説明

液面検出装置の蓋体構造

【課題】 樹脂の応力による端子の変形を抑制し、ひいては蓋体の変形を抑制することが可能な液面検出装置の蓋体構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 燃料タンク2の開口1を閉じるように装着される蓋体3と、この蓋体3に設けた端子5とを備えた液面検出装置の蓋体構造において、端子5は、燃料タンク2外に一部が露出する板状の外側端子部5aと、燃料タンク2内に一部が露出する棒状の内側端子部5bとを備え、外側端子部5aと内側端子部5bとを接続固定するとともに、内側端子部5bの断面形状を円形としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口を備えた燃料タンクと、前記開口を閉じるように装着される蓋体と、前記蓋体に設けた端子とを備えた液面検出装置の蓋体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液面検出装置の蓋体構造は、金属端子を液面検出装置における樹脂製の蓋体(フランジ)に一体成形したものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開昭62−121514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の液面検出装置の蓋体構造では、前記金属端子とともに熱硬化性樹脂を用いて蓋体を成型する。この成型によって、樹脂の応力によって端子が、その長手方向に対して垂直方向に変形し、ひいては蓋体が変形するという問題があった。
【0004】
そこで本発明は、樹脂の応力による端子の変形を抑制し、ひいては蓋体の変形を抑制することが可能な液面検出装置の蓋体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記目的を達成するため、燃料タンクの開口を閉じるように装着される蓋体と、前記蓋体に設けた端子とを備えた液面検出装置の蓋体構造において、前記端子は、前記燃料タンク外に一部が露出する板状の外側端子部と、前記燃料タンク内に一部が露出する棒状の内側端子部とを備え、前記外側端子部と前記内側端子部とを接続固定するとともに、前記内側端子部の断面形状を前記内側端子部の長手方向に対して垂直方向に変形しにくい形状としたものである。
【0006】
また、前記内側端子部の断面形状を円形としたものである。
【0007】
また、前記外側端子部と前記蓋体との間に封止材を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1によれば、所期の目的を達成でき、樹脂の応力による端子の変形を抑制し、ひいては蓋体の変形を抑制することが可能な液面検出装置の蓋体構造を提供することができる。
【0009】
また、請求項2によれば、内側端子部を形成するのに煩雑な作業が必要なく、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0010】
また、請求項3によれば、請求項1や請求項2の効果に加えて、端子と樹脂からなる蓋体との間から燃料が燃料タンク外に漏れ出すことを防止することが可能な液面検出装置の蓋体構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明による液面検出装置の蓋体構造を説明する。
【0012】
本実施形態の液面検出装置の蓋体構造は、自動車などの車両の液体燃料貯蔵用に用いられる燃料タンクに適用されるものである。この燃料タンク2は、開口1を備えている。この開口1を閉じるように装着される蓋体3と、開口1と蓋体3との間を密封するパッキン4と、蓋体3に設けられる端子5とを備えている。
【0013】
燃料タンク2は金属製で、その内部にガソリンなどの液体燃料を貯蔵するものである。この燃料タンク2には開口1が設けられている。この開口1は円形をしており、この開口1を通して図示しない液面検出装置やポンプモジュールなどが燃料タンク2内に挿入される。
【0014】
蓋体3は合成樹脂製で円形の板状体である。この蓋体3は円形の開口1を閉じるものである。本実施形態においては、この蓋体3の下面から図示しない液面検出装置を保持する保持部3aが突出形成されている。なお、この保持部3aの形状は、断面形状が矩形である。また、蓋体3の上部には、周囲方向に拡げた切れ目のない鍔部3bが設けられている。
【0015】
パッキン4は燃料の透過を防止するもので、例えば、フッ素ゴム製である。パッキン4は厚みのある平らなリング形状であり、蓋体3を燃料タンク2に取り付けたときに、蓋体の外周で、かつ鍔部3bの下側に位置し、さらに、燃料タンク2の開口1と蓋体3との隙間を塞ぐように設けられるものである。
【0016】
端子5は、外側端子部5aと内側端子部5bとで構成されており、それぞれ銅を主成分とする金属製である。外側端子部5aと内側端子部5bとは、溶接によって接続固定されている。
【0017】
外側端子部5aは板状体であり、プレス加工などによって形成される。外側端子部5aの一部は、燃料タンク2外に露出するものであり、言い換えれば、蓋体3に一部が埋設されており、一部が燃料タンク2の外側に露出している。この外側端子部5aが露出した部分に、図示しないコネクタが接続されて、外部と電気的に接続される。なお、本実施形態では、外側端子部5aが露出した部分に、図2中左方向に折れ曲がった屈曲部5a1が設けられている。また、外側端子部5aの蓋体3内の埋設部分には、貫通した貫通孔5a2を備えている。この貫通孔5a2内には、蓋体3を構成する樹脂が入り込んでおり、外側端子部5aを蓋体3に位置ずれを防止しして固定するものである。本実施形態では、貫通孔5a2の形状は円形をしているが、貫通孔5a2の形状は円形に限定されるものではなく、任意に設定可能である。また、貫通孔5a2を設ける数も任意に設定可能である。また、外側端子部5aと蓋体3との間に図示しない封止材が設けられており、外側端子部5aと蓋体3との間から燃料が燃料タンク外に漏れ出すことを防止するものである。
【0018】
内側端子部5bは棒状で、その長手方向に対して垂直方向に対して変形しにくい形状をしており、本実施形態においては、長手方向に対して垂直方向の断面形状が円形である。断面形状が円形の線状の材料を所定の長さに切断したものである。内側端子部5bの一部は、燃料タンク2内に露出するものであり、言い換えれば、蓋体3に一部が埋設されており、一部が燃料タンク2の内側に露出している。特に、内側端子部5bは、蓋体3の保持部3a部分に埋設されている。この内側端子部5bが露出した部分に、図示しない液面検出装置が接続されて電気的に接続される。なお、本実施形態では、内側端子部5bが露出した部分の先端部分には、前記液面検出装置との接続が容易なように、面取り加工が施されている。なお、内側端子部5bと蓋体3との間には、前記封止材が設けられてはいない。
【0019】
以上のように、端子5が外側端子部5aと棒状の内側端子部5bとを備え、外側端子部5aと内側端子部5bとを接続固定するとともに、内側端子部5bの断面形状を内側端子部5bの長手方向に対して垂直方向に変形しにくい形状としたことによって、端子5とともに蓋体を用いて成型しても、樹脂の応力によって端子、特に内側端子部5bが変形しにくく、ひいては蓋体3の変形を抑制することができる。
【0020】
また、本実施形態のように、内側端子部5bの断面形状が円形であるので、円形の線状の材料を切断して形成することによって、例えば、機種によって、蓋体3の保持部3aの長さが異なる場合は、前記線状の材料の長さを適宜変更することによって、適用する機種の蓋体3の保持部3aの長さに対応することができる。これは、従来のような板状の端子の場合は、適用する機種毎に端子をプレス加工する金型を必要としていたが、本実施形態によれば、適用する機種毎に端子をプレス加工する金型を必要とせず、製造コストの削減をはかることができる。さらに、内側端子部5bの断面形状を円形とすることで、円形の端面形状とするのに、プレス加工などの煩雑な作業を不要とすることができ、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0021】
また、以上のように、外側端子部5aと蓋体3との間に前記封止材を設けたことによって、端子5(外側端子部5a)と蓋体3との間から燃料が燃料タンク2外に漏れ出すことを防止することができる。
【0022】
なお、内側端子部5bの長手方向に対して垂直方向に変形しにくい断面形状としては、円形に限定されるものではなく、図4に示すような正方形や、図5に示すようなコの字形状や、図6に示すようなVの字形(Lの字形)や、図7に示すようなUの字形などでも良い。なお、図7に示すUの字形の変形例として、半円弧形状でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態の液面検出装置の蓋体構造の断面図。
【図2】図1中A−A線の断面図。
【図3】図1中B−B線の断面図。
【図4】内側端子部の変形例の断面図。
【図5】内側端子部の変形例の断面図。
【図6】内側端子部の変形例の断面図。
【図7】内側端子部の変形例の断面図。
【符号の説明】
【0024】
1 開口
2 燃料タンク
3 蓋体
5 端子
5a 外側端子部
5b、15b、25b、35b、45b 内側端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの開口を閉じるように装着される蓋体と、前記蓋体に設けた端子とを備えた液面検出装置の蓋体構造において、前記端子は、前記燃料タンク外に一部が露出する板状の外側端子部と、前記燃料タンク内に一部が露出する棒状の内側端子部とを備え、前記外側端子部と前記内側端子部とを接続固定するとともに、前記内側端子部の断面形状を前記内側端子部の長手方向に対して垂直方向に変形しにくい形状としたことを特徴とする液面検出装置の蓋体構造。
【請求項2】
前記内側端子部の断面形状を円形としたことを特徴とする請求項1に記載の液面検出装置の蓋体構造。
【請求項3】
前記外側端子部と前記蓋体との間に封止材を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液面検出装置の蓋体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−298316(P2007−298316A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124792(P2006−124792)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】