説明

液面下に沈める灌流バイオリアクター

本発明は、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、又は流体濾過のための装置であって、第1の表面及び第2の表面を有する本体、ここで前記本体は枠によって境界が定められている;前記本体の中心にあり、前記第1の表面及び前記第2の表面において第1のプレート及び第2のプレートによって覆われたアパーチャ、ここで前記第1のプレート及び/又は第2のプレートは、液体媒体が前記アパーチャへ入ることを可能とする入口オリフィスを含む;前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の前記アパーチャに配置された回転手段;少なくとも1つの凹部を含む前記枠、ここで前記凹部は、前記本体の枠中に存在するキャビティであって、前記液体媒体が前記本体外へ流出することを可能とする第1の出口オリフィスを含む;円状アパーチャを前記凹部と接続する、少なくとも1つの出口チャンネル、を含むことを特徴とする前記装置を開示する。本発明はさらに、液体を装置のアパーチャへと送りこまれ、少なくとも1つの出口チャンネルを通って排出される方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、例えば細胞を培養するため、特に三次元構造で細胞を培養するために灌流を得るための装置に関する。さらに、細胞を培養する方法、特に三次元構造で細胞を培養する方法が提供される。本発明はまた、組織工学及び人工臓器を目的として細胞を培養する装置の利用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
細胞の培養は極めて複雑な課題である。細胞の最適な増殖を得るために、異なる種類の細胞には、異なる種類の液体媒体、及び異なる増殖条件が必要とされるからである。増殖条件は、化学的組成、媒体の流速、機械的刺激、電磁的刺激を含む。
【0003】
細胞は2D(次元)層中で培養され得、培養組織フラスコ及び培養プレート中で従来は培養されてきた。この方法において、細胞は単層で増殖し、液体媒体は細胞の上に添加される。培養フラスコと培養皿は、温度及びCO2レベルを最適化するためにインキュベータの内部に置かれる。しかし、単層培養は細胞にとって最適ではない。細胞は、自然環境と同様の条件を享受しないからである。細胞にとってより自然な環境を得るために、増殖条件の変化(例えば酸素レベルの変化)が誘導され得る。
【0004】
多数の実験を通じ、ほとんどの場合において、特に初代細胞において、3D細胞培養は2D細胞培養よりもはるかに生体内の状況に近い状況が再現されることが示されている。主な理由は、自然環境が通常3Dであることにある。したがって3D細胞培養は、インビトロで複雑な生物プロセスのモデル化/制御のための重要な分野となる。細胞の平面層と複雑な3D組織との間には大きな違いがある(Abbott A, “Biology’s new dimension”, Nature 21:870-872, (2003))。例えば2D培養では、正常な乳腺上皮細胞と悪性の乳腺上皮細胞の両方が、コクサッキーウイルス・アデノウイルス受容体(CAR)を同様に高レベルで備えている。しかし3D培養では、悪性細胞のみがCARの上方制御を有する(Anders M et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 100, 1943-1948, (2003))。
【0005】
さらに、3D足場において胚性幹(ES)細胞の増殖及び分化をさせる細胞培養実験はまた、2D培養よりも大きな細胞増殖及び分化を示す(Willerth SM, et al., “Optimization of fibrin scaffolds for differentiation of murine embryonic stem cells into neural lineage cells”, Biomaterials, 27:5990-6003, (2006))。
【0006】
成人の幹細胞、例えばヒト間葉系幹細胞(hMSC)において、インビトロでの幹細胞の骨形成能に関して3D培養が従来の2D培養よりも優れていることが証明されている(Machado CB et al., “3D chitosan-gelatin-chondroitin porous scaffold improves osteogenic differentiation of mesenchymal stem cells”, Biomed. Mater. 2:124-131, (2007); Grayson WL et al., “Human mesenchymal stem cells tissue development in 3D PET matrices”, Biotechnol Prog., 20(3):905-12, (2004); 3D Culturing is Superior to 2D Conventional Culturing in Examining The Osteogenic Potential of Stem Cells In Vitro, 3D Biotek, LLC, North Brunswick, NJ, 675 US Highway 1, North Brunswick, NJ 08902, http://3dbiotek.com/Documents/3DScaffold _Osteogenesis.pdf.)。
【0007】
たとえ2Dで分化がうまくいくとしても、臨床適用における用途は限られる。なぜならば、形成される細胞外マトリックスの構造が元の組織形態からかけ離れているからである。
【0008】
組織工学の目的で使用され得る、適切に分化した細胞を得るため、多孔性足場を用いた異なる3D培養法が開発されてきた。
【0009】
単純な拡散は約200μmよりも長い距離への輸送のためには不十分であるため、3D培養は、細胞に向かう栄養素及び酸素の流れを増大させる手段、及び主に足場内に位置する細胞からの廃棄生成物の除去を増大させる手段を必要とする(Ko HCH et al., “Engineering thick tissues - the vascularisation problem”, European Cells and Materials, 14:1-19, (2007))。
【0010】
足場の中心への十分な輸送は、例えばEP1736536A2に記載されているように、細胞をフラスコ内で回転させること(いわゆるスピナー・フラスコ)によって実現され得る。細胞を足場に付着させ、次いでその足場を、液体媒体で満たされたスピナー・フラスコの中に配置する。液体媒体は、マグネティック・スターラーまたはシャフト付き羽根車を用いて足場に対して運動され、固定された足場への/からの、栄養素/廃棄物の交換を促進する対流手段を提供する。流体のこの運動が、付着している細胞に対して増大された剪断力を及ぼし、そしてそれは細胞の分化に影響することが知られている。
【0011】
この培養法の主な欠点は、足場が完全または均等に灌流(perfuse)されないことである。さらに、各々の足場周辺の粘性の流場は、フラスコ内の正確な空間位置によって異なるため、1つのフラスコ内で9個以上のサンプルを培養するときに一貫した結果を得ることが難しい。これはこの方法の1つの欠点である。なぜならこの方法は、灌流(perfusion)設備の全体的な設置面積が増大するからである。
【0012】
対流による輸送量の増加は、足場の表面に近い体積に限定される。足場の内部は相変わらず拡散に依存している。細胞の分化に対して剪断応力の増加が及ぼす効果に関しても、やはり足場に表面的に位置する細胞に限定される。
【0013】
他の方法は、小さな足場が培養ラックの底部に配置され、栄養素を連続的に供給するために液体媒体がその足場を横断する灌流法を含む(Cartmell SH et al., “Effects of Medium Perfusion Rate on Cell-Seeded Three-Dimensional Bone Constructs in Vitro”,. Tissue Engineering, 9(6):1197-1203, (2003); Bancroft GN et al., “Technical Note: Design of a Flow Perfusion Bioreactor System for Bone Tissue-Engineering Applications “, Tissue Engineering, 9(3):549-554, (2003))。しかしこれらの方法には大きな欠点がある。灌流に関しては、装置それ自体が理想的でない。なぜなら液体媒体を一定流に維持するには多くのチューブが必要とされるからである。さらに、ポンプやフラスコといった多くの装置がインキュベータの内部に配置されているため、インキュベータの貴重な棚空間が多く占領される。
【0014】
足場を灌流する別の方法は、微細な制御が可能な直線作動式プランジャに足場を取り付け、媒体を収容した容器の中でプランジャを上下に運動させるというものである(Timmins NE et al., “Three-Dimensional Cell Culture and Tissue Engineering in a T-CUP (Tissue Culture Under Perfusion)”, Tissue Engineering, 13(8):2021-2028, (2007))。このシステムは、チューブの必要性が解消できておらず、多数の組み立て部品を含んでいる。さらに、足場を通過する平均流は計算できるが、個々の足場の間の流れが一様でないため、灌流は一様でなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
発明の目的
本発明の目的は、上記の問題を減少させる細胞培養法を作り出すことである。したがって本発明の目的は、設備が単純であり、灌流システムを得るのに外付けの送りこみ(pumping)機構を必要としないコンパクトな装置を作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の説明
本発明は、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、又は流体濾過のための装置であって、
− 第1の表面及び第2の表面を有する本体;ここで前記2つの表面の間で本体の厚さが規定され、前記本体は枠(rim)によって境界が定められている;
− 前記本体の中心にあり、前記第1の表面及び前記第2の表面において第1のプレート(plate)及び第2のプレートによって覆われたアパーチャ(aperture);ここで前記第1のプレート及び/又は第2のプレートは、液体媒体が前記アパーチャへ入ることを可能とする入口オリフィス(inlet orifice)を含む;
− 前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の前記アパーチャに配置された回転手段;
− 細胞培養のための、少なくとも1つの凹部を含む前記枠;ここで前記凹部は、前記本体の枠中に存在するキャビティ(cavity)であって、前記液体媒体が前記本体外へ流出することを可能とする第1の出口オリフィス(outlet orifice)を含み;ここで第1の壁部(wall)が、前記キャビティに沿って前記凹部の境界を定める;
− 前記アパーチャを細胞培養のための前記凹部と接続する、少なくとも1つの出口チャンネル(outlet channel)
を含む、前記装置を提供することによってこれらの問題に対処する。
【0017】
本発明の本体及び本体のアパーチャは、好ましくは円形である。しかし凹部を横断する一様でない液体流が望ましい場合には、他の形も有利であり得る。
【0018】
この明細書全体を通じ、細胞は、微視的及びメゾスコピックな生物単位(原核細胞、真核細胞、原生動物、幼虫、蠕蟲、これらの卵)における共通因子(common denominator)である。さらに、同じ用語を、カプセル化した細胞や凝集した細胞などに適用する。
【0019】
1つの装置は、1又は2以上の凹部を含むことができる。凹部は、出口チャンネルを通じて本体のアパーチャに接続される。液体媒体が、第1及び/又は第2のプレートに存在する入口オリフィスを通って本体のアパーチャに入り、出口チャンネルと凹部を通過した後、第1の出口オリフィスによって本体の外に排出される。
【0020】
入口オリフィスは、アパーチャの一方の側に配置されている第1のプレートに存在している。それに対して第2のプレートは、アパーチャの反対側に配置されていて、液体媒体がアパーチャを通過するのを阻止する。場合によっては、最適な流れを得るため、入口オリフィスの断面積は、アパーチャの断面積よりもかなり小さいものであり得るが、アパーチャが接続される出口チャンネルの断面積よりも大きいものであり得る。
【0021】
この装置は、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は通常利用されている他の類似の材料で製造することができる。この装置で使用できる別の材料は、射出成形可能なセラミックや複合体である。この装置の異なる部分は、異なる種類の材料で製造することができる。例えば本体をポリスルホンで製造し、回転手段をテフロン(登録商標)で製造することができる。
【0022】
それに加え、この装置は、生物分解性材料で製造することができる。そうすることで、足場ありで培養される細胞、または足場なしで培養される細胞を、移植時に、この装置内またはこの装置の一部に保つことができる。凹部はヒトまたは動物の内部に残されるが、制御された状態で分解されることになる。
【0023】
別の方法として、凹部の表面は改変されて細胞が培養される場所とされ得る。これは、細胞培養フラスコで利用されている従来法において、または文献に報告されている従来法において、細胞を凹部に直接付着させることによって実現され得る。このようにすると、細胞を凹部やさまざまな種類の足場で直接増殖させることができる。さらに、表面を処理して細胞の付着を誘導するだけでなく、細胞に影響を与えてその増殖または分化を促進することができる。一例として、増殖因子及び/又はホルモンを表面に直接に、または被覆を通じて可逆的に結合させ、足場ありの培養を通じて、または足場なしの培養を通じて細胞に影響を与えることができる。
【0024】
好ましい一実施態様において、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、流体濾過のための装置は、液体媒体を収容する容器の中でこの装置を信頼性よく中心に位置させ、且つ水平にする手段をさらに含む。
【0025】
一様な流れを得るには、この装置が、容器に対して静止状態で中心且つ水平にされる必要がある。これは、例えば小さな留め具を装置に付加することによって実現され得る。当該留め具は、容器内で装置を配置し、その装置が例えば磁場に対して動かないようことができる。これは、装置の本体と液体媒体を収容する容器の側面との間にそれぞれ反対側に少なくとも2つの留め具を配置することによっても実現できる。あるいは1又は2以上の留め具は、装置の本体と液体媒体を収容する容器の底部の間に配置され得る。すなわち本体は、例えば磁場に対して所定の位置に保持されるが、それでも本体は自由に回転できる。
【0026】
さらに、回転手段が磁石からなる場合(当該磁石はマグネティック・スターラーによって作動して液体媒体を収容する容器の下方、したがって装置の下方に配置される)、作動するそのマグネティック・スターラーによって生じる磁場は、磁石を自動的にアパーチャの中心に配置させる大きさにすることができると考えられる。こうすることで装置は磁場に対して同じ位置に留まり、異なるチャンネル内の一様な流れが乱されることはない。
【0027】
液体媒体を収容する容器という用語は、本明細書において、あらゆるビーカー、箱、フラスコ、プレート、ポットなどであると理解されるものとし、そしてそれは装置に関して本発明が適切に機能するように使用され得る。
【0028】
この明細書全体を通じ、枠(rim)という用語は、本体の外縁部と理解され得る。枠は、本体の第1の出口オリフィスと、第1及び第2の表面との間の堅固な枠にすること、又は一部を開いた状態にすることができる。
【0029】
表面(surface)は、使用中に本体の頂部(top)と底部(bottom)を覆う平坦な面であるか、または表面は、出口チャンネルの一部及び凹部と少なくとも部分的に一体化され得る。第1及び第2の壁部(wall)を、少なくとも1つの凹部の前記第1の壁部の一部及び前記出口チャンネルの一部と少なくとも部分的に一体化すると、凹部形状と一緒になった出口チャンネルの形状が前記表面形状の一部となり、したがって表面の形は平坦でなくなる。
【0030】
有利な実施形態において、前記第1及び第2の表面は、実質的に平行である。そしてそれにより、装置の本体の厚さは本体に沿って一定になる。
【0031】
有利な実施形態において、第1のプレート(plate)及び/又は第2のプレートは、装置と一体化した部分である。
【0032】
装置のアパーチャ(aperture)は両側がプレートによって覆われる。一方のプレートは、液体媒体を装置の中に入れるための入口オリフィス(inlet orifice)を有する。これらのプレートは、細胞培養装置と一体化した部分であり得る。それにより、細胞培養装置が汚染されるリスクが小さくなる。なぜなら多数の部品があると多数の溝が生まれて、例えば真菌や細菌が増殖する可能性があるからである。
【0033】
別の有利な実施形態において、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、流体濾過のための装置は、容器と一体化した部分であり得る。これにより、液体媒体を添加する前に装置を容器の中に配置する必要がないため、取り扱う組み立て部品の数がさらに減る。さらに有利な実施形態において、足場または細胞を装置の中に配置し、液体媒体を容器の中に注入した後、容器の開口部(opening)の上に蓋が配置される。組み立て部品の数を減らし、さらに蓋を容器の開口部の上に配置することで、汚染のリスクが低下する。
【0034】
容器(vessel)という用語は、あらゆる容器(vessel)、容器(container)、ペトリ皿、ビーカー、瓶などであると理解され得る。それは、液体媒体を収容でき、そして液体媒体を装置の液体用オリフィスの中へ送りこむために、当該液体媒体の中に沈められた装置を覆うことができる。
【0035】
さらに有利な実施形態において、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、流体濾過のための装置は、第1又は第2のプレートに実質的に平行な平面に沿って、2つの部品、すなわち頂部部品(top part)と底部部品(bottom part)に分割されており、ここで前記平面は、前記少なくとも1つの凹部と前記少なくとも1つの出口チャンネルをさらに分割する。
【0036】
本発明はさらに、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、流体濾過のための装置であって、底部部品及び頂部部品という2つの部品を含み、前記底部部品と前記頂部部品が組み合わされて本体となり、ここでは頂部部品は、
− 第1の表面、前記第1の表面に存在し、第1のプレートで覆われた第1のアパーチャ;ここで前記第1のプレートは、アパーチャ中に液体媒体が入ることを可能とする入口オリフィスを含む;
− 凹部において、前記頂部部品の縁部から内側に延びるように配置されている、トンネル形状区画の上部(upper part);
− 前記第1のアパーチャを前記少なくとも1つの凹部と接続する、少なくとも1つの出口チャンネルの上部;
を含み、前記底部部品は、
− 第2の表面、前記第2の表面に存在し、第2のプレートで覆われた第2のアパーチャ;
− 大きさと形が前記上部の前記凹部に対応する少なくとも1つの凹部の下部(lower part);
− 第2のアパーチャを前記少なくとも1つの凹部と接続する少なくとも1つの出口チャンネルの下部
を含み、ここで前記頂部部品及び前記底部部品が、組み合わせ手段を含み、
− それにより、前記少なくとも1つの凹部の下部は、前記少なくとも1つの凹部の前記上部と重ねられ、前記少なくとも1つの出口チャンネルの前記下部は、前記少なくとも1つの出口チャンネルの前記上部と重ねられ、前記第1及び第2のアパーチャは、重ねられて1つのアパーチャを形成し、回転手段が前記アパーチャに配置される
前記装置をさらに記載する。
【0037】
さらに有利な実施形態において、底部部品は容器と一体化される。
【0038】
この実施態様において、装置は、2つの部品、すなわち底部部品と頂部部品を含む。当該2つの部品は、装置本体の第1及び第2の表面の間に配置された平面に沿って装置を分割することによって形成され得る。すなわち当該平面は本体の枠を突き抜ける。好ましくは、本体、すなわち第1の出口オリフィスにおける第1及び第2の表面に挟まれた厚さは、半分に分割される。しかし細胞及び/又は足場を凹部の下部に容易に配置できるのであれば、別の分割法が可能である。
【0039】
底部部品は、凹部の下部(使用中)、出口チャンネルの下部又はその一部(使用中)、第2の表面、第2のプレート及びアパーチャの下部(使用中)を含む。アパーチャの下部の中には、場合によっては回転手段を配置することができる。有利な実施形態として、装置の底部部品は容器の床と一体化され、先に記載されたように容器と一体化される。
【0040】
頂部部品は、凹部の上部(使用中)、出口チャンネルの上部又はその一部(使用中)、第1の表面、第1のプレート、入口オリフィス及びアパーチャの上部(使用中)を含む。
【0041】
凹部の上部は、前記頂部部品の縁部から内側に向かって伸びて配置されたトンネル形状区画である。そして凹部の下部は、前記底部部品の縁部から内側に向かって伸びて配置されたトンネル形状区画である。頂部部品からのこのトンネル形状区画は、底部部品の下部の大きさおよび形に対応しており、それにより凹部は、トンネル形状区画の上部と下部を重ねることによって形成される。形成された凹部は、頂部部品と底部部品の縁部によって規定される本体の枠の位置、及び/又は頂部部品と底部部品の縁部の間で規定される本体の枠の位置に、第1の出口オリフィスを形成する。
【0042】
したがって、トンネル形状区画の大きさと形が、凹部の大きさと形を規定する。凹部の大きさと形は、頂部部品と底部部品を組み合わせることによって凹部の上部から下部まで滑らかな横断部が形成されるように対応しさえすればよいことは、暗黙の了解事項である。
【0043】
したがって、底部部品と頂部部品を組み合わせると、第1及び第2の平面を有し、第1のアパーチャと第2のアパーチャが積み重ねられたアパーチャを含む本体となる。当該アパーチャは第1のプレート及び第2のプレートに覆われる。液体が、第1のプレートに存在する入口オリフィスを通ってアパーチャへと、回転手段によって送りこまれる。本体は、頂部部品及び底部部品からの上部及び下部を各々重ねることによって形成される、少なくとも1つの出口チャンネルをさらに含む。さらに本体は、凹部の上部を形成する上部トンネル形状区画と、凹部の下部を形成する下部トンネル形状区画を重ねることによって形成される、少なくとも1つの凹部を含む。このようにして形成された出口チャンネルは、アパーチャを凹部と流体連絡し、液体は、トンネル形状区画によって形成された第1の出口オリフィスを通って本体から排出され得る。
【0044】
第1のプレート及び/又は第2のプレートは、本体と一体化した部分であり得るか、またはそれらは頂部部品と底部部品に取りつけられ得る。有利な実施形態において、入口オリフィスは、それを通じて液体がアパーチャに送り込まれる小さなチューブであり得る。頂部部品に小さなチューブを付加すると、組み合わせ工程における頂部部品の扱いが楽になる。
【0045】
有利な実施形態において、底部部品及び頂部部品は、当該2つの部品が回転中でも固定されるように、当該部品を互いに組み合わせる手段を含む。これらの手段は:スナップ・ロック、磁気ロック、ネジ、プレス嵌め、及び/又は2つの部品を組み立てるときに開口部の中に嵌まる突起であり得る。各装置に存在する手段の数は、回転中に2つの部品を保持するために十分でなければならない。したがって速度が大きくて係合がほんの表面的なものである場合には、多数の手段が存在し得るのに対し、各手段がきつく係合する場合には数個または1個の手段が存在し得る。別のやり方として、2つの部品は別の方法で、例えば当該部品を互いに接着または溶接することにより結合され得る。
【0046】
有利には、当該手段は、実験中に細胞及び/又は足場にアクセスできるように、装置を複数回再利用できるように、開閉が複数回可能である。
【0047】
2つに分けられる装置、すなわち底部部品と頂部部品を含む装置は、以下のようにして使用される。足場及び/又は細胞は、底部部品の凹部に配置され、回転手段はアパーチャの下部に配置される。その後、装置の頂部部品は、底部部品と組み合わせられる。底部部品が容器と一体化していない場合、または足場を配置する前に底部部品が容器の中に配置されていなかった場合には、組み立てられた装置は容器の中に配置され得る。液体媒体を、装置を覆うよりも高くなるまで容器の中に注いだ後、回転を開始する。液体は入口オリフィスを通って細胞及び/又は足場に通過することができる。
【0048】
別の方法として、第1のプレートが頂部部品と、第2のプレートが底部部品と一体化していない場合には、回転手段は、底部部品と頂部部品を組み合わせた後に配置され得る。
【0049】
当該2つに分けられる装置は、細胞/足場及び回転手段を配置及び除去するための、凹部及びアパーチャへの容易な接近を提供する。これにより、装置の取り扱いがより容易かつ迅速化できるため、汚染のリスクが減る。さらにこの実施形態により、取り扱い工程を自動化することがより容易になる。
【0050】
さらに有利な実施形態において、装置は、3つの部品を備えるキットとして提供され得る。3つの部品とは、容器と一体化した底部部品、底部部品の上に配置される頂部部品、及び容器の上に配置される蓋である。
【0051】
それに加え、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、流体濾過のための装置を製造する方法として、例えば射出成形または吹き込み成形によって製造する方法が記載されている。
【0052】
当該装置は、異なる種類のプラスチックのほか、射出成形可能なセラミック又は複合体から製造され得る。成形は、特に諸部品が単一材料片から形成される場合には、頂部部品と底部部品に加え、場合によっては容器と蓋も作り出す経済的に有利な方法である。さらに成形によって、底部部品の容器への一体化がなされ得る。
【0053】
さらに有利な実施形態において、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、流体濾過のための装置は外部手段を含む。当該外部手段は、本体の凹部に係合する。この外部手段または出口チャンネルは、入口開口部(inlet opening)、及び第2の出口開口部(outlet opening)、並びに前記入口開口部と前記第2の出口開口部との間の流体連結を含む;前記外部手段は、外部手段の外面を規定する第2の壁部によって境界が定められた三次元形状の要素である。
【0054】
この装置に外部手段を結合させることが有利である。それにより、細胞を含む足場又は細胞それ自体は外部手段中に導入され、その後本体それ自体と結合され得る。これは、特に取り扱いの点で非常に有利である。なぜなら足場又は細胞を装置の異なる凹部に入れるには、本体を回転させて角度を変えねばならないからである。
【0055】
さらに、1つの外部手段を除去して新しい外部手段を追加することによって、外部手段は実験中に変更され得る。このようにして、細胞が類似の細胞増殖条件の影響を受ける、時間分割実験を行なうことができる。
【0056】
外部手段は、圧入によって凹部に嵌めることができる。好ましい実施形態として、外部手段は外側枠に沿ってフランジを含む。それにより、外部手段は凹部の特定の位置に挿入され得る。さらに外部手段は、フランジによってより容易に外れる。さらなる実施形態として、外部手段を緩める特定の装置は外部手段を用いて提供され得る。さらに別の実施形態において、装置は本体に当該外部手段を固定するための外部手段を含む。
【0057】
さらに有利な実施形態において、外部手段は外ネジを含み、外部手段が凹部と係合するときに、当該外ネジが内部手段の中に設けられた内ネジと係合する。
【0058】
外部手段と凹部との間の圧入接続とは異なり、ネジは凹部の内側と外部手段の外側に配置され得る。このようにして、外部手段が凹部と結合される。外部手段を中央アパーチャからの出口チャンネルと係合させるために、出口チャンネルのネジはオスまたはメスのいずれかであり得、外部手段ではそれと逆にされ得る。前記ネジがLuer Lok(登録商標)の形状を持つことが有利であり得る。これは、いくつかの実験において、外部手段と凹部を互いに完全に付着させる上で好ましい。それに加え、2つの部品の分離及び付着が、圧入よりも信頼性よく、且つより容易であり得る。
【0059】
別の方法として、例えば、http://www.tiresias.org/research/reports/clasps.htmlに図示されているスライド・ロック式留め具または歯式留め具を用いて外部手段と2枚の平行なプレートを固定することができる。
【0060】
さらに有利な実施形態において、足場上に表面的剪断応力を誘導するため、細胞培養のための外部手段は、収容されている足場の周囲を流れが回れるように設計され得る。細胞培養のための外部手段に対するこの改変により、塊になった足場の内部における灌流の流速が急速に低下することになる。この構成はスピナー・フラスコでの培養の効果を真似ているが、再現性がはるかによくなり、設備の設置面積がはるかに小さくなる。
【0061】
さらに有利な実施形態において、出口チャンネルは円錐形であり、ここで円錐形出口チャンネルの最小の断面領域は、アパーチャに接続されている。さらに一層有利な実施形態において、出口チャンネルの円錐形が、凹部の少なくとも一部及び/又は外部手段の少なくとも一部へと連続し;前記凹部の一部及び/又は前記外部手段の一部が出口チャンネルと接触する。
【0062】
出口チャンネルの形を一様な断面積を持つ狭いチャンネルから円錐形チャンネルに変えることで、大量の渦が阻止される。出口チャンネルはアパーチャの位置で狭いオリフィスとして始まり、次いで連続的に大きさが大きくなり、出口チャンネルと細胞培養用凹部の境界でその細胞培養用凹部の大きさと等しくなる。液体媒体の流れは、装置に狭いチャンネルが設けられているときのような突然の増加とは対照的に、断面領域において徐々に増加する。したがって渦が阻止される。
【0063】
渦は細胞培養物の増殖パターンに影響を与える可能性があるため、細胞培養物は、3D培養の異なる位置で異なった影響を受ける可能性がある。したがって一様でない増殖パターンと、一様でない細胞分化が起こる可能性がある。例えば組織工学の目的で使用され得る、細胞が播種された足場の全体的な質が低下する。さらに、細胞培養研究の再現性を確保することがより難しくなる。
【0064】
好ましくは、円錐形は、凹部と出口チャンネルとの間の境界を超えてさらに続いている。円錐形は、第1または第2の出口オリフィスまで連続的に続いているか、第1の出口オリフィスの前で外部手段の一部を離れるか、第2の出口オリフィスの前で外部手段の一部を離れる。残された円錐形でない部分は、例えば前記凹部または外部手段の中に配置される足場の大きさに嵌め合わされる。したがってアパーチャから足場まで、液体媒体が感知する断面積は円錐状に増加する。
【0065】
アパーチャとチャンネルの形は、流れに関してと、足場を取り付けている間または断続的に再舗装(resurfacing)している間に空気の泡が捕獲される危険性を低下させることに関して最適化され得る。計算流体力学(CFD)計算を実行して円錐形チャンネルの最適な形状を確認できる。流れはまた、このようにして、一様でない流れが有利である場合における特定の適用のために合わせることができる。
【0066】
有利な実施形態において、入口オリフィスの大きさは、当該入口オリフィスに1又は2以上の挿入物を係合させることによって調節され得る。
【0067】
回転手段によって中心に生じる低圧は、本体のアパーチャを通過する液体媒体の流れに影響を与える。液体媒体の流れに対する1つの決定的な因子は、入口オリフィスの大きさである。入口オリフィスの大きさを調節することにより、アパーチャへの流速が調節され、それにより出口チャンネルと細胞培養物を通過する流速が調節される。
【0068】
入口オリフィスは、いくつかの方法で調節され得る。例えば異なる大きさの挿入物を入口オリフィスの内部に配置することによって調節され得る。別の方法として、入口オリフィスの内側と一体化した手段によって入口オリフィスを連続的に変化させることができる。これは、シャッター機構で入口オリフィスを変化させることによって実現され得る。それにより、入口オリフィスが徐々に小さくなるか、または大きくなる。流速は実験中に調節され得、したがってより動的な実験が、細胞の増殖を最適化するために行われ得る。
【0069】
有利には、入口アパーチャは、例えばインライン・フロー測定のための外部手段、中央外部手段、又はボーラス媒体負荷を接続するための手段を含み得る。インライン・フロー測定装置は、液体媒体よりも軽い浮子を有する単純な反転超低速回転流量計(simple inverted ultra-low flow rotameter)を含み得る。
【0070】
有利な実施形態において、大きな外部手段は装置本体の第1の平行なプレートの中央入口オリフィスに係合され得る。それにより、当該入口オリフィスは低圧シンクとなる。この構成は、大きな足場の場合、又は周辺位置の細胞培養用外部手段若しくは凹部の中にある足場に液体媒体を分布させる前に条件を整える場合に有利であり得る。条件を整えることにより、媒体の酸素圧を低下させる、又はシグナル分子を分泌する、播種された細胞の集団を考えることができる。これらの細胞はその後周辺の足場まで運ばれて分化または増殖が誘導される。
【0071】
さらに有利な実施形態において、凹部及び/又は外部手段は、出口開口部の大きさを調節する第1の調節機構を含む。
【0072】
細胞の増殖と分化はまた、第1及び/又は第2の出口オリフィスの大きさを変化させる手段によって調節され得る。第1及び/又は第2の出口オリフィスが完全に閉じられている場合には、媒体は細胞培養物の中を流れることができない。第2の出口オリフィスだけが閉じられる場合、本体内部の圧力レベルが上昇する。したがって上昇した静水圧が細胞に加わる。細胞の増殖は影響され、特定の細胞培養物はこのようにして刺激され得る(Angele, P et al., “Cyclic hydrostatic pressure enhances the chondrogenic phenotype of human mesenchymal progenitor cells differentiated in vitro”, Journal of Orthopaedic Research 21(3):451-7,(2003))。
【0073】
連続的または段階的に大きさ調節できる第1及び/又は第2の出口オリフィスを提供することによって、圧力は調節され得る。これは、動的細胞培養にとって大きな利点となる可能性となり得る。
【0074】
出口オリフィスの調節は、例えば第1及び/又は第2の出口オリフィスと結合することができる、異なる直径を有する挿入物によって、またはマイクロプロセッサによって調節できるシャッターなどの自動的調節器によって、手動若しくは自動で行われてもよい。さらなる実施形態として、マイクロプロセッサは、圧力の測定も実施することができる。これにより、特定の圧力制限が誘導され得る。ここで、第1及び/又は第2の出口オリフィスが自動的に開いて、最終的にまたは所定の時間が経過した後に圧力が減少する。その後、第1及び/又は第2の出口オリフィスを再び閉じるかほぼ閉じられ、圧力は再び上昇することができる。これにより、時間的に変化する静水圧が細胞に提供され得る。
【0075】
細胞に対する流れと静水圧はまた、回転速度及び/又は回転手段の形を変化させることによって、それのみで又はある程度調節することができる。実施例2は、回転手段の形によって圧力をどのように調節され得るかを、計算流体力学を用いて示している。
【0076】
さらに有利な実施形態において、回転手段は磁性を有する。
【0077】
回転手段の好ましい一形態として磁石を使用できる。磁石は本体のアパーチャの中に導入される。磁石は、装置をマグネティック・スターラーの上に載せることによって回転させることができる。
【0078】
磁石の大きさと形は、本体のアパーチャの中で自由に回転できるようなものにすること、またはアパーチャの内側枠の影響を受けて回転速度が変化するようなものにすることができる。回転速度は、選択される材料の種類によって影響され得る。
【0079】
磁石は自由に回転できるが、磁石の大きさと形は、凹部または外部手段の中に位置する細胞が感じる流体流に対して影響を与え得る。長さが中央アパーチャの直径よりもほんの少し小さいマグネティック・スターラーバーが、出口チャンネルを通過する断続的な流れの波を回転速度の2倍の振動数で生成させる。細胞は力学的には粘弾性であると見なすべきであるため、このパルス状の流れによって細胞が一定流とは異なる刺激を受ける。したがってパルス状の流れは、分化へと至る経路を活性化することができる。それに対してより小さな高速回転磁石は、チャンネルを通過する同じ流速の流れを発生させることができるが、拍動の頻度はより多い。さらに、磁石の形を別のやり方で変えてパルス状の流れを生成させることもできる。その一例を実施例2に示す。
【0080】
別の方法として、別の回転手段が提供され得る。モジュール式のシャフト付き羽根車を装置のアパーチャの中に挿入することができる。これにより、遠心力により、出口チャンネルを通過する液体媒体の流れが生じる。
【0081】
用途に合わせた羽根車は、シャフト付きであれ磁気式であれ、アパーチャから個々の出口チャンネルへと移動する液体媒体が各羽根車/スターラーバーの回転周期に対して時間変化するように設計され得る。そのため、交番圧力及びそれによる流れが、出口チャンネルに対して発生し、細胞培養物及び/又は足場を通過する、調節可能な振動数を有する周期的流れが得られる。この効果は、例えば骨形成分化のためのMSCの培養、または内皮細胞の培養に有利である。所望のパルス形状を発生させる、用途に合わせたマグネティック・スターラーバーまたは羽根車の形、及び最適な回転速度は、CFDシミュレーションを利用して決定され得る。
【0082】
さらに、液体媒体を回転させて低圧を発生させるだけでなくて本体も回転させる手段が提供され得る。
【0083】
さらに有利な実施形態において、本体は電場を発生させる手段を含む。
【0084】
電場はさまざまな面で細胞に影響を与える(Robinson KR, “The response of cells to electrical fields: A review”, The Journal of Cell Biology, 101:2023, (1985))。例えば、電場は細胞の増殖または分化を促進させる(Sauer H et al., “Effects of electrical fields on cardiomyocyte differentiation of embryonic stem cells”, Journal of Cellular Biochemistry, 75(4):710,(1999))。したがって電場は、例えば胚性幹細胞の増殖と分化を促進することを目的としたいくつかの細胞研究に有利である。電磁場は、磁性粒子またはコイルを凹部及び/又は外部手段の近傍に導入することによって誘導できる。それに加え、またはその代わりに、導電性材料(例えば炭素粒子や導電性ポリマー)を装置の所定の領域に収容することができる。
【0085】
電場の大きさは0.2〜4kV/mであり、好ましくは0.5〜2kV/mであり、最も好ましくは約1kV/mである。
【0086】
さらに有利な実施形態において、凹部及び/又は外部手段は足場を保持するための手段を含む。
【0087】
3D培養で細胞を培養して細胞の増殖と分化を促進することは、細胞を3D足場に付着させることによって最も容易に実現される。足場は、さまざまな種類のもの、さまざまな材料のものであり得、例えばキトサン、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(D;L−乳酸)(PDLLA)、ポリ(D,L−乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(乳酸−コ−カプロラクトン)(PLCL)、ポリ(グリコール酸−コ−カプロラクトン)(PGCL)、ポリ(ブチレート−コ−バレレート)、セルロース、絹のフィブロイン、ゼイン、Trabecular Metal(登録商標)(タンタル)、チタン・メッシュ、焼結ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、サンゴや、他の任意の天然材料が挙げられる。これら材料の任意の組み合わせも使用できる。足場は、培養する細胞の種類と、どのような種類の組織になるかに応じ、例えば50%〜99%の異なる空孔度と、種々の弾性率を持つことができる。
【0088】
しかし異なるどの種類の足場でも、例えば流れのために、その足場が培養中に動かないことが極めて重要である。すなわち流れは足場を通過するときに抵抗を受けるため、足場はその流れに沿って押される可能性がある。したがって最悪の場合には、流れに押されて足場が装置から外れる。さらに、足場を凹部の中に深く押し込みすぎないようにできることが有利である。
【0089】
可能な手段は、隆起部(ridge)または小さなフランジであり、それは足場を所定の位置に保持する。
【0090】
保持される足場の大きさは1mm3〜1000cm3であり、好ましくは4mm3〜1000cm3である。大きさと形は、培養する細胞の種類と、分化後の組織の種類に依存する。足場は、立方体、直方体、円筒、円錐、三角柱、立錐体、正四面体を含む、任意の幾何学的形状を有し得る。
【0091】
足場という用語は、本願明細書全体を通じ、3D構造を有する任意の材料または材料組成物であると解釈され得る。当該構造は、細胞の増殖および分化を支援し、細胞、タンパク質(例えば酵素)、炭水化物、RNA、DNA、脂質、ミセル、ナノ粒子の付着を支援することができる。足場はさらに、生物薬と非生物薬の両方の薬物送達担体であってもよい。
【0092】
さらに、多孔性足場は、空孔よりも大きい粒子のためのフィルタ材料であると考えられる。
【0093】
さらなる有利な実施形態において、2又は3以上の装置を、その表面が実質的に平行になる状態で積み重ねることができる。そのとき装置はスペーサによって分離され、スペーサは装置に取り付けられる。スペーサは、装置と一体化していてもよいし、装置またはその一部(すなわち本体、平行なプレート、入口オリフィス用アダプタ、又は細胞培養のための外部手段)の外部にあってもよい。
【0094】
より多くの装置は、異なる装置間のスペーサによって有利に接続され得る。このようにすると、それぞれの装置の回転手段が回転し、液体媒体が、装置を通って凹部または外部手段まで輸送される。こうすることで、多数の足場が類似の条件に維持される。再現性のある実験にするには、液体媒体が同じであり、条件も同じであることが非常に好ましい。さらに、この拡大された組立の設置面積は最小に維持される。それにより、貴重なインキュベータの棚空間と高価な液体増殖培地が節約される。異なる装置間のスペーサは、取外し可能に取り付けてもよいし、1つの装置と一体化した部分であって別の装置に後に接続されるものであってもよい。
【0095】
さらに一層有利な実施形態において、入口オリフィスは接続手段を含む。前記接続手段は、外部区画を前記入口オリフィスに接続する。前記外部区画は、所定の濃度の指示薬を含む指示薬溶液を収容する。
【0096】
液体媒体が入口オリフィスを通って装置のアパーチャに入る流速は、外部区画を装置の入口オリフィスに接続することによって計算できる。外部区画は接続手段を介して本体に取り付けられる。接続手段は、漏れがないように、例えば区画内の全溶液が装置のアパーチャに入るようにして、区画の開口部を入口オリフィスと可逆的に接合することのできる任意の手段であると理解され得る。それに加え、外部区画はそれ自体漏れのない材料でできていなければならない。
【0097】
接続手段の一例として、第1のプレートは、外部区画の開口部の中に挿入される1又は2以上のフランジを、カラー(collar)と共に含むように製造され得、外部区画の外側に取り付けて締め付けることで漏れないようにされる。別の実施形態において、外部区画をゴム製ストッパで密閉する。入口オリフィスと接続するときには、太い穿孔針でこのゴム製ストッパに穴を開ける。
【0098】
外部区画には、所定の濃度の指示薬を含む指示薬溶液が収容される。指示薬は好ましくは、容易に測定でき、媒体の中で粘度または密度に識別可能な変化を起こさない溶質である。その例は、蛍光染料、吸収性染料、塩、酸、塩基、糖などである。
【0099】
正確な流れ測定ができるようにするため、較正は、以下の実験で用いる足場と同じバッチからの足場を用いて実施することが重要である。なぜなら足場の特性はバッチごとに異なっている可能性があるからである。
【0100】
別の有利な実施形態において、流速は、指示染料、光源、カメラ/ビデオ・カメラを用いて較正することができる。出口チャンネルに指示薬を満たすのにかかる時間を測定することで、中央キャビティから出てくる流体を計算することができる。少なくとも装置の上部が透明であって出口チャンネルが見えることが有利である。装置の下部が、指示薬の運動を追跡することをより容易にする光学的特性を有する場合、この方法にとってさらに有利である。出口チャンネルは、計算の容易な単純な幾何学的形状を持つことが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。
【0101】
さらに一層有利な実施形態において、第1及び/又は第2の壁部は全てが、及び/又は部分的に中断されている。
【0102】
凹部及び/又は外部手段の壁部が中断されていることで、凹部及び/若しくは外部手段に、第1の出口オリフィス以外の追加の開口部、又は第2の出口開口部が得られる。この追加の開口部は、足場又は類似のものが凹部及び/又は外部手段の中に挿入できるだけの大きさであることが好ましい。
【0103】
有益なことに、追加の開口部は、本体の入口オリフィスと同じ側に配置される。装置が液体媒体の中に、または単に平坦な表面の上に配置されるとき、それは表面から離れる向きに入口オリフィスと共に配置される。したがって例えば装置への足場の取り付けは、頂部部品と側部から第1の出口オリフィスと第2の出口開口部を通じて行なうことができる。これにより、装置をより迅速に装着できるとともに、凹部及び/又は外部手段に足場を正確に且つ容易に配置することができる。第1の出口オリフィスまたは第2の出口開口部を通じた足場の取り付けは、配置する足場のほうに装置を向けるだけで可能になる。第1の出口オリフィス及び/又は第2の出口開口部をより上を向くようにすると、装置が広範囲に操作できる。これにより、汚染の危険性と、装置の中にすでに配置されている足場が正しい位置からずれる危険性が大きくなる。
【0104】
さらに、凹部の追加の開口部が出口チャンネルから第1の出口オリフィスに向かって開いていると、外部手段を側部からではなくて頂部から本体の中に入れることが可能になる。これは、小さな培養容器で作業するときに有利である。それに加え、追加の開口部は、第1の出口オリフィスから出口チャンネルに延びることができず、第1の出口オリフィスから始まって途中まで延びているだけである。その場合、外部手段は、その一部を本体の頂部から中に入れ、凹部の中に残部を押し込むことができる。これは、凹部の中に外部手段を正確かつ迅速に挿入するのに有利であり得る。
【0105】
さらに一層有利な実施形態において、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、流体濾過のための装置はさらに、薬物送達手段、少なくとも1つの小さな開口部に分配システムを接続する手段を、好ましくは前記第2のプレートに含む。ここで前記少なくとも1つの小さな開口部は前記アパーチャと接続されている。さらに一層有利な実施形態において、薬物送達手段は、浸出材料の中に埋め込まれた薬物溶液を含んでいる。前記浸出材料は、前記アパーチャに接続された第2のプレートの表面に付着させることが好ましい。
【0106】
薬物(drug)という用語は、本明細書において、装置を使用する際に通常添加されるあらゆる種類の化合物と解釈され得る。これは、薬物、増殖因子(例えばサイトカイン)、ホルモン、ナノ粒子をベースとした薬物送達系に含まれる薬物のいずれかであり得る。化合物は、単一の化合物として、またはより多くの化合物の混合物として添加することができる。化合物は、1又は2以上の入口を通じて装置のアパーチャに添加することができる。これらの入口は、以下の1又は2以上の場所に配置され得る:第1のプレート、第2のプレート、アパーチャ側部。入口は、チューブと、対象化合物または化合物の混合物を収容した容器と、化合物を容器からチューブを通って装置のアパーチャに移動させてその化合物を液体媒体と混合する手段とを含む分配システムに接続され得る。化合物の移動手段は、例えばポンプであり得る。
【0107】
化合物は、連続的に、またはパルス式に装置のアパーチャに添加することができる。化合物のパルス式供給は、例えばマイクロプロセッサに基づく機能または機械式タイマー機能を分配システムに付加することによって実現できる。
【0108】
別の方法として、化合物は、1又は2以上の場所(例えば第1のプレート、第2のプレート、装置のアパーチャに隣接する側部)に配置された浸出材料であって、当該材料をアパーチャの液体媒体の中に浸出させる前記浸出材料中に埋め込まれ得る。別の方法として、液体が流入する開口部を含む挿入物を本体の入口オリフィスの中に配置し、1又は2以上の化合物を含む浸出材料をアパーチャに隣接させることができる。さらに別の方法として、化合物及び浸出材料は、例えば第1のプレートまたは第2のプレートそのものの一部であり得る。
【0109】
浸出材料からの化合物の放出は、使用する浸出材料の種類に応じて遅かったり早かったりし得る。浸出材料の例は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、腐食性ポリマー(例えばPLGA)、層化したケイ酸塩(すなわち粘土、ゲル、ヒドロゲル)である。
【0110】
入口または浸出材料を通じてアパーチャの中に化合物を直接添加することが好ましい。なぜなら所定の濃度を得るのに必要な化合物の量は、液体媒体ではなくてアパーチャに添加すると、体積の違いのためにより少なくなるからである。
【0111】
さらに有利な実施形態において、凹部及び/又は前記外部手段は透明である。
【0112】
凹部または外部手段の少なくとも一部の材料は、細胞の接着が少ないことが好ましい無色透明な材料で製造され得る。凹部及び/又は外部手段の一部だけが無色透明な材料でできている場合には、足場が配置されるこの部分を本体の透明な部分に配置する。これにより研究者は、足場の目視検査、例えば培養している足場の細胞のコロニー化の進行を、装置を明らかに乱したり停止させたりせずに目視検査しやすくなる。
【0113】
さらに有利な実施形態において、第1及び/又は第2の壁部の少なくとも一部に多孔性材料が含まれている。さらに一層有利な実施形態において、前記外部手段の入口開口部は、出口開口部の大きさを調節する第2の調節機構を含む。
【0114】
第1又は第2の壁部(例えば凹部の壁部と外部手段の壁部)のそれぞれの少なくとも一部は、互いに接続された多孔性材料から製造される。当該多孔性材料は有益には不活性かつ非接着性であり、例えば繊維またはナノ繊維のメッシュ、焼結金属、ガラス、ポリマー製ビーズ、又は(例えばePTFE、ポリスルホン、セルロイド製の)多孔性膜である。これにより、足場と第1及び/又は第2の壁部を通って媒体が外に出ることのできる足場周辺空間が作り出される。例えば外部手段の壁部だけを互いに接続された多孔性材料で製造し、凹部の壁部はそうしない。この場合には、液体媒体の流れは本体の枠で終わることになる。これにより、培養される足場の中に栄養素をより分布させやすくなる。
【0115】
さらに有利な実施形態において、足場周辺空間は培地と直接接しておらず、装置本体の1又は2以上のポートを通じて接近可能となる。これは、先端部と底部でエキソサイトーシス機能とエンドサイトーシス機能にはっきりと分かれている上皮細胞(例えば肝細胞、分泌性乳腺細胞、腎細管細胞)を足場で培養するのに有利である。これは、細胞周辺空間にある媒体は、培養している細胞の底部と密接な関係があるために灌流している媒体とは異なる組成を持つという考え方である。本体のポートによって足場周辺空間にある媒体のサンプリングまたは調節が可能になる。
【0116】
凹部の第1の出口オリフィス及び/又は外部手段の第2の出口開口部は、例えば第1の調節機構で調節することにより、開くこと、または部分的に開くこと、または閉じることができる。これにより、足場と壁部を通って流出する液体媒体の量を調節することができる。第1の出口オリフィスまたは第2の出口開口部が完全に閉じているときには、すべての液体媒体が足場と壁部を通って流れる。第1の出口オリフィス及び/又は第2の出口開口部が開くほど、より多くの液体媒体が第1の出口オリフィスまたは第2の出口開口部から流出し、足場と壁部を通過する流れはより少なくなる。
【0117】
それに加え、外部手段の入口開口部は、第1の調節機構と類似の特性を持つ第2の調節機構によって調節して開くこと、または部分的に開くこと、または閉じることができる。別の方法として、入口開口部を調節なしに部分的に閉じたり完全に閉じたりすることが、外部手段の設計によって、または小さな挿入物(例えば栓)を入口開口部に挿入してその入口開口部を閉じることによって可能である。これにより、液体媒体を外部手段の第2の壁部の中に向かわせ、その後足場の中に入れることができるため、足場の中に向かう媒体の流れが生じる。このような構成により、足場の中に栄養素と細胞をよりよく分布させることができる。
【0118】
さらに有利な実施形態において、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、又は流体濾過のための装置は、自動化ロボット操作手段、例えばロボット操作を可能にするための、装置の中または表面に存在する固定用、位置決め用及び同定用のマーキングを含む。これらのロボット操作は、あるステーションから別のステーションへの装置の移動、細胞の培養の自動検査、媒体の自動交換、自動の足場播種、及び足場の取り外しを目的とした、空気式または電気式の把持具との機械式係合などの操作を含む。
【0119】
さらに、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、又は流体濾過のための装置が、液体媒体中に配置された方法であって;前記装置は
− 第1及び第2の表面を有する本体;ここで前記2つの表面の間で本体の厚さが規定され、前記表面は実質的に平行であり、前記本体は枠によって境界が定められている;
− 前記本体の中心にあり、前記第1及び前記第2の表面において第1及び第2のプレートによって覆われたアパーチャ;ここで前記第1及び/又は第2のプレートは、液体媒体が前記アパーチャへ入ることを可能とする入口オリフィスを含む;
− 前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の前記アパーチャに配置された回転手段;
− 少なくとも1つの凹部を含む前記枠;ここで前記凹部は、前記本体の枠中に存在するキャビティであって、前記液体媒体が前記本体外へ流出することを可能とする第1の出口オリフィスを含み;ここで第1の壁部が、前記キャビティに沿って前記凹部の境界を定める;
− 円形アパーチャを前記少なくとも1つの凹部と接続する、少なくとも1つの出口チャンネル
− 場合により、前記凹部と係合し、入口開口部及び第2の出口開口部を含み、並びに前記入口開口部と前記第2の出口開口部との間の流体接続を含む外部手段;ここで前記外部手段は、前記外部手段の外面を規定する第2の壁部によって境界が定められた三次元形状の要素である;
− 前記凹部または前記外部手段に配置された足場
を含み、
ここで液体媒体は、前記回転手段の回転によって、前記入口オリフィスを通過して前記本体の円形アパーチャへと送りこまれ、前記少なくとも1つの出口チャンネルを通過し、前記凹部又は前記外部手段にある足場を通り抜け、前記第1及び/又は第2の出口オリフィスから排出される、
前記方法が記載される。
【0120】
それに加え、足場を凹部または外部手段の中に配置する前、または配置した後に細胞を足場の中(in)または足場の位置(at)に播種する方法が提供される。
【0121】
本発明の装置は、簡単な手段によって動作する。細胞を含む異なる種類の足場、または足場による支持のない細胞を、凹部または外部手段の中に配置する。その後、例えばビーカー中の、液体媒体の中に装置を沈める。入口オリフィスやアパーチャに泡が生じないよう、装置を注意深く沈める。泡が形成されると、入口オリフィスを通過する液体媒体の流れ、又はアパーチャから1又は2以上の出口チャンネルへの流れが阻止されることで、液体媒体の連続的な流れが妨げられ得る。
【0122】
その後、回転手段を作動させ、本体のアパーチャの中心に低圧を発生させる。液体媒体はアパーチャへと送りこまれ、出口チャンネルを通り、細胞を通過する。これにより、細胞には、三次元培養であっても、新鮮な液体媒体と、十分な量の栄養素および酸素が連続的に供給される。
【0123】
マグネティック・スターラーバーまたは羽根車の駆動にマグネティック・スターラーを使用する場合には、装置をマグネティック・スターラーの基部プレート上の中心に位置させることが重要である。さもないと、マグネティック・スターラーバーまたは羽根車は一様に回転せず、流れが損なわれる可能性がある。したがってさらに有利な実施形態において、装置は、液体媒体を収容する容器の中で中央アパーチャの所望の位置に取外し可能に固定するための一体化手段または外部手段を含み得る。当該手段は、例えば本体の周辺部に取り付けた側部のスペーサまたはフェンダーの形態であり得る。この手段により、容器をマグネティック・スターラーの基部に固定することができる。
【0124】
ここに記載した装置は使用法と設置法が簡単であるため、小さなインキュベータでも使用できる。したがってこのインキュベータは、低酸素インキュベータの中での使用が容易である。ここでは細胞を、酸素圧が周囲条件よりも低いより生理的条件に近い条件で培養することができる。
【0125】
別の一例として、この装置は大きさが小さいため、そして羽根車/マグネティック・スターラーバーの回転が機械によらない力の伝達によって起こるため、気密容器の中に容易に配置することができる。これにより、例えば超臨界CO2レベル下の実験室スケールでの触媒プロセスと、異なるレベルの圧力での細胞培養研究が可能になる。
【0126】
それに加え、この装置は、輸送中の汚染を回避するために気密容器の中に配置することができる。
【0127】
さらに、タンパク質が足場に固定化された方法であって、前記タンパク質が前記足場を通過する液体媒体の成分と相互作用することができる前記方法が記載されている。この方法において、タンパク質は酵素であり得、前記酵素は基質分子と相互作用する。前記基質分子は、酵素を含む足場を通過する液体媒体の1成分である。それに加え、この方法において、タンパク質は抗体、抗原又はリガンドであり得、前記抗体、抗原又はリガンドは、抗体を含む足場を通過する液体媒体の成分である細胞と相互作用する。
【0128】
液体媒体は、回転手段によって、凹部及び/又は外部手段を通過した後に足場を通過する。したがって液体媒体のあらゆる成分が足場を通過するため、足場に固定化されたタンパク質と接触し、それにより影響を受ける。
【0129】
それに加え、無細胞の適用において、キレート剤は足場に固定化される。当該キレート剤は、足場を通過する液体媒体に溶けているイオン及びそれよりも大きな分子と相互作用することができる。
【0130】
足場に酵素を固定化すると当該酵素が液体媒体流と接触し、したがって液体媒体の成分と接触する。足場に固定化された酵素の触媒作用を受ける分子は、例えばその酵素によって変化(例えば切断)され得る。液体媒体の循環により、代謝される基質分子の割合が増加する。
【0131】
細胞の付着を促進するための成分を固定化することは、液体媒体から細胞を精製するのに有利である。固定化される成分は、細胞表面タンパク質のためのリガンド(細胞特異的なもの、または細胞特異的でないもの)、他の細胞接着タンパク質(例えばカドヘリン)、RGDまたはIKVAVを含むタンパク質(例えばフィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、コラーゲン、オステオポンチン)であり得る。
【0132】
さらに、本体が回転手段によって回転される方法が記載される。
【0133】
回転手段を回転させるとアパーチャの内部に小さな圧力が発生し、液体媒体の連続流が生じる。しかし回転を増やして装置全体が含まれるようにすることができる。これにより、細胞も遠心力も受ける。細胞に対する当該効果は、特定の細胞種の増殖及び分化に有益であり得る。
【0134】
さらに、回転手段が磁石を含む方法が記載される。ここで前記磁石は円形アパーチャの中に配置され、例えばマグネティック・スターラーによって作り出される外部回転磁場によって回転する。
【0135】
回転手段の好ましい一形態として、磁石を使用することができる。磁石は、本体のアパーチャ中に挿入される。アパーチャは好ましくは円形であり得る。本体と接続して、装置内で磁石が回転できるようにマグネティック・スターラーが配置される。たいていのマグネティック・スターラーは、磁石の速度を調節することができる。磁石の回転は、安定で連続した流れにするため120回転/分を超えることが好ましい。流れは0〜0.8ml/分であることが好ましく、0.2〜0.8ml/分であることがより好ましい。
【0136】
さらに、磁石は時間依存的方法で調節されてもよい。例えば2時間にわたって回転させた後、次の2時間は回転を停止させ、その後1時間にわたって再び回転させるといった調節が可能である。したがって細胞を通過する流れを停止−作動させることができる。また、時間的な挙動に関してより複雑な流れ(例えば流れの線形的増加/減少)を設定してもよい。
【0137】
前記入口オリフィスを通って送りこまれる前記媒体の流速が、以下のステップ:
− 第1の濃度C1の指示薬を含む指示薬溶液を含む、漏れの無い外部区画を、入口オリフィスにある接続手段に取り付け;
− 前記指示薬溶液を前記アパーチャの中に送り込み、少なくとも1つの出口チャンネルを通過させ;
− 所定の体積Vの前記液体媒体中の、前記指示薬の第2の濃度C2を所定の時間dtの後に測定し;
− 流速Qを、式:Q=−(C2*V)/((C2−C1)*dt)によって計算すること
によって測定される方法が記載される。
【0138】
足場を通過する流速を較正する方法は、例えば臨床での心臓出力測定からわかる指示薬希釈技術に基づいている。例えばこの場合において、所定の濃度C1の指示薬を含む指示薬溶液を収容した漏れの無い外部区画が、流体力学的抵抗を無視できるチャンネルを通じて入口とつながっている。羽根車を回転させると、指示薬溶液の全体的な流れQ1が時間とは独立して生じて入口を通過し、足場を通って下流に向かい、最終的に、Superfreacを沈めた媒体の中に入ることになる。所定の初期体積V2を持つ浸漬媒体をある間隔でサンプリングし、指示薬の濃度を測定する。ここでは、入口の流速は、
Q=−(C2,dt2)/((C2,dt−C1)dt)
によって計算される。ここでdtは、流れが始まってから指示薬の濃度C2,dtを測定するまでの時間である。
【0139】
指示薬溶液を収容した区画は、重力が原因であれ、区画の壁部間の静流体圧の差が原因であれ、指示薬溶液に対する複雑な圧力にまったく寄与しないことが重要である。これらの理由のために、較正手続きの最初から最後まで容器の壁は、非常に可撓性且つ弛緩性であることが好ましい。
【0140】
さらに、媒体が凹部及び/又は外部手段の壁部を通じて送り出される方法が記載されている。
【0141】
足場は三次元構造である。出口チャンネルから第1の出口オリフィスまたは第2の出口開口部に向かう液体媒体の流れにより、足場を一方向に通過する流れが生じる。したがって足場全体の液体媒体の分布は一様である。細胞を足場の内部で培養する例では、各細胞に同じような最適量の酸素と栄養素を供給する上で液体媒体の一様な流れが極めて重要である。強制的に液体媒体が別の方向(例えば出口チャンネルから第1の出口オリフィス及び/又は第2の出口開口部に向かう直接流に対してある程度垂直な方向)に流れるようにすると、液体媒体は足場の最も外側の角に到達する。
【0142】
上述のように液体媒体の別の流れを得るには、閉じられているか部分的に閉じられている第1の出口オリフィスと相互接続した、凹部の多孔性壁部が、出口チャンネルからの液体媒体の流れを方向付け、凹部の壁部の空孔を通過させて外に出すことになろう。同様に、閉じられているか部分的に閉じられている第2の出口開口部と相互接続した、外部手段の多孔性壁部が、出口チャンネルからの液体媒体の流れを方向付け、少なくとも一部を外部手段の壁部を通過させて外に出すことになろう。凹部の壁部も互いに接続された多孔性材料で形成されている場合には、液体媒体の流れはこれら壁部を通過し続ける。しかし凹部の壁部が多孔性材料でできていない場合には、液体媒体は外部手段に沿って流れて第1の出口オリフィスから外に出る一方で、液体媒体の一部は、相互接続された外部手段の多孔性壁部を通って中に入り、足場を通過し、第2の出口開口部が部分的に開いている場合にはこの第2の出口開口部から出ていく。
【0143】
液体媒体の流れは、上記のような足場を通過する流出の代わりに流入に変えることができる。これは、外部手段の入口開口部が閉じられるか部分的に閉じられた状態で、接続された多孔性壁部を有する外部手段を凹部に挿入することによって実現できる。すると液体流は、強制的に外部手段と凹部の間の空間に入る。外部手段の接続された多孔性壁部のために液体媒体は外部手段の中に侵入して足場を通過した後、第2の出口開口部を通って出ていく。
【0144】
本発明は、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、流体濾過のための上述の装置の利用にも関係していて、当該装置は灌流を得るのに利用される。さらに本発明は、細胞培養、または液体からの細胞の精製のための装置の使用に関する。さらに、上述のような装置の使用では、装置が3D培養物の培養に使用される。
【0145】
この装置は、再現性のある細胞培養研究を行なうのに使用できる。流れによって液体媒体がビーカーの中で循環するため、栄養素と酸素の拡散速度が増大し、3D培養物中の細胞の増殖と分化が促進される。それに加え、液体媒体が循環することでポンプを利用する必要がなくなり、この回転手段がこのシステムのポンプとなる。
【0146】
さらに、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応又は流体濾過のための装置は、正しい足場が凹部に位置しているのであれば、液体から細胞を精製するのに使用され得る。細胞を含む液体が入口オリフィスを通じて直接添加されるか、細胞を含む液体が、中に装置を沈める液体媒体となる。細胞は、液体媒体が出口チャンネルを通過し、凹部または外部手段に挿入された足場を通過するときに足場の表面に付着する。足場に付着する細胞は、特定の種類の細胞でも、あらゆる細胞に付着できるものでもよい。特定の種類の細胞は、例えば特定の種類の抗体を足場の表面に連結することによって付着させることができる。一例として、Stro−1抗体またはCD44抗体を足場に連結し、骨髄からのMSCに付着させるのに使用できる。
【0147】
精製される液体は、例えば血液であり得、その血液から例えば幹細胞が精製され得る。この場合において足場は、互いに接続された空孔を含んでいて空孔の大きさが100〜200μmである生体適合性ポリマーになる。
【0148】
全般的に、細胞を含む液体と接触させる装置の表面が、細胞に効率的に結合できる特性を持つ材料を含んでいないことがもちろん極めて重要である。なぜならそうでないと、足場ではなく露出した表面に細胞がくっついてしまうからである。したがって露出した表面は、例えば疎水性ポリフルオロエチレンプロピレンまたはシリコーンで処理することができる。
【0149】
継続的に液体媒体流が細胞を通過すると、細胞は3D培養物の中で増殖することができる。これにより、組織工学のための細胞(例えば肝臓、骨、軟骨の修復及び/又は置換のための組織)を増殖させることができる。
【0150】
一例として、骨の修復を以下のようにして実行できる。適切な足場に幹細胞または骨前駆細胞を播種する。足場は、外部手段の中に配置した後にその外部手段を凹部の中に配置するか、凹部の中に直接配置する。磁石を本体のアパーチャの中に配置した後、装置を下げて、液体媒体の入ったビーカーの中に入れる。CO2インキュベータの内部にあるマグネティック・スターラーの上にビーカーを配置した後、そのマグネティック・スターラーを作動させる。液体媒体の流れが足場を通過すると、時間経過とともに細胞が増殖し、分化して無機物を含む培養物になる。所定の時間が経過した後、足場を装置から取り出し、患者の骨格/骨構造に移すことができる。
【0151】
さらに本発明は、生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応又は流体濾過のための装置の、足場のバルク処理のための使用に関する。
【0152】
多孔性を有する足場その他の部品をバルク処理する際に用いる液体媒体は、装置の材料に応じ、酸、塩基、有機溶媒、塩溶液などであり得る。足場の内部に留まるあらゆる成分(例えば足場の形成時に残された成分)がバルク処理の間に追い出される。
【0153】
さらに本発明は、固定化された酵素が、液体媒体によって供給されるタンパク質に作用する酵素反応のための装置の利用にも関する。
【0154】
細胞または酵素を足場に固定化することで、その足場を通過する液体に作用を及ぼすことができる。細胞または酵素は、Klibanov AM, “Immobilized enzymes and cells as practical catalysts”, Science 219:722-7, (1983)に記載されているように、共有結合、吸着、ポリマー・ゲル内への捕獲、二機能性試薬を用いた架橋、カプセル化のいずれかによって固定化することができる。酵素または細胞の固定化によってプロセス(例えばタンパク質の切断)の効率が大きくなる。
【0155】
本出願全体を通じ、液体媒体という用語は、装置を通過して流れる液体を記述するのに用いる。液体媒体は、与えられた状況に適したあらゆる種類の液体であり得る。一例として、細胞を培養するときに用いられる液体媒体は、通常は特定の種類の細胞用であると考えられる細胞培地であることが好ましい。
【0156】
さらに本発明は、手術後の自己輸血のために採取した血液が足場を通過させて濾過される装置の使用に関する。
【0157】
これにより、採取した血液は足場を通過して精製される。空孔の大きさが約40μm、80μm、及び/又は200μmの足場を用いることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本体の上側の図である。
【図2】入口オリフィスを有する第1のプレートを示している。
【図3】本体の側面図を示している。
【図4】本体の上面図を示している。
【図5】インキュベータの内部にある装置を示している。
【図6】圧力チャンバー内部にある装置の本体を示している。
【図7】静的条件下における(図7A)、及び本発明による装置中における(図7B)、足場上で培養されたhMSC−tert細胞を示している。
【図8】マグネティック・スターラーの標準的な形(図8A)、及びマグネティック・スターラーの第2の形(図8B)を示している。
【図9】標準的なマグネティック・スターラーでの圧力変化(図9A)、第2の形のマグネティック・スターラーでの圧力変化(図9B)、中央大動脈圧力波(図9C)を示している。
【図10】本体に取り付ける、漏れない外部区画を示している。
【図11】外壁が多孔性材料を含むときの液体媒体の流れを示している。
【図12】上(A)と下(B)から見た底部部品と、上(C)と下(D)から見た頂部部品とを備える2部品形態の装置と;組み合わされた装置(E)の図である。
【発明を実施するための形態】
【0159】
発明の詳細な説明
図1は、装置の本体1を上から見た図を示している。この特定の実施形態において、本体1のアパーチャ3は、低くなった円形オリフィス5の中に配置されている。本体1の枠7には8つの凹部9が存在しており、そのうちの5つを図に見ることができる。それに加え、出口チャンネル11が本体1のアパーチャ3に見られる。本体1の表面13には4つのオリフィス15が設けられている。これらのオリフィス15にはピンを差し込むことができ、そのピンが、複数の装置を互いの上に載った状態で結合させることができる。
【0160】
低くなったオリフィス5の内側には4つの開口部17が見られる。これら4つの開口部17は、第1のプレート21の開口部19との係合を確実にする。第1のプレート21の一例を、上から見た図2に見ることができる。第1のプレート21は、この第1のプレート21の開口部19と本体1の開口部17に例えばネジを通すことによって本体1に取り付けることができる。図2にはさらに、入口オリフィス23も示されている。この入口オリフィス23を通って液体媒体が本体1のアパーチャ3に入ることができる。
【0161】
図3は、本体1の側面図を示している。凹部9が本体1の枠7に見られる。さらに、アパーチャ3が、このアパーチャ3と凹部9を接続する出口チャンネル17とともに示されている。さらに、低くなったオリフィス5が本体1の両側に見られる。第1及び第2のプレート21を低くなったオリフィス5の中に挿入することができる。別の方法として、第1と第2のプレート21は本体1と一体化した部分にすることもできる。第2のプレートは、入口オフィリスを除いて第1のプレートと似ていることが好ましい。その入口オフィリスは、第1のプレート21にだけ存在することが好ましい。
【0162】
図4は、本体1の上面図を示している。アパーチャ3が円形本体1の中心に見られる。さらに、8つの凹部9が本体1の枠7に示されている。出口チャンネル17も示されている。出口チャンネル17は装置の本体1と一体化しているため、周囲と接触しない。出口チャンネル17の一体化は、適切な流れを得る上で、そして例えば細菌や真菌による汚染を回避する上で、特に重要である。
【0163】
図4の本体1の下には外部手段25が示されている。この特定の実施形態は、外部手段25を圧入するものであり、さらに、外部手段25の外側枠29に沿ってフランジ27を含む。足場を外部手段25の中に挿入し、フランジ27が位置する枠29の方に向けて配置することができる。好ましくは、枠29にある第2の出口オリフィスは、足場を本体の凹部に取り付けている間に泡が捕獲される危険性を最小化するように、一方で、足場の位置をなお維持し、足場が流れ31の方向に移動しないように成形される。これは、流れが強くて足場に及ぼされる力が大きい適用で特に重要である。
【0164】
回転手段は、図4では、アパーチャの開口部を埋める形をしていて回転する2つのブレードを有する磁石30として図示されている。この磁石は、回転中には出口チャンネル17とアパーチャ3の間に液体媒体が自由に運動でき、そうでないときには閉じられる開口部を残している。閉じられると、液体媒体は出口チャンネル17に入ることはできない。これにより、磁石30が回転している間は時間的に変化する流れが生み出される。
【0165】
図5は、CO2インキュベータ33の内部にある装置の設定状態を示している。CO2インキュベータ33の内部では、マグネティック・スターラー35が棚37の上に載せられている。このマグネティック・スターラーの上にビーカー39が載る。液体媒体41が、3つの装置43、45、47とともにビーカー39の内部に存在している。第1の装置47は、ビーカー39の底に配置されている。第1の装置47は、スペーサ49を介して第2の装置45に接続され、その第2の装置45は別のスペーサ51を介して第3の装置43に接続されている。このようにすると、1つのビーカー39の中に複数の装置を積み重ねて回転させることができる。それぞれの装置43、45、47は、その各装置のアパーチャに磁石を含む。この磁石はマグネティック・スターラー35が作り出す磁場の影響を受けるため、各装置の中に流れが生じる。磁場の強さはマグネティック・スターラーの基部からの距離が大きくなるにつれて急速に小さくなるが、マグネティック・スターラーバーのトルクが、それらすべてのバーを所望の回転速度(RPM)で駆動するのに十分である限り、積み重ねられたすべての装置を通過する流れは同じになる。システムが適切に機能するには、液体媒体がすべての装置を覆うことが極めて重要である。
【0166】
図6は、圧力チャンバー53の内部に配置された装置を示している。この装置の本体55は、圧力チャンバー53の内部に置かれる。圧力チャンバーの外にはマグネティック・スターラー57が配置されており、それにより装置の中央アパーチャの内部にある回転手段が回転でき、出口チャンネルを通過する液体媒体が作り出される。
【0167】
図7Aと図7Bは、静的条件下で培養された細胞(図7A)と本発明の装置を用いて培養された細胞(図7B)の例を示している。多孔性ポリカプロラクトン(PCL)製足場(大きさがφ=10mm、h=6mmで、空孔度が93%)を、溶融繊維堆積モデリング(Syseng社、ドイツ国)によって製造した。押し出した繊維は厚さがほぼ170μmであり、0.8mmのピッチで配置された。親水性を大きくするため、足場を1.25MのNaOHで16時間にわたって処理した後、EtOH勾配で処理した。
【0168】
8つの足場を外部手段の中に挿入し、6ウェル・プレートのウェル中に、ウェル1つに足場1つの割合で配置した。4つの足場(対照)を6ウェル・プレートの中に、ウェル1つに足場1つの割合で直接配置した。その後、hMSC−tert細胞(Simonsen JL et al., “Telomerase expression extends the proliferative life-span and maintains the osteogenic potential of human bone marrow stromal cells”, Nat Biotechnol., 20(6):592-6, (2002))を、足場1つにつき2×106細胞の濃度で播種した。
【0169】
細胞を付着させるため、細胞をCO2インキュベータの中に2時間放置した。その後、7.5mlの細胞培地(10%のウシ胎仔血清を含むDMEM)を足場に添加した。
【0170】
翌日、対照の足場は新しい6ウェル・プレートに移したのに対し、外部手段の中に配置した足場は装置の中に配置された。対照に、ウェル1つ当たり15mlの媒体を添加した。媒体は1週間に1回交換した。12個あるすべての足場を、10%ウシ胎児血清を含有するDMEMに10nMのビタミンDを添加したものを含む細胞培地で処理した。
【0171】
細胞を2週間にわたって培養した後、細胞の増殖を調べた。足場を複数の薄い切片に切断し、ヘマトキシリンとエオシンを用いて染色した後、足場に付着している細胞の形状を調べた。静的に培養した細胞は、図7Aに示したように細長い細胞を伴った線維芽細胞のような形状を示すのに対し、本発明による装置の外部手段の中に導入した足場の表面で培養した細胞は、図7Bに示したように、より大きな核と、より骨芽細胞のような形状を有した。足場は白い区画として示されている。
【0172】
図8では、回転手段の形を調べるとともに、計算流体力学を利用して足場の前方に生じる圧力に対するその形の影響を調べた。2つのカム(cam)を数値計算によって設計した。一方は、図8Aに示したように標準的なマグネティック・スターラー(59)に似ている。第2の形(61)は、図8Bに示してあるように、中央大動脈圧力波を表わすデータにフィットさせた曲線から得られた。
【0173】
流れチャンバーの3D形状は、Comsol(COMSOL 3.5a, COMSOL Inc, Stockholm, Sweden)で2D形状によって近似される。Chen他(Circulation, 95:1827-1836, (1997))によって測定された中央大動脈圧力波を、2つの周期に関してMatlab(登録商標)R2008b(The MathWorks Inc., Natick, MA, USA)によってスプライン曲線で近似する。この曲線をデカルト座標から極座標に座標変換して閉曲線を生成させることで、羽根車の1回転が大動脈圧力波の2つの周期に等しくなるようにする。この曲線の振幅を、流れチャンバーのキャビティにフィットする大きさにした後、完成形をComsolで組み合わせ、図示したような離散化された形にする。
【0174】
図8は、離散化された2D空間を示しており、この空間で回転手段の2つの異なる形についてナビエ−ストークス(Navier-Stokes)問題を解く。
【0175】
次に、Comsolを利用し、接続された2つの座標系、静的基準系、回転手段を含む回転系において、有限要素法により非圧縮ナビエ−ストークス偏微分方程式を数値的に解く。羽根車の回転は60rpmに設定し、水の特性を流体領域に適用する。境界は、入口/出口の縁部で開いているとしてモデル化し、構造と流体の間の境界を記述する他のすべての縁部では滑らないという条件を付ける。足場のすぐ前に位置する上方縁部での圧力変化を2つのケースについてプロットしたグラフと、測定した中央大動脈圧力波を図9に示してある。図9Aは、標準的なマグネティック・スターラーでの圧力変化を示しており、図9Bは、第2の形のマグネティック・スターラーでの圧力変化を示しており、図9Cは、中央大動脈圧力波を示している。
【0176】
これにより、足場の前方の相対的な圧力変化を、回転手段の形によって調節できることが証明された。形を最適化することで、足場の中にある細胞全体に、1心拍の間に生じる圧力の揺らぎを比較的よく再現する圧力場を誘導できる。
【0177】
図10は、装置63の流速を較正するための設備を示している。この装置63はビーカー65の中に配置され、所定の体積の液体媒体67の中に沈められている。この装置63は、出口チャンネル69、凹部71、及び磁石75が配置されるアパーチャ73を含む本体と共に記載されている。外部区画77が接続手段79、81を介して入口オリフィス83に取り付けられている。この特別な実施態様では、接続手段79、81は、リングの形状であることが好ましい2つの部品を含む。第1の部品81は、本体71の第1の表面87と係合する平坦なリング85を含む。平坦なリング85はさらに、この平坦なリング85に垂直なフランジ89を含み、このフランジ89が、外部区画77の開口部の中に挿入されることによってこの外部区画77と係合する。外部区画77の外側には、接続手段の第2の部品79が固定されている。第2の部品79はリングであることが好ましい。このリングは、接続手段に固定した後に締めることができる。そうすることで、入口オリフィス83に外部区画を接続する部分の漏れがなくなり、その結果として、外部区画の溶液がアパーチャ73以外のどこかに流入することが阻止される。
【0178】
流れを較正するため、液体媒体67の体積と、外部区画77に収容された溶液中の指示薬の濃度と、所定の時間が経過した後の液体媒体中の指示薬の濃度を計算する。アパーチャ73の中にある磁石75を作動させることにより、溶液が外部区画77からアパーチャ73へと送りこまれ、出口チャンネル69を通過し、凹部71を通過して液体媒体67の中に入ることで、溶液が希釈される。較正の設定は実験の設定と同様であることが好ましい。
【0179】
図11は、流入機構の例を示している。液体媒体が壁部93を通って外部手段91に侵入する。凹部95は、足場97が挿入される外部手段91を備えている。(矢印で示した)液体媒体99は、出口チャンネル101を通って凹部95に流入するが、入口開口部103が閉じられているため外部手段91に直接流入することはない。その代わりに液体媒体99は外部手段91に沿って流れ、外部手段91の互いに接続された多孔性壁部93を通って外部手段91と足場95の中に入る。液体媒体99は、第2の出口開口部105を通って足場95と外部手段91から出ていく。
【0180】
図12は、上(A)と下(B)から見た底部部品と;上(C)と下(D)から見た頂部部品とを含む2部品形態の装置と;組み合わされた装置(E)を示している。
【0181】
底部部品107を上から見た図を図12Aに、下から見た図を図12Bに示してある。この底部部品107は、外側枠111と(図12Eに示した)蓋を備える容器109の一体化している部分である。装置の底部部品107は、第2のプレート114で覆われた底部アパーチャ113を含み、出口チャンネル115の下部及び凹部117と流体連絡している。出口チャンネル115及び凹部117は長手方向に分割された円錐形であり、底部アパーチャ113に最も近い位置が最小の直径となっている。凹部117に挟まれた領域には開口部119が存在している。
【0182】
それに対して装置の頂部部品121を上から見た図を図12Cに、下から見た図を図12Dに示してある。頂部部品121は、出口チャンネル123と凹部125の上部を含み、頂部アパーチャ127と流体連絡している。出口チャンネル123と凹部125は長手方向に分割された円錐形であり、頂部アパーチャ127に最も近い位置が最小の直径となっている。凹部125に挟まれた領域には突起129が存在している。さらに、第1のプレート128で覆われていて、頂部アパーチャ127と流体連絡している入口オリフィス131が、図12Cに示されている。
【0183】
開口部119が頂部部品121に存在し、突起129が底部部品107に存在していてもよいことは、暗黙の了解事項である。さらに、開口部119と突起129はそれぞれ凹部117、125に挟まれたスペースに存在するが、これらは、回転中に分離しないよう頂部部品121と底部部品107をしっかりと接続しておけるのであれば、例えばそれぞれの第2のスペースまたは第3のスペースに存在していてもよいことを理解されたい。この図において、2つの部品を互いに組み合わせる手段は突起と開口部だが、組み合わせる手段は別の形態をとり得ることを同様に理解されたい。
【0184】
図12Eは、組み立てられた装置/本体135を示している。底部部品107と頂部部品121を組み合わせることにより、第1及び第2の表面を有する組み合わされた装置135であって、第1のアパーチャ127と第2のアパーチャ113が重ねられたアパーチャを含み、ここで当該アパーチャが第1のプレート128と第2のプレート114で覆われている、前記装置となる。液体は、第1のプレート128に存在する入口オリフィス131を通じて送り込まれ、回転手段によってアパーチャに入る。組み合わされた装置135は、頂部部品121の上部125と底部部品107の下部115を重ねることによって形成された、少なくとも1つの出口チャンネルをさらに含む。それに加え、本体135は、少なくとも1つの凹部を含む。この凹部は、上部トンネル形状区画を形成する凹部123の上部と、大きさと形が対応していて下部トンネル形状区画を形成する凹部117の下部を重ねて形成されることで、第1の出口オリフィスを形成する。このようにして形成された出口チャンネルによって開口部と凹部の間が流体連絡するため、液体はトンネル形状区画によって形成される第1の出口オリフィスを通って本体から出ていくことができる。
【0185】
使用中、足場は底部部品107の凹部117の中に配置され、磁石は底部アパーチャ113の中に配置される。その後、装置の頂部部品121は、例えば圧入によって突起129を用いて開口部119の中に配置され、図12Eに示したような組み合わされた装置135が形成される。液体媒体を容器109の中に注ぎ、蓋133を容器109の上に載せる。媒体が組み合わされた装置135よりも十分に上に来るようにするため、容器109の枠111は装置135(すなわち組み合わされた頂部部品121と底部部品107)よりもかなり高い位置にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的用途、例えば細胞培養、酵素反応、又は流体濾過のための装置であって、
− 第1の表面及び第2の表面を有する本体;ここで前記2つの表面の間で本体の厚さが規定され、前記本体は枠によって境界が定められている;
− 前記本体の中心にあり、前記第1の表面及び前記第2の表面において第1のプレート及び第2のプレートによって覆われたアパーチャ;ここで前記第1のプレート及び/又は第2のプレートは、液体媒体が前記アパーチャへ入ることを可能とする入口オリフィスを含む;
− 前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の前記アパーチャに配置された回転手段;
− 少なくとも1つの凹部を含む前記枠;ここで前記凹部は、前記本体の枠中に存在するキャビティであって、前記液体媒体が前記本体外へ流出することを可能とする第1の出口オリフィスを含み;ここで第1の壁部が、前記キャビティに沿って前記凹部の境界を定める;
− 前記アパーチャを前記凹部と接続する、少なくとも1つの出口チャンネル
を含むことを特徴とする前記装置。
【請求項2】
前記第1の表面及び前記第2の表面が実質的に平行であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
液体媒体を収容する容器中で、前記装置を中心に配置させ且つ水平にする手段を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のプレート及び/又は前記第2のプレートが、前記装置と一体化した部分であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
容器と一体化した部分であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のプレート又は前記第2のプレートに実質的に平行な平面に沿って頂部部品及び底部部品の2つの部品に分割され、前記平面がさらに、前記少なくとも1つの凹部及び前記少なくとも1つの出口チャンネルを分割することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記本体の凹部と係合し、入口開口部及び第2の出口開口部を含み、並びに前記入口開口部と前記第2の出口開口部との間の流体接続を含む外部手段;ここで前記外部手段は、前記外部手段の外面を規定する第2の壁部によって境界が定められた三次元形状の要素である、をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記外部手段が外ネジを含み、前記外部手段が前記凹部と係合するとき、前記外ネジが、内部手段に設けられた内ネジと係合することを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記出口チャンネルが円錐形であり、前記円錐形の出口チャンネルの最小断面領域が前記アパーチャに接続されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記出口チャンネルの円錐形が、前記凹部の少なくとも一部及び/又は前記外部手段の少なくとも一部へと連続し;凹部の前記部分及び/又は外部手段の前記部分が前記出口チャンネルと接触していることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記入口オリフィスを1又は2以上の挿入物と係合させることによって、前記入口オリフィスの大きさが調節され得ることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記凹部及び/又は前記外部手段が、前記出口開口部の大きさを調節する第1の調節機構を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記回転手段が磁性を帯びていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記本体又は装置が、電場を発生させる手段を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記凹部及び/又は前記外部手段が、足場を保持する手段を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
2又は3以上の装置が、それらの表面が実質的に平行となるように積み重ねられ得、前記装置がスペーサによって分離され、前記スペーサが前記装置に取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記入口オリフィスが接続手段を含み;前記接続手段が外部区画を前記入口オリフィスに接続し;前記外部区画が、所定の濃度の指示薬を含有する指示薬溶液を含んでいることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の壁部及び/又は前記第2の壁部が部分的に中断されていることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
薬物送達手段、例えば分配システムを少なくとも1つの小さな開口部に接続する手段であって、好ましくは前記第2のプレート中に存在する前記薬物送達手段;ここで、前記少なくとも1つの小さな開口部は前記アパーチャに接続されている
をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記薬物送達手段が、浸出材料に埋め込まれた薬物溶液を含み;好ましくは前記浸出材料が、前記アパーチャに接続された第2のプレートに取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記凹部及び/又は前記外部手段が透明であることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記第1の壁部及び/又は第2の壁部が、少なくとも部分的に多孔性材料を含むことを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記外部手段の前記入口開口部が、その入口開口部の大きさを調節する第2の調節機構を含むことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項24】
液体媒体中に置かれた、請求項1〜23のいずれか1項に記載の装置の使用方法であって、ここで前記装置は:
− 第1の表面及び第2の表面を有する本体;ここで前記2つの表面の間で本体の厚さが規定され、前記表面は実質的に平行であり、前記本体は枠によって境界が定められている;
− 前記本体の中心にあり、前記第1の表面及び前記第2の表面において第1のプレート及び第2のプレートによって覆われたアパーチャ;ここで前記第1のプレート及び/又は第2のプレートは、液体媒体が前記アパーチャへ入ることを可能とする入口オリフィスを含む;
− 前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間の前記アパーチャに配置された回転手段;
− 少なくとも1つの凹部を含む前記枠;ここで前記凹部は、前記本体の枠中に存在するキャビティであって、前記液体媒体が前記本体外へ流出することを可能とする第1の出口オリフィスを含み;ここで第1の壁部が、前記キャビティに沿って前記凹部の境界を定める;
− 前記アパーチャを前記少なくとも1つの凹部と接続する、少なくとも1つの出口チャンネル
− 場合により、前記凹部と係合し、入口開口部及び第2の出口開口部を含み、並びに前記入口開口部と前記第2の出口開口部との間の流体接続を含む外部手段;ここで前記外部手段は、前記外部手段の外面を規定する第2の壁部によって境界が定められた三次元形状の要素である;
− 前記凹部または前記外部手段に配置された足場
を含み、
ここで液体媒体は、前記回転手段の回転によって、前記入口オリフィスを通過して前記本体のアパーチャへと送りこまれ、前記少なくとも1つの出口チャンネルを通過し、前記凹部及び/又は前記外部手段にある足場を通り抜け及び/又は前記足場の周囲を通り、前記第1及び/又は第2の出口オリフィスを通過して排出される、
前記方法。
【請求項25】
足場を前記凹部又は前記外部手段の中に配置する前、又は配置した後に、前記足場中又は前記足場の位置に細胞を播種することを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
タンパク質が前記足場上に固定化され、ここで前記タンパク質は前記足場を通過する前記液体媒体の成分と相互作用することができることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記タンパク質が基質分子と相互作用する酵素であり、前記基質分子は前記酵素を含む足場を通り抜ける及び/又は前記足場の周囲を通る液体媒体の1つの成分であることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記タンパク質が細胞と相互作用する抗体であり、前記細胞が、前記抗体を含む足場を通り抜ける液体媒体の成分であることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記回転手段が磁石を含み、前記磁石は前記アパーチャの中に配置されており、前記磁石は、例えばマグネティック・スターラーからの外部回転磁場手段によって回転することを特徴とする、請求項24〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記入口オリフィスを通過する前記媒体の流速が、以下のステップ:
− 第1の濃度C1の指示薬を含む指示薬溶液を含む外部区画を、入口オリフィスにある接続手段に取り付け;
− 前記指示薬溶液を前記アパーチャの中に送り込み、少なくとも1つの出口チャンネルを通過させ;
− 所定の体積Vの前記液体媒体中の、前記指示薬の第2の濃度C2を所定の時間dtの後に測定し;
− 流速Qを、式:Q=−(C2*V)/((C2−C1)*dt)によって計算すること
によって測定されることを特徴とする、請求項24〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記媒体が、前記凹部の壁部及び/又は前記外部手段を通過することを特徴とする、請求項24〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか1項に記載の装置の使用であって、前記装置が灌流を得るために使用されることを特徴とする前記使用。
【請求項33】
前記装置が、細胞培養のために、又は液体からの細胞の精製のために使用されることを特徴とする、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記装置が、三次元培養物の培養のために使用されることを特徴とする、請求項32に記載の使用。
【請求項35】
前記装置が足場のバルク処理のために使用されることを特徴とする、請求項32に記載の使用。
【請求項36】
前記装置が酵素反応のために使用され、ここで固定化された酵素が、前記液体媒体によって提供されるタンパク質に作用することを特徴とする、請求項32に記載の使用。
【請求項37】
手術後の自己輸血のために採取した血液が、足場を通過する流れによって濾過されることを特徴とする、請求項32に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【公表番号】特表2012−528576(P2012−528576A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513471(P2012−513471)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/DK2010/050125
【国際公開番号】WO2010/139337
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(509168656)オーフス ウニベルシテット (3)
【出願人】(511293847)
【Fターム(参考)】