説明

減衰フィルタを均質化する機能を持つ表示デバイス

表示デバイスは、表示領域にわたり出力強度の固有の非一様性を持つディスプレイ装置と、表示装置の前段に配置され、その表示領域とレジストレーション状態にある光学減衰装置205、207とを有する。その光学減衰装置は、表示領域にわたり変化する光減衰特性を持ち、出力強度の固有の非一様性を光学的に減少させるよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示デバイスに関し、特に、表示デバイスの表示領域において出力強度が固有的に非一様な表示デバイスに関する。より詳細には、しかし排他的にではなく、本発明は、固有のモアレ及びモアレ状の非一様性を減少させることに関する。
【背景技術】
【0002】
モアレは、2つの周期的パターンが重畳されるとき生じる、よく知られた自然な干渉現象である。モアレパターンは通常、表示デバイスの表示領域にわたり、系列状の波、及びさざ波として観測される。モアレパターンは、ユーザの全体的な表示経験を損なわせる。
【0003】
モアレパターンは通常、従来型のブラウン管表示デバイスで観測される。斯かるデバイスにおいては、モアレパターンは、方形のシャドウマスクパターンとリン光パターンとの間の干渉によりもたらされる。斯かるモアレパターンは通常、表示角度に依存しない静的なパターンとして観測される。
【0004】
モアレパターンは、従来の液晶表示デバイスでは通常あまり観測されない。なぜなら、これらのデバイスの各液晶セルは、表示領域の1つの分離したピクセルとして動作するからである。しかしながら、バックライトにおける非一様性が原因で、非一様なパターンが観測されることがある。
【0005】
モアレパターン、又は他の非一様なパターンは、自動立体表示デバイスとして知られる特定の3次元液晶表示デバイスではより大きな問題となる可能性がある。
【0006】
自動立体表示デバイスは、C. van Berkelらによる、SPIE Proceedings、Vol. 2653、1996、32-39頁にある「Multiview 3D-LCD」というタイトルの論文に説明される。このデバイスは、表示を生み出す空間光変調器として機能する表示ピクセルの行列アレイを持つ2次元液晶表示パネルを有する。互いに平行に延びる細長いレンズ要素のアレイが、ディスプレイのピクセルアレイの上にあり、その表示ピクセルは、こうしたレンズ要素を介して観測される。
【0007】
レンズ要素は、シート状の要素として提供される。各レンズ要素は、細長い半円筒系のレンズ要素を有する。レンズ要素は、表示パネルの列方向に延び、各レンズ要素は、表示ピクセルの2つ又はそれ以上の隣接列の個別のグループの上にある。
【0008】
例えば各レンズが表示ピクセルの2列に関連付けられているようなある構成において、各列における表示ピクセルは、個別の2次元サブ画像の垂直スライスを提供する。レンズシートは、これら2つのスライスと他のレンズに関連付けられた表示ピクセル列からの対応するスライスとをシートの前に位置するユーザの左右の目へと向け、その結果、ユーザは、単一の立体画像を観測する。
【0009】
他の構成において、各レンズは、行方向において4つ又はそれ以上の隣接表示ピクセルのグループに関連付けられる。各グループにおける表示ピクセルの対応する列は、個別の2次元サブ画像から垂直スライスを提供するよう適切に構成される。ユーザの頭が左から右に移動するとき、系列状の連続した異なる立体表示が知覚され、例えば、周りを見回す印象を与える。
【0010】
上述の自動立体表示デバイスにおいて、液晶表示パネルは、個別のピクセルからの光が周囲の領域に「漏れる」ことを防止するためのブラックマスク部分を持つ、不透明なパターンのブラックマスクにより覆われる。そのマスクは、方形格子の形態であり、個別のピクセル間の領域を覆う。
【0011】
レンズパターン及びピクセルパターンは、効率よく重ねられ、モアレは、こうしたパターンの間の空間周波数比率によりもたらされる。特定の距離において、モアレパターンが観測されることになる。
【0012】
そのパターンは表示角度依存であり、表示デバイスを観測するユーザが左右に動くときに空間的に動いているように見える。事実上、そのパターンは運動視差を持ち、表示デバイスの表示平面から固定距離に位置する仮想的な非一様パターンと同一視されることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
自動立体表示デバイスにおいてマスクによりもたらされるモアレ状パターンを減らす又は除去する多数の提案がなされてきた。例えば、マトリクスディスプレイパネルに対する従来の薄膜トランジスタ技術の代わりに、薄膜ダイオード技術が採用された。薄膜ダイオード技術は、非常に狭いピクセル境界を可能にし、それにより、モアレ状パターンを最小化する。
【0014】
レンズ要素に対して比較的鋭角でピクセル列を提供することも提案されてきた。その結果、等しい量のマスクが、すべての表示角度から観測可能となる。提案される別のソリューションは、モアレパターンの効果を最小化するために、光学拡散器を採用するものである。
【0015】
自動立体表示デバイスにおけるモアレ削減のための上述の手法はすべて欠点を持ち、それは通常、表示出力の奥行き及びシャープネスの損失を含む。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、表示領域にわたり出力強度の固有の非一様性を持つディスプレイ装置と、上記ディスプレイ装置の前に位置し、かつ上記表示領域とレジストレーション状態にある光学減衰装置とを有する表示デバイスが与えられる。上記光学減衰装置は、上記表示領域にわたり変化する光減衰特性を持ち、上記出力強度の固有の非一様性を光学的に減らすよう構成される。
【0017】
その光学減衰装置は、上記表示領域の選択された部分における上記ディスプレイ装置の出力を減衰するよう構成される。その減衰は、ディスプレイ装置の固有の非一様性により与えられるものとは補完的なものとなる。こうして、固有的に一様な全体の出力強度を持ったデバイスが提供されることができる。
【0018】
例えば、そのディスプレイ装置は、表示領域にわたり100%と99%とのレベルの間で輝度が変化することをもたらす、表示出力強度の固有の非一様性を持つことができる。1%までの減衰を提供する光学減衰装置を用いて、その表示デバイスの全体の輝度レベルが、全体の表示領域にわたり99%となる。
【0019】
本開示を介して、「固有の非一様性」という用語は、その非一様性が全体としてそのディスプレイ装置の物理構造の機能であることを意味するものである。その用語は、特定の表示データが原因による、又は表示データとディスプレイ装置の構造との何らかの相互作用が原因による非一様性に関連するものを意図するものではない。
【0020】
好ましくは、上記表示出力強度の固有の非一様性と上記光学減衰装置とはそれぞれ、周期的な特性を持つ。その周期的な特性は、表示領域を横切る方向に存在する。例えば、上記表示出力強度の非一様性が、モアレパターンを有することができる。
【0021】
好ましくは、上記光学減衰装置が、光減衰パネルを有する。その光減衰パネルは、好ましくは、10 mm厚以下であり、更に好ましくは5 mm厚以下である。
【0022】
上記表示出力強度の非一様性は、表示角度依存とすることができる。この場合、上記光減衰パネルは、前記ディスプレイ装置の出力に直接隣接して配置されることができる。この種の非一様性の例は、液晶表示デバイスの非一様なバックライティングから生じたり、ブラウン管表示デバイスにおける方形シャドウマスクパターンとリン光パターンとの間のモアレ干渉から生じたりする。
【0023】
上記表示出力強度の非一様性は代替的に、表示角度依存とすることができる。その結果、仮想的な非一様性パターンが表示平面の前の位置を持つ。即ち、そのパターンは運動視差を持つ。この場合、上記光減衰パネルは、上記仮想的な非一様性パターンの位置に対応する位置で、上記表示平面から間隔を空けて配置される。別の特に好ましいオプションは、上記光学減衰装置が、上記仮想的な非一様性パターンの位置に対応する位置で仮想的な光減衰パターンを共に規定する複数の光減衰パネルを有することである。上記仮想的な非一様性パターンが、表示平面の後に位置を持つような場合、斯かる構成が特に適しており、その構成は、コンパクトな表示デバイスを与えるディスプレイ装置に一体化されることができる。
【0024】
好ましくは、上記複数の光減衰パネルが、上記表示平面から100 mm内に配置される。
【0025】
上記表示出力強度の非一様性が、表示角度依存である場合、実質的にコサイン波及び矩形波をそれぞれ規定する光減衰特性を持つ、第1及び第2の光減衰パネルが与えられることができる。斯かる構成は、表示平面から離れて位置する仮想的な光減衰パターンを形成するのに使用されることができる。上記第1の光減衰パネルは、上記ディスプレイ装置に対向して配置され、上記第2の光減衰パネルは、上記第1の光減衰パネルから間隔を空けて配置されることができる。
【0026】
特に好ましい実施形態において、上記第1の光減衰パネルが、方向xにおいて、

により規定される光減衰特性を持つ。ここで、P1(x)は、減衰特性であり、δp1は、上記減衰特性の振幅であり、λp1は、上記減衰特性の波長である。
【0027】
上記第2の減衰パネルは、デューティサイクルが1 - δp2で、波長がλp2である矩形波により規定される光減衰特性を持つ。
【0028】
各光減衰パネルは、複数の重畳される光減衰パターン、例えば2つのパターンを含むことができる。その光減衰パターンは共にその表示出力の非一様性を打ち消すモアレパターンを生み出す。
【0029】
上記ディスプレイ装置は、表示要素の行列アレイを持つ液晶表示パネルを有することができる。好ましくは、上記光減衰装置の上記光減衰特性の波長は、表示要素ピッチより短く、好ましくは、その表示要素ピッチよりかなり短い。例えば、その波長は、表示要素ピッチの10分の1より短くすることができる。こうして、追加的なモアレ干渉が回避されることができる。
【0030】
本発明は、上述した表示デバイスを有する自動立体表示デバイスも提供する。その場合、上記ディスプレイ装置が、レンズのアレイを更に有し、上記レンズはそれぞれ、上記アレイの各行における複数の表示要素に関連付けられる。そのレンズは、レンティキュラレンズ(lenticular lense)とすることができる。
【0031】
本発明の別の側面によれば、表示デバイス上に観測可能な画像を生み出す方法が与えられる。その方法は、表示領域にわたり出力強度の固有の非一様性を持つディスプレイ装置を提供するステップと、上記ディスプレイ装置の表示領域に観測可能な画像を生み出すステップと、上記ディスプレイ装置の前に位置し、かつ上記表示領域とレジストレーション状態にある光学減衰装置を提供することにより、上記ディスプレイ装置の上記出力強度の固有の非一様性を光学的に減らすステップとを有し、上記光学減衰装置が、上記表示領域にわたり変化する光減衰特性を持つ。
【0032】
本発明の別の側面によれば、表示デバイスの出力強度の固有の非一様性を減らす光学減衰装置が与えられる。その光学減衰装置は、上記ディスプレイ装置の前に位置し、かつ上記表示領域とレジストレーション状態にあり、上記光学減衰装置は、上記表示領域にわたり変化する光減衰特性を持ち、上記出力強度の固有の非一様性を光学的に減らすよう構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施形態が以下、単なる例示を介して、対応する図面を参照しながら説明されることになる。
【0034】
本発明は、表示領域の前段に配置され、その表示領域とレジストレーション状態にある光学減衰装置を持つ表示デバイスを提供する。その光学減衰装置は、表示領域にわたり変化する光減衰特性を持ち、表示出力強度における固有の非一様性を光学的に打ち消すよう構成される。
【0035】
図1は、本発明の第1の実施形態の概略図である。表示デバイス1は、バックライト5の前段に配置される透過型液晶表示パネル3を含む既知の液晶表示デバイスを有する。
【0036】
その液晶表示パネル3は、完全に従来のものであり、その構造は、当業者には知られたものであろう。液晶表示パネル3は、アレイにより規定される表示領域にわたり目に見える画像を形成するよう、バックライト5からの光を選択的に変調するよう動作可能な表示ピクセルの行列アレイを原則的に有する。
【0037】
上述の装置に関連付けられる問題は、表示領域全体にわたりバックライトの一貫したレベルを提供することが困難であることである。これは、バックライト5が、例えば1つ又は複数の点光源と、その光出力強度を平均化する装置とを有することができるからである。結果として、液晶表示パネル3により生み出される画像は通常、表示領域にわたり輝度における非一様性を持つ。その非一様性は、その装置の構造に固有のものである。こうした非一様性は静的である。即ち、それらは、特定のデータ又は表示される画像には依存せず、表示角度依存でもない。
【0038】
上述した一貫性のないバックライティングが原因による固有の非一様性を除去するために、デバイス1は、表示領域とレジストレーション状態にある表示パネル3に対向して位置する光学減衰パネル7を含む。光学減衰パネル7は、実質的に透過なシート状ガラスを有する。そのシートは実質的に可視光に対して透過であるが、光減衰物質のパターンを持つ(caries)。その光減衰物質は、上述の一貫性のないバックライティングによりもたらされる固有の非一様性を打ち消すよう機能する。
【0039】
できるだけ表示平面の近くにあるよう、そのシートは、表示パネル3に対向する光学減衰物質と共に配置される。こうして、視差効果が最小化される。その結果、光学減衰パネル7は、広い範囲の表示角度にわたり非一様性を打ち消すのに有効である。通常の表示角度は、矢印8により示される。
【0040】
図2a及び図2bは、図1に示されるデバイスの使用法を説明するのに用いられる。
【0041】
図2aは、最も明るい同じグレーレベル設定を表示するようすべてのピクセルが設定されるときの表示出力9を示す。図示されるように、一貫性のないバックライティングが原因で、表示出力の輝度が表示領域において変化する。より詳細には、表示出力9は、99%輝度11と100%輝度13の交互の帯を有する。
【0042】
図2bは、表示領域における光学減衰パネルの光学減衰特性15を示す。図示されるように、光減衰物質により与えられる光減衰は、表示領域にわたり変化する。より詳細には、減衰特性15は、100%透過(0%減衰)17と99%透過(1%減衰)19との交互の帯を有する。
【0043】
使用の際、表示デバイス1では、全体として考えられるとき、表示領域における輝度が固有的に非一様となることはない。これは、広範な表示角度に対しても成り立つ。光学減衰パネル7の他の唯一の観測可能な効果は、表示出力の全体の輝度が非常にわずかに減少することである。奥行き又はシャープネスにおいて明示的な損失は存在しない。
【0044】
図3は、本発明の第2の実施形態が適用されることができる既知の自動立体3次元表示デバイスの段面図である。
【0045】
デバイス101は、バックライトを含む従来の液晶表示パネル103を有する。液晶表示パネル103は、完全に従来のものであり、その構造は、当業者には知られたものであろう。液晶表示パネル103は、アレイにより規定される表示領域にわたり目に見える画像を形成するよう、そのバックライトからの光を選択的に変調するよう動作可能な表示ピクセルの行列アレイを原則的に有する。
【0046】
互いに平行に延びる細長いレンズ要素105のアレイが、表示ピクセルアレイの上にあり、表示ピクセルは、こうしたレンズ要素105を介して観測される。細長い半円筒形のレンズ要素を有するレンズ要素105は、表示ピクセル列に平行に延びる。
【0047】
表示パネル103とアレイ状レンズ要素105との間には、方形の不透明ブラックマスク107が配置される。マスク107は、ピクセル自身を覆うことなく、表示パネル103のピクセル間の領域を覆う。マスク107の目的は、表示パネルのピクセルを分離し、かつピクセル間の液晶の未変調領域から任意の光が漏れることを防止することにある。
【0048】
この例示における各レンズ要素105は、表示ピクセルの4列を覆い、使用時には、各列における表示ピクセルが、個別の2次元サブ画像の垂直スライスを提供する。レンズシート105は、4つのスライスと他のレンズに関連付けられる表示ピクセル列からの対応するスライスとを表示デバイス101の個別の表示領域へと向ける。スライスの4セットのうちの2つは、デバイス101の前に位置するユーザの左右の目にそれぞれ向けられ、その結果、ユーザは、単一の立体画像を観測する。ユーザの頭が左右に動くとき、系列状の連続した異なる立体表示が観測される。
【0049】
上述したデバイス101に関連する問題は、レンズ要素105が、サブ画像を構成するピクセルのスライスだけでなく、マスク107の画像を投影することである。マスク107は、表示デバイス101の出力強度の固有的な非一様性として観測可能であり、垂直な線のモアレ状パターンの形態を取る。そのパターンは、ユーザが左右に動くときに空間的に動くように見える。即ち、そのパターンは、運動視差を持つ。このモアレ状パターンは実際に、デバイス101の表示平面から固定の奥行きに位置する静的で仮想的な非一様パターンと同一視される。
【0050】
図4a及び図4bは、マスク107によりもたらされる仮想的な非一様性パターンを示す。図4aに示されるように、仮想的な非一様性パターン109は、表示平面111に対して奥行きzmに位置し、波長λm及び強度δmを持つ。仮想的な非一様性パターンの輝度特性113は、図4bに示されるように、方向xにおけるコサイン関数を近似し、以下の式1

により規定される。
【0051】
図3に示されるデバイス101に対して、仮想的な非一様性パターンの奥行きzmは、デザインされる表示距離に等しい。それは、例えば、1メートルとすることができる。輝度特性の波長λmは、例えば、5センチメートルであり、輝度特性δmの強度は1%である。
【0052】
図5は、本発明の第2の実施形態の概略図である。第2の実施形態は、図3を参照して説明された表示デバイス101を有する表示デバイス201である。
【0053】
上述されたように、表示デバイス101は、液晶表示パネル103、アレイ状のレンズ要素105、及びその中間に配置されるマスク107を有する。
【0054】
第2の実施形態の表示デバイス201も、図4a及び図4bを参照して述べられた、マスク107によりもたらされる仮想的な非一様性パターン109の効果を打ち消す光学減衰装置203を含む。
【0055】
表示デバイス201に対する通常の方向は、矢印208で示される。
【0056】
光学減衰装置203は、第1及び第2の光学減衰パネル205、207を有する。各パネル205、207は、例えば、ガラスといった実質的に透過なシートを有する。そのシートは可視光に対して実質的に透過であるが、光減衰物質のパターンを持つ。
【0057】
光学減衰パネル205、207は共に、マスク107によりもたらされる仮想的な非一様性パターン109の奥行きに等しい表示パネル111からのある奥行き位置において仮想的な光減衰パターンを規定する。
【0058】
図6a、図6b、及び図6cは、光学減衰パネル205、207をより詳細に説明する概略図である。第1のパネル205は、アレイ状レンズ要素105に対向して配置される。第2のパネル207は、第1のパネル205からわずかな距離zp分隔てて配置される。第1及び第2のパネル205、207は、レンズ要素の長さに垂直な方向xにおいて周期的な個別の光減衰特性P1、P2をそれぞれ持つ。
【0059】
第1及び第2のパネル205、207の光減衰特性209、211は、図6b及び図6cにそれぞれ示され、

のように規定される。ここで、δp1及びλp1は、第1のパネル205の減衰特性のうち振幅と波長とを示す。間隔zpだけでなく、δp1、λp1、δp2、λp2の値は、減衰デバイスに対するデザインパラメタである。
【0060】
ディスプレイのピクセル分解能を下回る細部ディテールを無視すれば、即ち、分解能λp1、λp2での、方向xにおける仮想的な光減衰パターンの光減衰特性AM(x)は、以下の式

により近似されることがわかる。ここで、

が成立する。zamは、第2の減衰パネル207から測定されるような仮想的な光減衰パターンの奥行きであり、λam及びδamは、仮想的な光減衰パターンの波長と振幅とをそれぞれ示す。zpの値は、2つのパネルの物理的距離を示す。項Tは、強度における周期的な変動が重畳されるベース減衰である。
【0061】
仮想的な非一様性パターン109が、仮想的な光減衰パターンにより打ち消されるよう、以下の関係
zam = zm
が固定される。(これは、減衰器により与えられる減衰パターンの奥行きが固有的な非一様性パターンの奥行きと一致するようにするためである。)また、

も固定される。(これは、減衰器により与えられる減衰パターンの特性が固有の非一様性パターンと一致するようにするためである。)また、
δp1 = δp2 = δp
も固定される。(これは、デザインの容易さのためである。)
【0062】
上述の関係を用いると、

が得られる。
【0063】
デザイン変数αは、物理距離zpが任意の値にスケール化されることを可能にし、光学減衰装置203が表示デバイス101の前の最小空間量に収容されることができることを確実にするよう、十分小さくすることができる。
【0064】
図3に示される表示デバイスのzm、λm及びδmの値に対して、δpは0.1であり、T = 0.8である。即ち20%の輝度損失がある。
【0065】
α = 5 x 10-3と選択することは、zpに対する値が5 mmになること、λp1に対する値が0.2513 mmになること、及びλp2に対する値が0.25 mmになることをもたらす。後者の値は、表示デバイスの出力分解能より小さい(それはレンズ幅/ピッチにより決定される)。それにより、追加的なモアレ干渉がもたらされないことを確実にする。
【0066】
図7は、図5に示される第2の実施形態の使用法を説明するのに使用される。
【0067】
図7において、左の焦点は、パネル205の減衰部分に揃えられるパネル207の減衰部分を持つ。右の焦点は、パネル205の非減衰部分に揃えられるパネル207の減衰部分を持つ。それは、輝度においてより大きな低下が存在することを意味する。こうして、2つのパネル205、207は、仮想的な光減衰パターンであると考えられる変化する輝度パターンを距離zamにある平面に投影する。
【0068】
使用時において、仮想的な減衰パターンの減衰及び非減衰領域は、仮想的な非一様性パターン109の効果を打ち消す。こうして、マスク107によりもたらされる固有的な非一様性を持たない表示デバイス201が提供される。
【0069】
本発明の2つの特定の実施形態が説明されてきた。しかしながら、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、こうした実施形態に様々な変更及び修正をすることができることは明らかであろう。例えば、仮想的な光減衰パターンは、様々な代替的な光学装置により与えられることができる。異なるタイプの非一様性を打ち消すのに異なる減衰パターンが与えられることもできる。
【0070】
また、本発明の実施形態は、完全な表示デバイスを想定して説明されてきたが、代替的な実施形態は、既存の表示デバイスと共に使用するスタンドアロン型の光学減衰装置の形態を取ることもできる。この場合、表示デバイスの表示領域にその光学減衰装置を揃えるためのフレームが追加的に与えられることができる。
【0071】
減衰器装置は、非一様性を減少させるものとして説明されてきた。明らかに、そのデザインは、こうした非一様性を打ち消すことを目的とするものであり、これは、表示パネル固有の特徴の本質に基づき実現させることができる。
【0072】
そのパネルは、正確な高分解能プリンタを用いて、所望のパターンがプリントされるスライドとして形成されることができる。例えば、スライド上にレーザプリンティングすることができる。更に、パネル間の間隔を設定するのに、完全に透過なスライドが使用されることができる。使用される異なる物質は、同じ拡張係数を持つべきである。
【0073】
減衰パネルは好ましくは、製造の間に付けられるが、これは、減衰パネルが追加的な製品としてインストールされることができるよう手動で実行されることができる。
【0074】
様々な他の修正が当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】既知の2次元液晶表示デバイスに適用される本発明の第1の実施形態の概略的なダイアグラムを示す図である。
【図2a】図1に示される第1の実施形態の使用法を説明するのに用いられる図である。
【図2b】図1に示される第1の実施形態の使用法を説明するのに用いられる図である。
【図3】既知の自動立体3次元液晶表示デバイスの断面ダイアグラムを示す図である。
【図4a】図3に示されるデバイスに関連付けられる出力強度の非一様性を説明するのに用いられる図である。
【図4b】図3に示されるデバイスに関連付けられる出力強度の非一様性を説明するのに用いられる図である。
【図5】図3に示される既知のデバイスに適用される本発明の第2の実施形態の概略的なダイアグラムを示す図である。
【図6a】図5に示される第2の実施形態を説明するのに用いられる図である。
【図6b】図5に示される第2の実施形態を説明するのに用いられる図である。
【図6c】図5に示される第2の実施形態を説明するのに用いられる図である。
【図7】図5に示される第2の実施形態の使用法を説明するのに用いられる図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域にわたり出力強度の固有の非一様性を持つディスプレイ装置と、
前記ディスプレイ装置の前に位置し、かつ前記表示領域とレジストレーション状態にある光学減衰装置とを有し、
前記光学減衰装置が、前記表示領域にわたり変化する光減衰特性を持ち、前記出力強度の固有の非一様性を光学的に減らすよう構成される、表示デバイス。
【請求項2】
前記表示出力強度の固有の非一様性と前記光学減衰装置とがそれぞれ、周期的な特性を持つ、請求項1に記載の表示デバイス。
【請求項3】
前記表示出力強度の非一様性が、モアレパターンを有する、請求項1又は2に記載の表示デバイス。
【請求項4】
前記光学減衰装置が、光減衰パネルを有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の表示デバイス。
【請求項5】
前記表示出力強度の非一様性が、表示角度依存であり、前記光減衰パネルは、前記ディスプレイ装置に対向して配置される、請求項4に記載の表示デバイス。
【請求項6】
仮想的な非一様性パターンが表示平面の前の位置を持つよう、前記表示出力強度の非一様性が、表示角度依存であり、前記光減衰パネルは、前記仮想的な非一様性パターンの位置に対応する位置で、前記表示平面から間隔を空けて配置される、請求項4に記載の表示デバイス。
【請求項7】
仮想的な非一様性パターンが表示平面の前又は後の位置を持つよう、前記表示出力強度の非一様性が、表示角度依存であり、前記光学減衰装置は、前記仮想的な非一様性パターンの位置に対応する位置で仮想的な光減衰パターンを共に規定する複数の光減衰パネルを有する、請求項4に記載の表示デバイス。
【請求項8】
前記複数の光減衰パネルが、前記表示平面から100 mm内に配置される、請求項7に記載の表示デバイス。
【請求項9】
実質的にサイン波及び矩形波をそれぞれ規定する特性を持つ、第1及び第2の光減衰パネルを有する、請求項7又は8に記載の表示デバイス。
【請求項10】
前記第1及び第2の光減衰パネルの一方が、前記ディスプレイ装置に対向して配置され、前記第1及び第2の光減衰パネルの他方が、前記第1の光減衰パネルから間隔を空けて配置される、請求項9に記載の表示デバイス。
【請求項11】
前記第1の光減衰パネルが、

により規定される特性を持ち、P1(x)は、減衰特性であり、δp1が、前記減衰特性の振幅であり、λp1は、前記減衰特性の波長である、請求項9又は10に記載の表示デバイス。
【請求項12】
前記第2の光減衰パネルが、デューティサイクルが1 - δp2で波長がλp2である矩形波により規定される特性を持ち、δp2は、前記減衰特性の振幅である、請求項9乃至11のいずれかに記載の表示デバイス。
【請求項13】
前記ディスプレイ装置が、表示要素の行列アレイを持つ液晶表示パネルを有する、請求項1乃至12のいずれかに記載の表示デバイス。
【請求項14】
前記光減衰装置の前記光減衰特性の波長が、表示要素ピッチより短い、請求項13に記載の表示デバイス。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の表示デバイスを有する自動立体表示デバイスであって、前記ディスプレイ装置が、レンズのアレイを更に有し、前記レンズはそれぞれ、前記アレイの各行における複数の表示要素に関連付けられる、自動立体表示デバイス。
【請求項16】
表示デバイス上に観測可能な画像を生み出す方法において、
表示領域にわたり出力強度の固有の非一様性を持つディスプレイ装置を提供するステップと、
前記ディスプレイ装置の表示領域に観測可能な画像を生み出すステップと、
前記ディスプレイ装置の前に位置し、かつ前記表示領域とレジストレーション状態にある光学減衰装置を提供することにより、前記ディスプレイ装置の前記出力強度の固有の非一様性を光学的に減らすステップとを有し、
前記光学減衰装置が、前記表示領域にわたり変化する光減衰特性を持つ、方法。
【請求項17】
表示デバイスの出力強度の固有の非一様性を減らす光学減衰装置であって、該光学減衰装置が、ディスプレイ装置の前に位置し、かつ表示領域とレジストレーション状態にあり、前記光学減衰装置は、前記表示領域にわたり変化する光減衰特性を持ち、前記出力強度の固有の非一様性を光学的に減らすよう構成される、光学減衰装置。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2009−515223(P2009−515223A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539550(P2008−539550)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054003
【国際公開番号】WO2007/054851
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】