説明

液状薬剤含有積層体及びその製造方法

【課題】 本発明は、液状薬剤が充填された積層体及びその工業的に有利な製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の積層体は、(a)凹部を有する基体、(b)液状薬剤、(c)粉体材料層及び(d)保護層を有し、前記液状薬剤が基体の凹部及び保護層で囲まれた空間に実質的に空隙を有しない程度に充填され、粉体材料層は液状薬剤と保護層との間に形成されている。本発明積層体は、(1)基体の凹部に液状薬剤を充填する工程;(2)前記液状薬剤を凍結させる工程;(3)前記の凍結させた薬剤表面の表面に粉体材料層を形成する工程;及び(4)基体上及び粉体材料層上に保護層を形成する工程を経て製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体含有積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ技術の進展により、細胞、タンパク質、ペプチド、DNA等の生体材料を医薬品として疾患の治療に用いる、いわゆるバイオ医薬品が開発されている。生体材料は、通常、静脈注射、動脈注射等により投与される。しかし、QOL等の観点から、経口投与により長期に亘って薬剤を徐放することを目的とする体内埋め込み型DDS製剤が研究されている。
【0003】
体内埋め込み型DDS製剤としては、様々な種類の剤型の製剤が開発されており、その中でもNIPPAM(N−イソプロピルアクリルアミド)を使ったコア−シェル型の製剤が主流である。しかしながら、コア−シェル型の製剤には、徐放性の制御が難しい、薬剤のリークが生じる等の問題がある。
【0004】
近年、薬剤部分が被覆されており、かつ非対称な製剤の製造方法として、例えば、(1)不溶層をキャスト製膜し、微小凹凸を有する金型で窪みを形成した後、ディスペンサで薬剤を充填し、別途キャスト製膜した制御層を加熱シールで貼り合わせた後、金型又はレーザーでトリミングする方法;(2)窪みを形成した不溶層に薬剤を充填させた後、低温化で乾燥し、薬剤が凍結状態で、不溶層と同一溶媒で形成された不溶性膜をアプリケーターで伸展し、乾燥した後、上記方法でトリミングして形成する方法等が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、上記方法では、薬剤をくぼみに充填させる際に、薬剤があふれるのを防止するためにくぼみの容量より少なめに充填する必要があるため、得られる製剤は、薬剤と被膜との間に空隙が生ずるのが避けられない。このような空隙に含まれる空気は、製剤が体内に到達すると、体内の37℃前後の熱により膨張し、制御層間の破壊が生じ、標的部位に到達する前に薬剤がリーク、失活する問題がある。
【0006】
一方、μ−TAS、バイオチップのように、微小成形体中で検体の前処理、試薬の添加、反応、検出等を一括して行うキットの開発が盛んに行われている。その中でも、DNAチップ、抗体チップ、電気泳動チップのようなDNA、抗体等を乾燥、固定させて配置したもの、又は検査を行うときに生体材料を投入するキットが主流である。
【0007】
バイオチップとしては、予め形成した雄雌金型を予備加熱し、そこに加熱した樹脂を供給した後、両面プレスすることにより微細形状を転写加工した後、生体材料のモデルである染料を充填し、風乾した後、有機溶剤に溶解した同一樹脂を積層させる方法が考案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0008】
しかしながら、バイオチップに用いられる生体材料は、乾燥状態におくと機能を失う(失活する)生体材料が多い。そのため、生体材料が失活しないように液体に含ませ、該液体を封入したバイオチップの開発が望まれている。
【0009】
さらに、薬剤を充填させた後に蓋材を形成(積層)するために、加熱シールが一般的に行われているが、加熱シールを行う際の加熱により生体材料の失活が不可避である。
【特許文献1】特開2002−338456
【非特許文献1】Drug delivery system, 18-3, p.276, 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、液状薬剤が密封された積層体及びその工業的に有利な製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の方法で積層体を製造することによって上記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
本発明は、下記1〜8に係る発明を提供する。
1.(a)凹部を有する基体、(b)液状薬剤、(c)粉体材料層及び(d)保護層を有し、前記液状薬剤が基体の凹部及び保護層で囲まれた空間に実質的に空隙を有しない程度に充填され、粉体材料層は液状薬剤と保護層との間に形成されている薬剤含有積層体。
2.(c)粉体材料層を構成する粉体材料が、シリカ系微粒子及びセルロース系微粒子からなる群から選ばれる少なくとも一種である上記1に記載の積層体。
3.(c)粉体材料層を構成する粉体材料の平均粒径が1〜50μmである上記1に記載の積層体。
4.(a)凹部を有する基体、(b)液状薬剤、(c)粉体材料層及び(d)保護層を有し、前記液状薬剤が基体凹部及び保護層で囲まれた空間に実質的に空隙を有しない程度に充填され、粉体材料層は液状薬剤と保護層との間に形成されている積層体の製造方法であって、
(1)基体の凹部に液状薬剤を充填する工程;
(2)前記液状薬剤を凍結させる工程;
(3)前記の凍結させた薬剤の表面に粉体材料層を形成する工程;及び
(4)基体上及び粉体材料層上に保護層を形成する工程
を含む、薬剤含有積層体の製造方法。
5.(a)凹部を有する基体、(b)液状薬剤、(c)粉体材料層及び(d)保護層を有し、前記液状薬剤が基体凹部及び保護層で囲まれた空間に実質的に空隙を有しない程度に充填され、粉体材料層は液状薬剤と保護層との間に形成されている積層体の製造方法であって、
(1)基体の凹部に液状薬剤を充填する工程;
(2)前記液状薬剤を凍結させる工程;
(3)前記の凍結した薬剤表面に到達する際に固体状となるように、粉体材料を含む懸濁液をスプレーコーティングすることによって、薬剤表面に粉体材料層を形成する工程;及び
(4)基体上及び粉体材料層上に保護層を形成する工程
を含む、薬剤含有積層体の製造方法。
6.前記(4)工程において、保護層を形成するための材料として粉体材料層を構成する粉体材料と同一の材料を使用し、該材料を含む懸濁液を、基体上及び粉体材料層上に到達時に液体状態を維持するようにスプレーコーティングすることにより、基体上及び粉体材料層上に保護層を形成する、上記5に記載の積層体の製造方法。
7.(a)凹部を有する基体、(b)液状薬剤、(c)粉体材料層及び(d)保護層を有し、前記液状薬剤が基体凹部及び保護層で囲まれた空間に実質的に空隙を有しない程度に充填され、粉体材料層は液状薬剤と保護層との間に形成されている積層体の製造方法であって、
(1)基体の凹部に、粉体材料を含む液状薬剤を充填する工程;
(2)基体を静置することにより、液状薬剤に含まれる粉体材料を液状薬剤表面に浮上させ、液状薬剤表面に粉体材料層を形成する工程;及び
(3)基体上及び粉体材料層上に保護層を形成する工程
を含む、薬剤含有積層体の製造方法。
8.前記工程(3)に先立ち、粉体材料層で被覆された液状薬剤を凍結させる工程を更に含む上記7に記載の方法。
【0013】
(イ)本発明積層体
本発明積層体は、(a)凹部を有する基体、(b)液状薬剤、(c)粉体材料層及び(d)保護層を有する。当該液状薬剤は、基体の凹部及び保護層で囲まれた空間に実質的に空隙を有しない程度に充填されている。粉体材料層は液状薬剤と保護層とが接触しないように液状薬剤と保護層との間に形成されている。
【0014】
本明細書において、実質的に空隙を有さない程度とは、積層体中に空隙を全く有さない場合だけでなく、空隙の体積が、積層体の全体積に対して5%程度以下、好ましくは2%程度以下の場合を含む。積層体中に空気を有さないことにより、液状薬剤が酸化されるのを防ぐことができる。また、積層体が温められたときでも、空隙中の空気が膨張することにより層が剥離して液状薬剤がリークするようなことは起こりにくい。
【0015】
本発明積層体の用途は限定されず、幅広い用途に使用することができる。例えば、DDS製剤のような医薬品として使用することもできるし、バイオチップのような分析用の機器、器具、キット等としても使用することができる。
【0016】
本発明積層体の大きさ、形状は限定されず、目的に応じて、任意の大きさ、形状を採用することができる。例えば、腸管壁に付着することを目的とするDDS製剤として使用する場合には、飲みやすさ等を考慮して、直径、長径又は一辺が50μm〜5mm程度、好ましくは1〜3mm程度の大きさとすることができる。また、バイオチップとして使用する場合には、検出規模、測定機器の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0017】
以下、本発明積層体を構成する各層又は成分について詳述する。本発明においては、これらに限定されず、必要に応じて、他の層又は成分を使用することができる。
【0018】
(a)基体
本発明積層体における基体は、凹部を有し、その凹部に液状薬剤を充填することができる。基体の厚み、大きさ等は限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
基体に存在する凹部の数は限定されず、一つであっても複数であってもよい。凹部の大きさも限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。また、凹部の形状も限定されず、適宜選択することができる。例えば、半球状、球面状、円柱、円錐、四角柱、四角錐等の形状が使用できる。この中でも、円柱状のものがより好ましい。
【0020】
基体を構成する成分は限定されず、積層体の使用目的に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明積層体を一般的なDDS製剤として使用する場合は、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸との共重合体、ポリカプロラクトン、カプロラクトンと乳酸との共重合体、カプロラクトンとグリコール酸との共重合体、乳酸、カプロラクトン及びグリコール酸の共重合体等の生分解性ポリマーが用いられる。これらのポリマーは一種を単独で使用することもできるし、二種以上を併用することもできる。
【0021】
本発明積層体をバイオチップとして使用する場合は、ガラス、シリコン、ポリジメチルシロキサン等を使用することができる。これらの材料は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を併用することもできる。
【0022】
(b)液状薬剤
本発明積層体において密封される液状薬剤は限定されず、積層体の使用目的に応じて適宜選択することができる。本発明における液状薬剤とは、液体状のものであれば限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、薬物の溶液又は分散液、生体材料が溶解又は分散された液を例示することができる。液(液状薬剤)中の薬物又は生体材料の濃度は限定されず、適宜選択することができる。
【0023】
薬物、生体材料等を溶解又は分散させる溶媒としては限定されず、使用する薬物、生体材料等の種類に応じて適宜選択することができる。有機溶媒による生体材料の失活を防げる点等から、水を使用することが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等を使用することができる。
【0024】
本発明積層体に充填する液状薬剤中の薬物としては何ら限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。本発明においては、液体中の方がより安定な薬物;ペースト状、スラリー状、粉末状等で使用することができない薬物;バイオアベイラビリティーが低い薬物等を特に好適に使用することができる。
【0025】
また、本発明積層体に使用する生体材料としても限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、DNA、RNA、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、細胞、糖、糖鎖、微生物等を使用することができる。これら生体材料は、一般的に使用される手段により、基体(例えば、基体の凹部の底部)に固定することもできる。
【0026】
(c)粉体材料層
本発明において、粉体材料層は、液状薬剤と保護層との間に形成される。液状薬剤と保護層との間に粉体材料層を形成させておくと、液状薬剤と保護層との密着性を高めるだけでなく、液状薬剤に含まれる薬物ないし生体材料の失活を防止することができる。
【0027】
粉体材料層を形成する粉体の大きさは限定されないが、例えば、レーザー回折式粒度分布計により測定した場合の平均粒径1〜50μm程度、好ましくは1〜5μm程度とすることができる。
【0028】
粉体材料層の厚さは限定されず、適宜選択することができる。粉体材料の重さ(比重)は、液状薬剤の比重よりも小さい方が好ましい。液状薬剤中に添加して使用する場合でも、凍結した液状薬剤が融解した場合でも、当該粉体材料が液状薬剤表面に浮上して液状薬剤を被覆することができるからである。
【0029】
粉体材料の種類は、上記のような条件を満たすものであれば限定されず、適宜選択することができる。例えば、生物学的安定性、化学的安定性等の点から、シリカ系微粒子及びセルロース系微粒子からなる群から選ばれる少なくとも一種を使用することが好ましい。
【0030】
シリカ系微粒子としては、一般に使用されているシリカ粒子を使用することができる。このシリカは、表面がアルキル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホニル基等の官能基で修飾されていてもよい。このようなシリカの中でも、本発明積層体では、食品添加剤等の食品分野で一般的に使用されている多孔質ゲルタイプが好ましい。このようなコロイダルシリカの具体例として、例えば、東洋化学工業社製マイクロイド、富士シリシア社製サイロピュート、サイロピュア、塩野義製薬社製カープレックス等が挙げられる。
【0031】
セルロース系微粒子としては、結晶セルロースを使用することができる。例えば、旭化成社製アビセル、信越化学社製ヒドロキシプロピルセルロース等を使用することができる。
【0032】
(d)保護層
保護層は、基体の凹部に充填された液状薬剤を密封するために、基体上に設けられる層である。この層を構成する成分は限定されず、適宜選択することができる。保護層の厚さは限定されず、使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0033】
保護層を構成する成分としては、基体を構成する成分と同じ成分を使用することができる他、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンのようなポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の他の材質を使用することができる。これらの材質は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を併用することもできる。このような成分の中でも、保護層と基材との密着性の点から、基体の構成成分と同じ成分を使用するのがより好ましい。
【0034】
本発明製剤を腸管壁に付着させるための非対称DDS製剤として使用する場合には、ヒドロキシプロピルセルロース等を構成成分とする胃溶層;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタアクリル酸コポリマーを構成成分とする腸溶層;アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、カルボキシポリメチレン等を構成成分とする粘着層;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテートトリメリテート、セルロースアセテートフタレート、エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセテートフタレートを構成成分とする不溶層等を積層することにより、本発明積層体の基体を形成することができる。
【0035】
本発明においては、(c)粉体材料層を構成する成分と(d)保護層を構成する成分とが同一の成分であるのがより好ましい。同一成分とすることにより、粉体材料層と保護層との密着性をより一層向上させることができる。さらに、(3)工程及び(4)工程の操作を、コーティング条件を変更するだけで同一の装置を用いて行うことができるため、工業的に有利である。
【0036】
(ロ)本発明積層体の製造方法
以下、本発明積層体の製造方法について詳述する。
【0037】
本発明積層体は、(a)基体、(b)液状薬剤、(c)粉体材料層及び(d)保護層を有し、前記液状薬剤が基体及び保護層で囲まれた空間に密封された積層体の製造方法であって、(i)基体の凹部に液状薬剤を充填する工程;(ii)前記液状薬剤の表面を粉体材料で被覆する工程;及び、(iii)工程(ii)で得られた基体上及び粉体材料層上に保護層を形成する工程を経て製造される。このようにして得られる本発明積層体の一例を図1に示し、そのA−A線断面図を図2に示す。
【0038】
(i)第一工程
第一工程では、基体の凹部に液状薬剤を充填する。
【0039】
基体
基体は、市販されているものを使用することもできるし、基体を構成する成分を用いて、樹脂を成形する一般的な方法を利用して製造することもできる。
【0040】
また、上記基体構成成分を溶媒に溶解した後、キャスト製膜、アプリケーター製膜、スクリーン印刷等により基体を形成することもできる。
【0041】
溶媒としては、上記構成成分を溶解させることができるものであれば限定されず、上記構成成分の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、DDS製剤を作製する場合には、生体毒性を有する成分が残存しないものが好ましい。具体的には、アルコール系、ハロゲン化炭化水素系の溶媒を使用することができる。その中でも、エタノール、アミルアルコール、ブチルアルコール、塩化メチレン等を使用するのが好ましい。このような溶媒は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を併用することもできる。
【0042】
上記溶媒中に溶解する基体構成成分の濃度は限定されず、製法等に応じて適宜選択することができる。
【0043】
例えば、スクリーン印刷により基体を製造する場合には、スクリーン印刷のインキとして使用するのに適度な粘度を有するポリマー溶液を使用するのが好ましく、例えば、10〜数百ポイズ程度の粘度を有するものとすることができる。
【0044】
ポリマー溶液に粘度を付与するために、必要に応じて、可塑剤、フィラー等の添加剤を添加することができる。
【0045】
可塑剤としては、一般的に印刷のインキに使用されているものが使用でき、その中でも生体に毒性を示さないものがより好ましい。例えば、クエン酸トリエチル、フタル酸ジアリル、トリアセチン等を用いることができる。可塑剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を併用することもできる。可塑剤の濃度は限定されず、所望の製剤の形態等によって適宜選択することができる。例えば、ポリマー溶液中の可塑剤濃度が、通常0.05〜10重量%程度、好ましくは0.1〜1重量%程度とすればよい。
【0046】
フィラーとしても、印刷インキに一般的に配合されているものが使用でき、その中でも生体に毒性を示さないものがより好ましい。例えば、酸化チタン、コロイダルシリカ、微結晶セルロースなどが用いられる。フィラーは、それぞれ一種を単独で使用することもできるし、二種以上を併用することもできる。フィラーの濃度は限定されず、所望の製剤の形態等によって適宜選択することができる。例えば、ポリマー溶液中のフィラー濃度が、通常5〜80重量%程度、好ましくは30〜60重量%程度とすればよい。
【0047】
可塑剤とフィラーの両方を添加する場合にも、濃度は限定されず、適宜選択することができる。
【0048】
基体がガラス、シリコン等の場合には、市販のガラス板、シリコンウエハーを所定の大きさにカットすればよい。また、酸化ケイ素系材料から、公知のゾル−ゲル法を適用して、所望の大きさの基体を得ることもできる。
【0049】
このようにして得られた基体は、必要に応じて乾燥することができる。乾燥する温度は限定されず、溶媒の種類、基体の構成成分等に応じて適宜選択することができる。
【0050】
次に、得られた基体に、凹部を形成する。凹部の形成方法は限定されず、適宜選択することができる。
【0051】
例えば、ポリマーを使用して形成された基体の場合には、金型による物理的圧着、熱成形等により形成することができる。また、スクリーン印刷により凹部を形成する場合には、パターン製膜の技術を利用することにより隔壁を形成して凹部を設けることも可能である。
【0052】
また、ガラス、シリコン、ポリジメチルシロキサン等を用いて基体を形成する場合には、フォトリソグラフィ、エンボス等を用いた手法により凹部を形成することができる。より具体的には、フォトリソグラフィを用いた手法では、基体であるガラス又はシリコンにレジストを塗布し、形成したい凹部に応じたフォトマスクを設置して露光及び現像を行い、凹部を形成したい部分のレジストを除去し、エッチングにより凹部を形成する。基体がポリジメチルシロキサンの場合は、凹部を形成したい部分を凸にしたシリコン鋳型にポリジメチルシロキサンを流し込み、UV露光にて硬化させ、凹部を形成する。
【0053】
エンボスを用いた手法では、上記で得られた基体を、加熱下で所望の凹部と対応する凸部を有する金型で加圧することにより、凹部を有する基体を得ることができる。
【0054】
液状薬剤の充填
上記で得られた基体の凹部に液状薬剤を充填する。液状薬剤を充填する方法は限定されず、一般的に使用されている方法により行うことができる。例えば、ディスペンサ、インクジェット等を利用して行うことができる。
【0055】
充填する量は、限定されないが、凹部が満たされる程度充填するのが好ましい。保護層を形成した後に、積層体中に空隙を生させないためである。
【0056】
(ii)第二工程
第二工程では、基体の凹部に充填された液状薬剤の表面を粉体材料で被覆する。本発明では、この液状薬剤を被覆する方法は、以下に述べる4つの方法で行うことができる。
【0057】
(A)第一方法
第一の方法では、基体の凹部に充填された液状薬剤を凍結させた後、その上に粉体材料層を形成する。
【0058】
液状薬剤を凍結させる条件は限定されず、液状薬剤の融点より低い温度下におけばよい。凍結時間は限定されず、液状薬剤が十分に凍結されればよい。
【0059】
凍結した薬剤の上に粉体材料層を形成する方法は限定されず、適宜選択することができる。例えば、粉体材料を噴霧することによって、薬剤上に粉体材料層を形成することができる。噴霧は、版を通して必要部分な部分に行うこともできる。
【0060】
液状薬剤を凍結した後に粉体材料で被覆することにより、液状薬剤が一部融解した場合でも、粉体材料で覆われているので、容易に保護層を形成することができる。
【0061】
(B)第二方法
第二の方法では、基体の凹部に充填された液状薬剤を凍結させた後、その上に粉体材料層を形成する際に、溶媒中に粉体材料を懸濁した懸濁液の状態で噴霧する。この溶媒としては、低温下でも揮発しやすいものが好ましく、例えば、塩化メチレン、エタノール等を使用することができる。
【0062】
噴霧条件は、噴霧中に溶媒が揮発する条件であればよく、例えば、(B-1)液滴が小さい、(B-2)飛散距離が長い、(B-3)飛散時間が長い、(B-4)樹脂固形分の濃度が高い、(B-5)溶剤の沸点が低いのうちのいずれかの条件を満たす場合、噴霧により、凍結した薬剤表面に到達する際に、前記懸濁液が固体(乾燥粉末)となるので、薬剤表面に粉体材料層を形成することができる。
【0063】
また、保護層を形成するための材料として粉体材料層を構成する粉体材料と同一の材料を使用した場合、該材料を含む懸濁液を、基体上及び粉体材料層上に到達時に液体状態を維持するようにスプレーコーティングすることにより、基体上及び粉体材料層上に保護層を形成することができる。
【0064】
(C)第三方法
第三の方法では、予め粉体材料が添加された液状薬剤を基体の凹部に充填する。その後、基体を静置することにより、粉体材料が浮上し、液状薬剤表面を覆う。
液状薬剤に添加する粉体材料の濃度は限定されず、液状薬剤表面が十分に被覆される濃度であればよい。例えば、粉体材料の濃度を、通常10〜60重量%程度、好ましくは10〜20重量%程度とすることができる。液状薬剤を基体に充填した後に基体を静置する時間も限定されず、適宜選択することができる。例えば、静置時間を、通常1〜20分程度、好ましくは1〜5分程度とすることができる。
【0065】
本発明の第三方法では、このようにして、液状薬剤を粉体材料で被覆することができる。従って、後の工程において、容易に保護層を形成することができる。
【0066】
(D)第四方法
第四の方法では、上記第三方法で得られた、粉体材料で被覆された液状薬剤を凍結させる。凍結させる条件は限定されず、液状薬剤の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、凍結温度は、液状薬剤の融点より低い温度とすることができる。また、凍結時間は限定されず、液状薬剤が十分に凍結されればよい。
【0067】
粉体材料で被覆された液状薬剤を凍結させることによって、より確実に保護層を形成することができる。
【0068】
(iii)第三工程
第三工程では、液状薬剤を粉体材料で被覆した後、保護層を形成する。
【0069】
保護層を形成する方法は限定されないが、一般的に材料の表面をコーティングする方法を使用することができる。例えば、保護層を簡便に形成することができる点から、スプレーコーティング、ディスペンサによる塗布、インクジェットによる塗布等を行うことが好ましい。
【0070】
このような方法で保護層を形成するためには、まずは、上で例示した保護層を構成する成分を溶媒に溶解すればよい。溶媒の種類は限定されず、保護層の構成成分が溶解し、スプレーコーティング、ディスペンサによる塗布、インクジェットによる塗布等を行うことができるような溶媒であればよい。例えば、液状薬剤を凍結させた場合には、その融解を防ぐ又は遅らせるために低温下で保護層の形成を行うことが好ましいので、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、アセトンのような低沸点溶媒を使用することが好ましい。
【0071】
上記第一方法〜第三方法を選択する場合は、保護層の構成成分を粉体材料層の構成成分と同じにすることにより、保護層の形成を容易に行うことができ、保護層の密着性も優れたものとなる。
【0072】
保護層を形成する条件は限定されず、液状薬剤に影響を及ぼさない条件下で行うことができる。例えば、凍結させた液状薬剤を有する基体に保護層を形成する場合は、液状薬剤の融点から0〜+20℃程度、好ましくは+2〜+5℃程度とすればよい。
【0073】
また、保護層を形成するための装置は限定されず、市販の装置を使用することができる。例えば、スプレーコーティングを行う場合、10〜30μm程度の微小液滴での供与が可能な市販の精密スプレーコーターを用いることが好ましい。このような機械を使用する場合には、保護層を形成するコーティング液は、例えば、固形分1〜10重量%程度のものを使用するのが好ましい。
【0074】
ディスペンサによる塗布の場合、保護層を形成するコーティング液の粘度は、通常、数センチポイズ〜数十ポイズである。ディスペンサによる塗布の場合、コーティング液が濃厚溶液であるので、保護層形成のための塗布回数を少なくすることができる。
【0075】
インクジェットによる塗布の場合、保護層を形成するコーティング液の粘度は、通常、1〜10センチポイズ程度である。インクジェットによる塗布を行う場合、コーティング液の吐出量が、通常数nl〜100μl程度、好ましくは1〜10μl程度である装置を用いるのがよい。インクジェットによる塗布は、塗布範囲が限定されており、形成される保護層の寸法に精度が求められる場合に有効である。
【0076】
このような塗布は、一度行うだけでもよいが、所望の厚さに応じて複数回行うこともできる。また、保護層の形成は、液状薬剤を有する凹部及びその周辺だけに行うこともできるし、基体の凹部を有する面全体に行うこともできる。
【0077】
(4)その他
最後に、必要に応じて、保護層が形成された基材を乾燥させる。乾燥の条件は限定されず、保護層の構成成分を溶解させた溶媒の種類等に応じて適宜選択することができる。
【0078】
例えば、使用した溶媒の沸点以上の温度下におくことにより乾燥することができる。また、使用する液状薬剤中に含まれる生体材料、薬物等が失活しない温度で行うことが必要である。従って、溶媒の沸点が液状薬剤に悪影響を及ぼす温度以上の場合、加熱を行わずに、送風、乾燥時間の延長等により保護層を乾燥させることができる。
【発明の効果】
【0079】
本発明方法によれば、簡便な方法で液状薬剤を充填した積層体を得ることができる。この方法によれば、高温を必要としないので、液状薬剤の失活は起こらない。また、液状薬剤が充填できることにより、乾燥状態、固体状態では不安定な物質又は不安定な物質を安定な状態で保存、使用等することができる。
【0080】
また、本発明積層体は、実質的に空隙を有さないので、周囲の温度が上昇した場合でも、空隙の空気の膨張による層の剥離を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0081】
以下、実施例を示し、本発明の特徴を一層明確にする。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0082】
実施例1
以下に示すようにして非対称DDS製剤を製造した。この非対称DDS製剤の平面図を図3に、そのB−B線断面を図4に示す。
【0083】
材料
各層を形成するための材料としては、以下のものを用いた。
(1)基材;厚み1mmのシリコーンゴムシート(信越化学工業社製)
(2)胃溶層形成用インキ;ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業社製)の25%アミルアルコール溶液
(3)腸溶層形成用インキ;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(信越化学工業社製)の25%塩化メチレン溶液
(4)粘着層形成用インキ;カルボキシビニルポリマー(商品名;カーボポール940 ノバゲン社製)25%塩化メチレン溶液
(5)不溶層形成用インキ;エチルセルロース(信越化学工業社製)の25%塩化メチレン溶液
(6)薬剤;インスリンを100IU/ml、ラブラゾール(登録商標、カプリルカプロイルマクロゴール−8グリセリド)を10重量%濃度で含有する水溶液を使用した。
【0084】
スクリーン印刷に用いる版としては、メッシュ120μm−メッシュ間隔200μm、レジスト厚が200μmの版を用い、スプレーコーティングには、メタルステンシル版を使用した。
【0085】
版のパターンとしては、胃溶層、腸溶層、粘着層及び不溶層を形成する場合には、円形(直径3mm)のパターンを有する版(版1)、薬剤を充填する場合には、円形(直径2mm)のパターンを有する版(版2)、中空の不溶性層を形成する場合には、内径2mm、外形3mmのドーナツ形状のパターンを有する版(版3)を用い、スプレーコーティングには、、円形(直径3mm)のパターンを有するメタルステンシル版(版4)を使用した。
【0086】
スクリーン印刷機としては、SERIA SSP−650(東海商事社製)を使用した。薬液を充填するための機械としては、マイクロディスペンサ(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。スプレーコーターには、3DC(ナノテック社製)を用いた。
【0087】
製剤の製造
スクリーン印刷機に、版1を設置し、基材を設置した。その後、胃溶層形成用インキを印刷し、これを60℃で5分乾燥した。次に、胃溶層の上に、腸溶層形成用インキを印刷し、これを60℃で5分乾燥した。さらに、腸溶層の上に、粘着層形成用インキを印刷し、これを60℃で5分乾燥し、保護層を形成した。
【0088】
その後、スクリーン印刷機に版3を設置し、粘着層の上に不溶層形成用インキを二度印刷し、60℃で5分乾燥し、基体の凹部を形成した。次に、スクリーン印刷機に版2を設置し、ディスペンサで、1パターンあたり0.3μlの薬剤を凹部に滴下した後に、この薬剤を−10℃で1時間凍結した。
【0089】
スプレーコーターの温度を−3℃に保ち、微結晶セルロース(アビセルPH−101、旭化成社製、平均粒子径50μm)を、スプレーノズルを用いて、充填部を開口したメタルマスクを介して薬剤充填部に積層(積層深さ20μm)した。
【0090】
次いで、基材にメタルステンシルマスク設置し、薬剤が被覆されるように不溶層形成用インキを印刷し、60℃で5分乾燥した後、基材を治具を用いて延伸することにより製剤を剥離し、本発明積層体を得た。
【0091】
実施例2
ポリ乳酸樹脂(LACEA、三井化学(株)製、「H−280」)から、厚さ350μmのシートを作成し、20×20mmの大きさに裁断して、ポリ乳酸プレートを用意した。
【0092】
ホットエンボス装置(EHE010、エンジニアリングシステム社製)を用い、150℃で2分間熱プレスし、転写を行い、ポリ乳酸プレートに一辺500μm、深さ100μmの凹部を形成した。
【0093】
液状薬剤として、インスリンを100IU/ml、ラブラゾール(登録商標、カプリルカプロイルマクロゴール−8グリセリド)を10重量%濃度で含有する水溶液を使用した。この液状薬剤に、10V/W%となるよう超微粉末シリカ(マイクロイドML−362、東洋化学工業社製、粒子径10μm、かさ比重0.12g/m3)添加したものを、ディスペンサ(マイクロディスペンサMS−7、武蔵エンジニアリング社製)を用いて凹部に充填した。
【0094】
その後、液状薬剤を充填したポリ乳酸プレートを3分間静置すると、コロイダルシリカが液状薬剤の上面に浮上し、コロイダルシリカの層を形成した。液状薬剤を−20℃で20分間凍結させ、−4℃に保温したチャンバーに搬送し、クロロホルムに溶解したポリ乳酸(10W/W%)を、スプレーコーター(Spray Coater 3DC、ナノテック社製)を用いてスプレーコーティングにより被覆し、−4℃で20分間乾燥し、ポリ乳酸からなる保護層を形成した。このようにして、本発明積層体を得た。
実施例3
実施例2と同様にして、表面にコロイダルシリカの層が被覆した液状薬剤を凍結させた。その後、−4℃に保温したチャンバーに搬送し、クロロホルムに溶解したポリ乳酸(10W/W%)を、スプレーコーター(Spray Coater 3DC、ナノテック社製)を用いてスプレーコーティングにより被覆した。
【0095】
このスプレーコーティングは、コーティング条件1で2往復のコーティングを行った後、コーティング条件2で3往復のコーティングを行った。
【0096】
(I)コーティング条件1:
空気圧:2Kg/cm2
コロイダルシリカ層までの距離:10cm
ノズルの移動速度:8mm/秒
コロイダルシリカ層到達時の液滴の大きさ:5μm
コーティング条件1のコーティングでは、コーティング液中のクロロホルムが揮散して、ポリ乳酸が乾燥粒子の状態で、コロイダルシリカ層に到達していることを、顕微鏡により確認した。
【0097】
(II)コーティング条件2:
空気圧:2Kg/cm2
コロイダルシリカ層までの距離:2cm
ノズルの移動速度:12mm/秒
コロイダルシリカ層到達時の液滴の大きさ:10μm
このようにして、ポリ乳酸からなる保護層を形成させ、−2℃で20分間乾燥させて、本発明積層体を得た。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明積層体の一例を示す平面図である。
【図2】本発明積層体の一例を示す断面図である。
【図3】実施例1で得られた本発明積層体の平面図である。
【図4】実施例1で得られた本発明積層体の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)凹部を有する基体、(b)液状薬剤、(c)粉体材料層及び(d)保護層を有し、前記液状薬剤が基体の凹部及び保護層で囲まれた空間に実質的に空隙を有しない程度に充填され、粉体材料層は液状薬剤と保護層との間に形成されている薬剤含有積層体。
【請求項2】
(c)粉体材料層を構成する粉体材料が、シリカ系微粒子及びセルロース系微粒子からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
(c)粉体材料層を構成する粉体材料の平均粒径が1〜50μmである請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
(a)凹部を有する基体、(b)液状薬剤、(c)粉体材料層及び(d)保護層を有し、前記液状薬剤が基体凹部及び保護層で囲まれた空間に実質的に空隙を有しない程度に充填され、粉体材料層は液状薬剤と保護層との間に形成されている積層体の製造方法であって、
(1)基体の凹部に液状薬剤を充填する工程;
(2)前記液状薬剤を凍結させる工程;
(3)前記の凍結させた薬剤の表面に粉体材料層を形成する工程;及び
(4)基体上及び粉体材料層上に保護層を形成する工程
を含む、薬剤含有積層体の製造方法。
【請求項5】
(a)凹部を有する基体、(b)液状薬剤、(c)粉体材料層及び(d)保護層を有し、前記液状薬剤が基体凹部及び保護層で囲まれた空間に実質的に空隙を有しない程度に充填され、粉体材料層は液状薬剤と保護層との間に形成されている積層体の製造方法であって、
(1)基体の凹部に液状薬剤を充填する工程;
(2)前記液状薬剤を凍結させる工程;
(3)前記の凍結した薬剤表面に到達する際に固体状となるように、粉体材料を含む懸濁液をスプレーコーティングすることによって、薬剤表面に粉体材料層を形成する工程;及び
(4)基体上及び粉体材料層上に保護層を形成する工程
を含む、薬剤含有積層体の製造方法。
【請求項6】
前記(4)工程において、保護層を形成するための材料として粉体材料層を構成する粉体材料と同一の材料を使用し、該材料を含む懸濁液を、基体上及び粉体材料層上に到達時に液体状態を維持するようにスプレーコーティングすることにより、基体上及び粉体材料層上に保護層を形成する、請求項5に記載の積層体の製造方法。
【請求項7】
(a)凹部を有する基体、(b)液状薬剤、(c)粉体材料層及び(d)保護層を有し、前記液状薬剤が基体凹部及び保護層で囲まれた空間に実質的に空隙を有しない程度に充填され、粉体材料層は液状薬剤と保護層との間に形成されている積層体の製造方法であって、
(1)基体の凹部に、粉体材料を含む液状薬剤を充填する工程;
(2)基体を静置することにより、液状薬剤に含まれる粉体材料を液状薬剤表面に浮上させ、液状薬剤表面に粉体材料層を形成する工程;及び
(3)基体上及び粉体材料層上に保護層を形成する工程
を含む、薬剤含有積層体の製造方法。
【請求項8】
前記工程(3)に先立ち、粉体材料層で被覆された液状薬剤を凍結させる工程を更に含む請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−45072(P2006−45072A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224646(P2004−224646)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】