説明

温度推定装置、その制御方法、及び画像表示装置

【課題】複数の光源ブロックから構成されるバックライトの光源ブロック毎の温度をコストや設置センサ数の増大を抑制しつつ推定する技術を提供する。
【解決手段】一又は複数の光源をそれぞれ有する複数の光源ブロックに区画され、各光源ブロックの光源の発光を独立して調節可能なバックライトの温度推定装置であって、光源ブロック毎に光源の輝度を取得する取得手段と、前記バックライトを有する画像表示装置の筐体内部又は筐体外部の温度の少なくともいずれかの温度を測定する温度センサと、前記温度センサによる測定値と、前記取得手段により取得される前記各光源ブロックの光源の輝度値とに基づいて、光源ブロック毎に光源の温度を推定する推定手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度推定装置、その制御方法、及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)の液晶パネルの背面を照射するバックライトの制御方法としてローカルディミング(Local Dimming:部分減光)制御がある。ローカルディミング制御では、バックライトを複数の光源ブロックに分割し、入力画像に応じて光源ブロック毎に輝度を制御することにより、コントラストを高め、電力消費を抑える。
【0003】
ローカルディミング制御を実現するために、バックライトの光源として、消費電力が少なく、制御の応答速度が高速なLED(Light Emitted Diode:発光ダイオード)を用いたものがある。また、部分的な輝度の制御を可能とする為、バックライトを複数のLEDにより構成し、それらLEDを、独立に輝度を制御可能な複数の光源ブロックに分割したものがある。
【0004】
一般的にLEDは、発光の輝度と波長が温度によって変化する。また発光色(赤色、緑色、青色)によってその変化量が異なる。更に発光色ごとに経時変化が異なる。
【0005】
例えば、下記特許文献1及び2では、LEDの温度センサや色のバランスを検出するカラーセンサを用いて、発光の変化を検出し、安定した表示を提供するための補正制御を行っている。特許文献3の表示装置では、LEDの周辺温度と端子間電圧を各々検出し、LEDの温度を推定する方法も提案されている。特許文献4の表示装置においては、温度センサを用いずに表示装置内部温度や部品の温度を推定する方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−42651号公報
【特許文献2】特開2009−42652号公報
【特許文献3】特開2007−165632号公報
【特許文献4】特開2007−240666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の特許文献1〜3の従来技術では、LEDの輝度を部分的に変化させるローカルディミング制御の場合、LEDの温度を検出するために、制御単位である各光源ブロックに温度センサや光センサやLEDの端子間の電圧を検出する手段を設ける必要ある。そのためローカルディミング制御における光源ブロック分割数を増やして、細かな制御を実施しようとした場合、各検出手段の数が増加し、コストや各センサの配線の取り回しが増加する。
【0008】
また、上記した特許文献4の従来技術では、水晶発振子の補正のために、バックライトの駆動電流を測定して、筐体内や部品の温度を推定しているが、複数の光源ブロックの各々のLEDの温度を推定することに関しては記載されていない。
【0009】
本発明は、複数の光源ブロックから構成されるバックライトの光源ブロック毎の温度をコストや設置センサ数の増大を抑制しつつ推定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一又は複数の光源をそれぞれ有する複数の光源ブロックに区画され、各光源ブロックの光源の発光を独立して調節可能なバックライトの温度推定装置であって、前記光源ブロック毎に光源の輝度を取得する取得手段と、前記バックライトを有する画像表示装置の筐体内部又は筐体外部の温度の少なくともいずれかの温度を測定する温度センサと、前記温度センサによる測定値と、前記取得手段により取得される前記各光源ブロックの光源の輝度値とに基づいて、光源ブロック毎に光源の温度を推定する推定手段と、を有する、温度推定装置である。
【0011】
本発明は、一又は複数の光源をそれぞれ有する複数の光源ブロックに区画され、各光源ブロックの光源の発光を独立して調節可能なバックライトの温度推定装置の制御方法であって、前記光源ブロック毎に光源の輝度を取得する取得ステップと、前記バックライトを有する画像表示装置の筐体内部又は筐体外部の温度の少なくともいずれかの温度を測定する温度センサから測定値を取得するステップと、前記温度センサによる測定値と、前記取得ステップにより取得される前記各光源ブロックの光源の輝度値とに基づいて、光源ブロック毎に光源の温度を推定する推定ステップと、を有する、温度推定装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の光源ブロックから構成されるバックライトの光源ブロック毎の温度をコストや設置センサ数の増大を抑制しつつ推定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の液晶表示装置の全体構成を示す図
【図2】画像の処理の概念図
【図3】画像データの階調と輝度の関係を表した表
【図4】LED温度推定の計算処理の一例
【図5】実施例2の液晶表示装置の全体構成を示す図
【図6】光源ブロック制御データ、補正画像データの処理のイメージ図
【図7】LED温度推定の計算処理の一例
【図8】実施例3の液晶表示装置の全体構成を示す図
【図9】光センサを用いたLED温度推定の計算処理の一例
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて具体的に説明する。図1は、本発明の実施例1に係る液晶表示装置1の構成を示す図である。
【0015】
入力部10は、外部から液晶表示装置1へ入力したフレーム単位の画像信号を後段の光源ブロック設定部20や画像処理部30へ渡せるようにフレーム単位の画像データに変換する。例えば、画像信号がアナログの場合、入力部10は、A−D変換器(Analog−to−Digital Converter)を用いて、アナログ画像信号をデジタル信号に変換する。そして、入力部10は、LCDモジュール40のフィルタ色である、赤色、緑色、青色の3原色の8bitの2値階調信号と水平同期信号と垂直同期信号とデータの有無を示すイネーブル信号の画像データに変換をする。画像信号がデジタルの場合、入力部10は、画像信号を、LCDモジュール40のフィルタ色である、赤色、緑色、青色の3原色の8bitの2値階調信号と水平同期信号と垂直同期信号とデータの有無を示すイネーブル信号の画像データに並び替える変換をする。
【0016】
光源ブロック設定部20は、入力部10からの画像データに基づき、バックライト60の各光源ブロックの輝度の設定値を表す光源ブロック制御データを作成して、画像処理部30、バックライト駆動部50、及び温度推定部70へ送る。
【0017】
画像処理部30は、入力部10からの画像データの階調値を、光源ブロック設定部20からの光源ブロック制御データに基づき補正して、補正画像データを生成し、LCDモジュール40へ送る。LCDモジュール40は補正画像データに応じて制御される。
【0018】
LCDモジュール40は、例えば、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)型等のアクティブマトリクス方式によって駆動される液晶パネルである。LCDモジュール40は、行方向と列方向に電極が配置され、その交点に画素が配置されることで、複数の画素がマトリクス状に配置された構成になっている。LCDモジュール40は、画像処理部30から入力される補正画像データに基づいて、指定された位置の指定された色の画素の輝度が指定された階調値に対応する輝度となるようにマトリクス状に配置された各画素の透過率が調節されることで、画像を表示する。
【0019】
バックライト駆動部50は、光源ブロック設定部20からの光源ブロック制御データに基づいて、バックライト60の各光源ブロックの輝度を設定し、バックライト60のLEDを光源ブロック毎に発光させる。
【0020】
バックライト60は、一又は複数の光源をそれぞれ有する複数の光源ブロックに区画されている。各光源ブロックの光源は発光を独立して調節可能であり、バックライト駆動部50は、バックライト60の光源ブロック毎に輝度を制御することでローカルディミング制御を行う。各光源ブロックは、複数のLEDで構成されており、白色で発光するように調整されている。例えば、各光源ブロックは、1以上の白色LED又は、1組以上の赤色、緑色、青色の3種類の発光色のLEDの組み合わせで構成されている。バックライト60のLEDからの発光は、LCDモジュール40を照射し、LCDモジュール40の各画素の階調値に応じた透過率でLCDモジュール40を透過することにより、LEDの輝度と画像データに基づく画像表示が得られる。
【0021】
温度推定部70は、光源ブロック設定部20からの光源ブロック制御データとメモリ80の中に保存された補正テーブル81を用いて、バックライト60のLEDの温度を光源ブロック毎に推定する。
【0022】
CPU90は、液晶表示装置1の動作を制御するCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)である。CPU90は、他の機能部の状態の監視や動作制御に必要なパラメータの設定を行う。また、CPU90は、温度センサ100からの温度の測定値を取得する。温度の測定値の情報は、温度推定部70のデータの補正に用いられる。他に、CPU90は、タイマ110から時間(時刻)の情報を取得する。時刻の情報は、温度推定部70が、光源ブロック単位のLEDの温度の推定値と時刻の情報をメモリ80に保存するために用いられる。
【0023】
温度センサ100は、半導体もしくは熱電対により構成されており、液晶表示装置1の筐体外部又は筐体内部の一方、あるいは両方の温度を測定できるように設置されている。本実施例では、筐体外部に設置(例えば、前面カバー若しくは背面カバーに埋め込み設置)された場合の例である。
【0024】
次に、動作の詳細な流れについて図を用いて説明する。以下では、図2に示すような、太陽の画像と空の画像と地面の画像からなる風景画像の画像信号が液晶表示装置1に入力される場合を例に説明する。
図2は、入力部10が受け取る画像信号の1のフレームの画像データ、光源ブロック設定部20で作成される光源ブロック制御データ、画像処理部30で作成される補正画像データの概念図である。LCDモジュール40における表示画像の輝度は、補正画像データの階調値とバックライト60の光源ブロック毎の輝度によって決まる。なお、画像処理部30は、光源ブロック間の境界における輝度段差を低減するために、対象となる境界付近の画素の座標(位置)に応じて、その画素に対応する光源ブロックに隣接する光源ブロックの輝度レベルに基づく重み付け処理も行う。ここでは説明を省略する。
【0025】
以下の処理は、入力されたフレーム毎に実施される。
図2において、画像データ11は、太陽の画像12、青空の画像13、及び地面の画像14を含む。この画像データを元に、補正画像データ31と光源ブロック制御データ21が作成される処理について説明をする。
【0026】
光源ブロック設定部20は、画像データ11において、バックライト60の各光源ブロックに対応する領域毎に、画像データの赤色・緑色・青色の中の最大階調値を求める。
図2の例では、画像データ11の各部のうち、太陽の画像12の部分の最大階調値は255、空の画像13の部分の最大階調値は184、地面の画像14の部分の最大階調値は104とする。
【0027】
次に、光源ブロック設定部20は、求めた最大階調値に対応するバックライト60の各光源ブロックの輝度を算出する。入力される画像データの階調値とそれに対応する輝度との関係を図3の実線Aに示す。図3の縦軸は、LCDモジュール40の入力階調値を最大階調値(8bitの場合255)とし、バックライト60を最大輝度にした時の輝度を100%とした相対輝度である。図3の横軸は、LCDモジュール40の入力階調値であり、8bitの場合には0から255の値になる。図3の線B,C,Dについては後述する。
【0028】
一般的に表示装置は、入力階調値と輝度との関係は比例ではなく、いわゆるガンマ特性を有している。LCDモジュール40における入力階調値と輝度は、2.2乗の関係を持っている。画像データの階調値から輝度を算出する式は次の式1のようになる。
輝度=(画像データの階調値/255)2.2 ・・・(式1)
【0029】
図2の画像データ11の例では、各々の部分の表示に必要な輝度は、太陽の画像12の部分は最大階調値255なので、100%、空の画像13の部分は最大階調値184なので48%、地面の画像14の部分は最大階調値104なので14%となる。太陽の画像12の部分には太陽の画像以外に背景画像として空の画像もある。このような部分の表示に必要な輝度は、その部分における最大階調値に対応する輝度である。
【0030】
バックライト60を構成する各光源ブロックの輝度は、1/4刻みの4レベル(25%、50%、75%、及び100%)の輝度のいずれかに、光源ブロック毎に独立に設定することができるものとする。なお、光源ブロック毎に調節可能な輝度のレベル数や各レベルの輝度などはこれに限らない。図3において、4種類の線A,B,C,及びDは、前記バックライト駆動部50が、バックライト60の各光源ブロックの輝度を上記4レベルの各レベルに設定した場合の入力階調値と輝度との関係を表している。なお、通常の液晶ディスプレイでは、ある光源ブロックに対応する画像が階調値0であっても、隣接する光源ブロック等からの漏れ光があるため、実際には輝度レベルが0になることはない。4種類の線A,B,C,及びDについて、各諧調値における輝度レベルの比は等しくなっている。
【0031】
次に、光源ブロック設定部20は、光源ブロック制御データ21を作成するために、バ
ックライト60の各光源ブロックの輝度レベルを上記4レベルのうちから選択する。ここでは、バックライト60の各光源ブロックの輝度は、4レベルの輝度のいずれかに調節可能であるものとする。光源ブロック設定部20は、上記で求めた画像データ11の各部分の表示に必要な輝度に応じて、各光源ブロックの輝度レベルを決定する。具体的には、光源ブロック設定部20は、画像データ11の各部分に対応する光源ブロックの輝度レベルとして、その部分の表示に必要な輝度以上の最小の輝度レベルを選択する。
【0032】
図2の例では、太陽の画像12の部分の表示に必要な輝度は100%であるから、太陽の画像12の部分に対応する位置の光源ブロック22の輝度レベルは100%(図3の線A)となる。空の画像13の部分の表示に必要な輝度は48%であるから、空の画像13の部分に対応する位置の光源ブロック23の輝度レベルは50%(図3の線C)となる。地面の画像14の部分の表示に必要な輝度は14%であるから、地面の画像14の部分に対応する位置の光源ブロック24の輝度レベルは25%(図3の線D)となる。これにより、光源ブロック制御データ21が作成される。
【0033】
画像処理部30は、上記選択された各光源ブロックの輝度レベルと、入力される画像データ11における各部分の表示に必要な輝度とから、補正画像データ31を作成する。
光源ブロックの輝度レベルと、入力される画像データにおける必要な輝度(式1で算出する輝度)とから、補正画像データにおける階調値を算出する式を表すと次の式2のようになる。
補正画像データの階調値=(式1の輝度×(1/輝度レベル))(1/2.2)×255
・・・(式2)
【0034】
例えば、入力される画像データ11における地面の画像14の階調値は104であり、式1により求められる必要な輝度は14%であり、地面の画像14の部分に対応する位置の光源ブロック24の輝度レベルを25%とされた。従って、式2によれば補正画像データ31における地面の画像34の階調値は195となる。同様に、補正画像データ31における太陽の画像32は階調値255、その周りの空の画像は階調値184、空の画像33は階調値252となる。
【0035】
光源ブロック制御データ21に基づきバックライト60の各光源ブロックの発光が制御され、補正画像データ31に基づきLCDモジュール40の各画素の透過率が制御されることにより、液晶表示装置1は入力画像信号に基づく画像を表示する。上記のように画像データに応じて光源ブロック毎にLEDの輝度が調節されるローカルディミング制御により高コントラストの表示が可能となる。
【0036】
次に、LED温度の推定について説明する。
図4は、温度推定部70の処理の一例を表す概念図である。
前述の光源ブロック制御データ21を数値で示したものが図4の光源ブロック制御データ211である。本実施例では、温度推定部70は、今回のフレーム画像の表示に伴う各光源ブロックのLED温度の変化を、光源ブロック制御データ211に基づいて推定する。
【0037】
温度推定部70は、まず、光源ブロック制御データ211と隣接影響係数212とからLED温度係数213を算出する。光源ブロック制御データ211は、上述したように、各光源ブロックのLEDの輝度レベルを表す。隣接影響係数212は、ある光源ブロックのLED温度に対して周囲の光源ブロックのLEDの輝度が及ぼす影響の度合を示す係数であり、ここでは隣接する8個の光源ブロックによる影響の度合を表す係数として補正テーブル81に保存されている。本実施例の場合は、縦方向で隣接する2個の光源ブロック、横方向で隣接する2個の光源ブロック、及び斜め方向で隣接する(頂点を共有する)4
個の光源ブロックの影響を考慮して光源ブロック毎のLED温度変化の度合を推定する。但し、本実施例では、隣接する8個の光源ブロックのうち斜め上方向で隣接する2個の光源ブロックからの影響は無視できるものとする。そのため、図4に示すように、隣接影響係数212において、斜め上方向で隣接する2個の光源ブロックに対応する係数の値は0になっている。LED温度係数213は、バックライト60のLEDの温度が現フレームの画像表示でどのように変化するかを表す。なお、バックライト60の光の拡散度合が低い構造の場合は、隣接する光源ブロック間の影響が小さいので、隣接影響係数212は用いなくてもよい。
【0038】
LED温度係数213において、縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックの係数Bijは、次の式で求める。


ここで、
ij:光源ブロック制御データ211において、縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックの輝度レベル。本実施例では、100%、75%、50%、25%のいずれかの値をとる。
mn:ある光源ブロックのLED温度変化に対する、その光源ブロックから縦方向にm個、横方向にn個離れた光源ブロックのLEDの輝度による影響の度合を表す隣接影響係数(m=−1,0,1)(n=−1,0,1)。本実施例では、図4に示すように、K−1,−1=0,K0,−1=0.3,K1,−1=0.1,K−1,0=0.05,K0,0=0.8,K1,0=0.4,K−1,1=0,K0,1=0.3,K1,1=0.1とするが、これらの値は一例である。また、2以上離れた光源ブロックによる影響を考慮する隣接影響係数を用いても良い。
【0039】
次に、温度推定部70は、上記算出したLED温度係数213と現在LED温度オフセット214とから新LED温度オフセット215を算出する。現在LED温度オフセット214は、前フレームの画像表示に際して温度推定部70により推定された、光源ブロック毎のLED温度(詳細には温度センサ100により検出される温度に対するオフセット量)を表すもので、メモリ80に保存されている。新LED温度オフセット215は、現フレームの画像表示により各光源ブロックのLEDが発光した場合の各光源ブロックのLED温度オフセットを表す。
【0040】
新LED温度オフセット215において、縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックの値Cijは、次の式で求める。
ij=0.5×Dij+0.05×Bij
但し、Dijは現在LED温度オフセット214において、縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックの値である。
【0041】
算出された新LED温度オフセット215はメモリ80に保存される。また、新LED温度オフセット215がメモリ80に保存される時に、同時に、タイマ110の時刻の情報も保存される。今回のフレームの画像表示に関して推定され保存された新LED温度オフセット215は、次のフレームの画像表示に関する温度推定において、上述した現在LED温度オフセット214として使用される。
【0042】
これによりバックライト60の光源ブロックの温度が、今回のフレームの画像表示によりどのように変化するかが推定できる。
ここで、温度推定部70は、上記算出した新LED温度オフセット215を構造係数2
16を用いて補正する。構造係数216は液晶表示装置1の構成や構造による影響を予め測定して求めた補正係数であり、補正テーブル81に保存してある。構造係数216は、百分率で表されており、温度推定部70は、新LED温度オフセット215に構造係数216を乗算して構造LED温度オフセット217を求める。図4において、新LED温度オフセット215を構造係数216を用いて補正したものを構造LED温度オフセット217として示す。なお、本実施例の構造係数216は、液晶表示装置内部の排熱が左下から右上に流れる場合を想定したものであるが、ファンの配置等により係数の値が均一になる場合は、構造係数216のテーブルを用いなくてもよい。
【0043】
構造LED温度オフセット217において、縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックの値Eijは、次の式で求める。
ij=(Cij×Fij)/100
但し、Fijは構造係数216において、縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックの値である。
【0044】
温度推定部70は、温度センサ100による測定値をCPU90で読み取り、当該測定値に上記算出された構造LED温度オフセット217を加算して、LED温度推定値218を算出する。これにより、光源ブロック単位のLEDの温度が推定できる。
LED温度推定値218において、縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックの値Gijは、次の式で求める。
ij=Eij+G
但し、Gは温度センサ100による測定値である。図4の例では、G=23℃である。本実施例のように、筐体外部に温度センサを設ける場合は、筐体内部と筐体外部との温度差があるので、温度センサによる測定値G=23℃に、構造LED温度オフセット217の値Eijを加算する。一方、筐体内部の特定個所に温度センサを設ける場合は、温度センサにより検出される温度に対するオフセット量を次のように求める。すなわち、温度センサが設けられた位置に対応する光源ブロックの構造LED温度オフセット217の値を「E」とし、構造LED温度オフセット217の各光源ブロックの値からこの値Eを減算した値を、温度センサによる測定値に対するオフセット量とする。この場合、縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックのLED温度推定値Gijは、次の式で求められる。
ij=(Eij−E)+G
例えば、温度センサが設けられた位置に対応する光源ブロックが、左上角から下方向に3つ目、右方向に4つ目の光源ブロック(i=3,j=4)であったとすると、E=E34=8となる。温度センサによる測定値G=31℃であったとすると、縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックのLED温度推定値Gijは、図4に示した値と同じになる。
以上、液晶表示装置1の通常時のLED温度推定について述べた。
【0045】
次に、液晶表示装置1の電源投入時のLED温度推定について説明する。電源投入時は、上述した通常時とは異なる方法でLED温度推定が行われる。
液晶表示装置1の電源投入時には、温度推定部70は、CPU90によりタイマ110から現在の時刻を取得し、メモリ80に保存された前回電源を落としたときの時刻と比較する。温度推定部70は、電源投入時刻とメモリ80に保存された時刻との時間差に応じた係数を、メモリに保存された現在LED温度オフセット214に乗じ、これを用いて電源投入時の光源ブロック毎のLED温度を推定する。
【0046】
本実施例の場合は、時間差が0から10分の場合の係数1、時間差が10分から30分の場合の係数0.5、時間差が30分から1時間の場合の係数0.3、時間差が1時間から3時間の場合の係数0.1、時間差が3時間以上の場合の係数0とする。つまり、前回
電源を落としてからの経過時間が短い場合は、前回電源を落としたときのLED温度の影響が大きいと考える。なお、この時間差と係数との関係や係数の値は、液晶表示装置の構成や構造により異なる。
【0047】
補正部130は、上記のようにして温度推定部70により推定された光源ブロック毎のLED温度に応じて、バックライト駆動部50による各光源ブロックのLEDの輝度の設定値を補正する。例えば、補正部130は、予め記憶されているLEDの輝度の温度特性と、各光源ブロックのLED温度の推定値と、から、光源ブロック毎の輝度のばらつきを抑制するように、各光源ブロックのLEDの輝度の設定値を補正する。或いは、LEDの輝度の温度特性に基づいて、光源ブロックのLED温度と、LEDの輝度を補正するための補正量と、の対応関係を予め記憶しておく。そして、補正部130は、この補正量記憶により記憶された対応関係と、各光源ブロックのLED温度の推定値と、に基づき、光源ブロック毎にLEDの輝度の設定値を補正する。これにより、ローカルディミング制御により光源ブロックの温度にばらつきが生じている場合でも、光源ブロック毎の輝度のばらつきを抑制することができる。
【0048】
また、補正部130は、温度推定部70により推定された光源ブロック毎のLED温度に応じて、LCDモジュール40による各画素の透過率を補正する。例えば、補正部130は、予め記憶されているLEDの発光波長の温度特性と、各光源ブロックのLED温度の推定値と、から、光源ブロック毎の色温度のばらつきを抑制するように、各光源ブロックに対応する画素の透過率を補正する。或いは、LEDの発光波長の温度特性に基づいて、光源ブロックのLED温度と、画像データを補正するための補正量と、の対応関係を予め記憶しておく。そして、補正部130は、この補正量記憶により記憶された対応関係と、各光源ブロックのLED温度の推定値とに基づき、液晶パネルにおける各光源ブロックに対応する領域の画像データを補正する。これにより、ローカルディミング制御により光源ブロックの温度にばらつきが生じている場合でも、光源ブロックに対応する領域毎の色温度(ホワイトバランス)のばらつきを抑制することができる。
【0049】
従って、本実施例の液晶表示装置1によれば、光源ブロック毎に温度センサや光センサを設けることなく、ローカルディミング制御を行う液晶表示装置における光源ブロック毎の輝度や色温度のばらつきを抑制することができる。そのため、センサ設置数の増大やコスト増を抑制できる。
(実施例1の変更例)
実施例1では、温度推定部70がフレーム毎に温度推定の処理を行う例を示したが、静止画像表示時や温度変化が小さい場合等は、温度推定処理を毎フレーム行うのは効率が良くない。このため、光源ブロック制御データ211に変化がなく、かつ温度センサ100の値に変化がない場合には、温度推定の処理を停止する機構を追加する。これにより、演算処理の負荷が低減できる。
以下、実施例1と異なる部分について説明する。静止画像を表示している場合等、光源ブロック制御データ211に変化がない場合の動作について、図4を用いて説明する。
光源ブロック制御データ211が変化せず、かつ温度センサ100の値が変化しない場合、構造LED温度オフセット217は、光源ブロック制御データ211に対応した値に次第に収束していく(例えば、約20フレーム分の温度推定処理を行うと収束する)。このため、温度推定部70は、温度センサ100の値が変化せず、かつ光源ブロック制御データ211のフレーム間変化が所定回数連続してゼロの場合は、温度推定処理を停止する。そして、光源ブロック制御データ211のフレーム間変化が検出された場合、温度推定部70は、温度推定処理を再開する。
また、温度推定処理を停止している間に、温度センサ100の値が変化した場合は、構造LED温度オフセット217の値と、温度センサ100により検出された温度とから、LED温度推定値218の算出を行うだけで、推定温度が求められる。
【0050】
(実施例2)
以下、実施例2について図5を用いて具体的に説明する。実施例2で使用している図5中の符号が、実施例1で使用している図1中の符号と同じ場合、機能および動作は同じである。実施例2で特に記載がない機能部は、実施例1と同じ機能および動作を有している。
【0051】
本実施例の液晶表示装置1では、バックライト61は、独立に発光制御可能な赤色LED、緑色LED、及び青色LEDの組により構成される。一組又は複数組の赤色LED、緑色LED、及び青色LEDにより1つの光源ブロックが構成される。なお、バックライト61を構成する各色LEDの個数の比率は、赤色LED:緑色LED:青色LED=1:2:1となっている。
【0052】
光源ブロック設定部201は、入力部10からの画像データに基づき、バックライト61の各光源ブロックの各色LEDの輝度を表す光源ブロック制御データを作成して、画像処理部301、バックライト駆動部51、及び温度推定部70へ送る。本実施例の場合、バックライト61は、独立に発光制御可能な赤色LED、緑色LED、及び青色LEDの組により構成される。そのため、光源ブロック設定部201は、バックライト61の各光源ブロックに対応する領域毎の画像データの赤色、緑色、青色の各色の最大階調値を元に、赤色、緑色、青色の各色の光源ブロック制御データを作成する。
【0053】
画像処理部301は、入力部10からの画像データの赤色、緑色、青色の各色の階調値を、光源ブロック設定部201からの赤色、緑色、青色の各色の光源ブロック制御データに基づき補正して、各色の補正画像データを生成し、LCDモジュール40へ送る。LCDモジュール40は補正画像データに応じて制御される。
【0054】
CPU91は、温度センサ100、タイマ110、及びRGBセンサ120の他各種機能部の制御を行う。
バックライト駆動部51は、CPU91からの制御情報と、光源ブロック設定部201からの光源ブロック制御データに基づいて、バックライト61の各光源ブロックの各色のLEDを指定の輝度で発光させる。
【0055】
温度推定部71は、光源ブロック設定部201からの光源ブロック制御データとメモリ80の中に保存された補正テーブル81に基づき、バックライト61のLEDの温度を光源ブロック毎に推定する。
【0056】
RGBセンサ120は、バックライト61の輝度と色情報を検出する。RGBセンサ120は、赤色、緑色、青色のカラーを検出可能なセンサである。RGBセンサ120によりバックライト61の赤色、緑色、青色のバランスを検出が可能となる。LEDは、一般的に色により経時劣化が異なるが、RGBセンサ120を用いることにより、各色の劣化を確認可能となる。
【0057】
次に、動作の詳細な流れについて図を用いて説明する。以下では、太陽の画像と空の画像と地面の画像よりなる風景画像の画像信号が液晶表示装置1に入力される場合を例に説明する。
以下の処理は、入力されたフレーム画像毎に実施される。
【0058】
図6は、入力部10が受け取る画像信号の1フレームの画像データ、光源ブロック設定部201が作成する光源ブロック制御データ、画像処理部301が作成する補正画像データの概念図である。LCDモジュール40における表示画像の輝度は、補正画像データの
階調値とバックライト61の光源ブロック毎の輝度により決まる。
【0059】
図6において、入力される画像データ11は、太陽の画像12、青空の画像13、及び地面の画像14を含む。光源ブロック設定部201は、この画像データを元に、以下のデータを作成する。すなわち、光源ブロック制御データ(赤)2011、光源ブロック制御データ(緑)2014、光源ブロック制御データ(青)2018、補正画像データ(赤)3011、補正画像データ(緑)2015,及び補正画像データ(青)3019を作成する。この処理について説明をする。
光源ブロック設定部201は、バックライト61の各光源ブロックに対応する領域毎に、画像データ11の赤色、緑色、青色の各色の最大階調値を求める。
【0060】
図6の例では、画像データ11の各部の最大階調値を(赤色、緑色、青色)の形式で示すと、次のようになるものとする。すなわち、太陽の画像12の部分の最大階調値は(255、255、255)、空の画像13の部分の最大階調値は(27、27、184)、地面の画像14の部分の最大階調値は(104,65,44)である。
【0061】
次に、光源ブロック設定部201は、求めた最大階調値に対応する輝度を各色について算出する。画像データの最大階調値と輝度の対応関係は、実施例1と同様、図3の実線Aに示す関係を用いる。一般的に液晶表示装置は、入力階調値と輝度の関係は比例ではなく、いわゆるガンマ特性を有している。光源ブロック設定部201は、画像データの階調値から輝度を算出する式として実施例1で説明した式1を各色について適用する。
【0062】
図6の画像データ11の例では、各々の部分の表示に必要なバックライト61の輝度を(赤色、緑色、青色)の形式で示すと、次のようになるものとする。すなわち、太陽の画像12の表示に必要な輝度は(100%、100%、100%)、空の画像13の表示に必要な輝度は(0.007%、0.007%、48%)、地面の画像14の表示に必要な輝度は(14%、0.049%、0.02%)となる。
【0063】
次に、光源ブロック設定部201は、光源ブロック制御データ(赤)2011、光源ブロック制御データ(緑)2015、及び光源ブロック制御データ(青)2019を作成する。そのために、バックライト61の各光源ブロックの輝度レベルを、各色について、実施例1と同様、図3に示す4レベルのうちから選択する。ここでは、バックライト61の各光源ブロックの各色の輝度は、4レベルの輝度のいずれかに調節可能であるものとする。光源ブロック設定部201は、上記で求めた画像データ11の各部分の表示に必要な各色の輝度に応じて、各光源ブロックの各色の輝度レベルを決定する。具体的には、各色について、光源ブロック設定部201は、画像データ11の各部分に対応する光源ブロックの輝度レベルとして、その部分の表示に必要な輝度以上の最小の輝度レベルを選択する。
【0064】
太陽の画像12の部分の表示に必要な赤色の輝度は100%であるから、光源ブロック設定部201は、太陽の画像12の部分に対応する位置の赤色の光源ブロック2012の輝度レベルを100%とする。
空の画像13の部分の表示に必要な赤色の輝度は0.007%であるから、光源ブロック設定部201は、空の画像13の部分に対応する位置の赤色の光源ブロック2013の輝度レベルは25%とする。
地面の画像14の部分の表示に必要な赤色の輝度は14%であるから、光源ブロック設定部201は、地面の画像14の部分に対応する位置の赤色の光源ブロック2014の輝度レベルは25%とする。
以上により、光源ブロック制御データ(赤)2011が作成される。
【0065】
太陽の画像12の部分の表示に必要な緑色の輝度は100%であるから、光源ブロック
設定部201は、太陽の画像12の部分に対応する位置の緑色の光源ブロック2016の輝度レベルは100%とする。
空の画像13の部分の表示に必要な緑色の輝度は0.007%であるから、光源ブロック設定部201は、空の画像13の部分に対応する位置の緑色の光源ブロック2017の輝度レベルは25%とする。
地面の画像14の部分の表示に必要な緑色の輝度は0.049%であるから、光源ブロック設定部201は、地面の画像14の部分に対応する位置の緑色の光源ブロック2018の輝度レベルは25%とする。
以上により、光源ブロック制御データ(緑)2015が作成される。
【0066】
太陽の画像12の部分の表示に必要な青色の輝度は100%であるから、光源ブロック設定部201は、太陽の画像12の部分に対応する位置の青色の光源ブロック2020の輝度レベルは100%とする。
空の画像13の部分の表示に必要な青色の輝度は48%であるから、光源ブロック設定部201は、空の画像13の部分に対応する位置の青色の光源ブロック2021の輝度レベルは50%とする。
地面の画像14の部分の表示に必要な青色の輝度は0.02%であるから、光源ブロック設定部201は、地面の画像14の部分に対応する位置の青色の光源ブロック2022の輝度レベルは25%とする。
以上により、光源ブロック制御データ(青)2019が作成される。
【0067】
画像処理部301は、上記選択された各光源ブロックの各色の輝度レベルと、入力される画像データ11における各部分の表示に必要な各色の輝度とから、各色の補正画像データを作成する。光源ブロックの各色の輝度レベルと、入力される画像データにおける各色の必要な輝度(式1で算出する輝度)とから、各色の補正画像データにおける階調値を算出する式は、実施例1で説明した式2と同じである。画像処理部301は、赤色、緑色、青色の各色について補正画像データを生成する。
【0068】
補正画像データ(赤)3011において、太陽の画像3012の階調値は255、周りの空の階調値は27となり、空の画像3013の階調値は50となり、地面の画像3014の階調値は195となる。
補正画像データ(緑)3015において、太陽の画像3016の階調値は255、周りの空の階調値は27となり、空の画像3017の階調値は50となり、地面の画像3018の階調値は122となる。
補正画像データ(青)3019において、太陽の画像3020の階調値は255、周りの空の階調値は184となり、空の画像3021の階調値は252となり、地面の画像3022の階調値は83となる。
【0069】
光源ブロック制御データ(赤)2011、光源ブロック制御データ(緑)2015、及び光源ブロック制御データ(青)2019に基づきバックライト61の各光源ブロックの各色LEDの発光が制御される。また、補正画像データ(赤)3011、補正画像データ(緑)3015、及び補正画像データ(青)3019に基づきLCDモジュール40の各画素の透過率が制御される。これにより、液晶表示装置1は入力画像信号に基づく画像を表示する。上記のように画像データに応じて光源ブロック毎に各色のLEDの輝度が調節されるローカルディミング制御により高コントラストの表示が可能となる。
【0070】
図6では、説明のために、赤色、緑色、青色を分けて記載しているが、バックライト61の構成では、同一平面上に並んで配置されている。
【0071】
図7は、温度推定部71の処理を示す図である。
図7において、前述の光源ブロック制御データ(赤)2011を数値で示したものが光源ブロック制御データ(赤)20111である。また、光源ブロック制御データ(緑)2015を数値で示したものが光源ブロック制御データ(緑)20151である。また、光源ブロック制御データ(青)2019を数値で示したものが光源ブロック制御データ(青)20191である。
【0072】
本実施例では、バックライト61は、各色LEDについて同一の方法で複数の光源ブロックに区画されており、各光源ブロックには、各色LEDが、個数の割合で赤色LED:緑色LED:青色LED=1:2:1となるように配置されている。個数割合に応じて光源ブロック制御データ(赤)20111、光源ブロック制御データ(緑)20151、及び光源ブロック制御データ(青)20191を重み付け加算したものが光源ブロック制御データ(白)2111である。
【0073】
従って、本実施例の構成では、光源ブロック制御データ(白)2111において縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックの値Wijは、次の式で算出される。
Wij=0.25×Rij+0.5×Gij+0.25×Bij
但し、
Rij:光源ブロック制御データ(赤)20111において縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックの値
Gij:光源ブロック制御データ(緑)20151において縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックの値
Bij:光源ブロック制御データ(青)20191において縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックの値
【0074】
温度推定部71は、光源ブロック制御データ(白)2111に基づいて、実施例1で説明した処理と同様の処理を行うことによりバックライト61のLEDの温度を光源ブロック毎に推定する。
本実施例の液晶表示装置1によれば、光源ブロック毎に温度センサを設ける必要なく、光源ブロック単位のLEDの温度を推定し、光源ブロック毎のLED温度のばらつきを推定することができる。推定した光源ブロック毎のLED温度に応じて、LEDの温度変化による表示の色ずれの補正を実施することにより、ローカルディミング制御を行う液晶表示装置における色バランスや輝度のムラを好適に抑制することが可能となる。
【0075】
なお、図示しないが、バックライト60やバックライト61とLCDモジュール40の間には、LEDの光を均一化させるための光拡散板や偏光シートなどの光学部材が設置されている。
【0076】
バックライト60は白色LEDにより構成され、バックライト61は赤色LED、緑色LED、及び青色LEDの3色のLEDで構成されている。しかし、他の色のLEDや白色LED、赤色LED、緑色LED、及び青色LEDの4色のLEDにより構成されるバックライトを使用することも可能である。また、バックライトの光源は例陰極放電管(CCFL)など、LEDに限らない。波長や輝度などの発光特性に温度依存性がある光源を有する、ローカルディミング制御可能なバックライト全般において、本発明により光源ブロック毎の光源の温度推定が可能になる。また、推定温度に基づき、光源ブロック毎の光源の輝度や光源ブロックに対応する領域毎の画像データ補正を行うことにより、輝度ムラや色バランスのずれを抑制する上述した作用効果が得られる。
【0077】
入力画像の階調値と輝度の関係と、LCDモジュール40で表示される画像データの階調値と輝度の関係とを、ともに2.2乗の関係としたが、異なる場合は、入力部10において、LCDモジュール40で表示される画像データの階調値と輝度の関係に変換する。
なお、LCDモジュール40で表示される画像データの階調値と輝度の関係は、LCDモジュール40により変化する。
上記実施例では、各光源ブロックに対応する領域内の画像データの最大階調値から、図3の100%の線Aを用いてその光源ブロックに必要な輝度を求めたが、別の基準線を設けてそれに基づいて必要な輝度を求めてもよい。
【0078】
また、実施例では、説明を簡単にするために、バックライトの光源ブロックの輝度レベルを4段階としたが、他のレベル数でも良い。また入力部やLCDモジュールに入力される画像データを8bitとしているが、他のbit数でもよい。
【0079】
図4において、光源ブロック制御データ211からLED温度係数213を求める際に用いる隣接影響係数212の値や影響する隣接光源ブロックの個数などは表示装置の構成や構造により異なる。また、現在LED温度オフセット214の値の1/2とLED温度係数213の値の1/20を加算して新LED温度オフセット215を求めているが、この計算方法は画像表示装置の構成や構造により異なる。また、構造係数216は、百分率で表されており、新LED温度オフセット215に乗算して構造LED温度オフセット217を求めているが、構造係数の値や計算式は画像表示装置の構成や構造に応じて異ならせても良い。また、温度センサによる測定値とLED温度推定値218は単純なオフセットの関係としているが、画像表示装置の構成や構造により両者が異なる関係になる場合がある。液晶表示装置の電源投入初期の制御例として、前回の電源断からの時間差に応じた係数をメモリ80に保存されたLED温度オフセットに乗じる例を説明したが、液晶表示装置の構成や構造により、電源投入初期のLED温度ばらつきの計算方法は異なっても良い。
【0080】
実施例2のバックライト61の光源ブロック内のLEDの個数割合を赤色LED:緑色LED:青色LED=1:2:1としているが異なる割合にしてもよい。また、LEDの個数割合と同一の値を重み付け係数として光源ブロック制御データ(白)を求める例を説明したが、白色の色温度設定等のカラーバランスの表示の条件や劣化により補正のために変更しても良い。
【0081】
(実施例3)
実施例1では、光源ブロック制御データ211の値を光源ブロックの光源の輝度値として用いて温度推定を行う場合を例示した。本実施例3では、光源ブロック制御データ211を用いずに、バックライト62に内蔵された光センサからの検出値を光源ブロックの光源の輝度値として用いる例を示す。
【0082】
以下、本実施例3について図8を用いて具体的に説明する。実施例3で使用している図8中の符号が、実施例1で使用している図1中の符号と同じ場合、機能および動作は同じである。実施例3で特に記載がない機能部は、実施例1と同じ機能および動作を有しているものとする。
【0083】
バックライト62には、バックライト62の輝度を検出する光センサ620が内蔵されており、光センサ620による測定値のデータであるバックライト輝度データが光センサ620から温度推定部72へ送られる。
【0084】
光センサ620からのバックライト輝度データを受け取った温度推定部72の動作について図9を用いて説明する。図9において、バックライト輝度データ313は、バックライト62を構成する複数の光源ブロックに対応して設けられた複数の光センサの検出値である。各光源ブロックに設けられた光センサは、隣接する光源ブロックからの拡散光も含む輝度を検出するため、実施例1で説明した隣接影響係数212を用いた演算処理は省略
できる。
【0085】
バックライト輝度データ313と現在LED温度オフセット314から新LED温度オフセット315を算出する演算処理は、実施例1の現在LED温度オフセット214とLED温度係数213から新LED温度オフセット215を算出する演算処理と同様である。ここでは、温度推定部72は、実施例1で説明した構造係数216による新LED温度オフセットの補正は行わず、新LED温度オフセット315からLED温度推定値318を算出するものとする。また、温度センサ100は、実施例1で説明したように、筐体外部に設けても筐体内部に設けても良い。
【0086】
ここでは、筐体内部(例えば、左上角から下方向に3つ目、右方向に4つ目の光源ブロックの位置)に温度センサ100が設けられているものとする。この場合、実施例1で説明したように、新LED温度オフセット315における、温度センサ100が設けられた位置(i=3,j=4)に対応する光源ブロックの値E(=E34=8.8)を新LED温度オフセット315の各値から減算する。この減算して求めた値を、温度センサ100による測定値に対するオフセット量とする。すなわち、温度センサ100による測定値をGとすると、縦方向i番目、横方向j番目に位置する光源ブロックのLED温度推定値Gijは、次の式で求められる。
ij=(Eij−E)+G
例えば温度センサ100による測定値G=31.8℃とすると、求められるLED温度推定値318は図9に示す値になる。
【符号の説明】
【0087】
50 バックライト駆動部、70 温度推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の光源をそれぞれ有する複数の光源ブロックに区画され、各光源ブロックの光源の発光を独立して調節可能なバックライトの温度推定装置であって、
前記光源ブロック毎に光源の輝度を取得する取得手段と、
前記バックライトを有する画像表示装置の筐体内部又は筐体外部の温度の少なくともいずれかの温度を測定する温度センサと、
前記温度センサによる測定値と、前記取得手段により取得される前記各光源ブロックの光源の輝度値とに基づいて、光源ブロック毎に光源の温度を推定する推定手段と、を有することを特徴とする、温度推定装置。
【請求項2】
ある光源ブロックの光源の温度に対して周囲の光源ブロックの光源の輝度が及ぼす影響の度合を示す隣接影響係数を予め記憶する記憶手段を有し、
前記推定手段は、各光源ブロックの光源の温度を、その光源ブロックの光源の輝度値と、その光源ブロックの周囲の光源ブロックの光源の輝度値と、前記隣接影響係数と、に基づき推定する請求項1に記載の温度推定装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記推定手段により推定された光源ブロック毎の光源の温度を記憶し、
前記推定手段は、現フレームの画像データに応じて、現フレームの画像データの表示による光源ブロック毎の光源の温度変化を推定し、推定した温度変化と、前記記憶手段に記憶されている前フレームの画像データに応じて推定した各光源ブロックの光源の温度と、に基づき、現フレームの画像データを表示した場合の各光源ブロックの光源の温度を推定する請求項2に記載の温度推定装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、各光源ブロックの光源の温度に対して前記バックライトの構造が及ぼす影響の度合を示す構造係数を予め記憶し、
前記推定手段は、前記構造係数にも基づいて各光源ブロックの光源の温度を推定する請求項2又は3に記載の温度推定装置。
【請求項5】
入力される画像データに応じて光源ブロック毎に光源の輝度を設定する設定手段を更に有し、
前記取得手段は、前記光源ブロック毎の光源の輝度として前記設定手段による設定値を取得する請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度推定装置。
【請求項6】
前記複数の光源ブロックの各々の輝度を測定する複数の光センサを更に有し、
前記取得手段は、前記光源ブロック毎の光源の輝度として前記光センサによる測定値を取得する請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度推定装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の温度推定装置と、
液晶パネルと、
一又は複数の光源をそれぞれ有する複数の光源ブロックに区画され、各光源ブロックの光源の発光を独立して調節可能な、前記液晶パネルを照射するバックライトと、
入力される画像データに応じて光源ブロック毎に光源の輝度を設定する設定手段と、
前記光源ブロックの光源の温度と、前記設定手段により設定される前記光源ブロックの光源の輝度の設定値を補正するための補正量と、の対応関係を記憶する補正量記憶手段と、
前記温度推定装置により推定される各光源ブロックの光源の温度と、前記対応関係と、に基づき、前記設定手段により設定される各光源ブロックの光源の輝度の設定値を補正する補正手段と、
を有する画像表示装置。
【請求項8】
前記補正量記憶手段は、前記光源ブロックの光源の温度と、入力される画像データを補正するための補正量と、の対応関係を記憶し、
前記補正手段は、前記温度推定装置により推定される各光源ブロックの光源の温度と、前記対応関係と、に基づき、前記液晶パネルにおける各光源ブロックに対応する領域に表示される画像データを補正する請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
一又は複数の光源をそれぞれ有する複数の光源ブロックに区画され、各光源ブロックの光源の発光を独立して調節可能なバックライトの温度推定装置の制御方法であって、
前記光源ブロック毎に光源の輝度を取得する取得ステップと、
前記バックライトを有する画像表示装置の筐体内部又は筐体外部の温度の少なくともいずれかの温度を測定する温度センサから測定値を取得するステップと、
前記温度センサによる測定値と、前記取得ステップにより取得される前記各光源ブロックの光源の輝度値とに基づいて、光源ブロック毎に光源の温度を推定する推定ステップと、を有する、温度推定装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−237972(P2012−237972A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−38827(P2012−38827)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】