説明

温度検出部を備えた分析装置

【課題】 分析用具の構成を変更することなく適切に測定し、反応温度の影響を適切に考慮した濃度演算を行えるようにする。
【解決手段】 試薬部28を備えるとともに演算用の情報を出力可能な分析用具2を装着するための装着部10と、上記演算用の情報に基づいて、試料を分析するための演算を行う演算部と、上記試薬部の反応温度の温度情報を出力する温度検出部12と、を備えた分析装置X1であって、上記装着部10は、上記分析用具2を載置するためのテーブル部19を備えており、上記温度検出部12は、上記テーブル部19に配置されているとともに、上記装着部10に対して上記分析用具2を装着したときに、上記試薬部28の直下領域または直上領域に位置するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサなどの分析用具を装着して使用し、この分析用具から出力される演算用の情報に基づいて、試料の分析を行うための分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料中の特定成分、たとえば血液中のグルコースの濃度を測定する一般的な方法としては、酸化還元酵素を触媒とする酸化還元反応を利用したものがある。その一方で、自宅や出先などで簡易に血糖値の測定が行えるように、手のひらに収まるようなサイズの簡易血糖値測定装置が汎用されている。この簡易血糖値測定装置では、たとえば酵素反応場を提供するとともに使い捨てとして構成されたバイオセンサを装着した上で、このバイオセンサに血液を供給することにより血糖値の測定が行われる(特許文献1)。
【0003】
バイオセンサでは、酵素反応場において血液中のグルコース濃度に応じた量の還元体(あるいは酸化体)が生成される。このとき、酵素反応場に対して電極を介して電圧を印加すれば、還元体(あるいは酸化体)と電極との間で電子授受が行われる。その電子授受量は、酸化電流(あるいは還元電流)として簡易血糖値測定装置において測定され、そのときの電流値に基づいて血糖値が演算される。
【0004】
酵素反応における反応速度は、温度依存性が比較的に大きいため、還元体(酸化体)の生成量は、血液中のグルコース濃度のみならず、反応温度による影響を受け易い。そのため、簡易血糖値測定装置としては、温度に対する補正を行った上で、最終的な測定結果を算出するように構成されたものもある。この場合の温度測定は、たとえば血糖値測定装置内に組み込んだ温度センサにおいて、血糖値濃度測定装置の内部温度を測定することにより行われる。一方、温度補正は、バイオセンサに対して温度センサを組み込んでおき、バイオセンサからの温度情報を血糖値測定装置に取り込むことにより行うこともできる。
【0005】
しかしながら、血糖値測定装置内の温度を測定する方法は、バイオセンサの温度(反応温度)を測定しているわけではないので、必ずしも反応温度を反映しているとはいえない
。一方、バイオセンサに温度センサを設ける方法では、バイオセンサの温度を適切に把握できる反面、個々のバイオセンサ毎に温度センサを設ける必要があり、バイオセンサが高価なものとなってしまう。したがって、バイオセンサを使い捨てとして構成する場合には、バイオセンサに温度センサを設けることは実用的でない。そればかりか、バイオセンサばかりでなく、簡易血糖値測定装置の構成を変更する必要が生じる。たとえば、簡易血糖値測定装置には、バイオセンサからの温度情報を取り込むための入力部を設ける必要が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平8−10208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、バイオセンサなどの分析用具の温度を、分析用具の構成を変更することなく適切に測定し、反応温度の影響を適切に考慮した濃度演算を行えるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により提供される分析装置は、試薬部を備えるとともに演算用の情報を出力可能な分析用具を装着するための装着部と、上記演算用の情報に基づいて、試料を分析するための演算を行う演算部と、上記試薬部の反応温度の温度情報を出力する温度検出部と、を備えた分析装置であって、上記装着部は、上記分析用具を載置するためのテーブル部を備えており、上記温度検出部は、上記テーブル部に配置されているとともに、上記装着部に対して上記分析用具を装着したときに、上記試薬部の直下領域または直上領域に位置するように配置されている。
【0009】
好ましくは、上記テーブル部は、当該分析装置の側方に向けて突出している。
【0010】
好ましくは、上記装着部には、上記テーブル部に対して上記分析用具を押し付けるための押圧部が配置されている。
【0011】
上記分析用具として、上記演算用の情報を出力するための出力部を備えたものを使用する場合において、上記押圧部は、好ましくは、上記出力部に接触させ、かつ上記演算用の情報を入力させるための機能を有するものとして構成されている。
【0012】
好ましくは、上記押圧部は、導体により形成された板バネである。
【0013】
好ましくは、上記温度情報に基づいて、上記演算部での演算結果を補正する温度補正部をさらに備えている。
【0014】
好ましくは、上記温度検出部は、接触型の温度センサを有している。
【0015】
好ましくは、上記温度検出部は、上記温度センサに接触し、かつ上記分析用具に接触させるための接触面を有する熱伝導部を備えている。
【0016】
好ましくは、上記熱伝導部は、熱伝導率が0.10cal/(℃・cm・sec)よりも大きな材料により形成されている。さらに好ましくは、上記熱伝導部は、熱伝導率が0.15cal/(℃・cm・sec)よりも大きな材料により形成されている。
【0017】
好ましくは、上記熱伝導部は、鉄、銅、アルミニウム、これらのうちの少なくとも1種を主成分とする合金、あるいはセラミックにより形成されている。
【0018】
好ましくは、上記温度センサおよび上記熱伝導部は、樹脂パッケージにより封止された状態で上記装着部に配置されている。
【0019】
好ましくは、上記温度検出部は、接触型の温度センサを有しており、かつ、この温度センサは、上記装着部に対して上記分析用具を装着したときに、上記分析用具に直接接触するように配置されている。
【0020】
好ましくは、上記温度検出部は、非接触型の温度センサを有している。
【0021】
好ましくは、上記試薬部は、酵素を含んでいる。この酵素は、好ましくは、グルコースの酸化反応に対する触媒作用を有するものである。
【0022】
好ましくは、上記分析用具は、使い捨てとして構成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る分析装置にバイオセンサを装着した状態を示す全体平面図である。
【図2】図1に示した分析装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】バイオセンサの一例を示す全体斜視図である。
【図4】図3に示したバイオセンサの分解斜視図である。
【図5】図1のV−V線に沿う断面図である。
【図6】補正係数の一覧表の一例を示した表である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る分析装置にバイオセンサを装着した状態を示す要部断面図であって、図1のV−V線に沿う断面に相当するものである。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る分析装置にバイオセンサを装着した状態を示す要部断面図であって、図1のV−V線に沿う断面に相当するものである。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る分析装置にバイオセンサを装着した状態を示す要部断面図であって、図1のV−V線に沿う断面に相当するものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0025】
まず、図1ないし図6を参照し、本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0026】
図1および図2に示したように、分析装置X1は、装着部10に対してバイオセンサ2を装着し、試料における特定成分の濃度を測定するものである。
【0027】
バイオセンサ2は、図3ないし図5に示したように、カバー20、スペーサ21および基板22を有している。
【0028】
カバー20には穴部23が設けられている。スペーサ21にはスリット24が設けられている。スリット24は、バイオセンサ2の流路25を規定するためのものであり、先端開放部24aを有し、かつ穴部23に連通している。そのため、流路25は、先端開放部24aおよび穴部23を介して外部と連通している。カバー20の先端開放部24aは試料導入口として機能し、穴部23は空気排出口として機能する。したがって、先端開放部(試料導入口)24aから試料が供給された場合には、穴部23を介して流路25の空気が外部に排出される一方、毛細管現象により、試料が穴部23に向けて流路25を進行する。
【0029】
基板22の上面22aには、作用極26、対極27、および試薬部28が設けられている。
【0030】
作用極26および対極27は、大部分が基板22の長手方向に延びているとともに、端部26a,27aが基板22の短手方向に延びている。したがって、作用極26および対極27は、全体としてL字状の形態とされている。作用極26および対極27の端部26b,27bは、図5に良く表れているように分析装置X1の端子17と接触させるためのものである。試薬部28は、たとえば固形状であり、図4および図5に良く表われているように作用極26および対極27の端部26a,27aどうしを繋いでいる。この試薬部28は、たとえば相対的に多量の電子伝達物質に対して相対的に少量の酸化還元酵素を分散させたものである。
【0031】
電子伝達物質としては、たとえば鉄やRuの錯体が使用される。この場合に使用可能な鉄錯体としては、たとえばフェリシアン化カリウムが挙げられ、Ru錯体としては、たとえばNH3を配位子とするものが挙げられる。酸化還元酵素は、分析対象となる特定成分
の種類によって選択される。特定成分としては、たとえばグルコース、コレステロール、乳酸が挙げられる。このような特定成分に対する酸化還元酵素としては、グルコースデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、ヘキソキナーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼなどが挙げられる。
【0032】
図1、図2および図5を参照すれば分かるように、分析装置X1は、装着部10の他に、電流値測定部11、温度検出部12、演算部13、温度補正部14、表示部15、電源16、および一対の端子17(図5には1つの端子17が描かれている)を備えている。
【0033】
図1および図5に示したように、装着部10は、バイオセンサ2を保持するためのもの
であり、挿入部18およびテーブル部19を有している。挿入部18は、バイオセンサ2の端部を挿入するためのものである。テーブル部19は、バイオセンサ2を載置するためのものであり、分析装置X1の側方に突出している。テーブル部19には、温度検出部12を収容するための凹部19aが設けられている。凹部19aは、装着部10にバイオセンサ2を装着したときに、バイオセンサ2における試薬部28の直下に位置するように設けられている。
【0034】
電流値測定部11は、図面上には明確に表れていないが、一対の端子17と接続されており、一対の端子17の間に電圧を印加したときの応答電流値を測定するためのものである。
【0035】
温度検出部12は、バイオセンサ2の温度を測定するためのものであり、図5によく表れているように、テーブル部19の凹部19aに収容されている。したがって、装着部10にバイオセンサ2を装着したときに、バイオセンサ2における試薬部28の直下に位置するように配置されている。この温度検出部12は、温度センサ12Aおよび熱伝導部12Bを有している。温度センサ12Aは、接触型として構成されている。熱伝導部12Bは、たとえば熱伝導率が0.10cal/(℃・cm・sec)よりも大きな材料、さらに好ましくは、熱伝導率が0.15cal/(℃・cm・sec)よりも大きな材料により形成されている。このような材料としては、たとえば鉄、銅、アルミニウム、これらのうちの少なくとも1種を主成分とする合金、あるいはセラミックが挙げられる。この熱伝導部12Bは、温度センサ12Aに接触した状態で温度センサ12Aを覆い、かつその表面12bがテーブル部19の表面と面一となるように配置されている。したがって、熱伝導部12Bは、装着部10にバイオセンサ2を装着したときに、バイオセンサ2の基板22に接触することができ、バイオセンサ2の温度が熱伝導部12Bを介して温度センサ12Aにおいて測定される。また、熱伝導部12Bは、温度センサ12Aを覆うようにして配置されているため、温度センサ12Aの表面が損傷し、あるいは埃などの異物が付着することが抑制されている。
【0036】
図2に示した演算部13は、電流値測定部11における測定結果に基づいて、試料中の特定成分の濃度を演算するためのものである。濃度演算は、たとえば電流値と濃度との関係を示す検量線に対して、測定電流値を当てはめることにより行われる。検量線は、電圧値と濃度との関係として規定してもよく、この場合には、濃度演算は、測定電流値を一定の規則性をもって電圧値に換算した後に、検量線に対して電圧値を当てはめることにより行われる。
【0037】
温度補正部14は、温度検出部12からの温度情報を考慮して、演算部13での演算結果を補正するものである。この温度補正部14は、たとえば補正係数の一覧表に関するデータを記憶している。一覧表の一例を図6に示したが、一覧表は、温度と演算濃度とをパラメータとし、これらの組み合わせから補正係数を算出できるように作成されたものである。図2に示した温度補正部14では、演算部13での演算結果に、選択された補正係数を掛け合わすことにより、反応温度を考慮した温度補正後の最終濃度が決定される。一覧表は、図6に示したものには限定されない。たとえば、温度や濃度の区分は変更可能であり、補正係数についても、図6に示した値には限定されない。
【0038】
図2に示した演算部13および温度補正部14のそれぞれは、たとえばCPU、RAMおよびROMにより構成することができるが、1つのCPUに対して、RAMやROMなどの複数のメモリを接続することにより、演算部13および温度補正部14の双方を構築するようにしてもよい。
【0039】
図1および図2に示した表示部15は、温度補正部14での演算結果の他、エラーなど
を表示するためのものであり、たとえばLCDにより構成されている。
【0040】
図2に示した電源16は、各部11〜15に電力を供給し、あるいは一対の端子17の間に電圧を印加するためのものである。この電源16は、たとえば乾電池あるいは充電池などの直流電源により構成される。
【0041】
図5に良く表れているように、各端子17は、バイオセンサ2の作用極26および対極27の間に電圧を印加し、あるいは作用極26と電子伝達物質との間の電子授受量を測定する際に利用されるものである。このため、各端子17は、装着部10にバイオセンサ2を装着したときに、先端部17aがバイオセンサ2の作用極26および対極27の端部26b,27bに接触するように配置されている。各端子17は、導体片を折り曲げた板バネとして構成されている。そのため、装着部10に対してバイオセンサ2を装着した場合には、端子17の先端部17aは、作用極26および対極27の端部26b,27bに押圧力を作用させた状態で、端部26b,27bに接触する。これにより、バイオセンサ2は、テーブル部19に、ひいては温度検出部12に密着した状態とされる。
【0042】
次に、分析装置X1での濃度測定動作を説明する。
【0043】
分析装置X1では、まずバイオセンサ2が装着されたか否かが判断される。バイオセンサ2を装着した場合には、図5に良く表れているように作用極26および対極27が端子17と接触し、電流値測定部11において電流の測定が可能となる。したがって、バイオセンサ2が装着されたか否かの判断は、たとえば電流値測定部11において測定される電流値に基づいて行うことができる。バイオセンサ2が装着されたか否かの判断は、光センサや圧力センサなどを用いて行ってもよい。
【0044】
分析装置X1にバイオセンサ2が装着されたことが確認された場合には、試薬部28に対して試料が供給されたか否かが確認される。このような確認は、電流値測定部11において測定される電流値に基づいて行うことができる。より具体的には、電流値測定部11において測定される電流値が予め定められた閾値に達したか否かにより行うことができる。試薬部28は、試料の供給により溶解し、流路25には液相反応系が構築される。この液相反応系においては、試料中の特定成分が酸化(あるいは還元)される一方で、電子伝達物質が還元(あるいは酸化)される。このため、作用極26と対極27の間に所定値以上の電圧が印加されていれば、還元体化(酸化体化)されていた電子伝達物質が酸化(あるいは還元)されて、これに起因して酸化電流(あるいは還元電流)が生じる。したがって、電流値測定部11において酸化電流(あるいは還元電流)を測定することにより、液相反応系において適切な反応が生じていることが確認できる結果、試薬部28に試料が供給されたことを確認することができる。
【0045】
試料の供給が確認された場合には、作用極26と対極27の間への電圧の印加を中止する。これにより、液相反応系(流路25)では、還元(もしくは酸化)された電子伝達物質が蓄積されていく。電圧の印加を中止してから所定時間経過した場合には、作用極26と対極27の間に再び電圧を印加する。これにより、電子伝達物質が酸化(もしくは還元)されるため、液相反応系と作用極26との間で電子授受が行われ電流値測定部11において応答電流が測定される。
【0046】
試料の供給が確認されてから所定時間経過した場合には、その時点において電流値測定部11で測定された応答電流値を取得し、それを演算部13における演算の基礎とする。ただし、試薬部28に試料が供給されたことが確認された後においても作用極26と対極27の間への電圧の印加を継続し、試料の供給が確認されてから所定時間経過したときに電流値測定部11で測定された応答電流値を、演算部13における演算の基礎とする。
【0047】
一方、温度補正部14では、温度検出部12からの温度情報と、演算部13からの演算結果に基づいて補正係数を決定し、この補正係数を演算部13での演算結果に掛け合わせ、最終的な濃度を決定する。
【0048】
本実施の形態では、分析装置X1における装着部10に温度検出部12が設けられ、バイオセンサ2の温度を測定できるように構成されている。このため、バイオセンサ2の温度を測定するにあたって、バイオセンサ2に対して温度センサなどの温度検出機能を付与する必要はなく、バイオセンサ2の製造コスト的には有利である。また、温度検出部12が分析装置X1に設けられているものの、この温度検出部12は分析装置X1の内部の温度ではなく、バイオセンサ2の温度を測定するように構成されている。とくに、バイオセンサ2に対して近接して温度検出部12を配置すれば、この温度検出部12によって測定される温度がバイオセンサ2の温度により近づく。そして、試薬部28の直下領域もしくはその近傍領域に位置するように温度検出部12を設ければ、温度検出部12において測定される温度が反応温度により近づいて、反応温度を適切に把握することができるようになる。その結果、反応温度を考慮して、濃度演算を精度良く行えるようになる。
【0049】
次に、本発明の第2ないし第4の実施の形態について、図7ないし図9を参照して説明する。ただし、図7ないし図9においては、先に説明した本発明の第1の実施の形態と同様な要素については同一の符号を付してあり、重複説明は省略するものとする。
【0050】
図7に示したように、第2の実施の形態に係る分析装置X2は、先の実施の形態に係る分析装置X1(図5など参照)とは、温度検出部12′の構成が異なっている。温度検出部12′は、温度センサ12Aと熱伝導部12Bとが樹脂パッケージ12Cにより封止されてモジュール化され、モジュールとしてテーブル部19に嵌め込まれている。
【0051】
図8に示したように、第3の実施の形態に係る分析装置X3は、温度検出部が温度センサ12Aのみによって構成されている。この温度センサ12Aは、表面がテーブル部19において露出するようにして配置されている。これにより、装着部10に対してバイオセンサ2を装着した場合には、温度センサ12Aがバイオセンサ2に直接的に接触する。
【0052】
図9に示したように、第4の実施の形態に係る分析装置X4は、温度センサ12A″として非接触型のものを用いたものである。温度検出部12″はさらに、透明要素12D″を備えたものとして構成されている。これにより、温度センサ12A″の表面が損傷してしまうことが抑制され、また温度センサ12A″の表面に対する埃などの異物の付着が抑制されている。
【0053】
本発明は上述した第1ないし第4の実施の形態には限定されず、種々に設計可能である。分析装置X1は、温度補正部14を備えていたが、この温度補正部14は必須の構成ではなく、省略することができる。たとえば、分析装置において温度検出部からの情報に基づいて、表示部においてバイオセンサの温度を表示する一方で、分析装置とは別に補正表(たとえば図6に示したもの)を予め準備しておき、表示された温度と補正表に基づいて、ユーザ自身が実測値を補正するようにすることもできる。
【符号の説明】
【0054】
X1 分析装置
2 分析用具
10 装着部
12 温度検出部
13 演算部
14 温度補正部
18 挿入部
19 テーブル部
28 試薬部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬部を備えるとともに演算用の情報を出力可能な分析用具を装着するための装着部と、上記演算用の情報に基づいて、試料を分析するための演算を行う演算部と、上記試薬部の反応温度の温度情報を出力する温度検出部と、を備えた分析装置であって、
上記装着部は、上記分析用具を載置するためのテーブル部を備えており、
上記温度検出部は、上記テーブル部に配置されているとともに、上記装着部に対して上記分析用具を装着したときに、上記試薬部の直下領域または直上領域に位置するように配置されている、温度検出部を備えた分析装置。
【請求項2】
上記テーブル部は、当該分析装置の側方に向けて突出している、請求項1に記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項3】
上記装着部には、上記テーブル部に対して上記分析用具を押し付けるための押圧部が配置されている、請求項1または2に記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項4】
上記分析用具として、上記演算用の情報を出力するための出力部を備えたものを使用する場合において、
上記押圧部は、上記出力部に接触させ、かつ上記演算用の情報を入力させるための機能を有するものとして構成されている、請求項3に記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項5】
上記押圧部は、導体により形成された板バネである、請求項4に記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項6】
上記温度情報に基づいて、上記演算部での演算結果を補正する温度補正部をさらに備えている、請求項1ないし5のいずれかに記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項7】
上記温度検出部は、接触型の温度センサを有している、請求項1ないし6のいずれかに記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項8】
上記温度検出部は、上記温度センサに接触し、かつ上記分析用具に接触させるための接触面を有する熱伝導部を備えている、請求項7に記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項9】
上記熱伝導部は、熱伝導率が0.10cal/(℃・cm・sec)よりも大きな材料により形成されている、請求項8に記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項10】
上記熱伝導部は、熱伝導率が0.15cal/(℃・cm・sec)よりも大きな材料により形成されている、請求項8に記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項11】
上記熱伝導部は、鉄、銅、アルミニウム、これらのうちの少なくとも1種を主成分とする合金、あるいはセラミックにより形成されている、請求項8に記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項12】
上記温度センサおよび上記熱伝導部は、樹脂パッケージにより封止された状態で上記装着部に配置されている、請求項8ないし11のいずれかに記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項13】
上記温度検出部は、接触型の温度センサを有しており、かつ、
この温度センサは、上記装着部に対して上記分析用具を装着したときに、上記分析用具に直接接触するように配置されている、請求項7に記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項14】
上記温度検出部は、非接触型の温度センサを有している、請求項1ないし6のいずれかに記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項15】
上記試薬部は、酵素を含んでいる、請求項1ないし13のいずれかに記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項16】
上記酵素は、グルコースの酸化反応に対する触媒作用を有するものである、請求項15に記載の温度検出部を備えた分析装置。
【請求項17】
上記分析用具は、使い捨てとして構成されたものである、請求項1ないし16のいずれかに記載の温度検出部を備えた分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−91583(P2010−91583A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5529(P2010−5529)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【分割の表示】特願2003−562626(P2003−562626)の分割
【原出願日】平成15年1月14日(2003.1.14)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】