清掃用シート
【課題】 被清掃面に対して摩擦力が大きく、拭き取り能力に優れた清掃用シートを提供する。
【解決手段】 上シート2と下シート3との間に複数のゴム質紐状体5を配置し、これらを接合部において接合し、上シート2と下シート3とが相互に重なり合った状態で形成された多数の突起部7を設け、この多数の突起部7を形成してなる突起部形成領域16をゴム質紐状体5により伸縮可能に設ける。
【解決手段】 上シート2と下シート3との間に複数のゴム質紐状体5を配置し、これらを接合部において接合し、上シート2と下シート3とが相互に重なり合った状態で形成された多数の突起部7を設け、この多数の突起部7を形成してなる突起部形成領域16をゴム質紐状体5により伸縮可能に設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除の用具として用いられる清掃用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の床、壁、窓枠や、室内に設置される机、照明器具、電化製品などに付着したゴミ、埃を拭い取る道具として、清掃機能のあるシートを柄の先に取り付けて清掃を行うようにした清掃具が知られている。このような清掃具に取り付けて用いられる清掃用シートとして、不織布に長繊維を接合し、繊維層を清掃面とした、床清掃モップ用の清掃用シートが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、シートを不織布から形成し、不織布層を清掃面とした、ハンディモップ用の清掃用シートも知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平9−135798号公報
【特許文献2】特開平10−225408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に開示された清掃用シートにおいては、清掃面を構成するのは繊維層或いは単なる不織布層であるので、被清掃面のゴミに対する拭き取り能力が十分でないという欠点がある。即ち、繊維や不織布は、材質的に柔軟なものであるので被清掃面に対する摩擦力が小さく、そのためゴミを十分に捕捉できないという問題点があった。
特に上記の清掃用シートは、比較的大きなゴミに対しては捕捉能力が極めて低いものであった。
【0005】
また、不織布シートの上面に突起状のシボ模様を形成してなる清掃用シートが知られているが、そのシボ模様の突起はシート表面から極めて僅かに突出しているだけにすぎず、そのような嵩の低い突起ではゴミに対する拭き取り能力は未だ十分ではない。
【0006】
更に、突起は不織布シートの片面にしか形成されないため、シートの上下両面に突起を形成するためには、別途、基材シートを用意し、突起状のシボ模様が形成されたシートを基材シートの上下両面にそれぞれ積層するという構造を採用する必要があり、構造が複雑になるばかりか、製造コストも高価になるという欠点があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、拭き取り能力に優れ、比較的大きなゴミであっても容易に捕捉することができ、且つコスト的にも安価な清掃用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)上シートと、下シートと、これら上シート、下シートの間に配置された複数のゴム質紐状体とを有し、上シート、下シート及びゴム質紐状体は接合部において接合されており、上シートと、下シートとが相互に重なり合った状態で形成された多数の突起部を備え、多数の突起部を形成してなる突起部形成領域が伸縮可能に設けられていることを特徴とする清掃用シート、
(2)複数のゴム質紐状体は、所定間隔ごとに並列して配置されている前記(1)記載の清掃用シート、
(3)ゴム質紐状体に接着剤が施され、この接着剤が施されたゴム質紐状体の形成部が接合部として構成されている前記(1)又は(2)記載の清掃用シート、
(4)突起部形成領域に接着剤が施され、この接着剤が施された突起部形成領域が接合部として構成されている前記(1)又は(2)記載の清掃用シート、
(5)上シート又は下シートに接着剤が施され、複数配置されたゴム質紐状体は接着剤を介して上シート又は下シートに接合されると共に、上シートと下シートが接着剤を介して相互に接合されている前記(1)、(2)又は(4)記載の清掃用シート、
(6)接着剤が、ホットメルト型接着剤である前記(3)、(4)又は(5)記載の清掃用シート、
(7)上シート及び下シートに小孔が設けられている前記(1)〜(6)のいずれかに記載の清掃用シート、
(8)シートの上下両面に多数の突起部が形成されている前記(1)〜(6)のいずれかに記載の清掃用シート
を要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上シートと下シートとの間に複数のゴム質紐状体を配置し、これらを接合部において接合し、上シートと下シートとが相互に重なり合った状態で形成される多数の突起部を設け、この多数の突起部を形成してなる突起部形成領域をゴム質紐状体により伸縮可能に設けてなるものであるから、従来品に比べ被清掃面に対する摩擦力を大きくすることができ、その結果、ゴミの拭き取り能力に優れ、比較的大きなゴミであっても容易に捕捉することができ、清掃効率を向上できる効果がある。
【0010】
また、シートの上下両面に突起部を備えた構造体とすることが可能であり、このような上下突起構造でありながら、簡単な構造で済み、製造も容易で、コスト的にも安価な清掃用シートを提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明清掃用シートの実施例を示すもので、清掃用シート1は、上シート2と下シート3とを積層して構成され、全体として長方形状を有し、上シート2の縦方向(短辺方向)長さは、下シート3の縦方向(短辺方向)長さよりも短く形成されている。
上シート2の両端縁部2a、2bの外方には、清掃用シートを清掃器具の台板に取り付けるための取付部4が設けられている。
【0012】
上シート2と下シート3の間には、所定間隔ごとに並列して配置されたゴム質紐状体5が介在され、図2に示すように、このゴム質紐状体5の周面に付着している接着剤6によって両シート2、3は接合し、2枚のシートからなる清掃用シート1が形成されている。
このように、ゴム質紐状体5の配置されている箇所が、両シート2、3の接合部として構成される。
【0013】
ゴム質紐状体5の両端部付近は接着剤が付着しておらず、それによりゴム質紐状体5には、接着剤付着部5aと接着剤非付着部5bが形成されている。
【0014】
清掃用シート1の取付部4付近を除く領域に、図3に示すように、多数の突起部7が形成され、突起部7と突起部7の間には、凹部8が形成されている。この突起部7と凹部8とによって形作られる凹凸形状体の構造は、同図に示すように、上シート2と下シート3の両者が相互に重なり合った状態で突起部7及び凹部8が形成されている構造となっている。図中、16は多数の突起部7が形成された突起部形成領域を示す。
【0015】
上記した構成から明らかなように、清掃用シート1は、その上下両面に突起部7が形成された構造を備えている。このように、シートの上下両面に突起部7が形成された構造とすることにより、清掃用シート1の表裏両面を清掃面として使用できる。即ち、清掃により一方の面が汚れた場合には、他方の面を清掃面として使用でき、有効利用が図れて経済的である。
【0016】
突起部7の形態として図1には、清掃用シート1の横方向(長辺方向)に沿う突起列が複数、直線状に規則正しく並列して設けられている状態が図示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、突起列は直線状でなく、蛇行していてもよく、また突起列は相互に並列状態でなく、不規則に配置されていてもよい。
更に、突起部7の形態として、突起列という形態をとらなくてもよい。即ち、突起部7が列状に連続していなくてもよく、突起部7が相互に不連続な関係に配置されていてもよい。
【0017】
上シート2の端縁部2a、2b付近には、突起部7が形成されていない延長部9が設けられており(図1)、この延長部9と接する下シート3の延長部9対向面にも突起部7は形成されていない(図2)。
ゴム質紐状体5の接着剤付着部5aは、突起部形成領域16に位置して臨んでおり、またゴム質紐状体5の接着剤非付着部5bは、突起部7の非形成領域、即ち延長部9の下方に位置して臨んでいる(図2)。
【0018】
ゴム質紐状体5が伸びる方向、即ち図1において矢印a、b方向に清掃用シート1を引っ張ると、清掃用シート1が同方向に伸び、それに伴って突起部7は嵩高さが小さくなる方向に伸ばされるが、引っ張り力を解除すると、ゴム質紐状体5の弾発力によって清掃用シート1は、上記a、b方向とは反対の方向に引っ張られる。それにより、清掃用シート1は元の状態に復帰し、従って、突起部7も元の嵩高状態に復帰する。
このように、突起部形成領域16は、伸縮可能に設けられている。
【0019】
上シート2及び下シート3としてそれぞれ、不織布シート、プラスチックシートなどが用いられるが、不織布シートを用いることが好ましい。不織布シートの材質としては、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、エアースルー不織布、ポイントボンド不織布などを用いることができる。
【0020】
不織布の構成材料である繊維としては、レーヨン、綿或いはナイロン(登録商標)などの親水性繊維や、ポリプロピレン、アクリル或いはポリエステルなどの親油性繊維が、単独で又はそれらを混合して用いられる。
一方、プラスチックシートを用いる場合、その材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどが挙げられる。
【0021】
ゴム質紐状体5とは、ゴム質材料からなり、紐のように細長い形状を有するものをいう。ゴム質紐状体5としては、通常用いられている伸縮性を有するゴム質材料であれば、どのような材質のものでも用いることができ、天然ゴム、合成ゴムなど、任意の材質を用いることができる。具体的には、ポリウレタンゴム、スチレンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられるが、伸縮性、耐油性、耐候性の点で、ポリウレタンゴムを用いることが好ましい。ポリウレタンゴムとして例えば、東レ・デュポン株式会社製のポリウレタンゴムを用いることができる。
【0022】
ゴム質紐状体5の太さとしては、300〜900デシテックスのものを用いることができ、550〜650デシテックスのものが好ましい。
また、ゴム質紐状体5の伸び倍率は、1.2倍〜4倍のものを用いることができ、2倍〜3倍のものが好ましい。ここで、ゴム質紐状体5の伸び倍率とは、ゴム質紐状体5を引っ張ったとき何倍の長さに伸びるかを表わすものであり、力を加えない状態におけるゴム質紐状体5の長さをS(図1)とし、これを最大に引っ張ったときの最大伸張長さをLとしたとき、L/Sがゴム質紐状体5の伸び倍率となる。
伸び倍率が1.2倍未満では、引っ張り力を解除したときの収縮力(復元力)によって突起部7を作る作用が不十分となり、また伸び倍率が4倍を超えると、収縮力が大きすぎて、自由な伸縮作用が起きにくくなる。
ゴム質紐状体5は、断面形状が円形のものでも、四角形などの多角形状のものでもよい。
【0023】
ゴム質紐状体5の周面に施される接着剤としては、公知の接着剤を用いることができ、例えば、ホットメルト型接着剤、二液硬化型接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤などを用いることができる。なかでも、ホットメルト型接着剤が好ましい。
【0024】
次に、本発明清掃用シートの製造方法の一例を説明する。
図5に示すように、不織布からなる下シート3が、巻回ロール12から順次、繰り出され、同図矢印d方向に供給される。この下シート3の上方位置において、ゴム質紐状体5が、巻回ロール13から順次、繰り出され、ここで同図矢印c方向への引っ張り力が与えられ、ゴム質紐状体5は伸張した状態でc方向に供給される。
ゴム質紐状体5には搬送途中で接着剤6が吹き付けられ、ゴム質紐状体5の周面に接着剤6が付着する(図6)。このように、伸張状態にあるゴム質紐状体5に接着剤6が吹き付けられる。
ゴム質紐状体5の伸張状態は、ゴムが最大に引っ張られた状態であることが好ましい。
【0025】
接着剤6は、ゴム質紐状体5の長さ方向に亘って、連続して吹き付けられるものではなく、或る所定長さごとに間欠的に吹き付けられる。この接着剤6が間欠的に吹き付けられた状態は図6に示されている。
間欠的に吹き付けられた接着剤6の塗工長さt(図6)は、前述したゴム質紐状体5の伸び倍率(L/S)と、突起部7が形成されている突起部形成領域16の縦方向長さn(図1)とによって決定される。
即ち、突起部形成領域16の縦方向長さnにゴム質紐状体5の伸び倍率(L/S)を乗じた(n×L/S)の値で示される長さが、伸張状態のゴム質紐状体5に形成される接着剤塗工長さtである。
【0026】
このように、図5に示す接着剤塗工工程において、ゴム質紐状体5に接着剤6を吹き付けるに当り、予め定められた接着剤塗工長さとなるように間欠的に接着剤6を吹き付ける。
例えば、ゴム質紐状体5の伸び倍率が2倍であるとした場合において、突起部形成領域16の縦方向の長さnが7cmであるとした場合、ゴム質紐状体5に接着剤6を吹き付ける際の、接着剤塗工長さtは、14cm(7×2=14)となる。
【0027】
図5に示す工程で、ゴム質紐状体5に対する接着剤6の吹き付けが終了すると、このゴム質紐状体5の上方から、所定の寸法に裁断された上シート2が供給される(図6)。
これらの上シート2、接着剤の付着されたゴム質紐状体5及び下シート3は、図7に示すように、ロール17、18間に通されて上下方向に押圧され、この上下方向の押圧により、接着剤6を介して上シート2、ゴム質紐状体5及び下シート3が接合一体化する。
この接合工程においてもゴム質紐状体5には引っ張り力が付与された状態が維持されており、ゴム質紐状体5が引っ張られた状態で接合が行われる。
【0028】
かくして、接着剤が施されたゴム質紐状体5の形成部が接合部として構成され、このような接合部により上シート2とゴム質紐状体5と下シート3とが積層された積層体が得られる。この積層体は、ロール17、18間を通過した後、図8に示すように、切断刃14、15により、所定の製品寸法に切断される。
この切断工程においてもゴム質紐状体5には引っ張り力が付与された状態が維持されており、ゴム質紐状体5が引っ張られた状態で切断が行われる。
図8に示す2つの切断刃14、15による切断部間の距離は、図1に示す清掃シート1の縦方向長さxに相当する。
【0029】
この切断工程において、ゴム質紐状体5及び下シート3が切断される。ゴム質紐状体5が切断されることにより、切断されたゴム質紐状体5は引っ張り力から開放され、ゴムの復元力によって収縮し、このゴム質紐状体5の収縮に伴い、ゴム質紐状体5に接合一体化している上シート2及び下シート3はゴム収縮方向に引っ張られ、ゴム質紐状体5とこのゴム質紐状体5と隣り合う他のゴム質紐状体5の間において、比較的大きなヒダを多数形成する。このヒダが突起部7を構成する。
【0030】
上記したゴム質紐状体5の収縮の際、ゴム質紐状体5の両端部付近における接着剤非付着部5bは、上シート2と下シート3の間を通って収縮し、上シート2の延長部9の下方に収納される(図2)。
【0031】
本発明清掃用シート1は、図3に示すように、シートの上下両面に、多数の突起部7が形成されており、また図3、図9に示すように、突起部7相互間には凹部8が形成されている。突起部7と凹部8が交互に配置される方向、即ち、図8においてa、b方向に沿ってゴム質紐状体5が上シート2、下シート3間に複数配置されている。
このように構成される突起部形成領域16は、ゴム質紐状体5によって伸縮可能に設けられている。
【0032】
清掃用シート1は、図示しない清掃器具の台板に取り付けて清掃具として用いられる。この場合、清掃用シート1を台板の表面に沿って巻き付け、取付部4を台板上の固定具により係止固定する。
表清掃用シート1を前記台板に取り付けて被清掃面を清掃する際、清掃時に被清掃面に押し付ける力により、清掃用シート1と被清掃面との間に一定の摩擦力が生じる。
例えば、図9において矢印a方向に清掃具を動かすと(尚、図9は、突起部7の形成面を上方に向けた状態で図示してある)、前記した摩擦力でゴム質紐状体5が引っ張られ、突起部7が変形する。このとき、ゴム質紐状体5の復元力が働き、突起部7が元の状態に戻ろうとする作用が生じる。このようなゴム質紐状体5の復元力が働くことにより、被清掃面に対する摩擦力が増大する。その結果、清掃用シート1による被清掃面に対する拭き取り能力が増大し、ゴミ捕捉機能が向上する。
【0033】
捕捉されたゴミの一部は、突起部7、7相互間の凹部8に入り込む。凹部8は、突起部7と同様、ゴム質紐状体5の収縮力(復元力)によって、常に凹部間隔が狭まる方向の力が働いているので、ゴミは確実に凹部8に収納保持される。
【0034】
図4に示すように、上シート2と下シート3のそれぞれに、多数の小孔を設けることができる。図中、10は上シート2に設けた小孔、11は下シート3に設けた小孔をそれぞれ示す。
このように多数の小孔10、11を設けた場合は、小孔10、11の部分でもゴミを捕捉できる利点がある。
【0035】
次に、本発明の他の実施態様を説明する。図4に示すと同様、多数の小孔10を設けた上シート2と、多数の小孔11を設けた下シート3を用い、下シート3に接着剤を塗布する。図10に示すように、接着剤6は、下シート3の横方向長さeと縦方向長さfとで囲まれる領域(以下、拡大領域という)内において、その領域全面に塗布される。
この拡大領域の面積は、例えば、図1における突起部形成領域16を矢印a、b方向に最大に引っ張ったときの当該領域16の拡大された面積と同じ大きさである。
【0036】
接着剤6として、前記実施態様におけると同様の接着剤を用いることができる。尚、ホットメルト型接着剤を用いる場合、このホットメルト型接着剤として例えば、国民淀粉化学(上海)有限公司製のホットメルト型接着剤(商品番号:5Q122E、DMC5266)を用いることができる。
【0037】
前記実施態様における製造方法と同様、図10、図11に示すように、接着剤6を施してなる下シート3の上方に複数のゴム質紐状体5を供給し、このゴム質紐状体5の上方に上シート2を供給し、これらをロール17、18(図7)間で押圧して接合一体化する。下シート3とゴム質紐状体5は、拡大領域内で接着剤6を介して接合し、且つゴム質紐状体5を挟むようにして、上シート2と下シート3が相互に接着剤6を介して接合する。
ゴム質紐状体5の材質、太さなどは、前記実施態様におけるゴム質紐状体の場合と同様である。
【0038】
次いで、切断刃14、15(図8)により所定寸法に切断する。
この切断時に前述したと同様、ゴム質紐状体5が復元力により収縮し、このゴム質紐状体5の収縮に伴い、ゴム質紐状体5と接合している下シート3及びこの下シート3と接合している上シート2が一体となってゴム質紐状体5の収縮方向に引っ張られ、図12に示すように、清掃用シートの上下両面に多数の突起部7が形成される。
この突起部7の形成に伴い、拡大領域の面積は縮小し、例えば、図1における突起部形成領域16の面積と同じ大きさとなる。このようにして図1に示すと同様な突起部形成領域16が形成される。
この実施態様においては、接着剤6が施された突起部形成領域16が接合部として構成される。そして、突起部形成領域16は、ゴム質紐状体5によって伸縮可能に設けられている。
【0039】
この実施態様における清掃用シートは、図12に示す如き突起部7を有しており、この突起部7は、同図に示すように、上シート2と下シート3とが相互に重なり合った状態で形成されていると共に、上シート2と下シート3との間に接着剤6の層が形成されている。そして、上シート2、下シート3には、それぞれ多数の小孔10、11が穿設されている。
この構造によれば、清掃時に清掃用シートを被清掃面に押し付けたときに、小孔10、11を通して接着剤6が被清掃面に当接し、それにより被清掃面上のゴミは接着剤6の粘着力によって捕捉され、清掃が行われる。
従って、この実施態様によれば、通常では捕捉しにくいゴミ、例えば比較的大きいゴミや金属などの重いゴミなども容易に捕捉できるという効果がある。
【0040】
上記構成において、接着剤6は、下シート3に施す場合に限られず、上シート2に接着剤6を施してもよい。
【0041】
上記した各実施態様において、上シート2を下シート3と同じサイズに形成してもよい。
また、上記各実施態様においては、突起部の形成されている領域と、突起部の形成されていない領域を有する構造としたが、これに限定されず、シート全面に突起部を形成した構造のものでもよい。
【0042】
更に、上シート2と下シート3として、シボ状の小さな突起を有するシートを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明清掃用シートの平面図である。
【図2】図1のA−A線縦断面図である。
【図3】図1のB−B線縦断面図である。
【図4】小孔を有する上シートと下シートを用いた場合の部分平面図である。
【図5】本発明清掃用シートの製造方法を示す部分略図である。
【図6】本発明清掃用シートの製造方法を示す部分断面図である。
【図7】本発明清掃用シートの製造方法を示す部分断面図である。
【図8】本発明清掃用シートの製造方法を示す部分断面図である。
【図9】突起部の配列状態を示す部分拡大平面図である。
【図10】本発明の他の実施態様における下シートの平面図である。
【図11】本発明の他の実施態様における清掃用シートの製造方法を示す部分断面図である。
【図12】本発明の他の実施態様における突起部を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 清掃用シート
2 上シート
3 下シート
5 ゴム質紐状体
7 突起部
16 突起部形成領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除の用具として用いられる清掃用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の床、壁、窓枠や、室内に設置される机、照明器具、電化製品などに付着したゴミ、埃を拭い取る道具として、清掃機能のあるシートを柄の先に取り付けて清掃を行うようにした清掃具が知られている。このような清掃具に取り付けて用いられる清掃用シートとして、不織布に長繊維を接合し、繊維層を清掃面とした、床清掃モップ用の清掃用シートが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、シートを不織布から形成し、不織布層を清掃面とした、ハンディモップ用の清掃用シートも知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平9−135798号公報
【特許文献2】特開平10−225408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に開示された清掃用シートにおいては、清掃面を構成するのは繊維層或いは単なる不織布層であるので、被清掃面のゴミに対する拭き取り能力が十分でないという欠点がある。即ち、繊維や不織布は、材質的に柔軟なものであるので被清掃面に対する摩擦力が小さく、そのためゴミを十分に捕捉できないという問題点があった。
特に上記の清掃用シートは、比較的大きなゴミに対しては捕捉能力が極めて低いものであった。
【0005】
また、不織布シートの上面に突起状のシボ模様を形成してなる清掃用シートが知られているが、そのシボ模様の突起はシート表面から極めて僅かに突出しているだけにすぎず、そのような嵩の低い突起ではゴミに対する拭き取り能力は未だ十分ではない。
【0006】
更に、突起は不織布シートの片面にしか形成されないため、シートの上下両面に突起を形成するためには、別途、基材シートを用意し、突起状のシボ模様が形成されたシートを基材シートの上下両面にそれぞれ積層するという構造を採用する必要があり、構造が複雑になるばかりか、製造コストも高価になるという欠点があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、拭き取り能力に優れ、比較的大きなゴミであっても容易に捕捉することができ、且つコスト的にも安価な清掃用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)上シートと、下シートと、これら上シート、下シートの間に配置された複数のゴム質紐状体とを有し、上シート、下シート及びゴム質紐状体は接合部において接合されており、上シートと、下シートとが相互に重なり合った状態で形成された多数の突起部を備え、多数の突起部を形成してなる突起部形成領域が伸縮可能に設けられていることを特徴とする清掃用シート、
(2)複数のゴム質紐状体は、所定間隔ごとに並列して配置されている前記(1)記載の清掃用シート、
(3)ゴム質紐状体に接着剤が施され、この接着剤が施されたゴム質紐状体の形成部が接合部として構成されている前記(1)又は(2)記載の清掃用シート、
(4)突起部形成領域に接着剤が施され、この接着剤が施された突起部形成領域が接合部として構成されている前記(1)又は(2)記載の清掃用シート、
(5)上シート又は下シートに接着剤が施され、複数配置されたゴム質紐状体は接着剤を介して上シート又は下シートに接合されると共に、上シートと下シートが接着剤を介して相互に接合されている前記(1)、(2)又は(4)記載の清掃用シート、
(6)接着剤が、ホットメルト型接着剤である前記(3)、(4)又は(5)記載の清掃用シート、
(7)上シート及び下シートに小孔が設けられている前記(1)〜(6)のいずれかに記載の清掃用シート、
(8)シートの上下両面に多数の突起部が形成されている前記(1)〜(6)のいずれかに記載の清掃用シート
を要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上シートと下シートとの間に複数のゴム質紐状体を配置し、これらを接合部において接合し、上シートと下シートとが相互に重なり合った状態で形成される多数の突起部を設け、この多数の突起部を形成してなる突起部形成領域をゴム質紐状体により伸縮可能に設けてなるものであるから、従来品に比べ被清掃面に対する摩擦力を大きくすることができ、その結果、ゴミの拭き取り能力に優れ、比較的大きなゴミであっても容易に捕捉することができ、清掃効率を向上できる効果がある。
【0010】
また、シートの上下両面に突起部を備えた構造体とすることが可能であり、このような上下突起構造でありながら、簡単な構造で済み、製造も容易で、コスト的にも安価な清掃用シートを提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明清掃用シートの実施例を示すもので、清掃用シート1は、上シート2と下シート3とを積層して構成され、全体として長方形状を有し、上シート2の縦方向(短辺方向)長さは、下シート3の縦方向(短辺方向)長さよりも短く形成されている。
上シート2の両端縁部2a、2bの外方には、清掃用シートを清掃器具の台板に取り付けるための取付部4が設けられている。
【0012】
上シート2と下シート3の間には、所定間隔ごとに並列して配置されたゴム質紐状体5が介在され、図2に示すように、このゴム質紐状体5の周面に付着している接着剤6によって両シート2、3は接合し、2枚のシートからなる清掃用シート1が形成されている。
このように、ゴム質紐状体5の配置されている箇所が、両シート2、3の接合部として構成される。
【0013】
ゴム質紐状体5の両端部付近は接着剤が付着しておらず、それによりゴム質紐状体5には、接着剤付着部5aと接着剤非付着部5bが形成されている。
【0014】
清掃用シート1の取付部4付近を除く領域に、図3に示すように、多数の突起部7が形成され、突起部7と突起部7の間には、凹部8が形成されている。この突起部7と凹部8とによって形作られる凹凸形状体の構造は、同図に示すように、上シート2と下シート3の両者が相互に重なり合った状態で突起部7及び凹部8が形成されている構造となっている。図中、16は多数の突起部7が形成された突起部形成領域を示す。
【0015】
上記した構成から明らかなように、清掃用シート1は、その上下両面に突起部7が形成された構造を備えている。このように、シートの上下両面に突起部7が形成された構造とすることにより、清掃用シート1の表裏両面を清掃面として使用できる。即ち、清掃により一方の面が汚れた場合には、他方の面を清掃面として使用でき、有効利用が図れて経済的である。
【0016】
突起部7の形態として図1には、清掃用シート1の横方向(長辺方向)に沿う突起列が複数、直線状に規則正しく並列して設けられている状態が図示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、突起列は直線状でなく、蛇行していてもよく、また突起列は相互に並列状態でなく、不規則に配置されていてもよい。
更に、突起部7の形態として、突起列という形態をとらなくてもよい。即ち、突起部7が列状に連続していなくてもよく、突起部7が相互に不連続な関係に配置されていてもよい。
【0017】
上シート2の端縁部2a、2b付近には、突起部7が形成されていない延長部9が設けられており(図1)、この延長部9と接する下シート3の延長部9対向面にも突起部7は形成されていない(図2)。
ゴム質紐状体5の接着剤付着部5aは、突起部形成領域16に位置して臨んでおり、またゴム質紐状体5の接着剤非付着部5bは、突起部7の非形成領域、即ち延長部9の下方に位置して臨んでいる(図2)。
【0018】
ゴム質紐状体5が伸びる方向、即ち図1において矢印a、b方向に清掃用シート1を引っ張ると、清掃用シート1が同方向に伸び、それに伴って突起部7は嵩高さが小さくなる方向に伸ばされるが、引っ張り力を解除すると、ゴム質紐状体5の弾発力によって清掃用シート1は、上記a、b方向とは反対の方向に引っ張られる。それにより、清掃用シート1は元の状態に復帰し、従って、突起部7も元の嵩高状態に復帰する。
このように、突起部形成領域16は、伸縮可能に設けられている。
【0019】
上シート2及び下シート3としてそれぞれ、不織布シート、プラスチックシートなどが用いられるが、不織布シートを用いることが好ましい。不織布シートの材質としては、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、エアースルー不織布、ポイントボンド不織布などを用いることができる。
【0020】
不織布の構成材料である繊維としては、レーヨン、綿或いはナイロン(登録商標)などの親水性繊維や、ポリプロピレン、アクリル或いはポリエステルなどの親油性繊維が、単独で又はそれらを混合して用いられる。
一方、プラスチックシートを用いる場合、その材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどが挙げられる。
【0021】
ゴム質紐状体5とは、ゴム質材料からなり、紐のように細長い形状を有するものをいう。ゴム質紐状体5としては、通常用いられている伸縮性を有するゴム質材料であれば、どのような材質のものでも用いることができ、天然ゴム、合成ゴムなど、任意の材質を用いることができる。具体的には、ポリウレタンゴム、スチレンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられるが、伸縮性、耐油性、耐候性の点で、ポリウレタンゴムを用いることが好ましい。ポリウレタンゴムとして例えば、東レ・デュポン株式会社製のポリウレタンゴムを用いることができる。
【0022】
ゴム質紐状体5の太さとしては、300〜900デシテックスのものを用いることができ、550〜650デシテックスのものが好ましい。
また、ゴム質紐状体5の伸び倍率は、1.2倍〜4倍のものを用いることができ、2倍〜3倍のものが好ましい。ここで、ゴム質紐状体5の伸び倍率とは、ゴム質紐状体5を引っ張ったとき何倍の長さに伸びるかを表わすものであり、力を加えない状態におけるゴム質紐状体5の長さをS(図1)とし、これを最大に引っ張ったときの最大伸張長さをLとしたとき、L/Sがゴム質紐状体5の伸び倍率となる。
伸び倍率が1.2倍未満では、引っ張り力を解除したときの収縮力(復元力)によって突起部7を作る作用が不十分となり、また伸び倍率が4倍を超えると、収縮力が大きすぎて、自由な伸縮作用が起きにくくなる。
ゴム質紐状体5は、断面形状が円形のものでも、四角形などの多角形状のものでもよい。
【0023】
ゴム質紐状体5の周面に施される接着剤としては、公知の接着剤を用いることができ、例えば、ホットメルト型接着剤、二液硬化型接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤などを用いることができる。なかでも、ホットメルト型接着剤が好ましい。
【0024】
次に、本発明清掃用シートの製造方法の一例を説明する。
図5に示すように、不織布からなる下シート3が、巻回ロール12から順次、繰り出され、同図矢印d方向に供給される。この下シート3の上方位置において、ゴム質紐状体5が、巻回ロール13から順次、繰り出され、ここで同図矢印c方向への引っ張り力が与えられ、ゴム質紐状体5は伸張した状態でc方向に供給される。
ゴム質紐状体5には搬送途中で接着剤6が吹き付けられ、ゴム質紐状体5の周面に接着剤6が付着する(図6)。このように、伸張状態にあるゴム質紐状体5に接着剤6が吹き付けられる。
ゴム質紐状体5の伸張状態は、ゴムが最大に引っ張られた状態であることが好ましい。
【0025】
接着剤6は、ゴム質紐状体5の長さ方向に亘って、連続して吹き付けられるものではなく、或る所定長さごとに間欠的に吹き付けられる。この接着剤6が間欠的に吹き付けられた状態は図6に示されている。
間欠的に吹き付けられた接着剤6の塗工長さt(図6)は、前述したゴム質紐状体5の伸び倍率(L/S)と、突起部7が形成されている突起部形成領域16の縦方向長さn(図1)とによって決定される。
即ち、突起部形成領域16の縦方向長さnにゴム質紐状体5の伸び倍率(L/S)を乗じた(n×L/S)の値で示される長さが、伸張状態のゴム質紐状体5に形成される接着剤塗工長さtである。
【0026】
このように、図5に示す接着剤塗工工程において、ゴム質紐状体5に接着剤6を吹き付けるに当り、予め定められた接着剤塗工長さとなるように間欠的に接着剤6を吹き付ける。
例えば、ゴム質紐状体5の伸び倍率が2倍であるとした場合において、突起部形成領域16の縦方向の長さnが7cmであるとした場合、ゴム質紐状体5に接着剤6を吹き付ける際の、接着剤塗工長さtは、14cm(7×2=14)となる。
【0027】
図5に示す工程で、ゴム質紐状体5に対する接着剤6の吹き付けが終了すると、このゴム質紐状体5の上方から、所定の寸法に裁断された上シート2が供給される(図6)。
これらの上シート2、接着剤の付着されたゴム質紐状体5及び下シート3は、図7に示すように、ロール17、18間に通されて上下方向に押圧され、この上下方向の押圧により、接着剤6を介して上シート2、ゴム質紐状体5及び下シート3が接合一体化する。
この接合工程においてもゴム質紐状体5には引っ張り力が付与された状態が維持されており、ゴム質紐状体5が引っ張られた状態で接合が行われる。
【0028】
かくして、接着剤が施されたゴム質紐状体5の形成部が接合部として構成され、このような接合部により上シート2とゴム質紐状体5と下シート3とが積層された積層体が得られる。この積層体は、ロール17、18間を通過した後、図8に示すように、切断刃14、15により、所定の製品寸法に切断される。
この切断工程においてもゴム質紐状体5には引っ張り力が付与された状態が維持されており、ゴム質紐状体5が引っ張られた状態で切断が行われる。
図8に示す2つの切断刃14、15による切断部間の距離は、図1に示す清掃シート1の縦方向長さxに相当する。
【0029】
この切断工程において、ゴム質紐状体5及び下シート3が切断される。ゴム質紐状体5が切断されることにより、切断されたゴム質紐状体5は引っ張り力から開放され、ゴムの復元力によって収縮し、このゴム質紐状体5の収縮に伴い、ゴム質紐状体5に接合一体化している上シート2及び下シート3はゴム収縮方向に引っ張られ、ゴム質紐状体5とこのゴム質紐状体5と隣り合う他のゴム質紐状体5の間において、比較的大きなヒダを多数形成する。このヒダが突起部7を構成する。
【0030】
上記したゴム質紐状体5の収縮の際、ゴム質紐状体5の両端部付近における接着剤非付着部5bは、上シート2と下シート3の間を通って収縮し、上シート2の延長部9の下方に収納される(図2)。
【0031】
本発明清掃用シート1は、図3に示すように、シートの上下両面に、多数の突起部7が形成されており、また図3、図9に示すように、突起部7相互間には凹部8が形成されている。突起部7と凹部8が交互に配置される方向、即ち、図8においてa、b方向に沿ってゴム質紐状体5が上シート2、下シート3間に複数配置されている。
このように構成される突起部形成領域16は、ゴム質紐状体5によって伸縮可能に設けられている。
【0032】
清掃用シート1は、図示しない清掃器具の台板に取り付けて清掃具として用いられる。この場合、清掃用シート1を台板の表面に沿って巻き付け、取付部4を台板上の固定具により係止固定する。
表清掃用シート1を前記台板に取り付けて被清掃面を清掃する際、清掃時に被清掃面に押し付ける力により、清掃用シート1と被清掃面との間に一定の摩擦力が生じる。
例えば、図9において矢印a方向に清掃具を動かすと(尚、図9は、突起部7の形成面を上方に向けた状態で図示してある)、前記した摩擦力でゴム質紐状体5が引っ張られ、突起部7が変形する。このとき、ゴム質紐状体5の復元力が働き、突起部7が元の状態に戻ろうとする作用が生じる。このようなゴム質紐状体5の復元力が働くことにより、被清掃面に対する摩擦力が増大する。その結果、清掃用シート1による被清掃面に対する拭き取り能力が増大し、ゴミ捕捉機能が向上する。
【0033】
捕捉されたゴミの一部は、突起部7、7相互間の凹部8に入り込む。凹部8は、突起部7と同様、ゴム質紐状体5の収縮力(復元力)によって、常に凹部間隔が狭まる方向の力が働いているので、ゴミは確実に凹部8に収納保持される。
【0034】
図4に示すように、上シート2と下シート3のそれぞれに、多数の小孔を設けることができる。図中、10は上シート2に設けた小孔、11は下シート3に設けた小孔をそれぞれ示す。
このように多数の小孔10、11を設けた場合は、小孔10、11の部分でもゴミを捕捉できる利点がある。
【0035】
次に、本発明の他の実施態様を説明する。図4に示すと同様、多数の小孔10を設けた上シート2と、多数の小孔11を設けた下シート3を用い、下シート3に接着剤を塗布する。図10に示すように、接着剤6は、下シート3の横方向長さeと縦方向長さfとで囲まれる領域(以下、拡大領域という)内において、その領域全面に塗布される。
この拡大領域の面積は、例えば、図1における突起部形成領域16を矢印a、b方向に最大に引っ張ったときの当該領域16の拡大された面積と同じ大きさである。
【0036】
接着剤6として、前記実施態様におけると同様の接着剤を用いることができる。尚、ホットメルト型接着剤を用いる場合、このホットメルト型接着剤として例えば、国民淀粉化学(上海)有限公司製のホットメルト型接着剤(商品番号:5Q122E、DMC5266)を用いることができる。
【0037】
前記実施態様における製造方法と同様、図10、図11に示すように、接着剤6を施してなる下シート3の上方に複数のゴム質紐状体5を供給し、このゴム質紐状体5の上方に上シート2を供給し、これらをロール17、18(図7)間で押圧して接合一体化する。下シート3とゴム質紐状体5は、拡大領域内で接着剤6を介して接合し、且つゴム質紐状体5を挟むようにして、上シート2と下シート3が相互に接着剤6を介して接合する。
ゴム質紐状体5の材質、太さなどは、前記実施態様におけるゴム質紐状体の場合と同様である。
【0038】
次いで、切断刃14、15(図8)により所定寸法に切断する。
この切断時に前述したと同様、ゴム質紐状体5が復元力により収縮し、このゴム質紐状体5の収縮に伴い、ゴム質紐状体5と接合している下シート3及びこの下シート3と接合している上シート2が一体となってゴム質紐状体5の収縮方向に引っ張られ、図12に示すように、清掃用シートの上下両面に多数の突起部7が形成される。
この突起部7の形成に伴い、拡大領域の面積は縮小し、例えば、図1における突起部形成領域16の面積と同じ大きさとなる。このようにして図1に示すと同様な突起部形成領域16が形成される。
この実施態様においては、接着剤6が施された突起部形成領域16が接合部として構成される。そして、突起部形成領域16は、ゴム質紐状体5によって伸縮可能に設けられている。
【0039】
この実施態様における清掃用シートは、図12に示す如き突起部7を有しており、この突起部7は、同図に示すように、上シート2と下シート3とが相互に重なり合った状態で形成されていると共に、上シート2と下シート3との間に接着剤6の層が形成されている。そして、上シート2、下シート3には、それぞれ多数の小孔10、11が穿設されている。
この構造によれば、清掃時に清掃用シートを被清掃面に押し付けたときに、小孔10、11を通して接着剤6が被清掃面に当接し、それにより被清掃面上のゴミは接着剤6の粘着力によって捕捉され、清掃が行われる。
従って、この実施態様によれば、通常では捕捉しにくいゴミ、例えば比較的大きいゴミや金属などの重いゴミなども容易に捕捉できるという効果がある。
【0040】
上記構成において、接着剤6は、下シート3に施す場合に限られず、上シート2に接着剤6を施してもよい。
【0041】
上記した各実施態様において、上シート2を下シート3と同じサイズに形成してもよい。
また、上記各実施態様においては、突起部の形成されている領域と、突起部の形成されていない領域を有する構造としたが、これに限定されず、シート全面に突起部を形成した構造のものでもよい。
【0042】
更に、上シート2と下シート3として、シボ状の小さな突起を有するシートを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明清掃用シートの平面図である。
【図2】図1のA−A線縦断面図である。
【図3】図1のB−B線縦断面図である。
【図4】小孔を有する上シートと下シートを用いた場合の部分平面図である。
【図5】本発明清掃用シートの製造方法を示す部分略図である。
【図6】本発明清掃用シートの製造方法を示す部分断面図である。
【図7】本発明清掃用シートの製造方法を示す部分断面図である。
【図8】本発明清掃用シートの製造方法を示す部分断面図である。
【図9】突起部の配列状態を示す部分拡大平面図である。
【図10】本発明の他の実施態様における下シートの平面図である。
【図11】本発明の他の実施態様における清掃用シートの製造方法を示す部分断面図である。
【図12】本発明の他の実施態様における突起部を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 清掃用シート
2 上シート
3 下シート
5 ゴム質紐状体
7 突起部
16 突起部形成領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上シートと、下シートと、これら上シート、下シートの間に配置された複数のゴム質紐状体とを有し、上シート、下シート及びゴム質紐状体は接合部において接合されており、上シートと下シートとが相互に重なり合った状態で形成された多数の突起部を備え、多数の突起部を形成してなる突起部形成領域が伸縮可能に設けられていることを特徴とする清掃用シート。
【請求項2】
複数のゴム質紐状体は、所定間隔ごとに並列して配置されている請求項1記載の清掃用シート。
【請求項3】
ゴム質紐状体に接着剤が施され、この接着剤が施されたゴム質紐状体の形成部が接合部として構成されている請求項1又は2記載の清掃用シート。
【請求項4】
突起部形成領域に接着剤が施され、この接着剤が施された突起部形成領域が接合部として構成されている請求項1又は2記載の清掃用シート。
【請求項5】
上シート又は下シートに接着剤が施され、複数配置されたゴム質紐状体は接着剤を介して上シート又は下シートに接合されると共に、上シートと下シートが接着剤を介して相互に接合されている請求項1、2又は4記載の清掃用シート。
【請求項6】
接着剤が、ホットメルト型接着剤である請求項3、4又は5記載の清掃用シート。
【請求項7】
上シート及び下シートに小孔が設けられている請求項1〜6のいずれかに記載の清掃用シート。
【請求項8】
シートの上下両面に多数の突起部が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の清掃用シート。
【請求項1】
上シートと、下シートと、これら上シート、下シートの間に配置された複数のゴム質紐状体とを有し、上シート、下シート及びゴム質紐状体は接合部において接合されており、上シートと下シートとが相互に重なり合った状態で形成された多数の突起部を備え、多数の突起部を形成してなる突起部形成領域が伸縮可能に設けられていることを特徴とする清掃用シート。
【請求項2】
複数のゴム質紐状体は、所定間隔ごとに並列して配置されている請求項1記載の清掃用シート。
【請求項3】
ゴム質紐状体に接着剤が施され、この接着剤が施されたゴム質紐状体の形成部が接合部として構成されている請求項1又は2記載の清掃用シート。
【請求項4】
突起部形成領域に接着剤が施され、この接着剤が施された突起部形成領域が接合部として構成されている請求項1又は2記載の清掃用シート。
【請求項5】
上シート又は下シートに接着剤が施され、複数配置されたゴム質紐状体は接着剤を介して上シート又は下シートに接合されると共に、上シートと下シートが接着剤を介して相互に接合されている請求項1、2又は4記載の清掃用シート。
【請求項6】
接着剤が、ホットメルト型接着剤である請求項3、4又は5記載の清掃用シート。
【請求項7】
上シート及び下シートに小孔が設けられている請求項1〜6のいずれかに記載の清掃用シート。
【請求項8】
シートの上下両面に多数の突起部が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の清掃用シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−125234(P2010−125234A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305699(P2008−305699)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(595007552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(595007552)
【Fターム(参考)】
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