説明

測位装置および測位方法

【課題】測位側が自方の電波送信を行う送信アンテナを不要とし、他のセンサに自身の位置等を探知される被探知確率の軽減化を図る。
【解決手段】目標電波源1が放出する送信信号2を中央センサ3および周辺センサ6a,6bで受信し、当該送信信号2に受信時刻を付加して記録する。当該受信時刻のデータと、目標電波源1と中央センサ3との伝搬距離および目標電波源1と周辺センサ6a,6bとの伝搬距離の違いとにより決定付けられる電波の各到来時間差を算出し、算出された到来時間差を用いて、等時間差線を求め、それの交点を目標電波源1の位置として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は測位装置および測位方法に関し、特に、周波数が未知の電波源の位置を特定するための測位装置および測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレーダ装置は、信号特性が既知の自方の送信アンテナが電波を送信し、その電波の反射信号を受信して送信信号との相関を求めることで固定目標や移動目標などの方位・位置・速度などを推定する。このとき、下記の非特許文献1にあるようなマルチスタティックレーダ構成を用いることで、送信アンテナ(非特許文献1のFig.1中のTX)のみが目標(同Fig.1中のRadar Cell)に向けて電波を送信し、周辺センサ(同Fig.1中のR1,R2,・・・,Rj,RN)は送信アンテナが送信した電波の反射波を受信するのみで、電波を送信することがないので、これらの周辺センサは位置や方位を(電波により)他のセンサに探知される確率(被探知確率)が減少する。また、周辺センサには送信装置が不要であるため、センサ全体の小型・軽量・低消費電力化が図れるというメリットも持つ。
【0003】
非特許文献1に記載のマルチスタティックレーダ構成の一形態である従来のレーダ装置の動作を図13〜図15を用いて説明する。
【0004】
図13において、10は送信および受信動作を交互に行う中央センサであり、非特許文献1に記載の送信アンテナTXと周辺センサR1,R2,・・・,Rl,RNのうちのどれか一つを統合したものである。11a,11bは、(中央センサ10以外の)受信動作のみを行う周辺センサ、9は測位対象とする目標、100は中央センサ10のみから目標9に向けて放出される送信電波、200は送信電波100が目標9に当たって反射することによって生成され中央センサ10へ到達する直接反射波、500は送信電波100が目標9に当たって反射することによって生成され周辺センサ11a,11bへ到達する間接反射波、7aは周辺センサ11aに記録され、そこから中央センサ10に送信されるデータ信号(目標反射信号)、7bは周辺センサ11bに記録され、そこから中央センサ10に送信されるデータ信号(目標反射信号)、8aは中央センサ10と周辺センサ11a間の到来時間差τ−τから生成される等時間差線、8bは中央センサ10と周辺センサ11b間の電波到来時間差τ−τから生成される等時間差線である。
【0005】
図14は、図13に示した中央センサ10の内部構成を示した図であり、101は目標9に対して送信電波100を放出する送信アンテナ、102は送信アンテナ101を駆動させる送信機、31は目標9からの直接反射波200を受信する受信アンテナ、33は周辺センサ11a,11bとの間の通信を制御する通信制御部、34a,34bは通信制御部33に接続された周辺センサ11a,11bとのリンク用アンテナ、35は受信アンテナ31で受信された直接反射波200が入力される狭帯域受信機、36は直接反射波200の観測時刻を示す情報(以下、観測時刻情報とする。)を出力する時計、37は狭帯域受信機35で受信された直接反射波200の信号とそれの観測時刻情報とを記録するデータ記録部、38は周辺センサ11a,11bで観測された間接反射波5の観測時刻とデータ記録部37に記録されている観測時刻との差(到来時間差)を算出する時間差算出部、39は時間差算出部38により得られた到来時間差を用いて等時間差線8a,8bを求めるとともに、それらの等時間差線8a,8bの交点を目標9の測位結果として出力する測位計算部、40は測位計算部39の測位結果を表示する表示部である。
【0006】
図15は、図13に示した周辺センサ11(11aおよび11b)の内部構成を示した図であり、61は間接反射波500を受信する受信アンテナ、62は中央センサ10とのリンク用アンテナ、63はリンク用アンテナ62に接続された通信制御部、65は受信アンテナ61で受信された間接反射波500が入力される狭帯域受信機、66は間接反射波500の観測時刻を示す情報(以下、観測時刻情報)を出力する時計、67は狭帯域受信機65で受信された間接反射波500の信号とそれの観測時刻情報とを記録するデータ記録部、7は周辺センサ11により受信されデータ記録部67に保存されるとともに中央センサ10に送信されるデータ信号(目標反射信号)である。
【0007】
次に動作について説明する。なお、この種の動作は通常はX、Y、Zの3次元空間における現象であるが、説明を簡略化するため、ここではX、Yの2次元空間モデルとして説明を行う。また、図13では周辺センサの台数を2としているが、その場合に限らず、ここでは2台以上であれば任意の個数で良いこととする。
【0008】
図13〜図15において、中央センサ10は送信アンテナ101と送信機102とを用いて送信信号100を放出する。送信信号100が目標9に当たると、目標9の形状や大きさ、移動速度などに依存した特定の反射波が生成され、一部は直接反射波200となって中央センサ10で受信され、他の一部は間接反射波500となって周辺センサ11a,11bに受信される。中央センサ10の受信アンテナ31を介して狭帯域受信機35で受信された直接反射波200の信号は時計36による観測時刻情報を付加したデジタルデータs(t)(tはサンプル番号)としてデータ記録部37に記録される。
【0009】
一方、周辺センサ11aでは、受信アンテナ61を介して狭帯域受信機65で受信された信号は時計66による観測時刻情報を付加した記録データs(t)としてデータ記録部67に記録される。同様に、周辺センサ11bでも、受信アンテナ61を介して狭帯域受信機65で受信された信号は時計66による観測時刻情報を付加した記録データs(t)としてデータ記録部67に記録される。
【0010】
こうしてデータ記録部67に記録データが記録されると、すべての周辺センサ11a,11bは、データ記録部67に記録された記録データを、自身の通信制御部63と中央センサ10に設けられた通信制御部33とを介して送信し、中央センサ10の時間差算出部38に集約させる。
【0011】
このとき、目標9の座標(X,Y)が未知数であり、中央センサ10の座標(X,Y)、周辺センサ11aの座標(X,Y)、周辺センサ11bの座標(X,Y)は他のGPS装置(図示せず)などから既知であるとする。
【0012】
目標9と中央センサ10および周辺センサ11の幾何学的配置により電波の伝搬経路長が異なるため、各センサ10,11で受信される信号は異なる伝搬時間を持つ。まず、中央センサ10から送信された送信信号100は目標9と中央センサ10との間の距離をR、光速をcとすると、送信アンテナ101から放出されて目標9に到達するには下記の式(1)に示す伝搬時間τを要する。
【0013】
【数1】

【0014】
次に、目標9に当たった送信信号100が目標9で反射され、周囲に再放射される。このうち、中央センサ10の受信アンテナ31に到達する信号s(t)の、送信アンテナ101から放出されて受信アンテナ31に到達するまでの伝搬時間は、目標9と中央センサ10との間の距離は同じくRであるので、往復時間となり、2τとなる。
【0015】
一方、目標9から周辺センサ11aの受信アンテナ61aに到達する信号s(t)は、目標9と周辺センサ11aとの間の距離をRとすると、下記の式(2)に示す伝搬時間τを要する。
【0016】
【数2】

【0017】
同様に、目標9から周辺センサ11bの受信アンテナ61bに到達する信号s(t)は、目標9と周辺センサ11bとの間の距離をRとすると、下記の式(3)に示す伝搬時間τを要する。
【0018】
【数3】

【0019】
中央センサ10内の時間差算出部38では、データ記録部37に記録された記録データs(t)と通信制御部33を介して周辺センサ11aから送信されてきたデータ信号s(t)とを用いて、下記の式(4)の評価関数を計算し、それの計算結果f(τ)が最大となる到来時間差τ−τを算出する。
【0020】
【数4】

【0021】
同様に、中央センサ10内の時間差算出部38では、データ記録部37に記録されたデータ信号s(t)と通信制御部33を介して周辺センサ11bから送信されてきたデータs(t)とを用いて、下記の式(5)の評価関数を計算し、それの計算結果g(τ)が最大となる到来時間差τ−τを算出する。
【0022】
【数5】

【0023】
中央センサ10内の測位計算部39は、時間差算出部38で得られた到来時間差τ−τが得られると、式(1)、式(2)より次式(6)が得られるので、当該式(6)を満足する未知数(X,Y)の軌跡を、等時間差線8aとして得る。
【0024】
【数6】

【0025】
同様に、中央センサ10内の測位計算部39は、時間差算出部38で得られた到来時間差τ−τが得られると、式(1)、式(3)より次式(7)が得られるので、当該式(7)を満足する未知数(X,Y)の軌跡を、等時間差線8bとして得る。
【0026】
【数7】

【0027】
測位計算部39は、最後に、2本の等時間差線8a,8bの交点を目標9の測位結果として得て、それを表示部40に表示する。
【0028】
【非特許文献1】Bradaric,G.T.Capraro,D.D.Weiner,and M.C.Wicks,“Multistatic Radar System Signal Processing,” 2006 IEEE Conference on Radar,April 2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
非特許文献1にあるような従来のマルチスタティックレーダ構成では、周辺アンテナは狭帯域を受信するのみで済むが、必ず既知の電波を送信する送信アンテナが少なくとも一つは必要である(上記の従来例では、中央センサ10の送信アンテナ101)。電波を送信するということは送信アンテナの位置や送信信号の諸元などの情報を周囲に散乱させているのと等価である。このため、送信アンテナの位置や情報が他のセンサに検知され、攻撃の対象となることが予想される。送信アンテナが攻撃されて機能しない状態では、従来のマルチスタティックレーダ全体の機能が停止するという問題点を持つ。
【0030】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、目標が電波を放出する場合、自方の電波送信を行う送信アンテナを不要とし、被探知確率を軽減できるという特徴を有した測位装置および測位方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
この発明は、位置および周波数が未知の電波源が送信する電波を観測して当該電波源を測位する測位装置であって、上記電波源からの電波を受信する中央センサと、
上記電波源からの電波を受信するとともに、上記中央センサに接続される1以上の周辺センサとを備え、上記周辺センサは、上記電波源が送信する電波を受信する第1の受信アンテナと、上記第1の受信アンテナによる受信信号をデジタルデータへ変換する第1の受信機と、上記受信信号の受信時刻を示す時刻情報を出力する第1の時計と、上記デジタルデータに上記第1の時計による上記時刻情報を付加して記録する第1のデータ記録部と、上記第1のデータ記録部に記録されたデジタルデータおよび上記時刻情報を上記中央センサに送出する第1の通信部とを含み、上記中央センサは、上記電波源が送信する電波を受信する第2の受信アンテナと、上記第2の受信アンテナによる受信信号をデジタルデータへ変換する第2の受信機と、上記受信信号の受信時刻を示す時刻情報を出力する第2の時計と、上記デジタルデータに上記第2の時計による上記時刻情報を付加して記録する第2のデータ記録部と、上記周辺センサに設けられた上記第1の通信部が送出する上記デジタルデータおよび上記時刻情報を受信する第2の通信部と、上記第2の通信部により受信した上記デジタルデータおよび上記時刻情報および上記第2のデータ記録部に記録された上記デジタルデータおよび上記時刻情報に基づいて、上記電波源と上記周辺センサ間および上記電波源と上記中央センサ間の伝搬距離の違いにより決定付けられる各到来時間差を算出する時間差算出部と、算出された各到来時間差を用いて各等時間差線を求め、それらの交点から上記電波源の位置を特定する測位計算部とを含んでいることを特徴とする測位装置である。
【発明の効果】
【0032】
この発明は、位置および周波数が未知の電波源が送信する電波を観測して当該電波源を測位する測位装置であって、上記電波源からの電波を受信する中央センサと、
上記電波源からの電波を受信するとともに、上記中央センサに接続される1以上の周辺センサとを備え、上記周辺センサは、上記電波源が送信する電波を受信する第1の受信アンテナと、上記第1の受信アンテナによる受信信号をデジタルデータへ変換する第1の受信機と、上記受信信号の受信時刻を示す時刻情報を出力する第1の時計と、上記デジタルデータに上記第1の時計による上記時刻情報を付加して記録する第1のデータ記録部と、上記第1のデータ記録部に記録されたデジタルデータおよび上記時刻情報を上記中央センサに送出する第1の通信部とを含み、上記中央センサは、上記電波源が送信する電波を受信する第2の受信アンテナと、上記第2の受信アンテナによる受信信号をデジタルデータへ変換する第2の受信機と、上記受信信号の受信時刻を示す時刻情報を出力する第2の時計と、上記デジタルデータに上記第2の時計による上記時刻情報を付加して記録する第2のデータ記録部と、上記周辺センサに設けられた上記第1の通信部が送出する上記デジタルデータおよび上記時刻情報を受信する第2の通信部と、上記第2の通信部により受信した上記デジタルデータおよび上記時刻情報および上記第2のデータ記録部に記録された上記デジタルデータおよび上記時刻情報に基づいて、上記電波源と上記周辺センサ間および上記電波源と上記中央センサ間の伝搬距離の違いにより決定付けられる各到来時間差を算出する時間差算出部と、算出された各到来時間差を用いて各等時間差線を求め、それらの交点から上記電波源の位置を特定する測位計算部とを含んでいることを特徴とする測位装置であるので、目標が電波を放出する場合、自方の電波送信を行う送信アンテナを不要とし、被探知確率を軽減できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る測位装置の構成を表す構成図であり、1は測位対象とする目標電波源、2は目標電波源1が送出する送信信号s1(t)、3は中央センサ、6a,6bは中央センサ3と伝送ケーブルで接続された周辺センサ、7aは周辺センサ6aで受信され中央センサ3へ送出されるデータ信号sa(t)、7bは周辺センサ6bで受信され中央センサ3へ送出されるデータ信号sb(t)、8aおよび8bはそれぞれ到来時間差τ−τ、およびτ−τから生成される等時間差線を表す。なお、図1では周辺センサ6の台数を2としているが、その場合に限らず、1台以上であれば任意の個数で良いこととする。
【0034】
図2は、図1に示した中央センサ3の詳細な構成を表す図であり、31は目標電波源1からの送信信号2を受信する受信アンテナ、34a,34bは周辺センサ6a,6bとのリンク用アンテナ、41は受信アンテナ31で受信された送信信号2をデジタルデータに変換する広帯域受信機、36は送信信号2の観測時刻を示す情報(以下、観測時刻情報とする。)を出力する時計、37は広帯域受信機41で受信された送信信号2とそれの観測時刻情報とを記録するデータ記録部、38は周辺センサ6a,6bで観測された送信信号2の観測時刻とデータ記録部37に記録されている観測時刻との差(到来時間差)を算出する時間差算出部、39は時間差算出部38により得られた到来時間差を用いて等時間差線8a,8bを求めるとともに、それらの等時間差線8a,8bの交点を目標9の測位結果として出力する測位計算部、40は測位計算部39の測位結果を表示する表示部である。なお、ここで、広帯域受信機41は、予め比較的広く設定された所定の周波数帯域の電波が受信できる受信機である。目標電波源1が送出する電波の周波数は一般的に未知であることが多いため、送信信号2を出来るだけ受信しやすくするために、広い周波数帯域をカバーできる広帯域受信機41を用いることが望ましい。
【0035】
図3は、図1の周辺センサ6の詳細な構成を表す図であり、61は目標電波源1からの送信信号2を受信する受信アンテナ、62は中央センサ10とのリンク用アンテナ、70は受信アンテナ61で受信された送信信号2をデジタルデータに変換する広帯域受信機、66は送信信号2の観測時刻を示す情報(以下、観測時刻情報)を出力する時計、67は広帯域受信機70で受信された送信信号2とそれの観測時刻情報とを記録するデータ記録部、7は受信アンテナ61により受信されデータ記録部67に保存されるとともに中央センサ3に送信されるデータ信号である。広帯域受信機70は、広帯域受信機41と同様の理由により、予め比較的広く設定された所定の周波数帯域の電波が受信できる受信機であることが望ましい。
【0036】
次に動作について説明する。目標電波源1の位置を特定する原理は、従来技術で述べた図13〜図15の各センサの動作と同様であるが、ここでは、目標電波源1が送信信号2(s(t))を送出するため、従来技術で述べた自方からの送信信号100を生成するための送信アンテナ101や送信機102が不要である。つまり、本実施の形態1においては、測位装置の中央センサが自方からは情報を送出しないため、他方のセンサによる被探知確率を軽減できるとメリットを持つ。同時に、中央センサが小型・軽量・低価格・低消費電力化できるというメリットもあわせ持つ。
【0037】
図1〜図3において、目標電波源1が送信信号2を放出する。送信信号2の一部は中央センサ3で受信され、他の一部は周辺センサ6a,6bにより受信される。中央センサ3の受信アンテナ31を介して広帯域受信機41で受信された送信信号2は、時計36による観測時刻情報が付加され、デジタルデータs(t)(tはサンプル番号)としてデータ記録部37に記録される。
【0038】
一方、周辺センサ6aでは、受信アンテナ61を介して広帯域受信機70で送信信号2が受信され、当該送信信号2は、時計66による観測時刻情報が付加されて、記録データs(t)としてデータ記録部67に記録される。同様に、周辺センサ6bでも、受信アンテナ61を介して広帯域受信機70で受信された送信信号2が時計66による観測時刻情報を付加した記録データs(t)としてデータ記録部67に記録される。
【0039】
こうしてデータ記録部67に記録データが記録されると、すべての周辺センサ6a,6bは、データ記録部67に記録された記録データを、自身の通信制御部63と中央センサ3に設けられた通信制御部33とを介して送信し、中央センサ3の時間差算出部38に集約させる。
【0040】
このとき、目標電波源1の座標(X,Y)が未知数であり、中央センサ3の座標(X,Y)、周辺センサ6aの座標(X,Y)、周辺センサ6bの座標(X,Y)は他のGPS装置(図示せず)などから既知であるとする。
【0041】
目標電波源1と中央センサ3および周辺センサ6の幾何学的配置により電波の伝搬経路長が異なるため、各センサ3,6で受信される信号は異なる伝搬時間を持つ。中央センサ3で受信された送信信号2は目標電波源1と中央センサ3との間の距離をR、光速をcとすると、目標電波源1から放出されて中央センサ3に到達するには上記の式(1)に示す伝搬時間τを要する。
【0042】
一方、目標電波源1から周辺センサ6aの受信アンテナ61に到達する信号s(t)は、目標電波源1と周辺センサ6aとの間の距離をRとすると、上記の式(2)に示す伝搬時間τを要する。
【0043】
同様に、目標電波源1から周辺センサ6bの受信アンテナ61に到達する信号s(t)は、目標電波源1と周辺センサ6bとの間の距離をRとすると、上記の式(3)に示す伝搬時間τを要する。
【0044】
中央センサ3内の時間差算出部38では、データ記録部37に記録された記録データs(t)と通信制御部33を介して周辺センサ6aから送信されてきたデータ信号s(t)とを用いて、上記の式(4)の評価関数を計算し、それの計算結果f(τ)が最大となる到来時間差τ−τを算出する。
【0045】
同様に、中央センサ3内の時間差算出部38では、データ記録部37に記録されたデータ信号s(t)と通信制御部33を介して周辺センサ6bから送信されてきたデータs(t)とを用いて、上記の式(5)の評価関数を計算し、それの計算結果g(τ)が最大となる到来時間差τ−τを算出する。
【0046】
また、中央センサ3内の測位計算部39は、時間差算出部38で得られた到来時間差τ−τが得られると、式(1)、式(2)より上記の式(6)が得られるので、式(6)を満足する未知数(X,Y)の軌跡を、等時間差線8aとして得る。
【0047】
同様に、中央センサ3内の測位計算部39は、時間差算出部38で得られた到来時間差τ−τが得られると、式(1)、式(3)より上記の式(7)が得られるので、式(7)を満足する未知数(X,Y)の軌跡を、等時間差線8bとして得る。
【0048】
測位計算部39は、こうして得られた2本の等時間差線8a,8bの交点を求め、それを目標電波源1の測位結果として、表示部40に表示する。なお、測位計算部39では、目標電波源1の位置を求めるだけでなく、位置を求めれば自ずと目標電波源1の方位も求めることができ、また、位置の時間的推移により目標電波源1の速度も計算することができることは言うまでもない。
【0049】
以上のように、本実施の形態1においては、中央センサ3に送信手段を設けず、周辺センサ3および周辺センサ6が目標電波源1からの送信信号を受信して、それに基づいて、目標電波源1の測位を行う構成としたので、中央センサ3および周辺センサ6のいずれからも情報を送出しないため、それらのセンサの位置や情報が他のセンサによって検知される被探知確率を大幅に軽減でき、攻撃等の対象となることを未然に防止することができる。また、中央センサにおいて送信アンテナや送信機等の送信手段がすべて不要となったため、中央センサの小型化・軽量化・低価格化・低消費電力化ができるという効果も得られる。
【0050】
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2に係る測位装置の構成を表す構成図であり、1は測位対象とする目標電波源、2は目標電波源1が送出する送信信号s1(t)、4,4a,4bは中央センサ3が検出して周辺センサ6a,6bへ配信される目標電波源1が送出する電波の周波数情報、7aは周辺センサ6aで送信信号2が受信され中央センサ3へ送出されるデータ信号sa(t)、7bは周辺センサ6bで送信信号2が受信され中央センサ3へ送出されるデータ信号sb(t)、8aおよび8bは到来時間差τ−τおよびτ−τから生成される等時間差線を表す。
【0051】
図5は中央センサ3の詳細な構成を表す図であり、32は受信アンテナ31で受信した目標電波源1が送出する送信信号2の中心周波数あるいは帯域幅を検出して周波数情報4として出力する周波数検出部、33は周辺センサ6との間の通信の制御を行う通信制御部、34は通信制御部33の制御に基づく通信を行うための周辺センサ6とのリンク用アンテナ、35は所定の帯域幅の電波のみを受信して、それをデジタルデータに変換する狭帯域受信機、42は周波数検出部32からの周波数情報に基づいて、周波数検出部32が検出した周波数特性(中心周波数または帯域幅)を持つ信号のみを抽出して狭帯域受信機35に与える周波数選定部である。なお、符号31,36〜40の構成は、図1に示したものと同等のもので、動作も同じであるため、同一符号を付して示し、ここではその説明を省略する。
【0052】
図6は周辺センサ6の詳細な構成を表す図であり、62は後述の通信制御部63に接続された中央センサ3とのリンク用アンテナ、63はリンク用アンテナ62の制御を行う通信制御部、64は中央センサ3内の周波数検出部32からの周波数情報に基づいて周波数検出部32が検出した周波数特性(中心周波数または帯域幅)を持つ信号のみを抽出して狭帯域受信機65に与える周波数選定部、65は周波数選定部64により与えられる所定の帯域幅の電波のみを受信して、それをデジタルデータに変換する狭帯域受信機である。なお、符号61,66,67の構成は、図1に示したものと同等のもので、動作も同じであるため、同一符号を付して示し、ここではその説明を省略する。
【0053】
次に動作について説明する。上述の実施の形態1で説明したように、目標電波源1が送出する電波の周波数は測位装置側から見ると、多くの場合、未知の情報であるため、測位装置側の受信機は広い周波数帯域をカバーできる広帯域受信機とすることが望ましい。しかしながら、一般的に、受信機ノイズの主要因である白色ガウス雑音成分は受信機の周波数帯域に比例して増加するため、受信機がカバーする周波数帯域が広くなるとそれだけ目標信号の電力とノイズ電力の比であるSNR(Signal−to−Noise Ratio)が劣化し、目標の検出や方位・位置・速度の推定精度が悪化するという欠点がある。さらに、広帯域受信機は広い周波数帯域をカバーするために狭帯域受信機よりも大型・重量・消費電力が大きく、さらにサーチする周波数範囲が広いため、全帯域を捜索するのに時間を要するという欠点がある。
【0054】
そのため、本実施の形態2では、以下の構成としている。すなわち、中央センサ3内の周波数検出部32で目標電波源1が送出する電波(すなわち、送信信号2)の中心周波数や帯域幅といった周波数情報4を検出し、中央センサ3内の周波数選定部41および通信制御部33に伝送する。中央センサ3内の通信制御部33は、中央センサ3内のリンク用アンテナ34、周辺センサ6内のリンク用アンテナ62、および、周辺センサ6内の通信制御部63を介して、周辺センサ6内の周波数選定部64へ当該周波数情報4の情報伝送を行う。中央センサ3内の周波数選定部41および周辺センサ6内の周波数選定部64は、伝送されてきた周波数情報4に基づいて、受信信号s1(t)の中から、中央センサ3内の周波数検出部32が検出した周波数特性を持つ信号のみを抽出して、中央センサ3内の狭帯域受信機35および周辺センサ6内の狭帯域受信機65にそれぞれ伝送する。これにより、捜索対象となる周波数範囲が絞られ、狭帯域受信機35や狭帯域受信機65で当該周波数範囲の電波の観測が可能となる。この時、狭帯域受信機で済むゆえに、SNRが広帯域受信機使用時よりも改善され、目標の検出や方位・位置・速度の推定精度を改善することにつながるとともに、サーチ時間の短縮化やコスト減も図ることができる。
【0055】
以上のように、本実施の形態2においては、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、送受信を行う中央センサ3内に備わる周波数検出部32が、目標電波源1の周波数(中心周波数や帯域幅)を捜索し、周波数情報を自己の周波数選定部42と、同時に通信制御部33を介してすべての周辺センサ6の周波数選定部64へも送出し、中央センサ3の周波数選定部42および周辺センサ6の周波数選定部64は、それぞれ、中央センサ3の周波数検出部32により検出された周波数特性を有する受信信号のみをフィルタリングして狭帯域受信機35および65へ与えるようにしたので、中央センサ3および周辺センサ6の受信機の受信帯域を狭帯域に抑えることができ、SNRの改善、小型化・軽量化・省電力化、および、サーチ時間の短縮化を図ることができる。
【0056】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る測位装置の構成を表す構成図は、上記の実施の形態1の構成を表す図1〜図3、あるいは、上記の実施の形態2の構成を表す図4〜図6と同様であるので、ここでは図示を省略し、それらの図を参照することとする。実施の形態1および2と本実施の形態3との違いは、本実施の形態3においては、中央センサ3内の通信制御部33と周辺センサ6内の通信制御部63との間の情報伝送を無線化している点である。このため、本実施の形態3においては、有線ケーブルで中央センサ3と周辺センサ6間で情報伝送を行う場合よりも、周辺センサ6の配置自由度が向上する。
【0057】
一般に、周辺センサ6は目標電波源1を取り囲むように分散配置された場合に、目標電波源1の測位精度が向上するという特性があるため、情報伝送の無線化は測位性能の向上につながるという効果を持つ。
【0058】
以上のように、本実施の形態3においては、上記の実施の形態1および2と同様の効果が得られるとともに、さらに、中央センサ3と周辺センサ6との間の通信制御部33,63を介した通信を無線化したので、中央センサ3と周辺センサ6間の伝送ケーブルが不要になり、周辺センサ6の設置自由度が増すという効果が得られる。
【0059】
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4に係る測位装置の構成を表す構成図であり、上述の実施の形態2の構成を表す図4と基本的に同じである。但し、図4における中央センサ3が中央センサ12に、周辺センサ6が周辺センサ13にそれぞれ置き換えられている点が図4と異なる。
【0060】
図8は中央センサ12の詳細な構成を表す図であり、31は受信アンテナ、32は周波数検出部、33は通信制御部、34はリンク用アンテナ、35は狭帯域受信機、36は時計、37はデータ記録部、38は時間差算出部、39は測位計算部、40は表示部、42は周波数選定部である。これらの動作については基本的には図5に示したものと同じであるが、図7の構成においては、通信制御部33が、周辺センサから受信した信号7を、時間差算出部38ではなく、狭帯域受信機35に送信している点が図5と異なる。
【0061】
図9は周辺センサ13の詳細な構成を表す図であり、61は受信アンテナ、62はリンク用アンテナ、63は通信制御部、64は周波数選定部、68は再送部である。図6の構成との違いは、図9においては、図6における、狭帯域受信機65、時計66、および、データ記録部67が設けられておらず、代わりに、再送部68が設けられている点である。
【0062】
次に動作について説明する。上記の実施の形態1〜3の測位装置では、中央センサ3と周辺センサ6にそれぞれ別個の時計36および時計66が備わっている。これらの時計36,66は、通常、正確に同一時刻に合わせておく必要がある。例えば、中央センサ3の時計36と周辺センサ6aの時計66間にεaの誤差があるとする。そのとき、中央センサ3と周辺センサ6aの両方において時刻情報がそれぞれ付加された受信データs0(t)およびsa(t)は誤差εだけずれて記録される。この場合、中央センサ3の時間差算出部38では、本来算出されるべき到来時間差τ−τに誤差が加わったτ−τ+εとして算出され、これを基に生成される等時間差線8aも誤差を持った状態で得られる。したがって、時計誤差εの影響で目標電波源1の測位結果が真の位置からずれてしまう結果となる。
【0063】
そのため、本実施の形態4の周辺センサ13では、上述したように、上記の実施の形態2の周辺センサ6の内部に備わっていた、狭帯域受信機65、時計66、および、データ記録部67に代わり、再送部68が備わっている。再送部68の動作は、目標電波源1が送出した送信信号2をそのままリピート(受信した信号を内部で増幅し中継)して中央センサ12に送信するのみである。
【0064】
従って、本実施の形態4においては、まず、周辺センサ13の送信アンテナ61で目標電波源1からの送信信号2を受信すると、それが周波数選定部64に入力される。周波数選定部64では、中央センサ12内の周波数検出部32で検出された周波数情報4に基づいて、受信信号s1(t)の中から、当該周波数検出部32が検出した周波数特性を持つ信号のみを抽出して、再送部68に送信する。再送部68ではそれをそのまま、通信制御部63およびリンク用アンテナ62を介して、中央センサ12に送信する。なお、受信信号のデジタルデータ化および記録は中央センサ12の狭帯域受信機35が行う。すなわち、中央センサ12の狭帯域受信機35は、自身の受信アンテナ31で受信した受信信号も、周辺センサ13で受信され再送部68により送信されてきた受信信号も、すべて、デジタルデータに変換後に、時計36から与えられる時刻情報を付加してデータ記録部37に行う。つまり、観測時刻は単一の時計36のみで管理され複数の時計が存在しないため、時計誤差εが原理的に発生しない。
【0065】
したがって、時計誤差に起因する目標電波源に対する測位誤差を削減することが可能である。同時に、周辺センサ13では、実施の形態2の周辺センサ6の内部に備わっていた狭帯域受信機65、時計66、および、データ記録部67を削減しているため、周辺センサ全体の小型・軽量・低価格・低消費電力化が図れるというメリットも合わせ持つ。
【0066】
なお、上記の説明においては、実施の形態2の構成に対して本実施の形態4の構成を適用する例について説明したが、その場合に限らず、実施の形態1あるいは実施の形態3に本実施の形態4の構成を適用するようにしてもよい。
【0067】
以上のように、本実施の形態4においては、上記の実施の形態1〜3と同様の効果が得られるとともに、さらに、周辺センサには時計を設けずに、周辺センサで受信した信号は再送部によりそのまま中央センサに送信するようにして、時刻情報の付加を中央センサですべて行うようにしたので、周辺センサと中央センサとの間で時刻情報に誤差が生じることがなく、正確に等時間差線8の計算ができるので、目標電波源1の測位を精度よく行うことができる。
【0068】
実施の形態5.
図10は、本発明の実施の形態5に係る測位装置の構成を表す構成図であり、上述の実施の形態4の構成を表す図7と基本的に同じである。但し、図7における周辺センサ13が周辺センサ14に置き換えられている点が図7と異なるが、他の構成は図7の実施の形態4と同一である。また、本実施の形態5における中央センサ12の構成は、図8と同じであるため、図8を参照し、ここでは説明を省略する。
【0069】
図11は周辺センサ14の詳細な構成を表す図であり、61は受信アンテナ、62はリンク用アンテナ、64は周波数選定部、68は再送部、69は遅延部である。図9との構成の違いは遅延部69が追加されている点である。遅延部69は、受信アンテナ61により受信した送信信号2をリピートする再送部68からの信号を一旦バッファリングして任意の遅延時間を与えた上で、通信制御部63およびリンク用アンテナ62を介して、中央センサ12に送出するものである。
【0070】
次に動作について図11を用いて説明する。目標電波源1や中央センサ12および周辺センサ14が近接して配置されるなどの条件によっては、各センサの狭帯域受信機でデジタル化する際のサンプリング間隔よりも、到来時間差が小さい値となる場合が想定される。この時、図12に示すように分解能が足りないため、このデジタルデータから到来時間差τ−τを検出することができない。
【0071】
そのため、本実施の形態5の周辺センサ14の内部には遅延部69が備わっており、再送部68で再送する目標電波源1から到達する送信信号2に、遅延部69により任意の遅延時間を加えることが可能である。このとき与える遅延量(遅延時間)は、通信制御部63を介して送信され、中央センサ12の時間差算出部38で補正される。すなわち、サンプリング間隔が長い(=サンプリング速度が遅い)場合にも有意の到来時間差算出結果が得られることになり、サンプリング速度の要求性能を抑え、ハードウェアのコストを抑えることができるという効果を持つ。
【0072】
本実施の形態5においては、まず、送信アンテナ61で目標電波源1からの送信信号2を受信すると、それが周波数選定部64に入力される。周波数選定部64では、中央センサ12内の周波数検出部32で検出された周波数情報4に基づいて、受信信号s1(t)の中から、当該周波数検出部32が検出した周波数特性を持つ信号のみを抽出して、再送部69に送信する。再送部69ではそれを遅延部69に送る。遅延部69は、それを一旦バッファリングして、任意の遅延時間を与えた上で、通信制御部63およびリンク用アンテナ62を介して、中央センサ12に送出する。
【0073】
なお、上記の説明においては、実施の形態4の構成に対して本実施の形態5の構成を適用する例について説明したが、その場合に限らず、実施の形態1ないし3に本実施の形態5の構成を適用するようにしてもよい。
【0074】
以上のように、本実施の形態5においては、上記の実施の形態1〜4と同様の効果が得られるとともに、さらに、目標電波源1が放出する電波を再送部68によりそのままリピートする際に、ある特定の遅延時間を加える遅延部69を備えることで、受信信号をデジタル情報に変換するためのサンプリング速度を低速に抑えられるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態1に係る測位装置の構成を示した構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る測位装置に設けられた中央センサの内部構成を示した構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る測位装置に設けられた周辺センサの内部構成を示した構成図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る測位装置の構成を示した構成図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る測位装置に設けられた中央センサの内部構成を示した構成図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る測位装置に設けられた周辺センサの内部構成を示した構成図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る測位装置の構成を示した構成図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る測位装置に設けられた中央センサの内部構成を示した構成図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る測位装置に設けられた周辺センサの内部構成を示した構成図である。
【図10】本発明の実施の形態5に係る測位装置の構成を示した構成図である。
【図11】本発明の実施の形態5に係る測位装置に設けられた周辺センサの内部構成を示した構成図である。
【図12】本発明の実施の形態5に係る測位装置の動作を説明するための説明図である。
【図13】従来レーダ装置の構成を示した構成図である。
【図14】従来のレーダ装置に設けられた中央センサの内部構成を示した構成図である。
【図15】従来のレーダ装置に設けられた周辺センサの内部構成を示した構成図である。
【符号の説明】
【0076】
1 目標電波源、2 送信信号、3 中央センサ、6,6a,6b 周辺センサ、7,7a,7b データ信号、8a,8b 等時間差線、9 目標、10 中央センサ、11,11a,11b 周辺センサ、31 受信アンテナ、32 周波数検出部、33 通信制御部、34,34a,34b リンク用アンテナ、35 狭帯域受信機、36 時計、37 データ記録部、38 時間差算出部、39 測位計算部、40 表示部、41 広帯域受信機、42 周波数選定部、61 受信アンテナ、62 リンク用アンテナ、63 通信制御部、65 狭帯域受信機、66 時計、67 データ記録部、68 再送部、69 遅延部、70 広帯域受信機、100 送信電波、101 送信アンテナ、102 送信機、200 直接反射波、500 間接反射波。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置および周波数が未知の電波源が送信する電波を観測して当該電波源を測位する測位装置であって、
上記電波源からの電波を受信する中央センサと、
上記電波源からの電波を受信するとともに、上記中央センサに接続される1以上の周辺センサと
を備え、
上記周辺センサは、上記電波源が送信する電波を受信する第1の受信アンテナと、上記第1の受信アンテナによる受信信号をデジタルデータへ変換する第1の受信機と、上記受信信号の受信時刻を示す時刻情報を出力する第1の時計と、上記デジタルデータに上記第1の時計による上記時刻情報を付加して記録する第1のデータ記録部と、上記第1のデータ記録部に記録されたデジタルデータおよび上記時刻情報を上記中央センサに送出する第1の通信部とを含み、
上記中央センサは、上記電波源が送信する電波を受信する第2の受信アンテナと、上記第2の受信アンテナによる受信信号をデジタルデータへ変換する第2の受信機と、上記受信信号の受信時刻を示す時刻情報を出力する第2の時計と、上記デジタルデータに上記第2の時計による上記時刻情報を付加して記録する第2のデータ記録部と、上記周辺センサに設けられた上記第1の通信部が送出する上記デジタルデータおよび上記時刻情報を受信する第2の通信部と、上記第2の通信部により受信した上記デジタルデータおよび上記時刻情報および上記第2のデータ記録部に記録された上記デジタルデータおよび上記時刻情報に基づいて、上記電波源と上記周辺センサ間および上記電波源と上記中央センサ間の伝搬距離の違いにより決定付けられる各到来時間差を算出する時間差算出部と、算出された各到来時間差を用いて各等時間差線を求め、それらの交点から上記電波源の位置を特定する測位計算部とを含んでいる
ことを特徴とする測位装置。
【請求項2】
位置および周波数が未知の電波源が送信する電波を観測して当該電波源を測位する測位装置であって、
上記電波源からの電波を受信する中央センサと、
上記電波源からの電波を受信するとともに、上記中央センサに接続される少なくとも1以上の周辺センサと
を備え、
上記周辺センサは、上記電波源が送信する電波を受信する第1の受信アンテナと、上記第1の受信アンテナによる受信信号を上記中央センサにそのまま送出する再送部とを含み、
上記中央センサは、上記電波源が送信する電波を受信する第2の受信アンテナと、上記第2の受信アンテナによる受信信号および上記周辺センサに設けられた上記再送部からの受信信号をデジタルデータへ変換する第2の受信機と、それらの受信信号の受信時刻を示す時刻情報を出力する第2の時計と、上記デジタルデータに上記第2の時計による上記時刻情報を付加して記録する第2のデータ記録部と、上記第2のデータ記録部に記録された上記デジタルデータおよび上記時刻情報に基づいて、上記電波源と上記中央センサ間および上記電波源と上記周辺センサ間の伝搬距離の違いにより決定付けられる各到来時間差を算出する時間差算出部と、算出された各到来時間差を用いて各等時間差線を求め、それらの交点から上記電波源の位置を特定する測位計算部とを含んでいる
ことを特徴とする測位装置。
【請求項3】
上記第1の受信機および上記第2の受信機は、受信可能な周波数帯域を広帯域化し、その帯域内を捜索して、ある特定の閾値を超えた信号成分を抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の測位装置。
【請求項4】
上記周辺センサに設けられた上記第1の通信部および上記中央センサに設けられた上記第2の通信部は、相互間の情報の送受信が可能なものであって、
上記中央センサは、上記第2の受信アンテナにより受信された上記受信信号の周波数情報を検出する周波数検出部と、上記第2の受信アンテナにより受信された上記受信信号の中から、上記周波数検出部により検出された周波数情報に基づく周波数特性を有する受信信号のみを抽出する第2の周波数選定部とをさらに備え、
上記周辺センサは、上記第1の受信アンテナにより受信された上記受信信号の中から、上記中央センサの上記周波数検出部により検出された周波数情報に基づく周波数特性を有する受信信号のみを抽出する第1の周波数選定部をさらに備え、
上記第1の受信機および上記第2の受信機は、受信可能な周波数帯域を狭帯域化したことを特徴とする請求項1または2に記載の測位装置。
【請求項5】
上記第1の通信部および上記第2の通信部は、無線通信を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の測位装置。
【請求項6】
上記周辺センサは、上記再送部からの信号を一旦バッファリングして任意の遅延時間を与えた上で上記中央センサに送出する遅延部をさらに備えたことを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の測位装置。
【請求項7】
位置および周波数が未知の電波源が送信する電波を観測して当該電波源を測位する測位方法であって、
周辺センサにおいて行われる、上記電波源が送信する電波を受信し、当該受信信号をデジタルデータへ変換する第1の受信ステップと、上記受信信号の受信時刻を示す時刻情報を出力する第1の時刻情報出力ステップと、上記デジタルデータに上記時刻情報を付加して記録する第1のデータ記録ステップと、上記第1のデータ記録ステップにより記録されたデジタルデータおよび上記時刻情報を上記中央センサに送出する第1の通信ステップと、
中央センサにおいて行われる、上記電波源が送信する電波を受信し、当該受信信号をデジタルデータへ変換する第2の受信ステップと、上記受信信号の受信時刻を示す時刻情報を出力する第2の時刻情報出力ステップと、上記デジタルデータに上記時刻情報を付加して記録する第2のデータ記録ステップと、上記周辺センサにて行われる上記第1の通信ステップにより送出される上記デジタルデータおよび上記時刻情報を受信する第2の通信ステップと、上記第2の通信ステップにより受信した上記デジタルデータおよび上記時刻情報および上記第2のデータ記録ステップにより記録された上記デジタルデータおよび上記時刻情報に基づいて、上記電波源と上記周辺センサ間および上記電波源と上記中央センサ間の伝搬距離の違いにより決定付けられる各到来時間差を算出する時間差算出ステップと、算出された各到来時間差を用いて各等時間差線を求め、それらの交点から上記電波源の位置を特定する測位計算ステップとを含んでいる
ことを特徴とする測位方法。
【請求項8】
位置および周波数が未知の電波源が送信する電波を観測して当該電波源を測位する測位方法であって、
上記周辺センサにおいて行われる、上記電波源が送信する電波を受信する第1の受信ステップと、上記第1の受信ステップによる受信信号を上記中央センサにそのまま送出する再送ステップとを含み、
上記中央センサにおいて行われる、上記電波源が送信する電波を受信するとともに、上記第2の受信ステップによる受信信号および上記周辺センサにおける上記再送ステップにより送出された受信信号をデジタルデータへ変換する第2の受信ステップと、それらの受信信号の受信時刻を示す時刻情報を出力する第2の時刻情報出力ステップと、上記デジタルデータに上記時刻情報を付加して記録する第2のデータ記録ステップと、上記第2のデータ記録ステップに記録された上記デジタルデータおよび上記時刻情報に基づいて、上記電波源と上記中央センサ間および上記電波源と上記周辺センサ間の伝搬距離の違いにより決定付けられる各到来時間差を算出する時間差算出ステップと、算出された各到来時間差を用いて各等時間差線を求め、それらの交点から上記電波源の位置を特定する測位計算ステップとを含んでいる
ことを特徴とする測位方法。
【請求項9】
上記第1の受信ステップおよび上記第2の受信ステップは、受信可能な周波数帯域を広帯域化し、その帯域内を捜索して、ある特定の閾値を超えた信号成分を抽出することを特徴とする請求項7または8に記載の測位方法。
【請求項10】
上記中央センサにおいて行われる、上記第2の受信ステップにより受信された上記受信信号の周波数情報を検出する周波数検出ステップと、上記第2の受信ステップにより受信された上記受信信号の中から、上記周波数検出ステップにより検出された周波数情報に基づく周波数特性を有する受信信号のみを抽出する第2の周波数選定ステップと、
上記周辺センサにおいて行われる、上記第1の受信ステップにより受信された上記受信信号の中から、上記中央センサにおける上記周波数検出ステップにより検出された周波数情報に基づく周波数特性を有する受信信号のみを抽出する第1の周波数選定ステップと
をさらに備え、
上記第1の受信ステップおよび上記第2の受信ステップは、受信可能な周波数帯域を狭帯域化して上記受信動作を行うことを特徴とする請求項7または8に記載の測位方法。
【請求項11】
上記第1の通信ステップおよび上記第2の通信ステップは、無線通信を行うことを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1項に記載の測位方法。
【請求項12】
上記周辺センサにおいて行われる、上記再送ステップにより送出される上記信号を一旦バッファリングして任意の遅延時間を与えた上で上記中央センサに送出する遅延ステップをさらに備えたことを特徴とする請求項8ないし11のいずれか1項に記載の測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−156580(P2010−156580A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334119(P2008−334119)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】