渡り廊下用床目地装置
【課題】 本発明は一方の建物に対し、傾斜状態で設けられた他方の建物が不等沈下しても、一方の建物の渡り廊下本体側の目地プレートは上方へ突出して危険な状態になるのを効率よく阻止して、安全に使用することができる渡り廊下用床目地装置を得るにある。
【解決手段】 一方の建物より突出させた渡り廊下本体と、この渡り廊下本体の先端部と所定の傾斜状態となる他方の建物に形成された、該渡り廊下本体と対応する開口部と、この開口部の下部位置の他方の建物の外壁に固定されたガイドレールと、このガイドレールに沿ってスライド移動し、かつ前記渡り廊下本体の目地部側床面にスライド移動可能に取付けられた目地プレートとからなる渡り廊下用床目地装置において、目地プレートに該目地プレートの先端部が、側面の長さが短い方となるほぼ対角線部分を中心に曲げる曲げ部を形成して渡り廊下用床目地装置を構成している。
【解決手段】 一方の建物より突出させた渡り廊下本体と、この渡り廊下本体の先端部と所定の傾斜状態となる他方の建物に形成された、該渡り廊下本体と対応する開口部と、この開口部の下部位置の他方の建物の外壁に固定されたガイドレールと、このガイドレールに沿ってスライド移動し、かつ前記渡り廊下本体の目地部側床面にスライド移動可能に取付けられた目地プレートとからなる渡り廊下用床目地装置において、目地プレートに該目地プレートの先端部が、側面の長さが短い方となるほぼ対角線部分を中心に曲げる曲げ部を形成して渡り廊下用床目地装置を構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物と建物とを接続する渡り廊下用床目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の建物より突出させた渡り廊下本体と、この渡り廊下本体の先端部と直角に設けられた他方の建物の開口部とを接続する渡り廊下用床目地装置が本出願人により実用化されている。
【0003】
しかしながら、渡り廊下本体の先端部と所定の傾斜状態となるように設置された他方の建物の開口部との間に従来の渡り廊下用床目地装置を設置すると、一方の建物と他方の建物とに不等沈下が生じた場合、目地プレートの渡り廊下本体側の角部が上方へ突出して、危険になるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−41245
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、一方の建物に対し、傾斜状態で設けられた他方の建物が不等沈下しても、一方の建物の渡り廊下本体側の目地プレートは上方へ突出して危険な状態になるのを効率よく阻止して、安全に使用することができる渡り廊下用床目地装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
【0007】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は一方の建物より突出させた渡り廊下本体と、この渡り廊下本体の先端部と所定の傾斜状態となる他方の建物に形成された、該渡り廊下本体と対応する開口部と、この開口部の下部位置の他方の建物の外壁に固定されたガイドレールと、このガイドレールに沿ってスライド移動し、かつ前記渡り廊下本体の目地部側床面にスライド移動可能に取付けられた目地プレートとからなる渡り廊下用床目地装置において、前記目地プレートに該目地プレートの先端部が、側面の長さが短い方となるほぼ対角線部分を中心に曲げる曲げ部を形成して渡り廊下用床目地装置を構成している。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)目地プレートをほぼ対角線部分に曲げ部を形成したので、他方の建物が一方の建物の渡り廊下本体の先端部と所定の傾斜状態で設けられていて、不等沈下しても、渡り廊下本体側の目地プレートの端部が上方へ突出するのを、目地プレートの曲げ部によって阻止することができる。
【0010】
したがって、不等沈下時に目地プレートの渡り廊下本体側が上方へ突出して危険になるのを効率よく阻止して、安全に使用することができる。
(2)前記(1)により、目地プレートに曲げ部を形成するだけでよく、簡単で、安価に設置することができる。
(3)前記(1)により、目地プレートに曲げ部を形成するだけで、他方の建物が渡り廊下本体の先端部より所定の傾斜がある部分に使用することができ、設置が容易にできる。
(4)請求項2は前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、手摺を渡り廊下本体の側壁に取付けることができ、より安全に使用することができる。
(5)請求項3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、地震で一方の建物と他方の建物が左右方向や前後方向に揺れ動いても、手摺で覆われるため、安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の目地プレートの説明図。
【図4】図1の4−4線に沿う断面図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態の目地部が狭くなる移動状態の説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の目地部が広くなる移動状態の説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の異なる前後方向の一方の移動状態の説明図。
【図8】本発明を実施するための第1の形態の異なる前後方向の他方の移動状態の説明図。
【図9】本発明を実施するための第1の形態の不等沈下した状態の断面図。
【図10】図9の10−10線に沿う断面図。
【図11】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図12】図11の12−12線に沿う断面図。
【図13】本発明を実施するための第2の形態の目地プレートの説明図。
【図14】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図15】図14の15−15線に沿う断面図。
【図16】本発明を実施するための第3の形態の目地プレートの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図10に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明の渡り廊下用床目地装置で、この渡り廊下用床目地装置1は一方の建物2より突出させた渡り廊下本体3と、この渡り廊下本体3の先端部3aと目地部4を介して所定の傾斜状態となるように設けられた他方の建物5に形成された、該渡り廊下本体3と対応する開口部6と、この開口部6の下部位置の他方の建物5の外壁5aにほぼ水平に多数本のタッピングビス7等で固定されたガイドレール8と、このガイドレール8に複数個のローラー9を介してスライド移動するスライドレール10と、前記渡り廊下本体3の先端部寄りの床面に形成された反目地部側が傾斜面11に形成された目地プレートスライド支持凹部12と、前記開口部6側に位置するスライドレール10に前記傾斜の外壁5aと同じ傾斜13の後端部が複数本の枢支ピン14、14、14で枢支され、先端部が前記目地プレートスライド支持凹部12を覆う目地プレート15と、この目地プレート15に該目地プレート15の先端部が、側面の長さが短い方とほぼ対角線部分を中心に曲げる曲げ部16と、前記渡り廊下本体3の両内壁面3b、3bに上部が左右方向にスライド移動可能に係止具17、17で係止され、下端部が前記目地プレート15の両側部にわずかに回動できるように取付具18、18で取付けられた目地プレート15の両側を覆う左右方向の手摺19、19と、前記目地プレート15の後端部の両側部のスライドレール10に下端部が固定され、かつ上部が前記他方の建物5の外壁5aにスライド移動可能に係止具20、20で係止された前後方向の手摺21、21とで構成されている。
【0014】
前記目地プレートスライド支持凹部12は図2に示すように、底面が、目地部4側が順次下方へ位置する傾斜面22に形成されている。
【0015】
前記目地プレート15は図3に示すように、ほぼ対角線部分で前記渡り廊下本体3の先端部より突出量の少ない側の一方の目地プレート23と他方の目地プレート24となるように分割され、分割部分の底面を複数個のヒンジ部材25で接続し、分割部分を中心に一方の目地プレート23と他方の目地プレート24の両側部が下方へ曲がる曲げ部26が形成され、かつ前記他方の目地プレート24の先端部が傾斜面27になるように形成されている。
【0016】
なお、前後方向の手摺21、21は前記目地プレート15の後端部の両側部に固定してもよいが、前記左右の手摺19、19とは固定しない状態で取付けることにより、目地プレート15が曲げ部26で曲がる場合に、左右の手摺19、19の回動をスムーズに行なわせることができる。
【0017】
上記構成の渡り廊下用床目地装置1は、目地部4が狭くなるように地震で一方の建物2と他方の建物5が揺れ動いた場合、図5に示すように目地プレート15の後端部が他方の建物5によって先端部方向へ押し圧され、先端部が渡り廊下本体3の目地プレートスライド支持凹部12をスライド移動して、床面上へ突出してその揺れ動きを吸収する。
【0018】
地震で目地部4が広くなるように揺れ動いた場合、図6に示すように目地プレート15の後端部は他方の建物5にスライドレール10を介してガイドレール8に取付けられているため、一体となって移動する。このため、目地プレート15の先端部は目地プレートスライド支持凹部12をスライド移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0019】
地震で異なる前後方向の一方へ揺れ動いた場合、図7に示すように目地プレート15は渡り廊下本体3と一体になって前後方向へ移動するため、目地プレート15の後端部はスライドレール10を介してガイドレール8に沿って移動する。この時、他方の建物5の開口部6と左右方向の手摺19との間に生じる隙間は前後方向の手摺21によって覆われ、開口部が生じるのを防止することができる。
【0020】
また、地震で異なる前後方向の他方へ揺れ動いた場合、図8に示すように目地プレート15は渡り廊下本体3と一体になって前後方向に移動するため、目地プレート15の後端部はスライドレール10を介してガイドレール8に沿って移動する。この時、他方の建物5の開口部6と左右方向の手摺19との間に生じる隙間は前後方向の手摺21によって覆われ、開口部が生じるのを防止することができる。
【0021】
地震等で他方の建物5が不等沈下した場合、図9および図10に示すように目地プレート15の後端部側が下方へ沈下し、渡り廊下本体3の先端部に当接した場合、目地プレート15は曲げ部26より曲がり、渡り廊下本体3の先端部より長く突出している他方の目地プレート24の先端部側を上方へ押し上げる力を吸収することができ、目地プレート15の先端部が上方へ大きく突出するのを阻止することができる。
【0022】
なお、目地プレート15が曲げ部26で曲がっても、目地プレート15の両側部に取付けられた左右方向の手摺19、19の下部は取付具18、18で回動可能に取付けられているため、左右方向の手摺19、19が渡り廊下本体3の内壁面3b、3bに衝突して、損傷したりするのを効率よく阻止することができる。
【0023】
なお、渡り廊下本体3の先端部3aと目地部4を介して所定の傾斜状態となるように設けられた他方の建物5は、あらかじめ一方の建物2と他方の建物5とが設置されている場合と、いずれか一方をこれから設置する場合の両方が考えられる。
【0024】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図11ないし図16に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0025】
図11ないし図13に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、他方の目地プレート24Aの先端部を水平に形成し、上部にヒンジ部材28を介してカバープレート29を設けた目地プレート15Aを用いた点で、このような他方の目地プレート24Aを使用した目地プレート15Aを用いて構成した渡り廊下用床目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0026】
図14ないし図16に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、一方の目地プレート23Aと他方の目地プレート24Bとの間に、下部が拡開する傾斜面30、31となる側壁23a、23aを形成し、上部をヒンジ部材32で接続し、曲げ部26Aを形成した目地プレート15Bを用いた点で、このような目地プレート15Bを用いて構成した渡り廊下用床目地装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、目地プレート15Bの曲げ部26Aで曲がっても、該曲げ部26Aの上面の隙間が大きくなるのを阻止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は一方が傾斜状態の目地部を設けた部分に設ける渡り廊下の渡り廊下用床目地装置を製造する産業に利用される。
【符号の説明】
【0028】
1、1A、1B:渡り廊下用床目地装置、
2:一方の建物、 3:渡り廊下本体、
4:目地部、 5:他方の建物、
6:開口部、 7:タッピングビス、
8:ガイドレール、 9:ローラー、
10:スライドレール、 11:傾斜面、
12:目地プレートスライド支持凹部、
13:傾斜、 14:枢支ピン
15、15A、15B:目地プレート、
16:曲げ部、 17:係止具、
18:取付具、 19:左右方向の手摺、
20:係止具、 21:前後方向の手摺、
22:傾斜面、 23:一方の目地プレート、
24、24A:他方の目地プレート、
25:ヒンジ部材、 26、26A:曲げ部、
27:傾斜面、 28:ヒンジ部材、
29:カバープレート、 30、31:傾斜面、
32:ヒンジ部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は建物と建物とを接続する渡り廊下用床目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の建物より突出させた渡り廊下本体と、この渡り廊下本体の先端部と直角に設けられた他方の建物の開口部とを接続する渡り廊下用床目地装置が本出願人により実用化されている。
【0003】
しかしながら、渡り廊下本体の先端部と所定の傾斜状態となるように設置された他方の建物の開口部との間に従来の渡り廊下用床目地装置を設置すると、一方の建物と他方の建物とに不等沈下が生じた場合、目地プレートの渡り廊下本体側の角部が上方へ突出して、危険になるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−41245
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、一方の建物に対し、傾斜状態で設けられた他方の建物が不等沈下しても、一方の建物の渡り廊下本体側の目地プレートは上方へ突出して危険な状態になるのを効率よく阻止して、安全に使用することができる渡り廊下用床目地装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
【0007】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は一方の建物より突出させた渡り廊下本体と、この渡り廊下本体の先端部と所定の傾斜状態となる他方の建物に形成された、該渡り廊下本体と対応する開口部と、この開口部の下部位置の他方の建物の外壁に固定されたガイドレールと、このガイドレールに沿ってスライド移動し、かつ前記渡り廊下本体の目地部側床面にスライド移動可能に取付けられた目地プレートとからなる渡り廊下用床目地装置において、前記目地プレートに該目地プレートの先端部が、側面の長さが短い方となるほぼ対角線部分を中心に曲げる曲げ部を形成して渡り廊下用床目地装置を構成している。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)目地プレートをほぼ対角線部分に曲げ部を形成したので、他方の建物が一方の建物の渡り廊下本体の先端部と所定の傾斜状態で設けられていて、不等沈下しても、渡り廊下本体側の目地プレートの端部が上方へ突出するのを、目地プレートの曲げ部によって阻止することができる。
【0010】
したがって、不等沈下時に目地プレートの渡り廊下本体側が上方へ突出して危険になるのを効率よく阻止して、安全に使用することができる。
(2)前記(1)により、目地プレートに曲げ部を形成するだけでよく、簡単で、安価に設置することができる。
(3)前記(1)により、目地プレートに曲げ部を形成するだけで、他方の建物が渡り廊下本体の先端部より所定の傾斜がある部分に使用することができ、設置が容易にできる。
(4)請求項2は前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、手摺を渡り廊下本体の側壁に取付けることができ、より安全に使用することができる。
(5)請求項3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、地震で一方の建物と他方の建物が左右方向や前後方向に揺れ動いても、手摺で覆われるため、安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の目地プレートの説明図。
【図4】図1の4−4線に沿う断面図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態の目地部が狭くなる移動状態の説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の目地部が広くなる移動状態の説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の異なる前後方向の一方の移動状態の説明図。
【図8】本発明を実施するための第1の形態の異なる前後方向の他方の移動状態の説明図。
【図9】本発明を実施するための第1の形態の不等沈下した状態の断面図。
【図10】図9の10−10線に沿う断面図。
【図11】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図12】図11の12−12線に沿う断面図。
【図13】本発明を実施するための第2の形態の目地プレートの説明図。
【図14】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図15】図14の15−15線に沿う断面図。
【図16】本発明を実施するための第3の形態の目地プレートの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図10に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明の渡り廊下用床目地装置で、この渡り廊下用床目地装置1は一方の建物2より突出させた渡り廊下本体3と、この渡り廊下本体3の先端部3aと目地部4を介して所定の傾斜状態となるように設けられた他方の建物5に形成された、該渡り廊下本体3と対応する開口部6と、この開口部6の下部位置の他方の建物5の外壁5aにほぼ水平に多数本のタッピングビス7等で固定されたガイドレール8と、このガイドレール8に複数個のローラー9を介してスライド移動するスライドレール10と、前記渡り廊下本体3の先端部寄りの床面に形成された反目地部側が傾斜面11に形成された目地プレートスライド支持凹部12と、前記開口部6側に位置するスライドレール10に前記傾斜の外壁5aと同じ傾斜13の後端部が複数本の枢支ピン14、14、14で枢支され、先端部が前記目地プレートスライド支持凹部12を覆う目地プレート15と、この目地プレート15に該目地プレート15の先端部が、側面の長さが短い方とほぼ対角線部分を中心に曲げる曲げ部16と、前記渡り廊下本体3の両内壁面3b、3bに上部が左右方向にスライド移動可能に係止具17、17で係止され、下端部が前記目地プレート15の両側部にわずかに回動できるように取付具18、18で取付けられた目地プレート15の両側を覆う左右方向の手摺19、19と、前記目地プレート15の後端部の両側部のスライドレール10に下端部が固定され、かつ上部が前記他方の建物5の外壁5aにスライド移動可能に係止具20、20で係止された前後方向の手摺21、21とで構成されている。
【0014】
前記目地プレートスライド支持凹部12は図2に示すように、底面が、目地部4側が順次下方へ位置する傾斜面22に形成されている。
【0015】
前記目地プレート15は図3に示すように、ほぼ対角線部分で前記渡り廊下本体3の先端部より突出量の少ない側の一方の目地プレート23と他方の目地プレート24となるように分割され、分割部分の底面を複数個のヒンジ部材25で接続し、分割部分を中心に一方の目地プレート23と他方の目地プレート24の両側部が下方へ曲がる曲げ部26が形成され、かつ前記他方の目地プレート24の先端部が傾斜面27になるように形成されている。
【0016】
なお、前後方向の手摺21、21は前記目地プレート15の後端部の両側部に固定してもよいが、前記左右の手摺19、19とは固定しない状態で取付けることにより、目地プレート15が曲げ部26で曲がる場合に、左右の手摺19、19の回動をスムーズに行なわせることができる。
【0017】
上記構成の渡り廊下用床目地装置1は、目地部4が狭くなるように地震で一方の建物2と他方の建物5が揺れ動いた場合、図5に示すように目地プレート15の後端部が他方の建物5によって先端部方向へ押し圧され、先端部が渡り廊下本体3の目地プレートスライド支持凹部12をスライド移動して、床面上へ突出してその揺れ動きを吸収する。
【0018】
地震で目地部4が広くなるように揺れ動いた場合、図6に示すように目地プレート15の後端部は他方の建物5にスライドレール10を介してガイドレール8に取付けられているため、一体となって移動する。このため、目地プレート15の先端部は目地プレートスライド支持凹部12をスライド移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0019】
地震で異なる前後方向の一方へ揺れ動いた場合、図7に示すように目地プレート15は渡り廊下本体3と一体になって前後方向へ移動するため、目地プレート15の後端部はスライドレール10を介してガイドレール8に沿って移動する。この時、他方の建物5の開口部6と左右方向の手摺19との間に生じる隙間は前後方向の手摺21によって覆われ、開口部が生じるのを防止することができる。
【0020】
また、地震で異なる前後方向の他方へ揺れ動いた場合、図8に示すように目地プレート15は渡り廊下本体3と一体になって前後方向に移動するため、目地プレート15の後端部はスライドレール10を介してガイドレール8に沿って移動する。この時、他方の建物5の開口部6と左右方向の手摺19との間に生じる隙間は前後方向の手摺21によって覆われ、開口部が生じるのを防止することができる。
【0021】
地震等で他方の建物5が不等沈下した場合、図9および図10に示すように目地プレート15の後端部側が下方へ沈下し、渡り廊下本体3の先端部に当接した場合、目地プレート15は曲げ部26より曲がり、渡り廊下本体3の先端部より長く突出している他方の目地プレート24の先端部側を上方へ押し上げる力を吸収することができ、目地プレート15の先端部が上方へ大きく突出するのを阻止することができる。
【0022】
なお、目地プレート15が曲げ部26で曲がっても、目地プレート15の両側部に取付けられた左右方向の手摺19、19の下部は取付具18、18で回動可能に取付けられているため、左右方向の手摺19、19が渡り廊下本体3の内壁面3b、3bに衝突して、損傷したりするのを効率よく阻止することができる。
【0023】
なお、渡り廊下本体3の先端部3aと目地部4を介して所定の傾斜状態となるように設けられた他方の建物5は、あらかじめ一方の建物2と他方の建物5とが設置されている場合と、いずれか一方をこれから設置する場合の両方が考えられる。
【0024】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図11ないし図16に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0025】
図11ないし図13に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、他方の目地プレート24Aの先端部を水平に形成し、上部にヒンジ部材28を介してカバープレート29を設けた目地プレート15Aを用いた点で、このような他方の目地プレート24Aを使用した目地プレート15Aを用いて構成した渡り廊下用床目地装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0026】
図14ないし図16に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、一方の目地プレート23Aと他方の目地プレート24Bとの間に、下部が拡開する傾斜面30、31となる側壁23a、23aを形成し、上部をヒンジ部材32で接続し、曲げ部26Aを形成した目地プレート15Bを用いた点で、このような目地プレート15Bを用いて構成した渡り廊下用床目地装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、目地プレート15Bの曲げ部26Aで曲がっても、該曲げ部26Aの上面の隙間が大きくなるのを阻止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は一方が傾斜状態の目地部を設けた部分に設ける渡り廊下の渡り廊下用床目地装置を製造する産業に利用される。
【符号の説明】
【0028】
1、1A、1B:渡り廊下用床目地装置、
2:一方の建物、 3:渡り廊下本体、
4:目地部、 5:他方の建物、
6:開口部、 7:タッピングビス、
8:ガイドレール、 9:ローラー、
10:スライドレール、 11:傾斜面、
12:目地プレートスライド支持凹部、
13:傾斜、 14:枢支ピン
15、15A、15B:目地プレート、
16:曲げ部、 17:係止具、
18:取付具、 19:左右方向の手摺、
20:係止具、 21:前後方向の手摺、
22:傾斜面、 23:一方の目地プレート、
24、24A:他方の目地プレート、
25:ヒンジ部材、 26、26A:曲げ部、
27:傾斜面、 28:ヒンジ部材、
29:カバープレート、 30、31:傾斜面、
32:ヒンジ部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の建物より突出させた渡り廊下本体と、この渡り廊下本体の先端部と所定の傾斜状態となる他方の建物に形成された、該渡り廊下本体と対応する開口部と、この開口部の下部位置の他方の建物の外壁に固定されたガイドレールと、このガイドレールに沿ってスライド移動し、かつ前記渡り廊下本体の目地部側床面にスライド移動可能に取付けられた目地プレートとからなる渡り廊下用床目地装置において、前記目地プレートに該目地プレートの先端部が、側面の長さが短い方となるほぼ対角線部分を中心に曲げる曲げ部を形成したことを特徴とする渡り廊下用床目地装置。
【請求項2】
目地プレートの両側部には該目地プレートが傾斜しても渡り廊下本体の内壁面と当接するように、わずかに回動できるように左右方向の手摺が取付けられていることを特徴とする請求項1記載の渡り廊下用床目地装置。
【請求項3】
ガイドレールに沿ってスライド移動する部位の目地プレートの両側には、該ガイドレールに沿ってスライド移動する前後方向の手摺が固定されていることを特徴とする請求項1記載の渡り廊下用床目地装置。
【請求項1】
一方の建物より突出させた渡り廊下本体と、この渡り廊下本体の先端部と所定の傾斜状態となる他方の建物に形成された、該渡り廊下本体と対応する開口部と、この開口部の下部位置の他方の建物の外壁に固定されたガイドレールと、このガイドレールに沿ってスライド移動し、かつ前記渡り廊下本体の目地部側床面にスライド移動可能に取付けられた目地プレートとからなる渡り廊下用床目地装置において、前記目地プレートに該目地プレートの先端部が、側面の長さが短い方となるほぼ対角線部分を中心に曲げる曲げ部を形成したことを特徴とする渡り廊下用床目地装置。
【請求項2】
目地プレートの両側部には該目地プレートが傾斜しても渡り廊下本体の内壁面と当接するように、わずかに回動できるように左右方向の手摺が取付けられていることを特徴とする請求項1記載の渡り廊下用床目地装置。
【請求項3】
ガイドレールに沿ってスライド移動する部位の目地プレートの両側には、該ガイドレールに沿ってスライド移動する前後方向の手摺が固定されていることを特徴とする請求項1記載の渡り廊下用床目地装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−47159(P2011−47159A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195160(P2009−195160)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】
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