説明

清掃用充電式ブラシ装置

【課題】3分間以内で80%電池容量の充電が可能なリチウム二次電池が装填された充電式ブラシを充電機能部材が内蔵されたブラシ載置台に載置することにより前記リチウム二次電池を簡単に急速充電することが可能な清掃用充電式ブラシ装置を提供する。
【解決手段】駆動軸を有するモータが内蔵されたヘッド部材と、このヘッド部材に取り付けられた把持部材と、前記ヘッド部材の前記駆動軸に回転可能かつ着脱可能に取り付けられたブラシ部材と、前記把持部材内に前記モータに接続するように装填され、3分間以内で80%電池容量の充電が可能なリチウム二次電池と備えた充電式ブラシ;および前記リチウム二次電池が充電を必要とするときに前記充電式ブラシが載置される筐体と、この筐体に内蔵された前記リチウム二次電池を充電するための充電機能部材とを有するブラシ載置台;を具備したことを特徴とする清掃用充電式ブラシ装置

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用充電式ブラシ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、台所のシンクまたは衛生陶器(洗面手洗器、トイレの便器)等を清掃するハンディー型ブラシが市販されている。
【0003】
従来のハンディー型ブラシは、駆動軸を有するモータが内蔵されたヘッド部材と、このヘッド部材に取り付けられた把持部材と、前記ヘッド部材の前記駆動軸に回転可能かつ着脱可能に取り付けられたブラシ部材と、前記把持部材内に前記モータに接続するように装填された複数の一次電池と備えた構造のものが知られている。しかしながら、このブラシに装填された電池は充電が不可で、使い捨ての一次電池を使用するため、ブラシの利用頻度によっては廃棄する一次電池の量が多くなって環境負荷を高める。
【0004】
このようなことから、一次電池に代えて充電可能な二次電池を装填した充電式ブラシが知られている。この二次電池としては、ニッケルカドミウム二次電池またはニッケル水素二次電池が用いられている。また、最近では炭素材料を負極材料として含むリチウムイオン二次電池が用いられている。しかしながら、これらの充電可能な二次電池は通常その充電に1時間から2時間を要する。その結果、ブラシの使用頻度が高いか、またはブラシを電池容量を超えて長時間使用するかいずれかにおいて充電を必要とする場合、前記二次電池の充電時間が長いために清掃作業の効率が低下する。なお、交換二次電池を別途に用意することにより作業効率の低下を回避できるものの、新たにコスト的な課題が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、3分間以内で80%電池容量の充電が可能なリチウム二次電池が装填された充電式ブラシを充電機能部材が内蔵されたブラシ載置台に載置することにより前記リチウム二次電池を簡単に急速充電することが可能な清掃用充電式ブラシ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、駆動軸を有するモータが内蔵されたヘッド部材と、このヘッド部材に取り付けられた把持部材と、前記ヘッド部材の前記駆動軸に回転可能かつ着脱可能に取り付けられたブラシ部材と、前記把持部材内に前記モータに接続するように装填され、3分間以内で80%電池容量の充電が可能なリチウム二次電池と備えた充電式ブラシ;および
前記リチウム二次電池が充電を必要とするときに前記充電式ブラシが載置される筐体と、この筐体に内蔵された前記リチウム二次電池を充電するための充電機能部材とを有するブラシ載置台;
を具備したことを特徴とする清掃用充電式ブラシ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、充電式ブラシをブラシ載置台に載置することにより充電式ブラシと載置台を電気的に接続して充電式ブラシ内のリチウム二次電池を急速充電できる、つまり充電の待ち時間を激減できるため、清掃作業効率の向上を図ることが可能な清掃用充電式ブラシ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る清掃用充電式ブラシ装置を図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係る清掃用充電式ブラシ装置の充電式ブラシを示す斜視図、図2は図1の充電式ブラシの回路構成を示すブロック図、図3は実施形態に係る清掃用充電式ブラシ装置のブラシ載置台を示す斜視図、図4は図3のブラシ載置台のIV−IV線に沿う断面図、図5は図3のブラシ載置台の回路構成を示すブロック図である。
【0010】
充電式ブラシ1は、駆動軸を有する後述するモータ2が内蔵された例えば円柱状のヘッド部材3を有する。例えば楕円柱状をなす把持部材4は、前記ヘッド部材3の側面にそのヘッド部材3の長手方向に対して直交するように連結されている。ブラシ部材5は、前記ヘッド部材3の一方の端面(左端面)に図示しない駆動軸に回転可能かつ着脱可能に取り付けられている。なお、ブラシ部材は外形寸法、ブラシ長さ、ブラシ材質の異なるものと用途等に応じて交換可能である。後述する3分間以内で80%容量の充電が可能なリチウム二次電池6は、前記把持部材4内に装填され、かつ前記モータ2に接続されている。前記把持部材4の下端付近には、2つの円弧状の切欠部7,8が形成されている。円弧状をなす正負の接続端子9,10は、前記把持部材4に前記切欠部7,8の底部に露出するように形成されている。前記モータ2のオン・オフスイッチ11は、前記ヘッド部材3近傍の前記把持部材4に取り付けられている。
【0011】
このような充電式ブラシ1の回路構成を図2を参照して説明する。3分間以内で80%容量の充電が可能なリチウム二次電池6および充電制御回路12は、接続端子9,10間に直列接続されている。この充電制御回路12は、マイクロコンピュータで制御され、充電時におけるリチウム二次電池6の電圧、温度を検出する監視機能、過充電防止機能、およびリチウム二次電池6の過放電防止機能を有する。モータ2、オン・オフスイッチ11および可変抵抗器13は、接続端子9,10間に直列接続されていると共に、前記二次電池6および充電制御回路12に対して並列接続されている。なお、可変抵抗器13は前記リチウム二次電池6からモータ2への供給電力を調節(例えば2段階の調節)してそのモータ出力(回転数)を制御する。この可変抵抗器13は、前記把持部材4に取り付けられたスライド式スイッチ(図示せず)により動作される。
【0012】
ブラシ載置台21は、図3および図4に示すように前記リチウム二次電池6が充電を必要とするときに前記充電式ブラシ1が載置される例えばプラスチックからなる筐体22と、この筐体22に内蔵された前記二次電池6を充電するための後述する充電機能部材23とを有する。
【0013】
前記筐体22には、前記充電式ブラシ1が載置されたときに前記ブラシ部材5を含むヘッド部材3が挿入される円形の穴24が形成されている。また、前記筐体22には前記充電式ブラシ1が載置されたときに前記把持部材4が挿入されると共に、前記穴24と連通する矩形状の溝25が形成されている。空洞部26は、前記溝25の下方に隔壁27を介して形成されている。上部が凹状曲面を持つ扁平の充電端子28,29は、前記溝25の底部の隔壁27にその溝25の長手方向に亘って設けられている。前記充電端子28,29は、上部が前記隔壁27上面から突出し、下部が隔壁27から前記空洞部26に向けて突出している。前記空洞部26には、前記充電機能部材23が配置されている。充電監視灯30は、前記筐体22の上部に設けられている。
【0014】
このようなブラシ載置台21の回路構成を図5を参照して説明する。AC/DCコンバータ31は、電源コード32を通して商用電源33に接続されている。このコンバータ31は充電回路34を通して充電端子28,29に接続されている。充電監視灯回路35は、前記コンバータ31と前記充電回路34間の配線に接続され、かつ前記充電監視灯30に接続されている。前記充電回路34において、前記充電式ブラシ1のリチウム二次電池6の充電中に所定の充電がなされたことを検出すると、充電監視灯回路35はその検出信号を受けて充電監視灯30を点灯する。このようなAC/DCコンバータ31、充電回路34および充電監視灯回路35により前記充電機能部材23を構成している。
【0015】
前記リチウム二次電池は、リチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を備え、3分間以内で80%電池容量の充電が可能である。活物質であるリチウムチタン酸化物は、特開2005−123183に開示されるとおり、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、リチウムイオンの挿入・離脱が1.4Vから1.7V/Li付近で行われる。このため、この二次電池は大電流での急速充電を行っても、従来の負極活物質に炭素材料を用いた場合と比べてリチウムの析出が起こらずに安全性を確保できる。また、リチウムの吸蔵放出に伴う膨張収縮が生じるのを抑制することができるため、20C電流の急速充電を繰り返し行った際にも負極活物質の構造破壊を抑えることができる。その結果、充放電を繰り返し行った場合においても長い寿命を維持できる。
【0016】
具体的には、以下のような方法で組み立てたリチウムイオン二次電池は20Cで3分間充電することにより約80%電池容量まで充電することが可能な急速充電二次電池であることを確認した。ここで、『C』は充放電率を表す単位であり、完全放電から完全充電(または完全充電から完全放電)までを定電流充電した場合に計算上1時間で行えるレートを1Cとして表現する。1/10時間の場合、10Cと表現する。したがって、例えば20C充電とは、1C充電の20倍の電流が必要になる。
【0017】
<負極の作製>
活物質として、平均粒子径5μmでLi吸蔵電位が1.55V(vs.Li/Li+)のチタン酸リチウム(Li4Ti512)粉末と、導電剤として平均粒子径0.4μmの炭素粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で90:7:3となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。
【0018】
なお、活物質の粒子径の測定には、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所株式会社 型番SALD−300)を用いた。まず、ビーカー等に試料約0.1gを入れた後、界面活性剤と1〜2mLの蒸留水を添加して十分に攪拌し、攪拌水槽に注入した。2秒間隔で、64回光強度分布を測定し、粒度分布データを解析し、累積度数分布が50%の粒径(D50)を平均粒子径とした。
【0019】
次いで、厚さ10μmのアルミニウム箔(純度99.99%)を負極集電体に前記スラリーを塗布し、乾燥した後、プレスを施すことにより電極密度2.4g/cm3の負極を作製した。
【0020】
<正極の作製>
活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)と、導電材として黒鉛粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で87:8:5となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散させてスラリーを調製した。厚さ15μmのアルミニウム箔(純度99.99%)にスラリーを塗布し、乾燥した後、プレスすることにより電極密度3.5g/cm3の正極を作製した。
【0021】
<二次電池の組み立て>
容器(外装部材)の形成材料として、厚さが0.1mmのアルミニウム含有ラミネートフィルムを用意した。このアルミニウム含有ラミネートフィルムのアルミニウム層は、膜厚約0.03mmであった。アルミニウム層を補強する樹脂には、ポリプロピレンを使用した。このラミネートフィルムを熱融着で貼り合わせることにより、容器(外装部材)を得、さらに金属アルミニウムの容器に収めた。
【0022】
次いで、前記正極に帯状の正極端子を電気的に接続すると共に、前記負極に帯状の負極端子を電気的に接続した。厚さ12μmのポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを正極に密着させて被覆した。セパレータで被覆された正極に負極を対向するように重ね、これらを渦巻状に捲回して電極群を作製した。この電極群をプレスして扁平状に成形した。容器(外装部材)に扁平状に成形した電極群を挿入した。
【0023】
エチレンカーボネート(EC)とγ−ブチルラクトン(GBL)が体積比(EC:GBL)で1:2の割合で混合された有機溶媒にリチウム塩であるLiBF4を1.5mol/L溶解させ、液状の非水電解質を調製した。得られた非水電解質を前記容器内に注液し、リチウム二次電池を組み立てた。この二次電池は、満充電時電圧2.8V、放電終止電圧1.5Vで使用できた。
【0024】
このような構成の充電式ブラシ1において、ブラシ部材5を例えば洗面手洗器に押し当て、オン・オフスイッチ11をオンすると、リチウム二次電池6の電力が可変抵抗器13を通してモータ2に供給されてモータ2の駆動軸が回転し、この駆動軸に取り付けられたブラシ部材5が回転する。このようなブラシ部材5の回転により洗面手洗器を清掃する。なお、可変抵抗器13の調節により洗面手洗器の汚れ等に応じてモータ2の駆動軸(ブラシ部材5)の回転を高速または低速に制御することができる。
【0025】
前述した清掃作業において、充電式ブラシ1のリチウム二次電池6の容量が低下すると、オン・オフスイッチ11をオフし、充電式ブラシ1を図6に示すようにブラシ載置台21の筐体22に載置する。すなわち、充電式ブラシ1のブラシ部材5を含むヘッド部材3を筐体22の円形穴24に、把持部材4を筐体22の矩形状の溝25にそれぞれ挿入する。このとき、筐体22の溝25に突出して設けられた充電端子28,29が充電式ブラシ1の把持部材4に形成された切欠部7,8にそれぞれ係合され、充電端子28,29がそれら切欠部7,8底部の接続端子9,10に接続される。この状態でブラシ載置台21の充電機能部材23を電源コード32を通して商用電源33に接続すると、商用電源33からの交流電力がAC/DCコンバータ31で直流に変換され、充電回路34を通して前記リチウム二次電池6に適合した電圧の直流電力が充電用端子28,29、接続端子9,10から前記リチウム二次電池6に供給され、3分間以内で80%電池容量の充電、つまり急速充電がなされる。前記充電回路34において、リチウム二次電池6の充電完了を検出すると、充電監視灯回路35はその検出信号を受けて充電監視灯30を点灯する。この充電監視灯30が点灯した後、充電式ブラシ1をブラシ載置台21から取り外すことにより、充電式ブラシ1は、再度、ブラシ部材5を清掃に適した速度で回転し得る状態、つまり清掃作業に適用可能な状態に復帰できる。
【0026】
以上説明した実施形態によれば、充電式ブラシ1による清掃作業で、内部に装填したリチウム二次電池6の容量が低下したときに、スイッチ11をオフし、充電式ブラシ1をブラシ載置台21に載置してリチウム二次電池6側の接続端子9,10と充電機能部材23側の充電端子28,29をそれぞれ接続することにより、前記リチウム二次電池を3分間以内で80%電池容量の充電、つまり急速充電を行うことができるため、充電の待ち時間に伴う作業のロスを激減できる。その結果、台所のシンクまたは衛生陶器(洗面手洗器、トイレの便器)等の清掃作業効率の向上を図ることが可能な清掃用充電式ブラシ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態に係る清掃用充電式ブラシ装置の充電式ブラシを示す斜視図。
【図2】図1の充電式ブラシの回路構成を示すブロック図。
【図3】実施形態に係る清掃用充電式ブラシ装置のブラシ載置台を示す斜視図。
【図4】図3のブラシ載置台のIV−IV線に沿う断面図。
【図5】図3のブラシ載置台の回路構成を示すブロック図。
【図6】充電のために充電式ブラシをブラシ載置台に載置した状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0028】
1…充電式ブラシ、2…モータ、3…ヘッド部材、4…把持部材、5…ブラシ部材、6…リチウム二次電池、9…接続端子、10…接続端子、11…オン・オフスイッチ、21…ブラシ載置台、22…筐体、23…充電機能部材、24…穴、25…溝、28…充電端子、29…充電端子、30…充電監視灯、31…AC/DCコンバータ、34…充電回路、35…充電監視灯回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸を有するモータが内蔵されたヘッド部材と、このヘッド部材に取り付けられた把持部材と、前記ヘッド部材の前記駆動軸に回転可能かつ着脱可能に取り付けられたブラシ部材と、前記把持部材内に前記モータに接続するように装填され、3分間以内で80%電池容量の充電が可能なリチウム二次電池と備えた充電式ブラシ;および
前記リチウム二次電池が充電を必要とするときに前記充電式ブラシが載置される筐体と、この筐体に内蔵された前記リチウム二次電池を充電するための充電機能部材とを有するブラシ載置台;
を具備したことを特徴とする清掃用充電式ブラシ装置。
【請求項2】
前記充電式ブラシは、前記把持部材に前記リチウム二次電池と接続される接続端子を有し、
前記ブラシ載置台は、前記充電式ブラシが載置されたときに前記ブラシ部材を含むヘッド部材および前記把持部材が挿入される穴および溝が前記筐体にそれぞれ形成され、かつ
前記ブラシ載置台の前記充電機能部材は、商用電源に接続されるAC/DCコンバータと、このコンバータに接続される充電回路と、前記筐体の前記溝に取り付けられ、前記充電回路に接続される共に、前記充電式ブラシが前記筐体に載置したときに前記把持部の接続端子と接続される充電端子とを有することを特徴とする請求項1記載の清掃用充電式ブラシ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−268162(P2007−268162A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100316(P2006−100316)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000003539)東芝電池株式会社 (109)
【Fターム(参考)】