説明

温風暖房機のファンカバーの構造

【課題】 対流ファンのファンモータの冷却と埃の付着を防止するためのファンカバーの構造に関する。
【解決手段】 枠体1の背面に設けた室内空気取入口2と、枠体1の前面に設けた温風吹出口3とを連通する送風路4を枠体1内に設け、室内空気取入口2には多数の通気孔6aを有するファンカバー6を取付け、ファンカバー6の枠体1内側に対流ファン5のファンモータ5aを取付け、対流ファン5によって通気孔6aから送風路4内に吹き込まれた室内空気は高温となって温風吹出口3から吹出す。ファンカバー6にはファンモータ5aとの間に空間Aを形成する突部7と、突部7から連続して放射状にのびる空気誘導突部8とを設け、突部7には外気と空間Aとを連通する空気流通孔7aを設け、空気流通孔7aから空間Aに流入した空気は空気誘導突部8に沿って送風路4に向かう空気流を形成し、この空気流によってファンモータ5aの冷却と、埃の付着を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は温風暖房機の背面に取り付けるファンカバーの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温風暖房機の枠体内には背部と前部とが連通する送風路が設けてあり、送風路の入口となる枠体の背部には室内空気取入口を設け、該室内空気取入口付近に取り付けた対流ファンの風を送風路に吹き込み、枠体内に設けたバーナから発生する熱量で送風路を通過する室内空気の温度を高め、高温となった温風を枠体の前面に設けた温風吹出口から吹き出して暖房するものである。
【0003】
枠体背部には室内空気取入口を覆うようにファンカバーを取付けており、このファンカバーの中央付近に対流ファンのファンモータを直接取り付けているが、暖房機の運転中はファンモータ自身の発熱やバーナの熱によってファンモータの温度が上昇しやすくなっており、ファンモータとファンカバーが密着しているとファンモータが高温となり、ファンモータの性能劣化や誤作動を起こす恐れがある。このためファンカバーとファンモータとの間に隙間を形成して、ファンモータとファンカバーとの間に対流ファンの風が流れるようにしてファンモータの温度上昇の防止を狙ったものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−158975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献ではファンモータの中心部分に固定部が存在しているため、ファンモータの外周付近には風の流れがあるが、ファンモータの中心部付近には風が届かないため、ファンモータの表面が冷却されるだけでファンモータ全体を効率よく冷却することができないため、ファンモータの内部の温度が上昇しやすい欠点があった。
【0005】
また、ファンカバーは送風路内への埃や異物の侵入を防ぐためのものであるが、ファンカバーを取り付けていても埃の侵入を完全に防ぐことは難しく、ファンカバーを通過した埃が送風路内に付着するものである。そして、ファンカバーとファンモータとの隙間は風量が少ないため、この隙間部分に埃がたまりやすくなっており、長期間使用すると埃の堆積によってファンモータの冷却効果が十分得られなくなるという課題が見つかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記の課題を解決するもので、枠体1の背面に室内空気取入口2を設け、かつ、枠体1の前面に温風吹出口3を設け、室内空気取入口2と温風吹出口3とを連通する送風路4を枠体1内に設けると共に、室内空気取入口2付近には送風路4内へ送風する対流ファン5を配置し、該対流ファン5の背部の室内空気取入口2には多数の通気孔6aを有するファンカバー6を取付け、対流ファン5のファンモータ5aをファンカバー6に取付けた温風暖房機において、前記ファンカバー6にはファンモータ5aとの間に空間Aを形成する突部7と、該突部7から連続して放射状にのびる空気誘導突部8とを設けると共に、突部7には外気と空間Aとを連通する空気流通孔7aを設け、該空気流通孔7aから空間Aに流入する空気を空気誘導突部8に沿って誘導して送風路4に送ることを特徴とするものである。
【0007】
また、ファンカバー6にはファンモータ5aのためのモータ固定部9を設け、該モータ固定部9はファンカバー6より枠体1内側に突出し、ファンカバー6とファンモータ7との間に間隔Tを形成したから、ファンカバー6とファンモータ5aと接触面積が少なくなると共に、ファンモータ5aとファンカバー6との間に空気が流れやすくなるので、ファンモータ5aが効率よく冷却でき、ファンモータ5aへの埃の付着を防止できるものである。
【0008】
また、突部7はファンモータ5aの外径よりも小さく設け、前記モータ固定部9は突部7よりも外方の空気誘導突部8の間に配置したから、突部7の空気流通孔7aから空気誘導突部8の間には空気の流れを妨げるものがないから、空間Aから空気誘導突部8に沿ってスムーズな空気の流れが形成できる。
【0009】
また、空気誘導突部8の先端位置をファンカバー6の外周端部まで届かせることで、ファンカバー6の全体の強度を向上できたから、ファンカバー6はファンモータ5aを支持できる強度を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、対流ファン5が運転するとファンカバー6に設けた突部7の空気流通孔7aから空間Aに空気が流入し、空間Aから空気誘導突部8に沿って送風路4に向かう空気流が形成されており、この空気流によってファンモータ5aを冷却するものであり、空気流通孔7aから空間Aに流入する空気がファンモータ5aの中心部分にあたるから、ファンモータ5aの内部の温度上昇を防ぐことができるものとなった。また、空気誘導突部8によって空気の流れがスムーズになって空気誘導突部8を流れる空気は一定の流速を得ることができるから、ファンモータ5への埃の付着を防ぐことができるものとなった。
【0011】
また、ファンカバー6のモータ固定部9を枠体1内側に突出して、モータ固定部9に取り付けたファンモータ5aとファンカバー6との間に間隔Tを形成することで、ファンモータ5aとファンカバー6との接触面積を少なくできると共に、ファンモータ5aとファンカバー6との間に空気流が形成されてファンモータ5aの背面全体を冷却できるものとなり、ファンモータ5aの冷却効率が向上すると共に、長期間の使用でも埃がたまることはなくなった。
【0012】
また、ファンカバー6の突部7をファンモータ5aの外径よりも小さくして、モータ固定部9を突部7より外方で空気誘導突部8の間に配置することで、空気流通孔7aから空気誘導突部8に向かう空気の流れが妨げられることがなく、空気誘導突部8に沿ってスムーズな空気流が形成できるものとなった。
【0013】
また、多数の通気孔6aを設けたファンカバー6は強度が低下しやすいが、ファンカバー6の強度を得るために板厚を厚くすると加工が大変になる。この発明では放射状の空気誘導突部8の先端位置をファンカバー6の外周端部まで伸ばすことで、ファンカバー6の板厚を厚くすることなくファンカバー6全体の強度の向上を図ることができたから、ファンカバー6は容易に加工することができ、製造コストを低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図に示す石油燃料を用いる暖房機の実施例によってこの発明を説明すると、1は暖房機の枠体、11は枠体1内に配置したバーナ、12はバーナ11の上部に配置した燃焼室であり、バーナ11で発生する燃焼炎と燃焼ガスとが燃焼室12に送られる。
【0015】
2は枠体1の背面に設けた室内空気取入口、3は枠体1の前面に設けた温風吹出口、4は枠体1内に形成した室内空気取入口2と温風吹出口3とを連通する送風路、5は送風路4の入口側となる室内空気取入口2付近に取り付けた対流ファン、5aは対流ファン5を駆動するファンモータである。
【0016】
6は枠体1の背面の室内空気取入口2に取り付けたファンカバー、6aはファンカバー6に設けた多数の通気孔であり、ファンカバー6は送風路4内への埃や異物の侵入を防止するフィルターの役目をしている。9はファンカバー6の中央付近に設けたモータ固定部であり、対流ファン5のファンモータ5aがファンカバー6のモータ固定部9に取付けられており、対流ファン5を運転すると室内空気がファンカバー6の通気孔6aから送風路4内に吹き込まれ、送風路4内で燃焼室12から送られる高温の燃焼ガスと混合し、温風吹出口3から温風となって吹出す。
【0017】
暖房機の運転中はバーナ11や燃焼室12から発生する熱や、ファンモータ5a自身の発熱によってファンモータ5aの温度が上昇しやすくなっており、ファンモータ5aが高温の状態のまま使用するとファンモータ5aの性能劣化や誤作動を起こす恐れがあるため、ファンモータ5aの温度上昇を抑えるための構造が必要である。また、空気中の細かい埃は通気孔6aを通過するため、送風路4内への埃の侵入を完全に防ぐことはできないものであり、送風路4内に侵入した埃が送風路4内に付着するが、長期間の使用によって多量の埃がファンモータ5aに付着すると、ファンモータ5aの冷却効果を十分得ることができなくなってしまうものであった。
【0018】
この発明は、上記の課題を解決するもので、7はファンカバー6の中央付近に設けた枠体1外側に突出させた突部、8は突部8から連続して形成した放射状にのびる空気誘導突部であり、実施例では、突部7がファンモータ5aと対向し、空気誘導突部8はファンカバー6の中央付近から十字形に形成しており、空気誘導突部8の先端位置はファンモータ5aの外径よりも外方に届かせている。Aはファンモータ5aと突部8との間に形成される空間、7aは突部7に設けた空気流通孔であり、空気流通孔7aによって枠体1外と空間Aとが連通している。
【0019】
対流ファン5を運転すると室内空気がファンカバー6の通気孔6aから送風路4内に吹き込まれると共に、突部7に設けた空気流通孔7aから空間A内に室内空気が流入し、空間Aから空気誘導突部8に沿って流れる空気流が形成される。空間Aから空気誘導突部8に沿って流れる空気流は、通気孔6aから吹き込まれてファンモータ5aの周囲を流れる流速の速い空気流によって送風路4に引き込まれており、空気誘導突部8によって空気の流れがスムーズに形成されるから、空気誘導突部8に沿って流れる空気流は一定の流速を得ることができ、空気流によって埃を飛ばすことができるから、埃の付着を防ぐことができるようになった。
【0020】
また、ファンカバー6の突部7がファンモータ5aの中心部付近と対向しているから、空気流通孔7aから空間Aに流入する空気をファンモータ5aの中心付近に直接あてることができ、ファンモータ5aを効率よく冷却することができ、ファンモータ5aの内部の温度上昇を防止できるものとなった。
【0021】
また、この発明の実施例において、ファンカバー6に設けたモータ固定部9は枠体1内側に突出するように設けており、Tはファンモータ5aをモータ固定部9に取り付けたときにファンモータ5aとファンカバー6との間に形成される間隔であり、ファンモータ5aの背面側にはモータ固定部9のみが接触する構成となっているから、ファンモータ5aの背面側からの放熱が行ないやすくなる。
【0022】
そして、この間隔Tによってファンモータ5aとファンカバー6との間を通過する空気量が多くなり、突部7の空気流通孔7aから空気が流入しやすくなり、空気誘導突部8と間隔Tを流れる空気流によってファンモータ5aの背面の全体を冷却することができ、効率良くファンモータ5aの冷却ができるものとなった。
【0023】
また、この発明では、図2、3に示すようにファンカバー6の突部7をファンモータ5aの外径よりも小さく設定し、モータ固定部9を突部7よりも外方の空気誘導突部8の間に配置したものである。このようにすることで、突部7の空気流通孔7aと空気誘導突部8との間に空気の流れを妨げるものがなくなるから、空気流通孔7aから空気誘導突部8に沿ってスムーズに空気流が形成されやすくなり、ファンモータ5aの冷却と埃の付着の防止が確実にできるようになった。
【0024】
また、ファンモータ5aをファンカバー6に取り付けるときは、ファンカバー6にはファンモータ5aを支えるための強度が必要となるが、強度を得るためにファンカバー6の板厚を厚くすると、通気孔6aや突部7等の加工が大変になってしまう。この発明では、ファンカバー6の中央部から放射状に配置した空気誘導突部8の先端位置をファンカバー6の外周の端部まで伸ばすことで、ファンカバー6の強度を向上することができたものであり、ファンカバー6の板厚を厚くする必要がないから、通気孔6aや突部7の加工が容易にできるものとなり、コストの上昇を抑えて簡単に製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の実施例を示す温風暖房機の縦断面図である。
【図2】この発明の実施例を示す温風暖房機の背面図である。
【図3】図2の実施例のX−X切断面による要部の縦断面図である。
【図4】図2の実施例のY−Y切断面による要部の縦断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 枠体
2 室内空気取入口
3 温風吹出口
4 送風路
5 対流ファン
5a ファンモータ
6 ファンカバー
6a 通気孔
7 突部
7a 空気流通孔
8 空気誘導突部
9 モータ固定部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体1の背面に室内空気取入口2を設け、かつ、枠体1の前面に温風吹出口3を設け、室内空気取入口2と温風吹出口3とを連通する送風路4を枠体1内に設けると共に、
室内空気取入口2付近には送風路4内へ送風する対流ファン5を配置し、
該対流ファン5の背部の室内空気取入口2には多数の通気孔6aを有するファンカバー6を取付け、対流ファン5のファンモータ5aをファンカバー6に取付けた温風暖房機において、
前記ファンカバー6にはファンモータ5aとの間に空間Aを形成する突部7と、該突部7から連続して放射状にのびる空気誘導突部8とを設けると共に、
突部7には外気と空間Aとを連通する空気流通孔7aを設け、
該空気流通孔7aから空間Aに流入する空気を空気誘導突部8に沿って誘導して送風路4に送ることを特徴とする温風暖房機のファンカバーの構造。
【請求項2】
前記ファンカバー6にはファンモータ5aのためのモータ固定部9を設け、該モータ固定部9はファンカバー6より枠体1内側に突出し、ファンカバー6とファンモータ7との間に間隔Tを形成したことを特徴とする請求項1記載の温風暖房機のファンカバーの構造。
【請求項3】
前記突部7はファンモータ5aの外径よりも小さく設け、前記モータ固定部9は突部7よりも外方の空気誘導突部8の間に配置したことを特徴とする請求項1記載の温風暖房機のファンカバーの構造。
【請求項4】
前記空気誘導突部8の先端位置はファンカバー6の外周端部まで届かせたことを特徴とする請求項1記載の温風暖房機のファンカバーの構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−322056(P2007−322056A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152004(P2006−152004)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】