説明

温度計測装置

【課題】計測用ノズル内に堆積したダストに影響されることなく、長期間にわたって安定して炉内温度を計測可能にする。
【解決手段】ごみ焼却炉やガス化溶融炉などから排出される燃焼排ガスbの温度を計測する温度計測装置である。前記燃焼排ガスbが通過する燃焼排ガス通路21に温度計測用ノズル31を設けると共に、該温度計測用ノズル31の後方に放射温度計32を設ける。そして、前記放射温度計32を斜め上方に傾けて前記放射温度計32の温度計測視野Eが前記温度計測用ノズル31の先端開口部の中心Oよりも上方に位置するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ焼却炉やガス化溶融炉などから排出される燃焼排ガスの温度を長期にわたって高精度で計測する温度計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガス化溶融炉では、可燃物を含む廃棄物を間接加熱して熱分解し、熱分解により生成された熱分解ガスを含む熱分解生成物を燃焼し、その燃焼排ガスを先ず高温加熱器に導入し、生ごみ熱分解用の熱源として高温空気を生成することで熱エネルギーを回収し、その後、廃熱ボイラに導いて蒸気を発生させ、その蒸気によって発電して熱エネルギーを回収する。更に、熱分解生成物の燃焼に際して、熱分解生成物に含まれている灰分などの燃焼残渣を高温(例えば、1200℃以上)で燃焼させてスラグ化し、建造物や道路の骨材などに再利用可能にしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この発明では、溶融炉から排出される燃焼排ガスの温度計測について記載していないが、これらの温度を正確に把握することはガス化溶融炉の維持管理上重要である。
【0004】
例えば、燃焼排ガスが所定の温度以上になると、高温空気加熱器用の材料の浸食が激しくなるため、燃焼排ガスの温度を常に好適に維持しなければならない。
【0005】
従来、高温炉の内部温度を測定するには、炉壁に組み込む熱電対式の温度計を利用する方法が広く利用されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
この温度測定装置によれば、炉底耐火物と炉体鉄皮との熱膨張の差により熱電対先端と炉底耐火物との間に隙間を生じても、熱電対先端と炉底耐火物との接触が保持されるので、炉底耐火物の温度を精度よく測定できるという利点を有している。
【0007】
しかし、熱電対などの接触型の温度計測装置を利用する場合、炉内の腐食性ガス雰囲気に接触させないため、セラミックス等の保護管を隔てて設置しなければならず、実際には、炉内温度ではなく、保護管の温度を計測するのみで正確な炉内温度を計測することが不可能であった。また、熱電対は、耐久性、耐熱性が悪く、更に、使用する熱電対が長くなるため、断線などによる不具合が生じ易く、メンテナンス性が悪化するという問題があった。
【0008】
そこで、非接触型の放射温度計を利用する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
この発明では、溶融スラグの湯面に対して天壁に貫通されたパージ管にパージガスを流送しながら、高透過率の2種類の波長の赤外線を前記パージ管を介して取り出して2色放射温度計により計測する方法を提案している。
【0010】
しかし、この発明では、測定対象が溶融スラグという凝縮相であり、燃焼排ガスという、ダストと気体から成る混合物は対象から外れており、それらの影響を受けないよう配慮されている、という根本的な問題があった。
【特許文献1】特開昭64−49816号公報
【特許文献2】実開平7−41435号公報
【特許文献3】特開平8−247850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、炉に、その炉壁を貫通する計測用ノズルを設けると共に、その延長線上に放射温度計を設置することも考えられるが、計測用ノズル内に煤塵などのダストが堆積して放射温度計の視野を塞ぐことから、正常な温度計測ができなくなることがあった。
【0012】
また、計測用ノズル内のダスト堆積を回避する方法として、計測用ノズル内にパージエアを導入する方法もあるが、パージエア導入量の最適値の選択が難しく、導入量が少量である場合には、堆積防止効果が少なく、逆に、導入量が多すぎた場合には、排ガスの温度低下によりダスト成分の析出を促進する結果となり、逆に堆積量が増加してしまうという問題があった。
【0013】
このように、ダスト堆積防止策には、限界があることから、計測用ノズル内にダストの堆積があったとしても、それに影響されることなく、長期間にわたって安定して炉内の温度を計測できる温度計測装置が必要である。
【0014】
本発明は、このような要望に応えるためになされたものであり、その目的とするところは、計測用ノズル内にダストが堆積したとしても、それに影響されることなく、長期間にわたって安定して炉内の温度を計測できる温度計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
係る目的を達成するため、本発明は、次のように構成されている。
請求項1に記載の発明に係る温度計測装置は、ごみ焼却炉やガス化溶融炉などから排出される燃焼排ガスの温度を計測する温度計測装置において、前記燃焼排ガスが通過する燃焼排ガス通路に温度計測用ノズルを設けると共に、該温度計測用ノズルの後方に放射温度計を設け、かつ、前記放射温度計を斜め上方に傾けて前記放射温度計の温度計測視野Eが前記温度計測用ノズルの先端開口部の中心Oよりも上方に位置するようにしたことを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の発明に係る温度計測装置は、前記放射温度計を、前記温度計測用ノズルに立設した支柱と、該支柱に設けた水平アームと、該水平アームの後端部に設けた支持具により形成した支持手段によって支持すると共に、前記支持具に前記放射温度計を俯仰自在に設けたことを特徴とする請求項1記載の温度計測装置である。
【0017】
請求項3に記載の発明に係る温度計測装置は、前記放射温度計に直視ファインダーを設け、該直視ファインダーを覗きながら前記放射温度計を斜め上方に傾けてファインダー内の温度計測視野マークBが前記温度計測用ノズルの先端開口部の中心Oより上方の領域Cに位置するように放射温度計の仰角θを調整することを特徴とする請求項1又は2記載の温度計測装置である。
【0018】
請求項4に記載の発明に係る温度計測装置は、前記温度計測用ノズルに、該温度計測用ノズル内に堆積したダストを吹き飛ばすためのダスト除去用ノズルを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の温度計測装置である。
【0019】
請求項5に記載の発明に係る温度計測装置は、前記温度計測用ノズルを、前記先端開口部に向って次第に直径が拡大するコーン状に形成することを特徴とする請求項1又は2記載の温度計測装置である。
【0020】
請求項6に記載の発明に係る温度計測装置は、前記放射温度計として、二色放射温度計を適用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温度計測装置である。
【発明の効果】
【0021】
上記のように、請求項1に記載の発明は、ごみ焼却炉やガス化溶融炉などから排出される燃焼排ガスの温度を計測する温度計測装置において、前記燃焼排ガスが通過する燃焼排ガス通路に温度計測用ノズルを設けると共に、該温度計測用ノズルの後方に放射温度計を設け、かつ、前記放射温度計を斜め上方に傾けて前記放射温度計の温度計測視野Eが前記温度計測用ノズルの先端開口部の中心Oよりも上方に位置するようにしたので、温度計測用ノズルの底部にダストが堆積しても、温度計測用ノズルの上部管壁とダストとの間の間隙を通してごみ焼却炉やガス化溶融炉などから排出される燃焼排ガスの温度を計測することが可能となり、長期間(例えば、3〜6ケ月)にわたって精度良く、安定した計測が可能となった。
【0022】
例えば、ガス化溶融炉の高温空気加熱器の入り口に設置した上記温度計測装置を、前記温度計測視野Eが前記温度計測用ノズルの先端開口部の中心Oよりも上方に位置するように斜め上方に傾けた場合、前記温度計測用ノズルのノズル断面の2/3程度の高さまでダストが堆積しても問題なく計測を行うことが可能であった。
【0023】
また、請求項2に記載の発明に係る温度計測装置は、前記放射温度計を、前記温度計測用ノズルに立設した支柱と、該支柱に設けた水平アームと、該水平アームの後端部に設けた支持具により形成した支持手段によって支持すると共に、前記支持具に前記放射温度計を俯仰自在に設けたので、支持具に設けた締め付けナットを緩めることにより、放射温度計の仰角を簡単に調整することができる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明に係る温度計測装置は、前記放射温度計に直視ファインダーを設け、該直視ファインダーを覗きながら前記放射温度計を斜め上方に傾けてファインダー内の温度計測視野マークBが前記温度計測用ノズルの先端開口部の中心Oより上方の領域Cに位置するように放射温度計の仰角θを調整するので、放射温度計の仰角θを高精度で調整することができる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明に係る温度計測装置は、前記温度計測用ノズルに、該温度計測用ノズル内に堆積したダストを吹き飛ばすためのダスト除去用ノズルを設けたので、このダスト除去用ノズルを使って温度計測用ノズルの底部に堆積したダストを燃焼排ガス通路内に吹き飛ばすことによって温度計測装置による温度計測期間を更に延長することができる。
【0026】
また、請求項5に記載の発明に係る温度計測装置は、前記温度計測用ノズルを、前記先端開口部に向って次第に直径が拡大するコーン状に形成するので、ダストの付着を防止することができると共に、ダスト除去用ノズルによってダストを除去する際にダストが落下し易くなる。
【0027】
また、請求項6に記載の発明に係る温度計測装置は、前記放射温度計として、二色放射温度計を適用したので、単色放射温度計に比べてダストによる悪影響が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、ガス化溶融炉の概略構成図であり、ガス化溶融炉1は、熱分解ドラム2、排出装置3、不燃物分別装置4、溶融炉5、水槽6、スラグ収容容器7、高温空気加熱器8、廃熱ボイラ9、集塵器10、バルブ11〜13及び温度計測装置15を備えている。
【0029】
図1に示すように、可燃物を含む都市ごみなどの廃棄物cは、熱分解ドラム2内に供給され、実質的に無酸素の状態で熱分解(例えば、300〜600℃)される。熱分解ドラム2の加熱源には、高温空気加熱器8によって加熱された550℃の高温空気aを使用する。
【0030】
高温空気加熱器8によって加熱された高温空気aは、第1ダクト16を経て熱分解ドラム2の後部に供給され、更に、ドラムの内壁面に設けた多数の間接加熱管(図示せず)内を通過して熱分解ドラム2の前部に排出される。熱分解ドラム2の前部から排出された高温空気a’は、第2ダクト17を経て高温空気加熱器8に還元される。
【0031】
廃棄物cは、熱分解ドラム2を通過する間に高温空気aによって間接的に熱分解される。そして、熱分解ドラム2の後方の排出装置3より熱分解ガスdと、主として不揮発性成分からなる熱分解残渣eとが排出される。熱分解残渣eは、不燃物分別装置4によって不燃物fが除去され、可燃分gのみが図示しない破砕機によって破砕される。
【0032】
破砕機によって粉砕された可燃分gと熱分解ガスdは、溶融炉6に供給され、高温下(例えば、1200〜1400℃程度)で燃焼される。そして、燃焼時に生じた燃焼灰などは、溶融して炉壁に沿って流下し、水槽6で水冷されてスラグhとなる。このスラグhは、スラグ収容容器7に収容される。
【0033】
溶融炉6から排出された燃焼排ガスbは、高温空気加熱器8に供給され、熱分解ドラム2から還元された高温空気a’を再加熱する。高温空気加熱器8より排出された排ガスb’は、廃熱ボイラ9によって廃熱回収された後、集塵器10によって浄化され、図示しない煙突から大気中に排出される。
【0034】
また、集塵器10で捕集された集塵iは、第3ダクト18を経て溶融炉6に還元してスラグ化し、集塵器10を通過した排ガスb’の一部は、第4ダクト19を経て溶融炉6に還元して炉内の温度調整に使用する。
【0035】
この発明では、図1に示すように、ガス化溶融炉1の高温空気加熱器8の入り口20に設けた温度計測装置15によって高温空気加熱器8の入り口部分の燃焼排ガス温度を計測し、その計測結果に基づいて第4ダクト19に設けた第1バルブ11を制御して排ガスb’の還元量を制御するようにしている。また、溶融炉6に供給される新鮮空気(押込み空気)jの供給量は、第2、第3バルブ12,13によって制御するようになっている。
【0036】
温度計測装置15は、図2に示すように、上記のように、ガス化溶融炉1の高温空気加熱器8の入り口20の部分に、その横幅方向に一定の間隔で複数個設けられているが、図3に示すように、各温度計測装置15を左右に首振り可能に設けて温度計測範囲を拡大することにより、温度計測装置15の数量を減少させることができる。但し、温度計測装置15を装着する温度計測ノズル(図示せず)をコーン状に開口させる必要がある。また、図4に示すように、温度計測装置15を横幅方向に一定の間隔で複数個設けた温度計測装置群150を複数段設置することにより、温度分布を3次元的に捉えることができる。
【0037】
次に、上記温度計測装置15について詳細に説明する。
温度計測装置15は、図5に示すように、温度計測用ノズル31と、この温度計測用ノズル31の後方に設けた放射温度計32により構成されている。温度計測用ノズル31は、高温空気加熱器8の入り口20の垂直な壁面21に対して略水平に設けられ、その先端開口部33は、壁面21の内面22と面一になっている。
【0038】
また、温度計測用ノズル31は、エアパージ供給管34およびダスト除去用ノズル35を備えている。ダスト除去用ノズル35は、温度計測用ノズル31の底部に堆積したダストrを吹き飛ばすため、その先端35aを温度計測用ノズル31の先端開口部33の底部に向けている。
【0039】
また、温度計測用ノズル31は、その後端部に覗き窓36を設けている。覗き窓36を構成する遮蔽板37は、透明で、かつ、耐熱性を有し、高温の燃焼排ガスbが炉外に流出しないようになっている。遮蔽板37は、温度計測用ノズル31の後端部に設けた後部フランジ38とリング状の押え枠39により挟持されている。後部フランジ38及び押え枠39の締め付けは、図示しないボルトおよびナットによって行われている。
【0040】
放射温度計32は、図5に示すように、温度計測用ノズル31に設けた支持手段42によって支持されている。この支持手段42は、支柱43と、水平アーム44と、支持具45により構成されている。
【0041】
支柱43は、温度計測用ノズル31の上部に立設され、その上端部に水平アーム44を回動自在に設けている。水平アーム44は、支柱43に設けた支持台46上に搭載され、通常、ナット47により固定されている。この水平アーム44は、平面視で温度計測用ノズル31の軸線O1 と平行になるようにセットする必要があるため、頭部44aがL字形になっている。支持具45は、図6に示すように、水平アーム44の下面にボルト48及びナット49によって固定されたL字形の金具50と、放射温度計32の上部に設けたブラケット51により構成され、両者は、ボルト52及びナット53によって固定されている。
【0042】
また、放射温度計32の本体32aは、図5に示すように、冷却ジャケット55内に収容され、冷却ジャケット55内を循環する冷却用エアーkによって常温程度に冷却されている。また、この放射温度計32は、直視ファインダー56を有している。この直視ファインダー56の前方には、第2ミラー57を傾斜して設けると共に、この第2ミラー57に対峙する第1ミラー58を前記放射温度計本体32aの前方に設けている。この第1ミラー58は、起伏可能に設けられ、放射温度計本体32aの温度計測中は、温度計測を妨げない箇所に後退するようになっている。また、放射温度計本体32aの前方に冷却ジャケット55の部分には、冷却用エアーkの流出を防ぐ窓59を設けている。
【0043】
放射温度計本体32aには、二色放射温度計を使用する。この二色放射温度計は、図8に示すように、測定対象の物体が放射する光Aを受光するCCDイメージセンサー61を含む撮像部62と、そのCCDイメージセンサー61に各種制御信号sを送るCCD駆動部63と、CCDイメージセンサー61から読み出された画素信号tをデジタル信号に変換するA/D変換部64と、デジタル化された画素信号をλ1、λ2なる2つの波長u,,vに対応する画像に分離すると共に必要に応じて所定の信号処理を施す画像信号処理部65と、この2枚の画像信号u,vに基づいて測定対象の2次元的な温度分布情報を計算する温度計算部66とを備えている。
【0044】
次に、図5および図6を用いて放射温度計の仰角調整方法について説明する。
(a)先ず、第1ミラー58を破線の待機位置から実線の視野決定位置に傾斜させて第2ミラー57と対峙させる。
【0045】
(b)次に、放射温度計32のブラケット51と水平アーム後端部の金具50とを固定しているナット53を緩めて放射温度計32を俯仰可能にする。
【0046】
(c)次に、直視ファインダー56を覗きながら放射温度計32を斜め上方に傾けてファインダー内の円形の温度計測視野マークBが、図7に示すように、温度計測用ノズル31の先端開口部33の中心Oより上方の領域Cに位置するように放射温度計32の仰角θを調整する。
【0047】
(d)次に、放射温度計32が動かないように支持しながら、放射温度計32のブラケット51と水平アーム後端部の金具50とを固定しているナット53を放射温度計32を固定する。
【0048】
(e)次に、第1ミラー58を実線の視野決定位置から破線の待機位置に回動して待機させる。
【0049】
(f)しかる後に、放射温度計32を稼働させて、高温空気加熱器8の入り口20を通過する燃焼排ガスbの温度を計測する。なお、放射温度計32の温度計測視野Eは、直視ファインダー56の温度計測視野マークBと同位置に位置していることは言うまでもない。
【0050】
以上の説明では、温度計測用ノズル31に設けたアーム型の支持手段42によって放射温度計32の仰角θを調整する場合について説明したが、より簡便な方法によって放射温度計の仰角θを調整することもできる。なお、図5に示す第1の実施形態と同じ部品には同じ符号を付け、詳しい説明を省略する。
【0051】
図9に示す放射温度計の場合は、温度計測用ノズル31と放射温度計32とが共通のボルト71によって固定されているので、このボルト71を利用して放射温度計32の仰角θを調整することができる。以下、その手順を説明する。なお、符号72は、遮蔽板挟持用のナットである。
【0052】
(a)先ず、放射温度計32のフランジ73の後方に位置しているナット74aを緩めて後方に後退させる。
【0053】
(b)次に、放射温度計32を傾けて先端が斜め上方を向くようにする。この時、直視ファインダー56を覗いてファインダー内の円形の温度計測視野マークBが温度計測用ノズル31の先端開口部33の中心Oよりも上の部分(領域)Cに位置するように仰角θを調整する(図7参照。)。
【0054】
(c)次に、放射温度計32のフランジ73の前後に位置しているナット74a,74bによって放射温度計32のフランジ73を固定する。その時、放射温度計32のフランジ73と上記ナット74a,74bとの間にクサビ75を嵌合させると、放射温度計32のフランジ73をしっかり固定することができる。
【0055】
他方、上記水平アーム44の後端部にある金具50に正逆駆動モータ(図示せず)を設けることにより、放射温度計32を所定の範囲内で俯仰させることもできる。また、上記支柱44及び水平アーム44の後端部に正逆駆動モータ(図示せず)を設けることにより、放射温度計32を所定の範囲内で左右方向に首振りさせることもできる。
【0056】
また、放射温度計として、単色放射温度計の使用も考えられるが、単色放射温度計は、視野の一部をダストが遮った場合に指示値に悪影響を及ぼすので好ましくない。
【0057】
また、この温度計測装置15は、ガス化溶融炉に適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、ごみ焼却炉などの炉にも広く適用することができる。
【実施例】
【0058】
(実施例)
図5に示す温度計測装置15を用いてガス化溶融炉1の高温空気加熱器8の入り口20の燃焼排ガス温度を計測した。その時、直視ファインダー56のファインダー内の温度計測視野マークBが温度計測用ノズル31の先端開口部33の中心OよりもD/6だけ上方に位置するように放射温度計32を仰角θを調整した。なお、Dは、温度計測用ノズル31の先端開口部33の直径である。
【0059】
温度計測用ノズル31内にダストの堆積が無い状態から2ヶ月間の連続計測を実施したが、計測に問題が無かった。また、2ヶ月経過後は、ノズル断面の2/3程度の高さまでダストの堆積があったが、問題なく計測を行うことができたことから、本発明の効果を確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】ガス化溶融炉の概略構成図である。
【図2】本発明に係る温度計測装置の第1の配置例を示す高温空気加熱器の斜視図である。
【図3】本発明に係る温度計測装置の第2の配置例を示す高温空気加熱器の斜視図である。
【図4】本発明に係る温度計測装置の第3の配置例を示す高温空気加熱器の斜視図である。
【図5】本発明に係る温度計測装置の第1の実施形態を示す断面図である。
【図6】図5のX−X断面図である。
【図7】温度計測用ノズルの先端開口部の説明図である。
【図8】二色放射温度計の全体構成図である。
【図9】本発明に係る温度計測装置の第2の実施形態の断面図である。
【符号の説明】
【0061】
b 燃焼排ガス
15 温度計測装置
21 燃焼排ガス通路
31 温度計測用ノズル
32 放射温度計
33 温度計測用ノズルの先端開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ焼却炉やガス化溶融炉などから排出される燃焼排ガスの温度を計測する温度計測装置において、前記燃焼排ガスが通過する燃焼排ガス通路に温度計測用ノズルを設けると共に、該温度計測用ノズルの後方に放射温度計を設け、かつ、前記放射温度計を斜め上方に傾けて前記放射温度計の温度計測視野Eが前記温度計測用ノズルの先端開口部の中心Oよりも上方に位置するようにしたことを特徴とする温度計測装置。
【請求項2】
前記放射温度計を、前記温度計測用ノズルに立設した支柱と、該支柱に設けた水平アームと、該水平アームの後端部に設けた支持具により形成した支持手段によって支持すると共に、前記支持具に前記放射温度計を俯仰自在に設けたことを特徴とする請求項1記載の温度計測装置。
【請求項3】
前記放射温度計に直視ファインダーを設け、該直視ファインダーを覗きながら前記放射温度計を斜め上方に傾けてファインダー内の温度計測視野マークBが前記温度計測用ノズルの先端開口部の中心Oより上方の領域Cに位置するように放射温度計の仰角θを調整することを特徴とする請求項1又は2記載の温度計測装置。
【請求項4】
前記温度計測用ノズルに、該温度計測用ノズル内に堆積したダストを吹き飛ばすためのダスト除去用ノズルを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の温度計測装置。
【請求項5】
前記温度計測用ノズルを、前記先端開口部に向って次第に直径が拡大するコーン状に形成することを特徴とする請求項1又は2記載の温度計測装置。
【請求項6】
前記放射温度計として、二色放射温度計を適用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−132910(P2007−132910A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329016(P2005−329016)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】