説明

清掃用ブラシ

【課題】清掃用ブラシを構成している金属製芯材に曲がり癖を付き難くして清掃作業の作業性を向上させること。
【解決手段】屈曲自在な金属製芯材(1)に、摺擦用単繊維群(12)を植設させた摺擦部(2)が形成されている清掃用ブラシにおいて、金属製芯材(1)の摺擦部非形成域(10)に、屈曲方向に弾性変形可能な索道管(3)を外嵌させ、索道管(3)の弾性復帰力を、金属製芯材(1)の屈曲保持力よりも大きく設定した。索道管(3)は金属製板バネを螺旋状に巻回させて管状に形成すると共に、索道管(3)の表面全域には樹脂層を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用ブラシ、特に、S字形、U字形等に屈曲したパイプ内の清掃やバスタブの下方の床面等、狭い箇所の清掃に使用する清掃用ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、屈曲したパイプの内面やバスタブの下方の床面のような手の届かない狭い箇所の清掃に用いられる清掃用ブラシとして、並列する複数本の長尺な金属線材を捻って一本にした金属製芯材の少なくとも一端に、多数の摺擦用単繊維群からなる摺擦部を具備させた捻りブラシが利用されている。
この種の捻りブラシは、所定の長さに設定された複数の金属線材を並列させると共に、その少なくとも一端に、多数の単繊維群を前記金属線材間に直交するように挟持させ、その状態で、前記金属線材を捩じ上げることにより、複数本の金属線材からなる一本の芯材から単繊維群が放射状に張り出す態様に仕上げられている。
前記金属製芯材は屈曲自在であるから、捻りブラシ全体は被摺擦部の形状に応じて変形自在である。従って、S字形、U字形等様々に屈曲しているパイプ内に芯材を屈曲させながら挿通させることができ、先端の摺擦部でパイプ内を摺擦して清掃することができる。又、前記金属製芯材を真直ぐに伸ばした状態にてバスタブと床面との間のような狭い箇所に差し込んで、清掃することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−167364
【特許文献2】特開2008−12124
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の捻りブラシを構成している金属製芯材は、弾性を有しないため曲がり癖が付き易く、一旦屈曲させると元の状態に復帰させ難い。芯材が屈曲したままでは、次回の使用に支障が残り、繰り返し使用しにくいといった不都合がある。又、芯材に曲がり癖が付いていると、平面を摺擦する際に摺擦部が被摺擦面から浮き上がってしまい、うまく清掃できないといった問題もある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、清掃用ブラシを構成している金属製芯材に曲がり癖を付き難くして清掃作業の作業性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1に係る発明の清掃用ブラシは、『屈曲自在な金属製芯材に、摺擦用単繊維群を植設させた摺擦部が形成されている清掃用ブラシにおいて、前記金属製芯材の前記摺擦部非形成域に、屈曲方向に弾性変形可能な索道管を外嵌させ、前記索道管の弾性復帰力は、前記金属製芯材の屈曲保持力よりも大きく設定されている』ことを特徴とする。
上記手段は次のように作用する。
使用前の金属製芯材は直線状であり、このうち、摺擦部が形成されていない摺擦部非形成域に索道管が外嵌される。索道管は屈曲方向に弾性変形可能であるから、金属製芯材の屈曲に伴って索道管も弾性的に屈曲する。これにより、S字形、U字形等に屈曲しているパイプ内に、金属製芯材及び索道管を屈曲させながら差し込むことができ、摺擦部で前記パイプ内を摺擦することができる。その後、摺擦部をパイプから抜き取ると、索道管の弾性復帰力によって、金属製芯材の屈曲部分は元の直線状態に復帰させられる。
【0007】
(2)請求項2に記載の発明の清掃用ブラシは、請求項1に係る発明において、『前記索道管は、金属製板バネを螺旋状に巻回させて細長い管状に形成した』もので、索道管に屈曲方向の力が作用すると、屈曲部分の外側にて、相互に隣り合う板バネ間に隙間を生じさせながら、索道管は屈曲する。そして、前記屈曲方向の力から解除されると、前記金属製板バネの弾性復帰力により索道管は直線状に復帰する。
【0008】
(3)請求項3に記載の発明の清掃用ブラシは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、『前記索道管の表面全域に樹脂層を形成した』もので、索道管の表面は樹脂層で覆われた態様となる。特に、請求項2の発明のように、索道管として、金属製板バネを螺旋状に巻回させたものを採用する場合、前記金属製板バネの外面全域を樹脂層を形成しておけば、索道管を屈曲させたとき板バネ間に隙間ができても、前記隙間が外部に露出することがない。
【0009】
(4)請求項4に記載の発明の清掃用ブラシは、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、『前記索道管の両開放端部は樹脂製の閉塞部材によって閉塞されている』ものでは、索道管の開放端から内部に水滴や埃等が浸入することがない。尚、金属製芯材は、前記閉塞部材を貫通する態様で、索道管から突出させておけば良い。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、直線状に形成された金属製芯材と、これに外嵌させた索道管は屈曲自在であるから、パイプ等、被清掃箇所の形状に応じて、前記金属製芯材及び索道管を屈曲させて、摺擦部で摺擦して清掃することができる。そして、前記パイプから引き抜くと、金属製芯材は、索道管の弾性復帰力により直線状に復帰させられるから芯材に曲がり癖が付き難い。よって、芯材に付いた曲がり癖によって次の被清掃箇所の清掃がやり難いという不都合を解消することができると共に、異なる形状の被清掃箇所に容易に且つ確実に合わせることができるから清掃作業の作業性が向上する。
【0011】
また、請求項2に係る発明によれば、上記効果に加えて、索道管として板バネを螺旋状に巻回させたものを採用したから、板バネの弾性復帰力により、索道管の確実な直線形状への復帰が期待できる。又、屈曲部の外側にて板バネ間に隙間が生じるため、索道管が屈曲部で割れたり、折れたりすることがない。
【0012】
さらに、請求項3に係る発明によれば、索道管の表面を樹脂層で覆ったから、索道管全体の錆びの発生を防止することができる。
【0013】
さらに、請求項4に係る発明によれば、索道管の両端を閉塞部材で閉塞することにより、金属製芯材上における索道管の位置決めが確実となる上に、索道管内部における錆びの発生や汚れの付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態の清掃用ブラシに採用する捻りブラシの製造過程の説明図。
【図2】本発明の実施の形態の清掃用ブラシの完成状態を示す断面図。
【図3】本発明の実施の形態の清掃用ブラシの要部拡大部分断面図。
【図4】本発明の実施の形態の清掃用ブラシの使用状態を示す部分拡大説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態の清掃用ブラシに採用する捻りブラシの捻り工程前の説明図であり、図2は、本発明の実施の形態の清掃用ブラシの完成状態の断面図である。
【0016】
捻りブラシとしては従来のものと同様な工程により製造可能であり、まず、図1に示すように、長尺な金属線材を二つ折りにして、同じ長さの金属線材(11)が2本並列するように配設し、この2本の金属線材(11)間に、合成樹脂製の多数の単繊維群(12)を直交状態に挟み込む。この状態で、二つ折り状態の金属線材(11)の両端(11a)(11b)を、器具(図示せず)に固定し、閉塞端(11a)側から回転させて2本の金属線材(11)を捩じ上げる。これにより、図2に示すように、一体的に捻り上げられた2本の金属線材(11)により一本の金属製芯材(1)が形成され、その一端に、金属線材(11)間に捻じ込まれた単繊維群(12)が放射状に突出する摺擦部(2)が形成された形状となる。
金属製芯材(1)は屈曲自在であるが、摺擦部(2)以外の芯材(1)のみからなる摺擦部非形成域(10)に、後述する索道管(3)を外嵌させて、摺擦部非形成域(10)を直線状に保持している。
【0017】
索道管(3)は、図3に示すように、長尺帯状の板バネ(31)を螺旋状に巻回させて、芯材(1)に外嵌可能な細長い管状に形成したものであり、摺擦部非形成域(10)の略全域に外嵌させる。
索道管(3)の表面には、伸縮自在の樹脂層(32)が被覆形成されていると共に、索道管(3)の両開放端には、ウレタン系の二液発泡樹脂からなる閉塞部材(30)が詰め込まれている。尚、芯材(1)は閉塞部材(30)を貫通する態様で、前記両開放端から突出させている。
【0018】
索道管(3)は、図4に示すように屈曲可能であるが、屈曲させた状態における板バネ(31)の弾性復帰力は、芯材(1)を構成している金属線材(11)の屈曲保持力よりも大きく設定されているため、自然状態では、常時、図2及び図3に示すように、直線状態に維持される。
【0019】
本発明の実施の形態の清掃用ブラシでU字型のパイプ(33)内を清掃するには、索道管(3)を外嵌させた部分の一端近傍をブラシの柄として手で握り、摺擦部(2)をパイプ内に差し込む。差し込んでいくにつれて、図4に示すように、金属製の芯材(1)が索道管(3)と共にパイプ(33)の屈曲に応じて強制的に屈曲させられていくため、屈曲形状のパイプ(33)内も摺擦部(2)で摺擦して清掃することができる。摺擦後に清掃用ブラシをパイプから抜き取ると、索道管(3)は、板バネ(31)の弾性復帰力によって直線状に復帰させられ、芯材(1)も曲がり癖が付くことなく直線状に復帰させられる。
これにより、U字型に屈曲しているパイプ(33)の清掃後に、他の形状のパイプの清掃を続いて容易に行なうことができる上に、索道管(3)によって、ブラシの柄の部分は直線状に保持されることから、芯材(1)の曲がり癖により摺擦部(2)が被清掃面から浮き上がって摺擦しにくいといった不都合がなく、バスタブの下方の床面等の平面の清掃も容易となる。
【0020】
又、索道管(3)の表面には樹脂層(32)が形成されているから、索道管(3)が錆付く不都合を防止できる上に、索道管(3)を屈曲させたときに隣接する板バネ(31)相互間にできる隙間(13)も樹脂層(32)によって被覆されるから、隙間(13)から水滴や汚れが索道管(3)内へ浸入することはない。
さらに、索道管(3)の両開放端には、発泡樹脂製の閉塞部材(30)を詰めてあるから、索道管(3)が芯材(1)上を不用意に移動したり、芯材(1)から抜け落ちたりすることがない上に、前記開放端からの水滴や汚れの索道管(3)内への浸入も防止することができる。
【0021】
上記実施の形態では、摺擦部(2)は金属製芯材(1)の一端に設ける構成としたが、摺擦部(2)を金属製芯材(1)の両端に設け、両摺擦部(2)(2)間に位置する金属製芯材(1)を摺擦部被形成域(10)として、索道管(3)を外嵌させる構成としても良い。
又、索道管(3)は板バネ(31)を螺旋状に巻回させて構成したが、コイルスプリングで構成しても良い。
摺擦部(2)を構成する単繊維(12)としては、上述した合成樹脂繊維のほか、金属繊維や植物繊維等、用途に応じて種々採用可能である。
【符号の説明】
【0022】
(1) ・・・・・・・金属製芯材
(10)・・・・・・・摺擦部非形成域
(12)・・・・・・・単繊維群
(2) ・・・・・・・摺擦部
(3) ・・・・・・・索道管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲自在な金属製芯材に、摺擦用単繊維群を植設させた摺擦部が形成されている清掃用ブラシにおいて、前記金属製芯材の前記摺擦部非形成域に、屈曲方向に弾性変形可能な索道管を外嵌させ、前記索道管の弾性復帰力は、前記金属製芯材の屈曲保持力よりも大きく設定されている清掃用ブラシ。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃用ブラシにおいて、前記索道管は、金属製板バネを螺旋状に巻回させて細長い管状に形成した清掃用ブラシ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の清掃用ブラシにおいて、前記索道管の表面全域に樹脂層を形成した清掃用ブラシ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の清掃用ブラシにおいて、前記索道管の両開放端部は樹脂製の閉塞部材によって閉塞されている清掃用ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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