温度ヒューズ内蔵抵抗器及びこの温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた電気回路
【課題】2つの回路に適用可能な温度ヒューズ内蔵抵抗器を提供する。
【解決手段】温度ヒューズ内蔵抵抗器は、ケース4内に、第1の抵抗器1と、第2の抵抗器2と、1個の温度ヒューズ3とを収容し、温度ヒューズ3を第1の抵抗器1と第2の抵抗器2の間に配置して構成する。第1の抵抗器1からケース4外に伸びる第1のリード線5と、第2の抵抗器2からケース4外に伸びる第2のリード線6と、第1の抵抗器1からケース4の反対の方向に伸びる第3のリード線7と、を備えている。
【解決手段】温度ヒューズ内蔵抵抗器は、ケース4内に、第1の抵抗器1と、第2の抵抗器2と、1個の温度ヒューズ3とを収容し、温度ヒューズ3を第1の抵抗器1と第2の抵抗器2の間に配置して構成する。第1の抵抗器1からケース4外に伸びる第1のリード線5と、第2の抵抗器2からケース4外に伸びる第2のリード線6と、第1の抵抗器1からケース4の反対の方向に伸びる第3のリード線7と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温度ヒューズ内蔵抵抗器及びこの温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
温度ヒューズ内蔵抵抗器は、典型的には、突入電流制限用に電源回路の入力側に接続され、電源オン時などの突入電流を抑制するために用いられるが、予期しない過電流が流れるとジュール熱による抵抗器の過熱により温度ヒューズを溶断させて通電を遮断する。このような作用によって、火災などの事故発生を未然に防止する。
【0003】
温度ヒューズ内蔵抵抗器は、通常、回路基板に実装するが、機能的には、実装時の占有スペースの小型化、実装時の耐応力性能の向上、半田付けを行うときの耐熱性の向上などが要求される。
【0004】
すなわち、占有スペースの小型化は実装基板の小型化に寄与し、実装時の耐応力性能の向上は半田付け時などに作用するモーメント力やせん断力に対してリード線が断線しないようになり、耐熱性の向上は半田付けを行うときの熱によって温度ヒューズの特性劣化を防止することになる。
【0005】
そこで、このような要請に応えるため、従来は、図1に示すような構造の温度ヒューズ内蔵抵抗器が提案されている(特許文献1)。
【0006】
図1に示す温度ヒューズ内蔵抵抗器は、両端部に第1の端子と第2の端子を備える第1の抵抗器と、両端部に第3の端子と第4の端子を備える第2の抵抗器と、1個の温度ヒューズとがケース内に収容され、温度ヒューズを前記第1の抵抗器と第2の抵抗器間に接続している。また、温度ヒューズを前記第1の抵抗器と第2の抵抗器間に配置している。
【0007】
このような構造であると、温度ヒューズを前記第1の抵抗器と第2の抵抗器間に接続しているために、半田付け時の熱による温度ヒューズの特性劣化を防ぐことが出来る。また、抵抗器のリード線を長くして耐熱性を向上させる必要がないために小型化を実現でき、さらに、全体も小型化するために半田付け時に大きなモーメント力やせん断力が作用することを防止出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−97943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の温度ヒューズ内蔵抵抗器は、2端子構造であるため、この温度ヒューズ内蔵抵抗器は、図2のように、入力電源Vと負荷回路Aとの間に直列に接続される。このため、2つの回路に接続しようとするときは、2つの温度ヒューズ内蔵抵抗器が必要である。2つの回路に接続するときは、抵抗器に第1の抵抗器だけを使用する温度ヒューズ内蔵抵抗器を使用することも可能であるが、この場合でも図3のように、2つの温度ヒューズ内蔵抵抗器が必要である。
【0010】
したがって、従来の2端子構造の温度ヒューズ内蔵抵抗器では、一つの回路にしか適用することが出来ず、複数の回路に適用するには、回路毎に温度ヒューズ内蔵抵抗器を接続することが必要であった。また、その場合、回路の定格入力電流に応じて抵抗器の大きさを変えることが必要であった。
【0011】
例えば、図3において、負荷回路Aが主電源回路、負荷回路Bが補助電源回路とすれば、通常、負荷回路Aの定格入力電流が負荷回路Bの定格入力電流よりも大きいから、負荷回路Aに接続する温度ヒューズ内蔵抵抗器Xの抵抗器の大きさを、負荷回路Bに接続する温度ヒューズ内蔵抵抗器Yの抵抗器の大きさよりも大きくすることが必要である。または、温度ヒューズ内蔵抵抗器Xに使用する温度ヒューズの熱溶断特性と温度ヒューズ内蔵抵抗器Yに使用する温度ヒューズの熱溶断特性とを変えることが必要である。このように、定格入力電流の異なる2つの負荷回路を接続する場合、各負荷回路用に抵抗器の大きさや温度ヒューズの特性の異なる2つの温度ヒューズ内蔵抵抗器が必要となり、製造時の管理が面倒であるとともに、コストアップの原因となり、また、基板への実装時に間違いが生じやすいという問題があった。さらに基板上の温度ヒューズ内蔵抵抗器占有スペースが大きくなるという問題があった。
【0012】
この発明の目的は、2つの回路に適用可能な温度ヒューズ内蔵抵抗器を提供することにある。
【0013】
この発明の他の目的は、定格入力電流がそれぞれ異なる2つの回路に適用可能な温度ヒューズ内蔵抵抗器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の温度ヒューズ内蔵抵抗器は、両端部に第1の端子と第2の端子を備える第1の抵抗器と、両端部に第3の端子と第4の端子を備える第2の抵抗器と、1個の温度ヒューズとがケース内に収容され、前記温度ヒューズを前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器の間に配置した温度ヒューズ内蔵抵抗器において、
前記第1の抵抗器の第1の端子から前記ケース外に伸びる第1のリード線と、
前記第2の抵抗器の第3の端子から前記ケース外に伸びる第2のリード線と
前記第1の抵抗器の第2の端子から前記ケース外に伸びる第3のリード線と、を備え、
前記温度ヒューズは、前記第1の抵抗器の第2の端子と前記第2の抵抗器の第4の端子間に接続されていることを特徴とする。
【0015】
この発明の他の形態として、前記第2の抵抗器の第4の端子から前記ケース外に伸びる第4のリード線を備えることも出来る。
【0016】
また、この発明の電気回路は、
定格入力電流が第1の大きさの第1の回路と、
定格入力電流が前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの第2の回路と、
を備え、
前記第1の抵抗器の第1の端子から伸びる前記第1のリード線と前記第2の抵抗器の第3の端子から伸びる前記第2のリード線との間に、電源と前記第1の回路とが直列となるように接続され、
前記第1の抵抗器の第2の端子から伸びる前記第3のリード線は前記第2の回路に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1のリード線、第2のリード線とは別に、第3のリード線を備えることにより、2つの負荷回路を接続可能な温度ヒューズ内蔵抵抗器を実現できる。また、2つの負荷回路は、それぞれ定格入力電流がそれぞれ異なるものに出来る。さらに、これらのリード線に対する入力電源と負荷回路の接続形態を変えることにより、第1の負荷回路は温度ヒューズに接続するが、第2の負荷回路は温度ヒューズに接続しないように出来る。
【0018】
さらに、第4のリード線を設けることにより、2つの負荷回路の接続形態のバリエーションをさらに増やすことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の温度ヒューズ内蔵抵抗器の平面断面図
【図2】従来の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた回路の回路構成図
【図3】従来の他の例の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた回路の回路構成図
【図4】この発明の第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器の外観構成図
【図5】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器の平面断面図
【図6】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器の回路図
【図7】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた回路例の回路構成図
【図8】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた他の回路例の回路構成図
【図9】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いたさらに他の回路例の回路構成図
【図10】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いたさらに他の回路例の回路構成
【図11】この発明の第2の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器の外観構成図
【図12】第2の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた回路例の回路構成図
【図13】この発明の第3の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器の外観構成図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図4は、この発明の第1の実施形態である温度ヒューズ内蔵抵抗器の外観を示す。同図(A)は平面図、同図(B)は正面図、同図(C)は左側面図、同図(D)は右側面図である。
【0021】
図5は、温度ヒューズ内蔵抵抗器の平面断面図である。
【0022】
両端部に第1の端子1Aと第2の端子1Bを備える第1の抵抗器1と、両端部に第3の端子2Aと第4の端子2Bを備える第2の抵抗器2と、1個の温度ヒューズ3とがケース4内に収容され、前記温度ヒューズ3を前記第1の抵抗器1と前記第2の抵抗器2の間に配置している。ケース4は、セラミックなどの耐熱性部材で構成される。
【0023】
第1の抵抗器1と第2の抵抗器2は、セラミック等の耐熱コアと、コアの両端に装着されるキャップ電極と、コアに巻き付けられるニッケルクローム合金線、銅−ニッケル合金線、銅−マンガン−ニッケル合金線等の抵抗線とで構成される。抵抗線の両端はコア両端の各キャップ電極に溶接等により結着される。これらの抵抗器1、2には、さらに別の構造のものを採用することも可能である。例えば、金属または炭素等の薄膜を円筒形や平面上の絶縁体上に形成したものを抵抗素子とする金属薄膜抵抗器または炭素皮膜抵抗器や、炭素粉末等の抵抗材料にフェノール樹脂、ガラス等の粉末を混合して芯状に加圧成形したものを抵抗素子とするソリッド抵抗器を採用することができる。
【0024】
温度ヒューズ内蔵抵抗器は、第1の抵抗器1の第1の端子1Aからケース4外に伸びる第1のリード線5と、第2の抵抗器2の第3の端子2Aからケース4外に伸び、第1のリード線5に平行な第2のリード線6と、第1の抵抗器1の第2の端子1Bからケース4外に第1のリード線5及び第2のリード線6が延びる方向とは逆方向に伸びる第3のリード線7と、を備えている。
【0025】
温度ヒューズ3は、図示のようにケースの一方の端部に2つのリード導体を配置したラジアル型の形状のものや、ケースの両端部にそれぞれ1つのリード導体を配置したアキシャル型の形状ものを使用することが可能である。温度ヒューズ3は、ヒューズケースと、このヒューズケース内に収容され表面にフラックスを塗布したヒューズエレメントと、このヒューズエレメントの先端部間に接続した2本のリード導体とを備えている。図示するラジアル型の温度ヒューズ3では、ヒューズケースの一方の端部を開口し、この開口から2本のリード導体を導出する。また、その開口をエポキシ樹脂等の接着剤で封止する。温度ヒューズ3の2本のリード導体は、第1の抵抗器1の端子1Bと、第2の抵抗器2の端子2Bにそれぞれ溶着しているリード導体に溶接により結着される。
【0026】
ヒューズエレメントは、例えば、動作温度(0.1A以下の電流で1分間に1度上昇するオイル中で、通電が遮断されるときのオイル温度)が110度〜160度のものが使用される。
【0027】
ケース4内には、耐熱性封止材8が充填されている。この封止材4は、無機質粉末に硬化性樹脂のバインダーを配合したものを使用することができる。無機質粉末には、粉末状の石英、アルミナ、雲母、ジルコニア、二酸化チタン等を使用することができ、バインダーにはシリコン樹脂を使用できる。無機質粉末量は99〜96重量%、シリコン樹脂量は1〜4重量%とする。
【0028】
図6は、上記の構成からなる温度ヒューズ内蔵抵抗器の回路図である。
【0029】
図7は、この温度ヒューズ内蔵抵抗器Zに主電源回路(第1の負荷回路)Aと、補助電源回路(第2の負荷回路)Bとを接続した電気回路の回路図を示している。負荷回路として主電源回路が接続されることにより、この実施形態では、温度ヒューズ内蔵抵抗器内の第1の抵抗器1と第2の抵抗器2とは、主電源回路に対しての突入電流を抑制する。
【0030】
第1の抵抗器1と第2の抵抗器2とは、この実施形態では同じ抵抗値に設定されている。
【0031】
図7において、第2の抵抗器2に接続される第2のリード線6には入力電源の一方の出力端子が接続され、第1の抵抗器1の第1のリード線5には主電源回路Aの一方の入力端子が接続されている。また、第1の抵抗器1に接続される第3のリード線7には補助電源回路Bの一方の入力端子が接続される。主電源回路Aと補助電源回路Bの他方の入力端子(基準電位端子)には入力電源の他方の出力端子(基準電位端子)が接続される。
【0032】
すなわち、第1の抵抗器1に接続される第1のリード線5と第2の抵抗器2に接続される第2のリード線6との間に、入力電源Vと主電源回路Aとが直列となるように接続されている。
【0033】
第1の抵抗器1と第2の抵抗器2とは同じ抵抗値に設定されているため、その抵抗値をRとすると、主電源回路Aに対する抵抗値は2Rであり、補助電源回路Bに対する抵抗値はRとなる。通常、主電源回路Aの定格入力電流は、補助電源回路Bの定格入力電流よりも大きいから、図7に示すような接続形態を採用することで、主電源回路Aに対する突入電流抑制用の抵抗値と補助電源回路Bに対する突入電流抑制用の抵抗値とは、適正な値となる。
【0034】
図8は、補助電源回路Bを、温度ヒューズ3を介さずに接続した形態を示す。このような接続形態を採用するときは、図示のように、入力電源を第1のリード線5に接続し、主電源回路Aを第2のリード線6に接続する。このような接続形態でも、第1の抵抗器1に接続される第1のリード線5と第2の抵抗器2に接続される第2のリード線6との間に、入力電源Vと主電源回路Aとが直列となるように接続される。
【0035】
なお、この発明の応用例として、図9のような接続形態でも良い。図9は、図8の形態において、ヒューズ3と第2の抵抗器3とを逆にした形態を示す。但し、図9は、抵抗器1、2と温度ヒューズ3の接続方法が図5とは異なっている。同様に、図10のような接続形態も採用することが可能である。
【0036】
図11は、この発明の第2の実施形態を示している。
【0037】
図11に示す温度ヒューズ内蔵抵抗器は、第1のリード線5、第2のリード線6、及び第3のリード線7の他に、第4のリード線9を備えている。第4のリード線9は、第2の抵抗器2の第4の端子2Bに溶着され、第1のリード線5、第2のリード線6が延びる方向とは逆方向に、この端子2Bからケース4外に伸びている。接続形態は、例えば図12のようにされる。図12は、主電源回路A、第1の補助電源回路B、第2の補助電源回路Cを接続した形態を示している。構成において図7と相違する点は、第4のリード線9に第2の補助電源回路Cを接続していることである。このような接続形態を採用することで、温度ヒューズ内蔵抵抗器に3つの異なった回路を接続することができる。
【0038】
図13は、この発明の第3の実施形態を示している。
【0039】
図13に示す温度ヒューズ内蔵抵抗器は、第1のリード線5と第2のリード線6に対して、抵抗器1、2を直角方向に取り付けたものである。
【符号の説明】
【0040】
1−第1の抵抗器
2−第2の抵抗器
3−温度ヒューズ
4−ケース
5−第1のリード線
6−第2のリード線
7−第3のリード線
【技術分野】
【0001】
この発明は、温度ヒューズ内蔵抵抗器及びこの温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
温度ヒューズ内蔵抵抗器は、典型的には、突入電流制限用に電源回路の入力側に接続され、電源オン時などの突入電流を抑制するために用いられるが、予期しない過電流が流れるとジュール熱による抵抗器の過熱により温度ヒューズを溶断させて通電を遮断する。このような作用によって、火災などの事故発生を未然に防止する。
【0003】
温度ヒューズ内蔵抵抗器は、通常、回路基板に実装するが、機能的には、実装時の占有スペースの小型化、実装時の耐応力性能の向上、半田付けを行うときの耐熱性の向上などが要求される。
【0004】
すなわち、占有スペースの小型化は実装基板の小型化に寄与し、実装時の耐応力性能の向上は半田付け時などに作用するモーメント力やせん断力に対してリード線が断線しないようになり、耐熱性の向上は半田付けを行うときの熱によって温度ヒューズの特性劣化を防止することになる。
【0005】
そこで、このような要請に応えるため、従来は、図1に示すような構造の温度ヒューズ内蔵抵抗器が提案されている(特許文献1)。
【0006】
図1に示す温度ヒューズ内蔵抵抗器は、両端部に第1の端子と第2の端子を備える第1の抵抗器と、両端部に第3の端子と第4の端子を備える第2の抵抗器と、1個の温度ヒューズとがケース内に収容され、温度ヒューズを前記第1の抵抗器と第2の抵抗器間に接続している。また、温度ヒューズを前記第1の抵抗器と第2の抵抗器間に配置している。
【0007】
このような構造であると、温度ヒューズを前記第1の抵抗器と第2の抵抗器間に接続しているために、半田付け時の熱による温度ヒューズの特性劣化を防ぐことが出来る。また、抵抗器のリード線を長くして耐熱性を向上させる必要がないために小型化を実現でき、さらに、全体も小型化するために半田付け時に大きなモーメント力やせん断力が作用することを防止出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−97943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の温度ヒューズ内蔵抵抗器は、2端子構造であるため、この温度ヒューズ内蔵抵抗器は、図2のように、入力電源Vと負荷回路Aとの間に直列に接続される。このため、2つの回路に接続しようとするときは、2つの温度ヒューズ内蔵抵抗器が必要である。2つの回路に接続するときは、抵抗器に第1の抵抗器だけを使用する温度ヒューズ内蔵抵抗器を使用することも可能であるが、この場合でも図3のように、2つの温度ヒューズ内蔵抵抗器が必要である。
【0010】
したがって、従来の2端子構造の温度ヒューズ内蔵抵抗器では、一つの回路にしか適用することが出来ず、複数の回路に適用するには、回路毎に温度ヒューズ内蔵抵抗器を接続することが必要であった。また、その場合、回路の定格入力電流に応じて抵抗器の大きさを変えることが必要であった。
【0011】
例えば、図3において、負荷回路Aが主電源回路、負荷回路Bが補助電源回路とすれば、通常、負荷回路Aの定格入力電流が負荷回路Bの定格入力電流よりも大きいから、負荷回路Aに接続する温度ヒューズ内蔵抵抗器Xの抵抗器の大きさを、負荷回路Bに接続する温度ヒューズ内蔵抵抗器Yの抵抗器の大きさよりも大きくすることが必要である。または、温度ヒューズ内蔵抵抗器Xに使用する温度ヒューズの熱溶断特性と温度ヒューズ内蔵抵抗器Yに使用する温度ヒューズの熱溶断特性とを変えることが必要である。このように、定格入力電流の異なる2つの負荷回路を接続する場合、各負荷回路用に抵抗器の大きさや温度ヒューズの特性の異なる2つの温度ヒューズ内蔵抵抗器が必要となり、製造時の管理が面倒であるとともに、コストアップの原因となり、また、基板への実装時に間違いが生じやすいという問題があった。さらに基板上の温度ヒューズ内蔵抵抗器占有スペースが大きくなるという問題があった。
【0012】
この発明の目的は、2つの回路に適用可能な温度ヒューズ内蔵抵抗器を提供することにある。
【0013】
この発明の他の目的は、定格入力電流がそれぞれ異なる2つの回路に適用可能な温度ヒューズ内蔵抵抗器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の温度ヒューズ内蔵抵抗器は、両端部に第1の端子と第2の端子を備える第1の抵抗器と、両端部に第3の端子と第4の端子を備える第2の抵抗器と、1個の温度ヒューズとがケース内に収容され、前記温度ヒューズを前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器の間に配置した温度ヒューズ内蔵抵抗器において、
前記第1の抵抗器の第1の端子から前記ケース外に伸びる第1のリード線と、
前記第2の抵抗器の第3の端子から前記ケース外に伸びる第2のリード線と
前記第1の抵抗器の第2の端子から前記ケース外に伸びる第3のリード線と、を備え、
前記温度ヒューズは、前記第1の抵抗器の第2の端子と前記第2の抵抗器の第4の端子間に接続されていることを特徴とする。
【0015】
この発明の他の形態として、前記第2の抵抗器の第4の端子から前記ケース外に伸びる第4のリード線を備えることも出来る。
【0016】
また、この発明の電気回路は、
定格入力電流が第1の大きさの第1の回路と、
定格入力電流が前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの第2の回路と、
を備え、
前記第1の抵抗器の第1の端子から伸びる前記第1のリード線と前記第2の抵抗器の第3の端子から伸びる前記第2のリード線との間に、電源と前記第1の回路とが直列となるように接続され、
前記第1の抵抗器の第2の端子から伸びる前記第3のリード線は前記第2の回路に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1のリード線、第2のリード線とは別に、第3のリード線を備えることにより、2つの負荷回路を接続可能な温度ヒューズ内蔵抵抗器を実現できる。また、2つの負荷回路は、それぞれ定格入力電流がそれぞれ異なるものに出来る。さらに、これらのリード線に対する入力電源と負荷回路の接続形態を変えることにより、第1の負荷回路は温度ヒューズに接続するが、第2の負荷回路は温度ヒューズに接続しないように出来る。
【0018】
さらに、第4のリード線を設けることにより、2つの負荷回路の接続形態のバリエーションをさらに増やすことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の温度ヒューズ内蔵抵抗器の平面断面図
【図2】従来の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた回路の回路構成図
【図3】従来の他の例の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた回路の回路構成図
【図4】この発明の第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器の外観構成図
【図5】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器の平面断面図
【図6】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器の回路図
【図7】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた回路例の回路構成図
【図8】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた他の回路例の回路構成図
【図9】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いたさらに他の回路例の回路構成図
【図10】第1の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いたさらに他の回路例の回路構成
【図11】この発明の第2の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器の外観構成図
【図12】第2の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器を用いた回路例の回路構成図
【図13】この発明の第3の実施形態の温度ヒューズ内蔵抵抗器の外観構成図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図4は、この発明の第1の実施形態である温度ヒューズ内蔵抵抗器の外観を示す。同図(A)は平面図、同図(B)は正面図、同図(C)は左側面図、同図(D)は右側面図である。
【0021】
図5は、温度ヒューズ内蔵抵抗器の平面断面図である。
【0022】
両端部に第1の端子1Aと第2の端子1Bを備える第1の抵抗器1と、両端部に第3の端子2Aと第4の端子2Bを備える第2の抵抗器2と、1個の温度ヒューズ3とがケース4内に収容され、前記温度ヒューズ3を前記第1の抵抗器1と前記第2の抵抗器2の間に配置している。ケース4は、セラミックなどの耐熱性部材で構成される。
【0023】
第1の抵抗器1と第2の抵抗器2は、セラミック等の耐熱コアと、コアの両端に装着されるキャップ電極と、コアに巻き付けられるニッケルクローム合金線、銅−ニッケル合金線、銅−マンガン−ニッケル合金線等の抵抗線とで構成される。抵抗線の両端はコア両端の各キャップ電極に溶接等により結着される。これらの抵抗器1、2には、さらに別の構造のものを採用することも可能である。例えば、金属または炭素等の薄膜を円筒形や平面上の絶縁体上に形成したものを抵抗素子とする金属薄膜抵抗器または炭素皮膜抵抗器や、炭素粉末等の抵抗材料にフェノール樹脂、ガラス等の粉末を混合して芯状に加圧成形したものを抵抗素子とするソリッド抵抗器を採用することができる。
【0024】
温度ヒューズ内蔵抵抗器は、第1の抵抗器1の第1の端子1Aからケース4外に伸びる第1のリード線5と、第2の抵抗器2の第3の端子2Aからケース4外に伸び、第1のリード線5に平行な第2のリード線6と、第1の抵抗器1の第2の端子1Bからケース4外に第1のリード線5及び第2のリード線6が延びる方向とは逆方向に伸びる第3のリード線7と、を備えている。
【0025】
温度ヒューズ3は、図示のようにケースの一方の端部に2つのリード導体を配置したラジアル型の形状のものや、ケースの両端部にそれぞれ1つのリード導体を配置したアキシャル型の形状ものを使用することが可能である。温度ヒューズ3は、ヒューズケースと、このヒューズケース内に収容され表面にフラックスを塗布したヒューズエレメントと、このヒューズエレメントの先端部間に接続した2本のリード導体とを備えている。図示するラジアル型の温度ヒューズ3では、ヒューズケースの一方の端部を開口し、この開口から2本のリード導体を導出する。また、その開口をエポキシ樹脂等の接着剤で封止する。温度ヒューズ3の2本のリード導体は、第1の抵抗器1の端子1Bと、第2の抵抗器2の端子2Bにそれぞれ溶着しているリード導体に溶接により結着される。
【0026】
ヒューズエレメントは、例えば、動作温度(0.1A以下の電流で1分間に1度上昇するオイル中で、通電が遮断されるときのオイル温度)が110度〜160度のものが使用される。
【0027】
ケース4内には、耐熱性封止材8が充填されている。この封止材4は、無機質粉末に硬化性樹脂のバインダーを配合したものを使用することができる。無機質粉末には、粉末状の石英、アルミナ、雲母、ジルコニア、二酸化チタン等を使用することができ、バインダーにはシリコン樹脂を使用できる。無機質粉末量は99〜96重量%、シリコン樹脂量は1〜4重量%とする。
【0028】
図6は、上記の構成からなる温度ヒューズ内蔵抵抗器の回路図である。
【0029】
図7は、この温度ヒューズ内蔵抵抗器Zに主電源回路(第1の負荷回路)Aと、補助電源回路(第2の負荷回路)Bとを接続した電気回路の回路図を示している。負荷回路として主電源回路が接続されることにより、この実施形態では、温度ヒューズ内蔵抵抗器内の第1の抵抗器1と第2の抵抗器2とは、主電源回路に対しての突入電流を抑制する。
【0030】
第1の抵抗器1と第2の抵抗器2とは、この実施形態では同じ抵抗値に設定されている。
【0031】
図7において、第2の抵抗器2に接続される第2のリード線6には入力電源の一方の出力端子が接続され、第1の抵抗器1の第1のリード線5には主電源回路Aの一方の入力端子が接続されている。また、第1の抵抗器1に接続される第3のリード線7には補助電源回路Bの一方の入力端子が接続される。主電源回路Aと補助電源回路Bの他方の入力端子(基準電位端子)には入力電源の他方の出力端子(基準電位端子)が接続される。
【0032】
すなわち、第1の抵抗器1に接続される第1のリード線5と第2の抵抗器2に接続される第2のリード線6との間に、入力電源Vと主電源回路Aとが直列となるように接続されている。
【0033】
第1の抵抗器1と第2の抵抗器2とは同じ抵抗値に設定されているため、その抵抗値をRとすると、主電源回路Aに対する抵抗値は2Rであり、補助電源回路Bに対する抵抗値はRとなる。通常、主電源回路Aの定格入力電流は、補助電源回路Bの定格入力電流よりも大きいから、図7に示すような接続形態を採用することで、主電源回路Aに対する突入電流抑制用の抵抗値と補助電源回路Bに対する突入電流抑制用の抵抗値とは、適正な値となる。
【0034】
図8は、補助電源回路Bを、温度ヒューズ3を介さずに接続した形態を示す。このような接続形態を採用するときは、図示のように、入力電源を第1のリード線5に接続し、主電源回路Aを第2のリード線6に接続する。このような接続形態でも、第1の抵抗器1に接続される第1のリード線5と第2の抵抗器2に接続される第2のリード線6との間に、入力電源Vと主電源回路Aとが直列となるように接続される。
【0035】
なお、この発明の応用例として、図9のような接続形態でも良い。図9は、図8の形態において、ヒューズ3と第2の抵抗器3とを逆にした形態を示す。但し、図9は、抵抗器1、2と温度ヒューズ3の接続方法が図5とは異なっている。同様に、図10のような接続形態も採用することが可能である。
【0036】
図11は、この発明の第2の実施形態を示している。
【0037】
図11に示す温度ヒューズ内蔵抵抗器は、第1のリード線5、第2のリード線6、及び第3のリード線7の他に、第4のリード線9を備えている。第4のリード線9は、第2の抵抗器2の第4の端子2Bに溶着され、第1のリード線5、第2のリード線6が延びる方向とは逆方向に、この端子2Bからケース4外に伸びている。接続形態は、例えば図12のようにされる。図12は、主電源回路A、第1の補助電源回路B、第2の補助電源回路Cを接続した形態を示している。構成において図7と相違する点は、第4のリード線9に第2の補助電源回路Cを接続していることである。このような接続形態を採用することで、温度ヒューズ内蔵抵抗器に3つの異なった回路を接続することができる。
【0038】
図13は、この発明の第3の実施形態を示している。
【0039】
図13に示す温度ヒューズ内蔵抵抗器は、第1のリード線5と第2のリード線6に対して、抵抗器1、2を直角方向に取り付けたものである。
【符号の説明】
【0040】
1−第1の抵抗器
2−第2の抵抗器
3−温度ヒューズ
4−ケース
5−第1のリード線
6−第2のリード線
7−第3のリード線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部に第1の端子と第2の端子を備える第1の抵抗器と、両端部に第3の端子と第4の端子を備える第2の抵抗器と、1個の温度ヒューズとがケース内に収容され、前記温度ヒューズを前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器の間に配置した温度ヒューズ内蔵抵抗器において、
前記第1の抵抗器の第1の端子から前記ケース外に伸びる第1のリード線と、
前記第2の抵抗器の第3の端子から前記ケース外に伸びる第2のリード線と
前記第1の抵抗器の第2の端子から前記ケース外に伸びる第3のリード線と、を備え、
前記温度ヒューズは、前記第1の抵抗器の第2の端子と前記第2の抵抗器の第4の端子間に接続されている、温度ヒューズ内蔵抵抗器。
【請求項2】
前記第2の抵抗器の第4の端子から前記ケース外に伸びる第4のリード線を備えた、請求項1記載の温度ヒューズ内蔵抵抗器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度ヒューズ内蔵抵抗器と、
定格入力電流が第1の大きさの第1の回路と、
定格入力電流が前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの第2の回路と、
を備え、
前記第1の抵抗器の第1の端子から伸びる前記第1のリード線と前記第2の抵抗器の第3の端子から伸びる前記第2のリード線との間に、電源と前記第1の回路とが直列となるように接続され、
前記第1の抵抗器の第2の端子から伸びる前記第3のリード線は前記第2の回路に接続されている、電気回路。
【請求項1】
両端部に第1の端子と第2の端子を備える第1の抵抗器と、両端部に第3の端子と第4の端子を備える第2の抵抗器と、1個の温度ヒューズとがケース内に収容され、前記温度ヒューズを前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器の間に配置した温度ヒューズ内蔵抵抗器において、
前記第1の抵抗器の第1の端子から前記ケース外に伸びる第1のリード線と、
前記第2の抵抗器の第3の端子から前記ケース外に伸びる第2のリード線と
前記第1の抵抗器の第2の端子から前記ケース外に伸びる第3のリード線と、を備え、
前記温度ヒューズは、前記第1の抵抗器の第2の端子と前記第2の抵抗器の第4の端子間に接続されている、温度ヒューズ内蔵抵抗器。
【請求項2】
前記第2の抵抗器の第4の端子から前記ケース外に伸びる第4のリード線を備えた、請求項1記載の温度ヒューズ内蔵抵抗器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度ヒューズ内蔵抵抗器と、
定格入力電流が第1の大きさの第1の回路と、
定格入力電流が前記第1の大きさよりも小さい第2の大きさの第2の回路と、
を備え、
前記第1の抵抗器の第1の端子から伸びる前記第1のリード線と前記第2の抵抗器の第3の端子から伸びる前記第2のリード線との間に、電源と前記第1の回路とが直列となるように接続され、
前記第1の抵抗器の第2の端子から伸びる前記第3のリード線は前記第2の回路に接続されている、電気回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−100679(P2011−100679A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256012(P2009−256012)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000225337)内橋エステック株式会社 (115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000225337)内橋エステック株式会社 (115)
【Fターム(参考)】
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