説明

温度測定装置

【課題】被検者や測定者に負担をかけることなく深部体温を常時測定できる温度測定装置を提供する。
【解決手段】第1の熱抵抗体12に覆われた第1の感温素子21と第1のコイル11を備えて被検者の皮膚6に装着する温度測定部10と、この温度測定部10に電力を供給する第2のコイル31と第2の熱抵抗体33に覆われた第2の感温素子32を備えた電力供給部30とを有する温度測定装置であって、温度測定部10と電力供給部30とは着脱自在であり、電力供給部30は電源41を備えた本体部40と接続する構成とした。これにより、温度測定部10と電力供給部30は無接点で接続され、第1の感温素子21と第2の感温素子32が測定する温度によって被検者の深部体温を算出することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体表面の温度情報から深部体温を推定する温度測定装置に関し、特に深部体温の常時測定を容易に実現できる温度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院等では定期的に患者の体温を測定し、体温の管理を行っている。また、手術時における体温管理や血流状態の監視などで、深部体温を測定することは重要である。しかし、深部体温の測定は通常困難であって、一般に体温の測定に際しては、常態では深部体温と異なる生体の表面温度を測定するため、体温計を腋に挟んで測定する場合であれば、腋を閉じた状態で深部温度と表面温度が平衡になるまで待つ必要があった。また、深部温度と表面温度が平衡に達するまでの温度変化の態様を式に当てはめて平衡点を予測し、この平衡点を体温とする体温計も製品化されている。また、測定が完了すると、測定者が測定結果を確認し記録するといった作業が必要になる。
【0003】
しかしながら、被検者が幼児や重病の患者の場合、体温計を測定部位に安定して装着させつづけることは困難であり、正確な体温測定を行うことは容易ではない。また、予測型の体温計では、安定した装着が得られない場合や環境変化などで、測定開始からの温度変化が不安定になって、誤差の大きな測定結果となる場合がしばしば見受けられる。また、測定結果を確認し記録する作業は、測定者にとって負担が大きく、測定者の手を煩わせることなく記録できることも望まれている。
【0004】
このような背景から、生体の表面温度を直接リアルタイムで測定し、その結果に基づき熱伝導方程式に従って深部体温を算出することで、深部体温を推定できる電子体温計が開示されている(例えば特許文献1参照)。以下、この特許文献1に開示されている従来の電子体温計の概略を図14を用いて説明する。
【0005】
図14(a)は、従来の電子体温計のプローブの内部構造を示す断面図であり、プローブ100の上面と側面は金属材等からなるカバー101によって覆われており、カバーの上面部101aの下方には熱伝導率の異なる断熱材102a、102bが長手方向に隣接して配置されている。また、断熱材102a、102bの下面に接してそれぞれ温度センサ103a、103bが配置されている。図14(b)はプローブ100をカバー上面部101a側からみた構造を示す。略直方体状の断熱材102a、102bのそれぞれの中央部に温度センサ103a、103bが配置されている。
【0006】
この電子体温計による測定は、プローブ100のカバー上面部101aを生体110に接することで、熱伝導率の異なる断熱材102a、102bを介して生体表面に接する部位の温度及びその時間変化を測定する。そして、得られた温度データに基づいて公知の熱伝導方程式を解くことによって、生体内部の深部温度を推定出来ることが示されている。
【0007】
また他の従来技術として、深部温度プローブと通信表示装置によって構成する深部温度測定装置が開示されている(例えば特許文献2参照)。以下、この特許文献2に開示されている従来の深部温度測定装置の概略を図15を用いて説明する。
【0008】
図15において、深部温度プローブ200の金属材部201内には、温度センサ付きICタグ202及び203が配置されている。これにより、温度センサ付きICタグ202、203により検出される温度が金属材部201の温度(外気温度とほぼ一致)に対応したものとなる。また、金属材部201の下層には断熱材の硬質発泡材211が配置され、
この硬質発泡材211内には、温度センサ付きICタグ212及び213が配置されている。硬質発泡材211は、高さがh1の領域R1と、高さがh2の領域R2とに区分される。
【0009】
金属材部201の周囲には、電磁波カップリング層204及び配線基板205が配置されている。この配線基板205には、各温度センサ付きICタグからの配線が接続され、外部の機器との通信が可能となっている。また、硬質発泡材211を挟んで上下方向に対向して配置される温度センサ付きICタグの間隔については以下のように定義される。温度センサ付きICタグ202と212との間隔をd1とし、温度センサ付きICタグ203と213との間隔をd2とすると、d1とd2の関係はd1>d2が成立する。
【0010】
この条件下で、深部温度プローブ200のICタグ212及び213を生体220に接し、各温度センサ付きICタグによって各測定ポイントの温度を測定して、2次元(断面)で有限要素法を用いた計算により深部体温を求めることが示されている。また、深部温度プローブ200は無線によって外部の通信装置に、測定結果を伝える機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−372464号公報(第8頁、第18図)
【特許文献2】特開2007−315917号公報(第6頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の特許文献1の電子体温計のプローブは、図14で示すように、金属のカバー101と熱伝導率の異なる断熱材102a、102b、及び温度センサ103a、103bが積層されて一体となっているので、プローブの外形が大きく且つ厚くなり、体温の常時測定のために、このプローブを被検者の身体に常時装着することは、被検者に大きな負担をかけるので好ましくない。また、このプローブ及び本体は、すべての機能部品が一体化されているのでコストが高く、被検者に装着して使用した後に、感染防止等のために使い捨てにすることは、費用がかかり過ぎて問題である。
【0013】
また、特許文献2の深部温度測定装置の深部温度プローブは、図15で示すように、金属材部201と厚みの異なる断熱材の硬質発泡材211が積層され、それぞれに複数のICタグが一体化した構成であるので、深部温度プローブの外形が大きく且つ厚くなり、このプローブを被検者に常時装着することは困難である。また、ICタグを含めた全ての機能部品が一体化されているのでコストが高く、被検者に装着して使用した後に、感染防止等のために使い捨てにすることは、費用がかかり過ぎて問題である。
【0014】
また、近年、患者の病状の常時観察や病状の急変などに即対応するために、患者の体温を24時間常時測定して、体温の推移を常に把握し記憶出来る体温測定が要望されている。しかしながら、特許文献1の体温計では、体温の読み取りと記録は従来と変わらず、測定者がその都度、患者のそばに行っておこなわなければならないので、体温の24時間常時測定に対応することは極めて難しい。
【0015】
また同様に、特許文献2の深部温度測定装置においても、深部温度プローブを被検者に常時装着するためには、かなり小型に作らなければならないが、仮にプローブの小型化が可能だとしても、無線による外部の通信装置との通信距離がアンテナの制約や電池容量の
制約等で極端に短くなることが想定され、実際の体温測定は、測定者が通信装置を深部温度プローブの至近距離に持っていき、測定動作を行う必要がある。このため、被検者の体温を24時間常時測定することは事実上困難である。
【0016】
本発明の目的は上記課題を解決し、被検者や測定者に負担をかけることなく深部体温を常時測定できる温度測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の温度測定装置は、下記記載の構成を採用する。
【0018】
本発明の温度測定装置は、第1の感温素子と第1のコイルを備えて被測定物に装着する温度測定部と、この温度測定部に電力を供給する第2のコイルを備えた電力供給部とを有する温度測定装置において、電力供給部は第2の感温素子を備え、温度測定部と電力供給部とを密着して積層配置し、且つ、第1の感温素子と第2の感温素子とを対向して配置したことを特徴とする。
【0019】
また、温度測定部と電力供給部とが着脱自在であることを特徴とする。
【0020】
また、電力供給部は、電源を備えた本体と接続されることを特徴とする。
【0021】
また、第1の感温素子は第1の熱抵抗体に少なくとも一部が覆われ、第2の感温素子は第2の熱抵抗体に少なくとも一部が覆われていることを特徴とする。
【0022】
また、温度測定部と電力供給部が密着状態である場合、第1の感温素子と第2の感温素子の間には、第1の熱抵抗体と第2の熱抵抗体とによる熱流路が構成されることを特徴とする。
【0023】
また、第2の感温素子が第1の感温素子に対向する面は第2の熱抵抗体から露出しており、温度測定部と電力供給部が密着状態である場合、第1の感温素子と第2の感温素子の間には、第1の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする。
【0024】
また、第1の感温素子が第2の感温素子に対向する面は第1の熱抵抗体から露出しており、温度測定部と電力供給部が密着状態である場合、第1の感温素子と第2の感温素子の間には、第2の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする。
【0025】
また、第1の感温素子が第2の感温素子に対向する面は第1の熱抵抗体から露出しており、第2の感温素子が第1の感温素子に対向する面は第3の熱抵抗体に接しており、温度測定部と電力供給部が密着状態である場合、第1の感温素子と第2の感温素子の間には、第3の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする。
【0026】
また、第1の感温素子が第2の感温素子に対向する面は第3の熱抵抗体に接しており、第2の感温素子が第1の感温素子に対向する面は第2の熱抵抗体から露出しており、温度測定部と電力供給部が密着状態である場合、第1の感温素子と第2の感温素子の間には、第3の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする。
【0027】
また、第1の感温素子が第2の感温素子に対向する面は第1の磁性体に接しており、第2の感温素子が第1の感温素子に対向する面は第3の熱抵抗体と第2の磁性体が積層配置しており、温度測定部と電力供給部が密着状態である場合、第1の感温素子と第2の感温素子の間には、第3の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする。
【0028】
また、第1の感温素子が第2の感温素子に対向する面は第1の熱抵抗体による凹部が形成され、第2の感温素子が第1の感温素子に対向する面は第2の熱抵抗体から突き出した凸部を備える第3の熱抵抗体に接しており、温度測定部と電力供給部が密着状態である場合、第1の熱抵抗体の凹部と第3の熱抵抗体の凸部が嵌合し、第1の感温素子と第2の感温素子の間には、第3の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする。
【0029】
また、第1の感温素子が第2の感温素子に対向する面は第1の熱抵抗体による凹部が形成され、第2の感温素子が第1の感温素子に対向する面は第3の熱抵抗体と第1の熱抵抗体が積層配置すると共に、積層配置された第1の熱抵抗体は第2の熱抵抗体から突き出した凸部を備えており、温度測定部と電力供給部が密着状態である場合、第1の熱抵抗体の凹部と第1の熱抵抗体の凸部が嵌合し、第1の感温素子と第2の感温素子の間には、第3の熱抵抗体と凸部を備える第1の熱抵抗体とによる熱流路が構成されることを特徴とする。
【0030】
また、第1の感温素子は被測定物の表面に直接熱結合し、第2の感温素子は被測定物に熱流路を介して熱結合することを特徴とする。さらに、第3の熱抵抗体の熱伝導率は、第1の熱抵抗体と第2の熱抵抗体のいずれの熱伝導率より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
上記の如く本発明によれば、温度測定部と電力供給部は、コイルによる無接点での電力供給手段を備えており、構造が簡単で薄型軽量を実現でき、被検者の身体に装着しても邪魔にならず違和感も少ないので、常時装着が可能である。これにより、被検者の体温の常時測定が実現でき、被検者の体温の推移を24時間測定できるので、被検者の急な容態の変化や、長期間の容態の推移を把握でき、被検者に対して、より適切な医療を実施することが可能となる。
【0032】
また、温度測定部と電力供給部を密着状態にすることで、第1の感温素子と第2の感温素子の間には、所定の熱抵抗体による熱流路が構成され、この熱流路を通る場合と通らない場合の生体の温度を2つの感温素子で測定して深部体温を推定することが出来る。これにより、被検者の深部体温を短時間で測定できる高精度な温度測定装置を実現できる。
【0033】
また、温度測定部と電力供給部は積層配置によって一体的に構成されるので、温度測定部と電力供給部の位置関係は、きわめて至近距離に配置できる。これにより、電力供給部からの電力が小さくても、コイルによって必要十分な電力を温度測定部に伝達することが出来る。また同様に、コイルによって温度測定部からの温度情報を電力供給部に小さな電力で送信し伝達できるので、他の温度測定装置との識別を必要としない情報伝達が可能である。この結果、温度測定部と電力供給部の通信手段の簡素化と省電力化とを実現できる。
【0034】
また、温度測定部と電力供給部は、着脱自在であって、コイルによる非接触通信を行うので、電力供給や情報伝達のための電極を必要とせず、特に温度測定部は防水構造を簡単に実現でき、機能部品も少なく低コストである。このため、被検者の皮膚に直接触れる温度測定部を使い捨て使用にできるので、感染防止などの衛生管理に優れ、使い勝手の良い温度測定装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態の温度測定装置の全体構成を説明する模式的な側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の温度測定装置の温度測定部と電力供給部との密着状態を説明する模式的な側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の温度測定装置の体温測定例を説明する斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の温度測定部と電力供給部の内部構成を説明するブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の本体部の内部構成を説明するブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態の温度測定装置の構成を説明する模式的な側面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の温度測定装置の構成を説明する模式的な側面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の温度測定装置の構成を説明する模式的な側面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態の温度測定装置の構成を説明する模式的な側面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態の温度測定装置の構成を説明する模式的な側面図である。
【図12】本発明の第7の実施形態の温度測定装置の構成を説明する模式的な側面図である。
【図13】本発明の第8の実施形態の温度測定装置の構成を説明する模式的な側面図である。
【図14】従来の電子体温計のプローブの構成を説明する断面図と正面図である。
【図15】従来の深部温度測定装置のプローブの構成を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下図面により本発明の実施の形態を詳述する。
[各実施形態の特徴]
第1の実施形態の特徴は本発明の基本形であり、2つの感温素子を備え、この2つの感温素子の間に第1の熱抵抗体と第2の熱抵抗体とによる熱流路が構成されることである。第2の実施形態の特徴は第1の熱抵抗体のみによって熱流路が構成されることである。第3の実施形態の特徴は温度測定部が薄型であり、第2の熱抵抗体によって熱流路が構成されることである。第4の実施形態の特徴は温度測定部が薄型であり、第3の熱抵抗体によって熱流路が構成されることである。
【0037】
第5の実施形態の特徴は第1の感温素子に接する第3の熱抵抗体のみによって熱流路が構成されることである。第6の実施形態の特徴は磁性体によって温度測定部と電力供給部が密着して熱流路が構成されることである。第7の実施形態の特徴は第1の熱抵抗体の凹部に第3の熱抵抗体の凸部が嵌合して温度測定部と電力供給部が密着し、第3の熱抵抗体によって熱流路が構成されることである。第8の実施形態の特徴は第1の熱抵抗体の凹部に電力供給部側の第1の熱抵抗体の凸部が嵌合して温度測定部と電力供給部が密着し、第1と第3の熱抵抗体によって熱流路が構成されることである。
【実施例1】
【0038】
[第1の実施形態の温度測定装置の構成説明:図1]
第1の実施形態の温度測定装置の構成を図1を用いて説明する。図1において、1は第
1の実施形態の温度測定装置である。温度測定装置1は、温度測定部10と電力供給部30と本体部40とを有している。温度測定部10は、体温を測定する被測定物としての被検者の皮膚6の表面に直接接触して体温を測定する機能を備えており、誘導起電力によって電力供給を受ける第1のコイル11と、被検者の体温を測定する第1の感温素子21と、この第1の感温素子21を覆い所定の熱伝導率を有する第1の熱抵抗体12とを備えている。
【0039】
ここで、第1の熱抵抗体12は、温度測定部10の下面13側にも上面15側にも露出している。また、第1の熱抵抗体12は第1の感温素子21の大部分を覆っているが、第1の感温素子21の下面21aは、第1の熱抵抗体12の下面12aから露出している。これによって、第1の感温素子21の下面21aは、温度測定部10の下面13から露出しているか露出に近い状態で配設される。
【0040】
この構成によって、第1の感温素子21は、温度測定部10の下面13に密着する被検者の皮膚6に直接熱結合するので、皮膚6の表面温度(体温)を精度良く測定できる。また、温度測定部10の下面13には、被検者の皮膚6に温度測定部10を貼り付けて装着するための薄いシート状の粘着材14が配設され、この粘着材14によって温度測定部10は、被検者の皮膚6に貼り付けることが出来る。この粘着材14は、薄く且つ熱抵抗が小さいので、体温測定の妨げにはならない。なお、第1の感温素子21は、実際には後述する制御ICに内蔵されている。
【0041】
また、電力供給部30は、誘導起電力によって温度測定部10に電力を供給するための第2のコイル31と、被検者の体温を測定する第2の感温素子32と、この第2の感温素子32を覆い所定の熱伝導率を有する第2の熱抵抗体33を備えている。ここで、第2の熱抵抗体33の下面33aは電力供給部30の下面34に露出している。
【0042】
この電力供給部30は、ケーブル35によって本体部40と接続している。本体部40は、ケーブル35を介して電力供給部30に電力を供給する電源41と測定した温度情報を表示する表示部42を備えている。なお、電力供給部30と本体部40のケーブル接続の詳細と、温度測定部10、電力供給部30、本体部40の内部構成と動作の説明は後述する。また、本体部40はケーブル35を用いることなく、電力供給部30に直接密着して接続しても良い。
【0043】
また、温度測定部10と電力供給部30は、図示しない手段によって矢印Mで示すように着脱自在である。ここで、温度測定部10と電力供給部30の着脱自在を実現するために、一例として、温度測定部10の上面15の全体、または一部に粘着力の弱い粘着材(図示せず)を貼り付けるか、または、温度測定部10の上面15に粘着処理を施す。これにより、温度測定部10の上面15と、電力供給部30の下面34を密着させることで、温度測定部10と電力供給部30は所定の粘着力で一体化することができる。
【0044】
また、温度測定部10と電力供給部30が密着し一体化した状態で、電力供給部30を温度測定部10から所定の力で引き離すならば、前述の粘着材または粘着処理の粘着力は弱いので、電力供給部30は温度測定部10から分離することが出来る。この結果、温度測定部10と電力供給部30は着脱自在となるのである。
[第1の実施形態の温度測定部と電力供給部の密着状態の説明:図2]
次に、第1の実施形態の温度測定部と電力供給部の密着状態を図2を用いて説明する。なお、図2では本体部40とケーブル35の記載を省略している。図2において、温度測定部10と電力供給部30は、前述した粘着材(図示せず)、または粘着処理によって温度測定部10の上面15と電力供給部30の下面34が密着し、温度測定部10と電力供給部30は積層配置された密着状態となって一体化する。
【0045】
ここで、温度測定部10と電力供給部30が積層配置されて一体化すると、前述したように、温度測定部10の上面15には第1の熱抵抗体12が露出しており、電力供給部30の下面34には、第2の熱抵抗体33が露出しているので、温度測定部10側の第1熱抵抗体12と電力供給部30側の第2の熱抵抗体33が密着して熱抵抗体同士が一体化する。これにより、第1の感温素子21と第2の感温素子32の間には、第1の熱抵抗体12と第2の熱抵抗体33とによる熱流路H1が構成され、第1の感温素子21と第2の感温素子32は熱流路H1を介して対向する配置となるので、第1の感温素子21と第2の感温素子32は熱流路H1によって熱的に結合する。
【0046】
すなわち、第1の感温素子21と第2の感温素子32の間の熱流路H1は、着脱自在の温度測定部10と電力供給部30が密着して一体化することによって構成されるのであり、これが本発明の重要な特徴である。
【0047】
この構成により、温度測定部10が被検者の皮膚6に装着されている場合、温度測定部10の第1の感温素子21は、皮膚6の表面に直接熱結合して表面温度を測定する。この第1の感温素子21が測定する温度をT1と定義する。また、電力供給部30の第2の感温素子32は、皮膚6の表面温度が熱流路H1を伝わった温度を測定する。この第2の感温素子32が測定する温度をT2と定義する。すなわち、熱流路H1を通さないで被検者の皮膚6の体温を直接測定した温度がT1であり、所定の熱抵抗を有する熱流路H1を通して被検者の皮膚6の体温を測定した温度がT2である。
【0048】
そして、熱流路H1を構成する第1の熱抵抗体12と第2の熱抵抗体33の各熱伝導率と、第1の感温素子21と第2の感温素子32の距離d1から熱流路H1の熱抵抗を算出し、測定した2つの温度T1とT2によって公知の熱伝導方程式(例えば、特開昭61−120026号に開示された式)を解くことにより、皮膚6の深部体温を計算により推定することが出来る。なお、第1の熱抵抗体12と第2の熱抵抗体33の熱伝導率は、同一でも異なっていてもよい。
【0049】
また、温度測定部10と電力供給部30が密着状態のときは一体化されるので、温度測定部10に内蔵する第1のコイル11と電力供給部30に内蔵する第2のコイル31の位置関係は、短い距離で近接して配設される。この構成により、電力供給部30の第2のコイル31から温度測定部10の第1のコイル11に電磁波による誘導起電力での電力供給効率が高くなるので、温度測定装置の省電力化を実現できる。
【0050】
また同様に、温度測定部10の第1のコイル11からは、第1の感温素子21で測定した温度T1の情報が電磁波によって電力供給部30の第2のコイル31に伝達されるが、第1のコイル11と第2のコイル31が近接しているので、その伝達効率もたいへん優れている。これにより、温度測定部10から電力供給部に小電力で送信し伝達できるので、他の温度測定装置との識別を必要としない簡素化した情報伝達が可能である。
【0051】
また、前述したように、温度測定部10と電力供給部30は密着するので、温度測定部10と電力供給部30の位置関係がずれることがなく、内蔵する第1のコイル11と第2のコイル31の位置関係もずれることがない。これによって、第1のコイル11と第2のコイル31の電磁波による送受信のレベルは変動することがなく、きわめて安定した電力供給と情報伝達を実現することが出来る。
[第1の実施形態の温度測定装置の体温測定例の説明:図3]
次に、第1の実施形態の体温測定例を図3の斜視図を用いて説明する。図3は前述した図2のように、温度測定装置1の温度測定部10と電力供給部30が積層配置されて一体化し、被検者の体温を測定している状態を示している。
【0052】
図3において、温度測定部10と電力供給部30は、密着状態で一体化しており、温度測定部10は被検者の皮膚6に装着されている。また、電力供給部30の側面にケーブル35の一方の端部が接続し、ケーブル35の他方の端部は、本体部40に接続している。本体部40は、電源41(破線で示す)と、測定した体温を表示する表示部42を備えている。なお、46は外部の機器(図示せず)と無線によって送受信するアンテナであるが、このアンテナ46については後述する。
【0053】
ここで、本体部40からケーブル35を介して電力供給部30に電力が供給されると、電力供給部30の第2のコイル31(図2参照)から温度測定部10の第1のコイル11(図2参照)に電磁波によって電力が供給される。また、温度測定部10は電力の供給を受けると、第1の感温素子21(図2参照)が被検者の体温を測定して、その温度情報を第1のコイル11から電力供給部30の第2のコイル31に伝達し、電力供給部30に伝達された温度情報は、ケーブル35を介して本体部40に伝達される。
【0054】
一方、電力供給部30の第2の感温素子32(図2参照)が測定した温度情報は、ケーブル35を介して直接本体部40に伝達される。そして、本体部40は2つの温度情報に基づいて内部で演算処理を行い、表示部42に演算によって得られた体温が表示される。
【0055】
このように、被検者に装着される温度測定部10と電力供給部30は、図示するように薄型であるので、被検者に違和感を与えずに常時装着できる。また、本体部40は、ケーブル35によって、温度測定部10と電力供給部30から離れた位置に置くことが出来、これによって、被検者から所定の離れた距離で、測定者(図示せず)は測定結果を読み取ることが出来る。なお、ケーブル35の長さは任意であって、測定者が本体部40を操作しやすいように最適の長さにすることが出来る。
【0056】
また、前述したように、温度測定部10と電力供給部30は、着脱自在であるので、体温測定を行わないときは、温度測定部10から電力供給部30を分離して、温度測定部10のみを被検者に装着しておけば、被検者に負担をかけないばかりか、再測定の時には、ただちに、電力供給部30を密着して一体化すれば、すみやかに体温測定を再開することが可能である。
【0057】
また、温度測定部10は、電力供給部30と無接点で電力供給と情報伝達がなされるので、電気的接続のための電極等が不要であり、構造が簡単で低コストで製造できる。このため、被検者の皮膚に直接触れる温度測定部10を使い捨て使用することが可能である。このため、感染防止などの衛生管理に優れて、使い勝手の良い温度測定装置を提供することが出来る。
【0058】
また、温度測定部10から分離した電力供給部30と本体部40は、他の温度測定部10を装着した被検者に使用することが出来るので、温度測定装置1の電力供給部30と本体部40は、未使用状態を減らして装置の稼働率を向上させることができる。
【0059】
このように、本発明の温度測定装置は、電力供給部30と本体部40がケーブル35によって接続されており、温度測定部10と電力供給部30が着脱自在であるので、図1で示すように温度測定部10と電力供給部30が分離した形態と、図2及び図3で示すように、温度測定部10と電力供給部30が密着して一体化した形態の2つの形態を有している。
【0060】
すなわち、温度測定部10は、被検者の皮膚6に常時装着することが出来、被検者の体温を測定する場合は、図2及び図3に示すように、温度測定部10と電力供給部30を一
体化して体温の測定を行う。また、被検者が移動する場合や、体温の測定が不必要である場合などでは、図1に示すように、温度測定部10と電力供給部30とを分離して、被検者は薄い温度測定部10のみを装着した状態にすることができる。
【0061】
このように、体温の測定の有無に応じて温度測定装置が2つの形態を備えることで、測定を開始するごとに、温度測定部10を被検者に装着し直す必要がなく、被検者と測定者にとって、使い勝手の良い温度測定装置を提供できる。また、温度測定部10と電力供給部30が着脱自在であり、温度測定部10を被検者に常時装着できることは、温度測定部10の装着位置や装着状態を一定に保つことが出来るので、測定バラツキの要因を排除して、再現性に優れた体温測定を実現することが可能である。
[第1の実施形態の温度測定部と電力供給部の内部構成の説明:図4]
次に、第1の実施形態の温度測定部と電力供給部の内部構成を図4のブロック図を用いて説明する。図4において、温度測定装置1の温度測定部10は、制御IC20と、前述した第1のコイル11と第1の熱抵抗体12とによって構成される。制御IC20は、半導体集積回路であり、前述の第1の感温素子21と制御部22、及び電源部23を内蔵している。
【0062】
制御IC20に内蔵する第1の感温素子21は半導体温度センサであり、この第1の感温素子21からは、被検者の皮膚6(図2参照)の体温を直接測定した温度T1の情報である温度信号P1が出力する。なお、第1の感温素子21は、制御IC20に内蔵せず、サーミスターなどを制御IC20の外部に配設しても良い。
【0063】
また、制御IC20の制御部22は、第1の感温素子21からの温度信号P1を入力し、その温度情報で変調した高周波の送信信号P2を出力する。制御IC20の電源部23は、第1のコイル11からの高周波の起電力P3を入力し、内部で整流して電源電圧V1を出力して制御部22等に電源として供給する。
【0064】
第1のコイル11は、電力供給部30の第2のコイル31からの電磁波(矢印C)によって誘導起電力を発生し、起電力P3を電源部23に供給する。また、第1のコイル11は、制御部22からの送信信号P2を入力して電磁波(矢印D)を放射する。また、第1の熱抵抗体12は、前述したように、第1の感熱素子21を覆うように配設されており、熱流路H1を構成する。このように、温度測定部10の内部は、第1のアンテナ11と制御IC20、及び第1の熱抵抗体12だけで構成しているので、構造が簡単で薄型軽量を実現できる。
【0065】
電力供給部30は、第2のコイル31と第2の感温素子32と第2の熱抵抗体33とによって構成され、ケーブル35が接続されている。ここで、第2のコイル31は、ケーブル35から供給される高周波の電力信号P4を入力して電磁波(矢印C)を放射し、温度測定部10に電力を供給する。また、第2のコイル31は、温度測定部10の第1のコイル11が発生する電磁波(矢印D)を受信して受信信号P5をケーブル35へ出力する。
【0066】
また、第2の感温素子32は、熱流路H1から伝達された被検者の皮膚6(図2参照)の体温を測定した温度T2の情報である温度信号P7をケーブル35へ出力する。また、第2の熱抵抗体33は、前述したように、第2の感熱素子32を覆うように配設されており、第1の熱抵抗体12と共に熱流路H1を構成する。なお、ケーブル35は前述したように、温度測定装置1の本体部40に接続されるが、本体部40の内部構成の説明は後述する。このように、電力供給部30の内部は、第2のアンテナ31と第2の感温素子32と第2の熱抵抗体33だけで構成するので、構造が簡単で薄型軽量を実現できる。
【0067】
以上のように、温度測定部10と電力供給部30の間には、電気的な接続部材が存在せ
ず、電力供給部30から温度測定部10へワイヤレスで電力供給が出来、また、温度測定部10から電力供給部30へワイヤレスで温度情報を伝達することが出来る。
【0068】
なお、第1のコイル11は、本実施形態においては、電力を供給する電磁波(C)の受信と、送信信号P2の電磁波(矢印D)の放射をひとつのコイルで兼ねているが、この構成に限定されず、受信と放射を2つのコイルに分けて構成しても良い。また同様に、第2のコイル31においても、受信と放射を2つのコイルで構成しても良い。これにより、受信コイルと放射コイルをそれぞれ最適の形状と位置に構成できるので、それぞれの伝達効率が向上する可能性がある。
[第1の実施形態の本体部の内部構成の説明:図5]
次に、第1の実施形態の本体部40の内部構成の一例を図5を用いて説明する。なお、温度測定部10と電力供給部30の構成は前述の図4を参照する。図5において、本体部40は、電源41、表示部42、マイクロコンピュータ43(以下マイコン43と略す)、メモリ44、アンテナ送受信部45、アンテナ46、コイル送受信部47、AD変換部48等によって構成する。電源41は二次電池が好ましいが一般的な乾電池でも良い。電源41からは、所定の電源電圧V2が出力して、マイコン43に入力しマイコン43を駆動する。また、図示しないが電源電圧V2は、他の回路ブロックにも供給される。
【0069】
マイコン43は、本体部40の全体を制御する機能を備えており、コイル制御信号P8、温度データP9、データバスP11、表示信号P12、通信信号P13などの各信号を入出力し、各回路ブロックを制御する。コイル送受信部47はコイル制御信号P8に接続して、前述の電力供給部30にケーブル35を介して電力信号P4を出力し、また、電力供給部30から受信信号P5を入力する。
【0070】
また、AD変換部48は、ケーブル35から温度信号P7を入力して、AD変換を行い、温度データP9をマイコン43へ出力する。なお、温度データP9は、前述の第2の感温素子32が測定した温度T2のデジタルデータである。なお、AD変換部48はマイコン43に内蔵しても良いし、または、電力供給部30が第2の感温素子32と共にAD変換部を備えたICを内蔵しても良い。
【0071】
また、メモリ44は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、データバスP11に接続して、測定した温度T1、T2、及び算出した深部体温情報等をデジタルデータとして記憶する。
【0072】
また、表示部42は、算出した深部体温情報等をデジタル表示やグラフ表示で表示する機能を備えている。また、アンテナ送受信部45は、算出した深部体温情報等を外部の機器(図示せず)にアンテナ46で無線によって送信する機能を備えている。また、アンテナ送受信部45は、外部の機器から制御信号を受信する機能も備えることが出来る。
【0073】
なお、メモリ44、表示部42、アンテナ送受信部45は、必ずしも必要ではなく、温度測定装置の仕様に応じて構成を変更して良い。たとえば、外部の機器と通信する必要がなければ、アンテナ送受信部45は不要である。また、測定し算出した温度情報を外部の機器に常に送信して、外部の機器で温度情報を確認するのであれば、本体部40の表示部42は無くても良い。
[第1の実施形態の温度測定装置の動作説明:図4、図5、図6]
次に、第1の実施形態の温度測定装置の動作の概略を図6のフローチャートを用いて説明する。なお、温度測定装置の内部構成は、前述の図4と図5を参照する。また、動作説明の前提として、図3に示すように、温度測定部10が被検者の皮膚6に装着され、温度測定部10と電力供給部30が密着状態で一体化し、本体部40のマイコン43が電源41からの電源供給を受けて動作中であり、所定の時間間隔で測定動作を実行しているとす
る。
【0074】
図6において、温度測定装置1の本体部40のマイコン43は、内部の時間カウンタ(図示せず)によって、被検者の体温の測定開始時間が来たかどうかを判定する(ステップST1)。ここで、測定時間でない場合はステップST1を繰り返し、測定時間が来たのであれば、次のステップST2へ進む。なお、測定時間の間隔は任意に決めて良く、たとえば、10分毎、1時間毎などに設定することができる。
【0075】
次に、ステップST1で肯定判定(測定開始)がなされたならば、マイコン43は、コイル送受信部47から電力信号P4を出力し、電力供給部30の第2のコイル31に電力信号P4が供給されると、第2のコイル31から電磁波(矢印C)が放射する。この電磁波が温度測定部10の第1のコイル11に伝達すると誘導起電力が発生し、第1のコイル11から高周波の起電力P3が出力する。制御IC20の電源部23は起電力P3を入力し、内部で整流して直流の電源電圧V1を出力する。この一連の動作によって、電力供給部30からワイヤレスで温度測定部10に電力が供給される(ステップST2)。
【0076】
次に温度測定部10の制御IC20は、電力供給によって動作を開始して、応答信号を送信信号P2に乗せて第1のコイル11に伝達する。第1のコイル11は、送信信号P2を入力して電磁波(矢印D)を放射し、電力供給部30の第2のコイル31に伝達する。本体部40のマイコン43は、電力供給部30からの受信信号P5をコイル送受信部47を介してモニタし、温度測定部10からの応答信号の到来を判定する(ステップST3)。ここで、応答信号を確認すれば次のステップST4に進み、応答信号が来なければ、来るまでウエイトする。
【0077】
次に、マイコン43が応答信号を確認したならば、温度測定部10の制御IC20は、第1の感温素子21による温度測定を開始し、第1の感温素子21は被検者の皮膚6の体温を直接測定して温度信号P1を出力する。また、電力供給部30の第2の感温素子32は、熱流路H1を伝わった被検者の皮膚6の体温を測定し、温度信号P7を出力する(ステップST4)。
【0078】
次に、温度測定部10の制御IC20は、温度信号P1を入力して内部でデジタルデータに変換し、変換したデータを高周波の送信信号P2に乗せて第1のコイル11に出力し、第1のコイル11は送信信号P2を入力して電磁波(矢印D)を放射する。一方、電力供給部30は、第2のコイル31によって温度測定部10からの電磁波(矢印D)を受信し、温度情報を含んだ受信信号P5をケーブル35を介して本体部40に伝達する(ステップST5)。
【0079】
次に本体部40のマイコン43は、受信した受信信号P5をコイル送受信部47を介して入力し、受信信号P5が正常であるかどうかを判定し、正常値であれば、その温度情報(第1の感温素子21が被検者の皮膚6の体温を直接測定して得た温度T1)をメモリ44に記憶して次のステップST7へ進み、受信エラーなどで情報が正常でなければ、ステップST4〜ST6を繰り返して、再度、温度測定と受信動作を実行する(ステップST6)。
【0080】
次に本体部40のマイコン43は、温度測定部10からの受信が正常であれば、AD変換部48を制御し、電力供給部30の第2の感温素子32からの温度信号P7をデジタルデータに変換して、温度データP9として入力し、メモリ44に記憶する。ここで記憶される温度情報は、第1の熱抵抗体12と第2の熱抵抗体33が結合して一体化したことによって構成される熱流路H1を伝わった被検者の皮膚6の体温であって、前述した温度T2である。
【0081】
次に本体部40のマイコン43は、熱流路H1で結合している2つの感温素子によって順次得られた温度T1とT2をメモリ44から読み出し、前述したように、公知の熱伝導方程式を解くことによって、被検者の皮膚6の深部体温を算出する(ステップST8)。
【0082】
次に本体部40のマイコン43は、算出された深部体温を表示信号P12として表示部42に伝達し、表示部42は算出された深部体温を表示する(ステップST9)。なお、温度測定装置1が、外部機器(図示せず)に温度情報を送信する仕様であれば、算出された深部体温を通信信号P13としてアンテナ送受信部45に伝達し、アンテナ送受信部45は、アンテナ46によって外部の機器と送受信を行い、取得した温度情報を順次送信する。また、マイコン43は、外部の機器からの制御信号をアンテナ送受信部45によって受信し、外部からの制御信号に基づいて、測定の開始や終了、メモリ44内のデータ一括送信等の機能を備えることが出来る。
【0083】
ここで、本体部40からの温度情報を受信する外部の機器(図示せず)に、大容量のメモリやグラフ表示のモニタを備えれば、被検者の体温を長期間記録出来ると共に、リアルタイムで体温の変化等を確認できる。これにより、本発明の温度測定装置によって深部体温の24時間の常時測定を行い、被検者から離れた場所に設置した外部の機器で、被検者(患者)の病状の常時観察や病状の急変などに即対応することが可能となる。
【実施例2】
【0084】
次に、第2の実施形態の温度測定装置の構成について図7を用いて説明する。なお、第2の実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一要素には同一番号を付して、重複する説明は一部省略する。
【0085】
図7において、第2の実施形態の温度測定装置は、第1の実施形態と同様に、温度測定部10と電力供給部30と本体部40とを有している。なお、本体部40とケーブル35は第1の実施形態(図1参照)と同一であるので、図示を省略している。また、温度測定部10については、第1の実施形態と構成が同一であるので、説明は省略する。
【0086】
第2の実施形態の電力供給部30が、第1の実施形態と異なる点は、第2の感温素子32と第2の熱抵抗体33との位置関係である。すなわち、第2の実施形態の第2の感温素子32は、第2の熱抵抗体33の中に覆われているが、第2の感温素子32が温度測定部10の第1の感温素子21に対向する面、すなわち、図面上の第2の感温素子32の下面32aが、第2の熱抵抗体33の下面33aから露出するように配設されている。
【0087】
この構成により、第2の実施形態の温度測定部10と電力供給部30が密着して一体化した場合、対向する第1の感温素子21と第2の感温素子32の間には、第1の熱抵抗体12のみが存在するので、第1の感温素子21と第2の感温素子32を結ぶ熱流路H2は、第1の熱抵抗体12のみによって構成されることになる。
【0088】
この結果、熱流路H2は、第1の熱抵抗体12の断熱特性(熱伝導率)だけに依存するので、熱流路H2の特性が安定し、算出される深部体温の精度を向上させることが可能となる。また、第1の熱抵抗体12と第2の熱抵抗体33の熱伝導率を同等にするならば、温度測定部10と電力供給部30を密着し一体化することで、第1の熱抵抗体12と第2の熱抵抗体33が特性的にも一体化されるので、熱流路H2の特性がより安定して、温度測定装置の精度と安定性を向上させることが出来る。
【0089】
なお、第2の実施形態による温度測定の動作は、前述の第1の実施形態で説明した動作(図6参照)と基本的に同じであるので説明は省略する。また、後述する第3から第8の
実施形態の動作についても、第1の実施形態の動作と同様であるので説明は省略する。また、第2の熱抵抗体33は、図7に示す形状には限られず、例えば、第2の感温素子32の上面も露出するような形状となっていてもよい。また、第2の熱抵抗体33を設けない構成としてもよい。
【実施例3】
【0090】
次に、第3の実施形態の温度測定装置の構成について図8を用いて説明する。なお、第3の実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一要素には同一番号を付して、重複する説明は一部省略する。
【0091】
図8において、第3の実施形態の温度測定装置は、第1の実施形態と同様に、温度測定部10と電力供給部30と本体部40とを有している。なお、本体部40とケーブル35は第1の実施形態(図1参照)と同一であるので、図示を省略している。また、電力供給部30については、第1の実施形態と構成が同一であるので、説明は省略する。
【0092】
第3の実施形態の温度測定部10が、第1の実施形態と異なる点は、第3の実施形態の温度測定部10の厚みが薄いことである。すなわち、第3の実施形態の温度測定部10の厚みは、内蔵する第1の感温素子21の厚み(実際には、第1の感温素子21を内蔵する制御IC20の厚み:図4参照)にほぼ等しい構成である。これにより、温度測定部10の第1の感温素子21の下面21aは、第1の熱抵抗体12の下面12aから露出し、また、第1の感温素子21が電力供給部30の第2の感温素子32に対向する面、すなわち、第1の感温素子21の上面21bは、第1の熱抵抗体12の上面12bから露出している。従って、第1の感温素子21の上下の2面は、温度測定部10の上面15と下面13に近接して構成される。
【0093】
この構成によって、第3の実施形態の温度測定部10と電力供給部30が密着して一体化した場合、第1の感温素子21と第2の感温素子32の間には、第2の熱抵抗体33のみが存在するので、第1の感温素子21と第2の感温素子32を結ぶ熱流路H3は、第2の熱抵抗体33のみによって構成されることになる。
【0094】
この結果、熱流路H3は第2の熱抵抗体33の断熱特性(熱伝導率)だけに依存するので、熱流路H3の特性が安定し、算出される深部体温の精度を向上させることが可能となる。また、温度測定部10の厚みが薄いので、温度測定部10を被検者に装着する上で、被検者に違和感を与えることが少なく、扱いやすい温度測定装置を実現できる。また、温度測定部10の厚みが薄いことで、材料費などを削減でき、使い捨て使用を前提としている温度測定部10のコストを更に下げて、より使いやすい温度測定装置を提供できる。
【実施例4】
【0095】
次に、第4の実施形態の温度測定装置の構成について図9を用いて説明する。なお、第4の実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一要素には同一番号を付して、重複する説明は一部省略する。
【0096】
図9において、第4の実施形態の温度測定装置は、第1の実施形態と同様に、温度測定部10と電力供給部30と本体部40とを有している。なお、本体部40とケーブル35は第1の実施形態(図1参照)と同一であるので、図示を省略している。また、温度測定部10は、前述の第3の実施形態(図8参照)と構成が同一であるので、説明は省略する。
【0097】
第4の実施形態の電力供給部30が、第1の実施形態と異なる点は、電力供給部30の第2の感温素子32が温度測定部10の第1の感温素子21に対向する面、すなわち、第
2の感温素子32の下面32aに接して第3の熱抵抗体36が配設されている点である。また、この第3の熱抵抗体36は、第2の熱抵抗体33に周囲を覆われており、第3の熱抵抗体36の下面36aは、第2の熱抵抗体33の下面33aから露出している。
【0098】
この構成によって、第4の実施形態の温度測定部10と電力供給部30が密着して一体化した場合、第1の感温素子21と第2の感温素子32の間には、第3の熱抵抗体36のみが存在するので、第1の感温素子21と第2の感温素子32を結ぶ熱流路H4は、第3の熱抵抗体36のみによって構成されることになる。
【0099】
この結果、熱流路H4は第3の熱抵抗体36の断熱特性(熱抵抗率)だけに依存するので、熱流路H4の特性が安定し、算出される深部体温の精度を向上させることが可能となる。また、第3の熱抵抗体36の熱伝導率を第1の熱抵抗体12と第2の熱抵抗体33の熱伝導率より高くすることで、熱流路H4での水平方向への熱流の拡散を防ぎ、温度の測定精度を向上させることが出来る。また、温度測定部10の厚みが薄いので、第3の実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
【実施例5】
【0100】
次に、第5の実施形態の温度測定装置の構成について図10を用いて説明する。なお、第5の実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一要素には同一番号を付して、重複する説明は一部省略する。
【0101】
図10において、第5の実施形態の温度測定装置は、第1の実施形態と同様に、温度測定部10と電力供給部30と本体部40とを有している。なお、本体部40とケーブル35は第1の実施形態(図1参照)と構成が同一であるので、図示を省略している。
【0102】
第5の実施形態の温度測定部10が第1の実施形態と異なる点は、第1の感温素子21が電力供給部30の第2の感温素子32に対向する面、すなわち、第1の感温素子21の上面21bに接して第3の熱抵抗体36が配設していることである。また、この第3の熱抵抗体36は、第1の熱抵抗体12に周囲を覆われており、第3の熱抵抗体36の上面36bは、第1の熱抵抗体12の上面12bから露出している。
【0103】
また、第5の実施形態の電力供給部30が第1の実施形態と異なる点は、第2の実施形態と同様であり、第2の感温素子32は、第2の熱抵抗体33の中に覆われているが、第2の感温素子32の下面32aが、第2の熱抵抗体33の下面33aから露出するように配設されている。
【0104】
この構成によって、第5の実施形態の温度測定部10と電力供給部30が密着して一体化した場合、第1の感温素子21と第2の感温素子32の間には、温度測定部10に配設された第3の熱抵抗体36のみが存在するので、第1の感温素子21と第2の感温素子32を結ぶ熱流路H5は、この第3の熱抵抗体36のみによって構成されることになる。
【0105】
この結果、熱流路H5は第3の熱抵抗体36の断熱特性(熱伝導率)だけに依存するので、熱流路H5の特性が安定し、算出される深部体温の精度を向上させることが可能となる。また、第3の熱抵抗体36の熱伝導率を第1の熱抵抗体12と第2の熱抵抗体33の熱伝導率より高くすることで、熱流路H5での水平方向への熱流の拡散を防ぎ、温度の測定精度を向上させることが出来る。
【0106】
なお、第2の熱抵抗体33は、図10に示す形状には限られず、例えば、第2の感温素子32の上面も露出するような形状となっていてもよい。また、第2の熱抵抗体33を設けない構成としてもよい。
【実施例6】
【0107】
次に、第6の実施形態の温度測定装置の構成について図11を用いて説明する。なお、第6の実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一要素には同一番号を付して、重複する説明は一部省略する。
【0108】
図11において、第6の実施形態の温度測定装置は、第1の実施形態と同様に、温度測定部10と電力供給部30と本体部40とを有している。なお、本体部40とケーブル35は第1の実施形態(図1参照)と構成が同一であるので、図示を省略している。
【0109】
第6の実施形態の温度測定部10が第1の実施形態と異なる点は、第1の感温素子21が電力供給部30の第2の感温素子32に対向する面、すなわち、第1の感温素子21の上面21bに接して第1の磁性体17が配設していることである。また、この第1の磁性体17は、第1の熱抵抗体12に周囲を覆われており、第1の磁性体17の上面17bは、第1の熱抵抗体12の上面12b、及び温度測定部10の上面15から露出している。
【0110】
また、第6の実施形態の電力供給部30が、第1の実施形態と異なる点は、第2の感温素子32が第1の感温素子21に対向する面、すなわち、第2の感温素子32の下面32aに接して第3の熱抵抗体36と第2の磁性体37が積層配置していることである。また、この第3の熱抵抗体36と第2の磁性体37は、第2の熱抵抗体33に周囲を覆われており、第2の磁性体37の下面37aは、第2の熱抵抗体33の下面33a、及び電力供給部30の下面34から露出している。
【0111】
この構成によって、第6の実施形態の温度測定部10と電力供給部30とを密着させるとき、温度測定部10側の第1の磁性体17と電力供給部30側の第2の磁性体37のそれぞれの磁力によって温度測定部10と電力供給部30が引きつけ合う力が発生するので、温度測定部10と電力供給部30は確実に密着して一体化することが出来る。
【0112】
なお、第1の磁性体17と第2の磁性体37の磁力によって、温度測定部10と電力供給部30が十分に密着できるならば、温度測定部10と電力供給部30を密着させる前述した粘着材や粘着処理は不要である。このように、第1の磁性体17と第2の磁性体37の磁力によって温度測定部10と電力供給部30は着脱できるが、磁力による着脱は繰り返し行っても密着力が低下しない利点がある。
【0113】
また、第1の磁性体17と第2の磁性体37の厚みを薄くして、且つ、熱抵抗が小さい材料を使用することで、温度測定部10と電力供給部30が密着して一体化した場合、第1の感温素子21と第2の感温素子32の間の熱抵抗は、電力供給部30に配設された第3の熱抵抗体36のみとなるので、第1の感温素子21と第2の感温素子32を結ぶ熱流路H6は、この第3の熱抵抗体36のみによって構成されることになる。
【0114】
この結果、温度測定部10と電力供給部30が磁力によって密着するので、位置ずれが起きにくく、熱流路H6の形成が確実になり、また、容易に熱流路H6が構成できる。また、熱流路H6は第3の熱抵抗体36の断熱特性(熱伝導率)だけに依存するので、熱流路H6の特性が安定し、算出される深部体温の精度を向上させることが可能となる。また、第3の熱抵抗体36の熱伝導率を第1の熱抵抗体12と第2の熱抵抗体33の熱伝導率より高くすることで、熱流路H6での水平方向への熱流の拡散を防ぎ、測定精度を向上させることが出来る。
【実施例7】
【0115】
次に、第7の実施形態の温度測定装置の構成について図12を用いて説明する。なお、
第7の実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一要素には同一番号を付して、重複する説明は一部省略する。
【0116】
図12において、第7の実施形態の温度測定装置は、第1の実施形態と同様に、温度測定部10と電力供給部30と本体部40とを有している。なお、本体部40とケーブル35は第1の実施形態(図1参照)と構成が同一であるので、図示を省略している。
【0117】
第7の実施形態の温度測定部10が第1の実施形態と異なる点は、第1の感温素子21が電力供給部30の第2の感温素子32に対向する面、すなわち、第1の感温素子21の上面21bに、第1の感温素子21を覆う第1の熱抵抗体12による凹部18が形成されていることである。そして、この凹部18は温度測定部10の上面15から露出している。
【0118】
また、第7の実施形態の電力供給部30が第1の実施形態と異なる点は、第2の感温素子32が第1の感温素子21に対向する面、すなわち、第2の感温素子32の下面32aに接して第3の熱抵抗体36が配設していることである。また、この第3の熱抵抗体36は、第2の熱抵抗体33に周囲を覆われていると共に、第2の熱抵抗体33から突き出した凸部36cを備えている。そして、温度測定部10側の凹部18に電力供給部30側の凸部36cが嵌合するように凹部18と凸部36cの形状(大きさ、深さ)が決められている。
【0119】
この構成によって、第7の実施形態の温度測定部10と電力供給部30とを密着させるとき、温度測定部10側の凹部18に、電力供給部30側の凸部36cが填め込まれて、温度測定部10と電力供給部30を確実に密着して一体化することが出来る。すなわち、凹部18と凸部36cは、温度測定部10と電力供給部30とを密着させるときの位置決めの機能を有している。
【0120】
また、温度測定部10と電力供給部30が密着して一体化した場合、第1の感温素子21と第2の感温素子32間には、電力供給部30の第3の熱抵抗体36のみが存在するので、第1の感温素子21と第2の感温素子32を結ぶ熱流路H7は、この第3の熱抵抗体36のみによって構成されることになる。
【0121】
この結果、温度測定部10と電力供給部30が凹部18と凸部36cの嵌合によって位置決めされて確実に密着するので、位置ずれが生じることがなく、熱流路H6の形成が確実になり、また、容易に熱流路H6が構成できる。また、熱流路H7は第3の熱抵抗体36の断熱特性(熱伝導率)だけに依存するので、熱流路H7の特性が安定し、算出される深部体温の精度を向上させることが可能となる。また、第3の熱抵抗体36の熱伝導率を第1の熱抵抗体12と第2の熱抵抗体33の熱伝導率より高くすることで、熱流路H7での水平方向への熱流の拡散を防ぎ、温度の測定精度を向上させることが出来る。
【実施例8】
【0122】
次に、第8の実施形態の温度測定装置の構成について図13を用いて説明する。なお、第8の実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一要素には同一番号を付して、重複する説明は一部省略する。
【0123】
図13において、第8の実施形態の温度測定装置は、第1の実施形態と同様に、温度測定部10と電力供給部30と本体部40とを有している。なお、本体部40とケーブル35は第1の実施形態(図1参照)と構成が同一であるので、図示を省略している。
【0124】
第8の実施形態の温度測定部10の構成は、前述の第7の実施形態の温度測定部10と
同一であるので説明は省略する。すなわち、第8の実施形態の温度測定部10は、第1の感温素子21の上面21bに第1の熱抵抗体12による凹部18が形成されている。
【0125】
また、第8の実施形態の電力供給部30が第1の実施形態と異なる点は、第2の感温素子32が第1の感温素子21に対向する面、すなわち、第2の感温素子32の下面32aに接して第3の熱抵抗体36と熱伝導体38(例えば金属)が積層配置していることである。また、この第3の熱抵抗体36と熱伝導体38は、第2の熱抵抗体33に周囲を覆われていると共に、熱伝導体38は第2の熱抵抗体33から突き出した凸部38aを備えている。そして、温度測定部10側の凹部18に電力供給部30側の凸部38aが嵌合するように凹部18と凸部38aとを形成する。ここで、深部体温の算出には第3の熱抵抗体36が利用され、熱伝導体38は利用されない。熱伝導体38は、温度測定部10と電力供給部30を位置合わせするものであって(後述)、熱抵抗はは0とみなすことができる。
【0126】
この構成によって、第8の実施形態の温度測定部10と電力供給部30とを密着させるとき、温度測定部10側の凹部18に、電力供給部30側の凸部38aが填め込まれて、温度測定部10と電力供給部30を確実に密着して一体化することが出来る。すなわち、凹部18と凸部38aは、温度測定部10と電力供給部30とを密着させるときの位置決めの機能を有している。また、温度測定部10と電力供給部30が密着して一体化した場合の第1の感温素子21と第2の感温素子32を結ぶ熱流路H8は、第3の熱抵抗体36と熱伝導体38によって構成される。
【0127】
この結果、温度測定部10と電力供給部30が密着すると、温度測定部10側の第1の熱抵抗体12の凹部18と電力供給部30側の熱伝導体38の凸部38aが嵌合によって位置決めされて確実に密着するので、位置ずれが生じることがなく、熱流路H8の形成が確実になり、また、容易に熱流路H8が構成できる。また、温度測定部10側の第1の熱抵抗体12と電力供給部30側の第1の熱抵抗体38の熱伝導率が等しく、特性が一致しているので、温度測定部10と電力供給部30との熱的な結合がより確実に構成される。
【0128】
また、第3の熱抵抗体36の熱伝導率を第1の熱抵抗体12、38及び第2の熱抵抗体33の熱伝導率より高くすることで、熱流路H8での水平方向への熱流の拡散を防ぎ、温度の測定精度を向上させることが出来る。
【0129】
なお、本発明の実施形態で示したブロック図やフローチャート等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更してよい。また、第2〜第8の実施形態において、温度測定部10と電力供給部30の密着状態は、第1の実施形態の密着状態(図2参照)と同様であるので、図示は省略している。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の温度測定装置は、手術時における体温管理や血流状態の監視などで重要な深部体温を常時測定し記録できるので、被検者に対して常に適切な医療を提供する高精度高機能体温計として、さまざまな医療機関で幅広く利用することが出来る。
【符号の説明】
【0131】
1 温度測定装置
6 皮膚
10 温度測定部
11 第1のコイル
12、38 第1の熱抵抗体
13、34 下面
14 粘着材
15 上面
17 第1の磁性体
18 凹部
20 制御IC
21 第1の感温素子
22 制御部
23 電源部
30 電力供給部
31 第2のコイル
32 第2の感温素子
33 第2の熱抵抗体
35 ケーブル
36 第3の熱抵抗体
36c、38a 凸部
37 第2の磁性体
40 本体部
41 電源
42 表示部
43 マイクロコンピュータ(マイコン)
44 メモリ
45 アンテナ送受信部
46 アンテナ
47 コイル送受信部
48 AD変換部
H1〜H8 熱流路
P1、P7 温度信号
P2 送信信号
P3 起電力
P4 電力信号
P5 受信信号
P8 コイル制御信号
P9 温度データ
P11 データバス
P12 表示信号
P13 通信信号
V1、V2 電源電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の感温素子と第1のコイルを備えて被測定物に装着する温度測定部と、この温度測定部に電力を供給する第2のコイルを備えた電力供給部とを有する温度測定装置において、
前記電力供給部は第2の感温素子を備え、前記温度測定部と前記電力供給部とを密着して積層配置し、且つ、前記第1の感温素子と前記第2の感温素子とを対向して配置したことを特徴とする温度測定装置。
【請求項2】
前記温度測定部と前記電力供給部とが着脱自在であることを特徴とする請求項1に記載の温度測定装置。
【請求項3】
前記電力供給部は、電源を備えた本体と接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の温度測定装置。
【請求項4】
前記第1の感温素子は第1の熱抵抗体に少なくとも一部が覆われており、前記第2の感温素子は第2の熱抵抗体に少なくとも一部が覆われていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の温度測定装置。
【請求項5】
前記温度測定部と前記電力供給部が密着状態である場合、
前記第1の感温素子と前記第2の感温素子の間には、前記第1の熱抵抗体と前記第2の熱抵抗体とによる熱流路が構成されることを特徴とする請求項4に記載の温度測定装置。
【請求項6】
前記第2の感温素子が前記第1の感温素子に対向する面は前記第2の熱抵抗体から露出しており、
前記温度測定部と前記電力供給部が密着状態である場合、
前記第1の感温素子と前記第2の感温素子の間には、前記第1の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする請求項4記載の温度測定装置。
【請求項7】
前記第1の感温素子が前記第2の感温素子に対向する面は前記第1の熱抵抗体から露出しており、
前記温度測定部と前記電力供給部が密着状態である場合、
前記第1の感温素子と前記第2の感温素子の間には、前記第2の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする請求項4記載の温度測定装置。
【請求項8】
前記第1の感温素子が前記第2の感温素子に対向する面は前記第1の熱抵抗体から露出しており、
前記第2の感温素子が前記第1の感温素子に対向する面は第3の熱抵抗体に接しており、
前記温度測定部と前記電力供給部が密着状態である場合、
前記第1の感温素子と前記第2の感温素子の間には、前記第3の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする請求項4記載の温度測定装置。
【請求項9】
前記第1の感温素子が前記第2の感温素子に対向する面は第3の熱抵抗体に接しており、
前記第2の感温素子が前記第1の感温素子に対向する面は前記第2の熱抵抗体から露出しており、
前記温度測定部と前記電力供給部が密着状態である場合、
前記第1の感温素子と前記第2の感温素子の間には、前記第3の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする請求項4記載の温度測定装置。
【請求項10】
前記第1の感温素子が前記第2の感温素子に対向する面は第1の磁性体に接しており、
前記第2の感温素子が前記第1の感温素子に対向する面は第3の熱抵抗体と第2の磁性体が積層配置しており、
前記温度測定部と前記電力供給部が密着状態である場合、
前記第1の感温素子と前記第2の感温素子の間には、前記第3の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする請求項4記載の温度測定装置。
【請求項11】
前記第1の感温素子が前記第2の感温素子に対向する面は前記第1の熱抵抗体による凹部が形成され、
前記第2の感温素子が前記第1の感温素子に対向する面は前記第2の熱抵抗体から突き出した凸部を備える第3の熱抵抗体に接しており、
前記温度測定部と前記電力供給部が密着状態である場合、
前記前記第1の熱抵抗体の凹部と前記第3の熱抵抗体の凸部が嵌合し、前記第1の感温素子と前記第2の感温素子の間には、前記第3の熱抵抗体による熱流路が構成されることを特徴とする請求項4記載の温度測定装置。
【請求項12】
前記第1の感温素子が前記第2の感温素子に対向する面は前記第1の熱抵抗体による凹部が形成され、
前記第2の感温素子が前記第1の感温素子に対向する面は第3の熱抵抗体と第1の熱抵抗体が積層配置すると共に、前記積層配置された第1の熱抵抗体は前記第2の熱抵抗体から突き出した凸部を備えており、
前記温度測定部と前記電力供給部が密着状態である場合、
前記前記第1の熱抵抗体の凹部と前記第1の熱抵抗体の凸部が嵌合し、前記第1の感温素子と前記第2の感温素子の間には、前記第3の熱抵抗体と前記凸部を備える第1の熱抵抗体とによる熱流路が構成されることを特徴とする請求項4記載の温度測定装置。
【請求項13】
前記第1の感温素子は前記被測定物の表面に直接熱結合し、前記第2の感温素子は前記被測定物に前記熱流路を介して熱結合することを特徴とする請求項5から12のいずれか1項に記載の温度測定装置。
【請求項14】
前記第3の熱抵抗体の熱伝導率は、前記第1の熱抵抗体と前記第2の熱抵抗体のいずれの熱伝導率より大きいことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の温度測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−98259(P2012−98259A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248623(P2010−248623)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】