説明

測位装置、測位方法及び測位プログラム

【課題】GPS等の測位衛星が送信する信号の搬送波位相を利用して受信機位置を計測する測位装置において、搬送波位相距離の波数の収束計算を短縮するとともに、高精度化することを目的とする。
【解決手段】搬送波位相距離の波数の決定が容易な擬似距離などの観測量だけでなく、既に決定している搬送波位相距離の波数である整数波数を入力として、未決定の搬送波位相距離の波数の推定量である実数波数推定量を計算する。また、実数波数推定量の計算とともに、位置推定量の計算を行う。計算した実数波数推定量に基づき、搬送波位相距離の波数を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、GPS等の測位衛星が送信する信号の搬送波位相を利用して受信機位置を計測する衛星測位方式を備えた測位装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衛星測位方式は、GPS等の測位衛星が送信した信号を受信して受信機位置を計測する方式である。つまり、衛星測位方式は、衛星と受信機間の伝搬時間を用いて距離を計測するものであり、複数の衛星の各位置と衛星・受信機間の各距離を用いて受信機位置を計算する。1m以下の高い位置計測精度を必要とする場合は、送信信号の搬送波の位相情報(以下、搬送波位相)を用いる方式がある。例えばGPS信号の搬送波の波長は約20cmであり、GPS信号の位相情報を用いる事で衛星と受信機間の距離をmmクラスの分解能で計測できる。
しかし、搬送波位相を用いる方式では、搬送波位相で計測した距離(搬送波位相距離)の整数部分が直接得られないため、搬送波位相距離の整数部分を決定する方式が必要である。搬送波位相距離の整数部分を波数(又はアンビギュイティ、又は整数バイアス)と呼ぶ。
波数を決定する方法は幾つか知られている。波数を決定する方法においては、搬送波位相やこれ以外の情報を用いて波数の実数波数推定量を計算し、この周囲に存在する整数値の波数候補を探索して信頼性が高い値を見つけることが基本である。
以下、前記実数表現された波数を実数波数と呼び、探索の結果得られた波数の決定値を整数波数と呼ぶ。
探索範囲が拡大すると整数波数を見つけるのが困難になるので、探索範囲を狭める必要がある。このためには精度が良い波数の実数推定値を得る事が重要となる。
【0003】
実際の衛星測位方式では受信機を2台以上設置する場合が多い。測位衛星の信号を2台以上の受信機で同時に受信してその計測距離の差分を用いることで、受信機間の相対位置(基線)を計測する。片方の受信機の正確な位置が計測してあれば、他方の受信機位置も正確に計測可能となる。位置計測の対象となる受信機を移動局と呼び、移動局位置ベクタの原点となる受信機を基準局と呼ぶ。この差分を用いる方式は、信号伝搬経路の媒体特性による伝搬時間の変動や、衛星に搭載した送信機間の時計誤差などの誤差要因が、差分によりほぼ消去される事が特長であり、この結果、高精度の位置計測が容易に実現できる。
以下、移動局と基準局との2つの観測量間の差分観測量を一重差観測量と呼ぶ。さらに、各受信機間の時計誤差を消去する為に基準観測量となる測位衛星を選択して、一重差観測量の差分で得られる4観測量間差分の観測量を用いる場合がある。この観測量を二重差観測量と呼ぶ。
【0004】
搬送波位相を用いた衛星測位方式に関する文献に特許文献1がある。
【特許文献1】特開2003−185728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、搬送波位相を用いた衛星測位方式において、波数を得る際に、距離の決定が容易なコード位相(以下、擬似距離)などの観測量を用いた初期値から収束計算する方法を採用している。この方法では、収束時間が長くなり、十分な収束精度も得られない可能性がある。
本発明は、例えば、搬送波位相を用いた衛星測位方式において、波数を得る処理の処理時間および収束時間を短縮するとともに、精度の高い実数波数を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る測位装置は、例えば、測位衛星が送信する信号の搬送波位相を利用して複数の受信機間の相対位置を計測する測位装置であり、
複数の受信機の各受信機が受信した上記信号から得られる上記各受信機についての観測量を取得して記憶装置に記憶する観測量取得部と、
上記観測量取得部が取得した観測量と、上記複数の受信機が受信した信号の搬送波位相距離の整数部分である波数のうち既に決定している波数である整数波数とに基づき、上記複数の受信機が受信した信号の波数の推定量を処理装置により計算する推定部と、
所定の方法により、上記推定部が計算した推定量に対応する波数を処理装置により決定する整数波数決定部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る測位装置は、既に決定している搬送波位相距離の波数である整数波数を入力として、未決定の搬送波位相距離の波数の推定量を計算する。そのため、本発明に係る測位装置によれば、整数波数を得る処理の処理時間が短縮されるとともに、信頼性の高い整数波数を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
この実施の形態では、観測量だけでなく、整数波数を入力として、実数波数推定量を計算することにより、受信機の位置を計算する測位装置100について説明する。
【0009】
まず、この実施の形態に係る測位装置100の基礎となる測位装置101について説明する。測位装置101は、整数波数を入力とせず、観測量に基づき実数波数推定量を計算して、受信機の位置を計算する。図1は、測位装置101の機能を示す機能ブロック図である。
測位装置101は、観測量取得部5、二重差処理部206、推定計算部201、整数波数探索部2、変換部7を備える。また、推定計算部201は、実数波数推定部202、検定部204、位置推定部205を備える。
観測量取得部5は、複数の受信機の各受信機が受信した信号から得られる上記各受信機についての観測量を取得して記憶装置に記憶する。観測量取得部5は、各受信機の観測量を出力する。
二重差処理部206は、観測量取得部5が出力した観測量に対して、推定計算部201の計算が容易になるような前処理を適用して前処理後観測量を処理装置により計算する。二重差処理部206は、生成した前処理後観測量を出力する。
推定計算部201は、前処理後観測量を入力として、対象の位置、速度、加速度等を推定した位置推定量を処理装置により計算して出力する。
実数波数推定部202は、前処理後観測量を用いて概略位置推定量と実数波数推定量とを処理装置により計算して出力する。
整数波数探索部2は、実数波数推定部202の出力を用いて実数波数推定量に対応する整数波数候補を処理装置により決定する。整数波数探索部2は、常に全衛星の実数波数に対して探索を行い整数波数候補を決定する。
検定部204は、整数波数探索部2が決定した整数波数候補を処理装置により検定する。検定部204は、検定の結果が妥当であれば整数波数を他の推定量(位置推定量、波数検定結果)と併せて出力する。
位置推定部205は、前処理後観測量と、検定部204が出力した位置推定量、整数波数及び波数検定結果を用いて対象の位置を処理装置により推定して、位置推定量を出力する。また、位置推定部205は、推定した位置推定量に基づき初期化判定を行う。つまり、位置推定部205は、位置推定量を異常と判定した場合は、再初期化指示信号を実数波数推定部202へ出力して、初期化させる。
変換部7は、推定計算部201が出力した位置推定量を入力として、適切な座標系や時系列に受信機の位置推定量を処理装置により変換して、推定位置を出力する。
【0010】
つまり、実数波数推定部202は、前処理後観測量だけを用いて位置推定量や実数波数推定量を計算している。すなわち、後続の位置推定部205で用いている整数波数が持つ、高精度な情報を利用していない。
ところが、実際の衛星測位計算においては、一部の観測量で整数波数が得られているケースも多い。このような場合に、残りの衛星の実数波数を収束計算する際に整数波数の情報を使用することにより、収束時間を短縮でき、十分な収束精度が得られ、かつ、位置計算精度を改善できる可能性がある。
【0011】
次に、この実施の形態に係る測位装置100について説明する。図2は、この実施の形態に係る測位装置100の機能を示す機能ブロック図である。
測位装置100は、観測量取得部5、前処理部6、推定計算部1、整数波数探索部2、変換部7を備える。また、推定計算部1は、推定部3、検定・更新部4を備える。
観測量取得部5は、上記測位装置101が備える観測量取得部5と同様である。
前処理部6は、観測量取得部5が出力した観測量に対して、推定計算部1の計算が容易になるような前処理を適用して前処理後観測量を処理装置により計算する。前処理部6は、生成した前処理後観測量を出力する。
推定計算部1は、前処理部6が出力した前処理後観測量を入力として、対象の位置、速度、加速度等を推定した更新位置推定量、更新整数波数を処理装置により計算して、出力する。
推定部3は、前処理部6が出力した前処理後観測量と、後述する検定・更新部4が出力した更新位置推定量と更新整数波数と、推定部3自身が出力した位置推定量、実数波数推定量とを入力として、位置推定量と実数波数推定量とを処理装置により計算する。特に、推定部3は、更新整数波数により実数波数を変換することにより、後述する整数波数探索部2が探索すべき実数波数を減少させる。また、推定部3は、更新位置推定量を用いて高精度な実数波数の推定を行うとともに、整数波数と実数波数とを用いて高精度の位置推定を行う。つまり、推定部3は、上記測位装置101の実数波数推定部202と位置推定部205とを統合した機能を有する。
整数波数探索部2は、推定部3が出力した実数波数推定量を入力として、実数波数推定量に対応する整数波数の候補を処理装置により決定する。特に、整数波数探索部2は、推定部3が更新整数波数により変換した後の実数波数についてのみ探索を行えばよい。
検定・更新部4は、整数波数探索部2が出力した整数波数の候補と、既に決定している整数波数とを検定して、所定の基準を満たすものを整数波数として採用するとともに、上記基準を満たさないものは整数波数として採用せず棄却した更新整数波数を処理装置により計算する。また、検定・更新部4は、採用した整数波数を用いて位置推定量を計算する。検定・更新部4は、計算した位置推定量と推定部3が出力した位置推定量とを複合して、より正確な値に更新された更新位置推定量を処理装置により計算する。そして、検定・更新部4は、計算した更新整数波数と更新位置推定量とを出力する。なお、検定・更新部4は、計算した位置推定量と推定部3が出力した位置推定量とを複合して更新位置推定量を計算してもよいし、計算した位置推定量を更新位置推定量としてもよい。計算した位置推定量と推定部3が出力した位置推定量とを複合して検定・更新部4が更新位置推定量を計算した場合には、推定部3は、更新位置推定量のみを用いて高精度な実数波数の推定を行えばよい。一方、計算した位置推定量を検定・更新部4が更新位置推定量とした場合には、推定部3は、更新位置推定量と推定部3自身が出力した位置推定量とを複合して高精度な実数波数の推定を行えばよい(つまり、複合を次のエポックに持ち越して行えばよい)。
変換部7は、検定・更新部4が出力した更新位置推定量を入力として、適切な座標系や時系列に受信機の推定位置を処理装置により変換して、出力する。
【0012】
推定部3は、基本構成としてカルマンフィルタの構成を備える。このフィルタを、測位装置100の特長である、整数波数を用いて計算した高精度の位置推定量や整数波数を使用する構成に変更することで、位置及び実数波数の推定において収束時間を短縮する事や精度を向上する事を可能とする。以下にその構成と動作を説明する。
【0013】
簡略化した条件下の推定量で構成した観測方程式を用いて推定部3の動作を説明する。ここで推定量とは、状態変数と共分散行列とである。条件を詳細に設定した観測方程式に対しても、以下の説明に基づき推定部3を応用する事ができる。
受信機が受信する周波数を1種類として、移動局を基準局近傍に静止していると近似する。すると、エポックkにおける推定量の1つである状態変数x(k)は、相対位置p(k)と衛星数i(k)の一重差観測量に対応する実数波数N(k)とから構成できる。そして、距離換算の一重差観測量y(k)は以下の方程式になる。
【0014】
【数1】

I(i)はi行i列の単位行列を示す。
は行列Aの転置を示す。
v(k)は観測雑音を示す。
観測行列H(k)は、i(k)行3列の、各衛星位置を受信機位置から見た方向余弦行列A(k)と、搬送波の波長λを乗じたI(i(k))に等しいL(k)とから構成される。
N(k)の要素であるn(1、k)からn(i(k)、k)は、i(k)種類の各観測衛星に対応した一重差実数波数を示す。
より明確に記述する為に要素数i(k)となる衛星番号リストS(k)を対応づけると、n([1、2、...、i(k)]、k)は、n(S(k)、k)と言い換えられる。ここでS(k)の要素をs(1、k)の様に記す。
【0015】
【数2】

【0016】
各エポックのカルマンフィルタ計算は、推定量の予測計算(又は時間更新計算)と更新計算(又は観測更新計算)とを順番に実行する事で実現される。Aは中間結果となる予測計算後の推定量を示し、Aはカルマンフィルタ出力となる更新計算後の推定量を示す。
以下にエポック(k−1)からエポックkに移行する予測計算式を示す。
【0017】
【数3】

Ph(k−1、k)はエポック(k−1)からエポックkへの状態遷移行列を示す。
P(k)は、エポックkの推定量の1つである共分散行列を示す。
Q(k−1、k)は、エポック(k−1)からエポックkへの状態遷移時のシステム雑音行列を示す。
N0(k)とP0(k)とは、観測衛星が変化した際のNとPの初期値を示す。
観測衛星が変化しない場合のPh(k−1、k)は、I(3+i(k))となる。また観測衛星が変化しない場合と減少する場合とのN0は、O(i(k)、1)となり、P0はO(i(k))となる。
ここで、O(i、j)はi×jの零行列を示す。また、O(i)はi×iの零行列を示す。
観測衛星が増加する場合のN0はO(i(k)、1)の追加される衛星の初期値に相当する要素が設定された行列である。
P0は、対角要素が対応する衛星の初期値で他の要素が0の正方行列となる。
観測衛星が変化する場合のPh(k−1、k)が、相対位置推定量p(x)の変換行列I(3)と、Nの要素の変更に対応した一重差実数波数N(k)の変換行列T(S(k−1)、S(k))とから構成されるのは自明である。
Ph(k−1、k)を以下に示す。
【0018】
【数4】

【0019】
衛星数が減少するSの例と対応するT(S(k−1)、S(k))、N0(k)及びP0(k)を以下に示す。
【0020】
【数5】

【0021】
新しく観測された衛星に対応する実数波数と共分散行列は、適切な値を初期値に設定する事になる。このようなSの例と対応するT(S(k−1)、S(k))、N0(k)及びP0(k)を以下に示す。ここで、diag(v)は対角要素がvで他の要素が0となる正方行列である。
【0022】
【数6】

観測行列Hの構成も変更が必要だが、これは新しい観測衛星のリストS(k)に対応する方向余弦行列A(k)を生成すれば良い。L(k)は新しい観測衛星数に対応してλI(i(k))となる。
【0023】
次に更新計算式を示す。
【0024】
【数7】

inv(A)は、Aの逆行列を示す。
R(k)は、観測雑音行列を示す。
dz(k)は、(観測量−予測観測量)に等しい観測量残差を示す。
Kは、カルマンゲインを示す。
【0025】
以上の動作を行う推定部3が備える各機能について説明する。図3は、推定部3の機能を示す機能ブロック図である。
推定部3は、遅延処理部11、予測計算部12、変換処理部13、残差計算部14、更新計算部15を備える。変換処理部13は、観測量管理部20、衛星管理部21、各種行列管理部22、推定量管理部23、整数波数管理部24を備える。残差計算部14は、残差候補計算部25、閾値計算部27、異常量棄却部28を備える。更新計算部15は、カルマンゲイン計算部29、状態変数更新処理部30、共分散行列更新処理部31を備える。
【0026】
遅延処理部11は、前処理後観測量以外の推定部3への入力(つまり、検定・更新部4が出力した更新位置推定量と更新整数波数と、推定部3自身が出力した位置推定量、実数波数推定量)を入力として、これを蓄積し、蓄積された前時刻入力を出力する。これは、計算対象エポックをひとつ進めて入力に前エポックの出力を用いる事に相当する。
【0027】
予測計算部12は、遅延処理部11が出力した前時刻入力に含まれる位置推定量と実数波数推定量とを用いて現時刻の各推定量の値(予測推定量)を処理装置により予測(計算)し、出力する。これは推定量の予測計算の一部に相当する。予測計算部12は、後に示す図4に示す機能により、更新位置推定量を用いて予測計算性能を向上する。
【0028】
変換処理部13は、前時刻入力に含まれる整数波数(更新整数波数)と予測計算部12出力の予測推定量を入力として、現時刻の推定フィルタ計算に必要な整数波数処理後観測量と処理後予測推定量とを処理装置により計算して、出力する。これも予測計算の一部であり、観測衛星の変更に伴う変数変換に相当する。
衛星管理部21は、前処理後観測量を用いて現時刻に観測されて使用可能な衛星を認識し、記憶装置に記憶する。衛星管理部21は、使用可能な衛星の情報に基づき、整数波数及び予測推定量から使用可能な衛星に対応する情報だけを処理装置により抽出する。衛星管理部21は、前時刻に使用していない衛星が使用可能な場合は、実数波数予測推定量に適切な初期値を設定して出力する。
各種行列管理部22は、推定部3の各部が共用する行列を記憶装置に記憶する。
観測量管理部20は、前処理後観測量に整数波数を用いた処理を処理装置により行い、整数波数処理後観測量を生成する。そして、観測量管理部20は、後続する残差計算部14と更新計算部15とに対して、前処理観測量の代わりとなる整数波数処理後観測量を出力する。観測量管理部20について詳しくは後述する。
【0029】
なお、前処理後観測量が二重差観測量である場合は、差分の対象となる基準衛星を設定する必要がある。衛星管理部21は、前処理後観測量が二重差観測量である場合の差分の対象となる基準衛星を記憶装置で管理する。
各種行列管理部22と推定量管理部23と整数波数管理部24とは、基準衛星を変更する場合に、処理装置により適切な変換処理を行う。この場合の位置推定量は、二重差変数に対応した二点間距離(基線)及びその時間変化率等となる。
【0030】
残差計算部14は、整数波数処理後観測量と変換処理部13が出力した整数波数処理後観測量と処理後予測推定量とから、これに対応する予測観測量との差分、すなわち観測量残差dz(k)を処理装置により計算する。また、残差計算部14は、計算した観測量残差dz(k)が異常に大きい場合を検出して、観測量残差dz(k)を処理装置により棄却する。
残差候補計算部25は、処理後予測推定量に含まれる処理後予測状態変数と整数波数処理後観測量とを入力として、観測量残差候補を処理装置により計算して、出力する。観測量残差候補は、各種行列管理部22で管理する観測行列Hであって、推定量から出力に変換する観測行列Hを、処理後予測状態変数に乗じて予測観測量を計算し、計算した予測観測量を整数波数処理後観測量から減算することで計算される。
閾値計算部27は、残差候補計算部25の処理と並行して、処理後予測状態変数と整数波数処理後観測量と各種行列管理部22で管理している行列とを用いて、観測量残差の期待値を処理装置により計算し、この値を用いて異常値を判定するための判定閾値を計算して、出力する。
異常量棄却部28は、残差候補計算部25が出力した観測量残差候補と、閾値計算部27が出力した判定閾値とを処理装置により比較して、観測量残差の異常を検出し異常値を棄却して出力する。
【0031】
更新計算部15は、残差計算部14が出力した観測量残差と、変換処理部13が出力した処理後予測推定量と整数波数処理後観測量と、各種行列管理部22で管理している行列とを用いて、推定量を処理装置により計算して、出力する。
カルマンゲイン計算部29は、推定量の計算に用いるカルマンゲイン(状態推定変数)を処理装置により計算して、出力する。
状態変数更新処理部30は、カルマンゲイン計算部29が出力したカルマンゲインと処理後予測状態変数とに基づき、状態変数を処理装置により更新する。
共分散行列更新処理部31は、カルマンゲイン計算部29が出力したカルマンゲインと処理後予測推定量に含まれる処理後予測共分散行列と観測量残差とに基づき、共分散行列を処理装置により更新する。
【0032】
次に、推定計算を必要としなくなった実数波数を推定量から除外する事で推定量規模を縮小する処理について説明する。推定量規模を縮小することで、収束時間の短縮や高精度化が可能となる。
【0033】
推定量管理部23は、新たに整数波数が確定した観測量に対応する実数波数推定量を処理装置により除外する。併せて、各種行列管理部22は、対応する各種行列を変更する。説明のために上述した観測方程式を以下に再掲する。
【0034】
【数8】

式8の右部から整数波数が確定した衛星の実数波数を除外するには、以下の式9のように、観測量から確定した整数波数に相当する量λNi(k)をあらかじめ除外する方法がある。ここで、Ni(k)は確定した整数波数を示す。この結果、推定量から実数波数N(k)を除外できる。つまり、
【0035】
【数9】

となる。
【0036】
これを実現するには、残差計算部14及び更新計算部15での処理に先立って、前処理後観測量から整数波数に対応する量を除外する。観測量管理部20はこの処理(つまり、前処理後観測量から整数波数に対応する量を除外する処理)を行う。観測量管理部20は、前処理後観測量から整数波数に対応する量を除外する処理の出力を整数波数処理後観測量として、前処理後観測量の代わりに残差計算部14と更新計算部15とへ出力する。
式9は全ての観測衛星で整数波数が確定した場合である。しかし、実際は右部にも整数波数が確定していない衛星の実数波数が含まれるし、左部の整数波数も確定した衛星の要素以外は0となる。
整数波数が確定した衛星は、推定量計算対象の衛星リストから除外できるが、観測衛星リストからは除外しない。つまり観測方程式からは除外しない。したがってこの観測方程式を実現する為には2種類の衛星リストが必要になる。ここで、観測衛星リストS(k)と衛星数i(k)を、実数波数衛星リスト及び実数波数衛星数と再定義し、これに加えて、観測衛星リストS2(k)と観測衛星数i2(k)を定義する。この結果として、観測行列H、及び観測量の構成が変更される。状態遷移行列Phは、S(k)及びi(k)を新しい定義に読み替える事で同じ式となる。
【0037】
【数10】

y2(k)は整数波数処理後観測量である。
ni(i、k)はエポックkで確定している整数波数Ni(k)の要素であり、各衛星iの整数波数を示す。整数波数が確定していない衛星iでは0とする。
【0038】
次に、予測推定量を高精度化する処理について説明する。図4は、予測計算部12の機能を示す機能ブロック図である。予測計算部12は、推定量複合部32、推定量予測部33を備える。
予測計算部12において、前時刻推定量と、整数波数を用いて検定・更新部4が計算した高精度な更新位置推定量とを複合する事で、予測推定量の一部である位置推定量を高精度化することが可能となる。
推定量複合部32は、前時刻位置推定量と更新位置推定量とを複合して複合位置推定量を処理装置により計算して、出力する。
推定量予測部33は、推定量複合部32が出力した複合位置推定量と、前時刻実数波数推定量とに対して状態遷移行列を用いた予測計算を処理装置により行い、予測推定量を出力する。
複合位置推定量は、推定部3で推定した前時刻位置推定量よりも高精度化しているので、結果として実数波数の推定結果が高精度化される。
【0039】
推定量複合部32が複合計算する方法は幾つか考えられるが、例えば、2つの入力を重み付け加算する事で高精度化の効果を容易に得られる。以下に複合計算の例を示す。
【0040】
【数11】

pi(k)は、前記更新位置推定量である。
w(k)は、1以下の正数で表現した重み付け係数である。
【0041】
なお、上述したように、計算した位置推定量と推定部3が出力した位置推定量とを複合して検定・更新部4が更新位置推定量を計算した場合には、推定部3は、更新位置推定量のみを用いればよい。
【0042】
以上のように、この実施の形態に係る測位装置100によれば、整数波数が確定した観測量の実数波数推定量を推定対象から除外し、かつ確定した値として整数波数を入力する事と、予測推定量と更新位置推定量とを複合する事で、より正確な値を用いた推定計算が可能である。また、この結果として推定部3の収束時間は従来と比して短縮され、高精度化される。また、実数波数推定機能の改良により整数波数の信頼性が高くなり、位置推定精度も高くなるとともに、収束時間も短縮される。
【0043】
実施の形態2.
この実施の形態では、実施の形態1とは異なる方法により推定量規模を縮小する方法について説明する。
【0044】
図5はこの実施の形態に係る推定部3の機能を示す機能ブロック図である。
推定量管理部23に整数波数管理部24の出力が入力されている事と、観測量管理部20が無く、前処理観測量を直接に残差計算部14と更新計算部15とへ入力する事が、実施の形態1に係る推定部3と異なる。
【0045】
推定量管理部23は、新たに整数波数が確定した観測量に対応する実数波数推定量を整数波数に処理装置により固定する。
併せて、各種行列管理部22は、推定量に含まれる固定された整数波数を更新計算の対象から外すように、対応する各種行列を処理装置により変更する。
この結果、整数波数が確定している観測量も対応する実数波数予測推定量を確定した整数値として持つ事になる。このような処理を行う事で実施の形態1にあるような、残差計算部14及び更新計算部15での処理に先立って、前処理後観測量から整数波数に対応する量を除去しておく必要がなくなる。この結果として、前処理手順を簡略化することが可能になる。
【0046】
実施の形態3.
この実施の形態では、補強センサ50で計測した位置推定量を推定部3の入力とすることで、推定精度を改善する測位装置100について説明する。
【0047】
図6は、この実施の形態に係る測位装置100の機能を示す機能ブロック図である。
この実施の形態に係る測位装置100は、実施の形態1に係る測位装置100とは、推定部3の入力に補強センサ50が出力した位置推定量を推定部3へ入力する事が異なる。この実施の形態に係る測位装置100では、衛星測位方式以外の方法で対象の位置推定量が得られる場合に、これを併用する事で推定精度を改善する事が可能となる。
【0048】
図7は、この実施の形態に係る推定計算部1の機能の一部を示す機能ブロック図である。
補強センサ50が出力した位置推定量は、推定量複合部51に入力される。推定量複合部51は、補強センサ50が出力した位置推定量により、予測計算部12が出力した予測推定量の精度を処理装置により向上し高精度予測推定量を計算して、出力する。推定量複合部51が出力した高精度予測推定量は、他の実施例における予測計算部12が出力した予測推定量に置換わり変換処理部13に入力される。
【0049】
予測計算部12の出力である予測推定量は、前時刻の推定量を基に予測した量なので、位置計算対象の運動の予測が困難な条件では誤差が拡大する。一般的な補強センサ50は、実時間で位置計算対象の運動変化を高精度に検出できるのが特長である。この位置推定量出力を予測計算部12が出力した予測推定量に複合する事で推定量の精度を向上する事が可能になる。複合計算方法は幾つか考えられるが、2つの入力を重み付け加算する事で高精度化の効果を容易に得られる。
【0050】
以上のように、衛星測位方式以外の方法で対象の位置推定量が得られる場合に、その位置推定量と、予測計算部12が出力した予測推定量と複合する事で、推定値の収束時間や精度を改善する事が可能となる。
【0051】
以上の実施の形態をまとめると次のようになる。
測位装置100は、搬送波位相のアンビギュイティおよび受信機位置や速度等を推定する衛星測位方式において、既に確定しているアンビギュイティやこれを用いて計算した推定位置等を用いて未確定のアンビギュイティおよび受信機位置の推定性能(推定値の収束時間、位置精度など)を改善する。
【0052】
また、測位装置100は、推定対象から確定アンビギュイティが得られているアンビギュイティ変数を外すことで推定対象の規模を小さくする。
【0053】
さらに、測位装置100は、推定対象内の確定アンビギュイティが得られているアンビギュイティ変数を確定値に固定することで推定対象の規模を小さくする。
【0054】
また、さらに、測位装置100は、推定対象内の受信機位置や速度等を、確定アンビギュイティを用いて計算した受信機位置や速度等と組合せて修正する。
【0055】
次に、上記実施の形態における測位装置100のハードウェア構成について説明する。
図8は、測位装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8に示すように、測位装置100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、LCD901(Liquid Crystal Display)、キーボード902、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
【0056】
ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913とRAM914と磁気ディスク装置920とは、記憶装置の一例である。通信ボード915とキーボード902とは、入力装置の一例である。また、通信ボード915は、出力装置の一例である。さらに、通信ボード915は、通信装置の一例である。また、さらに、LCD901は、表示装置の一例である。また、上記の通り、CUP901は、処理装置の一例である。さらに、処理装置には、加算器、減算器、乗算器、除算器等の回路も含む。
【0057】
磁気ディスク装置920又はROM913などには、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0058】
プログラム群923には、上記の説明において「推定計算部1」、「整数波数探索部2」、「観測量取得部5」、「前処理部6」、「変換部7」等として説明した機能を実行するプログラムやその他のプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、上記の説明において「観測量」、「前処理後観測量」、「位置推定量」、「実数波数推定量」、「整数波数候補」、「整数波数」、「波数検定結果」、「更新位置推定量」、「更新整数波数」、「予測推定量」、「処理後予測推定量」、「予測間測量」、「判定閾値」、「観測量残差」、「推定量補償量」、「推定量出力」等として説明した情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「ファイル」や「データベース」の各項目として記憶される。「ファイル」や「データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPU911の動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPU911の動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、上記の説明におけるフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、その他光ディスク等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0059】
また、上記の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。また、「〜装置」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」、「〜機能」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。さらに、「〜処理」として説明するものは「〜ステップ」であっても構わない。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、ROM913等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、上記で述べた「〜部」としてコンピュータ等を機能させるものである。あるいは、上記で述べた「〜部」の手順や方法をコンピュータ等に実行させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】測位装置100の基礎となる測位装置101の機能を示す機能ブロック図。
【図2】実施の形態1に係る測位装置100の機能を示す機能ブロック図。
【図3】実施の形態1に係る推定部3の機能を示す機能ブロック図。
【図4】実施の形態1に係る予測計算部12の機能を示す機能ブロック図。
【図5】実施の形態2に係る推定部3の機能を示す機能ブロック図。
【図6】実施の形態3に係る測位装置100の機能を示す機能ブロック図。
【図7】実施の形態3に係る推定部3の機能の一部を示す機能ブロック図。
【図8】測位装置100のハードウェア構成の一例を示す図。
【符号の説明】
【0061】
1 推定計算部、2 整数波数探索部、3 推定部、4 検定・更新部、5 観測量取得部、6 前処理部、7 変換部、11 遅延処理部、12 予測計算部、13 変換処理部、14 残差計算部、15 更新計算部、20 観測量管理部、21 衛星管理部、22 各種行列管理部、23 推定量管理部、24 整数波数管理部、25 残差候補計算部、27 閾値計算部、28 異常量棄却部、29 カルマンゲイン計算部、30 状態変数更新処理部、31 共分散行列更新処理部、32 推定量複合部、33 推定量予測部、50 補強センサ、51 推定量複合部、100,101 測位装置、201 推定計算部、202 実数波数推定部、204 検定部、205 位置推定部、206 二重差処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位衛星が送信する信号の搬送波位相を利用して複数の受信機間の相対位置を計測する測位装置であり、
複数の受信機の各受信機が受信した上記信号から得られる上記各受信機についての観測量を取得して記憶装置に記憶する観測量取得部と、
上記観測量取得部が取得した観測量と、上記複数の受信機が受信した信号の搬送波位相距離の整数部分である波数のうち既に決定している波数である整数波数とに基づき、上記複数の受信機が受信した信号の波数の推定量と受信機の位置と受信機の運動に関する推定量との少なくともいずれかを処理装置により計算する推定部と、
所定の方法により、上記推定部が計算した推定量に対応する波数を処理装置により決定する整数波数決定部と
を備えることを特徴とする測位装置。
【請求項2】
上記推定部は、上記整数波数決定部が決定した波数を整数波数として推定量を計算する
ことを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
上記推定部は、前回計算した推定量と、上記整数波数決定部が決定した波数に基づき計算された推定量とを複合した推定量に基づき、推定量を計算する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の測位装置。
【請求項4】
上記推定部は、上記複数の受信機が受信した信号の波数から上記整数波数に対応する波数を除いた波数の推定量を計算する
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の測位装置。
【請求項5】
上記推定部は、上記複数の受信機が受信した信号の波数のうち上記整数波数に対応する波数の値を上記整数波数の値に固定して、推定量を計算する
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の測位装置。
【請求項6】
上記推定部は、上記観測量と上記整数波数とに加え、さらに衛星測位方式以外の方式により得た位置情報又は速度情報に基づき推定量を処理装置により計算する
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の測位装置。
【請求項7】
測位衛星が送信する信号の搬送波位相を利用して複数の受信機間の相対位置を計測する測位方法であり、
複数の受信機の各受信機が受信した上記信号から得られる上記各受信機についての観測量を取得する観測量取得ステップと、
上記観測量取得ステップで取得した観測量と、上記複数の受信機が受信した信号の搬送波位相距離の整数部分である波数のうち既に決定している波数である整数波数とに基づき、上記複数の受信機が受信した信号の波数の推定量を計算する推定ステップと、
所定の方法により、上記推定ステップで計算した推定量に対応する波数を決定する整数波数決定ステップと
を備えることを特徴とする測位方法。
【請求項8】
測位衛星が送信する信号の搬送波位相を利用し て複数の受信機間の相対位置を計測する測位プログラムであり、
複数の受信機の各受信機が受信した上記信号から得られる上記各受信機についての観測量を取得する観測量取得処理と、
上記観測量取得処理で取得した観測量と、上記複数の受信機が受信した信号の搬送波位相距離の整数部分である波数のうち既に決定している波数である整数波数とに基づき、上記複数の受信機が受信した信号の波数の推定量を計算する推定処理と、
所定の方法により、上記推定処理で計算した推定量に対応する波数を決定する整数波数決定処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする測位プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−294067(P2009−294067A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147683(P2008−147683)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】