説明

測定器

【課題】高いシール性を確保でき、かつ、シール筒の交換も容易にできる測定器を提供すること。
【解決手段】測定器は、本体ケースと、この本体ケースの外部に突出して設けられた筒状のステム11と、このステム11に軸方向に移動自在に挿通され本体ケースの内部から外部に露出して一端部に測定子21を有するスピンドル2と、本体ケースの内部に設けられ前記スピンドル2の移動量を検出する検出手段とを備え、スピンドル2の本体ケースの外部に露出した部分を覆いスピンドル2の移動に合わせて伸縮可能な第1のゴムキャップ22と、この第1のゴムキャップ22の一端部をスピンドル2の測定子側の測定子端部の外周面に密着させて挟持する第1のリング23と、第1のゴムキャップ22の他端部を第1のステム11の外周面に密着させて挟持する第2のリング24とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンドルの移動量から被測定物の寸法や形状を測定する測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スピンドルの移動量により被測定物の寸法や形状を測定する測定器としてダイヤルゲージが知られている。ダイヤルゲージは、本体ケースと、この本体ケースの内外を移動自在に案内されるスピンドルと、このスピンドルの移動量を検出し本体ケースの内部に設けられた検出手段とを備えて構成されている。本体ケースには、スピンドルをガイドする筒状のステムが本体ケースの外に突出して設けられている。スピンドルは、一端部に測定子を有している。
【0003】
このような構成のダイヤルゲージは、スピンドルが本体ケースのステムを通じて内外を移動するため、スピンドルとステムとの間には隙間を有している。このダイヤルゲージを水滴や研削油等の液体が飛び散っていることが多い環境下で使用する場合、これらの水滴等が前記隙間から本体ケースの内部に浸入すると内部の検出手段が誤動作を起こして誤差を生じさせたり、あるいはダイヤルゲージが故障したりする。そのため、水滴等の浸入を防止するシール構造のダイヤルゲージが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
図6には、特許文献1に記載されたダイヤルゲージが示されている。図6において、スピンドル2には軸方向にスピンドル2を覆う程度の長さの伸縮可能なゴムキャップ28が設けられている。このゴムキャップ28は、両端部に円環状の突起部25、26が内周に沿って形成されている。スピンドル2の測定子21側の測定子端部には外周に沿って環状の溝27が形成されており、ゴムキャップ28の一端部の突起部25がこの環状の溝27と嵌合している。また、ステム11の外周に沿って環状の溝14が形成されており、ゴムキャップ28の他端部の突起部26がこの環状の溝14と嵌合している。
【0005】
このような構成により、ゴムキャップ28の両端部がスピンドル2の測定子端部およびステム11に固定され、スピンドル2の移動に合わせてゴムキャップ28が伸縮され、常に本体ケース1の内部がシールされるので、水滴等の浸入が防止される。
【0006】
【特許文献1】特開平8−247752号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなシール構造において、ゴムキャップ28とスピンドル2およびゴムキャップ28とステム11の嵌合が固いと、ゴムキャップ28の交換が困難になってしまう。そこで、この嵌合を緩くしてゴムキャップ28の交換の作業性を上げようとすると、ゴムキャップ28に水圧が掛かった場合にシール性に問題が生じていた。ここで、シール性を高めるために、接着剤によりゴムキャップ28を固定することが考えられるが、接着剤により固定されたゴムキャップ28の交換は、困難である。
このような問題は、ダイヤルゲージに限られず、スピンドルの移動量により被測定物の寸法や形状を測定する測定器に共通する問題である。
【0008】
本発明の目的は、高いシール性を確保でき、かつ、シール筒の交換も容易にできる測定器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の測定器は、本体ケースと、この本体ケースにその本体ケースの外部に突出して設けられた筒状の第1のスピンドル案内筒と、この第1のスピンドル案内筒に軸方向に移動自在に挿通され前記本体ケースの内部から外部に露出して一端部に測定子を有するスピンドルと、前記本体ケースの内部に設けられ前記スピンドルの移動量を検出する検出手段とを備え、前記スピンドルの移動量から被測定物の寸法や形状を測定する測定器において、前記スピンドルの本体ケースの外部に露出した部分を覆いスピンドルの移動に合わせて伸縮可能な第1のシール筒と、この第1のシール筒の一端部を前記スピンドルの測定子側の測定子端部の外周面に密着させて挟持する第1のリングと、前記第1のシール筒の他端部を前記第1のスピンドル案内筒の外周面に密着させて挟持する第2のリングとを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の構成によれば、第1のシール筒の一端部の内周とスピンドルの測定子端部の外周との嵌合が、スピンドルから第1のシール筒を取外しやすい程度の緩さであっても、次の効果が得られる。第1のリングが第1のシール筒の一端部の外周に掛けられ、第1のシール筒が弾性変形するので、第1のリングは、第1のシール筒をスピンドルの測定子端部に密着させて挟持する。よって、ゴムキャップに設ける突起部をスピンドルの外周の溝に嵌合する方法でシール性を確保する従来の方法よりも高いシール性を確保することができる。第1のシール筒の他端部についても同様に、第2のリングによって従来よりも高いシール性を確保できる。
また、第1および第2のリングを第1のシール筒とは別体で構成するので、従来のようにゴムキャップに突起部を形成したりスピンドルおよびステムの外周に溝を形成したりする必要がなく、個々の部品を簡単な形状とすることができ、シール構造を容易に製造することができる。
また、第1および第2のリングを第1のシール筒とは別体で構成して高いシール性を確保するので、従来のように接着剤によりゴムキャップを固定する必要がなくなり、第1のシール筒の交換を容易にできる。
【0011】
本発明の測定器において、前記スピンドルは、前記測定子側とは反対の反測定子端部が前記本体ケースの内部から外部に露出しており、前記本体ケースにその本体ケースの外部に突出して設けられ前記スピンドルの反測定子端部を軸方向に移動自在に挿通する筒状の第2のスピンドル案内筒と、前記スピンドルの反測定子端部で前記本体ケースの外部に露出した部分を覆いスピンドルの移動に合わせて伸縮可能な第2のシール筒と、この第2のシール筒の一端部を前記第2のスピンドル案内筒の外周面に密着させて挟持する第3のリングと、前記第2のシール筒の他端部を前記スピンドルの反測定子端部の外周面に密着させて挟持する第4のリングとを備えていることが好ましい。
【0012】
従来、スピンドルの反測定子端部には、スピンドルと第2のスピンドル案内筒との隙間から本体ケース内部をシールするために内周にOリングを備えたゴム製キャップが装着されている。使用にあたって、ゴム製キャップを取外してスピンドルの反測定子端部にリフティングノブを装着し、リフティングノブとリフティングレバーを係合させ、このリフティングレバーを用いてリフティングノブに連結されたスピンドルを昇降させる場合がある。このリフティングノブ装着時には、ゴム製キャップを取外すため、本体ケース内部のシール性を確保できないという問題が生じていた。
【0013】
本発明の構成によれば、第2のシール筒の一端部の内周と第2のスピンドル案内筒の外周との嵌合が、第2のスピンドル案内筒から第2のシール筒を取外しやすい程度の緩さであっても、次の効果が得られる。第3のリングが第2のシール筒の一端部の外周に掛けられ、第2のシール筒が弾性変形するので、第3のリングは、第2のシール筒を第2のスピンドル案内筒に密着させて挟持する。よって、リフティングノブ装着時にも、従来よりも高いシール性を確保することができる。第2のシール筒の他端部についても同様に、第4のリングによってリフティングノブ装着時にも、従来よりも高いシール性を確保できる。
また、第3および第4のリングを第2のシール筒とは別体で構成するので、個々の部品を簡単な形状とすることができ、シール構造を容易に製造することができる。
また、第3および第4のリングを第2のシール筒とは別体で構成して高いシール性を確保するので、接着剤を使用する必要がなく、リフティングノブ装着時にも、第2のシール筒の交換を容易にできる。
【0014】
本発明の測定器において、前記第1から第4のリングは、金属で形成されていることが好ましい。
この発明によれば、第1から第4のリングは、金属で形成されるので、例えば、ゴムや樹脂で形成するよりも加工が容易で寸法を変更しやすい。また、金属で形成されるので、ゴムや樹脂よりも長く使用することができ、第1、第2のシール筒が消耗した時は、第1、第2のシール筒だけを交換して、第1から第4のリングを継続して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明を実施する形態の一例を示す。
図1は、本実施形態のデジタル式ダイヤルゲージの正面図である。図2は、本実施形態のデジタル式ダイヤルゲージの測定子端部の拡大図である。図3は、本実施形態のデジタル式ダイヤルゲージの反測定子端部の拡大図である。図4は、本実施形態のデジタル式ダイヤルゲージのリングの斜視図である。
【0016】
図1において、本実施形態のデジタル式ダイヤルゲージは、本体ケース1と、この本体ケース1を貫通し内外を移動自在に案内されるスピンドル2と、このスピンドル2の移動量を検出する図示しない検出手段と、検出値をデジタル表示するデジタル表示部3とを有している。
【0017】
本体ケース1は、略直方体で内部に収容空間を有し図示しない検出手段を収納している。本体ケース1の一端部と他端部にはスピンドル2の貫通孔が設けられている。この一端部の貫通孔には、スピンドル2の移動方向に沿って第1のスピンドル案内筒であるステム11が設けられ、他端部の貫通孔には、スピンドル2の移動方向に沿って第2のスピンドル案内筒13が設けられている。ステム11と第2のスピンドル案内筒13は、本体ケース1の外部に所定長さだけ突出しており、スピンドル2を軸方向に移動自在に挿通している。
【0018】
ステム11の一端部には、図2に示すように、ステム11とスピンドル2との間に介在配置され、外径と内径がステム11の内径とスピンドル2の外径にそれぞれ略同一な円筒状のブッシュ12が設けられている。このブッシュ12の一端部は、ステム11の一端部より測定子側に所定長さだけ突出されており、他端部は、ステム11の一端部より反測定子側へ所定領域が圧入されている。このブッシュ12の内面周にてスピンドル2が軸方向に移動可能に軸受けされている。
【0019】
スピンドル2は、一端部に被測定物と当接する測定子21を有し、外周の所定の領域に伸縮可能な第1のシール筒である第1のゴムキャップ22を挿通されている。この第1のゴムキャップ22は、スピンドル2の測定子端部からブッシュ12の一端部までを覆う円筒状で両端部に円筒部を有し、中央部に蛇腹を有している。
第1のゴムキャップ22の一端部の内径は、スピンドル2の測定子端部の外径に略同一で、他端部の内径は、ブッシュ12の一端部の外径に略同一である。第1のゴムキャップ22の一端部および他端部の内周は、スピンドル2およびブッシュの外周が円形であることに合わせて円形に形成され、スピンドル2の測定子端部およびブッシュ12の一端部の外周にそれぞれ密接している。
【0020】
第1のゴムキャップ22の一端部の外周には第1のリング23が、他端部の外周には第2のリング24がそれぞれ設けられている。第1、第2のリング23、24は、図4に示すように、金属製で所定の長さの円筒形状に形成されている。
第1のリング23の内径は、第1のゴムキャップ22の一端部の外径より小さく形成される。装着状態においては、第1のゴムキャップ22の一端部は、第1のリング23によって弾性変形し外径が第1のリング23の内径まで縮径されている。そして、第1のゴムキャップ22の一端部は、スピンドル2の測定子端部の外周に密着して挟持されている。
【0021】
第2のリング24の内径は、第1のゴムキャップ22の他端部の外径より小さく形成される。装着状態においては、第1のゴムキャップ22の他端部は、第2のリング24によって弾性変形し外径が第2のリング24の内径まで縮径されている。そして、第1のゴムキャップ22の他端部は、ブッシュ12の一端部の外周に密着して挟持されている。
【0022】
第2のスピンドル案内筒13は、図3に示すように、スピンドル2の反測定子端部に挿通されている。このスピンドル2の反測定子端部には、スピンドル2を延長する所定長さの円柱状のエクステンションロッド31が螺合されている。このエクステンションロッド31には、外周の所定の領域に伸縮可能な第2のシール筒である第2のゴムキャップ32が挿通されている。この第2のゴムキャップ32は、第2のスピンドル案内筒13の反測定子端部からエクステンションロッド31の他端部までを覆う円筒状で両端部に円筒部を有し、中央部に蛇腹を有している。
【0023】
第2のゴムキャップ32は、第1のゴムキャップ22と同様に形成され、その一端部は、第1のリング23と同様な形状の第3のリング33により第2のスピンドル案内筒13の反測定子端部の外周に密着して挟持されている。また、第2のゴムキャップ32の他端部は、第1のリング23と同様な形状の第4のリング34によりエクステンションロッド31の外周に密着して挟持されている。
【0024】
エクステンションロッド31の他端部には、第2のスピンドル案内筒13の反測定子端部からエクステンションロッド31の他端部までを第2のゴムキャップ32を含めて覆うように形成されたリフティングノブ35が設けられている。このリフティングノブ35は、略円筒状で外周に凹凸部38が形成され、他端部に形成された開孔部37を通してねじ36でエクステンションロッド31の他端部にねじ止めされている。
【0025】
測定にあたっては、測定子21を被測定物に当接させる。すると、測定子21に連結するスピンドル2が移動するので、その移動量が図示しない検出手段で検出され、デジタル表示部3に表示される。この際、スピンドル2の移動に合わせて第1のゴムキャップ22と第2のゴムキャップ32とが伸縮するので、スピンドル2が移動範囲内のどの位置にあっても、常に本体ケース1の内部のシール性が保持される。
【0026】
また、図示しないリフティングレバーを使用してスピンドル2を移動させる場合、リフティングレバーの一端部をリフティングノブ35の外周の凹凸部38に連結させる。そして、リフティングレバーの他端部に外力を作用させると、連結されたリフティングノブ35が軸方向に移動されるので、エクステンションロッド31を介してスピンドル2が軸方向に移動される。この際も、測定中と同様に、スピンドル2が移動範囲内のどの位置にあっても、常に本体ケース1の内部のシール性が保持される。
【0027】
第1のゴムキャップ22の取付けにあたっては、まず、第1のゴムキャップ22をスピンドル2に挿通し、この第1のゴムキャップ22がスピンドル2の測定子端部からブッシュ12の一端部までを覆うようにする。次に、この第1のゴムキャップ22の一端部の外周を弾性変形させながら第1のリング23を挿入する。すると、第1のゴムキャップ22の一端部は、スピンドル2の測定子端部の外周面に密着して、第1のリング23によって挟持される。
同様に、第1のゴムキャップ22の他端部は、ブッシュ12の一端部の外周に密着して、第2のリング24によって挟持される。
第1のゴムキャップ22の取外しにあたっては、第1、第2のリング23、24を挟持部より外せばよい。
第2のゴムキャップ32の取付け取外しについては、第1のゴムキャップ22と同様に行うことができる。
【0028】
このような本実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
(1)第1のゴムキャップ22の一端部の内周とスピンドル2の測定子端部の外周との嵌合が、スピンドル2から第1のゴムキャップ22を取外しやすい程度の緩さであっても、次の効果が得られる。第1のリング23が第1のゴムキャップ22の一端部の外周に掛けられ、第1のゴムキャップ22が弾性変形するので、第1のリング23は、第1のゴムキャップ22をスピンドル2の測定子端部に密着させて挟持する。よって、従来よりも高いシール性を確保できる。第1のゴムキャップ22の他端部についても同様に、第2のリング24によって従来よりも高いシール性を確保できる。
【0029】
(2)第1および第2のリング23、24は、第1のゴムキャップ22とは別体で構成するので、従来よりも個々の部品を簡単な形状とすることができ、シール構造を容易に製造することができる。
(3)第1および第2のリング23、24を第1のゴムキャップ22とは別体で構成して高いシール性を確保するので、従来のように接着剤を使用して固定する必要がなくなり、第1のゴムキャップ22の交換を容易にできる。
【0030】
(4)第2のゴムキャップ32の一端部の内周と第2のスピンドル案内筒13の外周との嵌合が、第2のスピンドル案内筒13から第2のゴムキャップ32を取外しやすい程度の緩さであっても、次の効果が得られる。第3のリング33が第2のゴムキャップ32の一端部の外周に掛けられ、第2のゴムキャップ32が弾性変形するので、第3のリング33は、第2のゴムキャップ32を第2のスピンドル案内筒13に密着させて挟持する。よって、リフティングノブ35の装着時にも、従来よりも高いシール性を確保できる。第2のゴムキャップ32の他端部についても同様に、第4のリング34によってリフティングノブ35の装着時にも、従来よりも高いシール性を確保できる。
【0031】
(5)第3および第4のリング33、34は、第2のゴムキャップ32とは別体で構成するので、個々の部品を簡単な形状とすることができ、シール構造を容易に製造することができる。
(6)第3および第4のリング33、34を第2のゴムキャップ32とは別体で構成して高いシール性を確保するので、従来のように接着剤を使用して固定する必要がなくなり、リフティングノブ35の装着時にも、第2のゴムキャップ32の交換を容易にできる。
【0032】
(7)第1から第4のリング23、24、33、34は、金属で形成されるので、例えば、ゴムや樹脂で形成するよりも加工が容易で寸法を変更しやすい。また、金属で形成されるので、ゴムや樹脂よりも長く使用することができ、第1、第2のゴムキャップ22、32が消耗した時は、第1、第2のゴムキャップ22、32だけを交換して、第1から第4のリング23、24、33、34を継続して使用することができる。
【0033】
(8)測定時、および、図示しないリフティングレバーによりスピンドル2を移動させる時に、スピンドル2の移動に合わせて第1のゴムキャップ22と第2のゴムキャップ32とが伸縮可能なので、スピンドル2が移動範囲内のどの位置にあっても、常に本体ケース1の内部のシール性が保持される。
【0034】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、第1のリング23を所定の長さの円筒形状としていたが、本発明では、図5に示すように、円環の一部が割れた略C字形状としてもよい。この構成によれば、軸方向に割れた部分の対向する端面部39の間隔を周方向に広げれば、弾性変形で容易に拡径できる。また、拡径した状態を解放すれば、弾性変形で容易に縮径できる。よって、第1のゴムキャップ22の一端部との着脱の作業性がよく、この交換を容易にできる。
また、第1のリング23の材質を金属としていたが、材質を樹脂としてもよい。つまり、第1のゴムキャップ22の一端部をスピンドル2の測定子端部の外周へ第1のリング23の弾性力で密接させる機能を発揮できる材質としてもよい。
また、第1のリング23の第1のゴムキャップ22に密接して挟持する面に凹凸等を形成して、第1のゴムキャップ22の弾性力によるシール性を高めてもよい。
【0035】
また、第1のリング23を所定の長さの円筒形状としたが、本発明では、例えば、第1のリング23の周方向に垂直な断面を略円形としても、他の形状としてもよい。要するに、第1のゴムキャップ22の一端部の外周に沿って密接して挟持できるとともに、着脱が容易にできる機能を発揮できる形状であればよい。
上述の第1のリング23に関する変形、改良等は、第2から第4のリング24、33、34においても同様に行ってもよい。
また、検出値の表示方式は、デジタル表示部3にて構成されているが、これに限らず、別の表示方法、例えば、ダイヤル式等で構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、ダイヤルゲージに利用できる他、デジマチックインジケータ等にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態にかかるデジタル式ダイヤルゲージを示す正面図。
【図2】本実施形態のデジタル式ダイヤルゲージの測定子端部の拡大図。
【図3】本実施形態のデジタル式ダイヤルゲージの反測定子端部の拡大図。
【図4】本実施形態のデジタル式ダイヤルゲージのリングの斜視図。
【図5】変形例のデジタル式ダイヤルゲージのリングの斜視図。
【図6】従来技術のデジタル式ダイヤルゲージの測定子端部の正面図。
【符号の説明】
【0038】
1…本体ケース
2…スピンドル
11…ステム(第1のスピンドル案内筒)
13…第2のスピンドル案内筒
21…測定子
22…第1のゴムキャップ(第1のシール筒)
23…第1のリング
24…第2のリング
32…第2のゴムキャップ(第2のシール筒)
33…第3のリング
34…第4のリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、この本体ケースにその本体ケースの外部に突出して設けられた筒状の第1のスピンドル案内筒と、この第1のスピンドル案内筒に軸方向に移動自在に挿通され前記本体ケースの内部から外部に露出して一端部に測定子を有するスピンドルと、前記本体ケースの内部に設けられ前記スピンドルの移動量を検出する検出手段とを備え、前記スピンドルの移動量から被測定物の寸法や形状を測定する測定器において、
前記スピンドルの本体ケースの外部に露出した部分を覆いスピンドルの移動に合わせて伸縮可能な第1のシール筒と、
この第1のシール筒の一端部を前記スピンドルの測定子側の測定子端部の外周面に密着させて挟持する第1のリングと、
前記第1のシール筒の他端部を前記第1のスピンドル案内筒の外周面に密着させて挟持する第2のリングとを備えたことを特徴とする測定器。
【請求項2】
請求項1に記載の測定器において、
前記スピンドルは、前記測定子側とは反対の反測定子端部が前記本体ケースの内部から外部に露出しており、
前記本体ケースにその本体ケースの外部に突出して設けられ前記スピンドルの反測定子端部を軸方向に移動自在に挿通する筒状の第2のスピンドル案内筒と、
前記スピンドルの反測定子端部で前記本体ケースの外部に露出した部分を覆いスピンドルの移動に合わせて伸縮可能な第2のシール筒と、
この第2のシール筒の一端部を前記第2のスピンドル案内筒の外周面に密着させて挟持する第3のリングと、
前記第2のシール筒の他端部を前記スピンドルの反測定子端部の外周面に密着させて挟持する第4のリングとを備えたことを特徴とする測定器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の測定器において、
前記第1から第4のリングは、金属で形成されていることを特徴とする測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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