説明

測定装置、測定方法

【課題】 人間の胸部における覚醒時と睡眠時との間の微少間隔内における重量変動を測定することで、被験者等の体格等によらず、平均して一定の重量の増減特性を検出することである。
【解決手段】 被験者が仰臥姿勢となることで、該被験者が背面方向に配置されている測定部を押圧可能な寝台を備える測定装置であって、CPU15は、センサS2から出力される出力データをA/D変換器11を介して変換されると、各測定部が所定時間間隔で検出する押圧量を重量データに換算し、該換算される重量データの変動較差を算定し、さらに、算定された重量データの変動較差がROM13に記憶されている所定値に収束しているか否かを判断する構成を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の身体各部の重量変動を測定する測定装置、測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人の体重が加わる寝具または座具の一主面側に敷設される偏平な可撓性エアセルと、該エアセル内のエアの圧力を検知するための圧力検知手段とを備え、該圧力検知手段の出力により前記寝具または座具上における人の存在または体重移動を検知するものとしい、下記特許文献1が開示されている。
【0003】
この下記特許文献1は、寝具、座蒲団などに人が就寝しあるいは座っていることを検知するための体動検知装置、および就寝のばあいに寝返りを検知することにより睡眠状態を判別するものである。
【0004】
これにより、人体に直接センサを取りつけることなく睡眠状態を判別でき、1個または高々数個の圧力センサで広い面積での体動が検知できるものである。
【0005】
また、下記非特許文献1には、人間の生体における心(魂)の重さを質量として計量できる可能性が示唆されています。
【特許文献1】特開平5−192315号公報
【非特許文献1】JAPET 平成10年度定時総会・記念講演会「心とは何だろう」JAPET1998.8.vol.87.p9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1は、あくまでも人間の睡眠状態の有無を判定するものに留まるものであって、生体における心の状態を測定するものではありません。
【0007】
また、記非特許文献1には、人間の生体における心(魂)の重さを質量として計量できる可能性が示唆されていますが、その測定方法については、何らの示唆もありません。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、物理的な法則である、エネルギーの法則に則って、すなわち、E=mc(mは質量で、cは光速度)を根拠として、人間が睡眠時と覚醒時とで人間の身体の各部の重量変動が所定時間内にある一定の範囲に収束することを見出し、これを根拠として、自然法則を利用した発明として、心の重さを計量し、それを数値化できる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の測定装置は以下に示す構成を備える。
【0010】
仰臥姿勢をとった被験者の質量を測定する測定部を備える測定装置であって、測定部が所定時間間隔で検出する重量データの変動較差を算定する算定手段と、前記算定手段により算定された重量データの変動較差が所定値に収束しているか否かを判断する判断手段とを有することを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成する本発明のエネルギー測定方法は以下に示す構成を備える。
【0012】
仰臥姿勢をとった被験者の質量を測定する測定部を備える測定装置におけるエネルギー測定方法であって、測定部が所定時間間隔で検出する重量データの変動較差を算定する算定ステップと、前記算定ステップにより算定された重量データの変動較差が所定値に収束しているか否かを判断する判断ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、成人の胸部における覚醒時と睡眠時との間の微少間隔内における重量変動を測定することで、被験者等の体格等によらず、平均して一定の重量の増減特性を検出できる。
【0014】
これにより、生体内の胸部におけるエネルギー変動量を数値に換算して出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態を示す測定装置の概略構成を説明するブロック図である。なお、エネルギーEは、E=mc に換算される物理量である。
また、本出願人は、下記の測定条件に基づいて被験者の胸部における質量変動を測定した。
【0018】
第1、被験者が測定部に仰臥する姿勢になり、自然呼吸状態で、脈拍等が正常で落ち着いた状態であること(血管内の血流移動による体重移動を受けない状態)。
【0019】
第2、測定間隔が所定時間間隔であること。
【0020】
第3、安静した覚醒状態から睡眠状態へ移行させること。
【0021】
第4に、外要因で、睡眠状態から覚醒状態に移行させること。
【0022】
第5に、被験者は、成人であること。
【0023】
図1において、1〜4はベースで、被験者が仰臥した場合に、それぞれ頭部、胸部、臀部、脚部等を支える部材である。なお、被験者は、仰向けに仰臥する例を示すが、俯せ等の姿勢で仰臥してもよい。
【0024】
各ベース1〜4の下部には、かかる垂直加重で押圧されることを検知する圧力センサS1〜S4が所定位置に配設されている。そして、各センサS1〜S4の押圧信号がインタフェース20を介して制御装置5のインタフェース5に接続されている。なお、ベース1〜4は、全て備える必要はなく、被験者の胸部に対応する圧力センサS2のみを備えていれば、本発明を適用可能である。特に、後述するように、被験者が幼児である場合には、身体全体からその質量較差を算出するのが適切なので、測定部の部数は、限定されない。
【0025】
制御装置は、インタフェース10、A/D変換器11、CPU15、タイマ14、RAM12、ROM13等を備えている。なお、CPU15は、ROM13に記憶された制御プログラムをRAM12にロードして、センサS1〜4から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換される押圧データをサンプリングして、ROM13に記憶される所定の収束値(基準値)と比較して、被験者が覚醒状態から睡眠状態に遷移したか否かを判断する。
【0026】
なお、体重を測定する原理は、内部にシリコンオイルなどの流動液体を封入してあり、流動液体の圧力を圧力センサS1〜S4で検出、計測した圧力を体重に換算して、例えば表示装置7でデジタル表示させる。
【0027】
また、その際に、CPU12は、センサS2が検出する被験者の胸部の質量変動(較差)に基づいて、被験者が覚醒時において、胸部に集中しているエネルギーと、睡眠時に被験者の胸部から放出されるエネルギーとを下記第(1)式により算定する。
【0028】
E=mc ……(1)
さらに、CPU12は、インタフェース6を介して、表示装置7に算定された被験者が覚醒時と睡眠時とのエネルギー量を表示したり、算定された被験者が覚醒時と睡眠時とのエネルギー量を数値化したデータとして印刷装置8から出力させたりする。
【0029】
9はデータベースで、被験者のID別に、測定日時に従い算定された被験者が覚醒時と睡眠時とのエネルギー量を数値化したデータを蓄積し、適時読み出して、最新のデータとの比較検証データとして管理される。
【0030】
なお、タイマ14は、被験者の胸部の質量変動を所定のタイミングで検出するためのタイマ割込処理に使用される。これにより、後述する図2に示すような被験者の胸部の質量変動を捉えることができる。
【0031】
また、被験者の胸部の質量を測定する手段は、図1に示す圧力センサS4等の信号を処理して換算する代わりに、直接体重計測器が示す数値を所定の間隔で読み取り、図示しない入力手段(例えばキーボード)等を使用して、被験者の胸部の質量データをCPU15に入力する構成としてもよい。
【0032】
次に、図2に示す特性図を参照して、被験者がベース1〜4に仰臥した場合の血量移動に伴って各部の重さが増減する作用について説明する。なお、脈拍による胸部の質量データの変動は、±20g程度あることは測定値から明白なことである。
【0033】
図2は、図1に示したベース1〜4に仰臥した被験者の身体の各部の重さ変動特性を説明する図であり、縦軸に重さ(g)を示し、横軸は時間で、各ますは、1分に対応する。
【0034】
図2に示すように、総体重が、例えば54Kgの被験者がベース1〜4に仰臥姿勢をとった場合、脚部と臀部の血液が胸部に流れ戻るため、胸部に質量変化が生じ、安定点(仰臥してから、5分程度)において500g程度の質量が増加する。
【0035】
しかしながら、図2に示すように、頭部と脚部の質量については、100gを越えることはなく、殆ど変動が起きない。
【0036】
つまり、被験者の各部のうち、胸部については、仰臥姿勢をとることで、質量変化は生じて、その後、安定点以降については、各部の質量はほぼ一定に推移する。
【0037】
〔胸部エネルギーの測定処理〕
図3、図4は、図1に示したベース1、2における質量変動特性を示す図であり、図2と同一のものには同一の符号を付してある。なお、図3は、頭部の質量変動特性を示し、図4は、胸部の質量変動特性を示す。
【0038】
図3において、T1はベース1〜4に仰臥した被験者が睡眠状態に入った睡眠初期時点を示し、T2は、睡眠状態から覚醒状態に復帰した覚醒時点を示す。
【0039】
図3に示す質量データは、CPU15が後述するフローチャートに示す手順に従って処理したデータである。
【0040】
特に、頭部の質量変換は、図3に示すように睡眠状態(睡眠初期時点T1)に入ってから、覚醒状態(覚醒時点T2)に戻るまでの時間T2−T1には、大きな変動は生じない。なお、図示しないが、臀部、脚部も同様に測定結果から変動しないことが明らかである。
【0041】
一方、胸部については、図4に示すように興味深い質量変動特性Iが得られる。
【0042】
具体的には、図4に示すように、胸部の質量変動が安定化した後、睡眠初期時点T1で睡眠状態に入ると、胸部の質量データは、下がり始め、17640g(被験者は、図2に示す被験者と同一)で下げ止まり、その後、覚醒直前までの数分間、安定した質量データとなる。そして、覚醒時点T2で覚醒すると、図2に示した安定状態時とほぼ同様の質量を示す状態に遷移する。
【0043】
その間、外的なノイズは、遮断されている環境であるので、呼吸や血流の作用を考慮してみても、質量データが特定の質量変動特性Iを示すことは、非常に興味深く、何らかのエネルギーが胸部を中心として作用していると推量される。
【0044】
この測定処理により、胸部は、睡眠時において、覚醒時との質量データの較差は、成人において、平均して130g±20gであることが、被験者の測定処理からCPU15が導出することができる。
【0045】
なお、血流が安定しない状態では、頭部においても僅かな質量変動が生じることは測定結果からも伺える。
【0046】
したがって、本出願人は、上記測定される質量データから、上記胸部の質量変動特性Iは、人間の生体リズムにおいて、個人差がないので、睡眠時において、人間の生体のうち、胸部において、質量変動を誘因する何らかのエネルギーが作用しているものと結論づけることができる。
【0047】
図5は、本発明に係る測定装置におけるエネルギー測定処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、(1)〜(10)は各ステップを示す。また、各ステップは、CPU15がROM13に記憶される制御プログラムをRAM12にロードして実行することで達成される。また、ROM13には、質量変動特性Iに従う質量変動が起きているか否かを判定するため、上記CPU15が参照する収束値データVがあらかじめ記憶されている。
【0048】
先ず、ステップ(1)で、被験者がベース1〜4に仰臥した姿勢で、センサS1〜S4の出力データを受信したら、タイマ14の割込タイミングで、被験者の胸部に対応するセンサS2の出力データをA/D変換器11でA/D変換した、デジタルの質量データD1をサンプリングして、RAM12に記憶させる(2)。
【0049】
次に、CPU15は、RAM12上にサンプリングされている質量データが安定状態に対応するように、胸部の質量データが所定g程度増加して+方向で安定しているかどうかを判断する(3)。
【0050】
そして、得られた胸部の質量データが+方向で安定していないと判断した場合は、ステップ(1)へ戻り、胸部の質量データをサンプリングする。
【0051】
一方、ステップ(3)で、RAM12に記憶されている質量データが+方向で安定していると判断した場合は、その質量データを被験者の覚醒時における胸部質量としてRAM12に確保されるデータ領域に覚醒質量データW1として設定する(4)。
【0052】
なお、覚醒質量W1は、図2に示した安定状態時の胸部質量データに示す特性とほぼ一致する。
【0053】
次に、胸部の質量データが所定g程度増加して+方向で安定状態に遷移している被験者が、覚醒状態から睡眠状態に遷移するまでの間、タイマ14による割込タイミングで、センサS2で検出される出力データをA/D変換器11でA/D変換した、デジタルの質量データD2をサンプリングして、RAM12に記憶させる(5)。
【0054】
次に、CPU15は、RAM12に記憶されている質量データD2の最小値MIND2が安定状態の質量データD1からROM13に記憶されている収束値データVを減算した値に収束して安定しているか否かを判断する(6)。この判断で収束している場合は、睡眠状態に入ったとCPU15は判断できる。
【0055】
そして、質量データD2の最小値MIND2が安定状態の質量データD1からROM13に記憶されている収束値データVを減算した値に収束して安定していないと判断した場合は、ステップ(5)へ戻り、同様の質量データのサンプリングを繰り返す。
【0056】
一方、ステップ(6)で、質量データD2の最小値MIND2が安定状態の質量データD1からROM13に記憶されている収束値データVを減算した値に収束して安定していると判断した場合は、その収束安定値(収束している質量データD)をRAM12に設定する(7)。つまり、胸部の質量データが−方向で安定していることを示し、この状態が睡眠状態であるとCPU15は判定できる。
【0057】
次に、CPU15は、ステップ(5)でRAM12に設定しておいたデジタルの質量データD2から収束質量データDを減算処理して、胸部の質量変動値を特定する(8)。
【0058】
次に、CPU15は、上記第(1)式に、ステップ(8)で得られた胸部の質量変動値を代入してエネルギーを演算で求める(9)。
【0059】
そして、演算された被験者の胸部のエネルギー値をインタフェース6を介して表示装置7に数値データとして表示したり、印刷装置8から用紙に印刷したりして(10)、処理を終了する。
【0060】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では、被験者を成人として測定処理する場合について説明したが、もちろん新生児(幼児)であっても、本発明を適用可能である。
【0061】
なお、被験者が幼児である場合には、幼児の体重を部分的に測定する必要はなく、例えば身体を覆うような籠部材に幼児を収容して、身体全体の質量変動を測定すればよい。
【0062】
また、幼児における測定条件1〜4は、下記に示す通り、成人と同様であるが、第5の被験者が幼児であることである。
【0063】
第1、被験者が測定部に仰臥する姿勢になり、自然呼吸状態で、脈拍等が正常で落ち着いた状態であること(血管内の血流移動による体重移動を受けない状態)。
【0064】
第2、測定間隔が所定時間間隔であること。
【0065】
第3、安静した覚醒状態から睡眠状態へ移行させること。
【0066】
第4に、外要因で、睡眠状態から覚醒状態に移行させること。
【0067】
第5に、被験者は、幼児であること。
【0068】
ただし、新生児は、身体全体の中心加重を上記第1実施形態の条件と同様に測定して、新生児が覚醒時と睡眠時との質量データの変動をサンプリングして、同様の演算処理でエネルギーを算出するものとする。
【0069】
また、新生児の質量データの較差は、成人とは異なり、50gとなることが測定データから導出されているので、その値を基準とする。
【0070】
なお、新生児、幼児は、所定時間毎に、約10g程度成長しているものであるので、上記値の基準は、最適な値を推定すべきであることはいうまでもない。
【0071】
〔第3実施形態〕
上記実施形態では、測定された被験者の質量変動データから算出されるエネルギーを出力する場合について説明したが、そのエネルギーデータをデータベース9に蓄積して管理することで、算出される人間の生体エネルギーの変動の研究と、脳の研究とのコラボレーション等で更なる生体特性を解明できる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施形態を示す測定装置の概略構成を説明するブロック図である。
【図2】図1に示したベースに仰臥した被験者の身体の各部の重さ変動特性を説明する図である。
【図3】図1に示したベースにおける質量変動特性を示す図である。
【図4】図1に示したベースにおける質量変動特性を示す図である。
【図5】本発明に係る測定装置におけるエネルギー測定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
1〜4 ベース
5 制御装置
11 A/D変換器
12 RAM
13 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仰臥姿勢をとった被験者の質量を測定する測定部を備える測定装置であって、
測定部が所定時間間隔で検出する重量データの変動較差を算定する算定手段と、
前記算定手段により算定された重量データの変動較差が所定値に収束しているか否かを判断する判断手段と、
を有することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記算出手段により算出された被験者の特定部位のエネルギーを出力する出力手段を備えることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記重量データを履歴データとして記憶するデータベースを有することを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定部は、被験者が仰向けに仰臥姿勢となった状態で前記胸部域の質量を測定可能とすることを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項5】
仰臥姿勢をとった被験者の質量を測定する測定部を備える測定装置におけるエネルギー測定方法であって、
測定部が所定時間間隔で検出する重量データの変動較差を算定する算定ステップと、
前記算定ステップにより算定された重量データの変動較差が所定値に収束しているか否かを判断する判断ステップと、
を有することを特徴とするエネルギー測定方法。
【請求項6】
前記算出ステップにより算出された被験者の特定部位のエネルギーを数値化して出力する出力ステップを備えることを特徴とする請求項4記載のエネルギー測定方法。
【請求項7】
前記測定部は、被験者が仰向けに仰臥姿勢となった状態で前記胸部域の質量を測定可能とすることを特徴とする請求項5記載のエネルギー測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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