説明

深層混合処理機械における吐出口切替装置

【課題】深層混合処理での吐出口切替装置を提供する。
【解決手段】回転ロッド1A(1B)に対し直交方向に設けたシリンダ12内に往復動可能に設けられた切替弁体13を有するピストン軸14と、一端が内管供給口12bを介してシリンダ12に連通し他端が下側吐出口に連通する内管と一端が外管供給口12cを介してシリンダ12に連通し他端が上側吐出口に連通する外管とで構成され回転ロッド1A(1B)に内装された二重管構造体と、ピストン軸14の一端側に係合可能に設けられ掘進工程の際に駆動部20に接触して揺動することによりピストン軸14を一方向に移動させ切替弁体13で内管供給口12bを開にする掘進側切替カム15と、ピストン軸14の他端側に係合可能に設けられ引抜工程の際に機械本体側の駆動部20に接触して揺動してピストン軸14を他方向に移動させ切替弁体13で外管供給口12cを開にする引抜側切替カム16とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深層混合処理機械における吐出口切替装置に関するものであり、特に、オーガーマシンが大型化しても、掘進工程時と引抜工程時におけるスラリー状改良材吐出用の上・下の吐出口の切替えを高い信頼性をもって確実に行うことが可能な変位低減型の深層混合処理機械における吐出口切替装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば次のような深層混合攪拌機における改良材の吐出口切換装置が知られている。この従来技術を示す公報における[請求項1]には、改良材供給内管の上端から圧入された改良材を上側吐出口側と下側吐出口側とに選択して流す切換弁部と、攪拌回転軸の回転力を駆動源として切換弁部を切換作動する切換弁駆動部とが備えられていると記載され、[0015]には、前記切換弁部は、改良材供給内管と分岐管との分岐点に水平向きにし且つその円周方向に回転自在にして支持された吐出口切換弁体を有し、この吐出口切換弁体は直通孔と分流孔とが穿設されている構造であると記載されている。また、[0016]には、前記切換弁駆動部は、吐出口切換弁体に同軸固定して攪拌回転軸の外側面に設けられ改良材の流し方向を選択する揺動扇形板と、該揺動扇形板の円弧縁に設けた爪部と、爪部の軌跡内に存する位置もしくは脱した位置にしうる状態にしてオーガーマシンの外枠等に取付けられ該爪部に系合する切換弁駆動突起体とより構成されていると記載され、さらに[0024]及び図6には、前記爪部15において両端の爪部15a,15bは、揺動自在の構成にされており、揺動扇形板13の作動開始時には爪部15として機能し、揺動扇形板13の作動終了後には切換弁駆動突起体16により揺動されて同突起体16の通過を許容するようになっていると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の従来技術として、例えば次のような混合攪拌装置及びこれを用いた地盤改良工法が知られている。この従来技術を示す公報における[0010]及び[0026]には、固化材(固化材スラリー)を吐出すべき吐出口を切替える切替手段は、回転ロッドに対し2位置間で変位可能に設けられた流路切替弁からなり、該流路切替弁は固化材を送給するための流路に対し上部吐出口を連通させるとともに下部吐出口を遮断する上吐出位置と、前記流路に対し上部吐出口を遮断するとともに下部吐出口を連通させる下吐出位置との間で変位可能に設けられている。したがって、該切替手段によれば、固化材を吐出すべき吐出口を簡単かつ確実に切替えることが可能になると記載され、[0011]及び[0027]には、前記流路切替弁は、回転ロッドに対し2位置間で回動可能に設けられたほぼ円筒状部材からなり、攪拌翼を一体的に有している。この構成によれば、回転ロッドの回転方向を切替える際に攪拌翼が受ける土砂の抵抗によって、流路切替弁を回動させることができる。例えば、正回転していた回転ロッドを逆回転させた際に攪拌翼が受ける抵抗によって、ほぼ円筒状の流路切替弁を周方向に所定角度回動させることができる。したがって、流路切替弁を回動させるための特別な動力を設けなくても、単に回転ロッドの回転方向を変えるだけで確実に流路切替弁を切替えることができると記載されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−85096号公報。
【特許文献2】特開2007−327281号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の従来技術においては、攪拌回転軸の回転力により、揺動扇形板の円弧縁に設けた小突起状の爪部とオーガーマシンの外枠に取付けられ比較的小さな切換弁駆動突起体とからなるラチェット機構を介して揺動扇形板を間欠的に揺動させ、該揺動扇形板の揺動方向に応じて上・下の吐出口を切換えるようにしている。しかしながら、切換弁駆動部は、上記のように、揺動扇形板、該揺動扇形板の円弧縁に設けた小突起状の爪部及びオーガーマシンの外枠に取付けられた比較的小さな切換弁駆動突起体で構成され、さらには円弧縁に設けられた小突起状の爪部のうち両端部の爪部は揺動自在となっている。このため、大径の深層混合処理杭の造成用として大型化したオーガーマシンに適用する切換弁駆動部としては、機械的強度が十分とは言い得ず、上・下の吐出口の切替えを高い信頼性をもって確実に行ない得ないおそれがある。
【0005】
また、特許文献2に記載の従来技術においては、回転ロッドに対し2位置間で回動可能に設けられた流路切替弁に攪拌翼が一体的に取付けられている。そして、回転ロッドの回転方向を切替える際に、その攪拌翼が受ける土砂の抵抗で流路切替弁を回動させて上・下の吐出口を切替えるようにしている。このため、流路切替弁を回動させるための特別な動力を設けなくても、単に回転ロッドの回転方向を変えるだけで上・下の吐出口を簡単に切替えることができるとしている。しかしながら、切替駆動源が回転ロッドの回転時に攪拌翼が受ける土砂の抵抗に依存しているため、上記と同様に、上・下の吐出口の切替えを高い信頼性をもって確実に行ない得ないおそれがある。
【0006】
そこで、オーガーマシンが大径の深層混合処理杭等を造成のため大型化しても、掘進工程時と引抜工程時におけるスラリー状改良材吐出用の上・下の吐出口の切替えを高い信頼性をもって確実に行うために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、掘削刃と攪拌翼を有する回転ロッドにおける前記攪拌翼の下側と上側にそれぞれスラリー状改良材の下側吐出口と上側吐出口が設けられ、掘進工程で前記下側吐出口からスラリー状改良材を吐出させ、引抜工程で前記上側吐出口からスラリー状改良材を吐出させるようにした深層混合処理機械における吐出口切替装置において、前記回転ロッドに対し直交方向に設けたシリンダ内に往復動可能に設けられた切替弁体を有するピストン軸と、一端が内管供給口を介して前記シリンダに連通するとともに他端が前記下側吐出口に連通する内管と一端が外管供給口を介して前記シリンダに連通するとともに他端が前記上側吐出口に連通する外管とで構成され前記回転ロッドに内装された二重管構造体と、前記ピストン軸の一端側に係合可能に設けられ前記掘進工程の際の前記回転ロッドの正回転時に機械本体側の駆動部に接触して揺動することにより前記ピストン軸を一方向に移動させ前記切替弁体で前記内管供給口を開状態に設定する掘進側切替カムと、前記ピストン軸の他端側に係合可能に設けられ前記引抜工程の際の前記回転ロッドの逆回転時に機械本体側の駆動部に接触して揺動することにより前記ピストン軸を他方向に移動させ前記切替弁体で前記外管供給口を開状態に設定する引抜側切替カムとを備え、前記掘進工程では前記シリンダ内に圧入されたスラリー状改良材を前記内管供給口及び前記内管を介して前記下側吐出口から吐出させ、前記引抜工程では前記シリンダ内に圧入されたスラリー状改良材を前記外管供給口及び前記外管を介して前記上側吐出口から吐出させるようにした深層混合処理機械における吐出口切替装置を提供する。
【0008】
この構成によれば、掘進工程時に回転ロッドが正回転すると機械(オーガーマシン)本体側の駆動部に接触する掘進側切替カムが一方向に回動してピストン軸の一端側が駆動され、該ピストン軸が一方向に移動して切替弁体により内管供給口が開状態に設定され外管供給口は閉状態となる。これにより掘進工程時には、スラリー状改良材が内管を介して下側吐出口から吐出される。一方、引抜工程時に回転ロッドが逆回転すると機械本体側の駆動部に接触する引抜側切替カムが他方向に回動してピストン軸の他端側が駆動され、該ピストン軸が上記と逆の他方向に移動して切替弁体により外管供給口が開状態に設定され内管供給口は閉状態となる。これにより引抜工程時には、スラリー状改良材が外管を介して外側吐出口から吐出される。したがって、掘進工程では下側吐出口に追随する攪拌翼によって吐出されたスラリー状改良材と掘削土とが攪拌混合され、引抜工程では上側吐出口に追随する攪拌翼によって吐出されたスラリー状改良材と掘削土とが攪拌混合されて地中に円柱状の混合処理杭が効率よく造成される。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記掘進側切替カム及び上記引抜側切替カムは、それぞれベルクランク状のカムからなり、その各揺動支点が上記シリンダの両端部に突設された各ブラケットにそれぞれ枢支されているとともに上記駆動部と接触する各端部にはそれぞれコロが転動可能に取付けられている深層混合処理機械における吐出口切替装置を提供する。
【0010】
この構成によれば、掘進側切替カム及び引抜側切替カムをベルクランク状のカムとしたことで、大径の混合処理杭を造成するため、オーガーマシンが大型化しても、これに対応した強固なカムとなる。また、機械本体側の駆動部と接触する各端部にはそれぞれコロが取付けられていることで接触抵抗が低減して確実な作動が保証される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明は、掘進工程時及び引抜工程時における回転ロッドの回転方向に応じて掘進側切替カム、引抜側切替カム及び切替弁体を有するピストン軸の各部材がそれぞれ自動的に所定の動作をすることで、掘進工程時と引抜工程時におけるスラリー状改良材を吐出する下側と上側の吐出口の切替えを高い信頼性をもって確実に行うことができるという利点がある。
【0012】
請求項2記載の発明は、大径の混合処理杭を造成するため、オーガーマシンが大型化しても、これに対応した強固で作動が確実なカムとすることができて、下側・上側の吐出口の切替えを高い信頼性をもって確実に行うことができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
オーガーマシンが大径の深層混合処理杭等を造成のため大型化しても、掘進工程時と引抜工程時におけるスラリー状改良材吐出用の上・下の吐出口の切替えを高い信頼性をもって確実に行うという目的を達成するために、掘削刃と攪拌翼を有する回転ロッドにおける前記攪拌翼の下側と上側にそれぞれスラリー状改良材の下側吐出口と上側吐出口が設けられ、掘進工程で前記下側吐出口からスラリー状改良材を吐出させ、引抜工程で前記上側吐出口からスラリー状改良材を吐出させるようにした深層混合処理機械における吐出口切替装置において、前記回転ロッドに対し直交方向に設けたシリンダ内に往復動可能に設けられた切替弁体を有するピストン軸と、一端が内管供給口を介して前記シリンダに連通するとともに他端が前記下側吐出口に連通する内管と一端が外管供給口を介して前記シリンダに連通するとともに他端が前記上側吐出口に連通する外管とで構成され前記回転ロッドに内装された二重管構造体と、前記ピストン軸の一端側に係合可能に設けられ前記掘進工程の際の前記回転ロッドの正回転時に機械本体側の駆動部に接触して揺動することにより前記ピストン軸を一方向に移動させ前記切替弁体で前記内管供給口を開状態に設定する掘進側切替カムと、前記ピストン軸の他端側に係合可能に設けられ前記引抜工程の際の前記回転ロッドの逆回転時に機械本体側の駆動部に接触して揺動することにより前記ピストン軸を他方向に移動させ前記切替弁体で前記外管供給口を開状態に設定する引抜側切替カムとを備え、前記掘進工程では前記シリンダ内に圧入されたスラリー状改良材を前記内管供給口及び前記内管を介して前記下側吐出口から吐出させ、前記引抜工程では前記シリンダ内に圧入されたスラリー状改良材を前記外管供給口及び前記外管を介して前記上側吐出口から吐出させることにより実現した。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の実施例に係る深層混合処理機械における吐出口切替装置を図面に従って詳述する。図1は下側吐出口及び上側吐出口等が設けられた回転ロッド部分を示す正面図、図2は吐出口切替装置の縦断面図、図3は図2のD−D線断面図、図4は図2のE−E線断面図である。まず、本実施例に係る深層混合処理機械における吐出口切替装置の構成を説明する。
【0015】
本実施例は、変位低減型で大型の深層混合処理機械における吐出口切替装置に適用されており、図1に示すように、深層混合処理機械は大径の混合処理杭造成用として回転ロッド1A,1Bが2軸型に構成されている。そして、図1に示す各回転ロッド1A,1Bの上部には後述する吐出口切替装置を介して図示しないスクリュ−が取付けられ、スラリー状改良材(セメントスラリー)の投入量に相当する土量を、そのスクリュ−で排出することにより周辺の地盤や構造物に影響を与えることなく施工することが可能となっている。
【0016】
前記各回転ロッド1A,1Bの下端側には、それぞれ水平方向に張り出した掘削翼2が設けられ、該掘削翼2の下側には複数の掘削刃3,…一体的に取付けられている。各回転ロッド1A,1Bは、掘進工程時に掘削翼2の掘削刃3,…が掘削土中に食い込むように正回転する。掘削翼2の上方における各回転ロッド1A,1Bには、掘削土とスラリー状改良材を攪拌混合するための複数の攪拌翼4,…がそれぞれ多段に設けられている。
【0017】
そして、各回転ロッド1A,1Bの最下端部にスラリー状改良材の下側吐出口5がそれぞれ設けられ、最上段の攪拌翼4より上側の各回転ロッド1A,1Bの側面にスラリー状改良材の上側吐出口6がそれぞれ設けられている。スラリー状改良材は、各回転ロッド1A,1Bが正回転する掘進工程時にはそれぞれ下側吐出口5から吐出し、各回転ロッド1A,1Bが逆回転する引抜工程時にはそれぞれ上側吐出口6から吐出する。図示されてないが、各回転ロッド1A,1Bには後述する内管と外管とからなる二重管構造体が内装され、下側吐出口5は内管に連通し、上側吐出口6は外管に連通している。
【0018】
図2〜図4は、掘進工程時と引抜工程時においてスラリー状改良材吐出用の上・下の吐出口5,6を切替える吐出口切替装置7を示している。回転ロッド1A(1B)には、内管8と外管9とからなる二重管構造体10が内装され、該二重管構造体10の上端と、回転ロッド1A(1B)に内装されて図示しない機械(オーガーマシン)本体側に通じる共通供給管11の下端との間に前記吐出口切替装置7が設置されている。該吐出口切替装置7は、主として、回転ロッド1A(1B)に対して直交方向に設けられたシリンダ12と、該シリンダ12内に往復動可能に設けられた切替弁体13を有するピストン軸14と、該ピストン軸14を一方向(図2の左方向)に移動させる掘進側切替カム15と、ピストン軸14を他方向(図2の右方向)に移動させる引抜側切替カム16とで構成されている。
【0019】
前記ピストン軸14は、シリンダ12の両側板17a,17bに移動可能で且つ、水密的に支持され、その一方の軸端14aは側板17aから外部に突出され、他方の軸端14bは側板17bから外部に突出されている。該ピストン軸14に取付けられた前記切替弁体13は所要の厚みを有するディスク状に形成されている。前記シリンダ12の周壁における前記共通供給管11に対応した部位には共通供給口12aが開口され、共通供給管11は該共通供給口12aを介してシリンダ12内に連通している。機械(オーガーマシン)本体側から該共通供給管11及び共通供給口12aを介してシリンダ12内にスラリー状改良材が圧入される。
【0020】
前記シリンダ12の周壁における前記内管8に対応した部位には内管供給口12bが開口され、内管8は、その一端が該内管供給口12bを介してシリンダ12内に連通するとともに他端が前記下側吐出口5に連通している。また、前記シリンダ12の周壁における前記外管9に対応した部位には外管供給口12cが開口され、外管9は、その一端が該外管供給口12cを介してシリンダ12内に連通するとともに他端が前記上側吐出口6に連通している。
【0021】
前記掘進側切替カム15及び前記引抜側切替カム16は、それぞれL字形のベルクランク状カムからなり、その各揺動支点15a,16aがシリンダ12の両端部から突設された各ブラケット18a,18bにそれぞれ枢支されている。掘進側切替カム15は揺動により、その一端15bがピストン軸14の一方の軸端14aに係合可能となっており、他端にはコロ15cが転動可能に取付けられている。引抜側切替カム16は揺動により、その一端16bがピストン軸14の他方の軸端14bに係合可能となっており、他端にはコロ16cが転動可能に取付けられている。また、機械(オーガーマシン)本体側には、掘進側切替カム15及び引抜側切替カム16の配設部位の側方まで延在したブラケット19が設けられ、図2に示すように、その延在部に駆動部20が前記各コロ15c,16cに接触可能に設けられている。
【0022】
該掘進側切替カム15及び引抜側切替カム16は、前記内管8の中心線を対称軸として対称的に配置されており、掘進工程の際の各回転ロッド1A(1B)の正回転時(図3に示す回転状態)には、前記駆動部20が各コロ15c,16cに接触して該掘進側切替カム15及び引抜側切替カム16は共に図3の時計回り方向に揺動し、掘進側切替カム15の一端15bがピストン軸14の一方の軸端14aに係合してピストン軸14は一方向(図3の左方向)に所要量移動する。これと逆に、引抜工程の際の各回転ロッド1A(1B)の逆回転時には、前記駆動部20が各コロ15c,16cに接触して該掘進側切替カム15及び引抜側切替カム16は共に図3の反時計回り方向に揺動し、引抜側切替カム16の一端16bがピストン軸14の他方の軸端14bに係合してピストン軸14は他方向(図3の右方向)に所要量移動する。
【0023】
図2、図4に示す吐出口切替装置7の下端は、図示しない継手を介して前記図1に示した回転ロッド1A(1B)の頂部に連結され、図2、図4の吐出口切替装置7部分における回転ロッド1A(1B)、内管8及び外管9は、図1に示した回転ロッド1A(1B)、該回転ロッド1A(1B)に内装された図示しない内管及び外管にそれぞれ接続されている。
【0024】
次に、上述のように構成された深層混合処理機械における吐出口切替装置の作用を説明する。掘進工程時に回転ロッド1A(1B)が正回転すると、機械(オーガーマシン)本体側の駆動部20が掘進側切替カム15におけるコロ15cに接触して該掘進側切替カム15が図3の時計回り方向に揺動し、その一端15bがピストン軸14の一方の軸端14aに係合してピストン軸14は図3の左方向に所要量移動する。このピストン軸14の左方向への所要量の移動で切替弁体13により内管供給口12bが開状態に設定され外管供給口12cは閉状態となる。これにより掘進工程時には、共通供給管11及び共通供給口12aを介してシリンダ12内に圧入されたスラリー状改良材が内管供給口12b及び内管8を介して下側吐出口5から吐出される。
【0025】
一方、引抜工程時に回転ロッド1A(1B)が逆回転すると、機械本体側の駆動部20が引抜側切替カム16におけるコロ16c接触して該引抜側切替カム16が図3の反時計回り方向に揺動し、その一端16bがピストン軸14の他方の軸端14bに係合してピストン軸14は図3の右方向に所要量移動する。このピストン軸14の右方向への所要量の移動で切替弁体13により外管供給口12cが開状態に設定され内管供給口12bは閉状態となる。これにより引抜工程時には、共通供給管11及び共通供給口12aを介してシリンダ12内に圧入されたスラリー状改良材が外管供給口12c及び外管9を介して上側吐出口6から吐出される。
【0026】
したがって、掘進工程では下側吐出口5に追随する複数の攪拌翼4,…により該下側吐出口5から吐出されたスラリー状改良材と掘削土とが攪拌混合され、引抜工程では上側吐出口6に追随する複数の攪拌翼4,…により該上側吐出口6から吐出されたスラリー状改良材と掘削土とが攪拌混合されて地中に円柱状の混合処理杭が効率よく造成される。
【0027】
上述したように、本実施例に係る深層混合処理機械における吐出口切替装置においては、掘進工程時及び引抜工程時における回転ロッド1A(1B)の回転方向に応じて掘進側切替カム15、引抜側切替カム16及び切替弁体13を有するピストン軸14の各部材がそれぞれ自動的に所定の動作をすることで、掘進工程時と引抜工程時におけるスラリー状改良材を吐出する下側と上側の吐出口5,6の切替えを高い信頼性をもって確実に行うことができる。
【0028】
掘進側切替カム15及び引抜側切替カム16は、それぞれベルクランク状のカムとしたことで、大径の混合処理杭を造成するためオーガーマシンが大型化しても、これに対応した強固で作動が確実なカムとすることができて、下側・上側の吐出口5,6の切替えを高い信頼性をもって確実に行うことができる。
【0029】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図は本発明の実施例に係る深層混合処理機械における吐出口切替装置を示すものである。
【図1】下側吐出口及び上側吐出口等が設けられた回転ロッド部分を示す正面図。
【図2】吐出口切替装置の縦断面図。
【図3】図2のD−D線断面図。
【図4】図2のE−E線断面図。
【符号の説明】
【0031】
1A,1B 回転ロッド
2 掘削翼
3 掘削刃
4 攪拌翼
5 下側吐出口
6 上側吐出口
7 吐出口切替装置
8 内管
9 外管
10 二重管構造体
11 共通供給管
12 シリンダ
12a 共通供給口
12b 内管供給口
12c 外管供給口
13 切替弁体
14 ピストン軸
15 掘進側切替カム
15c コロ
16 引抜側切替カム
16c コロ
17a,17b 側板
18a,18b ブラケット
19 ブラケット
20 駆動部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削刃と攪拌翼を有する回転ロッドにおける前記攪拌翼の下側と上側にそれぞれスラリー状改良材の下側吐出口と上側吐出口が設けられ、掘進工程で前記下側吐出口からスラリー状改良材を吐出させ、引抜工程で前記上側吐出口からスラリー状改良材を吐出させるようにした深層混合処理機械における吐出口切替装置において、
前記回転ロッドに対し直交方向に設けたシリンダ内に往復動可能に設けられた切替弁体を有するピストン軸と、一端が内管供給口を介して前記シリンダに連通するとともに他端が前記下側吐出口に連通する内管と一端が外管供給口を介して前記シリンダに連通するとともに他端が前記上側吐出口に連通する外管とで構成され前記回転ロッドに内装された二重管構造体と、前記ピストン軸の一端側に係合可能に設けられ前記掘進工程の際の前記回転ロッドの正回転時に機械本体側の駆動部に接触して揺動することにより前記ピストン軸を一方向に移動させ前記切替弁体で前記内管供給口を開状態に設定する掘進側切替カムと、前記ピストン軸の他端側に係合可能に設けられ前記引抜工程の際の前記回転ロッドの逆回転時に機械本体側の駆動部に接触して揺動することにより前記ピストン軸を他方向に移動させ前記切替弁体で前記外管供給口を開状態に設定する引抜側切替カムとを備え、前記掘進工程では前記シリンダ内に圧入されたスラリー状改良材を前記内管供給口及び前記内管を介して前記下側吐出口から吐出させ、前記引抜工程では前記シリンダ内に圧入されたスラリー状改良材を前記外管供給口及び前記外管を介して前記上側吐出口から吐出させるようにしたことを特徴とする深層混合処理機械における吐出口切替装置。
【請求項2】
上記掘進側切替カム及び上記引抜側切替カムは、それぞれベルクランク状のカムからなり、その各揺動支点が上記シリンダの両端部に突設された各ブラケットにそれぞれ枢支されているとともに上記駆動部と接触する各端部にはそれぞれコロが転動可能に取付けられていることを特徴とする請求項1記載の深層混合処理機械における吐出口切替装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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