温水ボイラー
【課題】バイオマス資源を利用した温水ボイラーの熱交換効率を向上させること。
【解決手段】本発明では、バイオマス資源を燃焼させた熱で水を加熱して温水を生成する温水ボイラー(1)において、バイオマス資源を燃焼させる燃焼室(3)に加熱ダクト(4)を接続するとともに、加熱ダクト(4)に排気ダクト(6)を連通ダクト(5)を介して接続し、連通ダクト(5)の下方に集塵室(7)を配設し、集塵室(7)の上方に加熱ダクト(4)及び連通ダクト(5)並びに排気ダクト(6)に接する貯水槽(8)を形成し、貯水槽(8)に水を流入させる流入口(20)と温水を流出させる流出口(21)とを形成することにした。
【解決手段】本発明では、バイオマス資源を燃焼させた熱で水を加熱して温水を生成する温水ボイラー(1)において、バイオマス資源を燃焼させる燃焼室(3)に加熱ダクト(4)を接続するとともに、加熱ダクト(4)に排気ダクト(6)を連通ダクト(5)を介して接続し、連通ダクト(5)の下方に集塵室(7)を配設し、集塵室(7)の上方に加熱ダクト(4)及び連通ダクト(5)並びに排気ダクト(6)に接する貯水槽(8)を形成し、貯水槽(8)に水を流入させる流入口(20)と温水を流出させる流出口(21)とを形成することにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス資源を燃焼させた熱で水を加熱して温水を生成する温水ボイラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、石油等の化石燃料の枯渇化や燃焼時の炭酸ガスの排出に伴う環境破壊などが問題視されており、それに伴って、バイオマス資源の有効活用が注目されている。
【0003】
そのバイオマス資源の有効活用の一つとして、バイオマス資源を燃焼させることで発生する熱を用いて水を加熱して温水を生成する温水ボイラーが開発されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−20156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のバイオマス資源を利用した温水ボイラーにおいては、バイオマス資源を燃焼させることで発生した熱を利用するため、石油等の化石燃料などに比べると火力が弱く、連続して高温の温水を生成することが困難であった。
【0006】
そのため、バイオマス資源を利用した温水ボイラーでは、熱源と水との熱交換の効率を向上させて、連続して高温の温水を生成できるようにすることが課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、バイオマス資源を燃焼させた熱で水を加熱して温水を生成する温水ボイラーにおいて、バイオマス資源を燃焼させる燃焼室に加熱ダクトを接続するとともに、加熱ダクトに排気ダクトを連通ダクトを介して接続し、連通ダクトの下方に集塵室を配設し、集塵室の上方に加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトに接する貯水槽を形成し、貯水槽に水を流入させる流入口と温水を流出させる流出口とを形成することにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、上下に伸延する加熱ダクトの下端部に前後に伸延する連通ダクトの前端部を接続するとともに、連通ダクトの後端部に上下に伸延する排気ダクトの下端部を接続して、加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトを略U字状に形成して貯水槽を形成するケーシングの内部に収容することにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、加熱ダクトに外気を吸引するための吸引口を開閉可能に形成し、燃焼させるバイオマス資源の種類に応じて吸引口を開閉させることにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、バイオマス資源を燃焼させた熱で水を加熱して温水を生成する温水ボイラーにおいて、バイオマス資源を燃焼させる燃焼室に加熱ダクトを接続するとともに、加熱ダクトに排気ダクトを連通ダクトを介して接続し、連通ダクトの下方に集塵室を配設し、集塵室の上方に加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトに接する貯水槽を形成し、貯水槽に水を流入させる流入口と温水を流出させる流出口とを形成することにしているために、バイオマス資源を燃焼させることで発生した熱で加熱された加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトで水を加熱することができるとともに、集塵室に集められた灰の熱をも利用して水を加熱することができるので、熱交換効率が向上して、連続して高温の温水を生成することができる。
【0012】
特に、上下に伸延する加熱ダクトの下端部に前後に伸延する連通ダクトの前端部を接続するとともに、連通ダクトの後端部に上下に伸延する排気ダクトの下端部を接続して、加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトを略U字状に形成して貯水槽を形成するケーシングの内部に収容することにした場合には、バイオマス資源を利用した温水ボイラーの小型化を図ることができる。
【0013】
また、加熱ダクトに外気を吸引するための吸引口を開閉可能に形成し、燃焼させるバイオマス資源の種類に応じて吸引口を開閉させることにした場合には、バイオマス資源の種類に応じて吸引口を開閉することで燃焼室に流入する空気(酸素)の量を調整することができ、燃焼室で様々な種類のバイオマス資源を良好に燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る温水ボイラーを示す斜視図。
【図2】同左側面断面図。
【図3】同正面断面図。
【図4】同背面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る温水ボイラーの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1〜図4に示すように、温水ボイラー1は、中空矩形箱型状のケーシング2の内部に燃焼室3、加熱ダクト4、連通ダクト5、排気ダクト6、集塵室7、貯水槽8を収容している。
【0017】
ケーシング2は、上面前側部に平面視矩形状の凹部9を形成し、凹部9に燃焼室3を形成するとともに、前面下端部に上方を開口した矩形箱型状の集塵ケース10を引出し自在に収容し、集塵ケース10の内側に集塵室7を形成している。
【0018】
燃焼室3は、ケーシング2の凹部9の底部に網状(多孔状)の燃焼壁11を取付け、燃焼壁11の上部に円筒状の隔壁12を取付け、隔壁12の側面下部に複数の通気口13を形成している。なお、通気口13は、凹部9の内側に形成して、横風などの影響を受けないようにしている。
【0019】
そして、燃焼室3は、隔壁12の上端開口から燃焼壁11の上部にバイオマス資源(木材のオガクズや端材やそれらを粉砕したものなど)を投入し、バイオマス資源を燃焼壁11の上部で着火して燃焼させるようにしている。
【0020】
加熱ダクト4は、上下に垂直に伸延するとともに下方に向けて漸次縮径した下向き中空テーパー形状に形成しており、上端部で燃焼室3の燃焼壁11に連通連結している。
【0021】
また、加熱ダクト4は、ケーシング2の凹部9の底部に外部と連通連結する吸引口14を隔壁12の外周部に沿って円周方向に間隔をあけて複数個形成する一方、ケーシング2の凹部9の底部に円筒状の隔壁12の外周に沿って回転自在な円環状の調整体15を取付け、調整体15に吸引口14と符合する貫通状の調整孔16を円周方向に間隔をあけて複数個形成している。
【0022】
これにより、加熱ダクト4は、調整体15を回転させることによって吸引口14と調整孔16との貫通面積(開口面積)を変化させながら吸引口14を開閉することができるようになっている。
【0023】
連通ダクト5は、前後に水平に伸延する中空矩形箱型形状に形成しており、前端上部に加熱ダクト4の下端部を連通連結する一方、後端上部に排気ダクト6の下端部を連通連結している。
【0024】
また、連通ダクト5は、下部全面を開放して集塵ケース10の内部に形成した集塵室7の中央上部に連通連結している。
【0025】
排気ダクト6は、上下に垂直に伸延する中空矩形箱型形状に形成しており、下端部に連通ダクト5の後端上部を連通連結する一方、上端部に排気ファン17を介して排気管18に連通連結している。
【0026】
集塵室7は、ケーシング2の底部に配置した集塵ケース10の内部に中空矩形箱型形状に形成しており、中央上部で連通ダクト5の下部に連通連結している。
【0027】
貯水槽8は、ケーシング2の内側下部に仕切壁19を取付け、仕切壁19の直下方に集塵室7を配置するとともに仕切壁19の上部に連通ダクト5を介して燃焼室3及び加熱ダクト4と排気ダクト6とを配置することで、ケーシング2の内部に加熱ダクト4、連通ダクト5、排気ダクト6、及び集塵室7とそれぞれ接する空間を形成している。
【0028】
また、貯水槽8は、ケーシング2の後側上部に水道等の給水源に連結して水を流入させるための流入口20を形成するとともに、ケーシング2の前側下部に温水を流出させるための流出口21を形成し、さらに、ケーシング2の前側上部に蒸気抜きのための排気口22を形成している。
【0029】
温水ボイラー1は、以上に説明したように構成しており、燃焼室3でバイオマス資源を燃焼させることで発生させた熱を利用して貯水槽8の内部の水を加熱して温水を生成するようにしている。
【0030】
すなわち、温水ボイラー1は、貯水槽8の流入口20から水を貯水槽8の内部に流入させ、貯水槽8の内部に水を充填させておき、燃焼室3の燃焼壁11の上部に隔壁12の上端開口からバイオマス資源を投入し、排気ファン17を駆動して外部から燃焼室3に外気を吸引した状態で燃焼壁11の上部でバイオマス資源を燃焼させる。
【0031】
すると、外気が燃焼室3で温風となって加熱ダクト4・連通ダクト5・排気ダクト6へと順に流れ、排気ファン17から排気管18を介して外部へ排出される。
【0032】
その際に、燃焼室3でバイオマス資源の燃焼に伴って生成された灰は、加熱ダクト4や連通ダクト5を通過する途中で自重により集塵室7に集められる。
【0033】
温風が通過した加熱ダクト4・連通ダクト5・排気ダクト6はそれぞれ温風によって加熱され、貯水槽8に貯留した水に接して水を加熱して温水を生成する。
【0034】
しかも、上記温水ボイラー1では、集塵室7も貯水槽8の仕切壁19を介して水と接しており、集塵室7に集められた灰も熱を持っていることから、集塵室7の灰の熱によっても貯水槽8の水を加熱することができる。特に、上記温水ボイラー1では、集塵室7がケーシング2(貯水槽8)の底部に配置しているために、温水ボイラー1を設置した床への熱伝導を集塵室7で遮断することができる。
【0035】
そして、上記温水ボイラー1では、貯水槽8の流入口20から水を流入させるとともに、流入する水と同量の水を流出口21から流出させると、流入口20から流入した水が貯水槽8の内部で温水となって流出口21から流出する。
【0036】
なお、上記温水ボイラー1では、燃焼室3で燃焼させるバイオマス資源の種類(サイズ、密度など)に応じて加熱ダクト4の吸引口14を開閉するようにしている。たとえば、燃焼室3で燃焼させるバイオマス資源がオガクズや木粉などのようにサイズが小さく密度が高い場合には、燃焼壁11の上部に積載したバイオマス資源を通過する空気(酸素)の流動抵抗が大きく、排気ファン17による吸気だけで燃焼室3に燃焼に必要な空気(酸素)を吸気できるため、加熱ダクト4の調整体15を回転させて吸引口14と調整孔16との貫通面積を小さくしたり或いは閉じた状態としたほうが燃焼室3で良好に燃焼させることができ、一方、燃焼室3で燃焼させるバイオマス資源が端材やチップなどのようにサイズが大きく密度が低い場合には、燃焼壁11の上部に積載したバイオマス資源を通過する空気(酸素)の流動抵抗が小さすぎて、排気ファン17による吸気では燃焼室3に燃焼に必要な量よりも多量の空気(酸素)が吸気されてしまうため、加熱ダクト4の調整体15を回転させて吸引口14と調整孔16との貫通面積を大きく或いは開いた状態として、燃焼室3を通過する空気(酸素)の量を減らしたほうが燃焼室3で良好に燃焼させることができる。
【0037】
以上に説明したように、上記温水ボイラー1は、バイオマス資源を燃焼させる燃焼室3に加熱ダクト4を接続するとともに、加熱ダクト4に排気ダクト6を連通ダクト5を介して接続し、連通ダクト5の下方に集塵室7を配設し、集塵室7の上方に加熱ダクト4及び連通ダクト5並びに排気ダクト6に接する貯水槽8を形成し、貯水槽8に水を流入させる流入口20と温水を流出させる流出口21とを形成した構成となっている。
【0038】
そのため、上記構成の温水ボイラー1では、バイオマス資源を燃焼させることで発生した熱で加熱された加熱ダクト4及び連通ダクト5並びに排気ダクト6で水を加熱することができるとともに、集塵室7に集められた灰の熱をも利用して水を加熱することができるので、熱交換効率が向上して、連続して高温の温水を生成することができる。
【0039】
しかも、上記温水ボイラー1は、上下に伸延する加熱ダクト4の下端部に前後に伸延する連通ダクト5の前端部を接続するとともに、連通ダクト5の後端部に上下に伸延する排気ダクト6の下端部を接続して、加熱ダクト4及び連通ダクト5並びに排気ダクト6を略U字状に形成して貯水槽8を形成するケーシング2の内部に収容した構成となっている。
【0040】
そのため、上記構成の温水ボイラー1では、バイオマス資源を利用した温水ボイラー1の小型化を図ることができる。
【0041】
さらに、上記温水ボイラー1は、加熱ダクト4に外気を吸引するための吸引口14を開閉可能に形成し、燃焼させるバイオマス資源の種類に応じて吸引口14を開閉させる構成となっている。
【0042】
そのため、上記構成の温水ボイラー1では、バイオマス資源のサイズに応じて吸引口14を開閉することで燃焼室3に流入する空気(酸素)の量を調整することができ、燃焼室3で様々な種類のバイオマス資源を良好に燃焼させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 温水ボイラー 2 ケーシング
3 燃焼室 4 加熱ダクト
5 連通ダクト 6 排気ダクト
7 集塵室 8 貯水槽
9 凹部 10 集塵ケース
11 燃焼壁 12 隔壁
13 通気口 14 吸引口
15 調整体 16 調整孔
17 排気ファン 18 排気管
19 仕切壁 20 流入口
21 流出口 22 排気口
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス資源を燃焼させた熱で水を加熱して温水を生成する温水ボイラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、石油等の化石燃料の枯渇化や燃焼時の炭酸ガスの排出に伴う環境破壊などが問題視されており、それに伴って、バイオマス資源の有効活用が注目されている。
【0003】
そのバイオマス資源の有効活用の一つとして、バイオマス資源を燃焼させることで発生する熱を用いて水を加熱して温水を生成する温水ボイラーが開発されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−20156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のバイオマス資源を利用した温水ボイラーにおいては、バイオマス資源を燃焼させることで発生した熱を利用するため、石油等の化石燃料などに比べると火力が弱く、連続して高温の温水を生成することが困難であった。
【0006】
そのため、バイオマス資源を利用した温水ボイラーでは、熱源と水との熱交換の効率を向上させて、連続して高温の温水を生成できるようにすることが課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1に係る本発明では、バイオマス資源を燃焼させた熱で水を加熱して温水を生成する温水ボイラーにおいて、バイオマス資源を燃焼させる燃焼室に加熱ダクトを接続するとともに、加熱ダクトに排気ダクトを連通ダクトを介して接続し、連通ダクトの下方に集塵室を配設し、集塵室の上方に加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトに接する貯水槽を形成し、貯水槽に水を流入させる流入口と温水を流出させる流出口とを形成することにした。
【0008】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、上下に伸延する加熱ダクトの下端部に前後に伸延する連通ダクトの前端部を接続するとともに、連通ダクトの後端部に上下に伸延する排気ダクトの下端部を接続して、加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトを略U字状に形成して貯水槽を形成するケーシングの内部に収容することにした。
【0009】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、加熱ダクトに外気を吸引するための吸引口を開閉可能に形成し、燃焼させるバイオマス資源の種類に応じて吸引口を開閉させることにした。
【発明の効果】
【0010】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0011】
すなわち、本発明では、バイオマス資源を燃焼させた熱で水を加熱して温水を生成する温水ボイラーにおいて、バイオマス資源を燃焼させる燃焼室に加熱ダクトを接続するとともに、加熱ダクトに排気ダクトを連通ダクトを介して接続し、連通ダクトの下方に集塵室を配設し、集塵室の上方に加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトに接する貯水槽を形成し、貯水槽に水を流入させる流入口と温水を流出させる流出口とを形成することにしているために、バイオマス資源を燃焼させることで発生した熱で加熱された加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトで水を加熱することができるとともに、集塵室に集められた灰の熱をも利用して水を加熱することができるので、熱交換効率が向上して、連続して高温の温水を生成することができる。
【0012】
特に、上下に伸延する加熱ダクトの下端部に前後に伸延する連通ダクトの前端部を接続するとともに、連通ダクトの後端部に上下に伸延する排気ダクトの下端部を接続して、加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトを略U字状に形成して貯水槽を形成するケーシングの内部に収容することにした場合には、バイオマス資源を利用した温水ボイラーの小型化を図ることができる。
【0013】
また、加熱ダクトに外気を吸引するための吸引口を開閉可能に形成し、燃焼させるバイオマス資源の種類に応じて吸引口を開閉させることにした場合には、バイオマス資源の種類に応じて吸引口を開閉することで燃焼室に流入する空気(酸素)の量を調整することができ、燃焼室で様々な種類のバイオマス資源を良好に燃焼させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る温水ボイラーを示す斜視図。
【図2】同左側面断面図。
【図3】同正面断面図。
【図4】同背面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る温水ボイラーの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1〜図4に示すように、温水ボイラー1は、中空矩形箱型状のケーシング2の内部に燃焼室3、加熱ダクト4、連通ダクト5、排気ダクト6、集塵室7、貯水槽8を収容している。
【0017】
ケーシング2は、上面前側部に平面視矩形状の凹部9を形成し、凹部9に燃焼室3を形成するとともに、前面下端部に上方を開口した矩形箱型状の集塵ケース10を引出し自在に収容し、集塵ケース10の内側に集塵室7を形成している。
【0018】
燃焼室3は、ケーシング2の凹部9の底部に網状(多孔状)の燃焼壁11を取付け、燃焼壁11の上部に円筒状の隔壁12を取付け、隔壁12の側面下部に複数の通気口13を形成している。なお、通気口13は、凹部9の内側に形成して、横風などの影響を受けないようにしている。
【0019】
そして、燃焼室3は、隔壁12の上端開口から燃焼壁11の上部にバイオマス資源(木材のオガクズや端材やそれらを粉砕したものなど)を投入し、バイオマス資源を燃焼壁11の上部で着火して燃焼させるようにしている。
【0020】
加熱ダクト4は、上下に垂直に伸延するとともに下方に向けて漸次縮径した下向き中空テーパー形状に形成しており、上端部で燃焼室3の燃焼壁11に連通連結している。
【0021】
また、加熱ダクト4は、ケーシング2の凹部9の底部に外部と連通連結する吸引口14を隔壁12の外周部に沿って円周方向に間隔をあけて複数個形成する一方、ケーシング2の凹部9の底部に円筒状の隔壁12の外周に沿って回転自在な円環状の調整体15を取付け、調整体15に吸引口14と符合する貫通状の調整孔16を円周方向に間隔をあけて複数個形成している。
【0022】
これにより、加熱ダクト4は、調整体15を回転させることによって吸引口14と調整孔16との貫通面積(開口面積)を変化させながら吸引口14を開閉することができるようになっている。
【0023】
連通ダクト5は、前後に水平に伸延する中空矩形箱型形状に形成しており、前端上部に加熱ダクト4の下端部を連通連結する一方、後端上部に排気ダクト6の下端部を連通連結している。
【0024】
また、連通ダクト5は、下部全面を開放して集塵ケース10の内部に形成した集塵室7の中央上部に連通連結している。
【0025】
排気ダクト6は、上下に垂直に伸延する中空矩形箱型形状に形成しており、下端部に連通ダクト5の後端上部を連通連結する一方、上端部に排気ファン17を介して排気管18に連通連結している。
【0026】
集塵室7は、ケーシング2の底部に配置した集塵ケース10の内部に中空矩形箱型形状に形成しており、中央上部で連通ダクト5の下部に連通連結している。
【0027】
貯水槽8は、ケーシング2の内側下部に仕切壁19を取付け、仕切壁19の直下方に集塵室7を配置するとともに仕切壁19の上部に連通ダクト5を介して燃焼室3及び加熱ダクト4と排気ダクト6とを配置することで、ケーシング2の内部に加熱ダクト4、連通ダクト5、排気ダクト6、及び集塵室7とそれぞれ接する空間を形成している。
【0028】
また、貯水槽8は、ケーシング2の後側上部に水道等の給水源に連結して水を流入させるための流入口20を形成するとともに、ケーシング2の前側下部に温水を流出させるための流出口21を形成し、さらに、ケーシング2の前側上部に蒸気抜きのための排気口22を形成している。
【0029】
温水ボイラー1は、以上に説明したように構成しており、燃焼室3でバイオマス資源を燃焼させることで発生させた熱を利用して貯水槽8の内部の水を加熱して温水を生成するようにしている。
【0030】
すなわち、温水ボイラー1は、貯水槽8の流入口20から水を貯水槽8の内部に流入させ、貯水槽8の内部に水を充填させておき、燃焼室3の燃焼壁11の上部に隔壁12の上端開口からバイオマス資源を投入し、排気ファン17を駆動して外部から燃焼室3に外気を吸引した状態で燃焼壁11の上部でバイオマス資源を燃焼させる。
【0031】
すると、外気が燃焼室3で温風となって加熱ダクト4・連通ダクト5・排気ダクト6へと順に流れ、排気ファン17から排気管18を介して外部へ排出される。
【0032】
その際に、燃焼室3でバイオマス資源の燃焼に伴って生成された灰は、加熱ダクト4や連通ダクト5を通過する途中で自重により集塵室7に集められる。
【0033】
温風が通過した加熱ダクト4・連通ダクト5・排気ダクト6はそれぞれ温風によって加熱され、貯水槽8に貯留した水に接して水を加熱して温水を生成する。
【0034】
しかも、上記温水ボイラー1では、集塵室7も貯水槽8の仕切壁19を介して水と接しており、集塵室7に集められた灰も熱を持っていることから、集塵室7の灰の熱によっても貯水槽8の水を加熱することができる。特に、上記温水ボイラー1では、集塵室7がケーシング2(貯水槽8)の底部に配置しているために、温水ボイラー1を設置した床への熱伝導を集塵室7で遮断することができる。
【0035】
そして、上記温水ボイラー1では、貯水槽8の流入口20から水を流入させるとともに、流入する水と同量の水を流出口21から流出させると、流入口20から流入した水が貯水槽8の内部で温水となって流出口21から流出する。
【0036】
なお、上記温水ボイラー1では、燃焼室3で燃焼させるバイオマス資源の種類(サイズ、密度など)に応じて加熱ダクト4の吸引口14を開閉するようにしている。たとえば、燃焼室3で燃焼させるバイオマス資源がオガクズや木粉などのようにサイズが小さく密度が高い場合には、燃焼壁11の上部に積載したバイオマス資源を通過する空気(酸素)の流動抵抗が大きく、排気ファン17による吸気だけで燃焼室3に燃焼に必要な空気(酸素)を吸気できるため、加熱ダクト4の調整体15を回転させて吸引口14と調整孔16との貫通面積を小さくしたり或いは閉じた状態としたほうが燃焼室3で良好に燃焼させることができ、一方、燃焼室3で燃焼させるバイオマス資源が端材やチップなどのようにサイズが大きく密度が低い場合には、燃焼壁11の上部に積載したバイオマス資源を通過する空気(酸素)の流動抵抗が小さすぎて、排気ファン17による吸気では燃焼室3に燃焼に必要な量よりも多量の空気(酸素)が吸気されてしまうため、加熱ダクト4の調整体15を回転させて吸引口14と調整孔16との貫通面積を大きく或いは開いた状態として、燃焼室3を通過する空気(酸素)の量を減らしたほうが燃焼室3で良好に燃焼させることができる。
【0037】
以上に説明したように、上記温水ボイラー1は、バイオマス資源を燃焼させる燃焼室3に加熱ダクト4を接続するとともに、加熱ダクト4に排気ダクト6を連通ダクト5を介して接続し、連通ダクト5の下方に集塵室7を配設し、集塵室7の上方に加熱ダクト4及び連通ダクト5並びに排気ダクト6に接する貯水槽8を形成し、貯水槽8に水を流入させる流入口20と温水を流出させる流出口21とを形成した構成となっている。
【0038】
そのため、上記構成の温水ボイラー1では、バイオマス資源を燃焼させることで発生した熱で加熱された加熱ダクト4及び連通ダクト5並びに排気ダクト6で水を加熱することができるとともに、集塵室7に集められた灰の熱をも利用して水を加熱することができるので、熱交換効率が向上して、連続して高温の温水を生成することができる。
【0039】
しかも、上記温水ボイラー1は、上下に伸延する加熱ダクト4の下端部に前後に伸延する連通ダクト5の前端部を接続するとともに、連通ダクト5の後端部に上下に伸延する排気ダクト6の下端部を接続して、加熱ダクト4及び連通ダクト5並びに排気ダクト6を略U字状に形成して貯水槽8を形成するケーシング2の内部に収容した構成となっている。
【0040】
そのため、上記構成の温水ボイラー1では、バイオマス資源を利用した温水ボイラー1の小型化を図ることができる。
【0041】
さらに、上記温水ボイラー1は、加熱ダクト4に外気を吸引するための吸引口14を開閉可能に形成し、燃焼させるバイオマス資源の種類に応じて吸引口14を開閉させる構成となっている。
【0042】
そのため、上記構成の温水ボイラー1では、バイオマス資源のサイズに応じて吸引口14を開閉することで燃焼室3に流入する空気(酸素)の量を調整することができ、燃焼室3で様々な種類のバイオマス資源を良好に燃焼させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 温水ボイラー 2 ケーシング
3 燃焼室 4 加熱ダクト
5 連通ダクト 6 排気ダクト
7 集塵室 8 貯水槽
9 凹部 10 集塵ケース
11 燃焼壁 12 隔壁
13 通気口 14 吸引口
15 調整体 16 調整孔
17 排気ファン 18 排気管
19 仕切壁 20 流入口
21 流出口 22 排気口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス資源を燃焼させた熱で水を加熱して温水を生成する温水ボイラーにおいて、
バイオマス資源を燃焼させる燃焼室に加熱ダクトを接続するとともに、加熱ダクトに排気ダクトを連通ダクトを介して接続し、連通ダクトの下方に集塵室を配設し、集塵室の上方に加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトに接する貯水槽を形成し、貯水槽に水を流入させる流入口と温水を流出させる流出口とを形成したことを特徴とする温水ボイラー。
【請求項2】
上下に伸延する加熱ダクトの下端部に前後に伸延する連通ダクトの前端部を接続するとともに、連通ダクトの後端部に上下に伸延する排気ダクトの下端部を接続して、加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトを略U字状に形成して貯水槽を形成するケーシングの内部に収容したことを特徴とする請求項1に記載の温水ボイラー。
【請求項3】
加熱ダクトに外気を吸引するための吸引口を開閉可能に形成し、燃焼させるバイオマス資源の種類に応じて吸引口を開閉させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の温水ボイラー。
【請求項1】
バイオマス資源を燃焼させた熱で水を加熱して温水を生成する温水ボイラーにおいて、
バイオマス資源を燃焼させる燃焼室に加熱ダクトを接続するとともに、加熱ダクトに排気ダクトを連通ダクトを介して接続し、連通ダクトの下方に集塵室を配設し、集塵室の上方に加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトに接する貯水槽を形成し、貯水槽に水を流入させる流入口と温水を流出させる流出口とを形成したことを特徴とする温水ボイラー。
【請求項2】
上下に伸延する加熱ダクトの下端部に前後に伸延する連通ダクトの前端部を接続するとともに、連通ダクトの後端部に上下に伸延する排気ダクトの下端部を接続して、加熱ダクト及び連通ダクト並びに排気ダクトを略U字状に形成して貯水槽を形成するケーシングの内部に収容したことを特徴とする請求項1に記載の温水ボイラー。
【請求項3】
加熱ダクトに外気を吸引するための吸引口を開閉可能に形成し、燃焼させるバイオマス資源の種類に応じて吸引口を開閉させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の温水ボイラー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2012−107773(P2012−107773A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255081(P2010−255081)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(508275423)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(508275423)
【Fターム(参考)】
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