説明

減圧弁

【課題】ねじ径の異なる二種類の炭酸ガス容器に選択的に装着することができる減圧弁を提供する。
【解決手段】減圧弁は、炭酸ガスの減圧機構を内蔵した減圧部Aと、減圧部Aに一体的に構成され二種類の炭酸ガス容器C、Dに選択的に装着される装着部Bと、ねじ径の大きい炭酸ガス容器Dに装着したときに炭酸ガスの漏れを防止するシール部材30と、を有し、装着部Bは奥側にねじ径の小さい炭酸ガス容器Cに螺合する第1ねじ部22が形成されると共に該第1ねじ部の入口側に連続してねじ系の大きい炭酸ガス容器Dに螺合する第2ねじ部23が形成され、シール部材30は第1ねじ部22に嵌合し該第1ねじ部22の長さよりも長く形成されたボス部31と第2ねじ部23に嵌合し該第2ねじ部23の長さよりも短く形成されたフランジ部32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なるねじ径を持った二種類の炭酸ガス容器に対し選択的に取り付けて充填された炭酸ガスを減圧して供給し得るようにした減圧弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭酸ガス用の減圧弁は炭酸ガス容器(炭酸ガスボンベ)の口金に形成された雄ねじに螺合するナットを有している。そして、ナットを炭酸ガス容器の口金に締結することで減圧弁を装着し、その後、炭酸ガス容器の弁を開放すると共に減圧弁を開放することで、炭酸ガス容器から供給された高圧の炭酸ガスを予め設定された圧力に減圧して目的の装置に供給することができる。
【0003】
炭酸ガスは工業用、医療用、食品用、と異なる目的で使用されており、炭酸ガス容器としては充填し得る容積に対応させて複数種が提供されている。異なる容積を持った炭酸ガス容器では口金の太さが異なり、該口金に形成されているねじ径も夫々異なっている。
【0004】
最近では水草を水槽で栽培することが行われている。水槽に魚が飼育されているような場合には、魚が発生する炭酸ガスによって水草は光合成を行うことができる。しかし水草のみを栽培する場合、水草に対して炭酸ガスを供給することが必要となり、水槽の近くに炭酸ガス容器を設置しておき、この炭酸ガス容器に装着した減圧弁から水槽に炭酸ガスを供給し得るようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水草を栽培する場合、所定の場所に水槽を設置すると共に該水槽の近くに炭酸ガス容器を設置することになる。特に、水槽の大きさや、栽培する水草の量に応じて炭酸ガスの供給量も変化することとなり、炭酸ガスの消費量に応じて炭酸ガス容器の大きさを適宜選択することが好ましい。
【0006】
即ち、炭酸ガスの消費量が多いの容積の小さい炭酸ガス容器を設置したのでは頻繁に交換することが必要となり、煩雑な作業を行わざるを得なくなるという問題や、また炭酸ガスの消費量が小さいのみ容積の大きい炭酸ガス容器を設置したのでは、水槽の大きさに比して炭酸ガス容器が大きくなってしまい無駄なスペースを使わざるを得なくなるという問題が生じる。
【0007】
一方、炭酸ガス容器毎に専用の減圧弁を利用することは可能であるが、減圧弁の種類が増えてしまい、製造側や販売側に於ける在庫管理が煩雑になるという問題が生じる。
【0008】
本発明の目的は、ねじ径の異なる二種類の炭酸ガス容器に選択的に装着することができる減圧弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る減圧弁は、ねじ径の異なる二種類の炭酸ガス容器に選択的に取り付けて炭酸ガスを減圧する減圧弁であって、炭酸ガスの減圧機構を内蔵した減圧部と、前記減圧部に一体的に構成され炭酸ガス容器に装着される装着部と、ねじ径の大きい炭酸ガス容器に装着したときに炭酸ガスの漏れを防止するシール部材と、を有し、前記装着部は奥側にねじ径の小さい炭酸ガス容器に螺合する第1ねじ部が形成されると共に該第1ねじ部の入口側に連続してねじ系の大きい炭酸ガス容器に螺合する第2ねじ部が形成され、前記シール部材は前記第1ねじ部に嵌合し該第1ねじ部の長さよりも長く形成されたボス部と前記第2ねじ部に嵌合し該第2ねじ部の長さよりも短く形成されたフランジ部とを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
上記減圧弁では、装着部にねじ径の異なる第1ねじ部と第2ねじ部とが形成されているため、異なるねじ径を持った二種類の炭酸ガス容器に選択的に装着することができる。とくに、ねじ径の大きい炭酸ガス容器に第2ねじ部を螺合するに際し、第1ねじ部にシール部材を嵌合させておくことで、炭酸ガス容器の弁を開放しても炭酸ガスが漏れることがない。
【0011】
本発明の減圧弁では、第1ねじ部に対応したねじ径の小さい炭酸ガス容器と、第2ねじ部に対応したねじ径の大きい炭酸ガス容器を選択的に利用し得るので、水槽で水草を栽培するような場合に、水槽の大きさや水草の量等の条件に対し最適な炭酸ガス容器を採用する際の自由度が向上する。このため、炭酸ガス容器のために無駄なスペースを使ったり、頻繁に交換するような必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る減圧弁の最も好ましい形態について図を用いて説明する。図1は本実施例に係る減圧弁の形状を説明する三面図である。図2は本実施例に係る減圧弁の構成と使用状態を説明する断面図である。図3はシール部材の構成を説明する図である。
【0013】
減圧弁は、減圧機構を内蔵した減圧部Aと、減圧部Aと一体的に構成され炭酸ガス容器(図2のC、D)に装着される装着部Bと、を有して構成されている。減圧部Aは一般に市販されている炭酸ガス減圧弁と同様の減圧機構を有しており、装着部Bは異なる径のねじが形成された炭酸ガス容器C、或いは炭酸ガス容器Dに対し選択的に装着し得るように構成されている。
【0014】
減圧部Aは、ケーシング1の内部が二つの室1a、1bに分割されており、これらの室1a、1bを連通させてノズル2が形成されている。ノズル2の一方の室1a側にはシートパッキン3が設けられ、該シートパッキン3にバネ4に付勢された弁5が押圧してノズル2を閉鎖している。
【0015】
弁5、バネ4が配置された一方の室1aはキャップ部材6によって閉鎖されている。このキャップ部材6の中心には炭酸ガス容器C、Dから室1aに炭酸ガスを流通させる通路6aが形成されている。またキャップ部材6の中心には突起6bが形成されており、減圧弁を炭酸ガス容器C(炭酸ガスカートリッジ)に取り付ける際に、該炭酸ガス容器Cの口金部分に設けた栓をこの突起6bによって穿孔し得るように構成されている。
【0016】
他方の室1bにはバネ7によって付勢されるピストン8が配置されている。ピストン8は室1b側に突出した弁5の先端と当接しており、バネ7からの付勢力が作用していない状態では弁5に力を作用させることがなく、該弁5はバネ4に付勢されてシートパッキン3に接触してノズル2を閉鎖している。またピストン8にバネ7からの力が作用したとき弁5をバネ4の付勢力に抗してシートパッキン3から離隔させてノズル2を開放する。
【0017】
ピストン8を付勢するバネ7には座9が接触しており、この座9にハンドル10が接触している。ハンドル10はケーシング1に対しねじ11を介して所定の角度範囲で回動可能に取り付けられている。
【0018】
ケーシング1の外周部分には室1bと連通したねじ部12が形成されており、このねじ部12に図示しないニップルが締結されている。そして、ニップルに水槽に取り付けた器具に接続されたホースを接続することで、減圧弁から水槽に対して予め設定された圧力に減圧した炭酸ガスを供給し得るように構成されている。
【0019】
ケーシング1の室1a側の端部にはねじ部13が形成されており、このねじ部13に装着部Bが一体的に締結されている。
【0020】
装着部Bは棒状部材20からなり、該棒状部材20の一方の端部側(図2の上端部側)の内周面にケーシング1に形成したねじ部13と螺合するねじ部21が形成され、棒状部材20の長手方向の略中央部に第1ねじ部22が形成され、棒状部材20の他方の端部側(図2の下端部側)に第2ねじ部23が形成されている。
【0021】
そしてねじ部21を減圧部Aのケーシング1に形成されたねじ部13に強固に締結して一体化させることで、減圧弁が構成されている。
【0022】
第1ねじ部22と第2ねじ部23は異なるねじ径を持って形成されている。第1ねじ部22と第2ねじ部23のねじ径やねじピッチ等のねじ仕様は特に限定するものではなく、利用しようとする炭酸ガス容器の口金に形成されたねじ仕様と対応したものであれば良い。
【0023】
本実施例では、第1ねじ部22のねじ仕様は炭酸ガスカートリッジCの口金に形成されたねじと一致した5/8−18UNFに設定されており、第2ねじ部23のねじ仕様は炭酸ガス容器弁Dに形成されたねじと一致したW22−14に設定されている。
【0024】
本実施例に係る減圧弁を炭酸ガスカートリッジCに装着する場合、図2の中心線の左側に記載されているように、該炭酸ガスカートリッジCの口金を装着部Bを構成する棒状部材20の第1ねじ部22に締結することで良い。この場合、炭酸ガスカートリッジCの口金の端部にリング状のパッキン25を介在させることで、炭酸ガスの漏れを防ぐことが可能である。
【0025】
また減圧弁を炭酸ガス容器Dに装着する場合、図2の中心線の右側に記載されているように、炭酸ガス容器Dの口金を装着部Bを構成する棒状部材20の第2ねじ部23に締結することで良い。この場合、炭酸ガスの漏れを防ぐために、炭酸ガス容器Dの口金の端部と減圧部Aとの間にシール部材30を介在させることが必要である。
【0026】
シール部材30は弾性と気密性を持った材料からなり、第1ねじ部22の内径と略等しいか僅かに小さい径を有し且つ第1ねじ部22の長さと略等しい長さを持ったボス部31と、ボス部31の端部に配置され第2ねじ部23の内径と略等しいか僅かに小さい径を有し且つ予め設定された長さ(例えば3mm〜4mm程度)を持ったフランジ部32と、を有して構成され、中心には長手方向に貫通した貫通孔33が形成されている。またシール部材30のボス部31の端面、及びフランジ部32の端面には夫々ゴム34a、34bが固着されている。
【0027】
従って、減圧弁を炭酸ガス容器Dに装着するに際し、予め装着部Bの第1ねじ部22にシール部材30を挿通しておき、その後、第2ねじ部23を炭酸ガス容器Dの口金に締結することで、図2に示すように、炭酸ガス容器Dの口金の端面と減圧部Aとの間の空間をシール部材30によって塞ぐことが可能であり、炭酸ガスの漏れを防ぐことが可能となる。
【0028】
上記の如くして炭酸ガスカートリッジC又は炭酸ガス容器Dに減圧弁を装着した後、ハンドル10を時計方向に回動させると、この回動に伴って座9が図2の下方に移動し、座9の移動に伴ってバネ7に力が作用してピストン8を下方に押し下げる。この結果、弁5が下方に押し下げられてシートパッキン3から離隔し、ノズル2が開放されて炭酸ガスが室1aから室1bに流れ、この過程で減圧される。減圧された炭酸ガスは室1bを経てケーシング1に形成されたねじ部12に取り付けた図示しないニップル、ホースを経て目的の水槽に供給される。
【0029】
また、ハンドル10を反時計方向に回動させると、このハンドル10によって作用している座9の力が除去されることから、バネ7にピストン8に対する付勢が解除される。このため、弁5はバネ4に付勢されてシートパッキン3に圧接し、ノズル2が閉鎖して炭酸ガスの流れが停止する。
【0030】
上記の如く、ハンドル10を所望の方向に回動させることによって、目的の水槽に対する炭酸ガスを供給し、或いは供給されている炭酸ガスを停止させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る減圧弁では、異なるねじ径を持った二種類の炭酸ガス容器に選択的に装着することができるので、炭酸ガス容器の大きさを変えても同じ減圧弁を利用することが可能となり、スペース的にも、経済的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施例に係る減圧弁の形状を説明する三面図である。
【図2】本実施例に係る減圧弁の構成と使用状態を説明する断面図である。
【図3】シール部材の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0033】
A 減圧部
B 装着部
C 炭酸ガスカートリッジ
D 炭酸ガス容器
1 ケーシング
1a、1b 室
2 ノズル
3 シートパッキン
4 バネ
5 弁
6 キャップ部材
6a 通路
6b 突起
7 バネ
8 ピストン
9 座
10 ハンドル
11 ねじ
12、13 ねじ部
20 棒状部材
21 ねじ部
22 第1ねじ部
23 第2ねじ部
25 パッキン
30 シール部材
31 ボス部
32 フランジ部
33 貫通孔
34a、34b ゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ径の異なる二種類の炭酸ガス容器に選択的に取り付けて炭酸ガスを減圧する減圧弁であって、炭酸ガスの減圧機構を内蔵した減圧部と、前記減圧部に一体的に構成され炭酸ガス容器に装着される装着部と、ねじ径の大きい炭酸ガス容器に装着したときに炭酸ガスの漏れを防止するシール部材と、を有し、前記装着部は奥側にねじ径の小さい炭酸ガス容器に螺合する第1ねじ部が形成されると共に該第1ねじ部の入口側に連続してねじ系の大きい炭酸ガス容器に螺合する第2ねじ部が形成され、前記シール部材は前記第1ねじ部に嵌合し該第1ねじ部の長さよりも長く形成されたボス部と前記第2ねじ部に嵌合し該第2ねじ部の長さよりも短く形成されたフランジ部とを有することを特徴とする減圧弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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