混練機
【目的】 2軸ロータを有する混練機において、加水器付近で発生する混練部材にまとわりつく混練物及び大きな塊となる混練物の解消を計る。
【構成】混練部材6―2(6−2a,6−2b,6−2c),7−2(7−2a,7−2b,7−2c)の軸方向に接近して、固定ピン10をトラフ2に固定して設ける。トラフ2の底壁2j、斜板2k、側壁2nに沿って移動する混練部材6―2,7−2にまとわりついた混練物は固定ピン10で掻き取られる。また塊状となった混練物は混練部材6―2,7−2の付勢力で移動する際固定ピン10に衝突して破砕される。
【構成】混練部材6―2(6−2a,6−2b,6−2c),7−2(7−2a,7−2b,7−2c)の軸方向に接近して、固定ピン10をトラフ2に固定して設ける。トラフ2の底壁2j、斜板2k、側壁2nに沿って移動する混練部材6―2,7−2にまとわりついた混練物は固定ピン10で掻き取られる。また塊状となった混練物は混練部材6―2,7−2の付勢力で移動する際固定ピン10に衝突して破砕される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EP灰、飛灰等を混練・加湿する混練機(加湿機)に関する。また、本発明の混練機は食料品や薬剤の混練・加湿に使用できるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飛灰等の固化処理としては、飛灰に固化剤を混合し加水(ここで加水とは水のみを加える場合と、水と薬剤を加える場合の何れかをいう。以下同様)して混練後水和反応により固化することが行われている。飛灰等の固化処理には、飛灰と固化剤例えばセメントとを混合した原料を加水して混練する混練機が用いられる。この混練機としては一方に原料の飛灰等とセメントの混合物を投入する入口、他方に混練された原料、すなわち混練物の取り出し用の出口を設けたトラフ中に横軸の平行な回転軸(第1の回転軸及び第2の回転軸)に夫々混練部材を設けたものが知られている。
【0003】
回転軸の半径方向にロッドパドルを設け、第1の回転軸に設けたロッドパドルと第2の回転軸に設けたロットパドルは軸方向において重ならないが密接するように配列したもの(特許文献1)がある。
【0004】
上記ロッドパドルは軸方向に回転軸を中心としてスパイラル状に配列されている。
【0005】
2本の平行するロータの軸方向で同一個所にあるロッドパドルを夫々周方向でピッチをずらせて絡ませた混練機が(特許文献2)に示されている。
【0006】
混練機に偏心部を設けることにより、長時間停止後の始動負荷を小さくできる混練機が(特許文献3)に示されている。この特許文献3に記載する混練機によれば、混練物の固着した際の起動トルクが小さい。また、各回転軸の偏心部の軸方向で同一位置にある第1、第2の混練部材が第1、第2の回転軸の偏心部の中心を結ぶ線に対して夫々45度の角度をなした際に混練部材の先端を接近させて、且つ、互に干渉しない長さを有することにより軸方向の1個所における混練物の練り合わせが充分できる。
【0007】
上記特許文献3に記載の発明を実施すると以下のような現象が生ずることが見受けられた。
【0008】
ロータ上に乗った混練物は攪拌部材が巻き込まないまま攪拌できず加湿処理が不充分な状態で出口方向に流れ出される。トラフの片側に向って混練物が寄せられ混練物が盛り上る。トラフは密閉構造に限られることになる。
【0009】
また、回転力の変動が大きくなり、電動機からロータへ回転を伝える歯車に偏荷重がかかる。
【0010】
混練部材を回転軸の軸方向においてほぼ全部スパイラル状に配置する混練機(特許文献1)では取付部の加工位置決めを軸方向と周方向を関連づけなければならず、回転軸への取付部の加工工数を多大に要する。
【0011】
そこで特許文献4に記載の発明では、始業時の起動トルクが小さい、原料をよく混練できる、過負荷とならない、等の混練機において、ロータ上に乗る混練物がロータ間によく巻き込まれて送り込まれた原料を充分混練できる混練機としている。
【特許文献1】特開平11−104477号公報
【特許文献2】特開2005−313097号公報
【特許文献3】特開2006−75807号公報
【特許文献4】特願2006−322842号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
混練機において混練室の加水位置付近では粉体状の原料に加水により大きな塊となることが認められる。この塊はロータの上側が互に近づく方向に回転する特許文献4に記載の発明においてもロータの対向部分に巻き込まれないで下流側に向ってしまうことが認められる。ロータの上側がトラフの側壁に向って移動する混練機では加水後の上記塊はトラフ側壁に沿った下流側へ移動してしまう。
【0013】
本発明は混練室において粉体原料に加水する加水器を備えた混練機において、原料が加水により大きな塊状となったとしても、直ちに破砕することにより上記課題を解決した混練機を提供することを目的とする。
【0014】
加水器付近のロータでは混練部材に混練物が付着して肥大化し固化する傾向がある。そこで、混練部材に付着する混練物を掻き取ることにより、混練部材に混練物が付着し難い混練機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本出願に係る第1の発明は一方の端部に原料の入口を有し、他方の端部に原料を混練した混練物の出口を有するトラフ中に電動機で駆動される平行する2本の横軸の第1、第2の回転軸にこれらの回転軸の軸方向において多数の混練部材を備えたロータを有する混練機において、
ロータの軸方向においてトラフを仕切って設けられた被処理物と原料の混合を行う混合室及び混合された原料に加水して混練する混練室と、
混練室へ加水する加水器と、
混練室中において第1、第2の回転軸に軸方向に配列して固定したロッド状の混練部材と、
加水器で加水される付近において夫々トラフに固定され第1、第2の回転軸に向って突出し回転軸の軸方向で見て回転する隣接する混練部材に重なり且つ回転軸の軸方向で近接した固定掻き取部材と、
を有することを特徴とする混練機である。
【0016】
本出願に係る第2の発明は回転軸の軸方向の複数の隣接する混練部材の夫々の間に進入する固定掻き取部材を有することを特徴とする第1の発明に記載の混練機である。
【0017】
本出願に係る第3の発明はトラフの側壁に沿って設けられ回転軸の上側に回転移動して来た混練部材がトラフ側壁から遠ざかる方向に移動するロータを有し、前記側壁側から斜め下方に前記回転軸に向って突出した固定掻き取部材を設けたことを特徴とする第1又は第2の発明に記載の混練機である。
【0018】
本出願に係る第4の発明は第1の回転軸と第2の回転軸の回転方向は各回転軸の上側の混練部材が互に近づく方向の回転方向であることを特徴とする第3の発明に記載の混練機である。
【0019】
本出願に係る第5の発明は固定掻き取部材はピン状である第1から第4の何れか1つの発明に記載の混練機である。
【0020】
本出願に係る第6の発明は固定掻き取部材と軸方向に隣り合う混練部材間に軸方向に間隙を有することを特徴とする第1から第5の何れか1つの発明に記載の混練機である。
【0021】
本出願に係る第7の発明はトラフの内壁面は回転軸の回転中心を結ぶ線の2等分点を中心とする点対称な壁面を有することを特徴とする第1から第6の何れか1つの発明に記載の混練機である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によれば加水されて原料が塊となったとしても、回転するロータでロータの周方向に送られる塊は混練部材が固定掻き取部材位置を通過する際、破砕される。また、混練部材に付着する混練物は掻き取られ肥大化しない。
【0023】
請求項2に係る発明によれば仮に加水された大きな原料塊が上流側第1の固定掻き取部材で破砕されない場合も下流側の固定掻き取部材で破砕される。
【0024】
請求項3に係る発明によれば固定掻き取部材で破砕されて小塊となった原料はトラフ底壁と側壁間の空間にあるので送り力を受け下流へ送られる。また、加水された大きな原料塊は固定掻き取部材の位置に回り込むことが確実であり、破砕の効果が大きい。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、固定掻き取部材は各ロータ上へ回り込もうとする混練物の塊を破砕できる。また、両ロータの混練部材にまとわり付く混練物が掻き取られる。
【0026】
請求項5に係る発明によれば固定掻き取部材はコストが安く取付も簡単である。
【0027】
請求項6に係る発明によれば、間隙を原料中の固形物の最大径程度としておくことにより、過負荷を避け乍、固形掻き取部材が混練部材から混練物を充分掻き取ることができる。
【0028】
請求項7に係る発明によれば、トラフ壁面に先端が接近する混練部材は少くともトラフ壁面近くの混練物は混練されるようにできる。また、トラフは製作上有利である。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。尚、以下の説明で単に軸方向という場合は回転軸4又は5の軸方向のことである。また、ロットNO.とは図2に示すように混練部材又は固定掻き取部材の軸方向位置を示しており、一部を丸囲みの数字で示してある。
【0030】
図1、図2に示すように一方の端部に原料の入口2aを有し、他方の端部に原料を混練した混練物の出口2bを有するトラフ2中に減速機3a付の電動機3で互いに反対方向に同回転速度で駆動される平行する2本の横軸の回転軸4,5に回転軸の軸方向において多数の混練部材6,7(図2参照)を備えたロータ19,21を有する混練機において、各回転軸4,5は両端に軸受に支持されるジャーナル部4a,4b,5a,5bと両ジャーナル部の間に回転軸4,5の回転中心から偏心した中心線を有する偏心部4c,5cとを有する。
【0031】
図7に示すように第1の回転軸4と第2の回転軸5の各偏心部4c,5cの偏心中心C41,C51が第1の回転軸4の回転中心C42と第2の回転軸5の回転中心C52をとおる直線上にあり、第1の回転軸4の回転中心C42から見る第1の回転軸4の偏心部4cの偏心中心C41の向きと、第2の回転軸5の回転中心C52から見る第2の回転軸5の偏心部5cの偏心中心C51の向きが同一である。
【0032】
偏心部4c,5cはトラフ2内のほぼ全長に及んでいる。ここで、偏心部4c,5cの中心C41,C51は図11に示すように回転軸4,5の回転中心(ジャーナル部4a,4b,5a,5bの中心C42,C52)を結ぶ線CDLの2等分線Dを対称軸として対称な位置に一方の偏心部4cの中心C41があり、他方の偏心部5cの中心がC51′(仮の中心)にあるとすると回転軸4,5は同速度で互いに反対方向に回転するので偏心部中心C41,C51′は2等分線Dから見て常に対称位置にある。
【0033】
本発明の実施例では回転軸5の中心C52と仮の偏心部中心C51′を結ぶ延長線上に偏心部中心C51を設けた。即ち、偏心部中心C51は仮の偏心中心C51′に対して回転軸5回りで180度位相を異にしている。
【0034】
上記において、回転軸4の中心C42と偏心部4cの中心C41間の距離即ち偏心量e4と回転軸5の中心C52と偏心部5cの中心C52間の距離即ち偏心量e5は等しい。以下、e4=e5=eとして、偏心量をeと表す。
【0035】
ただし偏心量e4とe5は異にしてもよい。
【0036】
図2に示すように混練部材6,7及び送りパドル28(28aから28d)、29(29aから29d)は各偏心部4c、5cの中心C41,C51を中心として半径方向に突き出して、偏心部4cと偏心部5cの軸方向において同一又はほぼ同一の位置に設けられている。なお、混練部材6,7としては棒状(ロッドパドル)であり、半径方向に対して傾斜させて放射方向とすることも選択できる。
【0037】
混練部材6,7は軸方向において入口2a側から出口2bに向って設けてある。ここで、各個の混練部材又は固定掻き取部材(以下、固定ピン10という)を示すには、例えばロットNo.2の混練部材は回転軸4側は符号6にハイホンを付してロットNo.2を加えて6−2とする。同様に回転軸5側は符号7にハイホンを付してロットNo.2を加えて7−2と表現する。ロットNo.1から29まで一部を除いて混練部材が設けてある。混練部材6,7は軸方向の各個所において、偏心部4c,5cを周方向に等配して設けてある。ロータ6,7の混練物の流れに関し下流側の混練部材は中心線で略図示してある。
【0038】
ロータ19,21上には入口2a側から出口2b側に向って順に第1群の混練部材として送りパドル28aから28d、29aから29d、送りスクリュー24,25、ロットNO3,5,7を除いて混練部材6−1から6−29、7−1から7−29が設けられている。
【0039】
送りパドル28a,28b,28c,28d,29a,29b,29c,29dは入口2aの下方に設けてある。
【0040】
(全体構成)
図1は混練機の縦断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図、図4は図1のC−C断面図である。
【0041】
混練機1は図1、図2に示すように一方の端部に原料の入口2aを有し、他方の端部に原料を混練した混練物の出口2bを有するトラフ2中に減速機3a付の電動機3で互に反対方向に同回転速度で駆動される平行する2本の横軸の回転軸4,5を有する。回転軸4の両端のジャーナル4a,4bは軸受装置14、軸受ユニット9に支持されている。回転軸5の両端のジャーナル部5a,5bは軸受装置15、軸受ユニット11に支持されている。回転軸4,5は両端のジャーナル部4a,4b及び5a,5b間に夫々偏心部4c,5cを有する。偏心部4c、5cの周囲に夫々同様に軸方向において送りパドル28,29、多数の混練部材6,7、原料又は混練物に送りを与える送りスクリュー24,25を備えている。送りパドル28,29、混練部材6,7及び送りスクリュー24,25を備えた回転軸4,5をロータ19,21と称する。
【0042】
原料の入口2aはトラフ2の長手方向(ロータ19,21の軸方向)の一方端の上面に開口している。混練物の出口2bはトラフ2の他方端の底部に開口している。
【0043】
加水器18は回転軸4,5の軸方向に配列された混練部材6,7群の上流側に配置されている。本例では混練室R2の上流側より下流側へ向って配列した混練部材6,7の第2列目の混練部材6−2,7−2のすぐ後流側に加水器18を配置してある。
【0044】
トラフ2は図3に示すように上部開口部2cを除いてロータ19,21を取り囲むように壁面を構成したトラフ本体2dと、上部開口部2cを開放可能に閉じてあるトラフ蓋2eを有する。入口2aはトラフ本体2dに近い幅とされている。トラフ2の上部開口部2cはトラフ2の長手方向に関し3個所にあって、本体2dのほぼ全長にわたって配置されている。トラフ本体2dの長手方向の両端には端板2f,2gが固定されている。端板2gには回転軸4,5の一端を軸封する軸封部材32例えばグランドパッキンが設けてある。また、端板2gに回転軸4,5を支持する軸受を有する軸受ユニット9,11が固定されている。端板2fには回転軸4,5の他端側を軸封する軸封部材12、例えばグランドパッキンが設けてある(図1参照、回転軸5側は図略)。
【0045】
端板2fからスタンド2hが回転軸4,5の軸方向に立ち上り、スタンド2h上に設けた軸受装置14,15により回転軸4,5の他端は夫々支持されている。この軸受装置14,15を貫通した回転軸4,5の他端には図2に示す互いに噛み合うギア16,17が固定してある。ギア16,17は歯数が等しい。減速機3a付の電動機3の出力軸と回転軸4は回転軸継手23を介して連結されている。減速機3a付の電動機3はベッド13に固定されている。トラフ2はベッド13上に固定されている。ベッド13は図示されない脚付である。
【0046】
図1、図3に示すように、加水器18が入口2aと出口2b間においてトラフ2に設けてある。加水器18の吐出ノズル18aは垂直線上にあって下向きである。この垂直線は回転軸4,5の回転中心C42,C52をとおる。加水器18は混合された飛灰等と固化剤例えばセメントを加湿するために、トラフ2内へ水等を送り込むものである。
【0047】
この混錬機1は電動機3が駆動されると回転軸継手23を介して回転軸4が回転させられ、回転軸4と共に回転するギア16からギア17に回転が伝えられ、ロータ19,21は互いに反対方向に同一回転速度で回転する。入口2aから投入された飛灰等と固化剤はロータ19,21の回転により混合されて出口2b側へ送られ加水器18による加湿後混錬された混練物は出口2bに到って排出される。
【0048】
(混練部材等の配置)
混練部材6は回転軸4に設けられ、混練部材7は回転軸5に設けてある。図1に示すように、回転軸4,5の偏心部4c,5cはジャーナル部4a,4bの中心(回転中心)C42,C52から偏心量eだけ偏心した偏心中心C41,C51をとおる軸方向の中心線C41L,C51L(C51Lは図示されない)を有する円筒形である。図1では回転軸4のみを示すが、回転軸4と回転軸5の回転中心線は同一水平面上に有って、回転軸5に対する偏心部5cの偏心中心C51は回転軸5の回転中心C52から下方に向って偏心量eだけ偏心している。偏心中心C41は回転中心C42から上方へ偏心しているので図1、図2の状態では偏心中心C41,C51は上下方向に偏心量の2倍2・eだけ異なる位置にある(図3参照)。混練部材6,7は偏心部4c,5cの外周に取り外し可能に固定されている。
【0049】
図1の場合は軸方向に配列されている各混練部材は偏心部4c,5cの軸直角面上に設けられている。
【0050】
(トラフ)
図3、図4、図5はトラフの長手方向に直角な断面を示している。
【0051】
トラフ2の本体2dは長手方向に直角な断面が方形である。トラフ2の本体2dは送りスクリュー24,25、ロットNO3,5,7を除く混練部材6−1から6−29,7−1から7−29のある長手方向を越えて、送りスクリュー24,25、混練部材6,7を取り囲むように、トラフ2の本体2dの下側の両隅に斜板2kを設けてある。側壁2nの内側に斜板2mを設けてある。斜板2kはトラフ本体2dに溶着されている。斜板2mは断面三角形の一辺であり、トラフ本体2dにボルト8止めされている。斜板2k,2mは夫々面を回転軸4,5に向けて対向させている。
【0052】
図1に示すように斜板2kは混合室R1から混練室R2の間の原料の供給量を調節可能に仕切っている調整ゲート22から混練部材6−29,7−29を下流側に向って越えた位置まで存在する。斜板2mは混練部材6−8,7−8のある位置から長手方向の下流側に向って混練部材6−29,7−29を越えた位置まで存在する。
【0053】
図5に示すように斜板2mはロータ19,21に対向する面2m1を有して屈折した斜板本体2m2と平板のベース板2m3が溶接で一体とされた断面中空三角形の板金製である。ボルト8をトラフ2の側板2n及びベース板2m3を挿通してベース板2m3に溶着したナット8aにねじ込むことによって斜板2mはトラフ2の側壁2nに固定されている。ただし、ベース板2m3だけは混練部材6−8,7−8のある位置よりも上流側に延在されており、調整ゲート22の近くで終わる。
【0054】
図3に示すように、ベース板2m3にはアングル2oが溶接により固定してある。アングル2oには固定掻き取部材(以下、固定ピンという)10(10−3,10−5,10−7)が溶接により固定してある。
【0055】
(固定ピン)
加水器18で加水される付近において夫々トラフ2に固定され第1、第2の回転軸4,5に向って突出する固定ピン10が設けてある。固定ピン10は回転軸4,5の軸方向で見て回転する混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)と重なる位置で回転軸4,5の軸方向で混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)に間隙をおいて近接している。
【0056】
混練部材6−2,7−2に対しては軸方向の下流側の片側にのみ固定ピン10−3が間隙をおいて設けてある。混練部材6−8,7−2に対しては軸方向の上流側の片側のみ固定ピン10−7が間隙をおいて設けてある。混練部材6−4,7−4は軸方向の両側に固定ピン10−3,10−5が間隙をおいて設けてある。混練部材6−6,7−6は軸方向の両側に固定ピン10−5,10−7が間隙をおいて設けてある。即ち、混練部材6−2,7−2,6−8,7−8は片側のみ混練物について固定ピンの作用を受ける。混練部材6−4,6−6,7−4,7−6は両側が混練物について固定ピンの作用を受ける。
【0057】
固定ピン10は本例ではロータ19,21の回転中心をとおる半径方向に長い直線状ピンである。詳しくは、回転軸4,5の回転中心C42,C52をとおる半径方向の中心線10cを中心としてピン状である。ただし、回転軸4,5の直角な平面上において固定ピン10は半径方向に対して傾いてもよい。
【0058】
図3に示すように固定ピン10のロータ19,21に対する周方向の位置は、本例ではロータ19では右上、ロータ21では左上であり、左右対称の位置に設けてある。固定ピン10は水平方向に対して夫々45度の角度をなしている。
【0059】
固定ピン10の先端は偏心部4c,5cの偏心トップ4c1,5c1の画く軌跡の外側でこの軌跡に近接している。偏心トップ4c1,5c1とは回転中心C42,C52から偏心中心C41,C51に引いた直線の延長線が偏心部4c,5cの外周を切る点のことである。
【0060】
図1、図2に示すように固定ピン10はトラフ2の長手方向の3個所に設けてある。即ち、混練部材6−2と6−4の間及び7−2と7−4の間に夫々設けた固定ピン10−3と、混練部材6−4と6−6の間及び7−4と7−6の間に夫々設けた固定ピン10−5と、混練部材6−6と6−8及び7−6と7−8の間に夫々設けた固定ピン10−7との三組を含んでいる。
【0061】
図2に示す丸囲みの数字1から29で示す各線の間は等ピッチである。各固定ピン10−3,10−5,10−7は隣接する両側の混練部材の軸方向の間を2等分する位置に中心がある。各固定ピン10−3,10−5,10−7は夫々隣接する混練部材との間に隙間を設けてある。この隙間は原料中の最大の固形物が通過し得る大きさとし、それ以上の大きさとしない。これによってロータ負荷の増大を抑え乍、混練部材6−2,7−2、6−4,7−4、6−6,7−6、6−8,7−8に付着肥大する混練物を掻き落す。
【0062】
固定ピン10の長手方向に直角の断面は本例では外形が方形であり、固定ピン10の側面は回転軸4,5に直交する垂直面上にある。ただし、固定ピン10の断面は種々のものを選択し得る。
【0063】
トラフ2は回転軸4,5の回転中心C42,C52(図3、図4、図5参照)を結ぶ線の2等分線Dに対して左右対称である。また、トラフ2の底板2j、側壁2n、斜板2k、斜板2mの面2m1を連ねる図5の断面形状は回転中心C42,C52を結ぶ線の2等分点dを中心として点対称である。
【0064】
これによって送りスクリュー24,25の原料に対する送り力を有効に働かせる。また、第2の混練部材6−8から6−29,7−8から7−29の混練を有効に働かせる。
【0065】
トラフ2には調整ゲート22が設けてある。
【0066】
(調整ゲート)
調整ゲート22は図1、図4に示すようにトラフ2の長手方向を仕切っている上部仕切壁2iに上下位置を調節可能に固定されている。上部仕切壁2iは入口2aの近くで出口2b寄りに設けてある。上部仕切壁2i、調整ゲート22によってトラフ2の長手方向を混合室R1と混練室R2に仕切ってある。
【0067】
上部仕切壁2i、調整ゲート22はトラフ2の長手方向に直角な板面を持っている。調整ゲート22の両側の上下方向の長穴22aを挿通して頭付のねじ26が上部仕切壁2iにねじ戻し可能にねじ込んである。調整ゲート22は把手22cを有する。
【0068】
調整ゲート22の下部は調整ゲート22が図4の下限位置にあるとき斜板2kに接近する角部22dと、同位置にあるときに回転する偏心部4c,5cの偏心トップ4c1,5c1の回転の軌跡に接近する凹形の開口部22eを有する。調整ゲート22の下降限度位置においてその下縁22fとトラフ2の底壁2jとの間は開口部22gとなっている。混合室R1と混練室R2とは開口部22e、開口部22gで連通している。
【0069】
開口部22eは図4に示すように上部が回転中心C42,C52を中心とする半径rの半円形で、この半円形に接するように垂下する縁でもって下方を方形としてある。上記半径rは回転中心C42と偏心トップ4c1、回転中心C52と偏心トップ5c1を結ぶ動径よりもわずかに大きい。
【0070】
調整ゲート22の上下位置はねじ26を弛めて、把手22cを手で持って上下することにより行われる。調整後ねじ26を締め調整ゲート22は仕切壁2iに固定される。
【0071】
混合物は入口2a側から出口2b側へ調整ゲート22の下の開口部22e,22gを潜って移動する。
【0072】
上述のように、調整ゲート22は入口2aの出口2bに近い側の端部に設けられ、トラフ2の断面を制限して入口2aから直接混練物が送りスクリュー24,25上、第2群の混練部材6−1,6−2,6−4,6−6及び6−8から6−29上、及び7−1,7−2,7−4,7−6,及び7−8から7−29上へ向わないようにするものである。調整ゲート22があるため、入口2aから投入された原料は第1群の混練部材としての送りパドル28aから28d、29aから29dで混合されることなく第2群の混練部材へ送られてしまうことが防止される。即ち、調整ゲート22があるため、第1群の混練部材である送りパドル28aから28d、及び29aから29dは原料の混合を必要なだけ行ってから第2群の混練部材へ送ることができるものである。尚:ここで第1群の混練部材により原料が混合されると記載したが原料が乾燥状態である場合は混合されるということである。ここで、混合室R1では通常混合が行われるのであるけれども、原料が浸潤の場合も排除できないので説明は原料混合に用いられる部材も加水した原料の混練に用いる部材も一括して混練部材と名付ける。
【0073】
(ロータ外周の構成)
図2に示すように送りパドル28(28a,28b,28c,28d)と29(29a,29b,29c,29d)、多数の混練部材6と7は第1の回転軸4の偏心部4cと第2の回転軸5の偏心部5cとの軸方向において夫々同一位置に設けられている。また、偏心部4c,5cを中心に一対の送りスクリュー24,25が設けてある。また回転軸4,5の軸方向で隣接する混練部材6,7間には間隙が設けてある。
【0074】
(混合室におけるロータの構成)
入口2aの直下のトラフ2は仕切壁2i、調整ゲート22で仕切られて混合室R1となっている。
【0075】
混合室R1におけるロータ19,21では図4に示すように偏心部4cの偏心中心C41が回転軸4の回転中心C42の直上にあるとき、偏心部5cの偏心中心C51が回転軸5の回転中心C52の直下にあるようにギア16,17は噛合している。このとき図2に示すように、送りパドル28a,29aは偏心中心C41,C51から水平方向の同一方向に向いており偏心中心C41,51は偏心量eの2倍の2・eだけ上下に離れている配置である。上記状態において、送りパドル28a,29aから軸方向に大きく離れて混合物の流れに関し下流側(出口2b寄り)にある送りパドル28c,29cは送りパドル28a,29aとは偏心部4c,5cの中心C41,C51を間にして反対の水平方向に突出している。このとき送りパドル28c,29cは偏心量eの2倍の2・eだけ上下に離れている。
【0076】
ここで送りパドル28a,29a,28c,29cは偏心部4c,5cから半径方向に突出する板状であって原料を強く撹拌できると共に原料を調整ゲート22の開口部22e,22gに向って送ることができるように上記半径方向の線を中心にして傾けてある。
【0077】
送りパドル28a,29aと28c,29cの間及び送りパドル28c,29cの下流側には平板状の送りパドル28b,29bと28d,29dが設けてある。送りパドル28b,29bは夫々偏心部4c,5cの軸方向の同一位置に設けてある。送りパドル28d,29dは夫々偏心部4c,5cの軸方向の同一位置に設けてある。これら送りパドルは夫々偏心部4c,5cの周方向に図に示すように1個所又は図示されないが等配して複数個所に設けてある。送りパドル28bは偏心部4cから直上に向けて突出し、送りパドル29bは偏心部5cから直下に向けて突出している。送りパドル28dは偏心部4cから直下に向けて突出し、送りパドル29dは偏心部5cから直上に向けて突出している。
【0078】
送りパドル28b,29bと28d,29dは板状であって混合室R1内で原料を調整ゲート22の開口部22e側へ向う方向に送るように偏心部4c,5cの半径方向の線を中心にして傾けてある。
【0079】
かかる送りパドル28aから28d、29aから29dは夫々が偏心部4c,5c上のスパイラル面に沿って配置されている。
【0080】
(混練室におけるロータの構成)
トラフ2の混合室R1を除いた出口2b側の空間部分が混練室R2である。図1、図2においてトラフ2の調整ゲート22と端板2g間の空間が混練室R2である。偏心部4c,5cの調整ゲート22の近くには偏心部4c,5c夫々を中心として1ピッチ分のねじ羽根である送りスクリュー24,25が夫々備えられている。送りスクリュー24,25の相対的なねじれ方向は互に逆方向である。偏心部4c,5cの上側が互に近づく方向に回転するように駆動された場合に送りスクリュー24,25は調整ゲート22側から出口2b方向へ原料を送るようにねじれている。
【0081】
具体的には図2に示すロータ19,21において、偏心部4c,5cの軸方向の一定位置である調整ゲート22の近くから水平方向で且つ半径方向に同じ向きに送りスクリュー24,25のねじ羽根が始まり、ロータ19では左ねじれ、ロータ21では右ねじれとなっている。図2で分かるように偏心部4c,5cの対向部においては、送りスクリュー25のねじ羽根間に送りスクリュー24のねじ羽根が位置している。そして、各送りスクリュー24,25の外周の半径の和は回転軸4,5の心間距離よりも大きくなっている。そこで、偏心部4c,5cの対向部において送りスクリュー24,25のねじ羽根は半径方向で互に入り込んでおり軸方向で見ると、送りスクリュー24,25のねじ羽根は重なり部分を有する。
【0082】
送りスクリュー24,25のすぐ下流から混練部材6−1,6−2,6−4,6−6及び6−8から6−29と7−1,7−2,7−4,7−6及び7−8から7−29が軸方向に偏心部4c,5c上に配列されている。混練部材6−2,6−4,6−6,6−8、7−2,7−4,7−6,7−8間の軸方向のピッチは他の混練部材間の軸方向ピッチの2倍である。
【0083】
図3には混練部材6−2,7−2が示されている。このとき偏心部4cの中心C41は回転軸4の回転中心C42の直上にある。また偏心部5cの中心C51は回転軸5の回転中心C52の直下にある。混練部材6−2,7−2は夫々が棒状である。本例では丸棒であり、いわゆるロッドパドルである。他の混練部材6−1,6−4,6−6及び6−8から6−29、7−1,7−4,7−6及び7−8から7−29も混練部材6−2,7−2と同様な形状である。
【0084】
なお、混練部材としては各種のものが採用される。即ち、混練部材は偏心部4c、5cから放射方向に突出しておればよいので棒状に限らず扇状や板状であってもよい。
【0085】
混練部材6−1,6−2,6−4,6−6及び6−8から6−29、7−1,7−2,7−4,7−6及び7−8から7−29の偏心部4c,5cへの取り付けは、これら混練部材を偏心部に取り外し可能に固定してあればよい。例えば、偏心部4c,5cの外周に設けた半径方向のめねじに混練部材をねじ込んでもよい。
【0086】
混練部材6−2,7−2は偏心部4c,5cを3等配して夫々設けられている。そして、夫々偏心部4c,5cの中心C41,C51から半径方向に等しい長さで突出している。
【0087】
偏心部4c,5cの軸方向の同一位置にある各混練部材は偏心部4c,5cを3等配して配設されている。
混練部材6−2,7−2は各個の混練部材を周方向で回転方向の下流側から上流側に向かって符号a,b,cを付し、混練部材6−2a,6−2b,6−2c,7−2a,7−2b,7−2cと表す。
【0088】
このとき、混練部材6−2の1つの混練部材6−2aは真上向きであり、偏心トップ4c1に植設されている。混練部材7−2の1つの混練部材7−2aは真下を向いており、偏心トップ5c1に植設されている。
【0089】
図2において、混練室R2の右から左方へ数えて偶数の位置にある混練部材6−2i,7−2i(i:2…14)(偶数列の混練部材)は偏心部4c,5c夫々の周方向の同方向に混練部材が突出している。混練室R2の右から左方へ数えて奇数の位置にある混練部材6−(2i−1),7−(2i−1)(i:1,5…15)(奇数列の混練部材)は偶数列の混練部材6−2i,7−2i(i:1,5…14)に対して周方向のピッチが2分の1ピッチずれている。
【0090】
本例では混練部材6−1,6−2,6−4,6−6及び6−8から6−29、7−1,7−2,7−4,7−6及び7−8から7−29は夫々偏心部4c,5cを3等配して設けられているので偏心部4c,5cの軸方向で同一位置にある混練部材は周方向では120度ピッチで等配されている。偶数列の混練部材6−2i,7−2i(i:1…14)は夫々軸方向に一列に並んでいる。即ち、偶数列の各混練部材は軸方向から見ると重なる。奇数列の混練部材6−(2i−1),7−(2i−1)(i:1,5…15)は夫々軸方向に一列に並んでいる。即ち、奇数列の各混練部材は軸方向から見ると重なる。偶数列の混練部材と奇数列の混練部材とは周方向で60度の位相差がある。
【0091】
図3でみれば分るように偶数列の混練部材6−2a,7−2aは偏心量eに、偏心部の中心C41,C51から混練部材6−2a,7−2aの先端までの半径Lを加えた動径L+eで回転軸4,5の中心C42,C52を中心として回転する。トラフの斜板2kに対して混練部材6−2a,7−2aは回転する際その先端を接近させて斜板2k位置を通過する。
【0092】
混練部材6−2a,7−2aと偏心部4c,5cの軸方向で同一位置にある混練部材6−2b,6−2c,7−2b,7−2cは動径が√((L−ecos60°)2+(esin60°)2である。この式の近似はL−ecos60°=L−(1/1.732)eである。
【0093】
図3に示すように偏心部4c,5cの半径の大きさをr4,r5とし、回転軸4,5の中心間距離CD=Nとすると、混練部材先端が偏心部に干渉しないためには混練部材6−2a,7−2aの動径L+eの最大値はN−r5+e,N−r4+eとなる(図11参照)。
【0094】
偶数列の混練部材6−2i,7−2i(i:2…14)は上述した偶数列の混練部材の1例の混練部材6−2,7−2について述べた処と同様に混練部材6−2ia,7−2ia(i:2…14)は動径L+e、混練部材6−2ib,6−2ic,7−2ib,7−2ic(i:2…14)は動径がほぼL−(1/1.732)eである。
【0095】
従って、軸方向で同一位置にある添付号aを付した混練部材と添付号b,cを付した混練部材の動径の差はほぼ(1+1/1.732)eである。
【0096】
(全体の作用)
上記構成の作用を説明する。減速機付の電動機3が付勢されると回転軸継手23を介して回転軸4が回転すると共に、回転軸4に固定したギア16を介してギア17を回転し、ギア17を固定した回転軸5が回転し、ロータ19,21は同速度で互に反対方向に回転する。この回転方向は図3、図4、図5に矢印イ、ロで示すようにロータ19,21の周囲の上側が互に近づく方向である。
【0097】
飛灰等の被処理材、セメント等の固化剤を併せて(これらの物質を原料という)入口2aからトラフ2に投入するとトラフ2の端板2fと調整ゲート22間の混合室R1では送りパドル28aから28d、29aから29dによって原料の混合が行われる。その後混合された原料は調整ゲート22の開口部22e,22gを通じて、調整ゲート22の出口2b側の混練室R2に送られる。混練室R2では送られてきた前述の原料を送りスクリュー24,25で混練部材6,7群の上流側へ送り込む。すると送られた原料には加水器18から給送される水が加えられ混練物となり始める。
【0098】
粉体原料に加水器18から水を加えられると粉体原料は大小の団子状の塊になり易い。団子状の塊となった混練物に更に加水されるとその上に粉体原料がつき塊が大きくなる。また、混練部材にまとわり付いた混練物は加水されると粉体原料がつき肥大化して行く。混練部材6−2,6−4,6−6,6−8,7−2,7−4,7−6,7−8は固定掻き取部材である固定ピン10の位置を通過する際に、これら混練部材に付着肥大化した混練物は掻き取られる。又、塊状となってこれら混練部材によって付勢された団子状の塊は固定ピン10の下側に衝突して破砕される。そして、混練部材6−1,7−1より出口側へ向うにつれて混練物は混練される。
【0099】
(混合室での作用)
入口2aからトラフ2へ投入された原料は混合室R1において偏心部4c,5c、送りパドル28aから28d、29aから29dでもって撹拌され原料の飛灰とセメントが混合される。
【0100】
偏心部4c,5cは偏心しているため、この偏心側の軸部が回転中心C42,C52を中心としてふれ回るので偏心側の軸部の周回により原料は排除され混練される。
【0101】
図4に示すように偏心部4c,5cの偏心方向が、偏心部4cでは偏心中心C41が回転軸4の回転中心C42の直上に有るとき、偏心部5cでは偏心中心C51が回転軸5の回転中心C52の真下にある。回転軸4,5が偏心部4c,5cの上側が近づくように互に反対方向に回転する。
【0102】
そこで、偏心部4cが図4の位置から90度左回りに回転し同時に偏心部5cが90度右回りに回転する際、偏心部4c,5cの対向部は偏心部5c側に向って移動し、この対向部に接する原料を偏心部5c側へ押して移動する。このとき、偏心部4cの表面の偏心部5cに対向する面は回転軸4の回転中心C42から遠のくように回転移動する。偏心部5cの表面の偏心部4cに対抗する面は回転軸5の回転中心C52に近い位置に向って後退するように回転して来ている。
【0103】
偏心部5cが図4の位置から90度回転し、それから180度回転する際偏心部5c表面の偏心部4cへの対向部は偏心部4cに向って移動しこの対向部に接する原料を偏心部4c側へ押して移動させる。このとき、偏心部4cの偏心部5cへの対向部表面は回転軸4の回転中心C42に近い位置に向って後退するように回転して来ている。
【0104】
上記によって、偏心部4c,5cは回転の際ふれ回りにより原料を撹拌混合する。そして偏心部4c,5cの対向部では容積がほぼ不変で原料を左右に移動させて撹拌混合を強める。このとき、偏心部4c,5cの対向部間の原料は偏心部4c,5cの周面が下方に向って移動するので下方へ向って付勢される。
【0105】
図11に示すように回転軸4,5の中心間距離CDの大きさをN、偏心部4c,5cの対向部分における偏心部4c,5cに接する垂線V1,V2間の距離をM、偏心部4cの半径をr4、偏心部5cの半径をr5、各偏心部4c,5cの偏心量をeとし、回転軸4,5の回転中心C42,C52をとおる直線を原線OLとして、回転中心C42と偏心中心41を結ぶ動径の原線OLからの回転角をθ1(回転中心C42を原点として左回り)、回転中心52と偏心中心51を結ぶ動径の原線OLからの回転角をθ2(回転中心C52を原点として右回り)とし、回転中心C42と垂線V1との距離をM1、回転中心C52と垂線V2との距離をM2とすると
M1=r4+e・ cos(180°−θ1)
M2=r5−e・ cos(180°−θ2)
となる。
【0106】
θ1=θ2=θでありr4=r5=rとすると
M1+M2=2r
∴M=N−(M1+M2)=N−2r=const.
従って、偏心部4c,5cの対向部間の容積は回転軸4,5の各回転位置においてほぼ一定しており、この対向部の間にある原料はロータ19,21の回転につれて左右に往復する。故に偏心部は原料の撹拌混合の作用を生ずる。この偏心部4c,5cはトラフ2のほぼ全長にわたるので第2の混練室R2においても、同様な作用を呈する。
【0107】
図2に示すように送りパドル28a,29aは偏心部4c,5cの軸方向の同一個所にあり、偏心部4c,5cの周方向の1個所にある。偏心中心C41が回転中心C42の直上に有り、偏心中心C51が回転中心C52の真下にある状態では図2に示すように送りパドル28a,29aは共に偏心部4c,5cの中心から半径方向の同方向への横方向に向いている。
【0108】
同様に送りパドル28c,29cは共に偏心部4c,5cの中心から半径方向の同方向の横方向に向いている。ただし、送りパドル28a,29aと28c,29cの向きは反対方向である。
【0109】
従って、送りパドル28a,29aと28c,29cは回転軸4,5の回転により、原料を混練すると共に、偏心部4c,5cの対向部付近間では互に相手送りパドルの移動の軌跡に回転して原料を混ぜ合わせる。この送りパドル28a,29a,28c,29cは偏心部4c,5cの中心線を中心とするスパイラル面に沿う板状であるので原料の撹拌能力と送り能力があるので原料は混合され乍調整ゲート22の開口部22e,22g側へ送られる。
【0110】
送りパドル28b,29bは図2の位置において偏心部4c,5cの中心に対して真上向きと真下向きとになって偏心部4c,5cの半径方向に突出している。送りパドル28d,29dは図2の位置において偏心部4c,5cの中心に対して真下向きと真上向きとになって偏心部4c,5cの半径方向に突出している(図4参照)。送りパドル28b,29bは送りパドル28a,29aの下流側にある。送りパドル28d,29dは送りパドル28c,29cの下流側にある。送りパドル28b,29b,28d,29dは偏心部4c,5cの中心線を中心とするスパイラル面に沿う板状であるので原料を撹拌すると共に下流側へ向って送る。これによって、原料は調整ゲート22の開口部22e,22g側へ送られる。上記送りパドルで送られた原料は開口部22e,22gを通じて混練室R2へ送りこまれる。
【0111】
(混練室における作用)
調整ゲート22の開口部22e,22gは軸方向から見て混練部材6,7と重なっており、開口部22e,22g以外は調整ゲート22と仕切壁2iでふさがれている。それ故、混合された原料は開口部22e,22gをとおりロータ19,21上へ直接移動することなく、スクリュー24,25が作用する範囲に送られる。
【0112】
調整ゲート22の開口から混練室R2に送られた原料は送りスクリュー24,25によって出口2b側へ向って送られる。送られた原料は加水器18で加水されて混練部材6−1,7−1から混練が開始される。加水器18は混練部材6−2,7−2の後流側へ注水するとしても、散布され混練部材6−1,7−1周辺の原料は加水される。
【0113】
加水器18から給送された水が送りスクリュー24,25で送られた粉体原料に加えられると大きな塊(団子という)になることがある。このときは、送りスクリュー24,25の送り力で送られてくる粉体原料で団子は押し出されようとする。ロータ19,21に固定ピン10がなく、総てが混練部材だとすると、ロータ19,21の上側に来た団子はロータ19,21の上側を下流側へ混練されないで送られてしまうことがある。
【0114】
加水器18から給送された水が送りスクリュー24,25で送られて来た粉体に混合されるときに直ちに均一に混合される訳ではなく、部分的に粘着力の強い混練物となってしまう。そこで混練室R2内でスクリュー24,25の下流に配設された部材総てが混練部材であるとすると、上流側の混練部材には混練物が付着し、固化剤を用いている場合には、混練部材に付着した混練物が固化する。極端には、回転軸4,5の軸方向の上流側の一定位置にある小数の混練部材間に混練物が固化して間を埋めるほどになる。
【0115】
そこで、上述した団子状の混練物は混練室R2の上流側ではロータ19,21の上を下流へ送られ易くなる。
【0116】
粉体原料に加水すると直ちに粉体に一様に加水されるのではないので、加水された原料には粘着力の強い混練物が部分的に生ずると混練部材にまとわりつく。
【0117】
この実施例では、既にのべたように固定ピン10を設けてある。
【0118】
ロータ19,21が図3に示すように矢印イ,ロの方向に回転する。混練部材6−2a,6−2b,6−2c、7−2a,7−2b,7−2cが底壁2j側から斜板2k、側壁2nに沿って回転移動するとき、これらの混練部材6−2a,6−2b,6−2c、7−2a,7−2b,7−2cに加水されて粘度の大きくなった混練物が付着して団子状となったとする。そしてこれら混練部材が固定ピン10−3の軸方向の側方を通過しようとする際、混練部材6−2a,6−2b,6−2c、7−2a,7−2b,7−2cに付着している混練物の大部分は固定ピン10−3により掻き取られる。
【0119】
混混練部材6−2a,6−2b,6−2c、7−2a,7−2b,7−2cと固定ピン10−3間には軸方向の隙間があるので、固定ピン10−3に掻き取られた後に混練部材6−2a,6−2b,6−2c、7−2a,7−2b,7−2cに付着した混練物は夫々図3においてロータ19,21の上側で図示矢印イ,ロ方向に回転移動した混練部材6−2a,6−2b,6−2cと7−2a,7−2b,7−2cがこれらの対向部で互に混練し合う(後述の混練部材6−10,7−10の作用参照)。
【0120】
混練部材6−4,6−6、7−4,7−6がトラフ2の底壁2j、斜板2k、側壁2nに沿って上昇するとき、これらの混練部材に付着して肥大化した混練物はこれらの混練部材の両側で固定ピン10−3,10−5,10−7により掻き取られる。図3においてロータ19,21の上側で図示矢印イ、ロ方向に回転移動した混練部材6−4と7−4、6−6と7−6がこれらの対向部で互に混練し合う。
【0121】
混練部材6−8、7−8では固定ピン10−7により、混練部材6−8、7−8の片側の付着混練物が掻き取られる。
【0122】
従って、固定ピン10による上記作用は混練部材6−2,7−2,6−8,7−8に対する作用よりも混練部材6−4,7−4,6−6,6−7に対する作用の方が大きい。
【0123】
また、団子状になった大きな塊状の混練物であって混練部材とは別個独立して移動するものは、混練部材6−2,6−4,6−6,6−8,7−2,7−4,7−6,7−8に回転移動に随伴して底壁2j中央部から斜板2k側壁2nに沿って上昇し、固定ピン10に衝突して破砕される。
【0124】
混練部材6−2,6−4,6−6,6−8,7−2,7−4,7−6,7−8と固定ピン10とのロータ19,21の軸方向における隙間は原料中に含まれる最大の固形物の粒形程度としてある。例えば10ミリメートルである。
【0125】
図5から図10は偶数列の混練部材6−2から6−28、7−2から7−28のうちいずれか1組例えば混練部材6−10,7−10を図1、図2の左方より右方へ向って見る側面図である。図5から図10においてロータ19,21は互に反対方向に回転している。回転方向イ、ロはロータ19,21の上側が互に近寄る方向である。
【0126】
図5の状態では回転中心C42の直上に偏心中心C41がある。また、回転中心C52の真下に偏心中心C51がある。混練部材6−10,7−10は偏心部4c,5cの軸方向で同一位置にあって、夫々偏心部4c,5cの中心を中心として周方向を三等配した位置で、半径方向に混練部材6−10a,6−10b,6−10c,7−10a,7−10b,7−10cを有する。各混練部材6−10a,6−10b,6−10c,7−10a,7−10b,7−10cは偏心中心C41,C51から半径方向に等しい長さで突出している。
【0127】
ここで偶数列の混練部材6−8aから6−28a、6−8bから6−28b、6−8cから6−28cは軸方向に夫々短い間隔の同一ピッチで並列している。以下、では混練部材6−10,7−10の符号を上記偶数列の混練部材と見立てて説明する。混練部材6−10a,7−10aは回転中心C42,C52からの突出量が混練部材6−10b,7−10b,6−10c,7−10cの同突出量よりも大である。回転中心C42,C52からの混練部材6−10b,7−10b,6−10c,7−10cの突出量は等しい。
【0128】
図5の位置までロータ19が回転する際には、混練部材6−10aは回転中心C42からの突出量が大きいのでトラフ2の右側壁2n面までの混練物mを持ち上げるように移動し乍軸方向に隣接する偶数列の混練部材間を一部の混練物が遅れるようについてくるので混練物の表面m1が混練部材6−10aの先端の軌跡にほぼ沿って形成される。
【0129】
図5から図6に示すようにロータ19が45度回転すると混練部材6−10aにより混練物の表面m1は表面m2のように表面の形状をほぼ同様にして拡大する。かかる際に、表面m2下のトラフ2の右側壁2n側の混練物の占める容積は拡大するが送りスクリュー24,25により次々と原料が送り込まれて加水されていると共に混練部材6−10b,6−10cは混練部材6−10aの去った後への混練物の移動が行われる方向に回転して、混練物に混練を加え乍、混練物を図5においてトラフ2の右側の側壁2n面側へ移動させる。
【0130】
図5において混練部材7−10b,7−10cは回転中心C52からの突出量が混練部材7−10aの突出量よりは小さい。そこで、混練部材7−10bの先端の軌跡は低い位置をとおるので混練物の表面m3の如くに表面m1に比して低い表面となる。
【0131】
図5から図6に示すようにロータ21が回転するときに混練部材7−10bは偏心部4c,5cの対向部を通過する際に下方へ向って混練物を送り込み偏心部4c,5cの対向部間には凹部m4が生ずる。ただし、偏心部4c,5cの対向部間の混練物は図5から図6に示すように左方へ移動する。そこで偏心部4c,5cの対向部の間の混練物は既に混合室における原料に対する偏心部の作用のように左の方へ寄せ乍混練される。
【0132】
図5から図6において混練部材7−10cは混練物を混練し乍回転中心C52を中心に右回りに回転移動し、上方への変位が大きいので図5の表面m3を上に突き破るようになる。混練部材7−10aの先端は図5、図6においてトラフ2の底壁2jから左側の斜板2kに近い処を移動し、トラフ2の底壁2j上の混練物を左側の斜板2k上方に移動させるように付勢する。
【0133】
図6から図7に示すように混練部材6−10bは混練物を上方へ送り乍表面m2下の混練物を左方向へ送る。図6の状態では混練物表面m2は自重で降下してくるので表面m2の形状はやや高さが低くなるように変化する。混練部材6−10bの先端が表面m2に達すると、回転中心C42からの突出量の小さい混練部材6−10bは表面m2を表面m5とm6に分ける。混練部材6−10bの突出量は小さい故、表面m6下の混練物を持ち上げる能力は混練部材6−10aよりも小さいので表面m6は混練部材6−10bとトラフ2の右側の側壁2n側で落ち込んだ状態である。このとき混練部材6−10cはトラフ2の底壁2j上方を左から右へ移動して混練物を混練する。
【0134】
図6から図7に示すように混練部材7−10aは回転して回転中心C42,C52偏心中心C41,C51を結ぶ線の延長線上に来る。このとき、混練部材7−10aの回転中心C52からの突出量は大きく、トラフ2の左側の斜板2k、側壁2nに近い処を先端が通過するので図6の表面m7から図7の表面m8に示すように混練物の表面をほぼ維持する。
【0135】
図6から図7に示すように混練部材7−10bは偏心部4c,5cの対向部からトラフ2の底壁2jに向く位置まで回転中心C52を中心にして回転して混練物を混練する。混練部材7−10cは右回りに回転して移動し、また、混練部材6−10aが偏心部4c,5cの対向部へ回り込み表面m5を形成し、且つ、混練部材7−10cは進行方向前面の混練物を図6の凹部m4へ移動させるので凹部m4を図7の凹部m9のようにせばめる。
【0136】
図7から図8に示すように混練部材6−10aは下方へ回転して移動することによりその移動の軌跡の空間に向って図7の表面m5下の混練物は自重で下方へ移動して表面m5は表面m10のように下降変化する。そして混練部材6−10bは図8に示すように混練物表面m10,m11から突出する。混練部材6−10cは回転中心C42から突出量が小さく、右側の斜板2k、側壁2nより先端が大きく離れているので混練物を混練し混練物を上方へ移動させる。そこで表面m6から表面m11に示すように、混練物の表面を上昇させる。
【0137】
図7から図8に示すように混練部材7−10aは回転中心C52からの突出量は大きく、偏心部5cは偏心中心C51を回転中心C52の左上に移動させるので表面m8は表面m12のように上昇する。混練部材7−10bはトラフ2の底壁2j側から左側の斜板2k側へ回転して移動し混練物を混練すると共に押し上げる。そこで図8に示すように混練部材7−10aの移動方向の後流側の混練物の表面は押し上げられて表面m13が形成される。混練部材7−10cは表面m5から変化した表面m10に達し、図7の凹部m9は消滅する。表面m10,m12間は新たな凹部m14となる。
【0138】
図8から図9に示すように混練部材6−10aは偏心部4c,5cの対向部を過ぎた後はトラフ2の底壁2jに接近し乍底壁2j上の混練物を右方へ混練し乍移動させる。混練部材6−10bは上方より偏心部4c,5cの対向部へ回り込み図8、図9に示すように混練物の表面m15の下へもぐり込む。このとき、表面m11下の空間は混練部材6−10bの移動の軌跡により拡大するので混練物は表面m11から表面m15のように低下する。混練部材6−10cは右側の側壁2n側の混練物を混練し乍上方へ移動する。そして、混練部材6−10cは表面m11からm15へ低下してくる混練物から表面に先端を現し、表面m15の一部を表面m16に分ける。
【0139】
図8から図9に示すように混練部材7−10aは回転中心C52からの突出量が大きいのでトラフ2の左側の側壁2n面までの混練物を持ち上げるように移動し乍、軸方向に隣接する偶数列の混練部材間を一部の混練物が遅れてついてくるので混練物の表面m17が混練部材7−10aの先端の軌跡にほぼ沿って形成される。混練部材7−10bは左側の斜板2k付近の混練物を混練し乍表面m17下の混練物が自重で低下しようとするのに対向して混練物を付勢する。混練部材7−10cは偏心部4c,5cの対向部を下方へ移動して混練部材6−10aが混練した混練物を混ぜ合わせる。
【0140】
図9から図10に示すようにロータ21が45度回転すると混練部材7−10aにより混練物の表面m17は表面m18のように表面の形状をほぼ同様にして拡大する。かかる際に、表面m18下のトラフ2の左側壁2n側の混練物の占める容積は拡大するが送りスクリュー24,25により次々と原料が送り込まれて加水されていると共に混練部材7−10b,7−10cは混練部材7−10aの去った後への混練物の移動が行われる方向に回転して、混練物に混練を加え乍、混練物を図9においてトラフ2の左側の側壁2n面側へ移動させる。
【0141】
図9において混練部材6−10b,6−10cは回転中心C42からの突出量が混練部材6−10aの突出量よりは小さい。そこで、混練部材7−10bの先端の軌跡は低い位置をとおるので混練物の表面m15の如くになっている。
【0142】
図9から図10に示すようにロータ19が回転するときに混練部材6−10bは偏心部4c,5cの対向部を通過する際に下方へ向って混練物を送り込み偏心部4c,5cの対向部間には凹部m19が生ずる。ただし、偏心部4c,5cの対向部間の混練物は図9から図10において右方へ移動する。そこで偏心部4c,5cの対向部の間の混練物は既に混合室における原料と同様に偏心部4c,5cの対向部の右方向への移動により右の方へ寄せ乍混練される。
【0143】
図9から図10において混練部材6−10cは混練物を混練し乍回転中心C42を中心に左回りに回転移動し、上方への変位が大きいので図9における混練物の表面m15を上に突き破るようになる。これによって表面m21,m22が生ずる。混練部材6−10aの先端は図9、図10においてトラフ2の底壁2jから右側の斜板2kに近い処を移動し、トラフ2の底壁2j上の混練物を右側の斜板2k上方に移動させるように付勢する。
【0144】
図5から図6と図9から図10を比較しますと図は左右対称となっている。従って、作用も図5から図6における混練部材6又は7についての説明は図9から図10における混練部材7又は6の説明と同様である。
【0145】
以下、同様なので実施例の以下の説明を省略する。
【0146】
偶数列の混練部材6−2i(i:1…14)、7−2i(i:1…14)と奇数列の混練部材6−(2i−1)(i:1,5…15)、7−(2i−1)(i:1,5…15)は周方向で60度位相が異なる。そこで作用を上述した混練部材6−2i(i:2…14)、7−2i(i:1…14)の説明は60度の位相差の状態で奇数列の混練部材6−(2i−1)(i:1,5…15)、7−(2i−1)(i:1,5…15)の作用となる。
【0147】
これら偶数列、奇数列の混練部材は同時に混練しているので、軸方向で隣り合う偶数列の各混練部材6−2i(i:1…14)、7−2i(i:1…14)間の混練物は偶数列の混練部材6−2i(i:1…14)、7−2i(i:1…14)で混練を充分受けない、また混練物をロータ19,21の周方向へ充分移動させないとしても、奇数列の混練部材6−(2i−1)(i:1,5…15)、7−(2i−1)(i:1,5…15)と併せて充分混練されると共に混練部材により一部攪拌してロータ19,21の周方向に移動させる。同様に奇数列の混練部材で混練を充分に受けなかった混練物は偶数列の混練部材で混練されまたロータ19,21の周方向に移動させる。
【0148】
混練部材6−16から6−29,7−16から7−29はこちらのうち偶数列の混練部材6−2i(i:8…14)、7−2i(i:8…14)と奇数列の混練部材6−(2i−1)(i:9…15)、7−(2i−1)(i:9…15)は偏心部4c,5cの対向部で軸方向の間隔が接近しているので奇数列と偶数列の混練部材は偏心部4c,5cの対向部で同方向(下方)に移動し乍、すれ違う。これにより、出口2bに位置する各混練部材に付着した混練物は互に掻き落される。
【0149】
従って、混練部材6−16から6−29,7−16から7−29間においては、各、混練部材から離れた混練物は出口2bを通じて排出される。
【0150】
上記作用をまとめると次の如くである。
【0151】
ロータ19,21は周囲の上側が互に近寄る方向に回転している。ロータ19,21の回転中心C41,C51から見てトラフ2の側壁2nの斜め上方から固定掻き取部材である固定ピン10が混練部材間に進入しているので混練部材にまとわり付く混練物の肥大化を防止できる。又、塊状混練物を破砕できる。又、固定掻き取部材の根本側は混練物が付着するがトラフの開口部側から直接目視出来、且つ直接清掃作業が容易である。
【0152】
加水器付近に小数の固定掻き取部材を設けたことにより、粉体原料に加水した直後の塊状になり易く、また混練部材に付着し易い粘度となる混練物の混練部材への付着、塊状化を防止できる。
【0153】
ロータ19,21は互いに反対方向に回転している。2本の偏心部は回転軸の回転中心に対し常に左右同方向に同量の移動する変位成分を有する。回転軸の回転中心に対して常に互いに反対方向に上下方向への同量の移動する変位成分を有する。
【0154】
それ故、ロータ19,21回りにある混練物は偏心部の作用で上下左右に振れて混ざり合うので混練部材に巻き込まれやすくなる。
【0155】
混練物は偏心部の対向部で左右方向に揺動する付勢力を受けてロータ19の混練部材とロータ21の混練部材で下へ送られるのでロータ19,21の対向部へ向って巻き込まれ易くなる。即ち、偏心部の対向部では水平方向で軸直角方向に混練物をゆさぶり乍、下方へ移動させる。そして、ロータ19,21回りの混練物は偏心部の作用により上下左右に振れるようにして且つ混練部材で混練作用を受ける。
【0156】
2本の回転軸を互いに同速度で反対方向に回転するものとし、2本の回転軸の偏心方向を回転軸の回転中心をとおる直線上において回転軸の回転中心から見て同じ向きとしたことにより、混練物に対する一方の回転軸と他方の回転軸に加わる偏荷重を小さくできる。従って、ギヤや動力の負荷が軽減される。
【0157】
上記において寸法関係の一例をのべると図12に示すとおりである。図12はロータの回転中心と固定掻き取部材の中心線10c(図3参照)及び混練部材の中心線を含む平面で固定掻き取部材と混練部材の寸法関係を示している。
【0158】
混練部材6−2i(i:1…14),6−(2i−1)(i:1,5…15)は何れも同直径で直径daは20ミリメートル、固定ピン10のロータ軸方向での幅wは30ミリメートルである。本例では固定ピン10は角棒又は丸棒であるので上記幅は一辺又は直径30ミリメートルである。混練部材6−2と6−4,6−4と6−6,6−6と6−8間及び混練部材7−2と7−4,7−4と7−6,7−6と7−8間の夫々のピッチPは70ミリメートルである。これらの混練部材間に固定ピン10が入りこんでいる入り込み量δは、偏心部回転軸4,5の回転位置により異なる。本例では添符号b,cのついた混練部材例えば、混練部材6−2b,6−2cに対してδ=20ミリメートルとなっている。
【0159】
〔他の偏心部の実施例〕
図11において、今、偏心中心C51を仮の偏心中心51´とすると回転中心C42とC52を結ぶ線CDLの2等分線Dに対して常に左右対称な位置に偏心部4c,5cの偏心中心があることになる。そこで、偏心部4c,5c間の対向部間の距離MmaxとMminは線CDLの長さをNとするとMmax=N+2e−(r4+r5)とMmin=N−2e−(r4+r5)となり、偏心部の対向部間の距離の変化量は4eとなる。
【0160】
このようにすると、偏心部4c,5c間の対向部には上から下へ混練物を巻き込んでくるので、偏心部の対向部間の距離が縮小する過程においては混練物は両偏心部で加圧され両回転軸の軸間距離を拡げようとする力が発生する。一方偏心部の対向部間の距離が拡大する過程においては両偏心部の対向部は混練物に力を加えることがない。上述の2等分線に対して対称な位置に偏心部4c,5cの偏心中心があるようにすると、ロータ19,21の回転中の回転力の変化が大きくなるので、相当する回転力の電動機3が要求されることになる。
【0161】
また、ギア16,17、軸受、回転軸継手等も単に最大回転力に耐えるだけでなく、荷重変動に対する寿命も考慮しなければならなくなる。
【0162】
しかし乍、最初の実施例のように一方の回転軸の偏心部の偏心中心を一方の回転軸の回転中心の直上へ偏心させ、他方の回転軸の偏心部の偏心中心を他方の回転軸の直下へ偏心させた場合、また、2本の回転軸の回転中心を結ぶ線の2等分線に対して左右対称の位置に夫々の回転軸の偏心部の偏心中心を置いた場合、更には上記とは異なる位置に偏心中心を置いたとしても、夫々の偏心部の上側が互に近づく方向に回転移動するように2つの回転軸を互に反対方向に回転することにより、混練物が片側のトラフ側壁側のみに片寄り堆積したりすることはない。
【0163】
2本の回転軸の回転中心を結ぶ線の2等分線に対して左右対称に夫々の回転軸の偏心部の偏心中心を配設した場合は、2本の回転軸が回転する際には、1回転毎に夫々の偏心部の対向部間の距離が変化するのでこの対向部間では対向部が大きくなる過程では対向部間の混練物は下方へ移動すると共に、対向部上方の左右の混練物はロータの周面が対向部へ回り込むと共に対向部上方の混練物は降下する。そして、対向部が小さくなる過程では対向部間の混練物は、偏心部で押され乍対向部における偏心部の周面の移動方向の下方へ移動して混練を受ける。
【0164】
また、偏心中心は上記の他の実施例のように2等分線Dに対して対称な位置を選択するか又は最初の実施例のように2等分線Dに対して対称な位置に一方の偏心部の偏心中心を置くと共に他方の偏心部の仮の偏心中心を置いて仮の偏心中心に対して180度位相の異なる偏心中心を他の偏心部の実の偏心中心を選択する、のほかにこれらとは異なる位置に各偏心部の偏心中心を置くことも可能である。
【0165】
(固定掻き取部材の他の実施例)
図13は混練機のロータ軸方向の一個所である加水器18の位置における横断面図である。混練機は図1、図2に示す混練機と同様である。
【0166】
図13は前述の実施例において、トラフ2の底壁2jに固定掻き取部材である固定ピン10A(10A−3,10A−5,10A−7:ハイホンの次の数字は図2において丸囲みした数字を示し、ロータ軸方向における位置を表わす)を設けたものである。この固定ピン10Aは円筒形のピン部10aが底壁2jの丸穴2j1を挿通して回転中心C42,C52に向って夫々直立している。ピン部10aの先端は偏心トップ4c1,5c1の軌跡に近い位置にある。ピン部10aの根本に溶接により一体に設けられ底壁2j外面に当接させた取付フランジ10bを挿通するボルト31を底壁2jのめねじにねじ込み固定ピン10Aはトラフ2に固定されている。
【0167】
この実施例によれば、ロータ19,21が回転する際に、混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)が固定ピン10A(10A−3,10A−5,10A−7)の側部をとおりぬける際に、これら混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)に付着して肥大化した混練物は固定ピン10Aにより掻き取られる。更に、これら混練部材が固定ピン10Aの傍らを通過した後に、これら混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)にまとわりついたり、又は斜板2k、側壁2n付近で発生した混練物の塊状であってこれら混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)により上方へ移動させられる混練物は、トラフ2の側壁2nから斜め下方に回転軸4,5に向って突出した固定ピン10(10−3,10−5,10−7:ハイホンの次の数字は図2において丸囲みした数字を示し、ロータ軸方向における位置を表わす)に上方への移動を阻止され、混練部材6−2i,7−2i,(i:1,2,3,4)にまとわりついた混練物は掻き取られる。そして、塊状となった混練物は固定ピン10に衝突して、又は固定ピン10−3と10−5の間、10−5と10−7の間をとおりぬける際に通過を制限されて破砕される。
【0168】
なお、これら作用は送りスクリュー24,25による推力でもって全体としてはロータ軸方向に送られる混練物のロータ軸方向における一面の作用であり、上記作用は混練物がロータ軸方向に送られ乍行われる。
【0169】
この実施例によれば、固定掻き取部材を設置してあるよりも下流側へ大塊状の混練物が移動してしまう率が小さくなる。また、混練部材にまとわりつく混練物をこまめに取り除くので取り除かれた混練物は小さく大きな塊状となり難くなる。
【0170】
なお、底壁2j側にのみ、固定ピン10Aを設けてもよい。
【0171】
図14は一方の端部に原料の入口を有し、他方の端部に原料を混練した混練物の出口を有するトラフ2中に電動機で矢印ハ、ニに示すように同方向に同回転速度で平行する2本の横軸の第1、第2の回転軸4,5にこれらの軸方向において多数の混練部材6,7(図示断面においては6d,6e,7d,7e)を有する混練機の軸方向の加水器18付近の長手方向に直角な断面図である。
【0172】
この実施例は偏心部4c,5cの位相が最初にのべた実施例と異なっている。
【0173】
第1の回転軸4と第2の回転軸5の各偏心部4c,5cは偏心部の中心C41,C51が第1、第2の回転軸4,5の回転中心C42,C52を中心とする回転方向に関して同位相となっている。
【0174】
混練部材6,7は第1の回転軸4の偏心部4cと第2の回転軸5の偏心部5cの軸方向においてほぼ同一の位置に設けられている。各回転軸4,5の偏心部4c,5cの軸方向から見て該偏心部4c,5cの直径をわたる両側に突出し、軸方向においてほぼ同一位置にある第1の回転軸4の偏心部4cに設けられた第1の混練部材6d,6eの夫々と第2の回転軸5の偏心部5cに設けられた第2の混練部材7d,7eは偏心部4c,5cの周方向において90度位相を異にしている。第1の混練部材6d,6eの第1の回転軸4の偏心部4cの中心C41を中心とする半径方向の長さと第2の混練部材7d,7eの第2の回転軸5の偏心部5cの中心C51を中心とする半径方向の長さはその長さの和が第1、第2の回転軸4,5のの軸間距離CDよりも大で、回転中第1、第2の混練部材6d,6e,7d,7eが互に干渉しない長さで且つ第1の混練部材6d,6eが第2の回転軸5の偏心部5cと干渉しない長さ、及び第2の混練部材7d,7eが第1の回転軸4の偏心部4cと干渉しない長さを有する。
【0175】
ロータ軸方向における混練部材6d,6e,7d,7eの先端は密閉したトラフ中に設けられた内周に接触すると共に外周が互いに接触又は接近して回転する木の葉パドルの外周の形状と同様な軌跡を画く(特開平11−104477号公報、特開2006−75807号公報参照)。
【0176】
この実施例では、トラフ2の左側壁2nに固定した固定ピン10(10−3,10−5,10−7)を回転軸5の左側の側壁2nの上方から回転軸5に向って突出させてある。固定ピン10は最初の実施例と同様に加水器18付近でロータ軸方向において隣接する混練部材間に進入している。このため、加水器18付近の固定ピン10が進入している両側の混練部材間の軸方向ピッチは、固定ピン10の進入しない隣接する混練部材間のピッチの2倍としてある点は最初の実施例と同様である。
【0177】
図14における固定ピン10とロータ軸方向に関し同位置に固定ピン10Aが設けられている。固定ピン10Aは回転軸4の回転中心C42に向って直立している。偏心部4cと固定ピン10Aの関係位置は第2の実施例と同様である。
【0178】
ロータ19,21が矢印ニハのように同方向に回転する際、混練部材6d,6eの移動の向きは偏心部4c,5cの対向部を通過する際は上向きであり、混練部材7d,7eの移動の向きは偏心部4c,5cの対向部を通過する際は下向きであり、混練物は偏心部4c,5cの対向部では混練部材6d,6eと7d,7eで交互に混ぜ合わせられる。
【0179】
混練部材7d又は7eが底壁2jから左側の斜板2k、該斜板2kから左側の側壁2nにかけて移動する際、加水器18からの加水により、混練物は大きな塊になったり、混練部材7d,7eにまとわりついて肥大化することがある。混練部材7d,7eが固定ピン10の傍を通過する際、混練部材7d,7eに付着している混練物は掻き取られる。また、混練部材7d,7eにより、固定ピン10の位置へ送られた混練物の塊は固定ピン10に衝突して破砕される。
【0180】
混練部材6d,6eが偏心部4cの上側から右側の側壁2n、右側の斜板2kに沿って移動する際、加水器18からの加水により混練物は大きな塊になったり、混練部材6d,6eにまとわりついて肥大化することがある。混練部材6d,6eが固定ピン10Aの傍を通過する際、混練部材6d,6eに付着している混練物は掻き取られる。また、混練部材6d,6eにより、及び自らの重力により固定ピン10Aの位置へ送られた混練物の塊は固定ピン10Aに衝突して破砕される。
【0181】
固定ピン10,10Aがない状態を考えると、混練物は回転軸4,5の上側では図14において右方へ向い、右側の側壁2n、斜板2kに沿って下り、回転軸4,5の下側では図14において底壁2j上を左方へ向い、左側の斜板2k、側壁2nに沿って上昇する傾向となる。もちろん送りスクリュー24,25の推力があるのでかかる混練物はロータ軸方向に関し同一位置を通過する訳ではないけれども、粉体状態のままの原料が存在する加水器付近では団子状の塊ができると、それに粉体原料がまとわりついて拡径する。拡径した団子状の塊に加水される。それに粉体原料がまとわりつくということが生じる。
【0182】
また、加水器付近には加水が充分でない粉体原料が存在しているので固定掻き取部材が備えられていないとすると、混練部材に付着した混練物に粉体原料がまとわり付き肥大化する。混練部材上で肥大化した混練物に加水され、混練部材が粉体原料中を移動すると、更に、粉体原料が混練部材に付着している混練にまとわりついて更に肥大化するという現象が生ずる恐れがある。
【0183】
上述した混練物の塊は一部が混練部材に巻き込まれることなく混練物上に出て混練物上を下流側へ移動してしまうが、固定掻き取部材を設けることにより防止できる。
【0184】
図14において混練部材6,7が各偏心部4c,5cの中心を中心として同じねじれ方向にねじれた二重のスパイラル面上で、偏心部4c,5cの半径方向に直立しているとする。この場合二重のスパイラル面のリードの差を図12に示すピッチPにするとし、混練部材7dは固定ピン10により軸方向の片側に付着した混練物が掻き取られ、混練部材7eは固定ピン10により軸方向の他の片側に付着した混練物を掻き取られる。同様に混練部材6d,6eは固定ピン10Aにより軸方向の互に反対側に付着した混練物が掻き取られる。
【0185】
従って、混練部材が各偏心部の中心を中心として同じねじれた方向にねじれた二重のスパイラル面上にある混練機においても固定掻き取部材を設けることは有効である。
【0186】
実施例はロータの回転軸に偏心部を有する混練機について述べたが偏心部を有しない回転軸を有するロータについても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】混練機の縦断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】図1のC−C断面図である。
【図5】混練機の作用を示す横断面図である。
【図6】混練機の作用を示す横断面図である。
【図7】混練機の作用を示す横断面図である。
【図8】混練機の作用を示す横断面図である。
【図9】混練機の作用を示す横断面図である。
【図10】混練機の作用を示す横断面図である。
【図11】ロータの偏心部を説明するための線図である。
【図12】固定ピンと混練部材の関係を示す平面図である。
【図13】他の実施例を示す横断面図である。
【図14】更に他の実施例を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0188】
1…混練機
2…トラフ 2a…入口 2b…出口 2c…上部開口部 2d…トラフ本体 2e…トラフ蓋 2f,2g…端板 2h…スタンド 2i…仕切壁 2j…底壁 2k,2m…斜板 2m1…斜板部 2m2…斜板本体 2m3…ベース板 2n…側壁 2o…アングル
3…電動機 3a…減速機
4…回転軸 4a,4b…ジャーナル部 4c…偏心部 4c1…偏心トップ
5…回転軸 5a,5b…ジャーナル部 5c…偏心部 5c1…偏心トップ
6,6−1,6−2,6−4,6−6,6−8から6−29…混練部材
7,7−1,7−2,7−4,7−6,7−8から7−29…混練部材
8…ボルト 8a…ナット
9…軸受ユニット
10,10A,10−3,10−5,10−7…固定掻き取部材
11…軸受ユニット
12…軸封部材
13…ベッド
14,15…軸受装置
16,17…ギア
18…加水機 18a…ノズル
19,21…ロータ
22…調整ゲート 22a…長穴 22c…把手 22d…角部 22e…凹形開口部
22f…下縁 22g…開口部
23…回転軸継手
24,25…送りスクリュー
26…ねじ
27…通しボルトナット
28,28a,28b,28c,28d…送りパドル
29,29a,29b,29c,29d…送りパドル
31…ボルト
32…軸封部材
C41,C51…偏心中心 C42,C52…回転中心 C51´…仮の偏心中心 C41L…中心線 CD…中心間距離 CDL…線
D…2等分線
L…半径
M…垂線間距離
N…中心間距離の大きさ
R1…混合室 R2…混練室
V1,V2…垂線
e,e4,e5…偏心量
r…半径 r4,r5…偏心部半径
【技術分野】
【0001】
本発明は、EP灰、飛灰等を混練・加湿する混練機(加湿機)に関する。また、本発明の混練機は食料品や薬剤の混練・加湿に使用できるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飛灰等の固化処理としては、飛灰に固化剤を混合し加水(ここで加水とは水のみを加える場合と、水と薬剤を加える場合の何れかをいう。以下同様)して混練後水和反応により固化することが行われている。飛灰等の固化処理には、飛灰と固化剤例えばセメントとを混合した原料を加水して混練する混練機が用いられる。この混練機としては一方に原料の飛灰等とセメントの混合物を投入する入口、他方に混練された原料、すなわち混練物の取り出し用の出口を設けたトラフ中に横軸の平行な回転軸(第1の回転軸及び第2の回転軸)に夫々混練部材を設けたものが知られている。
【0003】
回転軸の半径方向にロッドパドルを設け、第1の回転軸に設けたロッドパドルと第2の回転軸に設けたロットパドルは軸方向において重ならないが密接するように配列したもの(特許文献1)がある。
【0004】
上記ロッドパドルは軸方向に回転軸を中心としてスパイラル状に配列されている。
【0005】
2本の平行するロータの軸方向で同一個所にあるロッドパドルを夫々周方向でピッチをずらせて絡ませた混練機が(特許文献2)に示されている。
【0006】
混練機に偏心部を設けることにより、長時間停止後の始動負荷を小さくできる混練機が(特許文献3)に示されている。この特許文献3に記載する混練機によれば、混練物の固着した際の起動トルクが小さい。また、各回転軸の偏心部の軸方向で同一位置にある第1、第2の混練部材が第1、第2の回転軸の偏心部の中心を結ぶ線に対して夫々45度の角度をなした際に混練部材の先端を接近させて、且つ、互に干渉しない長さを有することにより軸方向の1個所における混練物の練り合わせが充分できる。
【0007】
上記特許文献3に記載の発明を実施すると以下のような現象が生ずることが見受けられた。
【0008】
ロータ上に乗った混練物は攪拌部材が巻き込まないまま攪拌できず加湿処理が不充分な状態で出口方向に流れ出される。トラフの片側に向って混練物が寄せられ混練物が盛り上る。トラフは密閉構造に限られることになる。
【0009】
また、回転力の変動が大きくなり、電動機からロータへ回転を伝える歯車に偏荷重がかかる。
【0010】
混練部材を回転軸の軸方向においてほぼ全部スパイラル状に配置する混練機(特許文献1)では取付部の加工位置決めを軸方向と周方向を関連づけなければならず、回転軸への取付部の加工工数を多大に要する。
【0011】
そこで特許文献4に記載の発明では、始業時の起動トルクが小さい、原料をよく混練できる、過負荷とならない、等の混練機において、ロータ上に乗る混練物がロータ間によく巻き込まれて送り込まれた原料を充分混練できる混練機としている。
【特許文献1】特開平11−104477号公報
【特許文献2】特開2005−313097号公報
【特許文献3】特開2006−75807号公報
【特許文献4】特願2006−322842号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
混練機において混練室の加水位置付近では粉体状の原料に加水により大きな塊となることが認められる。この塊はロータの上側が互に近づく方向に回転する特許文献4に記載の発明においてもロータの対向部分に巻き込まれないで下流側に向ってしまうことが認められる。ロータの上側がトラフの側壁に向って移動する混練機では加水後の上記塊はトラフ側壁に沿った下流側へ移動してしまう。
【0013】
本発明は混練室において粉体原料に加水する加水器を備えた混練機において、原料が加水により大きな塊状となったとしても、直ちに破砕することにより上記課題を解決した混練機を提供することを目的とする。
【0014】
加水器付近のロータでは混練部材に混練物が付着して肥大化し固化する傾向がある。そこで、混練部材に付着する混練物を掻き取ることにより、混練部材に混練物が付着し難い混練機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本出願に係る第1の発明は一方の端部に原料の入口を有し、他方の端部に原料を混練した混練物の出口を有するトラフ中に電動機で駆動される平行する2本の横軸の第1、第2の回転軸にこれらの回転軸の軸方向において多数の混練部材を備えたロータを有する混練機において、
ロータの軸方向においてトラフを仕切って設けられた被処理物と原料の混合を行う混合室及び混合された原料に加水して混練する混練室と、
混練室へ加水する加水器と、
混練室中において第1、第2の回転軸に軸方向に配列して固定したロッド状の混練部材と、
加水器で加水される付近において夫々トラフに固定され第1、第2の回転軸に向って突出し回転軸の軸方向で見て回転する隣接する混練部材に重なり且つ回転軸の軸方向で近接した固定掻き取部材と、
を有することを特徴とする混練機である。
【0016】
本出願に係る第2の発明は回転軸の軸方向の複数の隣接する混練部材の夫々の間に進入する固定掻き取部材を有することを特徴とする第1の発明に記載の混練機である。
【0017】
本出願に係る第3の発明はトラフの側壁に沿って設けられ回転軸の上側に回転移動して来た混練部材がトラフ側壁から遠ざかる方向に移動するロータを有し、前記側壁側から斜め下方に前記回転軸に向って突出した固定掻き取部材を設けたことを特徴とする第1又は第2の発明に記載の混練機である。
【0018】
本出願に係る第4の発明は第1の回転軸と第2の回転軸の回転方向は各回転軸の上側の混練部材が互に近づく方向の回転方向であることを特徴とする第3の発明に記載の混練機である。
【0019】
本出願に係る第5の発明は固定掻き取部材はピン状である第1から第4の何れか1つの発明に記載の混練機である。
【0020】
本出願に係る第6の発明は固定掻き取部材と軸方向に隣り合う混練部材間に軸方向に間隙を有することを特徴とする第1から第5の何れか1つの発明に記載の混練機である。
【0021】
本出願に係る第7の発明はトラフの内壁面は回転軸の回転中心を結ぶ線の2等分点を中心とする点対称な壁面を有することを特徴とする第1から第6の何れか1つの発明に記載の混練機である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によれば加水されて原料が塊となったとしても、回転するロータでロータの周方向に送られる塊は混練部材が固定掻き取部材位置を通過する際、破砕される。また、混練部材に付着する混練物は掻き取られ肥大化しない。
【0023】
請求項2に係る発明によれば仮に加水された大きな原料塊が上流側第1の固定掻き取部材で破砕されない場合も下流側の固定掻き取部材で破砕される。
【0024】
請求項3に係る発明によれば固定掻き取部材で破砕されて小塊となった原料はトラフ底壁と側壁間の空間にあるので送り力を受け下流へ送られる。また、加水された大きな原料塊は固定掻き取部材の位置に回り込むことが確実であり、破砕の効果が大きい。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、固定掻き取部材は各ロータ上へ回り込もうとする混練物の塊を破砕できる。また、両ロータの混練部材にまとわり付く混練物が掻き取られる。
【0026】
請求項5に係る発明によれば固定掻き取部材はコストが安く取付も簡単である。
【0027】
請求項6に係る発明によれば、間隙を原料中の固形物の最大径程度としておくことにより、過負荷を避け乍、固形掻き取部材が混練部材から混練物を充分掻き取ることができる。
【0028】
請求項7に係る発明によれば、トラフ壁面に先端が接近する混練部材は少くともトラフ壁面近くの混練物は混練されるようにできる。また、トラフは製作上有利である。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。尚、以下の説明で単に軸方向という場合は回転軸4又は5の軸方向のことである。また、ロットNO.とは図2に示すように混練部材又は固定掻き取部材の軸方向位置を示しており、一部を丸囲みの数字で示してある。
【0030】
図1、図2に示すように一方の端部に原料の入口2aを有し、他方の端部に原料を混練した混練物の出口2bを有するトラフ2中に減速機3a付の電動機3で互いに反対方向に同回転速度で駆動される平行する2本の横軸の回転軸4,5に回転軸の軸方向において多数の混練部材6,7(図2参照)を備えたロータ19,21を有する混練機において、各回転軸4,5は両端に軸受に支持されるジャーナル部4a,4b,5a,5bと両ジャーナル部の間に回転軸4,5の回転中心から偏心した中心線を有する偏心部4c,5cとを有する。
【0031】
図7に示すように第1の回転軸4と第2の回転軸5の各偏心部4c,5cの偏心中心C41,C51が第1の回転軸4の回転中心C42と第2の回転軸5の回転中心C52をとおる直線上にあり、第1の回転軸4の回転中心C42から見る第1の回転軸4の偏心部4cの偏心中心C41の向きと、第2の回転軸5の回転中心C52から見る第2の回転軸5の偏心部5cの偏心中心C51の向きが同一である。
【0032】
偏心部4c,5cはトラフ2内のほぼ全長に及んでいる。ここで、偏心部4c,5cの中心C41,C51は図11に示すように回転軸4,5の回転中心(ジャーナル部4a,4b,5a,5bの中心C42,C52)を結ぶ線CDLの2等分線Dを対称軸として対称な位置に一方の偏心部4cの中心C41があり、他方の偏心部5cの中心がC51′(仮の中心)にあるとすると回転軸4,5は同速度で互いに反対方向に回転するので偏心部中心C41,C51′は2等分線Dから見て常に対称位置にある。
【0033】
本発明の実施例では回転軸5の中心C52と仮の偏心部中心C51′を結ぶ延長線上に偏心部中心C51を設けた。即ち、偏心部中心C51は仮の偏心中心C51′に対して回転軸5回りで180度位相を異にしている。
【0034】
上記において、回転軸4の中心C42と偏心部4cの中心C41間の距離即ち偏心量e4と回転軸5の中心C52と偏心部5cの中心C52間の距離即ち偏心量e5は等しい。以下、e4=e5=eとして、偏心量をeと表す。
【0035】
ただし偏心量e4とe5は異にしてもよい。
【0036】
図2に示すように混練部材6,7及び送りパドル28(28aから28d)、29(29aから29d)は各偏心部4c、5cの中心C41,C51を中心として半径方向に突き出して、偏心部4cと偏心部5cの軸方向において同一又はほぼ同一の位置に設けられている。なお、混練部材6,7としては棒状(ロッドパドル)であり、半径方向に対して傾斜させて放射方向とすることも選択できる。
【0037】
混練部材6,7は軸方向において入口2a側から出口2bに向って設けてある。ここで、各個の混練部材又は固定掻き取部材(以下、固定ピン10という)を示すには、例えばロットNo.2の混練部材は回転軸4側は符号6にハイホンを付してロットNo.2を加えて6−2とする。同様に回転軸5側は符号7にハイホンを付してロットNo.2を加えて7−2と表現する。ロットNo.1から29まで一部を除いて混練部材が設けてある。混練部材6,7は軸方向の各個所において、偏心部4c,5cを周方向に等配して設けてある。ロータ6,7の混練物の流れに関し下流側の混練部材は中心線で略図示してある。
【0038】
ロータ19,21上には入口2a側から出口2b側に向って順に第1群の混練部材として送りパドル28aから28d、29aから29d、送りスクリュー24,25、ロットNO3,5,7を除いて混練部材6−1から6−29、7−1から7−29が設けられている。
【0039】
送りパドル28a,28b,28c,28d,29a,29b,29c,29dは入口2aの下方に設けてある。
【0040】
(全体構成)
図1は混練機の縦断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図、図4は図1のC−C断面図である。
【0041】
混練機1は図1、図2に示すように一方の端部に原料の入口2aを有し、他方の端部に原料を混練した混練物の出口2bを有するトラフ2中に減速機3a付の電動機3で互に反対方向に同回転速度で駆動される平行する2本の横軸の回転軸4,5を有する。回転軸4の両端のジャーナル4a,4bは軸受装置14、軸受ユニット9に支持されている。回転軸5の両端のジャーナル部5a,5bは軸受装置15、軸受ユニット11に支持されている。回転軸4,5は両端のジャーナル部4a,4b及び5a,5b間に夫々偏心部4c,5cを有する。偏心部4c、5cの周囲に夫々同様に軸方向において送りパドル28,29、多数の混練部材6,7、原料又は混練物に送りを与える送りスクリュー24,25を備えている。送りパドル28,29、混練部材6,7及び送りスクリュー24,25を備えた回転軸4,5をロータ19,21と称する。
【0042】
原料の入口2aはトラフ2の長手方向(ロータ19,21の軸方向)の一方端の上面に開口している。混練物の出口2bはトラフ2の他方端の底部に開口している。
【0043】
加水器18は回転軸4,5の軸方向に配列された混練部材6,7群の上流側に配置されている。本例では混練室R2の上流側より下流側へ向って配列した混練部材6,7の第2列目の混練部材6−2,7−2のすぐ後流側に加水器18を配置してある。
【0044】
トラフ2は図3に示すように上部開口部2cを除いてロータ19,21を取り囲むように壁面を構成したトラフ本体2dと、上部開口部2cを開放可能に閉じてあるトラフ蓋2eを有する。入口2aはトラフ本体2dに近い幅とされている。トラフ2の上部開口部2cはトラフ2の長手方向に関し3個所にあって、本体2dのほぼ全長にわたって配置されている。トラフ本体2dの長手方向の両端には端板2f,2gが固定されている。端板2gには回転軸4,5の一端を軸封する軸封部材32例えばグランドパッキンが設けてある。また、端板2gに回転軸4,5を支持する軸受を有する軸受ユニット9,11が固定されている。端板2fには回転軸4,5の他端側を軸封する軸封部材12、例えばグランドパッキンが設けてある(図1参照、回転軸5側は図略)。
【0045】
端板2fからスタンド2hが回転軸4,5の軸方向に立ち上り、スタンド2h上に設けた軸受装置14,15により回転軸4,5の他端は夫々支持されている。この軸受装置14,15を貫通した回転軸4,5の他端には図2に示す互いに噛み合うギア16,17が固定してある。ギア16,17は歯数が等しい。減速機3a付の電動機3の出力軸と回転軸4は回転軸継手23を介して連結されている。減速機3a付の電動機3はベッド13に固定されている。トラフ2はベッド13上に固定されている。ベッド13は図示されない脚付である。
【0046】
図1、図3に示すように、加水器18が入口2aと出口2b間においてトラフ2に設けてある。加水器18の吐出ノズル18aは垂直線上にあって下向きである。この垂直線は回転軸4,5の回転中心C42,C52をとおる。加水器18は混合された飛灰等と固化剤例えばセメントを加湿するために、トラフ2内へ水等を送り込むものである。
【0047】
この混錬機1は電動機3が駆動されると回転軸継手23を介して回転軸4が回転させられ、回転軸4と共に回転するギア16からギア17に回転が伝えられ、ロータ19,21は互いに反対方向に同一回転速度で回転する。入口2aから投入された飛灰等と固化剤はロータ19,21の回転により混合されて出口2b側へ送られ加水器18による加湿後混錬された混練物は出口2bに到って排出される。
【0048】
(混練部材等の配置)
混練部材6は回転軸4に設けられ、混練部材7は回転軸5に設けてある。図1に示すように、回転軸4,5の偏心部4c,5cはジャーナル部4a,4bの中心(回転中心)C42,C52から偏心量eだけ偏心した偏心中心C41,C51をとおる軸方向の中心線C41L,C51L(C51Lは図示されない)を有する円筒形である。図1では回転軸4のみを示すが、回転軸4と回転軸5の回転中心線は同一水平面上に有って、回転軸5に対する偏心部5cの偏心中心C51は回転軸5の回転中心C52から下方に向って偏心量eだけ偏心している。偏心中心C41は回転中心C42から上方へ偏心しているので図1、図2の状態では偏心中心C41,C51は上下方向に偏心量の2倍2・eだけ異なる位置にある(図3参照)。混練部材6,7は偏心部4c,5cの外周に取り外し可能に固定されている。
【0049】
図1の場合は軸方向に配列されている各混練部材は偏心部4c,5cの軸直角面上に設けられている。
【0050】
(トラフ)
図3、図4、図5はトラフの長手方向に直角な断面を示している。
【0051】
トラフ2の本体2dは長手方向に直角な断面が方形である。トラフ2の本体2dは送りスクリュー24,25、ロットNO3,5,7を除く混練部材6−1から6−29,7−1から7−29のある長手方向を越えて、送りスクリュー24,25、混練部材6,7を取り囲むように、トラフ2の本体2dの下側の両隅に斜板2kを設けてある。側壁2nの内側に斜板2mを設けてある。斜板2kはトラフ本体2dに溶着されている。斜板2mは断面三角形の一辺であり、トラフ本体2dにボルト8止めされている。斜板2k,2mは夫々面を回転軸4,5に向けて対向させている。
【0052】
図1に示すように斜板2kは混合室R1から混練室R2の間の原料の供給量を調節可能に仕切っている調整ゲート22から混練部材6−29,7−29を下流側に向って越えた位置まで存在する。斜板2mは混練部材6−8,7−8のある位置から長手方向の下流側に向って混練部材6−29,7−29を越えた位置まで存在する。
【0053】
図5に示すように斜板2mはロータ19,21に対向する面2m1を有して屈折した斜板本体2m2と平板のベース板2m3が溶接で一体とされた断面中空三角形の板金製である。ボルト8をトラフ2の側板2n及びベース板2m3を挿通してベース板2m3に溶着したナット8aにねじ込むことによって斜板2mはトラフ2の側壁2nに固定されている。ただし、ベース板2m3だけは混練部材6−8,7−8のある位置よりも上流側に延在されており、調整ゲート22の近くで終わる。
【0054】
図3に示すように、ベース板2m3にはアングル2oが溶接により固定してある。アングル2oには固定掻き取部材(以下、固定ピンという)10(10−3,10−5,10−7)が溶接により固定してある。
【0055】
(固定ピン)
加水器18で加水される付近において夫々トラフ2に固定され第1、第2の回転軸4,5に向って突出する固定ピン10が設けてある。固定ピン10は回転軸4,5の軸方向で見て回転する混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)と重なる位置で回転軸4,5の軸方向で混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)に間隙をおいて近接している。
【0056】
混練部材6−2,7−2に対しては軸方向の下流側の片側にのみ固定ピン10−3が間隙をおいて設けてある。混練部材6−8,7−2に対しては軸方向の上流側の片側のみ固定ピン10−7が間隙をおいて設けてある。混練部材6−4,7−4は軸方向の両側に固定ピン10−3,10−5が間隙をおいて設けてある。混練部材6−6,7−6は軸方向の両側に固定ピン10−5,10−7が間隙をおいて設けてある。即ち、混練部材6−2,7−2,6−8,7−8は片側のみ混練物について固定ピンの作用を受ける。混練部材6−4,6−6,7−4,7−6は両側が混練物について固定ピンの作用を受ける。
【0057】
固定ピン10は本例ではロータ19,21の回転中心をとおる半径方向に長い直線状ピンである。詳しくは、回転軸4,5の回転中心C42,C52をとおる半径方向の中心線10cを中心としてピン状である。ただし、回転軸4,5の直角な平面上において固定ピン10は半径方向に対して傾いてもよい。
【0058】
図3に示すように固定ピン10のロータ19,21に対する周方向の位置は、本例ではロータ19では右上、ロータ21では左上であり、左右対称の位置に設けてある。固定ピン10は水平方向に対して夫々45度の角度をなしている。
【0059】
固定ピン10の先端は偏心部4c,5cの偏心トップ4c1,5c1の画く軌跡の外側でこの軌跡に近接している。偏心トップ4c1,5c1とは回転中心C42,C52から偏心中心C41,C51に引いた直線の延長線が偏心部4c,5cの外周を切る点のことである。
【0060】
図1、図2に示すように固定ピン10はトラフ2の長手方向の3個所に設けてある。即ち、混練部材6−2と6−4の間及び7−2と7−4の間に夫々設けた固定ピン10−3と、混練部材6−4と6−6の間及び7−4と7−6の間に夫々設けた固定ピン10−5と、混練部材6−6と6−8及び7−6と7−8の間に夫々設けた固定ピン10−7との三組を含んでいる。
【0061】
図2に示す丸囲みの数字1から29で示す各線の間は等ピッチである。各固定ピン10−3,10−5,10−7は隣接する両側の混練部材の軸方向の間を2等分する位置に中心がある。各固定ピン10−3,10−5,10−7は夫々隣接する混練部材との間に隙間を設けてある。この隙間は原料中の最大の固形物が通過し得る大きさとし、それ以上の大きさとしない。これによってロータ負荷の増大を抑え乍、混練部材6−2,7−2、6−4,7−4、6−6,7−6、6−8,7−8に付着肥大する混練物を掻き落す。
【0062】
固定ピン10の長手方向に直角の断面は本例では外形が方形であり、固定ピン10の側面は回転軸4,5に直交する垂直面上にある。ただし、固定ピン10の断面は種々のものを選択し得る。
【0063】
トラフ2は回転軸4,5の回転中心C42,C52(図3、図4、図5参照)を結ぶ線の2等分線Dに対して左右対称である。また、トラフ2の底板2j、側壁2n、斜板2k、斜板2mの面2m1を連ねる図5の断面形状は回転中心C42,C52を結ぶ線の2等分点dを中心として点対称である。
【0064】
これによって送りスクリュー24,25の原料に対する送り力を有効に働かせる。また、第2の混練部材6−8から6−29,7−8から7−29の混練を有効に働かせる。
【0065】
トラフ2には調整ゲート22が設けてある。
【0066】
(調整ゲート)
調整ゲート22は図1、図4に示すようにトラフ2の長手方向を仕切っている上部仕切壁2iに上下位置を調節可能に固定されている。上部仕切壁2iは入口2aの近くで出口2b寄りに設けてある。上部仕切壁2i、調整ゲート22によってトラフ2の長手方向を混合室R1と混練室R2に仕切ってある。
【0067】
上部仕切壁2i、調整ゲート22はトラフ2の長手方向に直角な板面を持っている。調整ゲート22の両側の上下方向の長穴22aを挿通して頭付のねじ26が上部仕切壁2iにねじ戻し可能にねじ込んである。調整ゲート22は把手22cを有する。
【0068】
調整ゲート22の下部は調整ゲート22が図4の下限位置にあるとき斜板2kに接近する角部22dと、同位置にあるときに回転する偏心部4c,5cの偏心トップ4c1,5c1の回転の軌跡に接近する凹形の開口部22eを有する。調整ゲート22の下降限度位置においてその下縁22fとトラフ2の底壁2jとの間は開口部22gとなっている。混合室R1と混練室R2とは開口部22e、開口部22gで連通している。
【0069】
開口部22eは図4に示すように上部が回転中心C42,C52を中心とする半径rの半円形で、この半円形に接するように垂下する縁でもって下方を方形としてある。上記半径rは回転中心C42と偏心トップ4c1、回転中心C52と偏心トップ5c1を結ぶ動径よりもわずかに大きい。
【0070】
調整ゲート22の上下位置はねじ26を弛めて、把手22cを手で持って上下することにより行われる。調整後ねじ26を締め調整ゲート22は仕切壁2iに固定される。
【0071】
混合物は入口2a側から出口2b側へ調整ゲート22の下の開口部22e,22gを潜って移動する。
【0072】
上述のように、調整ゲート22は入口2aの出口2bに近い側の端部に設けられ、トラフ2の断面を制限して入口2aから直接混練物が送りスクリュー24,25上、第2群の混練部材6−1,6−2,6−4,6−6及び6−8から6−29上、及び7−1,7−2,7−4,7−6,及び7−8から7−29上へ向わないようにするものである。調整ゲート22があるため、入口2aから投入された原料は第1群の混練部材としての送りパドル28aから28d、29aから29dで混合されることなく第2群の混練部材へ送られてしまうことが防止される。即ち、調整ゲート22があるため、第1群の混練部材である送りパドル28aから28d、及び29aから29dは原料の混合を必要なだけ行ってから第2群の混練部材へ送ることができるものである。尚:ここで第1群の混練部材により原料が混合されると記載したが原料が乾燥状態である場合は混合されるということである。ここで、混合室R1では通常混合が行われるのであるけれども、原料が浸潤の場合も排除できないので説明は原料混合に用いられる部材も加水した原料の混練に用いる部材も一括して混練部材と名付ける。
【0073】
(ロータ外周の構成)
図2に示すように送りパドル28(28a,28b,28c,28d)と29(29a,29b,29c,29d)、多数の混練部材6と7は第1の回転軸4の偏心部4cと第2の回転軸5の偏心部5cとの軸方向において夫々同一位置に設けられている。また、偏心部4c,5cを中心に一対の送りスクリュー24,25が設けてある。また回転軸4,5の軸方向で隣接する混練部材6,7間には間隙が設けてある。
【0074】
(混合室におけるロータの構成)
入口2aの直下のトラフ2は仕切壁2i、調整ゲート22で仕切られて混合室R1となっている。
【0075】
混合室R1におけるロータ19,21では図4に示すように偏心部4cの偏心中心C41が回転軸4の回転中心C42の直上にあるとき、偏心部5cの偏心中心C51が回転軸5の回転中心C52の直下にあるようにギア16,17は噛合している。このとき図2に示すように、送りパドル28a,29aは偏心中心C41,C51から水平方向の同一方向に向いており偏心中心C41,51は偏心量eの2倍の2・eだけ上下に離れている配置である。上記状態において、送りパドル28a,29aから軸方向に大きく離れて混合物の流れに関し下流側(出口2b寄り)にある送りパドル28c,29cは送りパドル28a,29aとは偏心部4c,5cの中心C41,C51を間にして反対の水平方向に突出している。このとき送りパドル28c,29cは偏心量eの2倍の2・eだけ上下に離れている。
【0076】
ここで送りパドル28a,29a,28c,29cは偏心部4c,5cから半径方向に突出する板状であって原料を強く撹拌できると共に原料を調整ゲート22の開口部22e,22gに向って送ることができるように上記半径方向の線を中心にして傾けてある。
【0077】
送りパドル28a,29aと28c,29cの間及び送りパドル28c,29cの下流側には平板状の送りパドル28b,29bと28d,29dが設けてある。送りパドル28b,29bは夫々偏心部4c,5cの軸方向の同一位置に設けてある。送りパドル28d,29dは夫々偏心部4c,5cの軸方向の同一位置に設けてある。これら送りパドルは夫々偏心部4c,5cの周方向に図に示すように1個所又は図示されないが等配して複数個所に設けてある。送りパドル28bは偏心部4cから直上に向けて突出し、送りパドル29bは偏心部5cから直下に向けて突出している。送りパドル28dは偏心部4cから直下に向けて突出し、送りパドル29dは偏心部5cから直上に向けて突出している。
【0078】
送りパドル28b,29bと28d,29dは板状であって混合室R1内で原料を調整ゲート22の開口部22e側へ向う方向に送るように偏心部4c,5cの半径方向の線を中心にして傾けてある。
【0079】
かかる送りパドル28aから28d、29aから29dは夫々が偏心部4c,5c上のスパイラル面に沿って配置されている。
【0080】
(混練室におけるロータの構成)
トラフ2の混合室R1を除いた出口2b側の空間部分が混練室R2である。図1、図2においてトラフ2の調整ゲート22と端板2g間の空間が混練室R2である。偏心部4c,5cの調整ゲート22の近くには偏心部4c,5c夫々を中心として1ピッチ分のねじ羽根である送りスクリュー24,25が夫々備えられている。送りスクリュー24,25の相対的なねじれ方向は互に逆方向である。偏心部4c,5cの上側が互に近づく方向に回転するように駆動された場合に送りスクリュー24,25は調整ゲート22側から出口2b方向へ原料を送るようにねじれている。
【0081】
具体的には図2に示すロータ19,21において、偏心部4c,5cの軸方向の一定位置である調整ゲート22の近くから水平方向で且つ半径方向に同じ向きに送りスクリュー24,25のねじ羽根が始まり、ロータ19では左ねじれ、ロータ21では右ねじれとなっている。図2で分かるように偏心部4c,5cの対向部においては、送りスクリュー25のねじ羽根間に送りスクリュー24のねじ羽根が位置している。そして、各送りスクリュー24,25の外周の半径の和は回転軸4,5の心間距離よりも大きくなっている。そこで、偏心部4c,5cの対向部において送りスクリュー24,25のねじ羽根は半径方向で互に入り込んでおり軸方向で見ると、送りスクリュー24,25のねじ羽根は重なり部分を有する。
【0082】
送りスクリュー24,25のすぐ下流から混練部材6−1,6−2,6−4,6−6及び6−8から6−29と7−1,7−2,7−4,7−6及び7−8から7−29が軸方向に偏心部4c,5c上に配列されている。混練部材6−2,6−4,6−6,6−8、7−2,7−4,7−6,7−8間の軸方向のピッチは他の混練部材間の軸方向ピッチの2倍である。
【0083】
図3には混練部材6−2,7−2が示されている。このとき偏心部4cの中心C41は回転軸4の回転中心C42の直上にある。また偏心部5cの中心C51は回転軸5の回転中心C52の直下にある。混練部材6−2,7−2は夫々が棒状である。本例では丸棒であり、いわゆるロッドパドルである。他の混練部材6−1,6−4,6−6及び6−8から6−29、7−1,7−4,7−6及び7−8から7−29も混練部材6−2,7−2と同様な形状である。
【0084】
なお、混練部材としては各種のものが採用される。即ち、混練部材は偏心部4c、5cから放射方向に突出しておればよいので棒状に限らず扇状や板状であってもよい。
【0085】
混練部材6−1,6−2,6−4,6−6及び6−8から6−29、7−1,7−2,7−4,7−6及び7−8から7−29の偏心部4c,5cへの取り付けは、これら混練部材を偏心部に取り外し可能に固定してあればよい。例えば、偏心部4c,5cの外周に設けた半径方向のめねじに混練部材をねじ込んでもよい。
【0086】
混練部材6−2,7−2は偏心部4c,5cを3等配して夫々設けられている。そして、夫々偏心部4c,5cの中心C41,C51から半径方向に等しい長さで突出している。
【0087】
偏心部4c,5cの軸方向の同一位置にある各混練部材は偏心部4c,5cを3等配して配設されている。
混練部材6−2,7−2は各個の混練部材を周方向で回転方向の下流側から上流側に向かって符号a,b,cを付し、混練部材6−2a,6−2b,6−2c,7−2a,7−2b,7−2cと表す。
【0088】
このとき、混練部材6−2の1つの混練部材6−2aは真上向きであり、偏心トップ4c1に植設されている。混練部材7−2の1つの混練部材7−2aは真下を向いており、偏心トップ5c1に植設されている。
【0089】
図2において、混練室R2の右から左方へ数えて偶数の位置にある混練部材6−2i,7−2i(i:2…14)(偶数列の混練部材)は偏心部4c,5c夫々の周方向の同方向に混練部材が突出している。混練室R2の右から左方へ数えて奇数の位置にある混練部材6−(2i−1),7−(2i−1)(i:1,5…15)(奇数列の混練部材)は偶数列の混練部材6−2i,7−2i(i:1,5…14)に対して周方向のピッチが2分の1ピッチずれている。
【0090】
本例では混練部材6−1,6−2,6−4,6−6及び6−8から6−29、7−1,7−2,7−4,7−6及び7−8から7−29は夫々偏心部4c,5cを3等配して設けられているので偏心部4c,5cの軸方向で同一位置にある混練部材は周方向では120度ピッチで等配されている。偶数列の混練部材6−2i,7−2i(i:1…14)は夫々軸方向に一列に並んでいる。即ち、偶数列の各混練部材は軸方向から見ると重なる。奇数列の混練部材6−(2i−1),7−(2i−1)(i:1,5…15)は夫々軸方向に一列に並んでいる。即ち、奇数列の各混練部材は軸方向から見ると重なる。偶数列の混練部材と奇数列の混練部材とは周方向で60度の位相差がある。
【0091】
図3でみれば分るように偶数列の混練部材6−2a,7−2aは偏心量eに、偏心部の中心C41,C51から混練部材6−2a,7−2aの先端までの半径Lを加えた動径L+eで回転軸4,5の中心C42,C52を中心として回転する。トラフの斜板2kに対して混練部材6−2a,7−2aは回転する際その先端を接近させて斜板2k位置を通過する。
【0092】
混練部材6−2a,7−2aと偏心部4c,5cの軸方向で同一位置にある混練部材6−2b,6−2c,7−2b,7−2cは動径が√((L−ecos60°)2+(esin60°)2である。この式の近似はL−ecos60°=L−(1/1.732)eである。
【0093】
図3に示すように偏心部4c,5cの半径の大きさをr4,r5とし、回転軸4,5の中心間距離CD=Nとすると、混練部材先端が偏心部に干渉しないためには混練部材6−2a,7−2aの動径L+eの最大値はN−r5+e,N−r4+eとなる(図11参照)。
【0094】
偶数列の混練部材6−2i,7−2i(i:2…14)は上述した偶数列の混練部材の1例の混練部材6−2,7−2について述べた処と同様に混練部材6−2ia,7−2ia(i:2…14)は動径L+e、混練部材6−2ib,6−2ic,7−2ib,7−2ic(i:2…14)は動径がほぼL−(1/1.732)eである。
【0095】
従って、軸方向で同一位置にある添付号aを付した混練部材と添付号b,cを付した混練部材の動径の差はほぼ(1+1/1.732)eである。
【0096】
(全体の作用)
上記構成の作用を説明する。減速機付の電動機3が付勢されると回転軸継手23を介して回転軸4が回転すると共に、回転軸4に固定したギア16を介してギア17を回転し、ギア17を固定した回転軸5が回転し、ロータ19,21は同速度で互に反対方向に回転する。この回転方向は図3、図4、図5に矢印イ、ロで示すようにロータ19,21の周囲の上側が互に近づく方向である。
【0097】
飛灰等の被処理材、セメント等の固化剤を併せて(これらの物質を原料という)入口2aからトラフ2に投入するとトラフ2の端板2fと調整ゲート22間の混合室R1では送りパドル28aから28d、29aから29dによって原料の混合が行われる。その後混合された原料は調整ゲート22の開口部22e,22gを通じて、調整ゲート22の出口2b側の混練室R2に送られる。混練室R2では送られてきた前述の原料を送りスクリュー24,25で混練部材6,7群の上流側へ送り込む。すると送られた原料には加水器18から給送される水が加えられ混練物となり始める。
【0098】
粉体原料に加水器18から水を加えられると粉体原料は大小の団子状の塊になり易い。団子状の塊となった混練物に更に加水されるとその上に粉体原料がつき塊が大きくなる。また、混練部材にまとわり付いた混練物は加水されると粉体原料がつき肥大化して行く。混練部材6−2,6−4,6−6,6−8,7−2,7−4,7−6,7−8は固定掻き取部材である固定ピン10の位置を通過する際に、これら混練部材に付着肥大化した混練物は掻き取られる。又、塊状となってこれら混練部材によって付勢された団子状の塊は固定ピン10の下側に衝突して破砕される。そして、混練部材6−1,7−1より出口側へ向うにつれて混練物は混練される。
【0099】
(混合室での作用)
入口2aからトラフ2へ投入された原料は混合室R1において偏心部4c,5c、送りパドル28aから28d、29aから29dでもって撹拌され原料の飛灰とセメントが混合される。
【0100】
偏心部4c,5cは偏心しているため、この偏心側の軸部が回転中心C42,C52を中心としてふれ回るので偏心側の軸部の周回により原料は排除され混練される。
【0101】
図4に示すように偏心部4c,5cの偏心方向が、偏心部4cでは偏心中心C41が回転軸4の回転中心C42の直上に有るとき、偏心部5cでは偏心中心C51が回転軸5の回転中心C52の真下にある。回転軸4,5が偏心部4c,5cの上側が近づくように互に反対方向に回転する。
【0102】
そこで、偏心部4cが図4の位置から90度左回りに回転し同時に偏心部5cが90度右回りに回転する際、偏心部4c,5cの対向部は偏心部5c側に向って移動し、この対向部に接する原料を偏心部5c側へ押して移動する。このとき、偏心部4cの表面の偏心部5cに対向する面は回転軸4の回転中心C42から遠のくように回転移動する。偏心部5cの表面の偏心部4cに対抗する面は回転軸5の回転中心C52に近い位置に向って後退するように回転して来ている。
【0103】
偏心部5cが図4の位置から90度回転し、それから180度回転する際偏心部5c表面の偏心部4cへの対向部は偏心部4cに向って移動しこの対向部に接する原料を偏心部4c側へ押して移動させる。このとき、偏心部4cの偏心部5cへの対向部表面は回転軸4の回転中心C42に近い位置に向って後退するように回転して来ている。
【0104】
上記によって、偏心部4c,5cは回転の際ふれ回りにより原料を撹拌混合する。そして偏心部4c,5cの対向部では容積がほぼ不変で原料を左右に移動させて撹拌混合を強める。このとき、偏心部4c,5cの対向部間の原料は偏心部4c,5cの周面が下方に向って移動するので下方へ向って付勢される。
【0105】
図11に示すように回転軸4,5の中心間距離CDの大きさをN、偏心部4c,5cの対向部分における偏心部4c,5cに接する垂線V1,V2間の距離をM、偏心部4cの半径をr4、偏心部5cの半径をr5、各偏心部4c,5cの偏心量をeとし、回転軸4,5の回転中心C42,C52をとおる直線を原線OLとして、回転中心C42と偏心中心41を結ぶ動径の原線OLからの回転角をθ1(回転中心C42を原点として左回り)、回転中心52と偏心中心51を結ぶ動径の原線OLからの回転角をθ2(回転中心C52を原点として右回り)とし、回転中心C42と垂線V1との距離をM1、回転中心C52と垂線V2との距離をM2とすると
M1=r4+e・ cos(180°−θ1)
M2=r5−e・ cos(180°−θ2)
となる。
【0106】
θ1=θ2=θでありr4=r5=rとすると
M1+M2=2r
∴M=N−(M1+M2)=N−2r=const.
従って、偏心部4c,5cの対向部間の容積は回転軸4,5の各回転位置においてほぼ一定しており、この対向部の間にある原料はロータ19,21の回転につれて左右に往復する。故に偏心部は原料の撹拌混合の作用を生ずる。この偏心部4c,5cはトラフ2のほぼ全長にわたるので第2の混練室R2においても、同様な作用を呈する。
【0107】
図2に示すように送りパドル28a,29aは偏心部4c,5cの軸方向の同一個所にあり、偏心部4c,5cの周方向の1個所にある。偏心中心C41が回転中心C42の直上に有り、偏心中心C51が回転中心C52の真下にある状態では図2に示すように送りパドル28a,29aは共に偏心部4c,5cの中心から半径方向の同方向への横方向に向いている。
【0108】
同様に送りパドル28c,29cは共に偏心部4c,5cの中心から半径方向の同方向の横方向に向いている。ただし、送りパドル28a,29aと28c,29cの向きは反対方向である。
【0109】
従って、送りパドル28a,29aと28c,29cは回転軸4,5の回転により、原料を混練すると共に、偏心部4c,5cの対向部付近間では互に相手送りパドルの移動の軌跡に回転して原料を混ぜ合わせる。この送りパドル28a,29a,28c,29cは偏心部4c,5cの中心線を中心とするスパイラル面に沿う板状であるので原料の撹拌能力と送り能力があるので原料は混合され乍調整ゲート22の開口部22e,22g側へ送られる。
【0110】
送りパドル28b,29bは図2の位置において偏心部4c,5cの中心に対して真上向きと真下向きとになって偏心部4c,5cの半径方向に突出している。送りパドル28d,29dは図2の位置において偏心部4c,5cの中心に対して真下向きと真上向きとになって偏心部4c,5cの半径方向に突出している(図4参照)。送りパドル28b,29bは送りパドル28a,29aの下流側にある。送りパドル28d,29dは送りパドル28c,29cの下流側にある。送りパドル28b,29b,28d,29dは偏心部4c,5cの中心線を中心とするスパイラル面に沿う板状であるので原料を撹拌すると共に下流側へ向って送る。これによって、原料は調整ゲート22の開口部22e,22g側へ送られる。上記送りパドルで送られた原料は開口部22e,22gを通じて混練室R2へ送りこまれる。
【0111】
(混練室における作用)
調整ゲート22の開口部22e,22gは軸方向から見て混練部材6,7と重なっており、開口部22e,22g以外は調整ゲート22と仕切壁2iでふさがれている。それ故、混合された原料は開口部22e,22gをとおりロータ19,21上へ直接移動することなく、スクリュー24,25が作用する範囲に送られる。
【0112】
調整ゲート22の開口から混練室R2に送られた原料は送りスクリュー24,25によって出口2b側へ向って送られる。送られた原料は加水器18で加水されて混練部材6−1,7−1から混練が開始される。加水器18は混練部材6−2,7−2の後流側へ注水するとしても、散布され混練部材6−1,7−1周辺の原料は加水される。
【0113】
加水器18から給送された水が送りスクリュー24,25で送られた粉体原料に加えられると大きな塊(団子という)になることがある。このときは、送りスクリュー24,25の送り力で送られてくる粉体原料で団子は押し出されようとする。ロータ19,21に固定ピン10がなく、総てが混練部材だとすると、ロータ19,21の上側に来た団子はロータ19,21の上側を下流側へ混練されないで送られてしまうことがある。
【0114】
加水器18から給送された水が送りスクリュー24,25で送られて来た粉体に混合されるときに直ちに均一に混合される訳ではなく、部分的に粘着力の強い混練物となってしまう。そこで混練室R2内でスクリュー24,25の下流に配設された部材総てが混練部材であるとすると、上流側の混練部材には混練物が付着し、固化剤を用いている場合には、混練部材に付着した混練物が固化する。極端には、回転軸4,5の軸方向の上流側の一定位置にある小数の混練部材間に混練物が固化して間を埋めるほどになる。
【0115】
そこで、上述した団子状の混練物は混練室R2の上流側ではロータ19,21の上を下流へ送られ易くなる。
【0116】
粉体原料に加水すると直ちに粉体に一様に加水されるのではないので、加水された原料には粘着力の強い混練物が部分的に生ずると混練部材にまとわりつく。
【0117】
この実施例では、既にのべたように固定ピン10を設けてある。
【0118】
ロータ19,21が図3に示すように矢印イ,ロの方向に回転する。混練部材6−2a,6−2b,6−2c、7−2a,7−2b,7−2cが底壁2j側から斜板2k、側壁2nに沿って回転移動するとき、これらの混練部材6−2a,6−2b,6−2c、7−2a,7−2b,7−2cに加水されて粘度の大きくなった混練物が付着して団子状となったとする。そしてこれら混練部材が固定ピン10−3の軸方向の側方を通過しようとする際、混練部材6−2a,6−2b,6−2c、7−2a,7−2b,7−2cに付着している混練物の大部分は固定ピン10−3により掻き取られる。
【0119】
混混練部材6−2a,6−2b,6−2c、7−2a,7−2b,7−2cと固定ピン10−3間には軸方向の隙間があるので、固定ピン10−3に掻き取られた後に混練部材6−2a,6−2b,6−2c、7−2a,7−2b,7−2cに付着した混練物は夫々図3においてロータ19,21の上側で図示矢印イ,ロ方向に回転移動した混練部材6−2a,6−2b,6−2cと7−2a,7−2b,7−2cがこれらの対向部で互に混練し合う(後述の混練部材6−10,7−10の作用参照)。
【0120】
混練部材6−4,6−6、7−4,7−6がトラフ2の底壁2j、斜板2k、側壁2nに沿って上昇するとき、これらの混練部材に付着して肥大化した混練物はこれらの混練部材の両側で固定ピン10−3,10−5,10−7により掻き取られる。図3においてロータ19,21の上側で図示矢印イ、ロ方向に回転移動した混練部材6−4と7−4、6−6と7−6がこれらの対向部で互に混練し合う。
【0121】
混練部材6−8、7−8では固定ピン10−7により、混練部材6−8、7−8の片側の付着混練物が掻き取られる。
【0122】
従って、固定ピン10による上記作用は混練部材6−2,7−2,6−8,7−8に対する作用よりも混練部材6−4,7−4,6−6,6−7に対する作用の方が大きい。
【0123】
また、団子状になった大きな塊状の混練物であって混練部材とは別個独立して移動するものは、混練部材6−2,6−4,6−6,6−8,7−2,7−4,7−6,7−8に回転移動に随伴して底壁2j中央部から斜板2k側壁2nに沿って上昇し、固定ピン10に衝突して破砕される。
【0124】
混練部材6−2,6−4,6−6,6−8,7−2,7−4,7−6,7−8と固定ピン10とのロータ19,21の軸方向における隙間は原料中に含まれる最大の固形物の粒形程度としてある。例えば10ミリメートルである。
【0125】
図5から図10は偶数列の混練部材6−2から6−28、7−2から7−28のうちいずれか1組例えば混練部材6−10,7−10を図1、図2の左方より右方へ向って見る側面図である。図5から図10においてロータ19,21は互に反対方向に回転している。回転方向イ、ロはロータ19,21の上側が互に近寄る方向である。
【0126】
図5の状態では回転中心C42の直上に偏心中心C41がある。また、回転中心C52の真下に偏心中心C51がある。混練部材6−10,7−10は偏心部4c,5cの軸方向で同一位置にあって、夫々偏心部4c,5cの中心を中心として周方向を三等配した位置で、半径方向に混練部材6−10a,6−10b,6−10c,7−10a,7−10b,7−10cを有する。各混練部材6−10a,6−10b,6−10c,7−10a,7−10b,7−10cは偏心中心C41,C51から半径方向に等しい長さで突出している。
【0127】
ここで偶数列の混練部材6−8aから6−28a、6−8bから6−28b、6−8cから6−28cは軸方向に夫々短い間隔の同一ピッチで並列している。以下、では混練部材6−10,7−10の符号を上記偶数列の混練部材と見立てて説明する。混練部材6−10a,7−10aは回転中心C42,C52からの突出量が混練部材6−10b,7−10b,6−10c,7−10cの同突出量よりも大である。回転中心C42,C52からの混練部材6−10b,7−10b,6−10c,7−10cの突出量は等しい。
【0128】
図5の位置までロータ19が回転する際には、混練部材6−10aは回転中心C42からの突出量が大きいのでトラフ2の右側壁2n面までの混練物mを持ち上げるように移動し乍軸方向に隣接する偶数列の混練部材間を一部の混練物が遅れるようについてくるので混練物の表面m1が混練部材6−10aの先端の軌跡にほぼ沿って形成される。
【0129】
図5から図6に示すようにロータ19が45度回転すると混練部材6−10aにより混練物の表面m1は表面m2のように表面の形状をほぼ同様にして拡大する。かかる際に、表面m2下のトラフ2の右側壁2n側の混練物の占める容積は拡大するが送りスクリュー24,25により次々と原料が送り込まれて加水されていると共に混練部材6−10b,6−10cは混練部材6−10aの去った後への混練物の移動が行われる方向に回転して、混練物に混練を加え乍、混練物を図5においてトラフ2の右側の側壁2n面側へ移動させる。
【0130】
図5において混練部材7−10b,7−10cは回転中心C52からの突出量が混練部材7−10aの突出量よりは小さい。そこで、混練部材7−10bの先端の軌跡は低い位置をとおるので混練物の表面m3の如くに表面m1に比して低い表面となる。
【0131】
図5から図6に示すようにロータ21が回転するときに混練部材7−10bは偏心部4c,5cの対向部を通過する際に下方へ向って混練物を送り込み偏心部4c,5cの対向部間には凹部m4が生ずる。ただし、偏心部4c,5cの対向部間の混練物は図5から図6に示すように左方へ移動する。そこで偏心部4c,5cの対向部の間の混練物は既に混合室における原料に対する偏心部の作用のように左の方へ寄せ乍混練される。
【0132】
図5から図6において混練部材7−10cは混練物を混練し乍回転中心C52を中心に右回りに回転移動し、上方への変位が大きいので図5の表面m3を上に突き破るようになる。混練部材7−10aの先端は図5、図6においてトラフ2の底壁2jから左側の斜板2kに近い処を移動し、トラフ2の底壁2j上の混練物を左側の斜板2k上方に移動させるように付勢する。
【0133】
図6から図7に示すように混練部材6−10bは混練物を上方へ送り乍表面m2下の混練物を左方向へ送る。図6の状態では混練物表面m2は自重で降下してくるので表面m2の形状はやや高さが低くなるように変化する。混練部材6−10bの先端が表面m2に達すると、回転中心C42からの突出量の小さい混練部材6−10bは表面m2を表面m5とm6に分ける。混練部材6−10bの突出量は小さい故、表面m6下の混練物を持ち上げる能力は混練部材6−10aよりも小さいので表面m6は混練部材6−10bとトラフ2の右側の側壁2n側で落ち込んだ状態である。このとき混練部材6−10cはトラフ2の底壁2j上方を左から右へ移動して混練物を混練する。
【0134】
図6から図7に示すように混練部材7−10aは回転して回転中心C42,C52偏心中心C41,C51を結ぶ線の延長線上に来る。このとき、混練部材7−10aの回転中心C52からの突出量は大きく、トラフ2の左側の斜板2k、側壁2nに近い処を先端が通過するので図6の表面m7から図7の表面m8に示すように混練物の表面をほぼ維持する。
【0135】
図6から図7に示すように混練部材7−10bは偏心部4c,5cの対向部からトラフ2の底壁2jに向く位置まで回転中心C52を中心にして回転して混練物を混練する。混練部材7−10cは右回りに回転して移動し、また、混練部材6−10aが偏心部4c,5cの対向部へ回り込み表面m5を形成し、且つ、混練部材7−10cは進行方向前面の混練物を図6の凹部m4へ移動させるので凹部m4を図7の凹部m9のようにせばめる。
【0136】
図7から図8に示すように混練部材6−10aは下方へ回転して移動することによりその移動の軌跡の空間に向って図7の表面m5下の混練物は自重で下方へ移動して表面m5は表面m10のように下降変化する。そして混練部材6−10bは図8に示すように混練物表面m10,m11から突出する。混練部材6−10cは回転中心C42から突出量が小さく、右側の斜板2k、側壁2nより先端が大きく離れているので混練物を混練し混練物を上方へ移動させる。そこで表面m6から表面m11に示すように、混練物の表面を上昇させる。
【0137】
図7から図8に示すように混練部材7−10aは回転中心C52からの突出量は大きく、偏心部5cは偏心中心C51を回転中心C52の左上に移動させるので表面m8は表面m12のように上昇する。混練部材7−10bはトラフ2の底壁2j側から左側の斜板2k側へ回転して移動し混練物を混練すると共に押し上げる。そこで図8に示すように混練部材7−10aの移動方向の後流側の混練物の表面は押し上げられて表面m13が形成される。混練部材7−10cは表面m5から変化した表面m10に達し、図7の凹部m9は消滅する。表面m10,m12間は新たな凹部m14となる。
【0138】
図8から図9に示すように混練部材6−10aは偏心部4c,5cの対向部を過ぎた後はトラフ2の底壁2jに接近し乍底壁2j上の混練物を右方へ混練し乍移動させる。混練部材6−10bは上方より偏心部4c,5cの対向部へ回り込み図8、図9に示すように混練物の表面m15の下へもぐり込む。このとき、表面m11下の空間は混練部材6−10bの移動の軌跡により拡大するので混練物は表面m11から表面m15のように低下する。混練部材6−10cは右側の側壁2n側の混練物を混練し乍上方へ移動する。そして、混練部材6−10cは表面m11からm15へ低下してくる混練物から表面に先端を現し、表面m15の一部を表面m16に分ける。
【0139】
図8から図9に示すように混練部材7−10aは回転中心C52からの突出量が大きいのでトラフ2の左側の側壁2n面までの混練物を持ち上げるように移動し乍、軸方向に隣接する偶数列の混練部材間を一部の混練物が遅れてついてくるので混練物の表面m17が混練部材7−10aの先端の軌跡にほぼ沿って形成される。混練部材7−10bは左側の斜板2k付近の混練物を混練し乍表面m17下の混練物が自重で低下しようとするのに対向して混練物を付勢する。混練部材7−10cは偏心部4c,5cの対向部を下方へ移動して混練部材6−10aが混練した混練物を混ぜ合わせる。
【0140】
図9から図10に示すようにロータ21が45度回転すると混練部材7−10aにより混練物の表面m17は表面m18のように表面の形状をほぼ同様にして拡大する。かかる際に、表面m18下のトラフ2の左側壁2n側の混練物の占める容積は拡大するが送りスクリュー24,25により次々と原料が送り込まれて加水されていると共に混練部材7−10b,7−10cは混練部材7−10aの去った後への混練物の移動が行われる方向に回転して、混練物に混練を加え乍、混練物を図9においてトラフ2の左側の側壁2n面側へ移動させる。
【0141】
図9において混練部材6−10b,6−10cは回転中心C42からの突出量が混練部材6−10aの突出量よりは小さい。そこで、混練部材7−10bの先端の軌跡は低い位置をとおるので混練物の表面m15の如くになっている。
【0142】
図9から図10に示すようにロータ19が回転するときに混練部材6−10bは偏心部4c,5cの対向部を通過する際に下方へ向って混練物を送り込み偏心部4c,5cの対向部間には凹部m19が生ずる。ただし、偏心部4c,5cの対向部間の混練物は図9から図10において右方へ移動する。そこで偏心部4c,5cの対向部の間の混練物は既に混合室における原料と同様に偏心部4c,5cの対向部の右方向への移動により右の方へ寄せ乍混練される。
【0143】
図9から図10において混練部材6−10cは混練物を混練し乍回転中心C42を中心に左回りに回転移動し、上方への変位が大きいので図9における混練物の表面m15を上に突き破るようになる。これによって表面m21,m22が生ずる。混練部材6−10aの先端は図9、図10においてトラフ2の底壁2jから右側の斜板2kに近い処を移動し、トラフ2の底壁2j上の混練物を右側の斜板2k上方に移動させるように付勢する。
【0144】
図5から図6と図9から図10を比較しますと図は左右対称となっている。従って、作用も図5から図6における混練部材6又は7についての説明は図9から図10における混練部材7又は6の説明と同様である。
【0145】
以下、同様なので実施例の以下の説明を省略する。
【0146】
偶数列の混練部材6−2i(i:1…14)、7−2i(i:1…14)と奇数列の混練部材6−(2i−1)(i:1,5…15)、7−(2i−1)(i:1,5…15)は周方向で60度位相が異なる。そこで作用を上述した混練部材6−2i(i:2…14)、7−2i(i:1…14)の説明は60度の位相差の状態で奇数列の混練部材6−(2i−1)(i:1,5…15)、7−(2i−1)(i:1,5…15)の作用となる。
【0147】
これら偶数列、奇数列の混練部材は同時に混練しているので、軸方向で隣り合う偶数列の各混練部材6−2i(i:1…14)、7−2i(i:1…14)間の混練物は偶数列の混練部材6−2i(i:1…14)、7−2i(i:1…14)で混練を充分受けない、また混練物をロータ19,21の周方向へ充分移動させないとしても、奇数列の混練部材6−(2i−1)(i:1,5…15)、7−(2i−1)(i:1,5…15)と併せて充分混練されると共に混練部材により一部攪拌してロータ19,21の周方向に移動させる。同様に奇数列の混練部材で混練を充分に受けなかった混練物は偶数列の混練部材で混練されまたロータ19,21の周方向に移動させる。
【0148】
混練部材6−16から6−29,7−16から7−29はこちらのうち偶数列の混練部材6−2i(i:8…14)、7−2i(i:8…14)と奇数列の混練部材6−(2i−1)(i:9…15)、7−(2i−1)(i:9…15)は偏心部4c,5cの対向部で軸方向の間隔が接近しているので奇数列と偶数列の混練部材は偏心部4c,5cの対向部で同方向(下方)に移動し乍、すれ違う。これにより、出口2bに位置する各混練部材に付着した混練物は互に掻き落される。
【0149】
従って、混練部材6−16から6−29,7−16から7−29間においては、各、混練部材から離れた混練物は出口2bを通じて排出される。
【0150】
上記作用をまとめると次の如くである。
【0151】
ロータ19,21は周囲の上側が互に近寄る方向に回転している。ロータ19,21の回転中心C41,C51から見てトラフ2の側壁2nの斜め上方から固定掻き取部材である固定ピン10が混練部材間に進入しているので混練部材にまとわり付く混練物の肥大化を防止できる。又、塊状混練物を破砕できる。又、固定掻き取部材の根本側は混練物が付着するがトラフの開口部側から直接目視出来、且つ直接清掃作業が容易である。
【0152】
加水器付近に小数の固定掻き取部材を設けたことにより、粉体原料に加水した直後の塊状になり易く、また混練部材に付着し易い粘度となる混練物の混練部材への付着、塊状化を防止できる。
【0153】
ロータ19,21は互いに反対方向に回転している。2本の偏心部は回転軸の回転中心に対し常に左右同方向に同量の移動する変位成分を有する。回転軸の回転中心に対して常に互いに反対方向に上下方向への同量の移動する変位成分を有する。
【0154】
それ故、ロータ19,21回りにある混練物は偏心部の作用で上下左右に振れて混ざり合うので混練部材に巻き込まれやすくなる。
【0155】
混練物は偏心部の対向部で左右方向に揺動する付勢力を受けてロータ19の混練部材とロータ21の混練部材で下へ送られるのでロータ19,21の対向部へ向って巻き込まれ易くなる。即ち、偏心部の対向部では水平方向で軸直角方向に混練物をゆさぶり乍、下方へ移動させる。そして、ロータ19,21回りの混練物は偏心部の作用により上下左右に振れるようにして且つ混練部材で混練作用を受ける。
【0156】
2本の回転軸を互いに同速度で反対方向に回転するものとし、2本の回転軸の偏心方向を回転軸の回転中心をとおる直線上において回転軸の回転中心から見て同じ向きとしたことにより、混練物に対する一方の回転軸と他方の回転軸に加わる偏荷重を小さくできる。従って、ギヤや動力の負荷が軽減される。
【0157】
上記において寸法関係の一例をのべると図12に示すとおりである。図12はロータの回転中心と固定掻き取部材の中心線10c(図3参照)及び混練部材の中心線を含む平面で固定掻き取部材と混練部材の寸法関係を示している。
【0158】
混練部材6−2i(i:1…14),6−(2i−1)(i:1,5…15)は何れも同直径で直径daは20ミリメートル、固定ピン10のロータ軸方向での幅wは30ミリメートルである。本例では固定ピン10は角棒又は丸棒であるので上記幅は一辺又は直径30ミリメートルである。混練部材6−2と6−4,6−4と6−6,6−6と6−8間及び混練部材7−2と7−4,7−4と7−6,7−6と7−8間の夫々のピッチPは70ミリメートルである。これらの混練部材間に固定ピン10が入りこんでいる入り込み量δは、偏心部回転軸4,5の回転位置により異なる。本例では添符号b,cのついた混練部材例えば、混練部材6−2b,6−2cに対してδ=20ミリメートルとなっている。
【0159】
〔他の偏心部の実施例〕
図11において、今、偏心中心C51を仮の偏心中心51´とすると回転中心C42とC52を結ぶ線CDLの2等分線Dに対して常に左右対称な位置に偏心部4c,5cの偏心中心があることになる。そこで、偏心部4c,5c間の対向部間の距離MmaxとMminは線CDLの長さをNとするとMmax=N+2e−(r4+r5)とMmin=N−2e−(r4+r5)となり、偏心部の対向部間の距離の変化量は4eとなる。
【0160】
このようにすると、偏心部4c,5c間の対向部には上から下へ混練物を巻き込んでくるので、偏心部の対向部間の距離が縮小する過程においては混練物は両偏心部で加圧され両回転軸の軸間距離を拡げようとする力が発生する。一方偏心部の対向部間の距離が拡大する過程においては両偏心部の対向部は混練物に力を加えることがない。上述の2等分線に対して対称な位置に偏心部4c,5cの偏心中心があるようにすると、ロータ19,21の回転中の回転力の変化が大きくなるので、相当する回転力の電動機3が要求されることになる。
【0161】
また、ギア16,17、軸受、回転軸継手等も単に最大回転力に耐えるだけでなく、荷重変動に対する寿命も考慮しなければならなくなる。
【0162】
しかし乍、最初の実施例のように一方の回転軸の偏心部の偏心中心を一方の回転軸の回転中心の直上へ偏心させ、他方の回転軸の偏心部の偏心中心を他方の回転軸の直下へ偏心させた場合、また、2本の回転軸の回転中心を結ぶ線の2等分線に対して左右対称の位置に夫々の回転軸の偏心部の偏心中心を置いた場合、更には上記とは異なる位置に偏心中心を置いたとしても、夫々の偏心部の上側が互に近づく方向に回転移動するように2つの回転軸を互に反対方向に回転することにより、混練物が片側のトラフ側壁側のみに片寄り堆積したりすることはない。
【0163】
2本の回転軸の回転中心を結ぶ線の2等分線に対して左右対称に夫々の回転軸の偏心部の偏心中心を配設した場合は、2本の回転軸が回転する際には、1回転毎に夫々の偏心部の対向部間の距離が変化するのでこの対向部間では対向部が大きくなる過程では対向部間の混練物は下方へ移動すると共に、対向部上方の左右の混練物はロータの周面が対向部へ回り込むと共に対向部上方の混練物は降下する。そして、対向部が小さくなる過程では対向部間の混練物は、偏心部で押され乍対向部における偏心部の周面の移動方向の下方へ移動して混練を受ける。
【0164】
また、偏心中心は上記の他の実施例のように2等分線Dに対して対称な位置を選択するか又は最初の実施例のように2等分線Dに対して対称な位置に一方の偏心部の偏心中心を置くと共に他方の偏心部の仮の偏心中心を置いて仮の偏心中心に対して180度位相の異なる偏心中心を他の偏心部の実の偏心中心を選択する、のほかにこれらとは異なる位置に各偏心部の偏心中心を置くことも可能である。
【0165】
(固定掻き取部材の他の実施例)
図13は混練機のロータ軸方向の一個所である加水器18の位置における横断面図である。混練機は図1、図2に示す混練機と同様である。
【0166】
図13は前述の実施例において、トラフ2の底壁2jに固定掻き取部材である固定ピン10A(10A−3,10A−5,10A−7:ハイホンの次の数字は図2において丸囲みした数字を示し、ロータ軸方向における位置を表わす)を設けたものである。この固定ピン10Aは円筒形のピン部10aが底壁2jの丸穴2j1を挿通して回転中心C42,C52に向って夫々直立している。ピン部10aの先端は偏心トップ4c1,5c1の軌跡に近い位置にある。ピン部10aの根本に溶接により一体に設けられ底壁2j外面に当接させた取付フランジ10bを挿通するボルト31を底壁2jのめねじにねじ込み固定ピン10Aはトラフ2に固定されている。
【0167】
この実施例によれば、ロータ19,21が回転する際に、混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)が固定ピン10A(10A−3,10A−5,10A−7)の側部をとおりぬける際に、これら混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)に付着して肥大化した混練物は固定ピン10Aにより掻き取られる。更に、これら混練部材が固定ピン10Aの傍らを通過した後に、これら混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)にまとわりついたり、又は斜板2k、側壁2n付近で発生した混練物の塊状であってこれら混練部材6−2i,7−2i(i:1,2,3,4)により上方へ移動させられる混練物は、トラフ2の側壁2nから斜め下方に回転軸4,5に向って突出した固定ピン10(10−3,10−5,10−7:ハイホンの次の数字は図2において丸囲みした数字を示し、ロータ軸方向における位置を表わす)に上方への移動を阻止され、混練部材6−2i,7−2i,(i:1,2,3,4)にまとわりついた混練物は掻き取られる。そして、塊状となった混練物は固定ピン10に衝突して、又は固定ピン10−3と10−5の間、10−5と10−7の間をとおりぬける際に通過を制限されて破砕される。
【0168】
なお、これら作用は送りスクリュー24,25による推力でもって全体としてはロータ軸方向に送られる混練物のロータ軸方向における一面の作用であり、上記作用は混練物がロータ軸方向に送られ乍行われる。
【0169】
この実施例によれば、固定掻き取部材を設置してあるよりも下流側へ大塊状の混練物が移動してしまう率が小さくなる。また、混練部材にまとわりつく混練物をこまめに取り除くので取り除かれた混練物は小さく大きな塊状となり難くなる。
【0170】
なお、底壁2j側にのみ、固定ピン10Aを設けてもよい。
【0171】
図14は一方の端部に原料の入口を有し、他方の端部に原料を混練した混練物の出口を有するトラフ2中に電動機で矢印ハ、ニに示すように同方向に同回転速度で平行する2本の横軸の第1、第2の回転軸4,5にこれらの軸方向において多数の混練部材6,7(図示断面においては6d,6e,7d,7e)を有する混練機の軸方向の加水器18付近の長手方向に直角な断面図である。
【0172】
この実施例は偏心部4c,5cの位相が最初にのべた実施例と異なっている。
【0173】
第1の回転軸4と第2の回転軸5の各偏心部4c,5cは偏心部の中心C41,C51が第1、第2の回転軸4,5の回転中心C42,C52を中心とする回転方向に関して同位相となっている。
【0174】
混練部材6,7は第1の回転軸4の偏心部4cと第2の回転軸5の偏心部5cの軸方向においてほぼ同一の位置に設けられている。各回転軸4,5の偏心部4c,5cの軸方向から見て該偏心部4c,5cの直径をわたる両側に突出し、軸方向においてほぼ同一位置にある第1の回転軸4の偏心部4cに設けられた第1の混練部材6d,6eの夫々と第2の回転軸5の偏心部5cに設けられた第2の混練部材7d,7eは偏心部4c,5cの周方向において90度位相を異にしている。第1の混練部材6d,6eの第1の回転軸4の偏心部4cの中心C41を中心とする半径方向の長さと第2の混練部材7d,7eの第2の回転軸5の偏心部5cの中心C51を中心とする半径方向の長さはその長さの和が第1、第2の回転軸4,5のの軸間距離CDよりも大で、回転中第1、第2の混練部材6d,6e,7d,7eが互に干渉しない長さで且つ第1の混練部材6d,6eが第2の回転軸5の偏心部5cと干渉しない長さ、及び第2の混練部材7d,7eが第1の回転軸4の偏心部4cと干渉しない長さを有する。
【0175】
ロータ軸方向における混練部材6d,6e,7d,7eの先端は密閉したトラフ中に設けられた内周に接触すると共に外周が互いに接触又は接近して回転する木の葉パドルの外周の形状と同様な軌跡を画く(特開平11−104477号公報、特開2006−75807号公報参照)。
【0176】
この実施例では、トラフ2の左側壁2nに固定した固定ピン10(10−3,10−5,10−7)を回転軸5の左側の側壁2nの上方から回転軸5に向って突出させてある。固定ピン10は最初の実施例と同様に加水器18付近でロータ軸方向において隣接する混練部材間に進入している。このため、加水器18付近の固定ピン10が進入している両側の混練部材間の軸方向ピッチは、固定ピン10の進入しない隣接する混練部材間のピッチの2倍としてある点は最初の実施例と同様である。
【0177】
図14における固定ピン10とロータ軸方向に関し同位置に固定ピン10Aが設けられている。固定ピン10Aは回転軸4の回転中心C42に向って直立している。偏心部4cと固定ピン10Aの関係位置は第2の実施例と同様である。
【0178】
ロータ19,21が矢印ニハのように同方向に回転する際、混練部材6d,6eの移動の向きは偏心部4c,5cの対向部を通過する際は上向きであり、混練部材7d,7eの移動の向きは偏心部4c,5cの対向部を通過する際は下向きであり、混練物は偏心部4c,5cの対向部では混練部材6d,6eと7d,7eで交互に混ぜ合わせられる。
【0179】
混練部材7d又は7eが底壁2jから左側の斜板2k、該斜板2kから左側の側壁2nにかけて移動する際、加水器18からの加水により、混練物は大きな塊になったり、混練部材7d,7eにまとわりついて肥大化することがある。混練部材7d,7eが固定ピン10の傍を通過する際、混練部材7d,7eに付着している混練物は掻き取られる。また、混練部材7d,7eにより、固定ピン10の位置へ送られた混練物の塊は固定ピン10に衝突して破砕される。
【0180】
混練部材6d,6eが偏心部4cの上側から右側の側壁2n、右側の斜板2kに沿って移動する際、加水器18からの加水により混練物は大きな塊になったり、混練部材6d,6eにまとわりついて肥大化することがある。混練部材6d,6eが固定ピン10Aの傍を通過する際、混練部材6d,6eに付着している混練物は掻き取られる。また、混練部材6d,6eにより、及び自らの重力により固定ピン10Aの位置へ送られた混練物の塊は固定ピン10Aに衝突して破砕される。
【0181】
固定ピン10,10Aがない状態を考えると、混練物は回転軸4,5の上側では図14において右方へ向い、右側の側壁2n、斜板2kに沿って下り、回転軸4,5の下側では図14において底壁2j上を左方へ向い、左側の斜板2k、側壁2nに沿って上昇する傾向となる。もちろん送りスクリュー24,25の推力があるのでかかる混練物はロータ軸方向に関し同一位置を通過する訳ではないけれども、粉体状態のままの原料が存在する加水器付近では団子状の塊ができると、それに粉体原料がまとわりついて拡径する。拡径した団子状の塊に加水される。それに粉体原料がまとわりつくということが生じる。
【0182】
また、加水器付近には加水が充分でない粉体原料が存在しているので固定掻き取部材が備えられていないとすると、混練部材に付着した混練物に粉体原料がまとわり付き肥大化する。混練部材上で肥大化した混練物に加水され、混練部材が粉体原料中を移動すると、更に、粉体原料が混練部材に付着している混練にまとわりついて更に肥大化するという現象が生ずる恐れがある。
【0183】
上述した混練物の塊は一部が混練部材に巻き込まれることなく混練物上に出て混練物上を下流側へ移動してしまうが、固定掻き取部材を設けることにより防止できる。
【0184】
図14において混練部材6,7が各偏心部4c,5cの中心を中心として同じねじれ方向にねじれた二重のスパイラル面上で、偏心部4c,5cの半径方向に直立しているとする。この場合二重のスパイラル面のリードの差を図12に示すピッチPにするとし、混練部材7dは固定ピン10により軸方向の片側に付着した混練物が掻き取られ、混練部材7eは固定ピン10により軸方向の他の片側に付着した混練物を掻き取られる。同様に混練部材6d,6eは固定ピン10Aにより軸方向の互に反対側に付着した混練物が掻き取られる。
【0185】
従って、混練部材が各偏心部の中心を中心として同じねじれた方向にねじれた二重のスパイラル面上にある混練機においても固定掻き取部材を設けることは有効である。
【0186】
実施例はロータの回転軸に偏心部を有する混練機について述べたが偏心部を有しない回転軸を有するロータについても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】混練機の縦断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】図1のC−C断面図である。
【図5】混練機の作用を示す横断面図である。
【図6】混練機の作用を示す横断面図である。
【図7】混練機の作用を示す横断面図である。
【図8】混練機の作用を示す横断面図である。
【図9】混練機の作用を示す横断面図である。
【図10】混練機の作用を示す横断面図である。
【図11】ロータの偏心部を説明するための線図である。
【図12】固定ピンと混練部材の関係を示す平面図である。
【図13】他の実施例を示す横断面図である。
【図14】更に他の実施例を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0188】
1…混練機
2…トラフ 2a…入口 2b…出口 2c…上部開口部 2d…トラフ本体 2e…トラフ蓋 2f,2g…端板 2h…スタンド 2i…仕切壁 2j…底壁 2k,2m…斜板 2m1…斜板部 2m2…斜板本体 2m3…ベース板 2n…側壁 2o…アングル
3…電動機 3a…減速機
4…回転軸 4a,4b…ジャーナル部 4c…偏心部 4c1…偏心トップ
5…回転軸 5a,5b…ジャーナル部 5c…偏心部 5c1…偏心トップ
6,6−1,6−2,6−4,6−6,6−8から6−29…混練部材
7,7−1,7−2,7−4,7−6,7−8から7−29…混練部材
8…ボルト 8a…ナット
9…軸受ユニット
10,10A,10−3,10−5,10−7…固定掻き取部材
11…軸受ユニット
12…軸封部材
13…ベッド
14,15…軸受装置
16,17…ギア
18…加水機 18a…ノズル
19,21…ロータ
22…調整ゲート 22a…長穴 22c…把手 22d…角部 22e…凹形開口部
22f…下縁 22g…開口部
23…回転軸継手
24,25…送りスクリュー
26…ねじ
27…通しボルトナット
28,28a,28b,28c,28d…送りパドル
29,29a,29b,29c,29d…送りパドル
31…ボルト
32…軸封部材
C41,C51…偏心中心 C42,C52…回転中心 C51´…仮の偏心中心 C41L…中心線 CD…中心間距離 CDL…線
D…2等分線
L…半径
M…垂線間距離
N…中心間距離の大きさ
R1…混合室 R2…混練室
V1,V2…垂線
e,e4,e5…偏心量
r…半径 r4,r5…偏心部半径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に原料の入口を有し、他方の端部に原料を混練した混練物の出口を有するトラフ中に電動機で駆動される平行する2本の横軸の第1、第2の回転軸にこれらの回転軸の軸方向において多数の混練部材を備えたロータを有する混練機において、
ロータの軸方向においてトラフを仕切って設けられた被処理物と原料の混合を行う混合室及び混合された原料に加水して混練する混練室と、
混練室へ加水する加水器と、
混練室中において第1、第2の回転軸に軸方向に配列して固定したロッド状の混練部材と、
加水器で加水される付近において夫々トラフに固定され第1、第2の回転軸に向って突出し回転軸の軸方向で見て回転する隣接する混練部材に重なり且つ回転軸の軸方向で近接した固定掻き取部材と、
を有することを特徴とする混練機。
【請求項2】
回転軸の軸方向の複数の隣接する混練部材の夫々の間に進入する固定掻き取部材を有することを特徴とする請求項1に記載の混練機。
【請求項3】
トラフの側壁に沿って設けられ回転軸の上側に回転移動して来た混練部材がトラフ側壁から遠ざかる方向に移動するロータを有し、前記側壁側から斜め下方に前記回転軸に向って突出した固定掻き取部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の混練機。
【請求項4】
第1の回転軸と第2の回転軸の回転方向は各回転軸の上側の混練部材が互に近づく方向の回転方向であることを特徴とする請求項3に記載の混練機。
【請求項5】
固定掻き取部材はピン状である請求項1から4の何れか1つに記載の混練機。
【請求項6】
固定掻き取部材と隣り合う混練部材間に軸方向に間隙を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1つに記載の混練機。
【請求項7】
トラフの内壁面は回転軸の回転中心を結ぶ線の2等分点を中心とする点対称な壁面を有することを特徴とする請求項1から6の何れか1つに記載の混練機。
【請求項1】
一方の端部に原料の入口を有し、他方の端部に原料を混練した混練物の出口を有するトラフ中に電動機で駆動される平行する2本の横軸の第1、第2の回転軸にこれらの回転軸の軸方向において多数の混練部材を備えたロータを有する混練機において、
ロータの軸方向においてトラフを仕切って設けられた被処理物と原料の混合を行う混合室及び混合された原料に加水して混練する混練室と、
混練室へ加水する加水器と、
混練室中において第1、第2の回転軸に軸方向に配列して固定したロッド状の混練部材と、
加水器で加水される付近において夫々トラフに固定され第1、第2の回転軸に向って突出し回転軸の軸方向で見て回転する隣接する混練部材に重なり且つ回転軸の軸方向で近接した固定掻き取部材と、
を有することを特徴とする混練機。
【請求項2】
回転軸の軸方向の複数の隣接する混練部材の夫々の間に進入する固定掻き取部材を有することを特徴とする請求項1に記載の混練機。
【請求項3】
トラフの側壁に沿って設けられ回転軸の上側に回転移動して来た混練部材がトラフ側壁から遠ざかる方向に移動するロータを有し、前記側壁側から斜め下方に前記回転軸に向って突出した固定掻き取部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の混練機。
【請求項4】
第1の回転軸と第2の回転軸の回転方向は各回転軸の上側の混練部材が互に近づく方向の回転方向であることを特徴とする請求項3に記載の混練機。
【請求項5】
固定掻き取部材はピン状である請求項1から4の何れか1つに記載の混練機。
【請求項6】
固定掻き取部材と隣り合う混練部材間に軸方向に間隙を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1つに記載の混練機。
【請求項7】
トラフの内壁面は回転軸の回転中心を結ぶ線の2等分点を中心とする点対称な壁面を有することを特徴とする請求項1から6の何れか1つに記載の混練機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−219962(P2009−219962A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65121(P2008−65121)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]