説明

清掃用具

【課題】塵埃等を大小を問わず一度の清掃作業で被清掃面上から除去することができる、清掃用具を提供すること。
【解決手段】被清掃面10上から塵埃等100を取り込むための開口31を有する清掃用具本体3に、開口にて回転して被清掃面上から塵埃等を多数本のブラシ素材によって掻き込む回転ブラシ4と、回転ブラシによって掻き込んだ塵埃等を収納する集塵部5と、回転ブラシを回転させる駆動モータと、駆動モータの電源部7と、を備え、被清掃面上から塵埃等を掻き込むことによって除去する清掃用具1において、回転ブラシのブラシ素材がパイル422でできていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面等の被清掃面上から塵埃等を掻き込むことによって除去する、清掃用具、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転ブラシを有する清掃用具は、公知である(特許文献1)。そして、回転ブラシのブラシ素材として起毛布を用いた清掃用具が、提案されている(特許文献2)。更に、回転ブラシを有する掻込部及び払拭シートを有する払拭部の両方を備えた清掃用具も、提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平6−86742号公報
【特許文献2】特開平7−16182号公報
【特許文献3】特開2003−135348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に示された清掃用具では、回転ブラシのブラシ素材がナイロン等でできた剛毛であった。それ故、そのような清掃用具は、大きな、ゴミ、塵、埃等(以下、「塵埃等」と称する)を掻き込んで除去するのには適していたが、小さな塵埃等を掻き込んで除去するのには適していなかった。これに対し、特許文献2に示された清掃用具は、その逆であった。
【0004】
一方、特許文献3に示された清掃用具によれば、払拭部によって塵埃等を拭き集め、集められた塵埃等を掻込部によって掻き込むことができるので、塵埃等を大小を問わず被清掃面上から除去することができた。しかし、そのような清掃用具は、掻込部及び払拭部の両方を備えているため、大型であり、取扱いが容易ではなかった。また、払拭部の払拭シートを頻繁に交換する必要があり、維持管理が面倒であった。
【0005】
本発明は、塵埃等を大小を問わず一度の清掃作業で被清掃面上から除去することができ、しかも、取扱いや維持管理が容易である、清掃用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、被清掃面上から塵埃等を取り込むための開口を有する清掃用具本体に、開口にて回転して被清掃面上から塵埃等を多数本のブラシ素材によって掻き込む回転ブラシと、回転ブラシによって掻き込んだ塵埃等を収納する集塵部と、回転ブラシを回転させる駆動モータと、駆動モータの電源部と、を備え、被清掃面上から塵埃等を掻き込むことによって除去する清掃用具において、回転ブラシのブラシ素材がパイルでできていることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、パイルに、塵埃等を吸着する吸着剤が含浸されているものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、回転ブラシが、回転軸とブラシ本体とからなっており、ブラシ本体が、基布に多数本のパイルを植設して構成されており、ブラシ本体が、回転軸に対して着脱可能となっているものである。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、回転軸が、断面多角形状を有しているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、回転ブラシのブラシ素材がパイルでできているので、次のような作用効果を発揮できる。
(a)パイルは、小さな塵埃等を付着させることができる。よって、回転ブラシは、大きな塵埃等は勿論、小さな塵埃等も、掻き込むことができる。したがって、大きな塵埃等も小さな塵埃等も、一度の清掃作業で、被清掃面上から除去することができる。よって、清掃作業を効率的に行うことができる。
(b)回転ブラシによる捕集性能が高い。したがって、回転ブラシの回転数を、ブラシ素材がナイロン等でできた剛毛である従来の場合に比して、低くできる。よって、清掃作業時の騒音及び消費電力を低減できる。
(c)小さな塵埃等を除去するための払拭部を設ける必要がないので、用具のコンパクト化や操作性の向上を実現できる。すなわち、取扱いや維持管理が容易である。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、パイルが吸着剤を含浸しているので、次のような作用効果を発揮できる。
(a)小さな塵埃等をより確実に付着させることができる。よって、請求項1記載の発明による作用効果をより効果的に発揮できる。
(b)パイルによって掻き込んだ塵埃等が吸着剤によって固まることとなる。それ故、塵埃等100が、遠心力によってパイル422から離れて、円滑に集塵部5内へ放り込まれることとなる。よって、回転ブラシ4が塵埃等100によって飽和されて清掃不能となるのを、防止できる。また、集塵部5に溜まった塵埃等100を廃棄する際に、塵埃等100が舞い上がるのを防止できる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、ブラシ本体を必要に応じて取り外して、洗浄し、再度取り付けて使用することができる。よって、清掃用具の経済性を向上できる。また、清掃効果を高く維持できる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、ブラシ本体が回転軸に対して空回りするのを、防止できる。したがって、清掃作業を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の清掃用具の上方斜視図、図2は平面透視図、図3は図1のIII−III断面矢視図、図4は図1のIV−IV断面矢視図である。この清掃用具1は、柄2の先端に上下左右に揺動自在に取り付けられた状態で使用される。清掃用具1は、被清掃面10上の塵埃等を取り込むための開口31を有する清掃用具本体3の、内部に、回転ブラシ4と、集塵部5と、駆動モータ6と、電源部7と、を備えている。開口31は、左右に長い形状を有しており、清掃用具本体3の最前部に位置している。
【0015】
回転ブラシ4は、開口31にて回転して被清掃面10上から塵埃等を多数本のブラシ素材によって掻き込むよう設けられている。具体的には、回転ブラシ4は、図5に示すような断面六角形状の筒状の回転軸41に、ブラシ本体42を巻き付けて構成されている。
【0016】
ブラシ本体42は、図6に示すように、基布421に多数本のパイル422が植設されて構成されている。すなわち、ブラシ素材は、パイルでできている。基布421は、例えば、ナイロンメッシュからなっており、NBRをコーティングすることによって、寸法安定性を保持している。パイル422は、例えば、太いモノフィラメントの周囲に細い繊維を配置して撚り合わせて構成されており、材料としては、ナイロン、ポリエステル、又は綿を用いている。
【0017】
ブラシ本体42では、多数本のパイル422が適当な均等間隔D置きに並んで構成された列が、6列形成されている。そして、ブラシ本体42は、回転軸41の断面六角形の各頂点にパイル422の列が位置するよう、回転軸41に巻き付けられている。
【0018】
ブラシ本体42は、回転軸41に巻き付けて、例えば基布421の両縁に設けられた接合部材を重ねることによって、回転軸41に固定することができ、また、接合部材を互いに引き剥がすことによって回転軸41から取り外すことができるようになっている。すなわち、ブラシ本体42は、回転軸41に対して着脱可能となっている。
【0019】
回転ブラシ4は、パイル422の先端部が開口31から露出する高さ位置にて、両端の軸43を介して清掃用具本体3の側壁32に、回転自在に支持されている。
【0020】
集塵部5は、回転ブラシ4によって掻き込んだ塵埃等を収納するよう設けられている。具体的には、集塵部5は、上開きの透明な箱体であり、回転ブラシ4の後方に、回転ブラシ4と平行に、設けられている。集塵部5は、一側面50が清掃用具本体3の側壁を構成している、すなわち、一側面50が清掃用具本体3から露出している。そして、集塵部5は、一側面50側の方向、すなわち、図1の矢印A方向に、全部を引き出して清掃用具本体3から取り外すことができるよう、設けられている。集塵部5の前壁51は後壁52より若干低くなっている。
【0021】
駆動モータ6及び電源部7は、集塵部5の後方の左右に、それぞれ設けられている。電源部7は、駆動モータ6に電気を供給するよう、設けられている。駆動モータ6は、その回転軸61と回転ブラシ4の溝付周面44(図5)とに巻回されたタイミングベルト62を介して、回転ブラシ4を回転させるよう、設けられている。
【0022】
パイル422には、塵埃等を吸着する吸着剤が含浸されている。吸着剤は、例えば鉱物油系油剤である。
【0023】
図1において、清掃用具本体1の上面には、電源部7から駆動モータ6への電気の供給をオン・オフするフットスイッチ8が設けられている。フットスイッチ8は、足によって操作できるよう比較的大きく構成されており、一度押すとオンとなり、もう一度押すとオフとなる。
【0024】
上記構成の清掃用具1は、回転ブラシ4を回転させながら前方へ移動させるよう、使用する。上記構成の清掃用具1において、フットスイッチ8をオンすると、駆動モータ6が作動して、回転ブラシ4が回転する。回転ブラシ4が回転すると、図7に示すように、床面等の被清掃面10上の塵埃等100が、回転ブラシ4のパイル422によって開口31から清掃用具本体3内へ掻き込まれ、その大部分が、後方へ巻き上げられて集塵部5内に放り込まれる。これにより、被清掃面10上から塵埃等100が除去されて集塵部5に溜められる。
【0025】
上記構成の清掃用具1によれば、次のような作用効果を発揮できる。
(1)回転ブラシ4のブラシ素材がパイル422でできているので、次のような作用効果を発揮できる。
(a)パイル422は、小さな塵埃等100を付着させることができる。よって、回転ブラシ4は、大きな塵埃等100は勿論、小さな塵埃等100も、掻き込むことができる。したがって、大きな塵埃等100も小さな塵埃等100も、一度の清掃作業で、被清掃面10上から除去することができる。よって、清掃作業を効率的に行うことができる。
(b)回転ブラシ4による捕集性能が高い。したがって、回転ブラシ4の回転数を、ブラシ素材がナイロン等でできた剛毛である従来の場合に比して、低くできる。よって、清掃作業時の騒音を低減できる。
(c)小さな塵埃等100を除去するための払拭部を設ける必要がないので、用具のコンパクト化や操作性の向上を実現できる。すなわち、取扱いや維持管理が容易である。
【0026】
(2)パイル422が吸着剤を含浸しているので、次のような作用効果を発揮できる。
(a)小さな塵埃等100をより確実に付着させることができる。よって、上記(1)の作用効果をより効果的に発揮できる。
(b)パイル422によって掻き込んだ塵埃等100が吸着剤によって固まることとなる。それ故、塵埃等100が、遠心力によってパイル422から離れて、円滑に集塵部5内へ放り込まれることとなる。よって、回転ブラシ4が塵埃等100によって飽和されて清掃不能となるのを、防止できる。また、集塵部5に溜まった塵埃等100を廃棄する際に、塵埃等100が舞い上がるのを防止できる。
【0027】
(3)ブラシ本体42が回転軸41に対して着脱自在であるので、ブラシ本体42を必要に応じて取り外して、洗浄し、再度取り付けて使用することができる。よって、清掃用具1の経済性を向上できる。また、清掃効果を高く維持できる。
【0028】
(4)ブラシ本体42は、断面六角形状の回転軸41に巻き付けられているので、ブラシ本体42が回転軸41に対して空回りするのを、防止できる。したがって、清掃作業を確実に行うことができる。
【0029】
(5)吸引機構を備えていないので、電源部7を長時間使用でき、それ故、長時間の清掃作業と低騒音とを実現できる。
【0030】
(6)開口31が清掃用具本体3の最前部に位置しているので、回転ブラシ4も清掃用具本体3の最前部に位置している。したがって、壁際の塵埃等100を容易に除去できる。
【0031】
(7)集塵部5は、透明であり、一側面50が清掃用具本体3から露出しているので、集塵部5内における塵埃等100の堆積状況を外部から把握することができる。したがって、清掃作業の進み具合や溜まった塵埃等100の廃棄時期を、容易に知ることができる。
【0032】
(8)集塵部5の前壁51が後壁52より若干低いので、回転ブラシ4によって掻き上げた塵埃等100を集塵部5内へ容易に放り込むことができる。
【0033】
なお、次のような変形構造を採用してもよい。
(i)回転軸41は、断面六角形状に限るものではない。多角形状であれば、例えば五角形状や八角形状でもよい。また、多角形状の回転軸41の表面に突起を設けてもよい。
(ii)回転軸41は、断面円形状のものでもよい。但し、その場合は、回転軸41の表面に突起を設けるのが好ましい。
(iii)回転軸41は、筒状に限らず、柱状でもよい。
(iv)パイル422の列は、回転軸41に平行でなくてもよい。例えば、螺旋状の列でもよい。
(v)パイル422が含浸する吸着剤に、抗菌剤、防カビ剤、抗アレルゲン成分等を配合してもよい。これによれば、ハウスダストによる健康被害を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、塵埃等を大小を問わず一度の清掃作業で被清掃面上から除去することができるので、産業上の利用価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の清掃用具の上方斜視図である。
【図2】本発明の清掃用具の平面透視図である。
【図3】図1のIII−III断面矢視図である。
【図4】図1のIV−IV断面矢視図である。
【図5】回転軸の上方斜視図である。
【図6】ブラシ本体の断面部分図である。
【図7】本発明の清掃用具の作動を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 清掃用具 3 清掃用具本体 31 開口 4 回転ブラシ 41 回転軸 42 ブラシ本体 421 基布 422 パイル 5 集塵部 6 駆動モータ 7 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃面上から塵埃等を取り込むための開口を有する清掃用具本体に、開口にて回転して被清掃面上から塵埃等を多数本のブラシ素材によって掻き込む回転ブラシと、回転ブラシによって掻き込んだ塵埃等を収納する集塵部と、回転ブラシを回転させる駆動モータと、駆動モータの電源部と、を備え、被清掃面上から塵埃等を掻き込むことによって除去する清掃用具において、
回転ブラシのブラシ素材がパイルでできていることを特徴とする清掃用具。
【請求項2】
パイルに、塵埃等を吸着する吸着剤が含浸されている、請求項1記載の清掃用具。
【請求項3】
回転ブラシが、回転軸とブラシ本体とからなっており、
ブラシ本体が、基布に多数本のパイルを植設して構成されており、
ブラシ本体が、回転軸に対して着脱可能となっている、請求項1記載の清掃用具。
【請求項4】
回転軸が、断面多角形状を有している、請求項3記載の清掃用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−282880(P2007−282880A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114114(P2006−114114)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】