行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1の各行は、7列全てが着弾点位置191である。
着弾領域125の長手方向の中央のノズルピッチPの範囲に位置している、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行には、液滴重量が小さい液滴が着弾させられる着弾点位置193が設定されている。これにより、当該範囲に向けて吐出される機能液の単位面積あたりの重量、すなわち体積が、行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1を含む範囲における単位面積あたりの体積より小さくなっている。すなわち、配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなっている。
【0099】
着弾領域125の長手方向の中央のノズルピッチPの範囲に位置している5行が含まれる範囲に配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなることで、図10を参照して説明した液面93aと同様に、中央の高さを抑制することができる。これにより、フィルター膜領域225(着弾領域125)の中央における機能液の高さを抑制することで、機能液が隔壁204に乗り上げ難くすることができる。
【0100】
図11(c)に示した着弾点位置191の分布例では、着弾点位置191は、33行×8列の範囲に設定されている。33行のそれぞれの行を、上述した例と同様に、行9a1から行9i1と表記する。上述した例と同様に、フィルター膜領域225には、211個所の着弾点位置191が設定されており、所定の液滴重量の211滴の液滴を着弾させることによって、所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる。
図11(c)に示した着弾点位置191の分布例では、33行×7列の範囲の中に、196個所の着弾点位置191と、35個所の非着弾点位置192とが設定されている。8列目に15個の着弾点位置191が設定されており、7列に設定された196個所と合わせて、211個所の着弾点位置191が設定されている。
【0101】
上述した分布例と同様に、Y軸方向における行間ピッチは、ノズル列24AにおけるノズルピッチPの1/4である。Y軸方向における中央の行は、行9e1である。行9e1を挟んで対称の位置に位置する行9d3と行9e3行との行間ピッチはPである。行9e1を挟んでノズルピッチPの範囲に、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行が位置している。当該5行は、非着弾点位置192が設定されており、着弾点位置191や着弾点位置193は設定されていない。
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行のいずれかに向けて液滴を吐出可能な位置に位置しているが、着弾点位置191や着弾点位置193が設定されていないために、当該位置においては吐出を実施しない吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0102】
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行の位置には、着弾点位置191や着弾点位置193は設定されていない。このため、液滴は、この部分に向けては吐出されない。行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1の各行の位置に向けては、全体で211滴の液滴が吐出される。上述したように、フィルター膜領域225に211滴の液滴を配置することで、所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる。したがって、フィルター膜領域225に所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる量の機能液93を配置するとともに、フィルター膜領域225(着弾領域125)の長手方向の略中央に液滴が着弾することを抑制している。すなわち、フィルター膜領域225(着弾領域125)の長手方向の略中央に配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなっている。
【0103】
フィルター膜領域225(着弾領域125)の長手方向の略中央に配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなることで、図10を参照して説明した液面93aと同様に、中央の高さを抑制することができる。これにより、フィルター膜領域225(着弾領域125)の中央における機能液の高さを抑制することで、機能液が隔壁204に乗り上げ難くすることができる。
【0104】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)図9を参照して説明した着弾点位置191の配置例では、機能液93の液面95が最も高くなる部分に非着弾点位置192が設定されている。液面95が最も高くなる部分に供給する液滴を少なくすることで、効率よく液面93aの最も高くなる部分の高さを抑制することができる。また、液面95が最も高くなる部分に液滴が着弾することで液面95が揺れることを、抑制することができる。
【0105】
(2)図11(a)を参照して説明した着弾点位置191の配置例では、機能液93の液面95が最も高くなる中央部分における短辺方向の両側に、非着弾点位置192が設定されている。フィルター膜領域225に機能液93が盛上った状態では、フィルター膜領域225の長辺の中央において、機能液93が隔壁204に乗り上げ易い。中央部分における短辺方向の両側に非着弾点位置192を設定することで、機能液93が隔壁204に乗り上げ易い部分に近い位置に着弾させることによって供給する機能液の量を抑制して、効率よく機能液93が隔壁204に乗り上げることを抑制することができる。
また、機能液93が隔壁204に乗り上げ易い部分に近い位置に着弾する液滴の数を抑制することで、液滴が着弾することによって、機能液93が隔壁204に乗り上げ易い部分に近い位置の液面93aが揺れることに起因して機能液93が隔壁204に乗り上げることを抑制することができる。
【0106】
(3)図11(b)を参照して説明した着弾点位置191の配置例では、中央の5行には、着弾点位置191に着弾させる液滴より液滴重量が小さい液滴を着弾させる位置を示す着弾点位置193が配置されている。中央の5行を含む範囲の全面において液滴重量を小さくすることで、当該範囲に液滴を着弾させることによって配置される機能液を確実に少なくすることができる。液滴重量が小さい液滴を着弾させることで、液滴を着弾させることによって着弾させた位置を確実に機能液で濡らせることができるとともに、着弾させた位置に着弾させた液滴によって配置する機能液を少なくすることができる。
【0107】
(4)図11(c)を参照して説明した着弾点位置191の配置例では、中央の5行には、非着弾点位置192が設定されている。中央の5行を含む範囲の全面において液滴を着弾させないことで、当該範囲に液滴を着弾させることによって配置される機能液を確実に少なくすることができる。
【0108】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0109】
(変形例1)前記実施形態においては、図9を参照して説明した着弾点位置191の配置例や、図11(a)を参照して説明した着弾点位置191の配置例では、非着弾点位置192を設定することによって、着弾させる機能液の量を少なくしていた。しかし、着弾させる機能液の量を少なくするために、着弾点位置191を、液滴を配置しない非着弾点位置192に設定することは必須ではない。着弾点位置193のような液滴重量が小さい着弾点位置を設定することで、着弾させる機能液の量を少なくする方法であってもよい。
【0110】
(変形例2)前記実施形態においては、フィルター膜領域225に液滴を着弾させる吐出走査における吐出走査方向は、フィルター膜領域225の長手方向に略直交する方向であった。しかし、膜形成区画や配置区画に液滴を着弾させる吐出走査における吐出走査方向が膜形成区画や配置区画の長手方向に略直交する方向であることは必須ではない。吐出走査方向は、膜形成区画や配置区画の長手方向に略平行な方向などの方向であってもよい。
吐出走査方向が、フィルター膜領域225の長手方向に略直交する方向とは異なり、長手方向に略平行な方向などの方向である場合、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行のいずれかに向けて液滴を吐出可能な位置に位置している状態の吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0111】
(変形例3)前記実施形態においては、機能液を吐出して製造する対象が、液晶表示パネル200のカラーフィルターであったが、前記実施形態で説明した吐出方法を用いて好適に製造できるカラーフィルターは、液晶表示パネル用のカラーフィルターに限らない。有機EL(Electro Luminescence)装置に用いるカラーフィルターなど、他の装置に用いるカラーフィルターであってもよい。
また、前記実施形態で説明した吐出方法を用いる対象がカラーフィルターであることも必須ではない。上述した吐出方法を、有機EL装置の発光層(膜)などの機能層(膜)を形成するために用いることで、有機EL装置の発光層(膜)などの機能層(膜)を好適に形成することができる。上述した吐出方法は、その他の区画形成された区画に膜を形成することが必要な場合においても、好適に適用することができる。
【0112】
(変形例4)前記実施形態においては、1個のフィルター膜領域225に対して4回の吐出走査を実施して、必要な量の機能液を配置していた。しかし、1個所の膜形成区画や配置区画に対する吐出走査の回数は、何回であってもよい。吐出走査の回数を多くすることで、1個所の膜形成区画や配置区画により多量の液状体を着弾させることができたり、より多くの数の液滴を着弾させることができたり、より多くの着弾位置に液滴を着弾させることができたりする利点を有する。吐出走査の回数を少なくすることで、吐出走査によって液状体を配置するために要する時間を短くすることができる。
【0113】
(変形例5)前記実施形態においては、それぞれ特徴を有する4種類の着弾点位置の分布例について説明したが、着弾点位置の分布は上述した分布に限らない。例えば、複数回の吐出走査のそれぞれの吐出走査ごとに、上述した4種類の着弾点位置の分布のいずれかに対応する着弾点位置に向けて吐出を実施してもよい。最初の方の吐出走査においては吐出させる液状体の単位面積あたりの量が多くなる分布に従って吐出し、既に実施した吐出走査において膜の一部が形成されている膜形成区画又は配置区画に向けて吐出を実施する後の方の吐出走査においては吐出させる液状体の単位面積あたりの量が少なくなる分布に従って吐出してもよい。
【0114】
(変形例6)前記実施形態においては、液滴吐出装置1に吐出させる機能液の種類については特に記載しなかったが、色が異なるなど種類の異なる機能液を吐出してもよい。色が異なる複数種類の機能液を吐出させることでカラー描画も可能である。CF層208を備える3色カラーフィルターに、1台の液滴吐出装置1を用いて、赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、及び青色フィルター膜205Bを形成することも可能である。機能液の種類は、ヘッド組ごとに異ならせてもよいし、液滴吐出ヘッドごとに異ならせてもよい。吐出ノズルごとに機能液を個別に供給できる液滴吐出ヘッドを用いて、吐出ノズルごとに異なる機能液を吐出してもよい。
【0115】
(変形例7)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を1個備えていた。しかし、液滴吐出装置が備えるヘッドユニットが1個であることは必須ではない。液滴吐出装置が備えるヘッドユニットは、いくつであってもよい。液滴吐出装置が複数のヘッドユニットを備える場合、ヘッドユニットごとに、吐出させる機能液の種類を異ならせてもよい。
【0116】
(変形例8)前記実施形態においては、ヘッドユニット21は、液滴吐出ヘッド20を9個備えていたが、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが9個であることは必須ではない。ヘッドユニットが備える吐出ヘッドは、いくつであってもよい。
【0117】
(変形例9)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド20は、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aを1列備えていたが、吐出ヘッドが備えるノズル列は何列であってもよい。液滴吐出ヘッドが複数のノズル列を備える場合、ノズル列ごとに、吐出させる機能液の種類を異ならせてもよい。
【0118】
(変形例10)前記実施形態においては、X軸走査機構36によってワーク載置台30をX軸方向に移動させることでマザー対向基板201AをX軸方向に移動し、Y軸走査機構26によって、吐出ノズル24を備える液滴吐出ヘッド20(ヘッドユニット21)をY軸方向に移動することで、マザー対向基板201Aと吐出ノズル24とを平面方向において相対移動させていた。基材と吐出ノズルとを相対移動させるために基材と吐出ノズルの両方を移動させることは必須ではない。基材と吐出ノズル(吐出ヘッド)のいずれか一方を平面方向に移動させることで、基材と吐出ノズルとを相対移動させる構成であってもよい。
【0119】
(変形例11)前記実施形態においては、ノズル列24Aにおけるノズルピッチは約70.5μmであった。しかし、液滴吐出ヘッドにおけるノズルの配置は、液滴吐出ヘッド20における配置に限らない。ノズル列におけるノズルピッチは70.5μmとは異なるノズルピッチであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…液滴吐出装置、2…ヘッド機構部、3…ワーク機構部、6…吐出装置制御部、20…液滴吐出ヘッド、21…ヘッドユニット、23…ユニットプレート、24…吐出ノズル、24A…ノズル列、26…Y軸走査機構、30…ワーク載置台、36…X軸走査機構、84…CPU、91…着弾点、91A…着弾円、93…機能液、93a…液面、95…液面、125…着弾領域、191…着弾点位置、192…非着弾点位置、193…着弾点位置、200…液晶表示パネル、201…ガラス基板、201A…マザー対向基板、204…隔壁、205…フィルター膜、205B…青色フィルター膜、205G…緑色フィルター膜、205R…赤色フィルター膜、208…カラーフィルター層、225…フィルター膜領域、240A…ユニットノズル列。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体を吐出する吐出ノズルを用いて、区画形成された領域に向けて液状体を吐出させる液状体吐出方法、及び液状体を吐出する吐出ノズルを用いてカラーフィルターを形成するカラーフィルターの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから液状体を液滴として吐出し、任意の位置に着弾させることによって、所定の量の液状体を所定の位置に精度よく配置する液滴吐出装置が知られている。このような液状体吐出装置を用いて、基材上に区画形成された膜形成区画に、機能膜の材料を含む液状体を着弾させることによって、フィルター膜などの機能膜が形成されている。多くの機能膜は、所定の機能を実現するために、膜形成区画の全面に均等な膜厚の膜が形成されることが好ましい。
【0003】
特許文献1には、基板上の画素Gを形成する描画対象領域A内に、吐出ヘッドを走査させながら一定の吐出間隔にて液滴を吐出させる際に、描画対象領域Aを取り囲むバンクに沿う外周側を除いた中央側に、描画対象領域A内に液滴を吐出させない非吐出箇所Nを設けることによって、膜厚にムラを生じさせることなく描画対象領域に合わせて適量の液滴を着弾させ、高精度かつ高品質な描画を行うことができる液滴吐出方法、電気光学装置の製造方法及び電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−150342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、適切な膜厚の膜を形成するためには、膜厚に対応した適切な量の材料を吐出して着弾させることが必要である。形成する膜の厚さに対して着弾させる液状体の体積が大きい液状体を用いる場合には、着弾した液状体が区画形成された膜形成区画から溢れる場合があるという課題があった。溢れた液状体が隣の膜形成区画の液状体と混じりあう可能性があり、混じりあうことで、液状体が固化されて形成される膜の機能が本来の機能とは異なる機能になるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる液状体吐出方法は、基材上に区画形成された配置区画における着弾領域に向けて、所定のノズルピッチで配列された複数の吐出ノズルから液状体の液滴を吐出させる液状体吐出方法であって、前記複数の吐出ノズルは、前記着弾領域の長手方向における中心位置を含む前記ノズルピッチの範囲に向けて前記液滴を吐出させる第一吐出ノズルを含み、前記着弾領域に対する単位面積あたりの吐出量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかる液状体吐出方法によれば、着弾領域の長手方向における中心位置を含むノズルピッチの範囲に向けて液滴を吐出させる第一吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量が、他の吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量より少ない。
一般的に、液状体はその表面張力によって、表面積が小さい球形になろうとし、重力や液状体が置かれた面との濡れ特性などによる影響を受け、それらの力によって定まる形状になる。また、液状体を配置する配置区画は液状体に対して親液性を有し、配置区画を区画形成する区画境界部材は、液状体に対して撥液性を有することが好ましい。区画境界部材が液状体に対して撥液性を有することで、液状体が区画境界部材を乗り越え難くなり、液状体が区画境界部材を乗り越えて流出することを抑制することができる。これにより、区画境界部材によって周囲を囲まれた体積を超える量の液状体を配置区画の範囲内に保持することが可能となる。
配置区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が配置区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。
中央部分と端の部分との高低差は、配置区画の長手方向も長手方向と交差する方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、配置区画から流出し易くなる。例えば、矩形の配置区画であれば、短辺方向において中央部分と端との距離が短くなり、液状体の中央部との距離が最も短い長辺方向の中央において、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。
第一吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量が、他の吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量より少ないことによって、着弾領域の長手方向における中心位置を含むノズルピッチの範囲に着弾する液状体の量を少なくすることができる。中心位置を含む中央部分に着弾させられる液状体の量を少なくすることにより、配置区画内の液状体の中央部が盛上った形状における中央部の高さを抑制することができる。これにより、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができ、配置区画から流出し易くなることを抑制することができる。
また、液状体が存在する部分に液滴が着弾して液状体に衝撃を加えることで、液状体が揺れる可能性がある。液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。当該揺れは、液状体が盛上った中央の部分に液滴が着弾する方が、周辺の薄い部分に着弾した場合にくらべて、大きくなると考えられる。液状体が盛上った中央の部分に着弾する液状体の量を少なくすることで、液滴が着弾することによって液状体が揺れることに起因して液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができ、配置区画から流出し易くなることを抑制することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかる液状体吐出方法は、前記着弾領域の単位面積あたりの吐出数が、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことが好ましい。
【0010】
この液状体吐出方法によれば、第一吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の、着弾領域の単位面積あたりの数が、他の吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の、着弾領域の単位面積あたりの数より少ない。供給される液状体の量は、着弾した液滴の体積と数の積である。したがって、第一吐出ノズルに吐出させる液滴の着弾領域の単位面積あたりの数を少なくすることで、第一吐出ノズルが吐出する液状体の、着弾領域の単位面積あたりの量を少なくすることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかる液状体吐出方法は、前記着弾領域に向けて吐出させる少なくとも一部の前記液滴の液滴重量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも小さいことが好ましい。
【0012】
この液状体吐出方法によれば、第一吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の少なくとも一部の液滴の液滴重量が、他の吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の液滴重量より小さい。供給される液状体の量は、着弾した液滴の液滴重量(体積)と数の積である。したがって、第一吐出ノズルに吐出させる液滴の液滴重量を小さくすることで、第一吐出ノズルが吐出する液状体の、着弾領域の単位面積あたりの量を少なくすることができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかる液状体吐出方法は、前記第一吐出ノズルが、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、前記短辺方向の両端の前記着弾点位置に吐出することが好ましい。
【0014】
この液状体吐出方法によれば、第一吐出ノズルから、短辺方向の両端の着弾点位置に吐出する。したがって、短辺方向の中央である着弾領域の中央の部分に向けての吐出量は少なくなる。
着弾領域の中央の部分は、配置区画の中央付近である。配置区画の中央付近は、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が配置区画に着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されて、中央側が盛上った形状となっている液状体の、最も高くなる部分である。液状体が最も高くなる部分に着弾する液状体の単位面積あたりの量を少なくすることで、その周辺の部分に着弾する液状体の単位面積あたりの量を少なくする場合にくらべて効率よく、配置区画内の液状体の中央部が盛上った形状における中央部の高さを抑制することができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかる液状体吐出方法は、前記第一吐出ノズルが、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、中央の前記着弾点位置に吐出することが好ましい。
【0016】
この液状体吐出方法によれば、第一吐出ノズルから、短辺方向における中央の着弾点位置に吐出する。したがって、長辺方向の中央のノズルピッチの範囲で、短辺方向の両端に向けての吐出量は少なくなる。
配置区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が配置区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。中央部分と端の部分との高低差は、配置区画の長手方向も短辺方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、配置区画から流出し易くなる。短辺方向における3個所以上の着弾点位置の中の両端の着弾点位置は、着弾点位置の中でも、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に在る着弾点位置である。
最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い着弾点位置に多くの液状体が供給されることで、区画境界部材に乗り上げ易くなる可能性が高い。当該着弾点位置に向けて吐出する吐出量を少なくすることで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液状体の量を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
また、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することで、乗り上げ易い部分の液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。当該着弾点位置に向けて吐出する吐出量を少なくすることで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液滴の数を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかる液状体吐出方法は、他の前記吐出ノズルのみ吐出することが好ましい。
【0018】
この液状体吐出方法によれば、他の吐出ノズルのみが吐出を実施し、第一吐出ノズルは吐出を実施しない。
配置区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が配置区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。中央部分と端の部分との高低差は、配置区画の長手方向も長手方向と交差する方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、配置区画から流出し易くなる。
最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることで、区画境界部材に乗り上げ易くなる可能性が高い。第一吐出ノズルが吐出を実施しないことで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液状体の量を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
また、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することで、乗り上げ易い部分の液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。第一吐出ノズルが吐出を実施しないことで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液滴の数を少なくすることができる。これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
【0019】
[適用例7]本適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、基材上に区画形成された膜形成区画における着弾領域に向けて、所定のノズルピッチで配列された複数の吐出ノズルから、カラーフィルターを構成するフィルター膜の材料を含む液状体の液滴を吐出し、前記膜形成区画に前記フィルター膜を形成するカラーフィルターの製造方法であって、前記複数の吐出ノズルは、前記着弾領域の長手方向における中心位置を含む前記ノズルピッチの範囲に向けて前記液滴を吐出させる第一吐出ノズルを含み、前記着弾領域に対する単位面積あたりの吐出量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とする。
【0020】
本適用例にかかるカラーフィルターの製造方法によれば、着弾領域の長手方向における中心位置を含むノズルピッチの範囲に向けて液滴を吐出させる第一吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量を、他の吐出ノズルが吐出する液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量より少なくする。
一般的に、液状体はその表面張力によって、表面積が小さい球形になろうとし、重力や液状体が置かれた面との濡れ特性などによる影響を受け、それらの力によって定まる形状になる。また、液状体を配置する膜形成区画は液状体に対して親液性を有し、膜形成区画を区画形成する区画境界部材は、液状体に対して撥液性を有することが好ましい。区画境界部材が液状体に対して撥液性を有することで、液状体が区画境界部材を乗り越え難くなり、液状体が区画境界部材を乗り越えて流出することを抑制することができる。これにより、区画境界部材によって周囲を囲まれた体積を超える量の液状体を膜形成区画の範囲内に保持することが可能となる。
膜形成区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が膜形成区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。
中央部分と端の部分との高低差は、膜形成区画の長手方向も長手方向と交差する方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、膜形成区画から流出し易くなる。例えば、矩形の膜形成区画であれば、短辺方向において中央部分と端との距離が短くなり、液状体の中央部との距離が最も短い長辺方向の中央において、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。
第一吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量を、他の吐出ノズルに吐出させる液状体の、着弾領域の単位面積あたりの吐出量より少なくすることによって、着弾領域の長手方向における中心位置を含むノズルピッチの範囲に着弾する液状体の量を少なくすることができる。中心位置を含む中央部分に着弾させられる液状体の量を少なくすることにより、膜形成区画内の液状体の中央部が盛上った形状における中央部の高さを抑制することができる。これにより、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができ、膜形成区画から流出し易くなることを抑制することができる。
また、液状体が存在する部分に液滴が着弾して液状体に衝撃を加えることで、液状体が揺れる可能性がある。液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。当該揺れは、液状体が盛上った中央の部分に液滴が着弾する方が、周辺の薄い部分に着弾した場合にくらべて、大きくなると考えられる。液状体が盛上った中央の部分に着弾する液状体の量を少なくすることで、液滴が着弾することによって液状体が揺れることに起因して液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができ、膜形成区画から流出し易くなることを抑制することができる。
【0021】
[適用例8]上記適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、前記着弾領域の単位面積あたりの吐出数が、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことが好ましい。
【0022】
このカラーフィルターの製造方法によれば、第一吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の単位面積あたりの数を、他の吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の単位面積あたりの数より少なくする。供給される液状体の量は、着弾した液滴の体積と数の積である。したがって、第一吐出ノズルに吐出させる液滴の単位面積あたりの数を少なくすることで、第一吐出ノズルが吐出して着弾させる液状体の単位面積あたりの量を少なくすることができる。
【0023】
[適用例9]上記適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、前記着弾領域に向けて吐出させる少なくとも一部の前記液滴の液滴重量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも小さいことが好ましい。
【0024】
このカラーフィルターの製造方法によれば、第一吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の少なくとも一部の液滴の液滴重量が、他の吐出ノズルに着弾領域に向けて吐出させる液滴の液滴重量より小さい。供給される液状体の量は、着弾した液滴の液滴重量(体積)と数の積である。したがって、第一吐出ノズルに吐出させる液滴の液滴重量を小さくすることで、第一吐出ノズルが吐出する液状体の、着弾領域の単位面積あたりの量を少なくすることができる。
【0025】
[適用例10]上記適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、前記第一吐出ノズルが、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、前記短辺方向の両端の前記着弾点位置に吐出することが好ましい。
【0026】
このカラーフィルターの製造方法によれば、第一吐出ノズルから、短辺方向の両端の着弾点位置に吐出する。したがって、短辺方向の中央である着弾領域の中央の部分に向けての吐出量は少なくなる。
着弾領域の中央の部分は、膜形成区画の中央付近である。膜形成区画の中央付近は、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が膜形成区画に着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されて、中央側が盛上った形状となっている液状体の、最も高くなる部分である。液状体が最も高くなる部分に着弾する液状体の単位面積あたりの量を少なくすることで、その周辺の部分に着弾する液状体の単位面積あたりの量を少なくする場合にくらべて効率よく、膜形成区画内の液状体の中央部が盛上った形状における中央部の高さを抑制することができる。
【0027】
[適用例11]上記適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、前記第一吐出ノズルが、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、中央の前記着弾点位置に吐出することが好ましい。
【0028】
このカラーフィルターの製造方法によれば、第一吐出ノズルから、短辺方向における中央の着弾点位置に向けて吐出する。したがって、長辺方向の中央のノズルピッチの範囲で、短辺方向の両端に向けての吐出量は少なくなる。
膜形成区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が膜形成区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。中央部分と端の部分との高低差は、膜形成区画の長手方向も短辺方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、膜形成区画から流出し易くなる。短辺方向における3個所以上の着弾点位置の中の両端の着弾点位置は、着弾点位置の中でも、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に在る着弾点位置である。
最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い着弾点位置に多くの液状体が供給されることで、区画境界部材に乗り上げ易くなる可能性が高い。当該着弾点位置に向けて吐出する吐出量を少なくすることで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液状体の量を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
また、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することで、乗り上げ易い部分の液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。当該着弾点位置に向けて吐出する吐出量を少なくすることで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液滴の数を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
【0029】
[適用例12]上記適用例にかかるカラーフィルターの製造方法は、他の前記吐出ノズルのみ吐出することが好ましい。
【0030】
このカラーフィルターの製造方法によれば、他の吐出ノズルのみが吐出を実施し、第一吐出ノズルは吐出を実施しない。
膜形成区画に、区画境界部材によって囲まれた体積を超える量が着弾して、区画境界部材によって流出することを阻止されている液状体は、底面の形状が膜形成区画の形状であり、中央側が盛上った形状となる。中央部分と端の部分との高低差は、膜形成区画の長手方向も長手方向と交差する方向も同じであり、中央部分と端との距離が短い端においては、液面の水平面に対する角度が急になるため、液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる。すなわち、膜形成区画から流出し易くなる。
最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることで、区画境界部材に乗り上げ易くなる可能性が高い。第一吐出ノズルが吐出を実施しないことで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液状体の量を少なくすることができる。
これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液状体が供給されることに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
また、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することで、乗り上げ易い部分の液状体が揺れることによって、液状体が区画境界部材に乗り上げる可能性が高くなる。第一吐出ノズルが吐出を実施しないことで、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に着弾する液滴の数を少なくすることができる。これにより、最も液状体が区画境界部材に乗り上げ易くなる部分に近い位置に多くの液滴が着弾することに起因して、区画境界部材に乗り上げ易くなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図。
【図2】(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図。(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図。(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図。
【図3】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図4】液滴吐出ヘッドの電気的構成と信号の流れを示す説明図。
【図5】(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図。(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(c)は、液滴を主走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図。(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図。
【図6】液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図。
【図7】(a)は、対向基板の平面構造を模式的に示す平面図。(b)は、マザー対向基板の平面構造を模式的に示す平面図。
【図8】(a)は、ストライプ配列を示す模式平面図。(b)は、モザイク配列を示す模式平面図。(c)は、デルタ配列を示す模式平面図。
【図9】(a)は、フィルター膜領域における全ての着弾点位置の位置を示す説明図。(b)は、1回の吐出走査において着弾させる着弾点位置の位置を示す説明図。(c)は、吐出走査を3回実施して着弾させる着弾点位置の位置を示す説明図。
【図10】(a)は、配置された機能液の平面視の形状を示す説明図。(b)は、配置された機能液の長辺方向の断面における形状を示す説明図。(c)、(d)、及び(e)は、配置された機能液の短辺方向の断面における形状を定性的に示す説明図。
【図11】(a)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行における着弾点位置の数を減らした例の着弾点位置の位置を示す説明図。(b)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行における着弾点位置に着弾させる液滴の液滴重量を小さくする例の着弾点位置の位置を示す説明図。(c)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行に着弾点位置を設定しない例の着弾点位置の位置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、液状体吐出方法、及びカラーフィルターの製造方法について、図面を参照して説明する。本実施形態は、液滴吐出ヘッドを備え、当該液滴吐出ヘッドによって機能液の液滴を吐出し、被吐出媒体上の所定の位置に機能液を配置する液滴吐出装置を用いて、カラーフィルターのフィルター膜を形成する工程における吐出方法を例に説明する。液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドと被吐出媒体とを相対移動させると共に、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルから機能液の液滴を吐出して、被吐出媒体上の所定の位置に着弾させることによって、所定の位置に機能液を配置する装置である。機能液が、液状体に相当する。
なお、以下の説明において参照する図面では、図示の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0033】
<液滴吐出法>
最初に、液状体を液滴として吐出する液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。
帯電制御方式は、液状体に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で液状体の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、液状体に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に液状体を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には液状体が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると液状体間に静電的な反発が起こり、液状体が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって液状体を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から液状体を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
【0034】
また、電気熱変換方式は、液状体を貯留した空間内に設けたヒーターにより、液状体を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の液状体を吐出させるものである。静電吸引方式は、液状体を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに液状体のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから液状体を引き出すものである。この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。
【0035】
液滴吐出法は、液状体の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の液状体を的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピエゾ方式は、液状体に熱を加えないため、液状体の組成等に影響を与えないなどの利点を有する。本実施形態では、液状体選択の自由度の高さ、及び液滴の制御性の良さの点から上記ピエゾ方式を用いる。
【0036】
<液滴吐出装置>
次に、液滴吐出ヘッド20(図2参照)を備える液滴吐出装置1の構成の全般について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。
【0037】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、ワーク機構部3と、機能液供給部4と、保守装置部5とを備えている。ヘッド機構部2は、機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド20を有している。ワーク機構部3は、液滴吐出ヘッド20から吐出された液滴を着弾させる対象であるワークWを載置するワーク載置台30を有している。機能液供給部4は、貯留タンクと、中継タンクと、給液チューブとを有し、当該給液チューブが、液滴吐出ヘッド20に接続されており、給液チューブを介して機能液が液滴吐出ヘッド20に供給される。保守装置部5は、液滴吐出ヘッド20の検査又は保守を実施する各装置を備えている。液滴吐出装置1は、また、これら各機構部などを総括的に制御する吐出装置制御部6を備えている。液滴吐出ヘッド20が、吐出ヘッドに相当する。
【0038】
さらに、液滴吐出装置1は、床上に設置された複数の支持脚8と、支持脚8の上側に設置された定盤9とを備えている。定盤9の上側には、ワーク機構部3が定盤9の長手方向(X軸方向)に延在する状態で配設されている。ワーク機構部3の上方には、定盤9に立設された2本の支持柱で支持されているヘッド機構部2が、ワーク機構部3と直交する方向(Y軸方向)に延在する状態で配設されている。また、定盤9の傍らには、ヘッド機構部2の液滴吐出ヘッド20に連通する給液チューブを有する機能液供給部4の貯留タンクなどが配置されている。ヘッド機構部2の一方の支持柱の近傍には、保守装置部5がワーク機構部3と並んでX軸方向に配設されている。さらに、定盤9の下側に、吐出装置制御部6が収容されている。
【0039】
ヘッド機構部2は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、ヘッドユニット21を有するヘッドキャリッジと、ヘッドキャリッジが吊設された移動枠22と、移動枠22をY軸方向に移動させるY軸走査機構26とを、備えている。
移動枠22を、Y軸走査機構26によってY軸方向に移動させることで、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
ワーク機構部3は、ワーク載置台30と、X軸走査機構36とを備えている。ワーク機構部3は、ワーク載置台30を、X軸走査機構36によって、X軸方向に移動させることで、ワーク載置台30に載置されたワークWをX軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
【0040】
液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にあるワークWのX軸方向の移動に同調して、機能液を液滴として吐出する。X軸方向に移動するワークWと、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド20とを相対的に制御することにより、ワークW上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する位置に機能液を配置することが可能である。
【0041】
保守装置部5は、各種検査装置、各種保守装置、及び保守装置走査機構を備えている。検査装置は、液滴吐出ヘッド20の吐出状態の検査を実施する吐出検査ユニットなどの、液滴吐出ヘッド20の検査を実施する装置である。保守装置は、液滴吐出ヘッド20の各種の保守を実施する装置である。保守装置走査機構は、これらの各装置をX軸方向に移動可能であって、任意の位置に保持可能に支持する装置である。
液滴吐出ヘッド20の検査や保守を実施する際には、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)が、Y軸走査機構26を用いて保守装置部5に臨む位置に移動させられる。また、実施する検査又は保守に対応する検査装置又は保守装置が、保守装置走査機構によって、ヘッドユニット21(液滴吐出ヘッド20)に臨む位置に移動させられる。
【0042】
<液滴吐出ヘッド>
次に、液滴吐出ヘッド20について、図2を参照して説明する。図2は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。図2(a)は、液滴吐出ヘッドの概略構成を示す外観斜視図であり、図2(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視断面図であり、図2(c)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルの部分の構造を示す断面図である。図2に示したY軸、及びZ軸は、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態において、図1に示したY軸、及びZ軸と一致している。
【0043】
図2(a)に示したように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25を備えている。ノズル基板25には、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aが形成されている。吐出ノズル24から機能液を液滴として吐出し、対向する位置にある描画対象物などに着弾させることで、当該位置に機能液を配置する。ノズル列24Aは、液滴吐出ヘッド20が液滴吐出装置1に装着された状態で、図1に示したY軸方向に延在している。ノズル列24Aにおいて吐出ノズル24は、等間隔のノズルピッチで並んでいる。液滴吐出ヘッド20としては、Y軸方向にノズルピッチ間隔で機能液の液滴を配置することができる。ノズルピッチは、例えば、70.5μmである。
【0044】
図2(b)及び(c)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25に圧力室プレート51が積層されており、圧力室プレート51に振動板52が積層されている。
圧力室プレート51には、液滴吐出ヘッド20に供給される機能液が常に充填される液たまり55が形成されている。液たまり55は、振動板52と、ノズル基板25と、圧力室プレート51の壁とに囲まれた空間である。機能液は、機能液供給部4から液滴吐出ヘッド20に供給され、振動板52の液供給孔53を経由して液たまり55に供給される。また、圧力室プレート51には、複数のヘッド隔壁57によって区切られた圧力室58が形成されている。振動板52と、ノズル基板25と、2個のヘッド隔壁57とによって囲まれた空間が圧力室58である。
【0045】
圧力室58は吐出ノズル24のそれぞれに対応して設けられており、圧力室58の数と吐出ノズル24の数とは同じである。圧力室58には、2個のヘッド隔壁57の間に位置する供給口56を経由して、液たまり55から機能液が供給される。ヘッド隔壁57と圧力室58と吐出ノズル24と供給口56との組は、液たまり55に沿って1列に並んでおり、1列に並んだ吐出ノズル24がノズル列24Aを形成している。
【0046】
振動板52の圧力室58を構成する部分には、それぞれ圧電素子59の一端が固定されている。圧電素子59の他端は、固定板(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド20全体を支持する基台(図示省略)に固定されている。
圧電素子59は、電極層と圧電材料とを積層した活性部を有している。圧電素子59は、電極層に駆動電圧を印加することで、活性部が長手方向(図2(b)又は(c)における振動板52の厚さ方向)に縮む。電極層に印加されていた駆動電圧が解除されることで、活性部が元の長さに戻る。
【0047】
電極層に駆動電圧が印加されて、圧電素子59の活性部が縮むことで、圧電素子59の一端が固定された振動板52が圧力室58と反対側に引張られる力を受ける。振動板52が圧力室58と反対側に引張られることで、振動板52が圧力室58の反対側に撓む。これにより、圧力室58の容積が増加することから、機能液が液たまり55から供給口56を経て圧力室58に供給される。次に、電極層に印加されていた駆動電圧が解除されると、活性部が元の長さに戻ることで、圧電素子59が振動板52を押圧する。振動板52が押圧されることで、圧力室58側に戻る。これにより、圧力室58の容積が急激に元に戻る。すなわち増加していた容積が減少することから、圧力室58内に充填されていた機能液に圧力が加わり、当該圧力室58に連通して形成された吐出ノズル24から機能液が液滴となって吐出される。
【0048】
<ヘッドユニット>
次に、ヘッド機構部2が備えるヘッドユニット21の概略構成について、図3を参照して説明する。図3は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図3に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。
【0049】
図3に示したように、ヘッドユニット21は、ユニットプレート23と、ユニットプレート23に搭載された9個の液滴吐出ヘッド20と、を有している。液滴吐出ヘッド20は、図示省略したヘッド保持部材を介してユニットプレート23に固定されている。固定された液滴吐出ヘッド20は、ヘッド本体がユニットプレート23に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル基板25が、ユニットプレート23の面より突出した位置に位置している。図3は、ノズル基板25の側から見た図である。9個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向に分かれて、それぞれ3個ずつの液滴吐出ヘッド20を有するヘッド組20Aを3群、形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド20のノズル列24Aは、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、Y軸方向に延在している。
【0050】
一つのヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド20の、一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24がノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。ヘッド組20Aが有する3個の液滴吐出ヘッド20において、全ての吐出ノズル24のX軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル24は、Y軸方向にノズルピッチの等間隔で並ぶ。すなわち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド20が有するそれぞれのノズル列24Aを構成する吐出ノズル24から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。
【0051】
一つのヘッド組20Aが備える3個の液滴吐出ヘッド20が有する3列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列は、例えば360個の3倍、1080個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズルピッチは、70.5μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約76.07mmである。液滴吐出ヘッド20は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状に並んでヘッド組20Aを構成している。
【0052】
ヘッドユニット21が有する3つのヘッド組20Aは、それぞれが有する1本のノズル列とみなせるノズル列が、Y軸方向において、ノズル列24Aのノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。言い換えると、それぞれのヘッドユニット21は、互いに隣り合うヘッド組20Aを構成する液滴吐出ヘッド20の、一方のヘッド組20Aにおける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方のヘッド組20Aにおける液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が、Y軸方向において、ノズルピッチずれた位置に、配設されている。
【0053】
一つのヘッドユニット21が備える3つのヘッド組20Aにおける9個の液滴吐出ヘッド20が有する9列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列を「ユニットノズル列240A」と表記する。ユニットノズル列240Aは、例えば360個の9倍、3240個の吐出ノズル24を有し、Y軸方向におけるノズルピッチは、70.5μmであり、Y軸方向の両端の吐出ノズル24の中心間距離(ノズル列長さ)は、約228.4mmである。即ち、一つのヘッドユニット21の吐出ノズル24から一滴ずつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、3240個の点が70.5μmのピッチ間隔で連なる直線が形成される。ユニットノズル列240Aを構成する吐出ノズル24が、複数の吐出ノズルに相当する。
【0054】
液滴吐出装置1は、1個のヘッドユニット21を備えており、1個のユニットノズル列240Aを備えている。当該ユニットノズル列240Aによって、1回の走査の間に、例えば3240個の点が70.5μmのピッチ間隔で連なる直線を形成することができる。
【0055】
<機能液の吐出>
次に、液滴吐出装置1における液滴吐出ヘッド20からの吐出制御方法について、図4を参照して説明する。図4は、液滴吐出ヘッドの電気的構成と信号の流れを示す説明図である。
【0056】
上述したように、液滴吐出装置1は、液滴吐出装置1の各部の動作を制御する吐出装置制御部6を備えている。吐出装置制御部6は、制御信号を出力するCPU84と、液滴吐出ヘッド20の電気的な駆動制御を行うヘッドドライバー20dとを備えている。
図4に示すように、ヘッドドライバー20dは、FFCケーブルを介して各液滴吐出ヘッド20と電気的に接続されている。また、液滴吐出ヘッド20は、吐出ノズル24(図2参照)ごとに設けられた圧電素子59に対応して、シフトレジスター(SL)85と、ラッチ回路(LAT)86と、レベルシフター(LS)87と、スイッチ(SW)88とを備えている。
【0057】
液滴吐出装置1における吐出制御は次のように行われる。最初に、CPU84がワークWなどの被吐出媒体における機能液の配置パターンをデータ化したドットパターンデータをヘッドドライバー20dに伝送する。そして、ヘッドドライバー20dは、ドットパターンデータをデコードして吐出ノズル24ごとのON/OFF(吐出/非吐出)情報であるノズルデータを生成する。ノズルデータは、シリアル信号(SI)化されて、クロック信号(CK)に同期して各シフトレジスター85に伝送される。
【0058】
シフトレジスター85に伝送されたノズルデータは、ラッチ信号(LAT)がラッチ回路86に入力されるタイミングでラッチされ、さらにレベルシフター87でスイッチ88用のゲート信号に変換される。即ち、ノズルデータが「ON」の場合にはスイッチ88が開いて、圧電素子59に駆動信号(COM)が供給され、ノズルデータが「OFF」の場合にはスイッチ88が閉じられて、圧電素子59に駆動信号(COM)は供給されない。そして、「ON」に対応する吐出ノズル24からは機能液が液滴となって吐出され、吐出された機能液の液滴がワークWなどの描画対象物の上に着弾して、描画対象物の上に機能液が配置される。
【0059】
<着弾位置>
次に、液滴吐出ヘッド20の吐出ノズル24と、それぞれの吐出ノズル24から吐出された液滴の着弾位置と、の関係について、図5を参照して説明する。図5は、吐出ノズルと、それぞれの吐出ノズルから吐出された液滴の着弾位置と、の関係を示す説明図である。図5(a)は、吐出ノズルの配置位置を示す説明図であり、図5(b)は、液滴をノズル列の延在方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図5(c)は、液滴を主走査方向に直線状に着弾させた状態を示す説明図であり、図5(d)は、液滴を面状に着弾させた状態を示す説明図である。図5に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。X軸方向が主走査方向であって、図5に示した矢印aの方向に吐出ノズル24(液滴吐出ヘッド20)を相対移動させながら、任意の位置において機能液の液滴を吐出させることによって、X軸方向の任意の位置に液滴を着弾させることができる。
【0060】
図5(a)に示すように、ノズル列24Aを構成する吐出ノズル24は、Y軸方向にノズルピッチPの中心間距離で配列されている。
【0061】
図5(b)に示すように、着弾位置を示す着弾点91と、着弾した液滴の濡れ広がり状態を示す着弾円91Aとで、着弾した1滴の液滴の状態を示している。ノズル列24Aの全部の吐出ノズル24から、図5(b)に一点鎖線で示した仮想線L上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が形成される。
【0062】
図5(c)に示すように、一つの吐出ノズル24から連続して液滴を吐出させることによって、X軸方向に着弾円91Aが連なる直線が形成される。X軸方向における着弾点91間の中心間距離の最小値を、最小着弾距離dと表記する。最小着弾距離dは、主走査方向の相対移動速度と、吐出ノズル24の最小吐出間隔との積である。
【0063】
図5(d)に示すように、一点鎖線で示した仮想線L1,L2,L3上に着弾させるタイミングで、それぞれ液滴を吐出させることによって、ノズルピッチPの中心間間隔で着弾円91Aが連なる直線が、X軸方向に並列した着弾面が形成される。図5(d)に示した仮想線L1,L2,L3間の距離が最小着弾距離dの場合のそれぞれの着弾点91が、液滴吐出装置1によって機能液の液滴を配置可能な位置である。
【0064】
機能液の配置に際しては、配置位置の情報に従って、図5(d)に示したそれぞれの着弾点91の位置について、液滴を着弾させる位置を定める。例えば、当該着弾位置、及び着弾位置に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24を指定した配置表を形成し、配置表に従って機能液の液滴を着弾させることによって、配置位置の情報によって規定される位置に機能液を配置する。なお、一般的に、機械装置は誤差を有しており、液滴吐出装置1による着弾位置も、規格を満たす範囲の位置誤差を有している。したがって、規定された着弾位置に着弾させるのは、詳細には、規定された着弾位置に向けて液滴を吐出して、規定された着弾位置に対して規格を満たす位置誤差の範囲内に着弾させることである。
また、図5(d)に示した例では、着弾円91Aの間に隙間が存在するが、ノズルピッチPや最小着弾距離dに対して、吐出させる液滴の1滴あたりの吐出重量を適切に定めることによって、隙間なく機能液を配置することが可能である。
【0065】
<液晶表示パネルの構成>
次に、液滴吐出装置1を用いてフィルター膜を形成する対象物の一例としての液晶表示パネルについて、図6を参照して説明する。液晶表示パネル200(図6参照)は、液晶装置の一例であり、カラーフィルターの一例である液晶表示パネル用のカラーフィルターを備える液晶表示パネルである。
図6は、液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図である。図6に示した液晶表示パネル200は、駆動素子として薄膜トランジスター(TFT(Thin Film Transistor)素子)を用いるアクティブマトリックス方式の液晶装置であり、図示省略したバックライトを用いる透過型の液晶装置である。
【0066】
図6に示すように、液晶表示パネル200は、TFT素子215を有する素子基板210と、対向電極207を有する対向基板220と、シール材(図示省略)によって接着された素子基板210と対向基板220との隙間に充填された液晶と、を備えている。貼り合わされた素子基板210と、対向基板220とには、互いに貼り合わされた面の反対側の面に、それぞれ偏光板231又は偏光板232が、配設されている。
【0067】
素子基板210は、ガラス基板211の対向基板220と対向する面に、TFT素子215や、導電性を有する画素電極217や走査線212や信号線214が、形成されている。これらの素子や導電性を有する膜の間を埋めるように、絶縁層216が形成されており、走査線212及び信号線214は、絶縁層216の一部分を挟んで互いに交差する状態で形成されている。走査線212と信号線214とは、絶縁層216の一部分を間に挟むことで互いに絶縁されている。これらの走査線212と信号線214とに囲まれた領域内には画素電極217が形成されている。画素電極217は方形状の一部の角部分が方形状に欠けた形状をしている。画素電極217の切欠部と走査線212と信号線214とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体部、及びゲート電極を具備するTFT素子215が組み込まれて構成されている。走査線212と信号線214とに信号を印加することによってTFT素子215をオン・オフして画素電極217への通電制御を実施する。
【0068】
素子基板210の液晶と接する面には、上記した走査線212や信号線214や画素電極217が形成された領域全体を覆う配向膜218が設けられている。
【0069】
対向基板220は、ガラス基板201の素子基板210と対向する面に、カラーフィルター(以降、「CF」と表記する。)層208が形成されている。CF層208は、隔壁204と、赤色フィルター膜205Rと、緑色フィルター膜205Gと、青色フィルター膜205Bとを有している。ガラス基板201の上に、格子状に隔壁204を構成するブラックマトリックス202が形成されており、ブラックマトリックス202の上にバンク203が形成されている。ブラックマトリックス202とバンク203とで構成された隔壁204によって、方形のフィルター膜領域225が形成されている。フィルター膜領域225には、赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、又は青色フィルター膜205Bが形成されている。赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、及び青色フィルター膜205Bは、それぞれ上述した画素電極217のそれぞれと対向する位置及び形状に形成されている。
【0070】
CF層208の上(素子基板210側)には、平坦化膜206が設けられている。平坦化膜206の上には、ITOなどの透明な導電性材料で形成された対向電極207が設けられている。平坦化膜206を設けることによって、対向電極207を形成する面を略平坦な面にしている。対向電極207は、上述した画素電極217が形成された領域全体を覆う大きさの連続した膜である。対向電極207は、図示省略した導通部を介して、素子基板210に形成された配線に接続されている。
【0071】
対向基板220の液晶と接する面には、少なくとも画素電極217の全面を覆う配向膜228が設けられている。液晶は、素子基板210と対向基板220とが貼り合わされた状態において、対向基板220の配向膜228と、素子基板210の配向膜218と、対向基板220と素子基板210とを貼り合わせるシール材とに囲まれた空間に充填されている。
なお、液晶表示パネル200は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0072】
<マザー対向基板>
次に、マザー対向基板201Aについて、図7を参照して説明する。対向基板220は、分割されることによってガラス基板201となるマザー対向基板201Aの上に上述したCF層208などを形成した後、マザー対向基板201Aを個別の対向基板220(ガラス基板201)に分割して形成される。図7(a)は、対向基板の平面構造を模式的に示す平面図であり、図7(b)は、マザー対向基板の平面構造を模式的に示す平面図である。なお、本実施形態においては、マザー対向基板201Aの上にCF層208などを形成したものや、CF層208などを形成する途中の状態のものや、CF層208などを形成する前の状態のものも、マザー対向基板201Aと表記する。
【0073】
対向基板220は、厚みおよそ1.0mmの透明な石英ガラスからなるガラス基板201を用いて形成されている。図7(a)に示すように、対向基板220は、ガラス基板201の周囲の僅かな額縁領域を除く部分に、CF層208が形成されている。CF層208は、方形状のガラス基板201の表面に複数のフィルター膜領域225をドットパターン状、本実施形態ではドット・マトリックス状に形成し、当該フィルター膜領域225にフィルター膜205を形成することによって形成されている。ガラス基板201のCF層208が形成される領域にかからない位置には、図示省略したアライメントマークが形成されている。アライメントマークは、CF層208などを形成する諸工程を実行するためにガラス基板201を、液滴吐出装置1などの製造装置に取り付ける際などに位置決め用の基準マークとして用いられる。
【0074】
図7(b)に示すように、マザー対向基板201Aには、対向基板220のCF層208が、分割されてガラス基板201となる部分のそれぞれに形成されている。
【0075】
<カラーフィルター膜の配列>
次に、対向基板220などに形成されているCF層208などにおけるフィルター膜205(赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、及び青色フィルター膜205B)などの配列について、図8を参照して説明する。図8は、3色カラーフィルターのフィルター膜の配列例を示す模式平面図である。図8(a)は、ストライプ配列を示す模式平面図であり、図8(b)は、モザイク配列を示す模式平面図であり、図8(c)は、デルタ配列を示す模式平面図である。
【0076】
図8に示すように、フィルター膜205は、透光性のない樹脂材料によって格子状のパターンに形成された隔壁204によって区画されてドット・マトリックス状に並んだ複数の例えば方形状のフィルター膜領域225を色材で埋めることによって形成される。例えば、フィルター膜205を構成する色材を含む機能液をフィルター膜領域225に充填し、当該機能液の溶媒を蒸発させて機能液を乾燥させることで、フィルター膜領域225を埋める膜状のフィルター膜205を形成する。フィルター膜領域225が、配置区画、又は膜形成区画に相当する。
【0077】
3色カラーフィルターにおける赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、及び青色フィルター膜205Bなどの配列としては、例えば、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などが知られている。
ストライプ配列は、図8(a)に示したように、マトリックスの縦列が全て同色の赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、又は青色フィルター膜205B、になる配列である。
モザイク配列は、図8(b)に示したように、横方向の各行ごとにフィルター膜205を一つ分だけ色をずらした配列で、3色フィルターの場合、縦横の直線上に並んだ任意の3つのフィルター膜205が3色となる配列である。
デルタ配列は、図8(c)に示したように、フィルター膜205の配置を段違いにし、3色フィルターの場合、任意の隣接する3つのフィルター膜205が異なる色となる配色である。
【0078】
図8(a)、(b)、又は(c)に示した3色フィルターにおいて、フィルター膜205は、それぞれが、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)のうちのいずれか1色の色材によって形成されている。隣り合って形成された赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、及び青色フィルター膜205Bを各1個ずつ含むフィルター膜205の組で、画像を構成する最小単位である絵素のフィルター(以降、「絵素フィルター254」と表記する。)を形成している。
絵素フィルター254などの一つの絵素フィルターにおける、赤色フィルター膜(赤色フィルター膜205R)、緑色フィルター膜(緑色フィルター膜205G)、及び青色フィルター膜(青色フィルター膜205B)のいずれか一つ又はそれらの組み合わせに光を選択的に通過させること、及び通過させる光の光量を調整することにより、フルカラー表示を行う。
【0079】
<着弾点位置の分布>
次に、フィルター膜領域225における、着弾点位置191の分布、及び配置された機能液の状態について、図9及び図10を参照して説明する。着弾点位置191は、機能液の液滴を着弾させる位置であって、上述した着弾点91を位置させる位置である。
図9は、フィルター膜領域における着弾点位置の位置を示す説明図である。図9(a)は、フィルター膜領域における全ての着弾点位置の位置を示す説明図であり、図9(b)は、1回の吐出走査において着弾させる着弾点位置の位置を示す説明図であり、図9(c)は、吐出走査を3回実施して着弾させる着弾点位置の位置を示す説明図である。図10は、配置された機能液の形状状態を示す説明図である。図10(a)は、配置された機能液の平面視の形状を示す説明図であり、図10(b)は、配置された機能液の長辺方向の断面における形状を示す説明図であり、図10(c)、図10(d)、及び図10(e)は、配置された機能液の短辺方向の断面における形状を定性的に示す説明図である。図9又は図10に矢印で示したX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、マザー対向基板201Aが液滴吐出装置1のワーク載置台30に載置された状態において、図1に示したX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向と一致している。CF層208などを形成する前の状態のマザー対向基板201Aが、基材に相当する。
【0080】
マザー対向基板201Aが液滴吐出装置1のワーク載置台30に載置された状態においては、図9に示すように、略長方形形状のフィルター膜領域225の短辺方向が、液滴吐出装置1のX軸方向である。上述したように、吐出走査では、ヘッドユニット21に対してマザー対向基板201Aを走査させながら、吐出ノズル24からフィルター膜領域225に向けて機能液を吐出させる。吐出走査における相対移動方向である吐出走査方向は、X軸方向に平行な、図9に矢印aで示した方向である。ユニットノズル列240Aは、Y軸方向に延在しており、1回の吐出走査において、Y軸方向にユニットノズル列240Aのノズルピッチで線状に連なる着弾点位置191に、機能液の液滴を着弾させることができる。ユニットノズル列240Aが備える1個の吐出ノズル24からは、X軸方向に、最小着弾距離dの間隔で線状に連なる着弾点位置191に、機能液の液滴を着弾させることができる。すなわち、1回の吐出走査において、ユニットノズル列240Aは、Y軸方向にユニットノズル列240Aのノズルピッチで線状に連なる着弾点位置191が、X軸方向に、最小着弾距離dの間隔で並んだ着弾点位置191に、機能液の液滴を着弾させることができる。
液滴を着弾させることができるが着弾点位置191としない位置を、着弾点位置191でないことを明示する場合に、非着弾点位置192と表記する。着弾点位置191のX軸方向の並びを着弾点位置191の行と表記し、着弾点位置191のY軸方向の並びを着弾点位置191の列と表記する。
【0081】
着弾点位置191は、フィルター膜領域225に設定された着弾領域125の範囲に設定されている。着弾領域125は、着弾円91Aの半径や、着弾位置精度などを考慮して、設定されている。着弾領域125は、着弾点91が着弾領域125の範囲に入れば、着弾円91Aは、隔壁204に重なることはなく、機能液が着弾する時点で液滴が隔壁204にかからない範囲である。
【0082】
図9(a)に示したように、フィルター膜領域225には、211個所の着弾点位置191が設定されており、所定の液滴重量の211滴の液滴を着弾させることによって、所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる。着弾点位置191は、33行×7列の範囲に設定されている。33行×7列の範囲の中央部分に、20個所の非着弾点位置192が設定されており、着弾点位置191は211個所設定されている。
33行の一番端の行を行9a1、5行目の行を行9b1、以下4行目ごとに、行9c1、行9d1、行9e1、行9f1、行9g1、行9h1、行9i1と表記する。行9a1、行9b1、行9c1、行9d1、行9e1、行9f1、行9g1、及び行9h1の隣の行を、それぞれ行9a2、行9b2、行9c2、行9d2、行9e2、行9f2、行9g2、行9h2と表記する。さらに隣の行を、それぞれ行9a3、行9b3、行9c3、行9d3、行9e3、行9f3、行9g3、行9h3と表記する。さらに隣の行を、それぞれ行9a4、行9b4、行9c4、行9d4、行9e4、行9f4、行9g4、行9h4と表記する。
【0083】
Y軸方向における行間ピッチは、ノズル列24AにおけるノズルピッチPの1/4である。Y軸方向における中央の行は、行9e1である。行9e1を挟んで対称の位置に位置する行9d3と行9e3行との行間ピッチはPである。行9e1を挟んでノズルピッチPの範囲に、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行が位置している。
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行のいずれかの着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0084】
行9d3は、第1列、第2列、及び第7列が、液滴を着弾させる着弾点位置191であり、第3列、乃至第6列が、液滴を着弾させない非着弾点位置192である。行9e1、及び行9e3も同様である。行9d4、及び行9e2は、第1列、第6列、及び第7列が、液滴を着弾させる着弾点位置191であり、第2列、乃至第5列が、液滴を着弾させない非着弾点位置192である。行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1の各行は、7列全てが着弾点位置191である。
着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させることによって、液滴が着弾領域125に着弾し、機能液がフィルター膜領域225に配置される。着弾領域125の長手方向の中央のノズルピッチPの範囲に位置している、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行には、非着弾点位置192が設定されており、当該範囲に向けて吐出される単位面積あたりの液滴の数が、行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1を含む範囲における単位面積あたりの液滴の数より少なくなっている。
【0085】
1個のフィルター膜領域225に対して複数回(本実施形態では4回)の吐出走査を実施して、必要な量の機能液を配置する。配置される機能液の量は液滴の体積と個数の積であり、図9に示した例では、液滴の個数は、211個である。
吐出走査を複数回数実施する理由の1つは、1回の吐出走査において供給される機能液の量を少なくすることである。1回に211個の液滴を着弾させると、フィルター膜領域225を形成する隔壁204に囲まれた体積に対して、供給された機能液の量が過多となり、隔壁204を乗り越えて、隣のフィルター膜領域225に流入する可能性がある。211個の液滴を、4回に分けて吐出させることで、1回の吐出走査において供給される機能液の量を少なくしている。
吐出走査を複数回数実施する他の理由の1つは、ノズル列24Aの延在方向における着弾点位置191の配設ピッチを小さくすることである。着弾点位置191の配設ピッチを小さくすることで、着弾点位置191が重なることを抑制して、多数の着弾点位置191を設定することができる。ノズル列24Aの延在方向における改行幅をノズルピッチPの整数倍と異ならせることによって、着弾点位置191の配設ピッチを、ノズルピッチPより小さい行ピッチ(本実施形態では、ノズルピッチPの1/4のピッチ)にしている。
【0086】
1回目の吐出走査では、図9(b)に示した、行9a1、行9b1、行9c1、行9d1、行9e1、行9f1、行9g1、行9h1、及び9i1の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させる。2回目の吐出走査では、行9a2、行9b2、行9c2、行9d2、行9e2、行9f2、行9g2、及び行9h2の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出し、3回目の吐出走査では、行9a3、行9b3、行9c3、行9d3、行9e3、行9f3、行9g3、及び行9h3の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させる。3回の吐出走査を実施して、上記した各行の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させることで、図9(c)に示した着弾点位置191に向けての液滴の吐出を完了する。さらに、行9a4、行9b4、行9c4、行9d4、行9e4、行9f4、行9g4、及び行9h4の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させる4回目の吐出走査を実施して、図9(a)に示した着弾点位置191のそれぞれに向けての液滴の吐出を完了する。
【0087】
吐出走査の間に、Y軸走査機構26によってヘッドユニット21をY軸方向に移動させることによって、ヘッドユニット21とマザー対向基板201AとのY軸方向の相対位置を移動させる改行を実施する。改行量は、例えば(nP+1/4P)である。nは整数であり、PはノズルピッチPである。n=0の場合、行9a1の着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24から、行9a2、行9a3、及び行9a4の着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる。n=1の場合、行9a1の着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24から、行9b2、行9c3、及び行9a4の着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる。
上述したように、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行には、非着弾点位置192が設定されており、当該範囲に向けて吐出される液滴の数が少なくなっている。行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させる吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0088】
フィルター膜領域225に着弾して、未だ固化していない状態の機能液を機能液93と表記する。機能液93の液面を液面93aと表記する。
図10(b)、図10(c)、図10(d)、及び図10(e)に示すように、機能液93は、機能液93に対して撥液性に処理された隔壁204に乗り上げ難いため、隔壁204に囲まれた部分に入りきらない機能液93が、フィルター膜領域225に盛上った状態となる。液面93aは、長辺方向及び短辺方向において中央が高くなる形状になっている。図10に二点鎖線で示した液面95は、着弾領域125の全面に、略均等に着弾点位置191を設定した場合の機能液93の液面である。
【0089】
図10(c)に示した断面は、行9e1の近傍におけるY軸方向に略垂直な断面における断面形状である。上述したように、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行には、非着弾点位置192が設定されており、当該範囲に向けて吐出されて着弾する液滴の数が少ないため、液面93aの高さが、液面95の高さより低くなっている。
図10(e)に示した断面は、行9i1の近傍におけるY軸方向に略垂直な断面における断面形状である。図10(d)に示した断面は、行9e1と行9i1との中間付近におけるY軸方向に略垂直な断面における断面形状である。行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行に非着弾点位置192が設定されて、当該部分に着弾させない液滴に相当する液滴は、その他の位置に設定された着弾点位置191に着弾させる。これにより、フィルター膜領域225に配置することが必要な機能液93の量が確保される。フィルター膜領域225の中央から離れた位置に向けて吐出されて着弾する液滴の数が多くなることによって、図10(e)に示した断面では、液面93aの高さが、液面95の高さより高くなっている。図10(d)に示した断面では、液面93aの高さが、液面95の高さと同じ程度の高さになっている。
【0090】
図10(a)及び図10(c)に示したように、フィルター膜領域225の中央における液面位置が高い部分では、平面方向に機能液を広げる方向に作用する圧力が高くなることに起因して、液面95は、長辺方向の中央において、隔壁204に乗り上げる方向に広がっている。液面93aは、中央の高い部分の高さが液面95より低いため、広がり方が小さくなっている。
液面93aは、液面95にくらべて、隔壁204に乗り上げ難くなっている。すなわち、フィルター膜領域225の中央に配置する機能液液滴の数を少なくすることによって、フィルター膜領域225(着弾領域125)の中央における機能液の高さを抑制することで、機能液が隔壁204に乗り上げ難くすることができる。
【0091】
<着弾点位置の他の分布例>
次に、図9を参照して説明したフィルター膜領域225における着弾点位置191の分布とは異なる、着弾点位置191の分布例について、図11を参照して説明する。図11は、フィルター膜領域における着弾点位置の位置を示す説明図である。図11(a)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行における着弾点位置の数を減らした例の着弾点位置の位置を示す説明図である。図11(b)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行における着弾点位置に着弾させる液滴の液滴重量を小さくする例の着弾点位置の位置を示す説明図である。図11(c)は、フィルター膜領域における長手方向の中央の行に着弾点位置を設定しない例の着弾点位置の位置を示す説明図である。
【0092】
図11(a)に示した着弾点位置191の分布例では、着弾点位置191は、33行×7列の範囲に設定されている。33行のそれぞれの行を、上述した例と同様に、行9a1から行9i1と表記する。上述した例と同様に、フィルター膜領域225には、211個所の着弾点位置191が設定されており、所定の液滴重量の211滴の液滴を着弾させることによって、所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる。図11(a)に示した着弾点位置191の分布例では、33行×7列の範囲の中に、20個所の非着弾点位置192が設定されている。
【0093】
上述した分布例と同様に、Y軸方向における行間ピッチは、ノズル列24AにおけるノズルピッチPの1/4である。Y軸方向における中央の行は、行9e1である。行9e1を挟んで対称の位置に位置する行9d3と行9e3行との行間ピッチはPである。行9e1を挟んでノズルピッチPの範囲に、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行が位置している。当該5行の中に、20個所の非着弾点位置192が設定されている。
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行のいずれかの着弾点位置191に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0094】
行9d3は、第1列、第2列、第6列、及び第7列が、液滴を着弾させない非着弾点位置192であり、第3列、第4列、及び第5列が、液滴を着弾させる着弾点位置191である。行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の4行も、行9d3と同様である。行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1の各行は、7列全てが着弾点位置191である。
着弾点位置191に向けて機能液の液滴を吐出させることによって、液滴が着弾領域125に着弾し、機能液がフィルター膜領域225に配置される。着弾領域125の長手方向の中央のノズルピッチPの範囲に位置している、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行には、非着弾点位置192が設定されており、当該範囲に向けて吐出される単位面積あたりの液滴の数が、行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1を含む範囲における単位面積あたりの液滴の数より少なくなっている。すなわち、配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなっている。
【0095】
着弾領域125の長手方向の中央のノズルピッチPの範囲に位置している5行が含まれる範囲に配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなることで、図10を参照して説明した液面93aと同様に、中央の高さを抑制することができる。これにより、フィルター膜領域225(着弾領域125)の中央における機能液の高さを抑制することで、機能液が隔壁204に乗り上げ難くすることができる。
【0096】
図11(b)に示した着弾点位置191の分布例では、着弾点位置191及び着弾点位置193が、33行×7列の範囲に設定されている。着弾点位置193は、着弾点位置191に着弾させる液滴より液滴重量が小さい液滴を着弾させる位置を示している。33行のそれぞれの行を、上述した例と同様に、行9a1から行9i1と表記する。
フィルター膜領域225には、196個所の着弾点位置191と、35個所の着弾点位置193とが設定されている。着弾点位置193に向けて吐出される液滴の液滴重量は、35滴で、着弾点位置191に向けて吐出される液滴の15滴分の液滴重量と同等の重量となる液滴重量である。196個所の着弾点位置191と、35個所の着弾点位置193とにそれぞれ所定の液滴重量の液滴を着弾させることによって、所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる量の機能液を供給することができる。
【0097】
上述した分布例と同様に、Y軸方向における行間ピッチは、ノズル列24AにおけるノズルピッチPの1/4である。Y軸方向における中央の行は、行9e1である。行9e1を挟んで対称の位置に位置する行9d3と行9e3行との行間ピッチはPである。行9e1を挟んでノズルピッチPの範囲に、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行が位置している。当該5行は、35個所の着弾点位置193が設定されて形成されている。
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行のいずれかの着弾点位置193に向けて液滴を吐出させる吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0098】
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行は、35個所の着弾点位置193が設定されて形成されている。行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1の各行は、7列全てが着弾点位置191である。
着弾領域125の長手方向の中央のノズルピッチPの範囲に位置している、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行には、液滴重量が小さい液滴が着弾させられる着弾点位置193が設定されている。これにより、当該範囲に向けて吐出される機能液の単位面積あたりの重量、すなわち体積が、行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1を含む範囲における単位面積あたりの体積より小さくなっている。すなわち、配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなっている。
【0099】
着弾領域125の長手方向の中央のノズルピッチPの範囲に位置している5行が含まれる範囲に配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなることで、図10を参照して説明した液面93aと同様に、中央の高さを抑制することができる。これにより、フィルター膜領域225(着弾領域125)の中央における機能液の高さを抑制することで、機能液が隔壁204に乗り上げ難くすることができる。
【0100】
図11(c)に示した着弾点位置191の分布例では、着弾点位置191は、33行×8列の範囲に設定されている。33行のそれぞれの行を、上述した例と同様に、行9a1から行9i1と表記する。上述した例と同様に、フィルター膜領域225には、211個所の着弾点位置191が設定されており、所定の液滴重量の211滴の液滴を着弾させることによって、所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる。
図11(c)に示した着弾点位置191の分布例では、33行×7列の範囲の中に、196個所の着弾点位置191と、35個所の非着弾点位置192とが設定されている。8列目に15個の着弾点位置191が設定されており、7列に設定された196個所と合わせて、211個所の着弾点位置191が設定されている。
【0101】
上述した分布例と同様に、Y軸方向における行間ピッチは、ノズル列24AにおけるノズルピッチPの1/4である。Y軸方向における中央の行は、行9e1である。行9e1を挟んで対称の位置に位置する行9d3と行9e3行との行間ピッチはPである。行9e1を挟んでノズルピッチPの範囲に、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行が位置している。当該5行は、非着弾点位置192が設定されており、着弾点位置191や着弾点位置193は設定されていない。
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行のいずれかに向けて液滴を吐出可能な位置に位置しているが、着弾点位置191や着弾点位置193が設定されていないために、当該位置においては吐出を実施しない吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0102】
行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行の位置には、着弾点位置191や着弾点位置193は設定されていない。このため、液滴は、この部分に向けては吐出されない。行9a1から行9d2、及び行9e4から行9i1の各行の位置に向けては、全体で211滴の液滴が吐出される。上述したように、フィルター膜領域225に211滴の液滴を配置することで、所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる。したがって、フィルター膜領域225に所定の膜厚のフィルター膜205を形成することができる量の機能液93を配置するとともに、フィルター膜領域225(着弾領域125)の長手方向の略中央に液滴が着弾することを抑制している。すなわち、フィルター膜領域225(着弾領域125)の長手方向の略中央に配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなっている。
【0103】
フィルター膜領域225(着弾領域125)の長手方向の略中央に配置される機能液の単位面積あたりの量が少なくなることで、図10を参照して説明した液面93aと同様に、中央の高さを抑制することができる。これにより、フィルター膜領域225(着弾領域125)の中央における機能液の高さを抑制することで、機能液が隔壁204に乗り上げ難くすることができる。
【0104】
以下、実施形態による効果を記載する。本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)図9を参照して説明した着弾点位置191の配置例では、機能液93の液面95が最も高くなる部分に非着弾点位置192が設定されている。液面95が最も高くなる部分に供給する液滴を少なくすることで、効率よく液面93aの最も高くなる部分の高さを抑制することができる。また、液面95が最も高くなる部分に液滴が着弾することで液面95が揺れることを、抑制することができる。
【0105】
(2)図11(a)を参照して説明した着弾点位置191の配置例では、機能液93の液面95が最も高くなる中央部分における短辺方向の両側に、非着弾点位置192が設定されている。フィルター膜領域225に機能液93が盛上った状態では、フィルター膜領域225の長辺の中央において、機能液93が隔壁204に乗り上げ易い。中央部分における短辺方向の両側に非着弾点位置192を設定することで、機能液93が隔壁204に乗り上げ易い部分に近い位置に着弾させることによって供給する機能液の量を抑制して、効率よく機能液93が隔壁204に乗り上げることを抑制することができる。
また、機能液93が隔壁204に乗り上げ易い部分に近い位置に着弾する液滴の数を抑制することで、液滴が着弾することによって、機能液93が隔壁204に乗り上げ易い部分に近い位置の液面93aが揺れることに起因して機能液93が隔壁204に乗り上げることを抑制することができる。
【0106】
(3)図11(b)を参照して説明した着弾点位置191の配置例では、中央の5行には、着弾点位置191に着弾させる液滴より液滴重量が小さい液滴を着弾させる位置を示す着弾点位置193が配置されている。中央の5行を含む範囲の全面において液滴重量を小さくすることで、当該範囲に液滴を着弾させることによって配置される機能液を確実に少なくすることができる。液滴重量が小さい液滴を着弾させることで、液滴を着弾させることによって着弾させた位置を確実に機能液で濡らせることができるとともに、着弾させた位置に着弾させた液滴によって配置する機能液を少なくすることができる。
【0107】
(4)図11(c)を参照して説明した着弾点位置191の配置例では、中央の5行には、非着弾点位置192が設定されている。中央の5行を含む範囲の全面において液滴を着弾させないことで、当該範囲に液滴を着弾させることによって配置される機能液を確実に少なくすることができる。
【0108】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。実施形態は、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0109】
(変形例1)前記実施形態においては、図9を参照して説明した着弾点位置191の配置例や、図11(a)を参照して説明した着弾点位置191の配置例では、非着弾点位置192を設定することによって、着弾させる機能液の量を少なくしていた。しかし、着弾させる機能液の量を少なくするために、着弾点位置191を、液滴を配置しない非着弾点位置192に設定することは必須ではない。着弾点位置193のような液滴重量が小さい着弾点位置を設定することで、着弾させる機能液の量を少なくする方法であってもよい。
【0110】
(変形例2)前記実施形態においては、フィルター膜領域225に液滴を着弾させる吐出走査における吐出走査方向は、フィルター膜領域225の長手方向に略直交する方向であった。しかし、膜形成区画や配置区画に液滴を着弾させる吐出走査における吐出走査方向が膜形成区画や配置区画の長手方向に略直交する方向であることは必須ではない。吐出走査方向は、膜形成区画や配置区画の長手方向に略平行な方向などの方向であってもよい。
吐出走査方向が、フィルター膜領域225の長手方向に略直交する方向とは異なり、長手方向に略平行な方向などの方向である場合、行9d3、行9d4、行9e1、行9e2、及び行9e3の5行のいずれかに向けて液滴を吐出可能な位置に位置している状態の吐出ノズル24が、第一吐出ノズルに相当する。
【0111】
(変形例3)前記実施形態においては、機能液を吐出して製造する対象が、液晶表示パネル200のカラーフィルターであったが、前記実施形態で説明した吐出方法を用いて好適に製造できるカラーフィルターは、液晶表示パネル用のカラーフィルターに限らない。有機EL(Electro Luminescence)装置に用いるカラーフィルターなど、他の装置に用いるカラーフィルターであってもよい。
また、前記実施形態で説明した吐出方法を用いる対象がカラーフィルターであることも必須ではない。上述した吐出方法を、有機EL装置の発光層(膜)などの機能層(膜)を形成するために用いることで、有機EL装置の発光層(膜)などの機能層(膜)を好適に形成することができる。上述した吐出方法は、その他の区画形成された区画に膜を形成することが必要な場合においても、好適に適用することができる。
【0112】
(変形例4)前記実施形態においては、1個のフィルター膜領域225に対して4回の吐出走査を実施して、必要な量の機能液を配置していた。しかし、1個所の膜形成区画や配置区画に対する吐出走査の回数は、何回であってもよい。吐出走査の回数を多くすることで、1個所の膜形成区画や配置区画により多量の液状体を着弾させることができたり、より多くの数の液滴を着弾させることができたり、より多くの着弾位置に液滴を着弾させることができたりする利点を有する。吐出走査の回数を少なくすることで、吐出走査によって液状体を配置するために要する時間を短くすることができる。
【0113】
(変形例5)前記実施形態においては、それぞれ特徴を有する4種類の着弾点位置の分布例について説明したが、着弾点位置の分布は上述した分布に限らない。例えば、複数回の吐出走査のそれぞれの吐出走査ごとに、上述した4種類の着弾点位置の分布のいずれかに対応する着弾点位置に向けて吐出を実施してもよい。最初の方の吐出走査においては吐出させる液状体の単位面積あたりの量が多くなる分布に従って吐出し、既に実施した吐出走査において膜の一部が形成されている膜形成区画又は配置区画に向けて吐出を実施する後の方の吐出走査においては吐出させる液状体の単位面積あたりの量が少なくなる分布に従って吐出してもよい。
【0114】
(変形例6)前記実施形態においては、液滴吐出装置1に吐出させる機能液の種類については特に記載しなかったが、色が異なるなど種類の異なる機能液を吐出してもよい。色が異なる複数種類の機能液を吐出させることでカラー描画も可能である。CF層208を備える3色カラーフィルターに、1台の液滴吐出装置1を用いて、赤色フィルター膜205R、緑色フィルター膜205G、及び青色フィルター膜205Bを形成することも可能である。機能液の種類は、ヘッド組ごとに異ならせてもよいし、液滴吐出ヘッドごとに異ならせてもよい。吐出ノズルごとに機能液を個別に供給できる液滴吐出ヘッドを用いて、吐出ノズルごとに異なる機能液を吐出してもよい。
【0115】
(変形例7)前記実施形態においては、液滴吐出装置1は、ヘッドユニット21を1個備えていた。しかし、液滴吐出装置が備えるヘッドユニットが1個であることは必須ではない。液滴吐出装置が備えるヘッドユニットは、いくつであってもよい。液滴吐出装置が複数のヘッドユニットを備える場合、ヘッドユニットごとに、吐出させる機能液の種類を異ならせてもよい。
【0116】
(変形例8)前記実施形態においては、ヘッドユニット21は、液滴吐出ヘッド20を9個備えていたが、ヘッドユニットが備える吐出ヘッドが9個であることは必須ではない。ヘッドユニットが備える吐出ヘッドは、いくつであってもよい。
【0117】
(変形例9)前記実施形態においては、液滴吐出ヘッド20は、多数の吐出ノズル24が略一直線状に並んだノズル列24Aを1列備えていたが、吐出ヘッドが備えるノズル列は何列であってもよい。液滴吐出ヘッドが複数のノズル列を備える場合、ノズル列ごとに、吐出させる機能液の種類を異ならせてもよい。
【0118】
(変形例10)前記実施形態においては、X軸走査機構36によってワーク載置台30をX軸方向に移動させることでマザー対向基板201AをX軸方向に移動し、Y軸走査機構26によって、吐出ノズル24を備える液滴吐出ヘッド20(ヘッドユニット21)をY軸方向に移動することで、マザー対向基板201Aと吐出ノズル24とを平面方向において相対移動させていた。基材と吐出ノズルとを相対移動させるために基材と吐出ノズルの両方を移動させることは必須ではない。基材と吐出ノズル(吐出ヘッド)のいずれか一方を平面方向に移動させることで、基材と吐出ノズルとを相対移動させる構成であってもよい。
【0119】
(変形例11)前記実施形態においては、ノズル列24Aにおけるノズルピッチは約70.5μmであった。しかし、液滴吐出ヘッドにおけるノズルの配置は、液滴吐出ヘッド20における配置に限らない。ノズル列におけるノズルピッチは70.5μmとは異なるノズルピッチであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…液滴吐出装置、2…ヘッド機構部、3…ワーク機構部、6…吐出装置制御部、20…液滴吐出ヘッド、21…ヘッドユニット、23…ユニットプレート、24…吐出ノズル、24A…ノズル列、26…Y軸走査機構、30…ワーク載置台、36…X軸走査機構、84…CPU、91…着弾点、91A…着弾円、93…機能液、93a…液面、95…液面、125…着弾領域、191…着弾点位置、192…非着弾点位置、193…着弾点位置、200…液晶表示パネル、201…ガラス基板、201A…マザー対向基板、204…隔壁、205…フィルター膜、205B…青色フィルター膜、205G…緑色フィルター膜、205R…赤色フィルター膜、208…カラーフィルター層、225…フィルター膜領域、240A…ユニットノズル列。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に区画形成された配置区画における着弾領域に向けて、所定のノズルピッチで配列された複数の吐出ノズルから液状体の液滴を吐出させる液状体吐出方法であって、
前記複数の吐出ノズルは、前記着弾領域の長手方向における中心位置を含む前記ノズルピッチの範囲に向けて前記液滴を吐出させる第一吐出ノズルを含み、
前記着弾領域に対する単位面積あたりの吐出量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とする液状体吐出方法。
【請求項2】
前記着弾領域の単位面積あたりの吐出数は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とする、請求項1に記載の液状体吐出方法。
【請求項3】
前記着弾領域に向けて吐出させる少なくとも一部の前記液滴の液滴重量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の液状体吐出方法。
【請求項4】
前記第一吐出ノズルは、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、前記短辺方向の両端の前記着弾点位置に吐出することを特徴とする、請求項2又は3に記載の液状体吐出方法。
【請求項5】
前記第一吐出ノズルは、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、中央の前記着弾点位置に吐出することを特徴とする、請求項2又は3に記載の液状体吐出方法。
【請求項6】
他の前記吐出ノズルのみ吐出することを特徴とする、請求項2又は3に記載の液状体吐出方法。
【請求項7】
基材上に区画形成された膜形成区画における着弾領域に向けて、所定のノズルピッチで配列された複数の吐出ノズルから、カラーフィルターを構成するフィルター膜の材料を含む液状体の液滴を吐出し、前記膜形成区画に前記フィルター膜を形成するカラーフィルターの製造方法であって、
前記複数の吐出ノズルは、前記着弾領域の長手方向における中心位置を含む前記ノズルピッチの範囲に向けて前記液滴を吐出させる第一吐出ノズルを含み、
前記着弾領域に対する単位面積あたりの吐出量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【請求項8】
前記着弾領域の単位面積あたりの吐出数は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とする、請求項7に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項9】
前記着弾領域に向けて吐出させる少なくとも一部の前記液滴の液滴重量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも小さいことを特徴とする、請求項7に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項10】
前記第一吐出ノズルは、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、前記短辺方向の両端の前記着弾点位置に吐出することを特徴とする、請求項8又は9に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項11】
前記第一吐出ノズルは、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、中央の前記着弾点位置に吐出することを特徴とする、請求項8又は9に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項12】
他の前記吐出ノズルのみ吐出することを特徴とする、請求項8又は9に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項1】
基材上に区画形成された配置区画における着弾領域に向けて、所定のノズルピッチで配列された複数の吐出ノズルから液状体の液滴を吐出させる液状体吐出方法であって、
前記複数の吐出ノズルは、前記着弾領域の長手方向における中心位置を含む前記ノズルピッチの範囲に向けて前記液滴を吐出させる第一吐出ノズルを含み、
前記着弾領域に対する単位面積あたりの吐出量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とする液状体吐出方法。
【請求項2】
前記着弾領域の単位面積あたりの吐出数は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とする、請求項1に記載の液状体吐出方法。
【請求項3】
前記着弾領域に向けて吐出させる少なくとも一部の前記液滴の液滴重量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の液状体吐出方法。
【請求項4】
前記第一吐出ノズルは、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、前記短辺方向の両端の前記着弾点位置に吐出することを特徴とする、請求項2又は3に記載の液状体吐出方法。
【請求項5】
前記第一吐出ノズルは、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、中央の前記着弾点位置に吐出することを特徴とする、請求項2又は3に記載の液状体吐出方法。
【請求項6】
他の前記吐出ノズルのみ吐出することを特徴とする、請求項2又は3に記載の液状体吐出方法。
【請求項7】
基材上に区画形成された膜形成区画における着弾領域に向けて、所定のノズルピッチで配列された複数の吐出ノズルから、カラーフィルターを構成するフィルター膜の材料を含む液状体の液滴を吐出し、前記膜形成区画に前記フィルター膜を形成するカラーフィルターの製造方法であって、
前記複数の吐出ノズルは、前記着弾領域の長手方向における中心位置を含む前記ノズルピッチの範囲に向けて前記液滴を吐出させる第一吐出ノズルを含み、
前記着弾領域に対する単位面積あたりの吐出量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【請求項8】
前記着弾領域の単位面積あたりの吐出数は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも少ないことを特徴とする、請求項7に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項9】
前記着弾領域に向けて吐出させる少なくとも一部の前記液滴の液滴重量は、前記第一吐出ノズルの方が、他の前記吐出ノズルよりも小さいことを特徴とする、請求項7に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項10】
前記第一吐出ノズルは、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、前記短辺方向の両端の前記着弾点位置に吐出することを特徴とする、請求項8又は9に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項11】
前記第一吐出ノズルは、前記着弾領域の短辺方向における前記液滴を吐出可能な3個所以上の着弾点位置の内、中央の前記着弾点位置に吐出することを特徴とする、請求項8又は9に記載のカラーフィルターの製造方法。
【請求項12】
他の前記吐出ノズルのみ吐出することを特徴とする、請求項8又は9に記載のカラーフィルターの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−110840(P2012−110840A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262190(P2010−262190)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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