説明

温度応答性を制御可能な高分子化合物

【課題】高分子材料、ナノ構造体、高分子ミセル、薬物運搬体の熱安定性を向上させることが可能な熱安定化剤、及び熱安定化された新規な高分子材料、ナノ構造体、さらには新規な温度応答型放出制御用の薬物運搬体
【解決手段】親水性高分子と疎水性高分子から成るブロック共重合体であって、環状高分子構造を含む高分子化合物

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の熱安定性を変化、制御できる高分子及び該高分子を用いた熱安定化剤に関する。
また、本発明は、該高分子熱安定化剤を含有する高分子材料に関する。
【背景技術】
【0002】
親水性高分子、及び疎水性高分子をから成るブロック共重合体は、水溶液中でミセルやベシクルなどのナノ構造体を形成し、その疎水性領域に抗ガン剤、眼疾患の治療薬、ポリペプチド系薬物など、様々な薬物を安定かつ効率的に内包できることが知られ、特に静脈内に注射すると、血液中で長期間安定に存在すること、また、ガン部位への集積性が高まり、内包された抗ガン剤の副作用の低減とともにその薬物の高い抗ガン活性を発現させることが明らかにされており、かかるナノ構造体は薬物運搬体として高い性能を有することが知られている。かかる技術は、例えば、下記の文献に記載されている。
【特許文献】特開2006−199590号公報 特開2005−8614号公報 特開2005−336402号公報 特開平6−107565号公報
【非特許文献】H.Otsuka,Y.Nagasaki,K.Kataoka,Adv.Drug Deliv.Rev.,55巻,403ページ(2003年)
【0003】
しかし、薬物運搬体自体の安定性に関しては、改善の余地が多く、これまでにも分子設計、添加物など、様々な技術を駆使した提案がなされているが、実用に耐えうる改善はいまだなされていない。
【0004】
ここで、安定性とは、特定の濃度を境に低濃度では高分子鎖一単位で溶解していたものが、高濃度になるとミセル様のナノ構造体を形成し、再び低濃度に戻すと高分子鎖一単位で溶解するという濃度あるいはその速度であり、臨界ミセル濃度(CMC)として広く知られる。かかる技術は例えば、下記の文献に記載されている。
【非特許文献】S,Creutz,J.Stam,F.Schryver,R.Jrme,Macromolecules,31巻,681〜689ページ(1998年) 岡田弘晃監修「機能性DDSキャリアの製剤設計」CMC出版、44ページ(2008年)
【0005】
また、高い組織指向性を有し、なおかつ、必要とする期間だけ薬物放出を行うという、放出制御性を兼ね備えた薬物運搬体の開発が注目を集めており、患部の加熱により薬物放出を行う治療行為の簡便さゆえに、温度応答性高分子を用いた温度応答型放出制御用の薬物運搬体の開発が行われてきた。
【0006】
ここで、温度応答性とは、特定の温度を境に、低温でミセル様のナノ構造体を形成して溶解していたものが、高温になると凝集体を生じて沈殿を生成し、再び低温に戻すとミセルを形成して溶解するという温度に対する応答機能を意味する。
【0007】
ここで、特定の温度とは、ミセル形成と沈殿生成の境界となる温度(曇点またはcloud point)を意味する。例えば、Pluronic L−121、Pluronic L−81、Pluronic L−64の商品名で市販されている、親水性高分子としてポリエチレンオキシド、疎水性高分子としてポリプロピレングリコールを有するポリエチレンオキシド−ポリプロピレングリコール−ポリエチレンオキシドブロックコポリマーでは、その境界温度はそれぞれ14℃、20℃、58℃とすることができる。また、親水性高分子としてポリイソプロピルアクリルアミド、疎水性高分子として様々な高分子を用いた例が知られており、多くの場合、その境界温度は30〜35℃とした報告がなされている。
【0008】
かかる温度応答性高分子を用いた薬物運搬体の薬物放出温度は、高分子鎖の種類、分子量、親水性及び疎水性高分子鎖長比率、水溶液中における薬物運搬体濃度、を変更したり、あるいは、異なる高分子鎖を有する高分子同士の混合、塩を添加、することによる制御が行なわれてきた。しかし、高分子鎖の種類を変更したり、異なる高分子鎖を有する高分子同士の混合する方法では、内包薬物の担持率の低下を招くほか、分子組成が変わるため、毒性試験や安全性試験など臨床応用に向けた各種試験が全て必要になるため事実上困難であり、抗がん剤治療で有効なナノ構造体サイズ(10〜100nm)及び生体内における安定性の維持は必須であることから、分子量の変更、親水性及び疎水性高分子鎖長の比率の変更による温度応答設計は大きく制限される。また、薬物運搬体の水溶液系中における濃度の変更、硫酸アンモニウムや塩化ナトリウムなどの添加塩濃度の変更、により薬物放出温度の制御を行う報告もなされているが、生体内で薬物運搬体の濃度や添加塩濃度を一定に保つことは不可能であり、これらの技術は、温度応答型放出制御用の薬物運搬体の、性能向上方法として不満足であると言わざるをえない。かかる技術は、例えば、下記の文献に記載されている。
【特許文献】特開2009−102488号公報(第30〜31頁、図4、図5、図6、図7) 特開2000−219709号公報(第10頁、図4、図5) 特開2000−344834号公報(第10頁、図1、図2、図3) 特開2000−344835号公報(第6頁、図3)
【非特許文献】J.Akimoto,M.Nakayama,K.Sakai,T.Okano,Biomacromolecules,10巻,1331〜1251ページ(2009年) M.Nakayama,T.Okano,Macromolecules,41巻,504〜507ページ(2008年)
【0009】
以上に示してきた現状があるにもかかわらず、高分子鎖の種類・分子量の変更や、異なる高分子鎖を有する高分子同士の混合を一切行わず、さらに薬物運搬体濃度や添加塩濃度の変更も行わずに、広範な薬物放出温度の制御を可能とする熱安定化剤、及び熱安定化された薬物運搬体を含むナノ構造体についてはこれまで開発されていない。
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高分子材料、ナノ構造体、高分子ミセル、薬物運搬体の熱安定性を向上させる新規な熱安定化剤、及び熱安定化された新規な高分子材料、ナノ構造体、さらには新規な温度応答型放出制御用の薬物運搬体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題に基づいて鋭意検討を加えた。その結果、高分子材料、及びナノ構造体を構成しているブロック共重合体それ自体に、環状高分子構造を付与することにより、該環状高分子構造を有するブロック共重合体を含有するナノ構造体が、該環状高分子構造を持たないブロック共重合体と比較して、より高い熱安定性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、親水性高分子と疎水性高分子とを有するブロック共重合体において、環状高分子構造が付与されたことを特徴とする高分子化合物に関する。
【0013】
また、本発明は下記一般式(1)
【化5】

【0014】
(式中、nは10〜500の整数を表す。)で示されるポリエチレンオキシドの繰り返し単位からなる親水性連鎖と、
【0015】
下記一般式(2)
【化6】

【0016】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を表し、Zは無置換もしくは低級アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アルキルオキシ基もしくはハロゲン原子で置換されているフェニル基、低級アルキル基、アルキルオキシ基、シアノ基又は−COORで表される基(但し、Rは水素原子又は炭化水素基を表す。)を表し、mは1〜500の整数を表す。)で示される繰り返し単位からなる疎水性連鎖とからなり、環状高分子構造を有する高分子化合物に関する。
【0017】
さらに本発明は、下記一般式(3)
【化7】

【0018】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を表し、Zは無置換もしくは低級アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アルキルオキシ基、もしくはハロゲン原子で置換されているフェニル基、低級アルキル基、アルキルオキシ基、シアノ基又は−COORで表される基(但し、Rは水素原子又は炭化水素基を表す。)を表す。mは1〜500の整数、nは10〜500の整数を表す。R、Rは同一もしくは異なって、直鎖状、分岐状、または環状の低分子鎖を表す。)で表される各繰り返し単位を含む高分子化合物に関する。
【0019】
さらに加えて、本発明は下記一般式(4)
【化8】

【0020】
(式中、R、Rは同一もしくは異なって、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を表し、Z、Zは同一もしくは異なって、無置換もしくは低級アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アルキルオキシ基もしくはハロゲン原子で置換されているフェニル基、低級アルキル基、アルキルオキシ基、シアノ基又は−COORで表される基(但し、Rは水素原子又は炭化水素基を表す。)を表す。p、qは同一もしくは異なって、1〜500の整数を表し、nは10〜500の整数を表す。R、R、Rは同一もしくは異なって、直鎖状、分岐状、または環状の低分子鎖を表す。)で表される各繰り返し単位を含む高分子化合物に関する
【0021】
さらにまた、本発明は、上記の高分子化合物を含有する高分子材料用熱安定化剤と、ナノ構造体用熱安定化剤と、高分子ミセル用熱安定化剤と、薬物運搬体用熱安定化剤とに関する。加えて、上記の高分子化合物を含有することで水溶液系中において熱安定化された高分子材料と、ナノ構造体と、高分子ミセルと、薬物運搬体とに関する。
【0022】
さらに加えて、本発明は、上記の高分子化合物と他種の高分子化合物とを混合する工程を含む、高分子材料の熱安定化方法と、ナノ構造体用の熱安定化方法と、高分子ミセル用の熱安定化方法と、薬物運搬体用の熱安定化方法とに関する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明における、高分子化合物は次のように製造される。先ず、親水性高分子と疎水性高分子とから成るブロック共重合体は、例えば、該ブロック共重合体の原料となる1種類もしくは2種類以上の単量体と重合開始剤とを混合し、加熱などにより重合反応を開始する。このとき、かかる重合反応を重合溶媒中で行うこともできる。また、かかる重合開始剤に低分子開始剤のみならず、親水性の高分子開始剤もしくは疎水性の高分子開始剤を用いることもできる。
【0024】
該ブロック共重合体に対する環状高分子構造の付与は、該ブロック共重合体中の分子内の2点に共有結合を生成する官能基を導入し、これら同士を連結することにより達成可能であり、公知の様々な方法を用いることができる。例えば、環状高分子構造を有する高分子化合物の原料となるブロック共重合体の、分子鎖の両端にアリル基を導入した例では、溶媒中希釈条件、グラブス触媒存在下で、前記両端の共有結合固定がなされ、効率的に環状高分子構造を有する高分子化合物を生成することが報告されている。かかる手法を用いることにより、本発明の高分子化合物を得ることが出来る。本発明の高分子化合物を含む材料は、高分子材料用熱安定化剤、ナノ構造体用熱安定化剤、高分子ミセル用熱安定化剤、薬物運搬体用熱安定化剤に応用することができ、本発明の高分子化合物を他種の高分子材料と混合することで水溶液系中において熱安定化された高分子材料、ナノ構造体、高分子ミセル、薬物運搬体を提供することが出来る。
【非特許文献】K.Adachi,S.Honda,Y.Tezuka,Macromolecules,41巻,7898〜7903ページ(2008年)
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されないことはもちろんである。
【実施例1】
【0026】
臭化銅(I)(22mg)と2,2’−ビピリジル(60mg)とメチルアクリレート(1.1g)とアリルブロミド(20mg)とを混合し、90℃で2時間、原子移動ラジカル重合を行い、高分子開始剤となるポリメチルアクリレートを得た。かかるポリメチルアクリレート(200mg)とブチルアクリレート(360mg)と塩化銅(I)(10mg)と4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジル(80mg)とを混合し90℃で6時間、原子移動ラジカル重合を行い、アリルトリブチルスズ(1.6g)を添加し、さらに90℃で終夜攪拌することにより、直鎖状高分子構造を有するポリ(メチルアクリレート−b−ブチルアクリレート)(200mg)を得た。
【0027】
続いて、前記直鎖状高分子構造を有するポリ(メチルアクリレート−b−ブチルアクリレート)(50mg)と、グラブス触媒第一世代(15mg)とを塩化メチレン(100mL)に溶解し、24時間の加熱還流を行い、環状高分子構造を有するポリ(メチルアクリレート−b−ブチルアクリレート)(48mg)を得た。
【実施例2】
【0028】
両末端に2−ブロモイソブチリル基を持つポリエチレンオキシド(200mg)とブチルアクリレート(867mg)と臭化銅(I)(10mg)と4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジル(78mg)とを混合し90℃で3時間、原子移動ラジカル重合を行い、アリルトリブチルスズ(1.6g)を添加し、さらに90℃で8時間攪拌することにより、直鎖状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド−b−ブチルアクリレート)(948mg)を得た。
【0029】
続いて、前記直鎖状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド−b−ブチルアクリレート)(100mg)と、グラブス触媒第一世代(30mg)とを塩化メチレン(500mL)に溶解し、24時間の加熱還流を行い、環状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド)(48mg)を得た。
【実施例3】
【0030】
前記直鎖状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド−b−ブチルアクリレート)を蒸留水中に加えることで、その水溶液(1mg/mL)を作製した。粘度計を用いて、臨界ミセル濃度(CMC)の測定を行った結果を図1に示す。水溶液中では0.1mg/mLでミセル様ナノ構造体を形成することが分かった。
【実施例4】
【0031】
前記環状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド)を蒸留水中に加えることで、その水溶液(1mg/mL)を作製した。粘度計を用いて、CMCの測定を行った結果を図1に示す。水溶液中では0.1mg/mLでミセル様ナノ構造体を形成することが分かった。
【0032】
一般に、CMCはミセル様ナノ構造体の安定性(主に、熱安定性)を表すことが知られており(岡田弘晃監修「機能性DDSキャリアの製剤設計」CMC出版、44ページ(2008年))、さらに、トリブロック共重合体の方がジブロック共重合体よりも、その安定性が高いことが知られることから(S,Creutz,J.Stam,F.Schryver,R.Jrme,Macromolecules,31巻,681〜689ページ(1998年))、前記直鎖状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド−b−ブチルアクリレート)に示されるようなトリブロック共重合体から成るミセル様ナノ構造体の方が、前記環状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド)に示されるようなジブロック共重合体から成るミセル様ナノ構造体よりも高い安定性を有することが予想される。しかしながら、前記環状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド)は低いCMCを有することから、環状高分子構造が付与されたことにより安定化されたことが分かった。
【実施例5】
【0033】
前記直鎖状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド−b−ブチルアクリレート)を1mg/mLとなるように水に溶解し、分光光度計を用いて温度による散乱強度変化を600nmで観察した。その結果を図2に示す。温度応答は29℃で起きることが分かった。
【実施例6】
【0034】
前記環状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド)を1mg/mLとなるように水に溶解し、分光光度計を用いて温度による散乱強度変化を600nmで観察した。その結果を図2に示す。温度応答は51℃で起きることが分かった。
【0035】
前記直鎖状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド−b−ブチルアクリレート)と前記環状高分子構造を有するポリ(ブチルアクリレート−b−エチレンオキシド)とは、高分子構造が直鎖状であるか環状であるかの差異のみしかなく、同一の高分子鎖と、分子量とを有し、かつ同一のミセル様ナノ構造体を形成しているにもかかわらず、その応答温度が20℃以上向上した。環状高分子構造の付与により、温度応答性を制御できることが分かった。
【発明の効果】
【0036】
本発明により、材料の熱安定性を環状高分子構造によって変化、制御でき、さらには、水溶液系中でのナノ構造体形成・崩壊を温度変化により制御できることが分かった。本発明は、水溶液中での材料の熱安定性を外部から加える温度に応答して治療部位への高分子材料の集積性を高めたり、炎症反応などのために温度が上昇した治療部位へ高分子材料自身が自ら集積するなど、これまで温度に対する応答性とナノ構造制御の点で問題を有していた従来の薬物運搬体の熱安定化剤、及び温度応答型放出制御用の薬物運搬体として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ブロック共重合体の濃度と各濃度における水溶液の粘度との関係を示す図。
【図2】ブロック共重合体からなる高分子ミセル水溶液の温度と600nmでの可視光散乱強度との関係を示す図。本明細書には種々の刊行物を引用しているが、その全体を出典明示により本明細書の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性高分子と疎水性高分子とから成るブロック共重合体において、環状高分子構造を含むことを特徴とする高分子化合物
【請求項2】
前記親水性高分子がポリエチレンオキシドである請求項1記載の高分子化合物
【請求項3】
前記親水性高分子が下記一般式(1)
【化1】

(式中、nは10〜500の整数を表す。)で示されるポリエチレンオキシドであり、前記疎水性高分子が下記一般式(2)
【化2】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を表し、Zは無置換もしくは低級アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アルキルオキシ基もしくはハロゲン原子で置換されているフェニル基、低級アルキル基、アルキルオキシ基、シアノ基又は−COORで表される基(但し、Rは水素原子又は炭化水素基を表す。)を表し、mは1〜500の整数を表す。)で示される疎水性高分子である、請求項1記載の高分子化合物。
【請求項4】
下記一般式(3)
【化3】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を表し、Zは無置換もしくは低級アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アルキルオキシ基、もしくはハロゲン原子で置換されているフェニル基、低級アルキル基、アルキルオキシ基、シアノ基又は−COORで表される基(但し、Rは水素原子又は炭化水素基を表す。)を表す。mは1〜500の整数、nは10〜500の整数を表す。R、Rは同一もしくは異なって、直鎖状、分岐状、または環状の低分子鎖を表す。)で示される繰り返し単位からなる請求項1記載の高分子化合物
【請求項5】
下記一般式(4)
【化4】

(式中、R、Rは同一もしくは異なって、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を表し、Z、Zは同一もしくは異なって、無置換もしくは低級アルキル基、ペルフルオロアルキル基、アルキルオキシ基もしくはハロゲン原子で置換されているフェニル基、低級アルキル基、アルキルオキシ基、シアノ基又は−COORで表される基(但し、Rは水素原子又は炭化水素基を表す。)を表す。p、qは同一もしくは異なって、1〜500の整数を表し、nは10〜500の整数を表す。R、R、Rは同一もしくは異なって、直鎖状、分岐状、または環状の低分子鎖を表す。)で示される繰り返し単位からなる請求項1記載の高分子化合物
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する高分子材料用熱安定化剤
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有するナノ構造体用熱安定化剤
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する高分子ミセル用熱安定化剤
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する薬物運搬体用熱安定化剤
【請求項10】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する水溶液系中において熱安定化された高分子材料
【請求項11】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する水溶液系中において熱安定化されたナノ構造体
【請求項12】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する水溶液系中において熱安定化された高分子ミセル
【請求項13】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する温度応型放出制御用の薬物運搬体
【請求項14】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物と他種の高分子化合物とを混合する工程を含む高分子材料の熱安定化方法
【請求項15】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物と他種の高分子化合物とを混合する工程を含むナノ構造体の熱安定化方法
【請求項16】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物と他種の高分子化合物とを混合する工程を含む高分子ミセルの熱安定化方法
【請求項17】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高分子化合物と他種の高分子化合物とを混合する工程を含む薬物運搬体の熱安定化方法

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−178976(P2011−178976A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59872(P2010−59872)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人 高分子学会 高分子学会予稿集58巻2号2009年
【出願人】(510073604)
【Fターム(参考)】