説明

温湿度調整器を備えた海苔建屋

【課題】熱交換の効率化の面で改良を加え、海苔の製造にふさわしい建屋を提供する。
【解決手段】海苔建屋1の空間部に配備した温湿度調整器8の一方の入り口800と、海苔乾燥機5の温風排気開口部とを繋ぎ、他方の入り口802と、建屋の外気吸込開口部102とを繋ぎ、一方の出口801と、建屋の排気開口部101とを繋ぎ、他方の出口803と、燃焼釜6の吸込開口部601とを繋ぎ、一方の入り口800と一方の出口801を、一方の通路で連設し、その他方の入り口802と他方の出口803を、他方の通路で連設し、一方の通路と他方の通路とを隣接する構成とした温湿度調整器8を備えた海苔建屋1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋の海苔乾燥機から排出される温風排気と、外気との湿度調整、及び/又は、熱交換とを図り、海苔乾燥機への供給温風の湿度管理、及び/又は、燃焼釜の省エネとを図る温湿度調整器を備えた海苔建屋に関する。
【背景技術】
【0002】
表題の「建屋の海苔乾燥機から排出される温風排気と、外気との湿度調整、及び/又は、熱交換とを図り、海苔乾燥機への供給温風の湿度管理、及び/又は、燃焼釜の省エネとを図る温湿度調整器を備えた海苔建屋」に関しては、関連技術として、本出願人の提案の文献1がある。この発明は、特開2008−61576号公報であり、燃焼釜の煙突に、環状の熱交換部を設け、煙突を流れる温風排気と外気との熱交換を図る構造である(煙突の周面と外気との接触である)。また、同様な考案として、他社の提案の文献2がある。この考案は、実開昭57−189394号公報であり、前記文献1と、略同じ構造と効果がある。また、建屋と海苔乾燥機との空間に熱交換器を設けた、関連技術として、文献2を提案する他社の文献3がある。この考案は、実開昭61−95296号公報であり、海苔乾燥機(乾燥室)の温風排気開口部の全体に、熱交換器を配備するとともに、この熱交換器を建屋の外気吸込開口部に開口する。これにより、外気を熱交換で昇温し、燃焼釜に供給する構造である。
【0003】
【特許文献1】特開2008−61576号公報
【特許文献2】実開昭57−189394号公報
【特許文献3】実開昭61−95296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記文献1、2は、建屋の空間部を広く利用することを意図せず、熱交換の効率化の面で、改良の余地が考えられる。また、文献2では、この熱交換で昇温した外気を、燃焼釜に導入する構造でなく、海苔乾燥機に導入する構造であり、有効性を担保するに問題ありと考えられる。
【0005】
また、文献3は、確かに理に叶っているが、海苔乾燥機の天井全体に、直接、熱交換器を配備する構造である。一見して、この海苔乾燥機の温風排気を有効利用できると考えられる。しかし、この海苔乾燥機の温風排気の温度、及び/又は、湿度は、場所により、その差が、激しく、外気との略均質な熱交換を図るには問題があると考えられる。そして、また、熱交換による昇温が、区々となると、温湿度の異なる昇温外気が、燃焼釜に導入されることから、例えば、燃焼釜への負担も多くなり、燃焼釜の耐久性に問題を残すこと、或いは、燃焼釜内における、温風生成にも不均一が生ずる虞があること、等の改良点が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明では、建屋の間仕切り空間部外と、この建屋の燃焼釜の上のスペースを有効利用し、温湿度調整器を配備することで、実用に供した温湿度調整器を備えた海苔建屋の構造を提供すること、また、効率的に、湿度調整を図るために、この温湿度調整器の出入口を、所定の箇所に開放するか、接続する構造を提案し、もって、在来の海苔乾燥建屋から、温湿度調整器を備えた海苔建屋への改築を可能とすること、等を意図する。そして、また、請求項1の発明は、湿度調整を図ることで、乾海苔のヌレ、ワレ、艶ムラ、チヂミ、テリ等の欠陥製品の発生をなくすこと、又は品質の向上を図ること、等を意図する。
【0007】
請求項1は、海苔建屋において、
この建屋の海苔乾燥機の天井開放部の上に、間仕切り空間部を形成し、この間仕切り空間部外と、この建屋の燃焼釜の上のスペースを利用して、温湿度調整器を配備し、
前記天井開放部より、前記天井空間部に排出された高温高湿排気を、前記温湿度調整器に導き、低温低湿の空気として、前記建屋外に排気するとともに、この建屋内の前記間仕切り空間部外に導入した低温低湿外気を、前記温湿度調整器に導き、高温低湿の空気に変換し、この高温低湿の空気を、前記燃焼釜に導入して、高温低湿の温風として、この燃焼釜と前記海苔乾燥機間に設けた配管を介して、この海苔乾燥機に導入する構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成するに、最適な、建屋の間仕切り空間部を利用すること、設置の安定性を図り得る構造であり、所謂、温湿度調整器を最適に配備することを意図する。
【0009】
請求項2は、請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
前記温湿度調整器には、前記間仕切り空間部の高温高湿排気の一部を導入する構造とすることで、この間仕切り空間部を流れる高温高湿排気の流れ状況、又は温湿状況への影響を少なくする構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成するに、最適な、建屋の間仕切り空間部を利用すること、設置の容易化を図り得る構造であり、所謂、温湿度調整器の配置構造を意図する。
【0011】
請求項3は、請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
前記温湿度調整器の他方の入り口と、前記建屋の外気吸込開口部をダクトで連通するとともに、このダクトにファン、又はフィルタ、或いはシャツタを、配備する構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成するに、最適な、温湿度調整器の通路の構造を提案することを意図する。
【0013】
請求項4は、請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
前記温湿度調整器の一方の入り口を、前記間仕切り空間部に開放するとともに、この一方の入り口を一方の通路に接続し、この一方の通路を、前記建屋の排気開口部に開放するとともに、この温湿度調整器の他方の入り口を、前記建屋の外気吸込開口部に開放するとともに、この他方の入り口を他方の通路に接続し、この他方の通路を、前記燃焼釜の吸込開口部に接続する構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成するに、最適な、温湿度調整器の通路の構造を提案することを意図する。
【0015】
請求項5は、請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
前記一方の通路と他方の通路には、膨出部とフラット部とを連続的に設けるとともに、この一方の通路と他方の通路の膨出部を隣接し、この隣接状態を確保する手段を設ける構成とした温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5の目的を達成するに、最適な、一方の通路と他方の通路の膨出部の隣接状態を確保する手段を提案することを意図する。
【0017】
請求項6は、請求項5に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
前記手段が、凹凸嵌合とする構成とした温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明は、海苔建屋において、
建屋の海苔乾燥機の天井開放部の上に、間仕切り空間部を形成し、間仕切り空間部外と、建屋の燃焼釜の上のスペースを利用して、温湿度調整器を配備し、
天井開放部より、天井空間部に排出された高温高湿排気を、温湿度調整器に導き、低温低湿の空気として、建屋外に排気するとともに、建屋内の前記間仕切り空間部外に導入した低温低湿外気を、温湿度調整器に導き、高温低湿の空気に変換し、高温低湿の空気を、燃焼釜に導入して、高温低湿の温風として、燃焼釜と海苔乾燥機間に設けた配管を介して、海苔乾燥機に導入する構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【0019】
従って、請求項1は、建屋の間仕切り空間部外と、この建屋の燃焼釜の上のスペースを有効利用し、温湿度調整器を配備することで、実用に供した温湿度調整器を備えた海苔建屋の構造を提供できること、また、効率的に、湿度調整を図るために、この温湿度調整器の出入口を、所定の箇所に開放するか、接続する構造を提案し、もって、在来の海苔乾燥建屋から、温湿度調整器を備えた海苔建屋への改築が可能となること、等の特徴がある。そして、また、請求項1は、湿度調整を図ることで、乾海苔のヌレ、ワレ、艶ムラ、チヂミ、テリ等の欠陥製品の発生をなくし得ること、又は品質の向上が図れること、等の実益を有する。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
温湿度調整器には、間仕切り空間部の高温高湿排気の一部を導入する構造とすることで、間仕切り空間部を流れる高温高湿排気の流れ状況、又は温湿状況への影響を少なくする構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【0021】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成するに、最適な、建屋の間仕切り空間部を利用できること、設置の安定性を図り得る構造であり、所謂、温湿度調整器を最適に配備できる特徴がある。
【0022】
請求項3の発明は、請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
温湿度調整器の他方の入り口と、建屋の外気吸込開口部をダクトで連通するとともに、ダクトにファン、又はフィルタ、或いはシャツタを、配備する構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【0023】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成するに、最適な、建屋の間仕切り空間部を利用できること、設置の容易化を図り得る構造であり、所謂、温湿度調整器の配置構造を提供できる特徴がある。
【0024】
請求項4の発明は、請求項4は、請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
温湿度調整器の一方の入り口を、間仕切り空間部に開放するとともに、一方の入り口を一方の通路に接続し、この一方の通路を、建屋の排気開口部に開放するとともに、温湿度調整器の他方の入り口を、建屋の外気吸込開口部に開放するとともに、この他方の入り口を他方の通路に接続し、他方の通路を、燃焼釜の吸込開口部に接続する構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【0025】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成するに、最適な、温湿度調整器の通路の構造を提案できる特徴がある。
【0026】
請求項5の発明は、請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
一方の通路と他方の通路には、膨出部とフラット部とを連続的に設けるとともに、一方の通路と他方の通路の膨出部を隣接し、隣接状態を確保する手段を設ける構成とした温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【0027】
従って、請求項5は、請求項1の目的を達成するに、最適な、温湿度調整器の通路の構造を提案できる特徴がある。
【0028】
請求項6の発明は、請求項5に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
手段が、凹凸嵌合とする構成とした温湿度調整器を備えた海苔建屋である。
【0029】
従って、請求項6は、請求項5の目的を達成するに、最適な、一方の通路と他方の通路の膨出部の隣接状態を確保する手段を提案できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第一実施例とそれぞれ空気の流れを示した断面模式図
【図2】第二実施例とそれぞれ空気の流れを示した断面模式図
【図3】第三実施例とそれぞれ空気の流れを示した断面模式図
【図4】温湿度調整器を複数基設ける一例を示した拡大模式図
【図5−1】温湿度調整器の拡大全体模式図
【図5−2】他の温湿度調整器の拡大全体模式図
【図5−3】別の温湿度調整器の拡大全体模式図
【図6】温湿度調整器の内部構造で、一方・他方の通路の関係を示した拡大平面模式図
【発明を実施するための形態】
【0031】
建屋1の天井100には、一基、又は一対でなる屋上扇2(換気扇)を、望ましくは、建屋1の棟方向に数基有しており、建屋1の間仕切り空間部Bに排出された余剰量の高温高湿排気P、その他の空気を排出する。また、建屋1には、後述する排気開口部101と、外気吸込開口部102を有する。
【0032】
そして、この建屋1には、海苔乾燥機5と燃焼釜6を備えている。この海苔乾燥機5の天井には、高温高湿排気Pを排出する天井開放部500を有する。この海苔乾燥機5と燃焼釜6とは配管501を介して連通しており、この燃焼釜6の後述する高温低湿の温風が、海苔乾燥機5の下方にある図示しない海苔簀に向って供給される。この燃焼釜6にはバーナを備えた釜600が配備されている。そして、この燃焼釜6には、湿度調整された空気が導入される吸込開口部601を有する。図中602は燃焼釜6の吸込開口部601に設けたファンである。この燃焼釜6は、海苔乾燥機5の長手方向に複数基設けられる。この建屋1は、仕切り材、例えば、ビニールフィルム7を介して間仕切りされ、例えば、燃焼釜6と海苔乾燥機5との間を区画した間仕切り空間部Bが構成される。この間仕切り空間部Bに、後述する高温高湿排気Pが排気されるとともに、この高温高湿排気Pの流れを確定すること、又は建屋1の広範囲による結露防止に役立つこと、等の特徴がある。
【0033】
この海苔乾燥機5と建屋1の庇天井100(間仕切り空間部外)と燃焼釜6の上(天井上面)とのスペースA(有効スペース)を利用して、温湿度調整器8を配備する。以下、好ましい、第一実施例から第三実施例を、個別に説明する。
【0034】
先ず、図1の第一実施例では、このスペースAに設けた温湿度調整器8には、一方の入り口800と、一方の出口801を有するとともに、他方の入り口802と、他方の出口803を有する。そして、この一方の入り口800は、海苔乾燥機5の天井開放部500に連なる構造とし、望ましくは、間仕切り空間部Bの高温高湿排気P(例えば、温度30℃で、湿度90%が標準である)を効率的で、かつスムーズに導入する(吸込む)ために、望ましくは、ビニールフィルム7の下側7aに連なるように配置する(間仕切り空間部Bに下側に滞留し易い、高温高湿排気Pを確実、かつ効率的に、この温湿度調整器8に導入するためである)。また、この一方の出口801は、建屋1の下側(地面GLに近い位置)の排気開口部101に連なる。これは、後述するように、低温低湿の空気P1に変換したことを含めて、このように地面GL近くに排気することで、従来の問題であった、例えば、高温高湿排気Pの外部への排気、及び/又は、建屋1の天井より排気することに起因する環境破壊と、農地への悪影響を回避できる。尚、他方の入り口802は、建屋1の中間(庇天井100に近い位置)の外気吸込開口部102に連なることから、例えば、地面GL近くの低温、及び/又は、高湿の空気の吸込みを少なくするとともに、低温低湿外気O(例えば、時期と地域とか、同じ地域でも場所等により、異なるが、総括して、−3℃〜10℃〜20℃の外気)を、温湿度調整器8に導入する。また、他方の出口803は、燃焼釜6の吸込開口部601に連なる構造である。これにより、他方の入り口802より温湿度調整器8に導入した、低温低湿外気Oを、高温低湿の空気O1に変換し、前記燃焼釜6に送込む構造である。
【0035】
次に、図2の第二実施例では、他方の出口803は、本質的に、第一実施例と同じである。その相違は、一方の入り口800と、他方の入り口802、並びに一方の出口801である。これにより、高温高湿排気Pを所定量で、かつ間仕切り空間部Bの下側に存在する高温高湿排気Pを、確実に、導入できること、又は建屋1の天井面における結露防止に有益であること、等の特徴がある。また、一方の出口801の後面と、排気開口部101とをダクト10(配管を含む。以下同じ)を介して繋ぎ、確実に、低温低湿の空気P1を、建屋1外に排気する。さらに、他方の入り口802の前面は、建屋1の中間の外気吸込開口部102に、例えば、ダクト10aに繋がる。このダクト10a(又は他方の入り口802の前面)には、吸込み用のファン9を設け、強制的に外気(低温低湿外気O)を吸込む構造である。
【0036】
さらに、図3の第三実施例では、一方の出口801と、他方の入り口802、並びに他方の出口803は、本質的に、第二実施例と同じである。その相違は、他方の入り口802である。この他方の入り口802の前面には、図示しない、清浄な空気の導入のためにフィルタ、適量の外内気(低温低湿外気O、又は低温低湿の空気P1)の導入(排出)のために、シャツタ9cを配備する構造である。
【0037】
そこで、第一実施例の空気の流れを説明すると、海苔乾燥機5の天井開放部500より排出され、かつ間仕切り空間部Bにある高温高湿排気Pの一部(全体もあり得る)は、一方の入り口800より、前述の如く、望ましくは、ビニールフィルム7の下側7aに配置する温湿度調整器8に効率的で、かつスムーズに導入する。また、低温低湿外気Oは、建屋1の中間の外気吸込開口部102に繋がる他方の入り口802より、温湿度調整器8に導入される。この高温高湿排気Pと低温低湿外気Oとが熱交換され、低温低湿の空気P1と、高温低湿の空気O1にそれぞれ変換される。そして、この低温低湿の空気P1は、一方の出口801を介して、建屋1外に排気される。従って、高温高湿排気Pの温湿度調整を図りつつ、従来の弊害である。例えば、高温高湿排気Pの外部への排気による環境破壊と農地への悪影響を回避できる。また、高温低湿の空気O1は、他方の出口803より排気され、吸込開口部601より燃焼釜6に導入されて、高温低湿の温風O2に変換される。この高温低湿の温風O2は、この燃焼釜6と海苔乾燥機5を繋ぐ、配管501を介して、この海苔乾燥機5に導入される。これにより、例えば、海苔乾燥機5内の温湿調整が図れるので、高品質の乾海苔の生成と、経済性の向上に寄与できること、又は高温高湿排気Pの温湿度を図ることで、外部への排気による環境破壊と農地への悪影響を回避できる。さらに、従来の低温低湿外気Oの燃焼釜6への導入による弊害の解消を解消して、例えば、燃焼釜6の効率的な燃焼(省エネ)と、釜600の耐久性の向上等が図れる。そして、この第一実施例では、間仕切り空間部Bの空気の流れを確保できる構造と、機械の配備を介して、作業者の肌で感じる、従来の勘が利用できる特徴と、併せて、機械による制御と、経験則を利用でき、安心して、乾海苔製造作業ができる。
【0038】
続いて、第二実施例の空気の流れを説明すると、第一実施例と異なる、一方の入り口800と、他方の入り口802、並びに一方の出口801を基に説明する。一方の入り口800より、図示しない、吸込み用のファンを介して、間仕切り空間部Bの高温高湿排気Pの一部を温湿度調整器8に導入する。このファンは、間仕切り空間部Bの上側にある高温の中でも高く、かつ湿度が低くなった高温高湿排気Pを確実に、その一部を温湿度調整器8に導入できるので、熱交換の容易化と、燃焼釜6の効率化と、低コスト化に有効と考えられる。また、低温低湿外気Oは、建屋1の中間の外気吸込開口部102に繋がる他方の入り口802より、ダクト10aと、このダクト10aに設けた吸込み用のファン9を介して、強制的かつ外気の気象条件等に影響されず、定量が温湿度調整器8に導入される。そして、第一実施例と同様に、この高温高湿排気Pと低温低湿外気Oとが熱交換され、低温低湿の空気P1と、高温低湿の空気O1にそれぞれ変換される。そして、この低温低湿の空気P1は、一方の出口801とダクト10を介して、間仕切り空間部B外に、拡散することなく、かつ確実に建屋1外に排気される。従って、第一実施例と同様であるとともに、建屋1の温湿度制御に悪影響を与えることが少ない等の効果がある。その他の、例えば、高温低湿の空気O1の高温低湿の温風O2への変換と、この高温低湿の温風O2を、燃焼釜6と海苔乾燥機5を繋ぐ、配管501を介して、この海苔乾燥機5に導入されること、これに基づく、それぞれの効果等は、前述の第一実施例に準ずる。
【0039】
そこで、第三実施例の空気の流れを説明すると、この第三実施例は、第二実施例と基本的な構造と効果は同じであり、その相違点は、他方の入り口802である。この他方の入り口802には、ファン9の他に、図示しない、清浄な空気の導入のためにフィルタ、適量の外内気の導入(排出)のために、外気開口部102か、排気開口部101の双方か、又はその一方にシャツタ9cを配備する構造である。これにより、例えば、汚染した低温低湿外気Oの導入を停止するか、雨の侵入防止等を図ること、或いは、寒冷時の低温低湿外気Oの量的制限とか、極度の低温低湿外気OOを、低温低湿外気Oに変換して導入するとか、又は地上の空気で、この低温低湿外気Oに即したものを導入するとかの工夫をする。これにより、温湿度調整器8と、熱交換に役立つ、低温低湿外気Oの量と、この低温低湿外気Oの状況に対応可能とする。その他の構造と効果は、前述の第二実施例に準ずる。
【0040】
尚、図5−1〜図5−3の各例の如く、この一方の入り口800と一方の出口801は、出入り側の各チャンバー(必要時に於いて)を介して、一本〜数本の通路12に連通される。また、この他方の入り口802と他方の出口803は、図示しない、出入り側の各チャンバーを介して、一本〜数本の通路11に連通される。そして、一例として、複数段の通路11、12の構造は、図6の如く、例えば、上下二枚と中間にある一枚の鋼板(鋼材、銅材、ステンレス材等)を一組として、フラット通路部1100、1200と、このフラット通路部1100、1200間に膨出通路部1101、1201を形成する。このフラット通路部1100、1200と、膨出通路部1101、1201を形成する構造の一例を説明すると、一枚の鋼板に、平板Xと膨出曲面Yとを、交互に構成する。この鋼板を、上下二枚と中間一枚との組合せを、最小単位とし、順次、組上げる構造である。これにより、上と中間の二枚鋼板の平板Xと平板Xを対峙することで、フラット通路部1100、1200が、また、上と中間の二枚鋼板の膨出曲面Yと膨出曲面Yを対峙することで、フラット通路部1100、1200が、それぞれ形成される。そして、次に中間と下の二枚鋼板の平板Xと平板Xを対峙することで、フラット通路部1100、1200が、また、上と中間の二枚鋼板の膨出曲面Yと膨出曲面Yを対峙することで、フラット通路部1100、1200が、それぞれ形成される。そして、この通路12には、高温高湿排気Pが通り、また、通路11には、低温低湿外気Oが通り、温湿度調整(熱交換)が行われる。尚、この二枚の鋼板の膨出曲面Yの接触部には、凹凸嵌合による連結手段15、16を有しており、この連結手段15、16で、二枚の鋼板の一体化、又はズレ防止が図れ、温湿度調整器8、及び/又は、通路11、12の形状の確保が図れる。そして、この温湿度調整器8の外側を、外郭体80で構成される。
【0041】
そして、この温湿度調整器8の一方の入り口800には、吸込用のファン20を、また、他方の入り口802には、吸込用のファン21を、それぞれ設けることで、例えば、吸込量の確保、及び/又は、高温高湿排気Pと低温低湿外気Oを確実に吸込できる構造とする。また、一方の入り口800と他方の入り口802には、フィルタ22、23を、それぞれ設け、異物の吸込を防止すること、湿度調整の効率化等を図る。
【0042】
また、この例では、スペースAに、かつ建屋1(海苔乾燥機5、燃焼釜6)の長手方向(図1に於いて、手前から、奥面方向)に、温湿度調整器8を、複数基、併設配置か、又は図示しないが、斜設配備等の配置構造することで、通路11、12内における内外気のスムーズな流れを確保できる。そして、図5−1〜図5−3の如く、温湿度調整器8に設ける一方の入り口800と他方の入り口802、及び/又は、一方の出口801と他方の出口803の取付け構造は、建屋1の構造と、海苔乾燥機5、燃焼釜6の構造と、これら機器の配置構造、又は人の通路等を考慮して、適宜、選択する。また、海苔乾燥機5の天井開放部500からの一部の空気を、温湿度調整器8に導くことで、温湿度調整器8、及び/又は、燃焼釜6への負担軽減と、温湿度調整の効率化等に役立てる。また、例えば、海苔乾燥機5の天井開放部500からの一部の空気を、温湿度調整器8に導くことで、温湿度調整器8、及び/又は、燃焼釜6への負担軽減と、温湿度調整の効率化等に役立てる。
【0043】
本発明では、建屋1と海苔乾燥機5とで構成されるスペースAを活用して、温湿度調整器8を配備するとともに、建屋1に設けたビニールフィルム7により間仕切り空間Bとを活用することで、この建屋1、及び/又は、海苔乾燥機5、並びに間仕切り空間Bの湿度調整を図り、高品質の乾海苔の生成と、また、この海苔乾燥機5からの高温高湿排気Pを活用し、効率的な熱交換を介して、省エネの達成と、合理化の達成とを図ること、又はこの高温高湿排気P(乾燥機5から排出される温風排気)を処理し、環境に役立つ低温低湿の空気P1の排出を図る。
【0044】
前記ファン602、9、20、21の羽根数は、図示の例に限定されない。
【0045】
以上で説明した各実施例は、好ましい一例を示したものであり、同様な効果と特徴を有する他の構造、手段は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0046】
1 建屋
100 庇天井
101 排気開口部
101a 他の排気開口部
102 外気吸込開口部
2 屋上扇
5 海苔乾燥機
500 天井開放部
501 配管
6 燃焼釜
600 釜
601 吸込開口部
602 ファン
7 ビニールフィルム
7a 下側
8 温湿度調整器
80 外郭体
800 一方の入り口
801 一方の出口
802 他方の入り口
803 他方の出口
9 ファン
9c シャツタ
10 ダクト
10a ダクト
11 通路
1100 フラット通路部
1101 膨出通路部
12 通路
1200 フラット通路部
1201 膨出通路部
15 連結手段
16 連結手段
20 ファン
21 ファン
22 フィルタ
23 フィルタ
A スペース
B 間仕切り空間部
X 平板
Y 膨出曲面
GL 地面
P 高温高湿排気
P1 低温低湿の空気
O 低温低湿外気
O1 高温低湿の空気
O2 高温低湿の温風
OO 極度の低温低湿外気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔建屋において、
この建屋の海苔乾燥機の天井開放部の上に、間仕切り空間部を形成し、この間仕切り空間部外と、この建屋の燃焼釜の上のスペースを利用して、温湿度調整器を配備し、
前記天井開放部より、前記天井空間部に排出された高温高湿排気を、前記温湿度調整器に導き、低温低湿の空気として、前記建屋外に排気するとともに、この建屋内の前記間仕切り空間部外に導入した低温低湿外気を、前記温湿度調整器に導き、高温低湿の空気に変換し、この高温低湿の空気を、前記燃焼釜に導入して、高温低湿の温風として、この燃焼釜と前記海苔乾燥機間に設けた配管を介して、この海苔乾燥機に導入する構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋。
【請求項2】
請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
前記温湿度調整器には、前記間仕切り空間部の高温高湿排気の一部を導入する構造とすることで、この間仕切り空間部を流れる高温高湿排気の流れ状況、又は温湿状況への影響を少なくする構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋。
【請求項3】
請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
前記温湿度調整器の他方の入り口と、前記建屋の外気吸込開口部をダクトで連通するとともに、このダクトにファン、又はフィルタ、或いはシャツタを、配備する構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋。
【請求項4】
請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
前記温湿度調整器の一方の入り口を、前記間仕切り空間部に開放するとともに、この一方の入り口を一方の通路に接続し、この一方の通路を、前記建屋の排気開口部に開放するとともに、この温湿度調整器の他方の入り口を、前記建屋の外気吸込開口部に開放するとともに、この他方の入り口を他方の通路に接続し、この他方の通路を、前記燃焼釜の吸込開口部に接続する構成としたことを特徴とする温湿度調整器を備えた海苔建屋。
【請求項5】
請求項1に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
前記一方の通路と他方の通路には、膨出部とフラット部とを連続的に設けるとともに、この一方の通路と他方の通路の膨出部を隣接し、この隣接状態を確保する手段を設ける構成とした温湿度調整器を備えた海苔建屋。
【請求項6】
請求項5に記載の温湿度調整器を備えた海苔建屋において、
前記手段が、凹凸嵌合とする構成とした温湿度調整器を備えた海苔建屋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−85497(P2013−85497A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227384(P2011−227384)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】