説明

淡色ウレトジオンポリイソシアネートの製造方法

【課題】淡色生成物をもたらすウレトジオンポリイソシアネートの新規な製造方法を提供する。
【解決手段】(a) 脂肪族および/または脂環式結合したイソシアネート基を有するジイソシアネートのイソシアネート基の1部を、イソシアネート基の二量化を促進する触媒の存在下および式(I)[式中、R1、R2およびR3は、芳香族もしくは芳香脂肪族基、または直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族基を示し、またはR1およびR2は燐原子および2個の酸素原子と一緒になって複素環式5または6員環を形成する。ただし置換基R1、R2もしくはR3の少なくとも1つは6〜18個の炭素原子を有する芳香族基または9〜18個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族基を示す]の三置換ホスファイト安定剤の存在下にオリゴマー化させることにより、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、淡色ウレトジオンポリイソシアネートの製造方法およびポリウレタンプラスチック用の出発成分、特にウレトジオン粉末被覆硬化剤を製造するためのイソシアネート成分としてのその使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モノマー脂肪族もしくは脂環式ジイソシアネートの接触二量化および必要に応じ三量化(通称:オリゴマー化)によるウレトジオン基を有する脂肪族もしくは脂環式ポリイソシアネートの製造は知られており、たとえばジャーナル・オブ・プラクティカル・ケミストリー、第336巻(1994)、第185〜200頁に記載されている。本発明によれば、「オリゴマー化」と言う用語はイソシアネートの二量化および必要に応じ三量化を意味する。
これら既知方法により得られるウレトジオンポリイソシアネートは、用いる触媒の種類に応じ顕著な固有の色を示す。この色は、高級表面被覆用樹脂の製造のための出発成分として使用するにはその能力を著しく制限する。ウレトジオンポリイソシアネートの色品質を改善すべく多くの試みがなされている。
出発モノマーに溶解された二酸化炭素は脂肪族ジイソシアネートのホスフィン触媒二量化に際し生成物の色に相当な影響を及ぼすことがEP−A 337 116号から知られている。溶解した二酸化炭素を除去した後にのみ(たとえば20ppm未満の残留含有量まで)、淡色ウレトジオンポリイソシアネートを1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)から製造することができる。
【0003】
EP−A 337 177号は、アルコール性助触媒の存在下におけるトリブチルホスフィン触媒反応に続く、有機過酸化物による薄層蒸留後に得られた低モノマー樹脂の酸化増白による実質上無色のHDIウレトジオンの製造を記載している。しかしながら、適する過酸化物の取扱いは、特に工業規模では問題がないとは言えず、ある場合には安全性に相違等の注意を払わなければならない。
EP−A 569 804号には、脂肪族もしくは脂環式ウレトジオンポリイソシアネートの酸化増白のために(大気)酸素を使用することが提案されている。しかしながら、所望の効果は80℃以上においてのみ得られ、すなわちウレトジオン基を熱分解するのに充分な温度においてのみ生ずる。この理由から、低モノマー含有量を有する生成物をこの方法では得ることは困難である。
EP A 735 027号は、たとえば4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のような4−ジアルキルアミノピリジンを用いた触媒反応による(シクロ)脂肪族−ウレトジオンの製造のために、EP−A 317 744号に開示された方法の変法を記載している。この方法においては、二量化をアルキル基中に8個までの炭素原子を有する芳香族もしくは芳香脂肪族ホスフィンまたはアルキルホスファイトの存在下に行う。この改変方法は向上した色品質を有する生成物を与えるが、これはしばしばたとえば透明ポリウレタン粉末コーティングのウレトジオン硬化剤を製造するような特殊な用途には充分でない。さらにEP−A 735027号に記載された燐化合物は比較的低分子量であり、ある場合には悪臭を有する毒性物質であって、これらを取扱い困難にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、淡色生成物をもたらすが上記欠点を持たないウレトジオンポリイソシアネートの新規な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、既知触媒による脂肪族もしくは脂環式ジイソシアネートの二量化が、少量の特殊な三置換ホスファイトを反応混合物に添加すれば、匹敵する従来技術の方法よりも相当低い色値を有するウレトジオンポリイソシアネートを生成すると言う予想外の観察に基づく本発明の方法により解決することができる。
【0006】
本発明は、
(a) 脂肪族および/または脂環式結合したイソシアネート基を有するジイソシアネートのイソシアネート基の1部を、イソシアネート基の二量化を促進する触媒の存在下および式(I)
【化1】

[式中、R1、R2およびR3は同一もしくは異なって、18個までの炭素原子を有する芳香族もしくは芳香脂肪族基、または必要に応じてエーテル基を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族基を示し、またはR1およびR2は燐原子および2個の酸素原子と一緒になって複素環式5員環もしくは6員環を形成する。ただし置換基R1、R2もしくはR3の少なくとも1つは6〜18個の炭素原子を有する芳香族基または9〜18個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族基を示す]
に対応する三置換ホスファイト安定剤の存在下にオリゴマー化させ、
(b) 必要に応じ、オリゴマー化反応を触媒毒の添加により10〜60%のオリゴマー化度にて終了させ、
(c) 必要に応じ、未反応ジイソシアネートを抽出または薄層蒸留により除去する
ことによるウレトジオン基を有するポリイソシアネートの製造方法に関するものである。
【発明の実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による方法の出発化合物は、たとえばホスゲン化によりあるいはホスゲンフリーの方法により(たとえばウレタン開裂により)調製されるような任意のジイソシアネートを包含し、ただしこれらは脂肪族および/または脂環式結合したイソシアネート基を有し、好ましくは140〜300の分子量範囲を有するものである。その例は1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−および1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−2(4)−メチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートもしくはIPDI)、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチル−シクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよびその混合物を包含する。HDIおよび/またはIPDIが好適に使用される。
【0008】
本発明の方法に適する触媒または触媒系は、脂肪族もしくは脂環式結合したイソシアネート基の二量化を触媒する既知化合物を包含する。その例は第三級有機ホスフィン[たとえば米国特許第4,614,785号(参考のためここに引用する)第4欄、第11〜47行、米国特許第4,994,541号(参考のためここに引用する)、DE−A 19 34 763号もしくはDE−A 39 00 053号に開示されたもの];パーアルキル化アミノホスフィン[たとえばDE−A 30 30 513号、DE−A 32 27 779号、DE−A34 37 635号、並びに米国特許第4,476,054号、第4,668,780号および第4,929,724号(参考のためここに引用する)に開示されたもの];4−ジアルキルアミノ−置換ピリジン[たとえばEP−A 317 744号および米国特許第4,912,210号(参考のためここに引用する)に開示されたもの];五弗化アンチモン[たとえばDE−A 34 20114号および米国特許第4,595,534号(参考のためここに引用する)に開示されたもの];並びに三弗化硼素[たとえばDE−A 16 70 720号に開示されたもの]を包含する。
第三級有機ホスフィンまたはジアルキルアミノ置換ピリジンが、本発明の方法において触媒もしくは触媒系として好適に使用される。トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィンもしくは4−ジメチルアミノピリジンが特に好適な触媒である。
好ましくは、触媒は本発明の方法において出発ジイソシアネートの使用重量に対し0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%の量で使用される。
【0009】
前記触媒の他に、適する助触媒も必要に応じ本発明の方法に使用することができる(触媒系)。これらは酸素、窒素もしくは硫黄に結合した少なくとも1個の水素原子と少なくとも6のpKs とを有する任意の有機化合物を包含し、たとえばDE−A 34 37 635号、第11頁、第8行〜第16頁、第6行(米国特許第4,929,724号、参考のためここに引用する)に記載されている。
低分子量の一価もしくは多価アルコール、好ましくは32〜200の分子量範囲を有するものあるいはこれらアルコールの混合物が助触媒として好適である。その例はメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ヘキサンジオールもしくはオクタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはその混合物を包含する。
助触媒は本発明の方法において出発ジイソシアネートの使用重量に対し5重量%まで、好ましくは0.5〜3重量%の量で使用される。
実際の助触媒は前記助触媒と出発ジイソシアネートとの反応生成物である。したがって前記助触媒を使用する代わりに、別途に調製されたイソシアネートとの反応生成物を使用することもできる。これら反応生成物の例は、好適アルコール性助触媒を出発ジイソシアネートと反応させて得られるウレタンを包含する。
【0010】
本発明の方法によれば、オリゴマー化反応は特殊なホスファイト安定剤の存在下に行われる。三置換ホスファイト化合物は既知であって、式(I)
【化2】

[式中、R1、R2およびR3は同一もしくは異なって、18個までの炭素原子を有する芳香族もしくは芳香脂肪族基、または必要に応じてエーテル基を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族基を示し、またはR1およびR2は燐原子および2個の酸素原子と一緒になって複素環式5員環もしくは6員環を形成する。ただし置換基R1、R2もしくはR3の少なくとも1つは6〜18個の炭素原子を有する芳香族基または9〜18個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族基を示す]
に対応する。
芳香族基および芳香脂肪族基、並びに複素環はオリゴマー化反応に悪影響を及ぼさない基によって置換することもできる。
【0011】
適する安定剤は、たとえばトリフェニルホスファトもしくはトリス(ノニルフェニル)ホスファイトのようなアリールホスファイト;たとえばジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジイソデシルフェニルホスファイト、ジイソオクチルオクチルフェニルホスファイト、フェニルネオペンチルグリコールホスファイトもしくは2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル−(2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール)ホスファイトのようなアルキル−アリールホスファイト;たとえばトリイソデシルホスファイト、トリラウリルホスファイトもしくはトリス(トリデシル)ホスファイトのようなアルキルホスファイト;並びにたとえばジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトもしくはテトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイトのような芳香族もしくは脂肪族置換のジホスファイトを包含する。
好適なホスファイト安定剤は、置換基R1、R2もしくはR3の少なくとも1つが10〜16個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族基またはフェニル基であるものである。トリイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイトおよびジフェニルイソデシルホスファイトが特に好適である。
式(I)の安定剤は本発明の方法において出発ジイソシアネートの重量に対し0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%の量で使用される。
【0012】
必要に応じオリゴマー化反応は、出発混合物中に最初に存在するイソシアネート基の10〜60%(転化率)が反応した際に、適する触媒毒により停止する。適する触媒毒はたとえば硫酸ジメチルもしくはp−トルエンスルホン酸メチルのようなアルキル化剤;たとえば塩化ベンゾイルのようなアシル化剤;たとえばパーフルオロブタンスルホン酸のような酸類、硫黄もしくはスルホニルイソシアネート(たとえば米国特許第4 614 785号、第5欄、第27行〜第6欄、第35行)およびシリル化された酸類(たとえばEP−A 520 210号)を包含する。
反応を停止するのに要する触媒毒の量は触媒の使用量に依存する。一般に、オリゴマー化反応に際し添加される二量化触媒に対し等モル量の停止剤を使用する。しかしながら、反応に際し生じうる触媒損失に基づき、最初に使用した触媒に対し20〜80当量%程度の少量の触媒毒で充分である。
【0013】
本発明による方法は好ましくは溶融物中で行われる。しかしながら、反応はイソシアネート基に対し不活性である溶剤の存在下に行うこともできる。適する溶剤はヘキサン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン、メチルイソブチルケトン、塩化メチレン、N−メチルピロリドンまたはそれらの任意の混合物を包含する。
本発明の方法を実施するには、出発ジイソシアネートを20〜100℃、好ましくは20〜70℃の温度までホスファイト安定剤と一緒に、必要に応じたとえば窒素のような不活性ガス中および必要に応じ適する溶剤の存在下で、加熱する。助触媒(好ましくはアルコール性助触媒)を次いで必要に応じ混入することができる。これに続き、必要に応じ助触媒と出発ジイソシアネートとの間の自然反応が完結した後、所要量の二量化触媒を添加すると共に、反応温度を必要に応じ20〜120℃、好ましくは25〜80℃の温度に加熱または冷却して調節する。10〜60%、好ましくは10〜40%のオリゴマー化度に達した際に、触媒毒を添加すると共に次いで必要に応じ反応混合物を80℃以上、好ましくは120℃以上の温度まで加熱することにより反応を停止することができる。
【0014】
「オリゴマー化度」と言う用語は、出発混合物中に最初に存在するイソシアネート基の本発明の反応に際し消費された比率を意味する。イソシアネート基は二量化、三量化および助触媒を使用する場合はイソシアネート基との反応により消費されて、例えばウレタン基を生成することができる。オリゴマー化度は一般に1〜48時間、好ましくは2〜24時間の反応時間後に得られる。
次いで好ましくは反応混合物から揮発成分(過剰のモノマージイソシアネート、適宜の溶剤、揮発性ホスファイト安定剤、および触媒毒を使用しなければ揮発性触媒)を、できる限り緩和な条件下(たとえば100〜200℃、好ましくは120〜180℃の温度)における高減圧(たとえば<1ミリバール)下での薄層蒸留により除去する。
さらに、上記揮発性成分はオリゴマー化生成物から、イソシアネート基に対し不活性である適する溶剤での抽出により分離することもできる。そのような溶媒の例はペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタンおよびシクロヘキサンのような脂肪族もしくは脂環式炭化水素を包含する。
【0015】
使用する出発ジイソシアネートの種類に応じ、ウレトジオン基を有するポリイソシアネート混合物が得られ、これらは室温にて液体または高粘性であって10〜30重量%(好ましくは15〜25重量%)の脂肪族および/または脂環式結合したイソシアネート基の含有量を有すると共に、5重量%未満、好ましくは2重量%未満、特に好ましくは1重量%未満のモノマー出発ジイソシアネートを含有する。これら生成物は、既知の二量化法により本発明に必須であるホスファイト安定剤の添加なしに製造されたウレトジオンポリイソシアネートと比較して、ずっと淡色(著しく低い固有の色)を有する。
未反応のモノマー出発ジイソシアネートおよび必要に応じ溶剤、ホスファイト安定剤および触媒を含有する得られた蒸留物はその後のオリゴマー化反応に使用することができる。
【0016】
さらに、本発明の方法では、触媒毒の添加により所望程度のオリゴマー化での部分的接触二量化および反応停止の後に、過剰の未反応ジイソシアネートを分離する工程を省略することもできる。この場合は、ウレトジオン基と70重量%までのモノマー出発ジイソシアネートとを含有する透明な淡色ポリイソシアネート溶液がこの方法の生成物として得られる。
本発明の方法により得られるウレトジオンポリイソシアネートまたはモノマー出発ジイソシアネートにおけるその溶液は、重付加法によるポリウレタンプラスチックの製造(特にワンパックもしくはツーパックポリウレタンコーティングの製造)における貴重な出発物質となる。これらは特に、粉末被覆組成物用のウレトジオン硬化剤を製造するイソシアネート成分として特に適している。
【実施例】
【0017】
以下、実施例により本発明をさらに説明し、ここで部数および%は特記しない限り全て重量による。
ハーゼン色値は、ヘリゲ社(フライブルグ)からのネオ−コンパレータを用いて測定した。
【0018】
実施例1
室温にて乾燥窒素下に、安定剤としての5g(0.5%)のジイソデシルフェニルホスファイトと助触媒としての10g(1.0%)の1,3−ブタンジオールと触媒としての3g(0.3%、0.015モル)のトリ−n−ブチルホスフィンとを、順次、1000g(5.95モル)のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)に添加し、次いで混合物を60℃まで加熱した。4.5時間の反応時間の後、反応混合物のNCO含有量は42.0%となり、これは14.5%のオリゴマー化度に相当した。2.8g(0.015モル)のp−トルエンスルホン酸メチルを添加すると共に80℃で1時間加熱して反応を停止した。140℃の温度および0.5ミリバールの圧力で薄層蒸留した後、ウレトジオン基を有する無色ポリイソシアネートが得られ、これは21.5%のNCO含有量と0.3%のモノマーHDI含有量と240 mPa.s(23℃)の粘度(DIN 50 018による)と15〜20のハーゼン色値とを有していた。
比較のため、同様な方法であるがジイソデシルフェニルホスファイトを用いずにHDIポリイソシアネートを調製した。若干黄色の樹脂は21.6%のNCO含有量と0.2%のモノマーHDI含有量と240 mPa.s(23℃)の粘度DIN 53 018による)と50のハーゼン色値とを有していた。この比較は、ホスファイト安定剤の存在下における本発明の二量化によりずっと淡色の生成物が生成したことを示す。
【0019】
実施例2
室温にて乾燥窒素下に、安定剤としての10g(1%)のトリフェニルホスファイトと触媒としての20g(2%)の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)とを1000g(4.50モル)のイソホロンジイソシアネート(IPDI)に撹拌しながら順次に添加した。20時間の後、21.8%のオリゴマー化度に相当する28.7%のNCO含有量を有する淡黄色の反応混合物から揮発性成分を、予め触媒毒を添加することなく160℃の温度および0.3ミリバールの圧力における薄層蒸発器により除去した。黄色ウレトジオンポリイソシアネートが得られ、これは17.8%のNCO含有量と0.3%のモノマーIPDI含有量と200,000 mPa.s(23℃)より大の粘度(DIN 53 018による)と塩化メチレン中の10%溶液で測定して30のハーゼン色値とを有していた。
比較の目的で、安定剤を使用せずにEP−A 317 744号(米国特許第4,912,210号)にしたがいIPDIウレトジオンを調製した。得られた生成物は高度に粘性かつ黄色であって、17.5%のNCO含有量と0.3%のモノマーIPDI含有量と塩化メチレン中の10%溶液として70のハーゼ色値とを有していた。この比較は、ホスファイト安定剤の存在下における本発明による二量化によりずっと淡色の生成物が生成したことを示す。
【0020】
実施例3〜8
種々の異なるホスファイト安定剤を使用して実施例2に記載した手順によりIPDIウレトジオンを調製した。オリゴマー化度はそれぞれの場合21〜22%であった。表1は、使用した触媒および安定剤の量(それぞれの場合、出発ジイソシアネートの重量に対する)および薄層蒸留後に得られた高粘性樹脂の性質を示す。
比較例7および8は、本発明により調製されたウレトジオンポリイソシアネートが、EP−A 735 027号に記載された三価の燐化合物を用いて調製されたものと比較して、ずっと改善された色を有することを示す。
【0021】
【表1】

【0022】
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、この詳細は単に例示の目的に過ぎず、本発明の思想および範囲を逸脱することなく種々の改変をなしうることが当業者には了解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 脂肪族および/または脂環式結合したイソシアネート基を有するジイソシアネートのイソシアネート基の1部を、イソシアネート基の二量化を促進する触媒の存在下および式(I)
【化1】

[式中、R1、R2およびR3は同一もしくは異なって、18個までの炭素原子を有する芳香族もしくは芳香脂肪族基、または必要に応じてエーテル基を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族基を示し、またはR1およびR2は燐原子および2個の酸素原子と一緒になって複素環式5員環もしくは6員環を形成する。ただし置換基R1、R2もしくはR3の少なくとも1つは6〜18個の炭素原子を有する芳香族基または9〜18個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族基を示す]
に対応する三置換ホスファイト安定剤の存在下にオリゴマー化させ、
(b) 必要に応じ、オリゴマー化反応を触媒毒の添加により10〜60%のオリゴマー化度にて終了させ、
(c) 必要に応じ、未反応ジイソシアネートを抽出または薄層蒸留により除去することを特徴とするウレトジオン基を有するポリイソシアネートの製造方法。
【請求項2】
二量化触媒がトリアルキルホスフィンおよび/またはジアルキルアミノピリジンからなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
二量化触媒がトリブチルホスフィンもしくはトリオクチルホスフィンからなる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
二量化触媒が4−ジメチルアミノピリジンからなる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ジイソシアネートが1,6−ジイソシアナトヘキサンおよび/または1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサンからなる請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
安定剤がトリイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイトもしくはジフェニルイソデシルホスファイトからなる請求項1〜5のいずれかに記載の方法。

【公開番号】特開2008−273988(P2008−273988A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151950(P2008−151950)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【分割の表示】特願平10−237948の分割
【原出願日】平成10年8月11日(1998.8.11)
【出願人】(591063187)バイエル アクチェンゲゼルシャフト (67)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen,Germany
【Fターム(参考)】