説明

測定ユニット及びそれを備えた骨診断装置

【課題】生体中の骨に対して曲げ荷重を与えた状態において骨の力学的特性を再現性良く測定できるようにする。
【解決手段】生体10は生体保持機構によって保持される。その生体保持機構は一対の生体固定機構18を含む。多軸位置決め機構32によって二連プローブ保持機構30の位置が調整される。二連プローブ保持機構30は2つのプローブを保持する2つのプローブ保持ユニットを有する。各プローブ保持ユニットはプローブの位置及び向きを調整することができる。加圧機構22は電気的に制御されるモータを有し、そのモータの駆動力が押し棒に伝達される。その押し棒によって生体が加圧され、その加圧状態において2つのプローブによって超音波診断が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定ユニット及びそれを備えた骨診断装置に関し、特に、診断対象となる骨に外力を与えた状態において骨の力学的特性を計測するための機構及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断を利用して骨の性状や強度などの力学的特性を測定あるいは診断することが研究されている。例えば、骨折後における癒合評価において対象となる骨に対して外力を与えた場合における骨の変位などを超音波診断を利用して計測し、その計測結果から骨の癒合度が診断される。下記の特許文献1には、骨表面上の複数の位置において超音波の送受波を行い、外力を与えた場合における各位置における骨表面の変位(歪み量)をエコートラッキング技術を利用して観測できる超音波診断装置が記載されている。しかし、生体組織を保持する機構、プローブを保持する機構、加圧機構(あるいは三点曲げ機構)などの詳細については記載されていない。
【0003】
【特許文献1】特開2004−298205号公報
【特許文献2】特開平11−89836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
骨に対する外力の付与を人為的に行う場合、測定精度上、問題が生じやすい。つまり、加圧を加える位置や方向を一定にすることが困難となり、再現性を確保し難い。一方、プローブの姿勢調整を的確かつ容易に行える機構が求められている。上記の特許文献2には、骨癒合診断装置が記載されているが、組織を保持する機構や加圧機構の詳細については記載されていない。
【0005】
本発明の目的は、再現性があり精度良く骨の診断を行える測定ユニット及びそれを備えた骨診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、生体を保持する生体保持機構と、前記生体を押圧して前記生体中の骨に対して曲げ荷重を与える押圧具と前記押圧具を駆動するための駆動部とを備えた加圧機構と、前記加圧機構に隣接して設けられ、前記生体組織中の骨を超音波診断するためのプローブを保持するプローブ保持機構と、を含むことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、生体保持機構によって生体が保持され、加圧機構によって生体に対して曲げ荷重が与えられた状態で、骨に対するリアルタイム超音波診断が行われる。加圧機構は押圧具と駆動部とを有し、押圧具を適正な方向から生体に当接させて、駆動部の制御あるいは操作によって生体への押圧力をコントロールできる。よって、測定精度を向上できる。
【0008】
上記構成において、測定対象となる生体は足や腕などであり、骨折後における癒合診断や骨の健全性の診断に上記構成を用いることができる。生体保持機構は生体が動かないように保持する機構であり、後述のように、生体を複数の支点で支持し、その状態を維持する機構であるのが望ましい。生体における診断部位に応じて各種の生体保持機構を採用することができる。加圧機構は、周期的に押圧力を変動させる機構であるのが望ましいが、定常的に一定の押圧力を発生する機構であってもよいし、プログラムされた任意の押圧力を発生する機構であってもよい。プローブ保持機構は、少なくとも1つのプローブを保持し、望ましくは複数のプローブを骨の伸長方向に並んで保持する。押圧位置の一方側及び他方側を選択して1つのプローブを設けるように構成してもよいし、押圧位置の両側に2つのプローブを設けるように構成してもよい。骨に向かって適正な向きで押圧が行われるように構成するのが望ましく、また、1又は複数の超音波ビームあるいは走査面が骨の中心線上を直交通過するようにプローブの位置決めあるいはビーム制御を行うのが望ましい。
【0009】
望ましくは、前記生体保持機構は、互いに隔てられた第1支持位置及び第2支持位置で前記生体を支持する支持機構と、前記支持機構により支持された生体を固定する固定機構と、を含み、前記第1支持位置及び前記第2支持位置の間の位置において前記生体が押圧され、前記骨に対して3点曲げ荷重が付与される。この構成においては、生体の一方側が2点で支持され、それらの間において生体の他方側が押圧される。生体を水平に横たわった姿勢に保持するようにしてもよいし、生体を起立した状態に保持するようにしてもよい。
【0010】
望ましくは、前記加圧機構は、前記押圧具による押圧力を周期的に変動させる伝達機構を備える。押圧力の周期的な変動によって、骨の変位が周期的に変動する。その際の追従特性あるいはヒステリシス特性などを計測することが可能である。変動周期、変動幅(ストローク長)などを適宜可変設定できるように構成するのが望ましい。
【0011】
望ましくは、前記伝達機構は、前記駆動部の回転力が伝達される偏心カムと、前記偏心カムに当接し、前記偏心カムの回転により、前記押圧具に対して周期的な前進力を与える当接部材と、を含む。この構成によれば偏心カムを所定速度で回転させるだけで、周期的に変動する押圧力を機械的に簡便に生成できる。この構成に代えて、そのような押圧力を電気的制御により生成してもよい。
【0012】
望ましくは、前記押圧具は、軸部材と、前記軸部材の先端に設けられ、前記生体に接触する接触面を有する接触子と、を有し、前記接触面は、前記骨の伸長方向に長く且つ前記伸長方向に直交する方向に短い矩形又は楕円形を有する。
【0013】
本発明者の実験によれば、接触面が凸球面状などの場合にはその曲率にもよるが生体に苦痛を与えてしまう可能性が高いことが確認されている。そこで、平坦な四角形や円形の採用などを試みたが、最終的に苦痛感を低減できるのは骨の伸長方向に伸長した長方形あるいはそれに相当する形状(例えば楕円形状)であることが判明した。但し、苦痛をできる限り緩和でき、且つ、三点曲げという幾何学的前提を維持できる程度に、接触面の各辺の長さを設定するのが望ましい。なお、接触面の各辺(エッジ)については若干の丸みをもたせてもよい。
【0014】
望ましくは、前記加圧機構は、前記生体に対する前記押圧具の押圧力を検出する検出器を有する。接触子に検出器を設けて直接的に押圧力を検出するようにしてもよいし、加圧機構における押圧力が伝達されるいずれかの箇所に検出器を設けて間接的に押圧力を検出するようにしてもよい。検出器は1又は複数のセンサによって構成される。
【0015】
(2)本発明は、生体を保持する生体保持機構と、前記生体を押圧して前記生体中の骨に対して曲げ荷重を与える押圧具と前記押圧具を駆動するための駆動部とを備えた加圧機構と、前記生体組織中の骨を超音波診断するための2つのプローブを保持するプローブ保持機構と、を含み、前記2つのプローブは前記骨の伸長方向において前記押圧具の両側に設けられることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、押圧具の両側にプローブを配置して、骨における押圧箇所の両側で超音波診断を行える。骨の性状はその伸長方向に沿って変動しているため、押圧箇所の両側で測定を行うことにより、より正確で客観性のある測定を行える。2つのプローブにより得られる2つの測定結果を総合考慮してもよいし、それらの平均値を採用してもよいし、それらを対比した上で一方の測定結果を採用してもよい。
【0017】
望ましくは、前記プローブ保持機構は2つのプローブ保持ユニットを有し、前記各プローブ保持ユニットは、それが保持しているプローブの位置及び姿勢を調整する調整機構を備える。この構成によれば、個々のプローブについて位置決めをきめ細かく適正に行える。望ましくは、前記調整機構は、前記プローブを進退させる進退機構と、前記プローブを傾斜させる傾斜機構と、を含む。
【0018】
望ましくは、前記傾斜機構は、第1仮想軸回りに前記プローブを傾斜させる第1傾斜機構と、前記第1仮想軸に直交する第2仮想軸回りに前記プローブを傾斜させる第2傾斜機構と、で構成される。この構成によれば、プローブの向きを二方向に調整できる。よって、生体の形態や姿勢に応じて適正な向きからプローブを生体に当接することができるので、測定精度を向上できる。
【0019】
望ましくは、前記プローブの送受波面には変形自在なカップリング部材が設けられ、前記第1仮想軸及び前記第2仮想軸は、前記カップリング部材が前記生体に当接して変形した状態における当該カップリング部材の接触面の中央原点を通過する。この構成によれば、生体表面上に傾斜原点を設定することができるので、傾斜運動させても当接状態を維持できる。
【0020】
望ましくは、前記2つのプローブ保持ユニットの内で少なくとも1つのプローブ保持ユニットは、前記骨の長軸断面及び短軸断面を取得可能なように前記プローブを平行保持及び直交保持する機能を有する。骨の伸長方向に当該骨の表面変位を複数の位置で観測する場合には走査面が骨の中心軸を通過するようにつまり長軸断面が取得できるようにプローブを位置決めする。一方、骨の短軸断面を観察する場合には走査面が骨の中心軸に直交するようにプローブを位置決めする。このように、走査面の向きを回転できるようにあるいは走査面の向き0度と90度と選択できるように構成するのが望ましい。
【0021】
望ましくは、前記プローブ保持機構は、前記各プローブ保持ユニットを独立してスライドさせる個別スライド機構を有する。望ましくは、前記プローブ保持機構全体の位置決めを行う全体位置決め機構を有する。望ましくは、前記全体位置決め機構は、前記プローブ保持機構を前記骨の伸長方向にスライドさせる第1全体スライド機構と、前記プローブ保持機構を前記伸長方向と直交する直交方向にスライドさせる第2全体スライド機構と、前記プローブ保持機構を前記伸長方向及び前記直交方向によって定義される仮想面上において回転させる全体回転機構と、を備える。
【0022】
望ましくは、測定前に前記加圧機構を測定位置に移動させ、測定後に前記加圧機構を退避位置に移動させる第1移動機構と、測定前に前記プローブ保持機構を測定位置に移動させ、測定後に前記プローブ保持機構を退避位置に移動させる第2移動機構と、を含む。
【0023】
(3)本発明は、測定部と制御部と診断部とを含む骨診断装置において、前記測定部は、生体を保持する生体保持機構と、前記生体を押圧して前記生体中の骨に対して曲げ荷重を与える加圧機構と、前記生体組織中の骨を超音波診断するための複数のプローブを保持するプローブ保持機構と、を含み、前記制御部は前記加圧機構の動作を制御し、前記診断部は前記複数のプローブから出力される受信信号に基づいて前記骨の力学的特性を演算する、ことを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、生体に対する複数の支点及び押圧点の各位置を適正化でき、また、押圧力も適正化できるので、測定の再現性を高めて、測定精度を向上できる。また、各機構が組み込まれてアッセンブリが構成されているので、使い勝手が良好で、測定を簡便かつ短時間に行える。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、再現性があり精度良く骨の診断を行える測定ユニット及びそれを備えた骨診断装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1には、本発明に係る骨診断装置用の測定機構が斜視図として示されている。本実施形態に係る骨診断装置は、骨の力学的特性を評価するための装置であり、例えば骨折後における骨の癒合状態を診断するために用いられる。図1においてはX−Y−Z座標系が基準座標系として定義され、それをY軸回りに45度回転させた座標系として図2などに示すx−y−z座標系が定義されている。Y軸とy軸は一致している。
【0028】
図1において、生体10は、図1に示す例において足であり、その足が測定機構によって保持されている。台座としての水平板12には垂直板14が起立状態で配置されている。水平板12上にはスペーサ部材16,17などが設けられている。また垂直板14にもスペーサ部材が配置されているが図1においてはそれが図示省略されている。図1には、足の踵がスペーサ部材16によって支持されており、また膝裏部位が図示されていない部材によって支持されている。すなわち、足の裏側における2点が支持されている。スペーサ部材16,17は例えば硬質の樹脂などによって構成され、一方、垂直板14に配置されたスペーサ部材は弾力性に富むウレタン材料などによって構成される。いずれにしても、生体10の裏側において診断部位(加圧部位)を挟んで2つの支持位置を設定する。
【0029】
図1に示される測定機構は、Y方向に隔てて配置された一対の生体固定機構18と、加圧機構22と、多軸位置決め機構32と、二連プローブ保持機構30とを有している。以下に、それらの機構について順次詳述する。
【0030】
一対の生体固定機構18は、生体10に対する押圧部位を基準として生体10の伸長方向(Y方向)に隔てて配置されており、生体10における一方側すなわち表面側から生体10を斜めの角度をもって押圧し、これによって生体10を拘束する機構である。すなわち、それらの一対の生体固定機構18と、上述したスペーサ部材16などによって生体保持機構が構成され、その生体保持機構によって生体10が図1の測定機構に保持される。
【0031】
各生体固定機構18は、生体10を覆うように設けられたフレーム19を有する。このフレーム19は開閉可能であり、すなわち測定終了時には上方に跳ね上げて退避させることができ、また測定に先立って引き下ろされて図1に示すように位置決めされる。
【0032】
図2には、図1に示した測定機構の側面図が示されている。各生体保持機構18は、上述したフレーム19と、そのフレーム19に対して直交して設けられた軸部材と、その軸部材の先端に設けられた押圧パッド21と、を有する。押圧パッド21を生体表面上に押しつけることにより生体の保持が行われる。なお、本実施形態において、各機構の位置決め操作は人為的に行われるが、もちろんそれらを自動的に行うようにしてもよい。
【0033】
加圧機構22は、生体10における加圧位置を覆うように設けられたフレーム24を有する。このフレーム24も測定終了後に上方へ跳ね上げることが可能であり、また生体をセッティングした後に上方から引き下ろして図1に示すような状態を確立することができる。図2には、フレーム24の回転軸をなすヒンジ部24Aが示されている。なお、上記のフレーム19及び以下に詳述する多軸位置決め機構32についての回転軸については図示省略されている。
【0034】
図2に示されるように、加圧機構22は、駆動モータ44と伝達機構47とを有する。伝達機構47は、モータ軸44Aに取付られたカム板46と、そのカム板46の周囲面上に当接して回転するローラ45と、を有する。カム板46は、いわゆる偏心カムを構成しており、回転中心からローラ45の当接位置までの距離がカム板46の回転角度に応じて周期的に変動するものである。したがって、カム板46を回転させると、それに伴ってローラ45に対してz方向における前進運動が伝達されることになる。その運動力はスプリングユニット48を介して後に説明する押し棒へ伝達される。その押し棒の先端に接触子が設けられており、その接触子が生体における押圧部位を押圧する。生体の裏側は2点によって支持されており、生体の表側において1点押圧を行うことにより生体中の骨に対して3点曲げ荷重を付与することができる。しかも、本実施形態においてはその荷重を周期的に変動可能である。なお、図1においては駆動モータ44を有する駆動ユニットについては図示省略されている。
【0035】
図3には、図1及び図2に示したフレーム24に取付けられるスプリングユニット48が示されている。スプリングユニット48は押し棒50をその押圧方向へ付勢する複数のスプリングを有している。ローラ45に対してz方向に加圧力が与えられると、その加圧力はスプリングユニット48を介して押し棒50へ伝達され、その押し棒50の先端に設けられた接触子51を介して生体へ押圧力が伝達される。スプリングユニット48の作用によってローラー45は図2に示したカム板46に対して常に接触している状態が保たれている。なお、図1に示したフレーム24に沿って押し棒50の位置を調整することができる。
【0036】
図3における接触子51は図示されるように立方体形状あるいはブロック状の形態を有する。その下面は接触面51Aであり、x方向の長さよりもy方向(すなわちY方向)の長さの方が大きい。すなわち、骨を横切る方向よりも骨に沿った方向の方が長くなっており、接触面51Aは略長方形である。ただし、その4つの角あるいは4つの辺については丸みが若干もたされており、エッジによって生体への苦痛が生じないように配慮されている。このように、骨の伸長方向に沿って伸長した接触面51Aを用いることにより、生体に対して荷重を加えた場合における苦痛をかなり緩和できることが確認されている。ただし、あまり接触子51の面積を大きくすると、3点曲げの幾何学的な関係が崩れてしまう可能性があるため、そのような問題が生じない限りにおいて、しかもできるだけ苦痛を緩和できる限りにおいて接触面51Aの形状を定めるのが望ましい。長方形に代えて楕円形状の接触面51Aとすることも可能である。ちなみに、本実施形態において接触面51Aのx方向の長さは30mmであり、y方向の長さは38mmである。もちろん、その数値は一例であって、例えば診断部位などに応じて適切な大きさをもった接触子51を選択的に利用するのが望ましい。
【0037】
図1〜図3においては図示省略されているが、押し棒50のz方向の基準位置を自在に調整できるように構成するのが望ましく、また周期的に変動する押圧力を発生させる場合におけるその変動幅及び変動周期について可変設定できるように構成するのが望ましい。
【0038】
本実施形態においては、加圧機構22を基準として生体及び他の機構の位置決めが行われている。すなわち、接触子51を基準として測定開始時に生体の位置決めが行われる。よって、本実施形態では、加圧機構22それ自体はY方向にスライドする機構あるいは押し棒の向きを調整する機構は備えていない。しかしながら、必要に応じて、加圧機構22をY方向などにスライドさせる機構を設けてもよい。更に後述するプローブの姿勢を調整する機構と同様に、押し棒を直交する二軸回りに自在に傾斜運動させるような機構を設けるようにしてもよい。
【0039】
次に、図1及び図2を用いて多軸位置決め機構32について説明する。この多軸位置決め機構32は後に詳述する二連プローブ保持機構30の位置及び姿勢を調整する機構である。上述したように、この多軸位置決め機構32を測定終了後に上方に跳ね上げて生体10を測定機構から解放させることもでき、また測定開始に先立って多軸位置決め機構32を上方から引き下ろして図1に示すような状態にセッティングすることができる。第1ベース34は、生体10を斜め方向から覆うように傾斜して設けられている。この第1ベース34は水平スライド機構40によってY方向にスライドするものである。スライドさせた後においてロック機構を操作することによってその状態を保持することができる。ロック機構は各可動部分に設けられるものである。上述のように、第1ベース34は水平スライドベースとして機能し、その第1ベース34上には第2ベース36が設けられる。第2ベース36は第1ベース34に対して面接合しており、第1ベース34に対して傾斜状態を保ったままx方向にスライド運動させることができる。このため、第2ベース36をx方向に運動させる傾斜スライド機構44が設けられている。
【0040】
第2ベース36上には第3ベース38が設けられている。この第3ベース38は矩形のフレームであり、その上端及び下端には円弧状の長穴38Aが形成されている。それらの長穴38Aには第2ベース36上に立設されたピンが挿入されている。そのような構造によって、第3ベース38は、第2ベース36上における中心位置つまり押し棒の中心位置を回転軸として一定角度範囲にわたって回転可能である。第3ベース38上には2連プローブ保持機構30が取付けられており、第3ベース38を回転させれば、それに伴って二連プローブ保持機構30も回転することになる。
【0041】
以上のように、多軸位置決め機構32によれば、二連プローブ保持機構30をY方向に水平運動させることができ、また、x方向に水平運動させることができ、更にx−y平面上において回転させることができる。これによって、生体10内の骨に対して二連プローブ保持機構30の全体を適正に位置決めすることが可能となる。図2には、図1に示した水平スライド機構40を構成する一対のスライドユニット40A,40Bが図示されている。すなわち、第1ベース34はその下端側及び上端側がそれぞれスライドユニット40A,40Bによって支持されており、Y方向に自在に運動することが可能である。
【0042】
なお、図1に示す構成において、加圧機構22を跳ね上げかつ引き下ろすための機構は第1移動機構を構成し、多軸位置決め機構32を跳ね上げかつ引き下ろすための機構は第2移動機構を構成し、一対の生体固定機構18を跳ね上げかつ引き下ろすための機構は第3移動機構を構成する。図1において、符号28はフレーム24を水平板12上に固定するためのロック部材を表している。それに代表されるように多数のロック部材が必要な箇所に設けられている。水平板12上にはその四隅に4つの取手が設けられている。
【0043】
次に、図4及び図5を用いて二連プローブ保持機構30について詳述する。図4には、二連プローブ保持機構30の斜視図が示されており、図5には、その内で第1保持ユニット52の斜視図が示されている。図4において、二連プローブ保持機構30は、第1保持ユニット52と第2保持ユニット54とを有する。第1保持ユニット52は、プローブ53を着脱自在に保持するものであり、第2保持ユニット54はプローブ55を着脱自在に保持するものである。各プローブ53,55は、例えば電子リニア走査式あるいは電子セクタ走査式のプローブである。もちろん、コンベックスタイプのプローブなどを用いることもできる。第1保持ユニット52及び第2保持ユニット54はスライド機構56に取付けられており、それらを個別的にy方向にスライド運動させることができる。スライド機構56はz方向に並んで配列されたスライドポール58,60を有し、それらのスライドポール58,60の両端は軸受け部材64に固定されている。なお、二連プローブ保持機構30における台座となるのは上述した第3ベース38であり、その第3ベース38上に各構成が搭載されている。符号63は第3ベース38上に起立配置されたプレートを表している。第1保持ユニット52と第2保持ユニット54は同一の構成を有するため、以下においては第1保持ユニット52を代表して説明することにする。
【0044】
図4において、スライドベース80は、スライド機構56に対して、y方向にスライド自在に取付けられている。スライドベース80には昇降ベース82がz方向に昇降可能に設けられている。つまみ80Aを回転させることにより、スライドベース80に対して昇降ベース82のz方向の位置を自在に調整することができる。昇降ベース82に対しては第1回転機構(図示せず)を介して回転ベース84が設けられている。第1回転機構は後に説明する第2回転機構と同様の構成を有している。ただし、第2回転機構においてはつまみの操作によって回転調整が行われているのに対し、第1回転機構においてはレバー85の操作によって回転調整が行われる。
【0045】
回転ベース84はz方向から見た場合に、L字形を有しており、すなわちy−z平面上に広がったプレート84Aとx−z平面上に広がったプレート84Bとで構成されている。この回転ベース84は第1回転機構と第2回転機構とを連絡する中間ベースとして機能する。
【0046】
ここで、図5を用いて第2回転機構90について説明する。上述したように、第1回転機構も基本的に第2回転機構90と同様の構成を有している。プレート84Bには第2回転機構90を介してフレーム88が取付けられている。フレーム88はz方向から見てL字形を有する。フレーム88には円弧状の曲面を有するレール部材96が取付けられており、そのレール部材96の表面にはつまみ92の軸に連結されたローラー94が当接している。そのローラー94はレール部材96の円弧状の表面上を回転運動する。また、フレーム88には断面がフック状のガイド部材98が取付けられており、そのガイド部材98には、プレート84Bに設けられたツメ部材100が係合している。ガイド部材98とツメ100との係合関係、及び、レール部材96とローラ94の係合関係によって、プレート84Bに対してフレーム88が保持されると共に、原点91を通過するy方向に平行な第2仮想軸回りにおいてプローブ53を傾斜運動させることができる。上記の第1回転機構は、原点91を通過するx軸に平行な第1仮想軸回りにおいてプローブ53を傾斜運動させるものである。すなわち、第1回転機構及び第2回転機構90の作用によって原点91を回転中心としてプローブ53を二軸回りに揺動運動させることが可能である。その場合において、第1仮想軸回りの傾斜運動を行わせるためにレバー85が操作され、第2仮想軸回りに傾斜運動を行わせるためにつまみ92が操作される。
【0047】
図4及び図5において、フレーム88上にはプローブホルダ102が取付けられている。このプローブホルダ102はプローブ53における本体70のグリップ部分を保持する部材である。
【0048】
本実施形態においては、プローブホルダ102はプローブ53の中心軸回りにおける回転角0度及び90度の2つの姿勢で当該プローブ53を保持することができる。本体70の下方側には送受波部72が設けられ、その送受波面の生体側には固定具75によって固定された水袋74が設けられている。この水袋74はカップリング部材として機能し、その内部には生理食塩水などのカップリング液体が収容されている。水袋74は生体への当接時に容易に変形するものである。プローブ53を生体に当接させた時に水袋74が変形するが、その変形状態における水袋74の下面中央位置(すなわち生体表面上の位置)が上記の原点91と設定されている。この構成によればプローブ53を生体に当接させた状態において、その当接状態を維持しつつプローブ53を2軸回りに傾斜運動させることが可能である。
【0049】
上述したように、第2保持ユニット54は第1保持ユニット52と同様の構成を有する。各保持ユニット52,54には、上述したようにz方向の位置決め機能、原点91を中心とする2軸回りの傾斜機能が備わっているため、図1に示した多軸位置決め機構32によって二連プローブ保持機構30の全体位置決めを行った後においても各プローブについて個別的にきめ細かく位置決め調整を行うことが可能である。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る測定機構によれば、生体10を適正に保持した状態において、加圧機構22及び複数のプローブを適正に位置決めした上で三点曲げ荷重を加えつつ超音波診断を行えるので、測定精度を極めて高めることができるという利点がある。加圧機構22における加圧駆動力の発生は人為的に行うことも可能であるが、上記実施形態においては電気的な制御によって加圧力を周期的に発生させることができるので、測定条件を客観的に設定して再現性よく測定を遂行できるという利点がある。
【0051】
次に、図6を用いて上記の測定機構104を備えた骨診断装置について説明する。図6は骨診断装置の全体構成を表すブロック図である。
【0052】
測定機構104は、上述したように2つのプローブ53,55を位置決め保持する。また上記の加圧機構がモータ44を備えており、モータ44によって発生した駆動力が伝達される押し棒には圧力センサ106が設けられている。各プローブ53,55は上記の二連プローブ保持機構によってその向きを切り替えることができ、すなわち超音波ビームの走査によって形成される走査面を生体10における骨10Aの伸長方向に平行に設定することもできるし、その伸長方向に対して走査面を直交させることもできる。平行配置状態が符号53で示され、直交配置状態が符号53’で示されている。
【0053】
プローブ53,55には送受信部108,110が接続されている。各送受信部108,110は送信ビームフォーマー及び受信ビームフォーマーとして機能する。長軸断層画像あるいは短軸断層画像を形成する場合、超音波ビームが電子的に走査され、これによって走査面が形成される。走査面上において取得されたエコーデータに基づいて断層画像形成部118,119が断層画像(Bモード画像)を形成する。そのような断層画像は表示部116に表示される。本実施形態においては、2つの断層画像を並べて表示させることが可能である。ただし、一方のプローブについてのみ断層画像を表示させるようにしてもよい。
【0054】
制御部112は、図6に示される各構成の動作制御を行っている。特にモータ44の動作を制御しており、また骨の変位を計測する際の送受信制御を行っている。骨10Aについての変位を各プローブ53,55を用いて計測する場合、例えば、骨10Aの伸長方向に沿って各プローブごとに複数の計測点が設定され、それらの計測点を通過する複数の超音波ビームが形成される。そして、各超音波ビームに対応する受信信号に対してエコートラッキングを適用することによりRF信号レベルでの変位計測を行うことが可能である。各プローブ53,55ごとに複数の計測点について変位計測が行われた場合、それらの測定結果を総合考慮することにより変位量が演算される。これについては、上記の特許文献1に記載されているような演算原理を採用することができる。図6に示される骨診断部114は、上述したような受信信号に基づく変位量の演算を実行している。後に図8を用いて説明するように、変位量に相当する情報として変位角度を求め、そのような変位角度から骨の力学的特性を表す評価値を求めるようにしてもよい。骨診断部114による演算結果は表示部116に表示される。
【0055】
図7には、上述した測定機構104が有する複数の機構の相互関係が示されている。上述したように、測定機構104は、一対の生体固定機構18と、加圧機構22とを有する。多軸位置決め機構32は、Y方向、z方向及び第3ベース38の回転方向としてのθ方向のそれぞれの方向について二連プローブ保持機構30の位置決めを行う。二連プローブ保持機構30は第1保持ユニット52及び第2保持ユニット54を含み、それらの保持ユニット52,54はスライド機構56によってy方向にスライド運動することが可能である。各保持ユニット52,54はz方向、及び、2つの直交関係にある仮想軸回りの回転方向φ1,φ2について、プローブ53,55の位置を調整する。
【0056】
図8には、測定状態が概念図として示されている。なお、符号122は生体表面を表しており、符号120は骨の表面を表しているが、それぞれの変形が発明説明上誇張して描かれている。
【0057】
押し棒50の先端に設けられた接触子51は生体表面122上における加圧位置に当接される。そして、押し棒50の作用によって周期的に加圧力が骨に対して与えられる。押し棒50の両側にはプローブ53,55が設けられ、それらは生体表面122上に当接される。骨の表面120上には各プローブ53,55ごとに複数の計測点が定められる。プローブ53については計測点P1〜P5が定められ、プローブ55については計測点P6〜P10が定められる。それらの計測点でエコートラッキング技術を用いて変位が計測される。なお、Qは骨に対して押圧力が加えられている位置を表している。上記の特許文献
1に記載された手法のように、各プローブごとに複数の計測点について求められた変位あるいは位置の情報から変位量を求め、それらを総合考慮することにより骨の力学的特性を求めるようにしてもよい。また、図8に示されるように、複数の計測点についての変位から骨の表面120の変位角度R1,R2を求め、それらの情報に基づいて骨の力学的特性を求めるようにしてもよい。また、周期的に押圧力を加えた場合において、変位量あるいは力学的特性の値をグラフとして描き、そのヒステリシス特性あるいはグラフの面積から骨の力学的特性を求めるようにしてもよい。
【0058】
次に、図9を用いて本実施形態に係る骨診断装置の動作を説明する。S101では測定機構に備わっている各機構の跳ね上げ状態が確認される。S102では、測定機構に対して診断対象としての足が配置される。S103では、一対の生体固定機構が引き下ろされて生体が保持される。それに先立って、加圧位置が適正に位置決めされるように足の姿勢や位置が調整される。
【0059】
S104では、跳ね上げ状態にある二連プローブ保持機構が下げられて測定位置にセッティングされる。S105では、一方のプローブあるいは両方のプローブを直交配置した状態において断層画像を形成し、その断層画像すなわち短軸断層画像を見ながら骨の横断面が観察される。これによって生体表面から骨表面までの深さなどを確認することができる。また、そのような断層画像を確認しながらそれぞれのプローブについてあるいは二連プローブ保持ユニットについての位置決めを行うことも可能である。
【0060】
S106においては、それぞれのプローブが平行配置され、一方あるいは両方のプローブを用いて形成される1又は複数の長軸断層画像を観察しながら、それぞれのプローブについての位置及び姿勢が調整される。このように断層画像を観察しながら各プローブの位置決めを行うことにより測定精度を高めることが可能である。
【0061】
S107においては、跳ね上げ状態にある加圧機構が引き下ろされて測定状態にセッティングされる。そして、S108においては加圧動作が実行され、曲げ荷重を加えた状態における骨の変位が超音波の送受波によって計測される。計測終了後、S109においてまず加圧機構が跳ね上げられて退避位置に位置決めされ、またS110においては他の機構も同様に跳ね上げられて退避位置に位置決めされる。そして、S111において足が測定機構から引き抜かれる。
【0062】
図10には、他の実施形態に係る測定機構が示されている。基本的な構造は図1等に示した測定機構と同様である。すなわち、図10に示される測定機構は、水平板212とそこに起立形成された垂直板214とを有し、水平板212上にはスペーサ部材216が設けられている。更に、水平板212上にはスペーサ部材217及びスペーサ部材256が設けられている。スペーサ部材216,217は硬質の部材によって形成されており、それは第1支持位置を構成する。第2支持位置に設けられる部材については図10において図示省略されている。スペーサ部材256はウレタンなどの弾性変形する部材によって構成されている。
【0063】
加圧機構222は基本的には図1に示した加圧機構22と同様の構成を有するが、図10に示す実施形態においては、加圧機構222がスライドレール250上に沿ってX方向に運動可能に設けられている。すなわち、加圧機構222のベースとなるフレームの下方端が支持されている。このことは図10に示される一対の生体固定機構218及び多軸位置決め機構232についても同様であり、すなわち、それらの機構は基本的に図1に示した機構と同様であるが、それらのベースをなすフレームについてはその下方端のみが支持されている。
【0064】
具体的には、水平板212上には第1スライド機構239及び第2スライド機構240が設けられている。第1スライド機構239はY方向に隔てて配置された一対のスライドレール252,254を有する。各スライドレール252,254はX方向に伸長しており、水平スライド機構239をX方向にスライド運動させる。
【0065】
第2水平スライド機構240は第1水平スライド機構239上に搭載されており、その第2水平スライド機構240は一対の生体固定機構218及び多軸位置決め機構232をY方向にスライド運動させる。多軸位置決め機構232は、二連プローブ保持機構230を傾斜スライド運動させる機構、及び、加圧中心軸回りにおいて二連プローブ保持機構230を回転させる機構を備えている。二連プローブ保持機構230は図1に示した二連プローブ保持機構30と同様の構成を有している。
【0066】
したがって、図10に示す構成によれば、生体をセッティングする場合には、各機構222,218,232が図においてX方向にスライド運動して退避位置へ位置決めされる。そして、生体がセッティングされた後においてそれらの機構222,218,232が前進して測定位置に位置決めされることになる。この図10に示す構成によれば、図1に示した構成に比べて機構を簡易化できるという利点がある。もちろん、三点曲げ荷重測定を適正に行える限りにおいてそれら以外の各種の機構を採用することができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係る骨診断装置によれば、複数のプローブを生体に対して適正に位置決めした状態において、適正な向きから生体に対して荷重を与えて骨の診断を行えるという利点がある。特に2つのプローブの両方を同時に位置調整する機構とそれらを個別的に位置調整する機構の両方を多重的に設けたため、それぞれのプローブの位置決めの自由度を増大させて迅速かつ適切にプローブの位置決めを行えるという利点がある。生体への加圧に関しては人為的に行うことも可能であるが、上記実施形態においては電気的な制御によって加圧を行えるため、客観的で再現性のある加圧を行って測定精度を高められるという利点がある。
【0068】
上記実施形態においては診断対象となる生体が足であったが、もちろん足以外の手あるいは他の部位に対して上記同様の測定方法を適用することができる。対象となる部位に応じて測定機構の構造を適宜変更させるのが望ましい。またスペーサ部材などの部材を交換することによって様々な部位に対して共通の測定機構を利用することも可能である。上記の実施形態においては、2つのプローブを用いて同時にあるいは時分割で骨に対する超音波診断装置が行われていたが、1つのプローブを用いて超音波診断を行うようにしてもよいし、より多くのプローブを用いて超音波診断を行うようにしてもよい。2つのプローブを用いて測定を行う場合、送受信を行うプローブを交互に切り替えることにより、既存の超音波診断をそのまま用いることが可能となる。すなわち超音波診断装置に対して2つのプローブを接続し、プローブセレクト機能を利用してプローブを交互に選択利用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係る測定機構の好適な実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す測定機構の側面図である。
【図3】加圧機構の斜視図である。
【図4】二連プローブ保持機構の斜視図である。
【図5】第1保持ユニットの斜視図である。
【図6】本発明に係る骨診断装置の構成を示すブロック図である。
【図7】測定機構の構成関係を示す概念図である。
【図8】測定方法の一例を示す説明図である。
【図9】本実施形態に係る骨診断装置を示すフローチャートである。
【図10】他の実施形態に係る測定機構を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
10 生体、18 生体固定機構、22 加圧機構、30 二連プローブ保持機構、32 多軸位置決め機構、40 水平スライド機構、44 傾斜スライド機構、47 伝達機構、50 押し棒、51 接触子、52 第1保持ユニット、54 第2保持ユニット、90 第2回転機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体を保持する生体保持機構と、
前記生体を押圧して前記生体中の骨に対して曲げ荷重を与える押圧具と前記押圧具を駆動するための駆動部とを備えた加圧機構と、
前記加圧機構に隣接して設けられ、前記生体組織中の骨を超音波診断するためのプローブを保持するプローブ保持機構と、
を含むことを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項2】
請求項1記載の測定機構において、
前記生体保持機構は、
互いに隔てられた第1支持位置及び第2支持位置で前記生体を支持する支持機構と、
前記支持機構により支持された生体を固定する固定機構と、
を含み、
前記第1支持位置及び前記第2支持位置の間の位置において前記生体が押圧され、前記骨に対して3点曲げ荷重が付与されることを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項3】
請求項1記載の測定機構において、
前記加圧機構は、前記押圧具による押圧力を周期的に変動させる伝達機構を備えることを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項4】
請求項3記載の測定機構において、
前記伝達機構は、
前記駆動部の回転力が伝達される偏心カムと、
前記偏心カムに当接し、前記偏心カムの回転により、前記押圧具に対して周期的な前進力を与える当接部材と、
を含むことを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項5】
請求項1記載の測定機構において、
前記押圧具は、
軸部材と、
前記軸部材の先端に設けられ、前記生体に接触する接触面を有する接触子と、
を有し、
前記接触面は、前記骨の伸長方向に長く且つ前記伸長方向に直交する方向に短い矩形又は楕円形を有することを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項6】
請求項1記載の測定機構において、
前記加圧機構は、前記生体に対する前記押圧具の押圧力を検出する検出器を有することを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項7】
生体を保持する生体保持機構と、
前記生体を押圧して前記生体中の骨に対して曲げ荷重を与える押圧具と前記押圧具を駆動するための駆動部とを備えた加圧機構と、
前記生体組織中の骨を超音波診断するための2つのプローブを保持するプローブ保持機構と、
を含み、
前記2つのプローブは前記骨の伸長方向において前記押圧具の両側に設けられることを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項8】
請求項7記載の測定機構において、
前記プローブ保持機構は2つのプローブ保持ユニットを有し、
前記各プローブ保持ユニットは、それが保持しているプローブの位置及び姿勢を調整する調整機構を備えることを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項9】
請求項8記載の測定機構において、
前記調整機構は、
前記プローブを進退させる進退機構と、
前記プローブを傾斜させる傾斜機構と、
を含むことを特徴とする骨診断装置等測定機構。
【請求項10】
請求項9記載の測定機構において、
前記傾斜機構は、
第1仮想軸回りに前記プローブを傾斜させる第1傾斜機構と、
前記第1仮想軸に直交する第2仮想軸回りに前記プローブを傾斜させる第2傾斜機構と、
で構成されることを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項11】
請求項10記載の測定機構において、
前記プローブの送受波面には変形自在なカップリング部材が設けられ、
前記第1仮想軸及び前記第2仮想軸は、前記カップリング部材が前記生体に当接して変形した状態における当該カップリング部材の接触面の中央原点を通過することを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項12】
請求項8記載の測定機構において、
前記2つのプローブ保持ユニットの内で少なくとも1つのプローブ保持ユニットは、前記骨の長軸断面及び短軸断面を取得可能なように前記プローブを平行保持及び直交保持する機能を有することを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項13】
請求項8記載の測定機構において、
前記プローブ保持機構は、前記各プローブ保持ユニットを独立してスライドさせる個別スライド機構を有することを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項14】
請求項8記載の測定機構において、
前記プローブ保持機構全体の位置決めを行う全体位置決め機構を有することを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項15】
請求項14記載の測定機構において、
前記全体位置決め機構は、
前記プローブ保持機構を前記骨の伸長方向にスライドさせる第1全体スライド機構と、
前記プローブ保持機構を前記伸長方向と直交する直交方向にスライドさせる第2全体スライド機構と、
前記プローブ保持機構を前記伸長方向及び前記直交方向によって定義される仮想面上において回転させる全体回転機構と、
を備えることを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項16】
請求項7記載の測定機構において、
測定前に前記加圧機構を測定位置に移動させ、測定後に前記加圧機構を退避位置に移動させる第1移動機構と、
測定前に前記プローブ保持機構を測定位置に移動させ、測定後に前記プローブ保持機構を退避位置に移動させる第2移動機構と、
を含むことを特徴とする骨診断装置用測定機構。
【請求項17】
測定部と制御部と診断部とを含む骨診断装置において、
前記測定部は、
生体を保持する生体保持機構と、
前記生体を押圧して前記生体中の骨に対して曲げ荷重を与える加圧機構と、
前記生体組織中の骨を超音波診断するための複数のプローブを保持するプローブ保持機構と、
を含み、
前記制御部は前記加圧機構の動作を制御し、
前記診断部は前記複数のプローブから出力される受信信号に基づいて前記骨の力学的特性を演算する、
ことを特徴とする骨診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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