説明

混練装置

【課題】混練装置において、混練の効率を向上し、短時間で分散サイズが小さくすることができるようにする。
【解決手段】回転可能に設けられたスクリュー部3と、スクリュー部3の先端および側面を囲繞するように設けられたシリンダ2と、スクリュー部3の先端および側面の間を貫通させるようにシリンダ2の内部に設けられた軸方向孔3f、径方向孔3eとを有し、スクリュー部3の回転によって、スクリュー部3とシリンダ2との間に形成された流路P、Pと軸方向孔3f、径方向孔3eとに被混練物Mを循環させて混練を行う混練装置1であって、スクリュー部3の先端近傍の流路Pで、スクリュー部本体先端面3dに凸部10が設けられた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被混練物を装置内で循環させて混練を行う混練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2種以上の樹脂の溶融混練、もしくは樹脂と粉末との溶融混練において、分散サイズがナノレベルとなるような高分散を達成するために、内部循環型スクリューを有する混練装置が用いられている。
このような混練装置として、例えば、特許文献1には、スクリューによって高分子ブレンド試料を溶融状態で混練する際のスクリュー回転数を50rpm〜3000rpmの範囲で任意に設定可能であり、スクリューを内部帰還型スクリューの採用により、混練の度合いを任意に制御可能にするとともに、混練の度合いを、押し出し先端部とスクリューとのギャップ、ならびに内部帰還型スクリューの空洞部内径により任意に設定可能にするようにしたことを特徴とする微量型高剪断成形加工機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−313608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の混練装置には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、それぞれ平面からなる押し出し先端部とスクリューの先端とのギャップ、およびスクリューの空洞部内径を調整することで、これらギャップ部およびスクリューの空洞部を流れる被混練物に高せん断がかかるようにすることで、分散サイズが小さい高分散の混練が達成できるとしているが、近年、高分子材料の機能向上の要求が高まっているため、より混練しにくい材料同士をナノレベルの分散サイズで混練することが求められている。
このような混練しにくい材料に対して、特許文献1に記載の技術では、必要なギャップ部の寸法や空洞部の内径を小さくすることで対応するため、流路が狭くなって混練可能な量が低下し混練に長時間を要する。そのため、被混練物に長時間の熱負荷がかかり、被混練物の機械特性の劣化や変色などを来すおそれがあるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、混練の効率を向上し、短時間で分散サイズを小さくすることができる混練装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の混練装置は、回転可能に設けられたスクリュー部と、該スクリュー部の先端および側面を囲繞するように設けられたシリンダと、前記スクリュー部の先端および側面の間を貫通させるように前記スクリュー部の内部に設けられた循環流路とを有し、前記スクリュー部の回転によって、前記スクリュー部と前記シリンダとの間に形成された混練流路と前記循環流路とに被混練物を循環させて混練を行う混練装置であって、前記スクリュー部の先端近傍の前記混練流路、および前記循環流路の少なくともいずれかの流路で、前記被混練物と接触する流路面の複数箇所に凹凸部が設けられた構成とする。
この発明によれば、スクリュー部の先端近傍の混練流路、および循環流路の少なくともいずれかの流路で、被混練物と接触する流路面に複数の凹凸部が設けられるので、凹凸部によって被混練物の流路の断面積が変化する。そのため、被混練物が狭まった流路を通過するたびに相対的な高せん断を受ける。
このように、被混練物は流れに沿って繰り返しの高せん断を受けるので、せん断による被混練物の発熱が被混練物内部に蓄熱されにくくなり、被混練物の温度上昇を抑制することができる。
また、これにより、被混練物の粘性が大きい状態でせん断することができるため、被混練物の粘性低下によるすべりなどが発生しにくくなり、被混練物が効率的にせん断されていく。
【発明の効果】
【0007】
本発明の混練方法および装置によれば、凹凸部によって繰り返しせん断をかけることで、被混練物の温度上昇を抑制しつつ高せん断を作用させることができるので、混練の効率を向上し、短時間で分散サイズを小さくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る混練装置の概略構成を示す模式的な部分断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る混練装置のスクリュー部の模式的な正面図、そのA−A断面図およびB視側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の第1および第2変形例の混練装置に用いるスクリュー部の左側面図、そのD−D断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の第3変形例の混練装置に用いるスクリュー部の左側面図、およびそのE−E断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の第4変形例の混練装置に用いるスクリュー部の左側面図、およびそのC−C断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の第5変形例の混練装置の軸方向の部分断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る混練装置の概略構成を示す模式的な部分断面図である。
【図8】発明の第2実施形態に係る混練装置のスクリュー部の模式的な正面図、およびそのG−G断面図である。
【図9】図8におけるH部およびJ部の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る混練装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る混練装置の概略構成を示す模式的な部分断面図である。図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る混練装置のスクリュー部の模式的な正面図である。図2(b)、(c)は、それぞれ図2(a)におけるA−A断面図およびB視側面図である。
【0011】
本実施形態の混練装置1は、2種以上の熱可塑性樹脂、もしくは1種以上の熱可塑性樹脂に分散させる粉末粒子や添加物などから構成される被混練物Mを、後述する分散サイズがナノメートルオーダーの微小サイズになるように混練するための装置であり、その概略構成は、図1に示すように、シリンダ2、スクリュー部3、および回転駆動部4からなる。
【0012】
被混練物Mの熱可塑性樹脂としては熱可塑性樹脂であれば特に種類は限定されない。例えば、ポリエチレン(低密度・高密度・直鎖状低密度・超高分子量)、アイオノマー樹脂(例えばエチレン−メタクリル酸コポリマーアイオノマー樹脂等)、ポリプロピレン(ホモ・ランダム・ブロック・アタクチック・シンジオタクチック)、超高分子量ポリプロピレン、ポリブテン、4−メチルペンテン−1ポリマー、環状ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレン、プタジェン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂など)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、酢酸セルロース、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート等)、ポリアミド系樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、生分解性ポリマー、およびその共重合体などが挙げられる。
【0013】
また、混練する粉末粒子としては、熱可塑性樹脂と複合化できる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば無機物では硫酸バリウム・炭酸カルシウムなどの金属無機塩、アルミナなどの金属酸化物、窒化ホウ素などの窒素化合物、粉末炭素・針状炭素・カーボンナノチューブ・フラーレンなどの単一物もしくは複合物、有機物ではフッ素樹脂粉末・超高分子量粉末・ポリイミド粉末などを用いてもよい。無機粒子と有機粒子の混合粒子であっても構わない。また、上記粉末粒子の添加量についても、熱可塑性樹脂と複合化できる量であれば特に限定されるものではない。なお、使用する粉末粒子は単独であっても、二種以上の混合であってもよい。
また、熱可塑性樹脂に加える添加物としては、例えば、相溶化剤、結晶核剤、着色防止剤、酸化防止剤、離型剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などの添加剤を挙げることができる。
【0014】
シリンダ2は、円筒面状のシリンダ内側面2bを有するシリンダ筒部2aと、シリンダ筒部2aの一方の端部開口を平面状のシリンダ内底面2dで封止するように取り付けられたシリンダ蓋部2cとからなる。
シリンダ筒部2aの側面には、被混練物Mを構成する材料を装置外部から投入し、シリンダ筒部2a内に導入するホッパ6が設けられている。
またシリンダ蓋部2cには、シリンダ蓋部2cをシリンダ筒部2aと固定した状態で混練が完了した被混練物Mを装置外部に排出するため、シリンダ内底面2dと装置外部とを連通可能とする排出流路2eが設けられている。
排出流路2eには、不図示の逆止弁機構が設けられており、混練中はシリンダ内底面2dの開口は閉止することができるようになっている。
【0015】
また、特に図示しないが、シリンダ2のシリンダ筒部2aには、シリンダ2の温度を予め設定された混練機温度Tに温度制御する温度制御機構が設けられている。この温度制御機構は、例えば、水冷管路および加熱ヒータが、シリンダ筒部2aの内部に埋め込まれた構成を採用することができる。
【0016】
スクリュー部3は、図2に示すように、略円柱軸状のスクリュー本体3cの一方の端部に軸直角方向の平面からなるスクリュー部本体先端面3dが設けられ、他方の端部にスクリュー本体3cと同軸とされ、スクリュー本体3cに回転駆動部4からの回転駆動力を伝達する回転軸3iが設けられている。
スクリュー本体3cの径方向の側面には、スクリュー部本体先端面3d側から軸方向のやや回転軸3i寄りの中間部に向かって、外径が漸減してわずかに縮径され、回転軸3i側に向かって拡径された鼓状のスクリュー部本体側面3aと、このスクリュー部本体側面3aから径方向外方に螺旋状に突出されたスクリュー3bとが形成されている。
スクリュー部本体側面3aが最小径となる位置は、ホッパ6の近傍に設けられている。
また、スクリュー3bの外径は、シリンダ筒部2aのシリンダ内側面2bの内径よりわずかに小さく設定されている。
【0017】
スクリュー本体3cの内部には、図2(b)に示すように、スクリュー部本体側面3aが最小径となる位置の近傍で、径方向に貫通する直径Dの径方向孔3eと、スクリュー部本体先端面3dの中心からスクリュー本体3cの中心軸に沿って延ばされ、径方向孔3eの一方の側面に貫通された直径Dの軸方向孔3fとが設けられている。
これら径方向孔3eと軸方向孔3fとによって、スクリュー本体3c内でT字状の管路が形成されている。そして、スクリュー部本体側面3aには、径方向孔3eの両端部が交差して開口3hが形成され、スクリュー部本体先端面3dには、軸方向孔3fの端部が交差して開口3gが形成されている。
【0018】
またスクリュー部本体先端面3dには、開口3gを中心とする複数の同心円上で、開口3gに対して略放射状となる位置に、高さhの凸部10が複数互いに離間された状態に形成されている。
凸部10の突起形状は、特に限定されないが、本実施形態では、部分球面状の突起を採用している。
このため、本実施形態では、スクリュー部本体先端面3dの外周から中心に向かって、凸部10の配列密度が密になるように凸部10が配列されている。
【0019】
凸部10の寸法は、スクリュー部本体先端面3dの面積や、スクリュー部本体先端面3dとシリンダ内底面2dとの間の距離dや、必要な混練性能によっても異なるが、図2(a)のB視の直径は0.1mm〜11mm、スクリュー部本体先端面3dからの高さhは10μm〜5mmの範囲が好適である。
凸部10の個数は、2個以上を必要に応じて設けることができる。例えば、2個〜20000個の間の適宜個数を必要に応じて採用することができる。
【0020】
スクリュー部3は、図1に示すように、スクリュー本体3cをシリンダ筒部2aと同軸に内挿し、スクリュー部本体先端面3dがシリンダ内底面2dから距離d(ただし、d>h)だけ離間して対向した状態にアライメント調整されてから、混練中にこの位置を保持しつつ回転軸3i回りに回転できるように、軸受5を介してシリンダ筒部2aのシリンダ内側面2bに固定されている。
【0021】
このため、スクリュー部本体側面3aおよびスクリュー3bからなるスクリュー部3の側面と、シリンダ内側面2bとの間には、ホッパ6から投入された被混練物Mが軸方向の先端に向かって移動可能な流路Pが形成されている。
スクリュー3bの外径は、スクリュー部本体側面3aの外径より大きく、シリンダ内側面2bの内径よりわずかに小さい寸法とされているため、流路Pにおいて、スクリュー3bの外径を乗り越えて軸方向に向かう流れは発生しにくくなっている。
【0022】
また、スクリュー部本体先端面3dおよび各凸部10からなるスクリュー部3の先端面と、シリンダ内底面2dとの間には、スクリュー部本体先端面3dの近傍に移動された被混練物Mが開口3gに向かって移動可能な流路Pが形成されている。
流路Pでは、各凸部10の位置で、流路隙間がdから(d−h)に変化するようになっている。
【0023】
回転駆動部4は、適宜のモータおよび伝動機構からなり、スクリュー部3の回転軸3iに回転駆動力を伝達するものである。
【0024】
次に、混練装置1の動作について説明する。
まず、シリンダ2を一定の混練機温度Tに加熱しておき、ホッパ6に一定量の被混練物Mを順次投入していく。
そして、回転駆動部4によって、スクリュー部3を図2(c)の矢印方向に回転させる。これにより、被混練物Mは、スクリュー3bによってスクリュー部3の先端側に螺旋状に押し出されていき、せん断や摩擦によって発生する熱によって溶融され、流路P内で混練されつつ、スクリュー部3の先端側に搬送されていく。
流路Pは、先端側に向かうにつれて徐々に流路断面積が低下するため、被混練物Mにかかるせん断力も徐々に増大していく。
【0025】
被混練物Mがスクリュー部3の先端に到達すると、シリンダ内底面2dに沿って径方向内側に流動方向が変化し、シリンダ内底面2dとスクリュー部本体先端面3dとの間の流路P内に押し出される。
このとき、スクリュー部3は回転し続けているので、被混練物Mは、回転方向にせん断力を受けつつ開口3gに向かうため螺旋渦状に搬送されていく。そして、スクリュー部3が、複数の凸部10を備えているため、凸部10を通過する領域では、凸部10の頂部とシリンダ内底面2dとの間の流路断面の隙間寸法がdから(d−h)に減少し、通過位置にある被混練物Mには、回転方向に繰り返し大きなせん断応力が発生する。また、凸部10が部分球面状の突起からなるため、被混練物Mを攪拌し、被混練物Mの流れを乱す作用もある。
このため、被混練物Mは、流路Pを流れる間に、凸部10がない場合に比べて高せん断を受けつつ攪拌され、効率的に混練が行われ、被混練物Mを構成する各材料の分散サイズが微細化される。
一方、被混練物Mが最も強くせん断されるのは、凸部10の頂部近傍に位置する場合である。そのため、同様の大きさのせん断を行うために流路Pの隙間を一様に(d−h)に低減した場合に比べると、せん断による発熱量は格段に小さくなり、流路Pにおける被混練物Mの温度上昇を抑制することができる。この結果、被混練物Mの粘性が低下して混練の効率が落ちたり、被混練物Mが加熱されすぎて劣化したりすることを防止することができる。
【0026】
開口3gに到達した被混練物Mは、軸方向孔3fに流入して軸方向を径方向孔3e側に流れ、径方向孔3eに到達すると、径方向孔3eの流路に沿って径方向の両外側に分岐され、各開口3hから流路Pに流入し、上記と同様の混練が繰り返される。
【0027】
このようにして、ホッパ6に投入された被混練物Mは、流路P、P、軸方向孔3f、径方向孔3eの間を循環して、混練される。このため、流路P、Pは、スクリュー部3とシリンダ2との間に形成された混練流路を構成し、軸方向孔3f、径方向孔3eは、スクリュー部3の内部に設けられた循環流路を構成している。
このとき、本実施形態では、スクリュー部3の先端近傍の混練流路である流路Pにおいて、スクリュー部本体先端面3dに設けられた凸部10によって、被混練物Mに効率的に高せん断をかけることができるので、流路Pでは温度上昇しすぎることなく、また流路Pにおける混練中でも被混練物Mの温度をあまり増大させることなく短時間に混練を行うことができる。
【0028】
次に、混練装置1による混練時間の短縮および分散サイズ低減の効果について、具体的な実施例1および比較例に基づいて説明する。
被混練物Mは、実施例1、比較例に共通で、ポリカーボネート(MFR=5g/10min(300℃))と高密度ポリエチレン(MFR=0.05g/10min(190℃))を質量比50対50の割合で混合したものを採用した。ここで、MFRは、メルトマスフローレイトを意味し、JIS K 7210によって測定される量である。
混練装置1において、シリンダ内側面2bの内径は28mm、スクリュー3bの外径は27.8mm、スクリュー部本体先端面3dの径は25.5mm、スクリュー部本体先端面3dとシリンダ内底面2dとの間の隙間dは2mm、シリンダ2の混練機温度Tは280℃、スクリュー部3の回転速度は3000rpmとした。
また、各凸部10の形状は、高さhがh=1mm、図2(a)のB視の径が2mm、曲率半径が1mmとした。
凸部10の配列は、開口3gの中心を中心とする半径3mmの同心円上に45°ピッチで8個配列し、同じく半径5.5mmの同心円上に24°ピッチで15個配列し、同じく半径8mmの同心円上に18°ピッチで20個配列し、同じく半径10.5mmの同心円上に18°ピッチで20個配列した。
軸方向孔3fの内径Dは2.5mm、径方向孔3eの内径Dは5mmとした。
一方、比較例の混練装置は、スクリュー部3の先端に凸部10が設けられず、スクリュー部本体先端面3dのみからなるものを、混練装置1と同様な位置関係に配置した点のみが混練装置1と異なる。
【0029】
混練時間は、実施例1では、1分間、比較例では、5分間、10分間とし、それぞれ混練が終了した被混練物Mの分散サイズを以下のようにして測定した。
まず、混練が終了した被混練物Mから押出機によって100mm×100mm×1mmのシートを作成した。作成されたシートから10mm×10mmのサンプルを切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて分散状態を確認した。
二成分以上の材料のブレンド系では、マトリックスと呼ばれる基本相とドメインと呼ばれる分散相に分かれており、本評価においては分散相のサイズを計測した。
分散相の粒径の最大の部分を分散相粒径とし、分散相粒径の平均値μ、標準偏差σを画像解析により抽出し、分散相粒径の平均値μを分散サイズとした。
【0030】
このような測定により、実施例1の分散サイズは250nm、比較例の分散サイズは混練時間が5分間、10分間のいずれにおいても500nmであった。
したがって、実施例1は、比較例では達成できない微小な分散サイズをより短時間のうちに達成できていることが分かる。
なお、この測定結果から推測すると、比較例では10分以上混練しても、混練装置1のような微小な分散サイズを達成できないと予想される。このため、混練装置1の混練性能は、分散サイズの低減効果においても格段に優れていることが分かる。
【0031】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図3(a)は、本発明の第1の実施形態の第1および第2変形例の混練装置に用いるスクリュー部の左側面図である。図3(b)は、第1変形例の場合の図3(a)におけるD−D断面図である。図3(c)は、第2変形例の場合の図3(a)におけるD−D断面図である。図4(a)は、本発明の第1の実施形態の第3変形例の混練装置に用いるスクリュー部の左側面図である。図4(b)は、図4(a)におけるE−E断面図である。図5(a)は、本発明の第1の実施形態の第4変形例の混練装置に用いるスクリュー部の左側面図である。図5(b)は、図5(a)におけるC−C断面図である。図6は、本発明の第1の実施形態の第5変形例の混練装置の軸方向の部分断面図である。
【0032】
本実施形態の第1変形例は、凹凸部をスクリュー部本体先端面3dからの凸部で形成した場合において、凸部の形状を変更した変形例である。
本変形例では、上記第1の実施形態の凸部10に代えて、図3(a)、(b)に示すように、複数の突条部12を備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
突条部12は、スクリュー部本体先端面3dから高さh、周方向の幅wの矩形状断面で、開口3gの近傍から径方向に放射状に延在された線状の突起部である。本実施形態では、一例として、45度ピッチで8本が設けられている。
【0033】
本変形例によれば、スクリュー部3の先端面において、シリンダ内底面2dと対向する隙間が、回転する各突条部12の凸方向の端面の位置で、(d−h)に狭まるため、流路Pに到達した被混練物Mは、シリンダ内底面2dと対向する突条部12の凸方向の端面によって、繰り返し高せん断を受ける。このため、流路Pにおいて、被混練物Mに効率的に高せん断がかけられるので、被混練物Mの温度があまり増大することなく短時間に混練を行うことができる。
【0034】
本実施形態の第2変形例は、上記第1変形例の突条部12に代えて、図3(a)、(c)に示すように、複数の突条部13を備える。以下、上記第1変形例と異なる点を中心に説明する。
本変形例の突条部13は、上記第1変形例の突条部12と延在方向に直交する断面の断面形状のみが異なる。
突条部13の断面形状は、突条部12と同様に周方向の幅wを有し、スクリュー部本体先端面3dからの高さが、回転方向に沿ってhからh(ただし、h>h)に漸増する台形状とされている。このため、突条部13において、シリンダ内底面2dと対向する凸方向の端面は、テーパ面13aとなっている。
【0035】
本変形例によれば、スクリュー部3の先端面において、シリンダ内底面2dと対向する隙間が、回転する各突条部13の凸方向の端面の位置で、(d−h)から(d−h)に徐々に狭まるため、流路Pに到達した被混練物Mは、突条部13のテーパ面13aによって、繰り返し高せん断を受ける。このため、流路Pにおいて、被混練物Mに効率的に高せん断がかけられるので、被混練物Mの温度があまり増大することなく短時間に混練を行うことができる。
【0036】
本実施形態の第3変形例は、凹凸部をスクリュー部本体先端面3dからの凸部で形成した場合において、凸部の形状を変更した変形例である。
本変形例では、上記第1の実施形態の凸部10に代えて、図4(a)、(b)に示すように、複数の環状突起部14を備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本変形例の環状突起部14は、スクリュー部本体先端面3dから高さh、径方向の幅Wの矩形状断面で、開口3gを中心とする同心円状に設けられた環状の凸部である。本実施形態では、一例として、径方向外側から、環状突起部14a、14b、14cの3本が設けられている。
径方向の配置ピッチや、径方向の幅Wはそれぞれ適宜の値に設定することができる。図5に示す例では、一例として、径方向に等ピッチで環状突起部14a、14b、14cが配置され、それぞれの径方向幅Wがこの順に漸減する構成としている。
【0037】
本変形例によれば、スクリュー部3の先端面において、シリンダ内底面2dと対向する隙間が、回転する各環状突起部14の凸方向の端面の位置で、dから(d−h)に狭まるため、流路Pに到達した被混練物Mは、各環状突起部14が設けられた位置で周方向に高せん断を受け、開口3gに向かって径方向内側に移動するに連れて、各環状突起部14によって、繰り返し高せん断を受ける。このため、流路Pにおいて、被混練物Mに効率的に高せん断がかけられるので、被混練物Mの温度があまり増大することなく短時間に混練を行うことができる。
【0038】
本実施形態の第4変形例は、凹凸部をスクリュー部本体先端面3dからの凹部で形成した場合の変形例である。
本変形例では、上記第1の実施形態の凸部10に代えて、図5(a)、(b)に示すように、それぞれ凹部11を備える。そして、スクリュー部3の軸方向の位置を調整して、シリンダ内底面2dとスクリュー部本体先端面3dとの間の隙間が(d−h)となるように変更したものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
凹部11は、開口3gを中心とする複数の同心円上で、開口3gに対して略放射状となる位置に形成された深さhの凹穴である。凹部11の凹形状は、特に限定されないが、本変形例では、部分球面状の凹穴をスクリュー部本体先端面3d上で互いに離間された位置に設けている。
このため、本変形例では、スクリュー部本体先端面3dの外周から中心に向かって、凹部11の配列密度が密になるように凸部10が配列されている場合の例になっている。
凹部11の寸法は、スクリュー部本体先端面3dの面積や、スクリュー部本体先端面3dとシリンダ内底面2dとの間の距離(d−h)や、必要な混練性能によっても異なるが、図5(b)のF視の直径は0.1mm〜11mm、スクリュー部本体先端面3dから深さhは10μm〜5mmの範囲が好適である。
凹部11の個数は、2個以上を必要に応じて設けることができる。例えば、2個〜20000個の間の適宜個数を必要に応じて採用することができる。
【0039】
本変形例によれば、スクリュー部3の先端面において、シリンダ内底面2dと対向する隙間が、スクリュー部本体先端面3dの位置で(d−h)、回転する各凹部11の位置で、dとなるため、流路Pに到達した被混練物Mは、スクリュー部本体先端面3dによって、繰り返し高せん断を受ける。このため、流路Pにおいて、被混練物Mに効率的に高せん断がかけられるので、被混練物Mの温度があまり増大することなく短時間に混練を行うことができる。
【0040】
本実施形態の第5変形例は、凹凸部をシリンダ内底面2dからの凸部で形成した場合の変形例である。
本変形例は、図6に示すように、上記第1の実施形態のスクリュー部3、シリンダ2に代えて、スクリュー部3A、シリンダ2Aを備える。
スクリュー部3Aは、上記第1の実施形態のスクリュー部3の凸部10を削除したものである。
シリンダ2Aは、上記第1の実施形態のシリンダ蓋部2cのシリンダ内底面2dに、上記第1の実施形態の凸部10と同形状の凸部15を、凸部10と同様な位置関係に形成したものである。
すなわち、凸部15は、スクリュー部3の開口3gに対向する位置を中心とする複数の同心円上で、開口3gに対向する位置に対して略放射状となる位置に、高さhの凸部15が複数形成されている。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0041】
本変形例によれば、流路Pの隙間の関係が、上記第1の実施形態の場合と全く同様になるので、上記第1の実施形態と同様に、流路Pに到達した被混練物Mが、各凸部15によって、繰り返し高せん断を受ける。このため、流路Pにおいて、被混練物Mに効率的に高せん断がかけられるので、被混練物Mの温度があまり増大することなく短時間に混練を行うことができる。
【0042】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る混練装置について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る混練装置の概略構成を示す模式的な部分断面図である。図8(a)は、本発明の第2実施形態に係る混練装置のスクリュー部の模式的な正面図である。図8(b)は、図8(a)におけるG−G断面図である。図9(a)、(b)は、それぞれ図8(b)におけるH部およびJ部の部分拡大図である。
【0043】
本実施形態の混練装置1Aは、上記第1の実施形態のスクリュー部3に代えて、スクリュー部3Bを備えるものである。スクリュー部3Bは、上記第1の実施形態のスクリュー部3から凸部10を削除し、径方向孔3e、軸方向孔3fに代えて、径方向孔30、軸方向孔31をそれぞれ備えるものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0044】
径方向孔30は、図8(a)、図9(a)に示すように、スクリュー部本体側面3aの最小径位置の近傍で径方向に貫通する直径D(ただし、D<D)の孔内周面30aと、孔内周面30aに形成された溝底が直径D、ピッチQの螺旋溝30bとからなる。
ここで、直径Dは、孔内周面30aからの深さ(D−D)/2が、0.1mm〜1mmの範囲であることが好ましい。
また、ピッチQは、0.2mm〜5mmの範囲であることが好ましい。
【0045】
軸方向孔31は、図8(b)、図9(b)に示すように、スクリュー部本体先端面3dの中心からスクリュー本体3cの中心軸に沿って延ばされ、径方向孔30の一方の側面に貫通された直径D(ただし、D<D)の孔内周面31aと、孔内周面31aに形成された溝底が直径D、ピッチQの螺旋溝31bとからなる。
ここで、直径Dは、孔内周面31aからの深さ(D−D)/2が、0.1mm〜1mmの範囲であることが好ましい。
また、ピッチQは、0.2mm〜5mmの範囲であることが好ましい。
【0046】
本実施形態に係る混練装置1Aによれば、スクリュー部3Bの側面とシリンダ内側面2bとの間に上記第1の実施形態と同様な流路Pが形成され、スクリュー部3Bの先端面であるスクリュー部本体先端面3dとシリンダ内底面2dとの間に、隙間が一定の流路Pが形成され、それぞれ混練流路を構成している。
また、径方向孔30と軸方向孔31とは、それぞれ、被混練物Mと接触する流路面の複数箇所に凹凸部が設けられた循環流路を構成している。
【0047】
本実施形態の混練装置1Aによれば、第1の実施形態の混練装置1と同様に、ホッパ6から投入された被混練物Mが、流路P内で溶融、混練されてスクリュー部3Bの先端側に搬送される。
また、被混練物Mが、スクリュー部3の先端に到達すると、流路Pでは、スクリュー部3の回転により、シリンダ内底面2dとスクリュー部本体先端面3dとの間で、被混練物Mは回転方向にせん断力を受けつつ、向かって螺旋渦状に搬送される。
本実施形態では、流路P、Pに流れる被混練物Mは、従来技術の混練装置と略同様のせん断を受ける。
【0048】
そして、被混練物Mが、開口3gから軸方向孔31に流入すると、軸方向孔31の内周側には、孔内周面31aと螺旋溝31bとによって、軸方向に沿う凹凸部が形成されているため、軸方向孔31の延設方向の流路抵抗が増大し、円筒面状の流路面を有する場合に比べて、被混練物Mが高せん断を受ける。また、被混練物Mが、径方向孔30に流入すると、孔内周面30aと螺旋溝30bとによって、径方向に沿う凹凸部が形成されているため、径方向孔30の延設方向の流路抵抗が増大し、円筒面状の流路面を有する場合に比べて、被混練物Mが高せん断を受ける。
このようにして、被混練物Mに循環流路で効率的に高せん断がかかるので、被混練物Mの温度があまり増大することなく短時間に混練を行うことができる。
【0049】
次に、混練装置1Aによる混練時間の短縮および分散サイズ低減の効果について、具体的な実施例2に基づいて説明する。
被混練物M、混練装置1Aのシリンダ2は、上記第1の実施形態の実施例1、比較例に用いたものと同様である。
また、混練装置1Aのスクリュー部3Bの外形は、上記第1の実施形態の比較例に用いたものと同様である。
シリンダ2の混練機温度Tは280℃、スクリュー部3Bの回転速度は3000rpmとした。
また、軸方向孔31は、Dが2.5mm、螺旋溝31bの溝幅が1mm、螺旋溝31bのピッチQが2mmとした。
また、径方向孔30は、Dが5.5mm、Dが4.5mm、螺旋溝30bの溝幅が1mm、螺旋溝30bのピッチQが2mmとした。
【0050】
混練時間は、2分間とし、混練が終了した被混練物Mの分散サイズを上記第1の実施形態と同様にして測定したところ、実施例2の分散サイズは250nmであった。
したがって、実施例2では、上記第1の実施形態に説明した実施例1と同様、比較例では達成できない微小な分散サイズを、より短時間に達成できていることが分かる。
【0051】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る混練装置について説明する。
本実施形態の混練装置1Cは、図1に示すように、上記第1の実施形態のスクリュー部3に代えて、スクリュー部3Cを備えるものである。スクリュー部3Cは、上記第1の実施形態のスクリュー部3において、径方向孔3e、軸方向孔3fに代えて、上記第2の実施形態の径方向孔30、軸方向孔31を備えるものである。以下、上記第1、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0052】
本実施形態に係る混練装置1Cは、上記第1の実施形態の凸部10と、上記第2の実施形態の径方向孔30および軸方向孔31とを備えるので、凹凸部が混練流路および循環流路の双方に設けられた場合の例になっている。
したがって、流路Pでは、上記第1の実施形態で説明した凸部10の作用により効率的な混練が行われ、循環流路では、上記第2の実施形態で説明した径方向孔30、軸方向孔31の作用により効率的な混練が行われ、これらが相俟って、被混練物Mを各実施形態に比べてより短時間で、より微小な分散サイズに混練することができる。
【0053】
次に、混練装置1Cによる混練時間の短縮および分散サイズ低減の効果について、具体的な実施例3に基づいて説明する。
被混練物M、混練装置1Cのシリンダ2は、上記第1の実施形態の実施例1、比較例に用いたものと同様である。
また、混練装置1Cのスクリュー部3Cの凸部10は、上記第1の実施形態の実施例1と同形状とした。また、スクリュー部3Cの径方向孔30、軸方向孔31は、上記第2の実施形態の実施例2と同形状とした。
シリンダ2の混練機温度Tは280℃、スクリュー部3Cの回転速度は3000rpmとした。
【0054】
混練時間は、1分間とし、混練が終了した被混練物Mの分散サイズを上記第1の実施形態と同様にして測定したところ、実施例3の分散サイズは220nmであった。
したがって、実施例3では、上記第1の実施形態に説明した実施例1と同様の混練時間で、実施例1、2、比較例のいずれに比べても微小な分散サイズを達成できていることが分かる。このため、同様な分散サイズを達成する場合、混練時間は、実施例1、2よりもさらに低減されることが分かる。
【0055】
なお、上記の説明では、混練流路に凹凸部を設ける場合、流路Pのみに設ける場合の例で説明したが、スクリュー部の先端の近傍、すなわち、径方向孔3eとスクリュー部本体先端面3dとの間で、スクリュー部本体先端面3d側に位置する中間部であれば、流路Pにスクリュー3b以外の凹凸部を設けてもよい。
シリンダ部の基端側である径方向孔3eの近傍の流路P中に、スクリュー3b以外の凹凸部を設けると、スクリュー部3の回転により被混練物Mにより大きなせん断がかかるものの、このせん断により、最も高せん断がかかる流路Pに被混練物Mが到達する前に、温度上昇が顕著となり、流路Pでの発熱、粘性低下が顕著となるので、混練の効率が落ちてしまう。
【0056】
また、上記の説明では、凹凸部を周方向の角度ピッチや径方向の配置ピッチなどを等ピッチとする場合の例で説明したが、これらのピッチは、適宜不規則に設定したり、等ピッチ以外の周期性を付与したりしてもよい。特に、不規則なピッチを採用する場合には、攪拌作用が向上され、より効率的な混練が可能となる。
【0057】
また、上記の第1の実施形態の説明では、凸部10の配置密度が、スクリュー部本体先端面3dの中心部で密であり、周縁部で粗となる場合の例で説明したが、配置密度は、混練の効率や、温度分布の制御のために必要に応じて異なる粗密分布を採用してもよい。
例えば、スクリュー部本体先端面3dの中心部では、スクリュー部3の回転線速が低下するため、周縁部に比べてより高せん断を実現するには、凸部10の密度を増すことが好ましい。
また、例えば、流路Pの中心部に向かうにつれてせん断による蓄熱が増えることにより、被混練物Mの温度上昇が顕著になる場合には、被混練物Mが温度上昇しすぎないように中心部の凸部10を減らすことが好ましい。
【0058】
また、上記の説明では、凹凸部の粗密によって、場所によるせん断の大きさを変える例で説明したが、例えば、凸部10や凹部11の高さ、深さ、あるいは大きさを場所によって変更することにより、せん断の大きさを変えるようにしてもよい。
【0059】
また、上記の第1の実施形態の第1、第2変形例では、突条部12、13が直線状の場合の例で説明したが、円弧状、螺旋状、波形状、ジグザグ状等の他の形状であってもよい。
また、突条部12、13の幅wは、一定に限定されるものではなく、不規則に変化させたり、徐変したりしてもよい。
また、突条部12、13は、断面形状をそれぞれ矩形状、台形状とした場合の例で説明したが、半円状、楕円状、山形状などを採用してもよい。
【0060】
また、上記の各実施形態、各変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
例えば、図6に示すように、シリンダ2Aとスクリュー部3Bとを組み合わせることで、第1の実施形態の第5変形例の構成要素と、第2の実施形態の構成要素とを組み合わせてもよい。また、第1の実施形態およびその各変形例の構成要素と、第2の実施形態の構成要素とは、すべて組み合わせて実施することができる。
また、上記第1、第2、第3、第5変形例の凸形状は、第4変形例のように、同様の断面の凹形状に変形して実施してもよい。
また、上記第1〜第4変形例の凹凸形状は、第5変形例のように、同様の断面をスクリュー部本体先端面3dに形成してもよい。
また、シリンダ内底面2d、スクリュー部本体先端面3dの両方に凹凸部を形成してもよい。
また、上記第1の実施形態の各凹凸形状は、適宜、循環流路の内面に同様の形状を形成するように変形をしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1、1A、1C 混練装置
2、2A シリンダ
2b シリンダ内側面2d シリンダ内底面
3、3A、3B、3C スクリュー部
3a スクリュー部本体側面(スクリュー部の側面)
3b スクリュー(スクリュー部の側面)
3c スクリュー本体
3d スクリュー部本体先端面
3e 径方向孔(循環流路)
3f 軸方向孔(循環流路)
3g 開口
4 回転駆動部
10 凸部
11 凹部
12、13 突条部
14、14a、14b、14c 環状突起部
15 凸部
30 径方向孔(被混練物と接触する流路面の複数箇所に凹凸部が設けられた循環流路)
30a 孔内周面
30b 螺旋溝
31 軸方向孔(被混練物と接触する流路面の複数箇所に凹凸部が設けられた循環流路)
31a 孔内周面
31b 螺旋溝
M 被混練物
、P 流路(被混練物と接触する流路面の複数箇所に凹凸部が設けられた混練流路)
流路(混練流路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられたスクリュー部と、該スクリュー部の先端および側面を囲繞するように設けられたシリンダと、前記スクリュー部の先端および側面の間を貫通させるように前記スクリュー部の内部に設けられた循環流路とを有し、前記スクリュー部の回転によって、前記スクリュー部と前記シリンダとの間に形成された混練流路と前記循環流路とに被混練物を循環させて混練を行う混練装置であって、
前記スクリュー部の先端近傍の前記混練流路、および前記循環流路の少なくともいずれかの流路で、前記被混練物と接触する流路面の複数箇所に凹凸部が設けられたことを特徴とする混練装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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