温水洗浄便座装置
【課題】洗浄ノズルの洗浄水が局部に当たって跳ね返える水が、便座と便器との間の隙間
から飛び出す事態を十分に防止すると共に、洗浄ノズルの進退に支障を来たすことなく、
且つ脱臭機構への臭気の吸い込み効果が低下することのない温水洗浄便座を提供するもの
である。
【解決手段】便座の後方に設けた本体ケースに便座の下側から便座の着座開口の下方へ向
けて進出可能に洗浄ノズルが配置され、本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み
部が洗浄ノズルの側方に設けられた便座装置において、空気吸い込み部に対応する部分を
除き着座開口の全周域に亘って便座と便器の上縁との隙間を覆う水滴飛散防止リブが形成
され、水滴飛散防止リブの一部を通過して洗浄ノズルが進出可能であること。
から飛び出す事態を十分に防止すると共に、洗浄ノズルの進退に支障を来たすことなく、
且つ脱臭機構への臭気の吸い込み効果が低下することのない温水洗浄便座を提供するもの
である。
【解決手段】便座の後方に設けた本体ケースに便座の下側から便座の着座開口の下方へ向
けて進出可能に洗浄ノズルが配置され、本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み
部が洗浄ノズルの側方に設けられた便座装置において、空気吸い込み部に対応する部分を
除き着座開口の全周域に亘って便座と便器の上縁との隙間を覆う水滴飛散防止リブが形成
され、水滴飛散防止リブの一部を通過して洗浄ノズルが進出可能であること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、洗浄用の温水を噴出する洗浄ノズルを収納した本体ケース内に脱臭装置が収
容された温水洗浄便座装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
温水洗浄便座において、便器本体上に便座を開閉自在に設けたものであって、便座の下
面に設けた足部材によって便座本体と便器との間に隙間が生じる場合、洗浄ノズルの洗浄
水が局部に当たって跳ね返えることにより、前記隙間から飛び出す事態が生じるが、これ
を防止する技術として、前記隙間の下端に届く長さを有する下方突出部を便座の内周に沿
って形成したものがある。（特許文献１参照）。
【０００３】
また、洋式便器上に便座や便蓋を開閉自在に支持した本体ケースが設置され、この本体
ケース内に、供給された上水を温める温水タンク等の加温部と、この加温部で温められた
温水を人体の局部に向けて噴射する洗浄ノズルと、洋式便器内の臭気を吸引し脱臭して排
出する脱臭機構が収納された温水洗浄便座がある。（特許文献２参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００７−１５９７５８号公報
【特許文献２】特開２００７−９２３９６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
洗浄ノズルの洗浄水が局部に当たって跳ね返える水が、便座と便器本体との間の隙間か
ら飛び出す事態を十分に防止するためには、特許文献１における下方突出部の下方への長
さを、便器本体の上面よりもかなり下方に長く延ばした下方突出部とすることが必要であ
る。
一方、特許文献２のように脱臭機構を設けた場合は、便器のボウル内の臭気を効果的に
吸い込む必要があるが、脱臭機構への空気吸い込み部は、便器の上面の後部に位置するた
め、上記のように、下方に長く延ばした下方突出部の場合は、これによって便器のボウル
内の臭気の吸い込み効果が低下することとなる。
また、温水洗浄便座では、温水を人体の局部に向けて噴射する洗浄ノズルが進退自在に
設けられるため、上記のように、下方に長く延ばした下方突出部の場合は、これによって
洗浄ノズルの進退に支障を来たすこととなる。
【０００６】
本発明は、これらの点に鑑みて、洗浄ノズルの洗浄水が局部に当たって跳ね返える水が
、便座と便器との間の隙間から飛び出す事態を十分に防止すると共に、洗浄ノズルの進退
に支障を来たすことなく、且つ脱臭機構への臭気の吸い込み効果が低下することのない温
水洗浄便座を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
第１発明は、上面開口のボウル部を形成した便器の上縁に、前記ボウル部の上面開口に
対応した非円形状の着座開口を形成して後部が回動可能に支持された環状の便座を備え、
前記便座の後方に設けた本体ケースには前記便座の下側から前記着座開口の下方へ向けて
進出可能に洗浄ノズルが配置され、前記本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み
部が前記洗浄ノズルの側方に設けられた温水洗浄便座装置において、
前記空気吸い込み部に対応する部分を除き前記着座開口の全周域に亘って前記便座と前
記便器の上縁との隙間を覆う水滴飛散防止リブが形成され、前記水滴飛散防止リブの一部
を通過して前記洗浄ノズルが進出可能な構成であることを特徴とする。
【０００８】
第２発明は、上面開口のボウル部を形成した便器の上縁に、前記ボウル部の上面開口に
対応した非円形状の着座開口を形成して後部が回動可能に支持された環状の便座を備え、
前記便座の後方に設けた本体ケースには前記便座の下側から前記着座開口の下方へ向けて
進出可能に洗浄ノズルが配置され、前記本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み
部が前記洗浄ノズルの側方に設けられた温水洗浄便座装置において、
前記空気吸い込み部に対応する部分を除き前記着座開口の全周域に亘って前記便座と前
記便器の上縁との隙間を覆う水滴飛散防止リブが形成され、且つ、前記水滴飛散防止リブ
の一部が、前記洗浄ノズルの進出にて開き前記洗浄ノズルの後退にて閉じる開閉リブ構成
であることを特徴とする。
【０００９】
第３発明は、第２発明において、前記開閉リブ構成は、前記洗浄ノズルの進出にて前方
へ移動して開き、前記洗浄ノズルの後退にて後方へ復帰移動して閉じることを特徴とする
。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の水滴飛散防止リブは、脱臭装置への空気吸い込み部に対応する部分を除き、便
座と便器の上縁との隙間を覆うため、洗浄ノズルの進退に支障を来たすことなく、洗浄ノ
ズルの洗浄水が局部に当たって跳ね返える水が、便座と便器との間の隙間から飛び出すこ
とを防止できると共に、脱臭装置への臭気の吸い込み効果も良好に維持できるものとなる
。
【００１１】
なお、水滴飛散防止リブの一部が、洗浄ノズルの進出にて開き洗浄ノズルの後退にて閉
じる開閉リブ構成とした場合、洗浄ノズルの進出にて前方へ移動して開き、洗浄ノズルの
後退にて後方へ復帰移動して閉じる構成とすることによって、洗浄ノズルの洗浄水が局部
に当たって跳ね返える水が、便座と便器との隙間から飛び出すことを防止でき、衛生的に
保つことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明に係る本発明に係る温水洗浄便座の斜視図である。
【図２】図１の温水洗浄便座の本体ケース及び操作部の内部構成を一部破断により洗浄ノズルと脱臭装置への空気吸い込み部を示す平面図である。
【図３】本発明に係る温水洗浄便座の制御回路ブロック図である。
【図４】本発明に係る温水洗浄便座の洗浄ノズルと水滴飛散防止リブとの関係を示す断面図である。
【図５】図４の洗浄ノズルと水滴飛散防止リブとの関係を示す平面図である。
【図６】本発明に係る水滴飛散防止リブの洗浄ノズルに対向する部分を開閉リブ構成とした説明図である。
【図７】本発明に係る温水洗浄便座の脱臭装置への空気吸い込み部と水滴飛散防止リブとの関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
本発明は、上面開口のボウル部を形成した便器の上縁に、前記ボウル部の上面開口に対
応した非円形状の着座開口を形成して後部が回動可能に支持された環状の便座を備え、前
記便座の後方に設けた本体ケースには前記便座の下側から前記着座開口の下方へ向けて進
出可能に洗浄ノズルが配置され、前記本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み部
が前記洗浄ノズルの側方に設けられた温水洗浄便座装置において、前記空気吸い込み部に
対応する部分を除き前記着座開口の全周域に亘って前記便座と前記便器の上縁との隙間を
覆う水滴飛散防止リブが形成され、前記水滴飛散防止リブの一部を通過して前記洗浄ノズ
ルが進出可能な構成である。以下、本発明の実施形態を記載する。
【実施例１】
【００１４】
本発明の実施例を先ず図１に基づき説明すると、１は上面開口２Ｂ１のボウル部２Ｂを
形成した洋式便器２の上に着脱可能に設置された温水洗浄便座で、本体ケース３と便座４
と便蓋５を備え、本体ケース３の両側部分に便座４と便蓋５の後部が枢支され、この枢支
部を中心として便座４と便蓋５がそれぞれ上下方向に開閉自在となるように、電動機（本
体ケース３内に収容しており図示せず）にて回動する構成である。
【００１５】
便座４は、ボウル部２Ｂの上面開口２Ｂ１に対応した非円形状の着座開口４Ｐを形成し
た環状の便座である。便座４は、その裏側に間隔を存して複数個の弾性の支持脚４Ｆが設
けられ、便器２の上縁２Ａに便座４を倒した状態で、この支持脚４Ｆが便器２の上縁２Ａ
に当接する。この支持脚４Ｆによって、便器２の上縁２Ａと便座４の裏面との間に数ｍｍ
乃至十数ｍｍの隙間Ｋが生じる。便座４は、図１に一部断面で示すように、便座４の裏側
にアルミニウム箔４Ａを介して絶縁被覆された電気ヒータの便座ヒータ４１が取り付けら
れており、便座ヒータ４１の発熱によって便座４が加温される。
【００１６】
本体ケース３は、その一方の側面に、前方が上記便座４の側面に沿って延設された操作
部１０を一体的に突設しており、操作部１０は本体ケース３の一部分を構成する。この操
作部１０の上面に複数の操作ボタン１１や表示器１２等を配置している。本体ケース３の
一方の側面には給水管６が配置され、給水管６にはフレキシブルな配管ホース７が接続さ
れ、この配管ホース７は、排水用水を溜めるタンクＴへの分岐水栓８を介して、市水等の
水道管９に接続している。
【００１７】
図示の構成において、本体ケース３内には、図２に示す様に、内部に後述の温水ヒータ
４２を内蔵した加温部となる温水タンク１３と、この温水タンク１３と給水管６とを接続
する給水配管１４と、洗浄ノズルセット１５と、脱臭装置１６と、メイン基板１７とを主
に収納配置していると共に、操作部１０内には、複数の操作ボタン１１や表示器１２の下
方に対向位置して操作基板１８を配置している。給水管６から温水タンク１３への給水は
、電磁弁である洗浄バルブ４４の開閉によって制御される。
【００１８】
洗浄ノズルセット１５は、洗浄ノズルとして、一対のおしり用洗浄ノズル２０とビデ用
洗浄ノズル２１を前後方向に進出及び後退自在に備え、図示しない切り替え弁を介して温
水タンク１３に接続され、この温水タンク１３から洗浄用の温水が供給される。
【００１９】
脱臭装置１６は、脱臭用触媒エレメント２４と、脱臭ファン２５と、ファンケース２６
にて主に構成し、このファンケース２６は、脱臭装置１６へのボウル２Ｂ内の空気吸い込
み部となるように、洗浄ノズル２０、２１の側方（図では右方側）において洋式便器２の
ボウル２Ｂに対向して開口した第１吸気孔２７と、本体ケース３内に開口した第２吸気孔
２８と、これらの吸気孔から吸引した空気が脱臭用触媒エレメント２４を通過した後、本
体ケース３の外に排出する排気孔２９とを設けている。
【００２０】
図３は、制御手段となる制御回路３０のブロック図を示すもので、商用電源３１にマイ
クロコンピュータを中心に構成した制御部３２を接続し、かつこの制御部３２の入出力回
路には上記操作基板１８を接続し、入力回路には便座４への着座を検出する着座スイッチ
３３と、トイレ室内が低温であることを検出する温度センサ５０と、便座４の温度を検出
する便座用温度センサ３５とを接続している。
【００２１】
温度センサ５０は、トイレ室内が所定温度以下の低温となったとき、基板１７、１８な
どに結露が生じることを防止するために設けられたものであり、本体ケース３またはその
一部である操作部１０に形成した窓５１内にトイレ室へ臨むように取り付けられる。
【００２２】
商用電源３１には、制御部３２の出力にて各々制御するスイッチング素子３６、３７、
３８、３９、４０を介して、便座ヒータ４１、温水タンク１３内の水を加熱する温水ヒー
タ４２、前記切り替え弁を回転駆動する洗浄モータ４３、脱臭ファン２５、洗浄バルブ４
４を接続している。
【００２３】
制御部３２は着座スイッチ３３により便座４への人体の着座を検出すると、スイッチン
グ素子３９を通電して脱臭ファン２５を回転する。また、操作部１０の操作ボタン１１に
よって洗浄ノズル２０または２１が選択操作されると、スイッチング素子３８、４０を適
宜作動して洗浄モータ４３や洗浄バルブ４４を作動し、洗浄モータ４３によって温水供給
通路が切り替えられ、洗浄バルブ４４が開いて給水管６の水圧が温水タンク１３内へ掛か
り、温水タンク１３内の温水の洗浄水が、操作ボタン１１で選択された洗浄ノズル２０ま
たは２１から噴出する。そして、操作部１０の操作ボタン１１が操作されて洗浄停止操作
が行なわれると、スイッチング素子３８、４０を適宜作動して、洗浄モータ４３によって
進出していた洗浄ノズル２０または２１が後退すると共に、洗浄バルブ４４が閉じて洗浄
水の噴出を停止する。
【００２４】
脱臭装置１６による脱臭を行なうか否かの設定は、操作部１０の操作ボタン１１のうち
の所定のボタン操作によって、使用者が任意に設定できるものであり、脱臭装置１６によ
る脱臭を行なう設定では、使用者が便座４へ着座したことを着座スイッチ３３が検出する
ことにより、制御部３２の動作によって、スイッチング素子３９が動作して脱臭ファン２
５が回転し、脱臭状態となる。脱臭ファン２５の回転時には、第１吸気孔２７より洋式便
器２のボウル２Ｂ内の臭気をファンケース２６内に吸引して脱臭用触媒エレメント２４を
通過させ、臭気を除去して排気孔２９より本体ケース３の外に排気すると同時に、第２吸
気孔２８より本体ケース３内の空気をファンケース２６内に吸引して排気孔２９より本体
ケース３の外に排気する。なお、使用者が便座４から離れたことにより着座スイッチ３３
が動作し、制御部３２の動作によって、直ちにまたは所定時間遅延してスイッチング素子
３９が動作し、脱臭ファン２５の回転が停止する。
【００２５】
制御部３２は、便座用温度センサ３５により便座４の温度を検出し、この便座が設定温
度に成る様にスイッチング素子３６を制御して便座ヒータ４１への通電をＯＮ−ＯＦＦ制
御する。この設定温度は、操作部１０の操作ボタン１１のうちの所定のボタン操作によっ
て、使用者によって任意に設定される温度である。
【００２６】
常時、温度センサ５０によりトイレ室内の温度を検出しており、便座４に人体が着座し
ていない状態において、トイレ室内の温度が所定温度（Ｋ℃）以下になれば、温度センサ
５０の検出に基づき、制御部３２は、スイッチング素子３９を制御して脱臭ファン２５を
回転させ、第２吸気孔２８より本体ケース３並びに操作部１０内の空気をファンケース２
６内に吸引すると共に、第１吸気孔２７より洋式便器２内の空気をファンケース２６内に
吸引して、排気孔２９より本体ケース３の外に排気する。この場合、本体ケース３並びに
操作部１０内には、その周囲の空気が、本体ケース３並びに操作部１０の隙間から本体ケ
ース３並びに操作部１０内に流入し、本体ケース３並びに操作部１０内を換気する。また
、本体ケース３並びに操作部１０に特別に吸い込み口５２（本体ケース３の吸い込み口５
２は本体ケース３の背面に形成する）を設け、周囲の空気をこの吸い込み口５２から本体
ケース３並びに操作部１０内に流入させることにより、本体ケース３並びに操作部１０内
を換気することができる。このようにして、本体ケース３並びに操作部１０の内面への結
露水の発生や、メイン基板１７及び操作基板１８への結露水の発生を防止することができ
る。
【００２７】
本発明では、おしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル２１から噴出する洗浄水
が、便座４に着座した人の局部に当たって跳ね返える水が、便座４と便器２との間の隙間
Ｋから飛び出す事態を防止するために、脱臭装置１６へのボウル２Ｂ内の空気吸い込み部
である第１吸気孔２７に対応する部分を除き、便座４の着座開口４Ｐの全周域に亘って、
便座４と便器２の上縁２Ａとの隙間Ｋを覆う水滴飛散防止リブ４Ｒが形成されている。こ
のため、水滴飛散防止リブ４Ｒは、第１吸気孔２７に対応する部分に切り欠き４Ｗを形成
している。
【００２８】
水滴飛散防止リブ４Ｒは、隙間Ｋを十分に覆うために、便器２の上縁２Ａよりもかなり
下方位置まで延びた幅（上下長さ）を有する。例えば、便器２の上縁２Ａよりも１０ｍｍ
程度下方まで延びている。実施例のように、便座４の合成樹脂製の上面形成部材と一体成
形によって形成するのが好ましいが、着座開口４Ｐの全周域に亘って便座４に取り付ける
構成でもよい。水滴飛散防止リブ４Ｒは、剛性でもよいが、可撓性を有するヒレ状でもよ
い。
【００２９】
このように便座４と便器２の上縁２Ａとの隙間Ｋを十分に覆う長さに水滴飛散防止リブ
４Ｒを形成した場合は、このままでは、おしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル
２１の進退の邪魔となる。このため、図５に示すように、退避位置にあるおしり用洗浄ノ
ズル２０とビデ用洗浄ノズル２１が嵌り合うか臨む貫通孔４Ｈを水滴飛散防止リブの一部
に形成し、この貫通孔４Ｈを通しておしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル２１
が進出可能としている。
【００３０】
また、他の構成として、図４及び図６に示すように、おしり用洗浄ノズル２０及びビデ
用洗浄ノズル２１に対応する水滴飛散防止リブ４Ｒの部分が切り欠かれて、ノズル移動開
口４Ｑを形成し、このノズル移動開口４Ｑを開閉する開閉リブ４ＲＤを備えた構成になっ
ている。開閉リブ４ＲＤは、その左右の上部が水滴飛散防止リブ４Ｒに対して回動可能に
軸支持４Ｓされた構成である。
【００３１】
開閉リブ４ＲＤは、常時、ノズル移動開口４Ｑを閉じる状態となるように、自重または
バネ付勢された構成であり、おしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル２１の進出
によって押し開かれるようにしている。おしり用洗浄ノズル２０及びビデ用洗浄ノズル２
１が退避位置にある状態では、開閉リブ４ＲＤは、その左右の水滴飛散防止リブ４Ｒと共
に一連の水滴飛散防止リブ４Ｒが形成されるように、ノズル移動開口４Ｑを閉じた状態で
ある。そして、進出するおしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル２１にて、図４
に示すように、開閉リブ４ＲＤが前方へ押し開かれる。また、おしり用洗浄ノズル２０ま
たはビデ用洗浄ノズル２１の退避にて、開閉リブ４ＲＤが後方へ復帰し閉じる。
【００３２】
これによって、おしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル２１から噴出する洗浄
水が、便座４に着座した人の局部に当たって跳ね返える水が、便座と便器との隙間から飛
び出すことを防止でき、この部分が清潔に保たれるようにできる。
【００３３】
上記のように、空気吸い込み部２７に対応する部分を除き、便座４の着座開口４Ｐの全
周域に亘って便座４と便器２の上縁２Ａとの隙間Ｋを覆う水滴飛散防止リブ４Ｒが形成さ
れ、水滴飛散防止リブ４Ｒの一部を通過して洗浄ノズル２０、２１が進出可能な構成であ
るため、洗浄ノズル２０、２１の進退に支障を来たすことなく、洗浄ノズル２０、２１の
洗浄水が局部に当たって跳ね返える水が、便座４と便器２との間の隙間Ｋから飛び出すこ
とを防止できると共に、脱臭装置１６への臭気の吸い込み効果も良好に維持できるものと
なる。
【産業上の利用可能性】
【００３４】
本発明は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態の温水洗浄便座に適用で
きるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【００３５】
１・・・・温水洗浄便座
２・・・・洋式便器
２Ａ・・・洋式便器の上縁
２Ｂ・・・ボウル
２Ｂ１・・ボウルの上面開口
３・・・・本体ケース
４・・・・便座
４Ｆ・・・支持脚
４Ｐ・・・着座開口
４Ｒ・・・水滴飛散防止リブ
４ＲＤ・・開閉リブ
４Ｑ・・・ノズル移動開口
４Ｗ・・・切り欠き
５・・・・便蓋
１０・・・操作部
１３・・・温水タンク（加温部）
１６・・・脱臭装置
１７・・・メイン基板
１８・・・操作基板
２０・・・おしり用洗浄ノズル
２１・・・ビデ用洗浄ノズル
２５・・・脱臭ファン
３２・・・制御部
Ｋ・・・・隙間
【技術分野】
【０００１】
本発明は、洗浄用の温水を噴出する洗浄ノズルを収納した本体ケース内に脱臭装置が収
容された温水洗浄便座装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
温水洗浄便座において、便器本体上に便座を開閉自在に設けたものであって、便座の下
面に設けた足部材によって便座本体と便器との間に隙間が生じる場合、洗浄ノズルの洗浄
水が局部に当たって跳ね返えることにより、前記隙間から飛び出す事態が生じるが、これ
を防止する技術として、前記隙間の下端に届く長さを有する下方突出部を便座の内周に沿
って形成したものがある。（特許文献１参照）。
【０００３】
また、洋式便器上に便座や便蓋を開閉自在に支持した本体ケースが設置され、この本体
ケース内に、供給された上水を温める温水タンク等の加温部と、この加温部で温められた
温水を人体の局部に向けて噴射する洗浄ノズルと、洋式便器内の臭気を吸引し脱臭して排
出する脱臭機構が収納された温水洗浄便座がある。（特許文献２参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００７−１５９７５８号公報
【特許文献２】特開２００７−９２３９６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
洗浄ノズルの洗浄水が局部に当たって跳ね返える水が、便座と便器本体との間の隙間か
ら飛び出す事態を十分に防止するためには、特許文献１における下方突出部の下方への長
さを、便器本体の上面よりもかなり下方に長く延ばした下方突出部とすることが必要であ
る。
一方、特許文献２のように脱臭機構を設けた場合は、便器のボウル内の臭気を効果的に
吸い込む必要があるが、脱臭機構への空気吸い込み部は、便器の上面の後部に位置するた
め、上記のように、下方に長く延ばした下方突出部の場合は、これによって便器のボウル
内の臭気の吸い込み効果が低下することとなる。
また、温水洗浄便座では、温水を人体の局部に向けて噴射する洗浄ノズルが進退自在に
設けられるため、上記のように、下方に長く延ばした下方突出部の場合は、これによって
洗浄ノズルの進退に支障を来たすこととなる。
【０００６】
本発明は、これらの点に鑑みて、洗浄ノズルの洗浄水が局部に当たって跳ね返える水が
、便座と便器との間の隙間から飛び出す事態を十分に防止すると共に、洗浄ノズルの進退
に支障を来たすことなく、且つ脱臭機構への臭気の吸い込み効果が低下することのない温
水洗浄便座を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
第１発明は、上面開口のボウル部を形成した便器の上縁に、前記ボウル部の上面開口に
対応した非円形状の着座開口を形成して後部が回動可能に支持された環状の便座を備え、
前記便座の後方に設けた本体ケースには前記便座の下側から前記着座開口の下方へ向けて
進出可能に洗浄ノズルが配置され、前記本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み
部が前記洗浄ノズルの側方に設けられた温水洗浄便座装置において、
前記空気吸い込み部に対応する部分を除き前記着座開口の全周域に亘って前記便座と前
記便器の上縁との隙間を覆う水滴飛散防止リブが形成され、前記水滴飛散防止リブの一部
を通過して前記洗浄ノズルが進出可能な構成であることを特徴とする。
【０００８】
第２発明は、上面開口のボウル部を形成した便器の上縁に、前記ボウル部の上面開口に
対応した非円形状の着座開口を形成して後部が回動可能に支持された環状の便座を備え、
前記便座の後方に設けた本体ケースには前記便座の下側から前記着座開口の下方へ向けて
進出可能に洗浄ノズルが配置され、前記本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み
部が前記洗浄ノズルの側方に設けられた温水洗浄便座装置において、
前記空気吸い込み部に対応する部分を除き前記着座開口の全周域に亘って前記便座と前
記便器の上縁との隙間を覆う水滴飛散防止リブが形成され、且つ、前記水滴飛散防止リブ
の一部が、前記洗浄ノズルの進出にて開き前記洗浄ノズルの後退にて閉じる開閉リブ構成
であることを特徴とする。
【０００９】
第３発明は、第２発明において、前記開閉リブ構成は、前記洗浄ノズルの進出にて前方
へ移動して開き、前記洗浄ノズルの後退にて後方へ復帰移動して閉じることを特徴とする
。
【発明の効果】
【００１０】
本発明の水滴飛散防止リブは、脱臭装置への空気吸い込み部に対応する部分を除き、便
座と便器の上縁との隙間を覆うため、洗浄ノズルの進退に支障を来たすことなく、洗浄ノ
ズルの洗浄水が局部に当たって跳ね返える水が、便座と便器との間の隙間から飛び出すこ
とを防止できると共に、脱臭装置への臭気の吸い込み効果も良好に維持できるものとなる
。
【００１１】
なお、水滴飛散防止リブの一部が、洗浄ノズルの進出にて開き洗浄ノズルの後退にて閉
じる開閉リブ構成とした場合、洗浄ノズルの進出にて前方へ移動して開き、洗浄ノズルの
後退にて後方へ復帰移動して閉じる構成とすることによって、洗浄ノズルの洗浄水が局部
に当たって跳ね返える水が、便座と便器との隙間から飛び出すことを防止でき、衛生的に
保つことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明に係る本発明に係る温水洗浄便座の斜視図である。
【図２】図１の温水洗浄便座の本体ケース及び操作部の内部構成を一部破断により洗浄ノズルと脱臭装置への空気吸い込み部を示す平面図である。
【図３】本発明に係る温水洗浄便座の制御回路ブロック図である。
【図４】本発明に係る温水洗浄便座の洗浄ノズルと水滴飛散防止リブとの関係を示す断面図である。
【図５】図４の洗浄ノズルと水滴飛散防止リブとの関係を示す平面図である。
【図６】本発明に係る水滴飛散防止リブの洗浄ノズルに対向する部分を開閉リブ構成とした説明図である。
【図７】本発明に係る温水洗浄便座の脱臭装置への空気吸い込み部と水滴飛散防止リブとの関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
本発明は、上面開口のボウル部を形成した便器の上縁に、前記ボウル部の上面開口に対
応した非円形状の着座開口を形成して後部が回動可能に支持された環状の便座を備え、前
記便座の後方に設けた本体ケースには前記便座の下側から前記着座開口の下方へ向けて進
出可能に洗浄ノズルが配置され、前記本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み部
が前記洗浄ノズルの側方に設けられた温水洗浄便座装置において、前記空気吸い込み部に
対応する部分を除き前記着座開口の全周域に亘って前記便座と前記便器の上縁との隙間を
覆う水滴飛散防止リブが形成され、前記水滴飛散防止リブの一部を通過して前記洗浄ノズ
ルが進出可能な構成である。以下、本発明の実施形態を記載する。
【実施例１】
【００１４】
本発明の実施例を先ず図１に基づき説明すると、１は上面開口２Ｂ１のボウル部２Ｂを
形成した洋式便器２の上に着脱可能に設置された温水洗浄便座で、本体ケース３と便座４
と便蓋５を備え、本体ケース３の両側部分に便座４と便蓋５の後部が枢支され、この枢支
部を中心として便座４と便蓋５がそれぞれ上下方向に開閉自在となるように、電動機（本
体ケース３内に収容しており図示せず）にて回動する構成である。
【００１５】
便座４は、ボウル部２Ｂの上面開口２Ｂ１に対応した非円形状の着座開口４Ｐを形成し
た環状の便座である。便座４は、その裏側に間隔を存して複数個の弾性の支持脚４Ｆが設
けられ、便器２の上縁２Ａに便座４を倒した状態で、この支持脚４Ｆが便器２の上縁２Ａ
に当接する。この支持脚４Ｆによって、便器２の上縁２Ａと便座４の裏面との間に数ｍｍ
乃至十数ｍｍの隙間Ｋが生じる。便座４は、図１に一部断面で示すように、便座４の裏側
にアルミニウム箔４Ａを介して絶縁被覆された電気ヒータの便座ヒータ４１が取り付けら
れており、便座ヒータ４１の発熱によって便座４が加温される。
【００１６】
本体ケース３は、その一方の側面に、前方が上記便座４の側面に沿って延設された操作
部１０を一体的に突設しており、操作部１０は本体ケース３の一部分を構成する。この操
作部１０の上面に複数の操作ボタン１１や表示器１２等を配置している。本体ケース３の
一方の側面には給水管６が配置され、給水管６にはフレキシブルな配管ホース７が接続さ
れ、この配管ホース７は、排水用水を溜めるタンクＴへの分岐水栓８を介して、市水等の
水道管９に接続している。
【００１７】
図示の構成において、本体ケース３内には、図２に示す様に、内部に後述の温水ヒータ
４２を内蔵した加温部となる温水タンク１３と、この温水タンク１３と給水管６とを接続
する給水配管１４と、洗浄ノズルセット１５と、脱臭装置１６と、メイン基板１７とを主
に収納配置していると共に、操作部１０内には、複数の操作ボタン１１や表示器１２の下
方に対向位置して操作基板１８を配置している。給水管６から温水タンク１３への給水は
、電磁弁である洗浄バルブ４４の開閉によって制御される。
【００１８】
洗浄ノズルセット１５は、洗浄ノズルとして、一対のおしり用洗浄ノズル２０とビデ用
洗浄ノズル２１を前後方向に進出及び後退自在に備え、図示しない切り替え弁を介して温
水タンク１３に接続され、この温水タンク１３から洗浄用の温水が供給される。
【００１９】
脱臭装置１６は、脱臭用触媒エレメント２４と、脱臭ファン２５と、ファンケース２６
にて主に構成し、このファンケース２６は、脱臭装置１６へのボウル２Ｂ内の空気吸い込
み部となるように、洗浄ノズル２０、２１の側方（図では右方側）において洋式便器２の
ボウル２Ｂに対向して開口した第１吸気孔２７と、本体ケース３内に開口した第２吸気孔
２８と、これらの吸気孔から吸引した空気が脱臭用触媒エレメント２４を通過した後、本
体ケース３の外に排出する排気孔２９とを設けている。
【００２０】
図３は、制御手段となる制御回路３０のブロック図を示すもので、商用電源３１にマイ
クロコンピュータを中心に構成した制御部３２を接続し、かつこの制御部３２の入出力回
路には上記操作基板１８を接続し、入力回路には便座４への着座を検出する着座スイッチ
３３と、トイレ室内が低温であることを検出する温度センサ５０と、便座４の温度を検出
する便座用温度センサ３５とを接続している。
【００２１】
温度センサ５０は、トイレ室内が所定温度以下の低温となったとき、基板１７、１８な
どに結露が生じることを防止するために設けられたものであり、本体ケース３またはその
一部である操作部１０に形成した窓５１内にトイレ室へ臨むように取り付けられる。
【００２２】
商用電源３１には、制御部３２の出力にて各々制御するスイッチング素子３６、３７、
３８、３９、４０を介して、便座ヒータ４１、温水タンク１３内の水を加熱する温水ヒー
タ４２、前記切り替え弁を回転駆動する洗浄モータ４３、脱臭ファン２５、洗浄バルブ４
４を接続している。
【００２３】
制御部３２は着座スイッチ３３により便座４への人体の着座を検出すると、スイッチン
グ素子３９を通電して脱臭ファン２５を回転する。また、操作部１０の操作ボタン１１に
よって洗浄ノズル２０または２１が選択操作されると、スイッチング素子３８、４０を適
宜作動して洗浄モータ４３や洗浄バルブ４４を作動し、洗浄モータ４３によって温水供給
通路が切り替えられ、洗浄バルブ４４が開いて給水管６の水圧が温水タンク１３内へ掛か
り、温水タンク１３内の温水の洗浄水が、操作ボタン１１で選択された洗浄ノズル２０ま
たは２１から噴出する。そして、操作部１０の操作ボタン１１が操作されて洗浄停止操作
が行なわれると、スイッチング素子３８、４０を適宜作動して、洗浄モータ４３によって
進出していた洗浄ノズル２０または２１が後退すると共に、洗浄バルブ４４が閉じて洗浄
水の噴出を停止する。
【００２４】
脱臭装置１６による脱臭を行なうか否かの設定は、操作部１０の操作ボタン１１のうち
の所定のボタン操作によって、使用者が任意に設定できるものであり、脱臭装置１６によ
る脱臭を行なう設定では、使用者が便座４へ着座したことを着座スイッチ３３が検出する
ことにより、制御部３２の動作によって、スイッチング素子３９が動作して脱臭ファン２
５が回転し、脱臭状態となる。脱臭ファン２５の回転時には、第１吸気孔２７より洋式便
器２のボウル２Ｂ内の臭気をファンケース２６内に吸引して脱臭用触媒エレメント２４を
通過させ、臭気を除去して排気孔２９より本体ケース３の外に排気すると同時に、第２吸
気孔２８より本体ケース３内の空気をファンケース２６内に吸引して排気孔２９より本体
ケース３の外に排気する。なお、使用者が便座４から離れたことにより着座スイッチ３３
が動作し、制御部３２の動作によって、直ちにまたは所定時間遅延してスイッチング素子
３９が動作し、脱臭ファン２５の回転が停止する。
【００２５】
制御部３２は、便座用温度センサ３５により便座４の温度を検出し、この便座が設定温
度に成る様にスイッチング素子３６を制御して便座ヒータ４１への通電をＯＮ−ＯＦＦ制
御する。この設定温度は、操作部１０の操作ボタン１１のうちの所定のボタン操作によっ
て、使用者によって任意に設定される温度である。
【００２６】
常時、温度センサ５０によりトイレ室内の温度を検出しており、便座４に人体が着座し
ていない状態において、トイレ室内の温度が所定温度（Ｋ℃）以下になれば、温度センサ
５０の検出に基づき、制御部３２は、スイッチング素子３９を制御して脱臭ファン２５を
回転させ、第２吸気孔２８より本体ケース３並びに操作部１０内の空気をファンケース２
６内に吸引すると共に、第１吸気孔２７より洋式便器２内の空気をファンケース２６内に
吸引して、排気孔２９より本体ケース３の外に排気する。この場合、本体ケース３並びに
操作部１０内には、その周囲の空気が、本体ケース３並びに操作部１０の隙間から本体ケ
ース３並びに操作部１０内に流入し、本体ケース３並びに操作部１０内を換気する。また
、本体ケース３並びに操作部１０に特別に吸い込み口５２（本体ケース３の吸い込み口５
２は本体ケース３の背面に形成する）を設け、周囲の空気をこの吸い込み口５２から本体
ケース３並びに操作部１０内に流入させることにより、本体ケース３並びに操作部１０内
を換気することができる。このようにして、本体ケース３並びに操作部１０の内面への結
露水の発生や、メイン基板１７及び操作基板１８への結露水の発生を防止することができ
る。
【００２７】
本発明では、おしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル２１から噴出する洗浄水
が、便座４に着座した人の局部に当たって跳ね返える水が、便座４と便器２との間の隙間
Ｋから飛び出す事態を防止するために、脱臭装置１６へのボウル２Ｂ内の空気吸い込み部
である第１吸気孔２７に対応する部分を除き、便座４の着座開口４Ｐの全周域に亘って、
便座４と便器２の上縁２Ａとの隙間Ｋを覆う水滴飛散防止リブ４Ｒが形成されている。こ
のため、水滴飛散防止リブ４Ｒは、第１吸気孔２７に対応する部分に切り欠き４Ｗを形成
している。
【００２８】
水滴飛散防止リブ４Ｒは、隙間Ｋを十分に覆うために、便器２の上縁２Ａよりもかなり
下方位置まで延びた幅（上下長さ）を有する。例えば、便器２の上縁２Ａよりも１０ｍｍ
程度下方まで延びている。実施例のように、便座４の合成樹脂製の上面形成部材と一体成
形によって形成するのが好ましいが、着座開口４Ｐの全周域に亘って便座４に取り付ける
構成でもよい。水滴飛散防止リブ４Ｒは、剛性でもよいが、可撓性を有するヒレ状でもよ
い。
【００２９】
このように便座４と便器２の上縁２Ａとの隙間Ｋを十分に覆う長さに水滴飛散防止リブ
４Ｒを形成した場合は、このままでは、おしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル
２１の進退の邪魔となる。このため、図５に示すように、退避位置にあるおしり用洗浄ノ
ズル２０とビデ用洗浄ノズル２１が嵌り合うか臨む貫通孔４Ｈを水滴飛散防止リブの一部
に形成し、この貫通孔４Ｈを通しておしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル２１
が進出可能としている。
【００３０】
また、他の構成として、図４及び図６に示すように、おしり用洗浄ノズル２０及びビデ
用洗浄ノズル２１に対応する水滴飛散防止リブ４Ｒの部分が切り欠かれて、ノズル移動開
口４Ｑを形成し、このノズル移動開口４Ｑを開閉する開閉リブ４ＲＤを備えた構成になっ
ている。開閉リブ４ＲＤは、その左右の上部が水滴飛散防止リブ４Ｒに対して回動可能に
軸支持４Ｓされた構成である。
【００３１】
開閉リブ４ＲＤは、常時、ノズル移動開口４Ｑを閉じる状態となるように、自重または
バネ付勢された構成であり、おしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル２１の進出
によって押し開かれるようにしている。おしり用洗浄ノズル２０及びビデ用洗浄ノズル２
１が退避位置にある状態では、開閉リブ４ＲＤは、その左右の水滴飛散防止リブ４Ｒと共
に一連の水滴飛散防止リブ４Ｒが形成されるように、ノズル移動開口４Ｑを閉じた状態で
ある。そして、進出するおしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル２１にて、図４
に示すように、開閉リブ４ＲＤが前方へ押し開かれる。また、おしり用洗浄ノズル２０ま
たはビデ用洗浄ノズル２１の退避にて、開閉リブ４ＲＤが後方へ復帰し閉じる。
【００３２】
これによって、おしり用洗浄ノズル２０またはビデ用洗浄ノズル２１から噴出する洗浄
水が、便座４に着座した人の局部に当たって跳ね返える水が、便座と便器との隙間から飛
び出すことを防止でき、この部分が清潔に保たれるようにできる。
【００３３】
上記のように、空気吸い込み部２７に対応する部分を除き、便座４の着座開口４Ｐの全
周域に亘って便座４と便器２の上縁２Ａとの隙間Ｋを覆う水滴飛散防止リブ４Ｒが形成さ
れ、水滴飛散防止リブ４Ｒの一部を通過して洗浄ノズル２０、２１が進出可能な構成であ
るため、洗浄ノズル２０、２１の進退に支障を来たすことなく、洗浄ノズル２０、２１の
洗浄水が局部に当たって跳ね返える水が、便座４と便器２との間の隙間Ｋから飛び出すこ
とを防止できると共に、脱臭装置１６への臭気の吸い込み効果も良好に維持できるものと
なる。
【産業上の利用可能性】
【００３４】
本発明は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態の温水洗浄便座に適用で
きるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【００３５】
１・・・・温水洗浄便座
２・・・・洋式便器
２Ａ・・・洋式便器の上縁
２Ｂ・・・ボウル
２Ｂ１・・ボウルの上面開口
３・・・・本体ケース
４・・・・便座
４Ｆ・・・支持脚
４Ｐ・・・着座開口
４Ｒ・・・水滴飛散防止リブ
４ＲＤ・・開閉リブ
４Ｑ・・・ノズル移動開口
４Ｗ・・・切り欠き
５・・・・便蓋
１０・・・操作部
１３・・・温水タンク（加温部）
１６・・・脱臭装置
１７・・・メイン基板
１８・・・操作基板
２０・・・おしり用洗浄ノズル
２１・・・ビデ用洗浄ノズル
２５・・・脱臭ファン
３２・・・制御部
Ｋ・・・・隙間
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上面開口のボウル部を形成した便器の上縁に、前記ボウル部の上面開口に対応した非円
形状の着座開口を形成して後部が回動可能に支持された環状の便座を備え、前記便座の後
方に設けた本体ケースには前記便座の下側から前記着座開口の下方へ向けて進出可能に洗
浄ノズルが配置され、前記本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み部が前記洗浄
ノズルの側方に設けられた温水洗浄便座装置において、
前記空気吸い込み部に対応する部分を除き前記着座開口の全周域に亘って前記便座と前
記便器の上縁との隙間を覆う水滴飛散防止リブが形成され、前記水滴飛散防止リブの一部
を通過して前記洗浄ノズルが進出可能な構成であることを特徴とする温水洗浄便座装置。
【請求項２】
上面開口のボウル部を形成した便器の上縁に、前記ボウル部の上面開口に対応した非円
形状の着座開口を形成して後部が回動可能に支持された環状の便座を備え、前記便座の後
方に設けた本体ケースには前記便座の下側から前記着座開口の下方へ向けて進出可能に洗
浄ノズルが配置され、前記本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み部が前記洗浄
ノズルの側方に設けられた温水洗浄便座装置において、
前記空気吸い込み部に対応する部分を除き前記着座開口の全周域に亘って前記便座と前
記便器の上縁との隙間を覆う水滴飛散防止リブが形成され、且つ、前記水滴飛散防止リブ
の一部が、前記洗浄ノズルの進出にて開き前記洗浄ノズルの後退にて閉じる開閉リブ構成
であることを特徴とする温水洗浄便座装置。
【請求項３】
前記開閉リブ構成は、前記洗浄ノズルの進出にて前方へ移動して開き、前記洗浄ノズル
の後退にて後方へ復帰移動して閉じることを特徴とする請求項２に記載の温水洗浄便座装
置。
【請求項１】
上面開口のボウル部を形成した便器の上縁に、前記ボウル部の上面開口に対応した非円
形状の着座開口を形成して後部が回動可能に支持された環状の便座を備え、前記便座の後
方に設けた本体ケースには前記便座の下側から前記着座開口の下方へ向けて進出可能に洗
浄ノズルが配置され、前記本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み部が前記洗浄
ノズルの側方に設けられた温水洗浄便座装置において、
前記空気吸い込み部に対応する部分を除き前記着座開口の全周域に亘って前記便座と前
記便器の上縁との隙間を覆う水滴飛散防止リブが形成され、前記水滴飛散防止リブの一部
を通過して前記洗浄ノズルが進出可能な構成であることを特徴とする温水洗浄便座装置。
【請求項２】
上面開口のボウル部を形成した便器の上縁に、前記ボウル部の上面開口に対応した非円
形状の着座開口を形成して後部が回動可能に支持された環状の便座を備え、前記便座の後
方に設けた本体ケースには前記便座の下側から前記着座開口の下方へ向けて進出可能に洗
浄ノズルが配置され、前記本体ケースに収容した脱臭装置への空気吸い込み部が前記洗浄
ノズルの側方に設けられた温水洗浄便座装置において、
前記空気吸い込み部に対応する部分を除き前記着座開口の全周域に亘って前記便座と前
記便器の上縁との隙間を覆う水滴飛散防止リブが形成され、且つ、前記水滴飛散防止リブ
の一部が、前記洗浄ノズルの進出にて開き前記洗浄ノズルの後退にて閉じる開閉リブ構成
であることを特徴とする温水洗浄便座装置。
【請求項３】
前記開閉リブ構成は、前記洗浄ノズルの進出にて前方へ移動して開き、前記洗浄ノズル
の後退にて後方へ復帰移動して閉じることを特徴とする請求項２に記載の温水洗浄便座装
置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１１−５２３９７（Ｐ２０１１−５２３９７Ａ）
【公開日】平成２３年３月１７日（２０１１．３．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２００３００（Ｐ２００９−２００３００）
【出願日】平成２１年８月３１日（２００９．８．３１）
【出願人】（０００００１８８９）三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】（３０２０７１０９２）テガ三洋工業株式会社 (244)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年３月１７日（２０１１．３．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年８月３１日（２００９．８．３１）
【出願人】（０００００１８８９）三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】（３０２０７１０９２）テガ三洋工業株式会社 (244)
【Ｆターム（参考）】
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