説明

混合食品製造機

【課題】食品を小片化することができると共に、小片化した食品を十分に混ぜ合わせることができる混合食品製造機を提供すること。
【解決手段】投入食品を押圧しつつ回転させて固定の削り刃にて削って排出するための削り器と、削り器の下方に設けられ当該削り器からの投入食品を攪拌部材の羽根の回転によって混ぜ合わせるための混合器とを備え、押圧盤及び羽根の回転を一の操作ハンドルの操作によって行うようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合食品製造機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、手動回転式調理器として、操作ハンドルを回転させることによって、食品を薄切りするものが知られている(例えば、特許文献1)。また、混合器として、操作ハンドルを回転させることによって、粘性の高い流動性食品を捏ねるものが知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】実公昭60−22906号公報
【特許文献2】特開2005−80871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記手動回転式調理器では、食品を薄切りにすることは可能であるが、例えば、アイスクリームを薄切りにしてトッピング材と混ぜようとする場合、アイスクリームとトッピング材が十分に混ざらないという問題がある。
一方、上記混合器では、例えば、アイスクリームとトッピング材とを十分に混ぜようとする場合には、トッピング材を小片化しておくと共に、アイスクリームを少しずつ投入しないと、アイスクリームとトッピング材とを十分に混合できない。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、食品を小片化することができると共に、小片化した食品を十分に混ぜ合わせることができる混合食品製造機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、投入食品を押圧しつつ回転させて固定の削り刃にて削って排出するための削り器と、前記削り器の下方に設けられ当該削り器からの投入食品を攪拌部材の羽根の回転によって混ぜ合わせるための混合器とを備え、前記押圧盤及び前記羽根の回転を一の操作ハンドルの操作によって行うようにしたことを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段において、前記羽根は所定の軸を中心に回転可能に構成され、前記羽根は、前記所定の軸に近い側の端が当該所定の軸から遠い側の端よりも当該羽根の回転の際に遅れた位置で回転するように当該所定の軸の半径方向に対して傾斜して設けられていることを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第1又は2の手段において、前記削り器のケース体と前記混合器のケース体とは着脱自在に構成されていることを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第1から3いずれか一の手段において、前記操作ハンドルは前記削り器に設けられ、前記削り器には、前記操作ハンドルの回転動力を二つに分配する歯車機構と、前記二つに分配された回転動力の一方を前記押圧盤に伝達するための第1の歯車機構とが設けられ、前記混合器には、前記二つに分配された回転動力の他方を前記羽根に伝達するための第2の歯車機構とが設けられていることを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第4の手段において、前記削り器は、投入食品の投入口を被覆する着脱自在な蓋体を備え、前記蓋体には、前記第1の歯車機構が構成され、当該第1の歯車機構における出力歯車の中心を前記回転軸が上下方向に貫通し、前記回転軸の下端には前記押圧盤が固定され、前記回転軸の上端には前記操作押圧部材が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1から5の手段によれば、一の操作ハンドルを回すだけで、食品を削り器によって小片化することができると共に、小片化された食品を混合器によって十分に混ぜ合わせることができる。その結果、混ぜ合わせたい食品を投入するだけで、十分に混ぜ合わされた食品を製造することができる。例えば、アイスクリーム等の半流動体とトッピング材とを十分に混ぜ合わせることができる。
【0011】
第2の手段によれば、へらの回転によって食品は中央に寄せられ、より十分に混ぜ合わせることができる。
【0012】
第3の手段によれば、削り器と混合機とは着脱自在となっているため、掃除が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係る混合食品製造機を説明する。
図1は実施形態に係る混合食品製造機の斜視図である。
【0014】
本実施形態の混合食品製造機1は、製造機本体2と、製造機本体2を下方から支持する台座3とを備える。以下、これらの詳細を説明する。
【0015】
(製造機本体2)
製造機本体2は、食品を小片化するための削り器10と、小片化した食品を混ぜ合わせるための混合器50とから構成されている。
1.削り器10
削り器10は、図2に示すように、ケース本体11と、カバー12と、操作ハンドル13と、歯車機構14と、収納筒15と、押圧盤16と、押圧盤駆動装置17とを備える。
【0016】
ケース本体11はほぼ有底円筒状に構成されている。そして、ケース本体11の穴の底壁11aには矩形の排出口(図示せず)が形成され、その排出口には食品を小片化する削り刃11bが設置されている。この削り刃11bは、アイスクリームを薄片化すると共にトッピング材を薄片化又は粉砕する働きをする。
【0017】
カバー12はビス(指示せず)によってケース本体11に取り付けられている。カバー12の外側には操作ハンドル13が取り付けられている。
操作ハンドル13には軸部品13aがビス(指示せず)によって取り付けられている。軸部品13aは、カバー12の内側からカバー12の軸孔12bに嵌り合う軸受部品12aに嵌合されることによって、カバー12に回転可能に支持されている。また、操作ハンドル14の回転中心には角軸18の一端が固定されている。角軸18の他端は後述の傘歯車21の軸21bに嵌合されている。
【0018】
ケース本体11とカバー12とによって画成される空間には歯車機構14が設置されている。この歯車機構14は、操作ハンドル14の回転動力を二つに分配するためのものである。
この歯車機構14は三つの傘歯車21,22,23を備える。傘歯車21の軸部21aは、十字形の筒状軸受部材24の一の筒部から挿入され反対側の筒部まで延び、ケース本体11に付設した軸部11cに嵌合されている。傘歯車22,23の一端側の軸部は軸受部品24における上下の軸部(腕部)に嵌合されている。
また、傘歯車22の他端側の軸22aは上方に向けて延在している。そして、軸22aの上端部には角軸部分が形成されている。この角軸部分には鍔部品22bが嵌合され、角軸部分の先端部は、ケース本体11の突片11dに形成した孔11eに下方から挿入されている。なお、図2において符号25は、ケース本体11にビス(指示せず)によって取り付けられて傘歯車22の軸22aを回転可能に保持するための押さえ部品である。
また、傘歯車23の他端側の軸23aは下方に向けて延在している。そして、軸23aの下端部には角軸部分が形成されている。この角軸部分には鍔部品23bが嵌合され、角軸部分の先端部はケース本体11の突片11fの切欠部11gに押し付けられている。なお、図2において符号26は、ケース本体11にビス(指示せず)によって取り付けられて傘歯車23を回転可能に保持するための押さえ部品である。
【0019】
収納筒15は、投入材の投入空間を画成するためのものである。
この収納筒15は、円筒状に構成されケース本体11の円形の穴に入出可能に構成されている。そして、収納筒15はケース本体11の円形の穴内でその中心を軸心として回転可能となっている。
収納筒15の内側の上端部には、舌片状の位置決め用切欠部15aが収納筒15の円周方向に等間隔に複数設けられている。また、収納筒15の内側には、上下方向に延びる凸条15bが収納筒15の円周方向に等間隔に複数設けられている。
なお、位置決め用切欠部15a及び凸条15bの働きについては後述する。
【0020】
押圧盤16は、図3に示すように円盤状に構成され、収納筒15の穴に入出可能となっている。押圧盤16の外周には位置決め用凸部16aが押圧盤16の円周方向に等間隔に形成されている。また、押圧盤16外周には、小溝16bが押圧盤16の円周方向に等間隔に形成されている。これによって、押圧盤16が凸条15bに沿って上下動可能となると共に、押圧盤16が収納筒15と一体的に回転可能となる。
そして、位置決め用凸部16aが上記収納筒15の位置決め用切欠部15aに係合した状態では、小溝16bは収納筒15の凸条15bに係合する。
なお、図3において符号16cは押圧盤16の補強リブである。また、押圧盤16の下面には突起(図示せず)が形成され、食品を押圧した際に食品に突起が食い込むようにされている。
【0021】
押圧盤駆動装置17は、図3に示すように、歯車機構31と、操作押圧部材32と、回転軸33とを備える。
歯車機構31は蓋体30に構成されている。蓋体30は、ケース本体11及びカバー12に被着可能となっている。この蓋体30は、蓋体上30aと蓋体下30bとをビス(指示せず)によって一体化して構成されている。
蓋体30内には、歯車機構31を構成する三つの歯車34,35,36が設置されている。このうち歯車34は角軸孔34aを備える。この角軸孔34aには、ケース本体11及びカバー12に蓋体30が被着された際に、上記傘歯車22の軸部22aの角軸部分が嵌合される。また、歯車35は中間歯車である。また、歯車36は蓋体30の軸孔30cに致心して設置されている。歯車36の中心には角軸孔36aが形成されている。角軸孔36aには回転軸33が挿通されている。そして、歯車36が回転したときに回転軸33が回転するように構成されている。
回転軸33は、縦割り状態で2分割された回転軸半体33a,33bをビス(指示せず)を一体化することによって構成されている。
回転軸33の上端には操作押圧部材32が取り付けられている。操作押圧部材32と回転軸33は回転軸33の軸心を中心に互いに回動可能となっている。
一方、回転軸33の下端には押圧盤16が回転止め状態で取り付けられている。
【0022】
2.混合器50
混合器50は、図4に示すように、ケース体51と、攪拌部材52を備える。
ケース体51は下方から削り器10に嵌合・嵌合解除可能な構造となっている。ケース体51の内壁51aは、ケース本体11の内側の穴と同様に円筒状に構成されている。ケース体51における内壁51aの中心の軸51bには攪拌部材52が支持されている。
攪拌部材52は、上記軸51bに嵌合する軸部52aと、軸部52aと同心的な外環部52bと、軸部52aと外環部52bとを連結する連結部52cと、軸部52cと外環部52bとを連結すると共に、羽根である攪拌用へら54を取り付けるためのへら取付部53dとから構成されている。羽根取付部であるへら取付部53dには溝53eが形成され、この溝53eに攪拌用へら54を差し込むことによって、攪拌用へら54が取り付けられる。
ここで、へら取付部53aの少なくとも一方は、図4に示すように、内端側が外端側よりも回転方向後方に位置するように攪拌部材52の半径方向に対して傾斜していることが好ましい。このようにすれば、攪拌部材52の回転に伴って、投入材が中心側に寄せられ、投入材が流動し攪拌が十分になされることになる。
また、内壁51aと内壁51aを取り囲む外壁51cとの間には、攪拌部材52の外環部52bに形成された歯車52fと噛合する歯車55が設置されている。歯車52fと歯車55は歯車機構を構成する。歯車55は角軸孔55aを備える。この角軸孔55aには、ケース体51が削り器10に嵌合された際に、上記傘歯車23の軸部23aの角軸部分が嵌合される。
なお、攪拌部材52は、ケース体51が削り器10に嵌合された際に、図示はしないが、歯車52fの内側部分で内壁51aとケース本体11の筒状部(図示せず)との間で挟まれる。また、ケース体51の穴の底壁には開口が設けられ、開口には、攪拌後の食品を麺状又は波状で排出するための刃57が設置されている。
【0023】
(台座3)
台座3は、ベース板61と、ベース板61の両側から上方に向けて起立する支柱62とを備える。
各支柱62の上には二つずつ突起62aが設けられている。突起62aは、ケース体51の孔51dに嵌合することによって、台座3が混合器50に組み付けられる。
この台座3には受け容器70が設置可能となっている。
【0024】
(動作)
蓋体30及び押圧盤駆動装置17を製造機本体2から取り外した状態で、収納筒15をケース本体11の穴に入れ、例えば、凍ってある程度固化された適量のアイスクリーム及びトッピング材(チョコレート、ピーナツ、みかん、バナナ又はクッキー等)を入れる。その後、蓋体30を削り器10に被着させる。このとき、押圧盤16の位置決め用凸部16aを収納筒15の位置決め用切欠部15aに合致させる。すると、押圧盤16の小溝16bが収納筒15の凸条15bに合致する。
【0025】
蓋体30を削り器10に被着させた後、操作ハンドル13を所定方向に回すと、操作ハンドル13の回転動力は、傘歯車21,22を介して 軸22aに伝達され、さらに、歯車34,35,36、回転軸33を介して押圧盤16に伝達される。押圧盤16と収納筒15とは小溝16bと凸条15bが係合しているので、押圧盤16の回転に伴って収納筒15が回転する。
それと共に、操作押圧部材32を下方に押し込んでいくと、アイスクリーム及びトッピング材はケース本体11の穴の底部に押し付けられると共に削り刃11bによって削り取られる。これによって、アイスクリームは薄片化される一方、トッピング材も細片化又は破砕される。そして、ケース体51に落下する。
【0026】
操作ハンドル13の回転動力は、傘歯車21から傘歯車23を経て軸23aにも伝達され、さらに歯車55,52fを介して攪拌部材52にも伝達される。これによって、攪拌部材52が回転し、攪拌用へら54によって、アイスクリームとトッピング材とが攪拌される。そして、攪拌されたアイスクリーム及びトッピング材は開口から受け容器70に排出される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態に係る混合食品製造機の斜視図である。
【図2】図1の混合食品製造機の削り器の主部を示した分解斜視図である。
【図3】図1の混合食品製造機の蓋体及び押圧盤駆動装置を示した分解斜視図である。
【図4】図1の混合食品製造機の混合器を示した分解斜視図である。
【図5】図1の混合食品製造機の台座を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 混合食品製造機
2 製造機本体
3 台座
10 削り器
13 操作ハンドル
14 歯車機構
31 歯車機構(第1の歯車機構)
50 混合器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入食品を押圧しつつ回転させて固定の削り刃にて削って排出するための削り器と、
前記削り器の下方に設けられ当該削り器からの投入食品を攪拌部材の羽根の回転によって混ぜ合わせるための混合器とを備え、前記押圧盤及び前記羽根の回転を一の操作ハンドルの操作によって行うようにしたことを特徴とする混合食品製造機。
【請求項2】
前記羽根は所定の軸を中心に回転可能に構成され、前記羽根は、前記所定の軸に近い側の端が当該所定の軸から遠い側の端よりも当該羽根の回転の際に遅れた位置で回転するように当該所定の軸の半径方向に対して傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の混合食品製造機。
【請求項3】
前記削り器のケース体と前記混合器のケース体とは着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の混合食品製造機。
【請求項4】
前記操作ハンドルは前記削り器に設けられ、
前記削り器には、前記操作ハンドルの回転動力を二つに分配する歯車機構と、前記二つに分配された回転動力の一方を前記押圧盤に伝達するための第1の歯車機構とが設けられ、
前記混合器には、前記二つに分配された回転動力の他方を前記羽根に伝達するための第2の歯車機構とが設けられている、
ことを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の混合食品製造機。
【請求項5】
前記削り器は、投入食品の投入口を被覆する着脱自在な蓋体を備え、前記蓋体には、前記第1の歯車機構が構成され、当該第1の歯車機構における出力歯車の中心を前記回転軸が上下方向に貫通し、前記回転軸の下端には前記押圧盤が固定され、前記回転軸の上端には前記操作押圧部材が取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の混合食品製造機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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