説明

清拭シート

【課題】乳幼児や老人等の皮膚の弱い人にも問題なく使用でき、ウイルスが耐性を獲得することがなく、人体や食品への影響のない抗菌又は除菌用材料を提供すること。
【解決手段】表面に孔径が1000nm以下の凹部を複数有する、抗菌及び/又は除菌用シート材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、お手拭き、OA製品用クリーナー等の清拭シートや、空気清浄機、マスク等のためのフィルタの材料、医薬品、食品等の包装材料等として使用できる、抗菌又は除菌用シート材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衛生志向の高まりに伴い、身体や日用品等から細菌、ウイルス等を除去するための除菌シートや、食品等における細菌、ウイルス等の繁殖を防ぐための抗菌シートが頻繁に使用されるようになっている。
このような除菌/抗菌シートとしては、脱脂綿、不織布、織布、紙等のシート状基材に、殺菌剤、抗菌剤等の薬剤を水に溶解した薬液を浸み込ませたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−136878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような薬液含浸タイプの抗菌/除菌シートに用いられる薬剤には、人体に対する刺激性の強いものも多く、乳幼児や老人等の皮膚の弱い人に使用するとかぶれてしまうという問題がある。また、ウイルスがその薬剤に対し耐性を獲得すると効果がなくなってしまう。さらに、抗菌シートの場合は、食品に直接触れる形態で使用されることも多く、長時間使用すると、人体への影響の心配や食品の変色や風味を損ねるといった問題もある。
そのため、乳幼児や老人等の皮膚の弱い人にも問題なく使用でき、人体や食品への影響のない抗菌及び/又は除菌用材料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、各種材料の除菌効果、殺菌効果について鋭意研究した結果、ナノオーダー(具体的には1000nm以下)の孔径を有する凹部(以下、「ナノポア」ということがある。)を表面に有する材料は、優れた抗菌及び/又は除菌効果を有することを見出した。これは、ナノポアの中には細菌やウイルス等が取り込まれやすく、また、一旦取り込まれた細菌、ウイルスは、その繁殖が抑制されるためと推測される。
そして、このような知見に基づき、ナノポーラス表面(ナノポアの存在する表面)を有する材料を、抗菌及び/又は除菌用途に使用することに想到し、本実施態様を完成させた。
【0006】
さらに、本発明者は、このようなナノポーラス表面を有する抗菌又は除菌用シート材料を形成する方法について検討した結果、母材中にナノ粒子が分散した材料を、ナノ粒子を溶解するが母材を溶解しない液に浸漬すると、ナノ粒子だけ選択的に溶出され、その結果、材料の表面にナノオーダーの凹部が形成されることを見出し、この現象を利用して、ナノポーラス表面を有する抗菌又は除菌用シート材料を製造することに想到した。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に本実施態様について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施態様は、表面に孔径が1000nm以下の凹部を複数有する、抗菌又は除菌用シート材料である。孔径が1000nm以下である凹部が複数存在していれば、これより大きい孔径を有する凹部が並存していてもよく、その孔径分布が必ずしも1000nm以下にピークを有している必要はない。
ウイルスの大きさは、通常、20〜970nmであり、その多くは300nm以下であることが知られているから、凹部の孔径分布のピークは、20nm〜1000nmにあってもよいし、300nm〜1000nmにあってもよく、さらに500nm〜1000nmにあってもよい。
なお、本明細書において、凹部の孔径、孔径分布とは、JIS R1655に準じて水銀圧入法によって測定した気孔径をいう。
【0008】
抗菌又は除菌用シート材料は、シート基材それ自体の表面がナノポーラス表面であってよいし、シート基材上にナノポーラス表面を有する層を設けたものであってもよい。また、ナノポーラス表面を有する繊維を織った織物、編んだ編み物、又は、抄紙した紙であってもよい。
【0009】
次に、本実施態様の抗菌又は除菌用シート材料を製造する方法の実施形態について説明する。
一つの実施形態においては、母材中に複数のナノ粒子が分散した材料を予め形成し、これを、ナノ粒子を溶解するが母材を溶解しない液に浸漬し、ナノ粒子のみを選択的に溶出させることにより、その表面をナノポーラス表面、すなわち、ナノオーダーの孔径を有する凹部を有する表面とする。
【0010】
母材を構成する材料に限定はなく、シート材料の用途に応じて適宜決定することができ、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、エラストマー、セルロース等の高分子材料;Au、Pt、Si等の金属;石英、酸化アルミニウム等の酸化物;窒化物;ガラス;その他各種セラミックスが挙げられる。
熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエステル;ポリアミド;ポリオレフィン;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリスチレン又はスチレン系共重合体;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTEF)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTEF)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂(分子内にフッ素を含む単量体を重合させることにより得られた重合体)等が挙げられる。硬化化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。エラストマーの具体例としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体及びその水添物等が挙げられる。
【0011】
ナノ粒子を構成する材料にも限定はなく、ナノ粒子を溶解するが母材を溶解しない液を入手することができる限り、いかなるものも採用することができる。例えば、母材として熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、エラストマー等の高分子材料、Au、Pt等の金属、セラミックスを用いる場合には、ナノ粒子としてAg、Cu、Fe、Ni、Cr、Zn粒子等の金属粒子を用いることができる。また、母材としてセルロースや金属やセラミックを用いる場合には、ナノ粒子として、有機溶剤に溶解する高分子材料からなる粒子を用いることができる。
【0012】
ナノ粒子の形状、粒径、粒径分布に限定はない。ナノ粒子の溶出跡である凹部の形状や孔径は、ナノ粒子の形状、粒径とほぼ等しいから、シート材料の表面の凹部の形状、孔径、孔径分布として所望する形状、粒径、粒径分布を有するナノ粒子を用いることができる。 例えば、ナノ粒子の平均粒径は、20nm〜1000nmとしてもよいし、300nm〜1000nmとしてもよいし、500nm〜1000nmとしてもよい。
なお、本明細書において、粒径とは、粒子を透過電子顕微鏡(TEM)等で二次元観察したときの二軸平均径、すなわち、短径と長径の平均値をいう。ここで、短径、長径とは、それぞれ、粒子に外接する面積が最小となる外接長方形の短辺、長辺である。そして、平均粒径とは、粒子を二次元観察した際に同一視野内にあるランダムに選択した100個の粒子の粒径の平均をいう。
ナノ粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよい。
【0013】
母材中に複数のナノ粒子が分散した材料において、母材中のナノ粒子の含有量に限定はなく、所望する孔又は凹部の密度に応じて適宜決定すればよい。ナノ粒子が浸漬液中に溶出するためには、少なくともその一部が母材から露出している必要がある。このような観点から、ナノ粒子は、所望する凹部の密度にもよるが、ナノ粒子と母材を構成する材料の総体積に対して、30体積%以上としてもよく、50体積%以上としてもよく、70体積%以上としてもよく、90体積%以上としてもよい。
また、抗菌又は除菌用シート材料をフィルタとして使用する場合には、ナノポアがシートの一方の面から他方の面まで連通するよう、ナノ粒子の含有量を多めにしてもよい。
【0014】
本実施態様の製造方法においては、まず、母材中にナノ粒子が分散した材料を形成する。ここで、母材中にナノ粒子が分散した材料は、a.シート基材の上に形成された層であってもよいし、b.シート基材自体であってもよいし、c.後にシート状に織られる、編まれる又は抄かれるための繊維であってもよい。
【0015】
母材中にナノ粒子が分散した材料が、a.シート基材の上に形成された層である場合、その形成方法について特に限定はない。また、母材中にナノ粒子が分散した材料からなる層の厚さに限定はなく、例えば、ナノ粒子の平均粒径より厚くても、薄くてもよい。
【0016】
一つの実施態様によれば、母材を構成する材料を含むナノ粒子分散液を用意し、これをシート基材上に塗布することによって、シート基材の上に母材中にナノ粒子が分散した材料からなる層を形成することができる。母材中にナノ粒子が分散した層の厚さに限定はなく、例えば、ナノ粒子の平均粒径より厚くても、薄くてもよい。
【0017】
母材を構成する材料を含むナノ粒子分散液において、母材を構成する材料は、ナノ粒子分散液に溶解していても分散していてよい。母材を構成する材料を含むナノ粒子分散液の具体例としては、母材を構成する材料を溶解させた溶液にナノ粒子を分散させた液や、母材を構成する材料からなる粒子とナノ粒子の両方を分散媒に分散させた液等が挙げられる。例えば、水や、アルコール類、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン系炭化水素系溶剤、セルロース溶剤等の有機溶剤に母材を構成する材料を溶解させ、この溶液にナノ粒子を分散させてナノ粒子分散液を調製してもよいし、或いは、母材を構成する材料からなる粒子を水等の分散媒に分散させ、この分散液にナノ粒子を分散させる又はその逆の順序で分散液を調製してもよい。
【0018】
後の工程におけるナノ粒子の溶出を妨げないような表面修飾を施して、ナノ粒子の分散液中での分散性を改良してもよい。このような表面修飾を施したナノ粒子としては、例えば、表面をタンパク質又はペプチドや低分子量ビニルプロリドンで被覆したナノ粒子が挙げられる。
ナノ粒子の表面にタンパク質又はペプチドを固定する表面修飾は、特開2007−217331号公報に開示された方法に準じて行うことができる。具体的には、ナノ粒子を界面活性剤を用いて水に分散させ、この分散液にタンパク質又はペプチドを添加してpH5.0以上で超音波を照射することにより、ナノ粒子の表面の界面活性剤がタンパク質又はペプチドに置換し、その結果、表面にタンパク質又はペプチドを固定したナノ粒子の水分散液が得られる。
また、ナノ粒子を低分子量ビニルプロリドンで被覆する表面修飾は、特開2008−121043号開示された方法に準じて行うことができる。具体的には、ナノ金属粒子を
例えば、このようにして得られたナノ粒子水分散液に、さらに、母材を構成する材料からなる粒子を分散させて、母材を構成する材料を含むナノ粒子分散液とすることができる。
【0019】
シート基材の材質に限定はなく、用途に応じて適切なものを選択することができる。例えば、布、紙、不織布、高分子フィルム等の柔軟性を有するものだけでなく、ガラスシート、セラミックスシート等の剛性を有するものを用いることができる。また、母材の材料として挙げたものも使用できる。
【0020】
ナノ粒子分散液をシート基材上に塗布する方法に限定はなく、例えば、噴霧、スピンコーティング、ディップコーティング等の従来公知の塗布方法を採用することができる。
塗布後、乾燥等により塗布層から分散媒溶媒を除去して、母材中に複数のナノ粒子が分散した材料からなる層が形成される。必要に応じて、塗布層を加熱し、母材を構成する材料を焼結或いは溶融させて強固な連続相に変化させてもよい。母材を構成する材料が高分子材料である場合には、そのガラス転移温度以上の温度で加熱することができる。
【0021】
別の実施態様によれば、いわゆる、メカニカルアロイングを利用することもできる。メカニカルアロイングとは、二種類以上の固体に大きなエネルギーを付加しながら混合することにより、固体どうしの積層、折りたたみ、圧延を繰り返し起こし、微細に混合していく固体混合方法である。理論的には、原子レベルの混合も可能である。メカニカルアロイングによれば、比較的容易にナノ粒子を母材中に均一分散させることができる。
メカニカルアロイングは、一般に、金属どうしの混合の際に用いられる方法であるが、折りたたみと圧延を行うことが可能な材料どうしであれば、例えば、高分子材料同士や高分子材料と金属等の混合に対しても応用することができることを本発明者は見出した。
【0022】
具体的には、母材を構成する材料からなる粒子(粉末)とナノ粒子を構成する材料からなる粒子(粉末)を用意し、大きなエネルギーを付加しながらこれらを混合する。
そして、メカニカルアロイングにより得られた固体混合物をそのまま基材上に溶融塗布したり、固体混合物を適当な溶媒に分散させ、その分散液をシート基材上に塗布することができる。分散液の塗布方法やシート基材については、前述のものを採用することができる。また、塗布後、必要に応じて、塗布層を加熱し、母材を構成する材料を焼結或いは溶融させて強固な連続相に変化させてもよい。
【0023】
メカニカルアロイングによれば、混合の過程で固体材料が折りたたまれて分割されていくため、初めからナノオーダーの粒子を用意しなくても母材中にナノ粒子が分散した材料を形成することができる。したがって、メカニカルアロイングを行う際に用意するナノ粒子を構成する材料からなる粒子(粉末)の粒径は、ナノオーダーである必要はなく、例えば、1〜1000μmであってもよいし、1〜100μmであってもよい。母材を構成する材料からなる粒子(粉末)の粒径についても限定はなく、ナノ粒子を構成する材料からなる粒子(粉末)の粒径と同程度であっても、ナノ粒子を構成する材料からなる粒子(粉末)より大きくてもよい。
【0024】
メカニカルアロイングは、金属どうしの混合について従来公知の手法、装置と同じものを用いて行うことができる。例えば、ローリングボールミル、振動ミル、遊星ボールミル等のボールミルを用いた混合により実施することができる。この場合、ボールの衝突エネルギーにより、二種類以上の固体粒子は、折りたたまれ、圧延される。
【0025】
母材中にナノ粒子が分散した材料が、b.シート基材自体である場合、その製造方法や厚さについて特に限定はない。例えば、前述のメカニカルアロイングにより得られた母材を構成する材料からなる粒子とナノ粒子との固体混合物を、例えば、溶融押出等によりシート状に成形することができる。
【0026】
母材中にナノ粒子が分散した材料が、c.繊維である場合、その紡糸方法に限定はなく、例えば、湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸等公知の紡糸方法を採用することができる。
一つの実施態様によれば、前述のナノ粒子分散液を湿式紡糸することができる。具体的には、前述のナノ粒子分散液(母材を構成する材料を溶解させた溶液にナノ粒子を分散させた液)をノズルより紡出して繊維状に形成し、凝固液中で固体化して繊維を得る。
別の実施態様によれば、前述のメカニカルアロイングにより得られた母材を構成する材料からなる粒子とナノ粒子との固体混合物を乾式紡糸することができる。具体的には、固体混合物を、母材を構成する材料の溶剤に溶解して粘稠な溶液を調製し、これをノズルより紡出して繊維状に形成し、熱風等により溶剤を蒸発させ、固体化して繊維を得る。
さらに別の実施態様によれば、前述のメカニカルアロイングにより得られた母材を構成する材料からなる粒子とナノ粒子との固体混合物を溶融紡糸することができる。具体的には、固体混合物を溶融してノズルより紡出して繊維状に形成し、大気中又はガス中にて冷却し、固体化して繊維を得る。
【0027】
以上のようにして得られた、a.シート基材の上に形成された層、b.シート基材自体又は、c.繊維の形態の、ナノ粒子母材中にナノ粒子が分散した材料を、ナノ粒子を溶解するが母材を溶解しない液に浸漬しナノ粒子を液中に溶出させる。
なお、ナノ粒子母材中にナノ粒子が分散した材料がc.繊維の形態である場合、浸漬に先立ち、これを編む、織る又は抄紙することによりシート状にしてもよい。
ナノ粒子を溶解するが母材を溶解しない液に限定はなく、ナノ粒子と母材を構成する材料との組合せに応じ、適切なものを選択することができる。例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の酸溶液;水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液;各種有機溶剤を用いることができる
浸漬時間に限定はなく、ナノ粒子が溶出するのに十分な時間浸漬すればよい。浸漬中に、試料に超音波を照射する等の溶出を促進させるための補助処理を行うこともできる。
溶出後、必要により水洗などをした後、乾燥させることにより、ナノポーラス表面を有するシート又は繊維が得られる。
【0028】
このようにして得られたナノポーラス表面を有するシートは、そのまま抗菌及び/又は除菌用シート材料として利用することができる。また、他の支持体に貼付して積層体として利用してもよい。
さらに、このようにして得られたナノポーラス表面を有するシートを母型として用い、その表面形状を他の材料に転写することにより、抗菌又は除菌用シート材料を製造することもできる。
【0029】
次に、本実施態様の抗菌又は除菌用シート材料を製造する手順の一例を説明する。なお、これらは単なる例示であって、本実施態様のシート材料及びその製造方法は、以下の手順及びこれにより製造されたものに限定されない。
母材を構成する材料としてフッ素樹脂を用意し、これを有機溶剤に添加し攪拌溶解して均一な溶液とする。得られた溶液にナノオーダーの粒径を有するAg粒子を分散させ、ナノ粒子分散液を得る。次いで、シート基材にこのAg粒子分散液を塗布し、乾燥させて有機溶剤を除去する。このようにして得られたフッ素樹脂中に複数のAg粒子が分散した層を有するシートを、塩酸に浸漬し、所定時間経過後取り出して水洗乾燥し、ナノポーラス表面を有するシートを得る。
なお、当業者にとっては、明細書、請求の範囲、または図面のどれであるかにかかわらず複数の選択的な用語を提示している択一的な単語や句は実質的にすべて、その用語のうちどれか一つ、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性が意図されていると理解されるべきことが理解される。例えば、「A又はB」という句は、「A」または「B」または「A及びB」の可能性が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本実施態様の抗菌及び/又は除菌用シート材料は、抗菌又は除菌目的の各種製品を製造する際の材料として利用できる。
例えば、皮膚の弱い人への適用が予定される用途、長時間人体や食品に触れることが予定される用途、精密機器などへの適用が予定される用途に利用できる。
具体的には、お手拭き、幼児用おしり拭き、化粧落としシート、身体清浄用シート、台所用ワイパー、床清掃用ワイパー、OA製品用クリーナー等の清拭シート;空気清浄機、空調機、マスク等のためのフィルタ;食品用抗菌シート;医薬品、食品等の包装材料として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に孔径が1000nm以下の凹部を複数有する、抗菌又は除菌用シート材料。
【請求項2】
請求項1に記載のシート材料からなる、清拭シート。
【請求項3】
請求項1に記載のシート材料からなる、フィルタ。
【請求項4】
請求項1に記載のシート材料からなる、包装材料。
【請求項5】
母材中に複数のナノ粒子が分散した材料を形成し、
該母材中に複数のナノ粒子が分散した材料を、ナノ粒子を溶解するが母材を溶解しない液に浸漬する、
ことを含む、抗菌又は除菌用シート材料の製造方法。
【請求項6】
前記ナノ粒子が、Ag粒子である、請求項5に記載の抗菌又は除菌用シート材料の製造方法。
【請求項7】
前記母材が、フッ素樹脂を含む、請求項5に記載の抗菌又は除菌用シート材料の製造方法。
【請求項8】
前記ナノ粒子を溶解するが母材を溶解しない液が、アルカリ溶液又は酸溶液である、請求項5に記載の抗菌又は除菌用シート材料の製造方法。
【請求項9】
前記母材中に複数のナノ粒子が分散した材料を形成することが、
シート基材を用意し、
母材を構成する材料を含む、ナノ粒子分散液を用意し、
該ナノ粒子分散液を前記シート基材上に塗布する、
ことを含む、請求項5に記載の抗菌又は除菌用シート材料の製造方法。
【請求項10】
前記母材中に複数のナノ粒子が分散した材料を形成することが、
母材を構成する材料からなる粒子とナノ粒子を構成する材料からなる粒子を混合して、固体混合物を用意することを含む、請求項5に記載の抗菌又は除菌用シート材料の製造方法。
【請求項11】
前記混合が、ボールミルを用いて行われる、請求項10に記載の抗菌又は除菌用シート材料の製造方法。
【請求項12】
母材中に複数のナノ粒子が分散した材料を形成し、
該母材中に複数のナノ粒子が分散した材料を、ナノ粒子を溶解するが母材を溶解しない液に浸漬する、
ことにより製造される、抗菌又は除菌用シート材料。

【公開番号】特開2010−188426(P2010−188426A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14252(P2009−14252)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(509348786)エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー (117)
【Fターム(参考)】