説明

測定装置用アダプター

【課題】測定装置のテスト棒に装着するだけで、測定装置のテスト棒間を短絡状態とし、非短絡状態への切り替えを簡単に行い、確実に過電圧・過電流で測定対象が破壊されないようにする。
【解決手段】テスターリードTL−aに電気的に接続されるアダプター10aと、テスターリードTL−bに接続されるアダプター10bとを備えており、アダプター10bは、テスターリードTL−bに電気的に接続される探針2bを備えており、探針2bが、測定対象に接触していない場合に、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間が導通している状態となり、探針2bが、測定対象に接触した場合に、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間が導通していない状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象に接触させて、その電気的特性を計測するために測定装置に備えられたテスト棒に装着可能な測定装置用アダプターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電気回路や電気素子などの測定対象の電気的特性を計測するための測定装置としてテスターが広く使われている。
【0003】
この「テスター」は、略称であり、正式には「回路計」といい、3種類以上の測定機能を持っている測定装置のことである。なお、電気的特性を計測するための測定装置としては、回路計のような複数の機能を持つものに限られず、測定対象の電気的特性である電圧、電流、及び電気抵抗のそれぞれを測定するための電圧計、電流計、及び抵抗計なども良く用いられている。
【0004】
通常、測定対象は、テスターのテスト棒を直接接触させることによって、電圧、電流、及び電気抵抗などの電気的特性が計測される。しかしながら、このテスターを抵抗計として用いる場合には、一般には、測定対象に接触した一方のテスト棒から他方のテスト棒に向かっていきなり大きな電流(過電流)が流れてしまうという問題点がある。
【0005】
特に、半導体などの信頼性を評価する場合、例えばLSI(large-scale integration)内部に使用されている「素の」トランジスタや配線を調べる必要がある。ここで、「素の」とは、過電圧保護回路などを備えていないものを指し、過電圧や過電流には脆弱な特性を持っている。
【0006】
例えば、近年のLSIに使用されているトランジスタは、1V近傍での動作を前提としているため、これに5V以上の電圧をいきなり印加すると、忽ち絶縁破壊を起こしてしまう。また、LSI内部の配線、例えば、最大電流=10μAを想定した配線に10mAの電流を流すと、当該配線は焼き切れてしまう(白熱灯の電球に寿命が存在するのと同じ原理で焼き切れてしまう)。
【0007】
まず、このような問題点の本質について図5(a)〜図6(c)に基づいて詳細に説明する。図5(a)は、テスターのテスト棒を直接IC(integrated circuit)等に接触させたときの様子を示す概要図である。また、図5(b)は、図5(a)に示すテスターの電圧源をV=9(V)として等価回路で置き換えた様子を示す回路図である。
【0008】
図5(b)に示すIC等の抵抗値が90Ωであったとすれば、テスターのテスト棒を直接接触させたときに消費する電力Pは、P=V/R=0.9(W)となる。そうすると、IC等の試料の定格電力は0.01Wに満たない場合が多くあるので、テスターのテスト棒を直接接触させると、IC等が壊れてしまうという問題点が生じる。
【0009】
そこで、従来は、汎用のテスターを使用して電気的に脆弱な試料を測定する場合には、2つのワニグチクリップを接続したものを用い、テスターのテスト棒のそれぞれをワニグチクリップで挟むようにして、一時的に両方のテスト棒間の電位差を0Vにする治具回路を構成して測定を行なっていた。
【0010】
ここで、図6(a)〜図6(c)に基づき、テスターで半導体などの抵抗値を測定する際に、テスターの両方のテスト棒をあらかじめ短絡(電位差を0Vにする)しておくことの意義について説明する。まず、図6(a)は、テスターによって測定対象(被測定物)にもたらされる過電圧・過電流の問題について説明するためのテスターの等価回路図である。
【0011】
図6(a)の等価回路に示すように、一般に、テスターは、回路全体に電力を供給するための電圧源、あらかじめ定められた一定の電流を流す定電流発生回路(定電流源とも言う)、及び電圧測定回路の組合せとして考えることができる。そうすると、テスターによる抵抗測定については、定電流発生回路を使用せざるを得ないことがわかる。
【0012】
すなわち、抵抗値が未知の抵抗R(単位はオーム)とする測定対象に既知の定電流I(単位はアンペア)を流したときにその抵抗の両端に発生する電圧がV(単位は、ボルト)ならば、原理的には、オームの法則(R=V/I)により、未知の抵抗Rを測定することができる。
【0013】
ここで、定電流発生回路は、測定対象の抵抗値に関係なく、一定の電流を流す定電流源である。そうすると、抵抗Rが小さければ、電圧Vも小さいが、抵抗Rが大きければ、電圧Vも大きくなる。
【0014】
テスターが抵抗Rと接続されていない状態は、抵抗Rが最も大きい無限大の極限と考えることができ、この場合のテスト棒の両端の電圧Vは、ほぼ、電圧源の電圧に等しくなる。
【0015】
すなわち、テスターの電圧源が、9Vであれば、測定前のテスターは、テスト棒の両端の電圧Vが9Vの状態でスタンバイしていることになる。
【0016】
よって、テスト棒をいきなり測定対象に接続すると、この9Vがそのまま測定対象にかかってしまい、過電圧・過電流のため、測定対象が破壊されてしまうことになる。
【0017】
つぎに、図6(b)及び図6(c)に基づき、単三乾電池が2個、つまり3Vで動作する一般的なテスターを使用した場合について考察する。
【0018】
図6(b)は、テスターの両テスト棒を直接測定対象に接触させた状態を説明するための等価回路を示す回路図であり、図6(c)は、テスターの両テスト棒を一端短絡させてから、測定対象に接触させた状態を説明するための等価回路を示す回路図である。
【0019】
ここで、定電流発生回路は、一定電流100μAを流すものとし、測定対象の抵抗Rは、10Ωとし、10mA以上の電流が流れると、破壊されるものとする。
【0020】
上述したテスト棒をいきなり測定対象に接続するような状況を等価回路で置き換えると、図6(b)に示す、SW1つきの回路において「SW1が開いている状態からSW1を閉じる」という操作に相当する。
【0021】
そうすると、SW1を閉じた瞬間に流れる電流は、定電流発生回路の有無に関わらず、I=V/R=210=0.3(A)=200(mA)≧10(mA)となり、電気的特性を調べる前に、過電流・過電圧により測定対象を破壊してしまうことになる。
【0022】
ところで、「定電流発生回路(定電流源)」といってもそれは、定常状態での話であって、過渡的には、定電圧源のように振舞う。
【0023】
そこで、一時的に両方のテスト棒間の電位差を0Vにするという状況を等価回路で置き換えると、図6(c)に示す、SW1、及びSW2つきの回路において「SW2を閉じ、SW1を開ける」という操作に相当する。このとき、SW2を含む経路には、定電流回路の動作により100μAの電流が流れるが、その両端は短絡されているため、その電位差は、0Vである。
【0024】
さらに、この状態で、SW1を閉じたとしても、SW2の両端の電位差は0Vのままなので、抵抗Rには電流は流れない。
【0025】
次に、SW1を閉じた状態で、SW2を開くと、抵抗Rに電流が流れ始めるが、初期条件としてSW2の両端の電位差は0Vであるので、いきなり定電流源の100μAの電流が抵抗Rに流れることは無い。その後、過渡的に抵抗Rに流れる電流は100μAとなり定常状態に達する。
【0026】
以上の考察から上記ワニグチクリップの治具回路と汎用のテスターを使用して電気的に脆弱な試料を測定する場合を考えると、2つのワニグチクリップを導線で接続したものを用い、テスターのテスト棒のそれぞれをワニグチクリップで挟むようにして、一時的に両方のテスト棒間の電位差を0Vにした状態が、図6(c)に示す状態である。
【0027】
この状態では、テスト棒間は短絡されているので、直接テスト棒を測定対象に接触させても(SW1を閉じても)、測定対象に電流が流れることは無い。
【0028】
次に、ワニグチクリップの一方を取り外して(SW1を閉じた状態でSW2を開いて)、テスト棒間の短絡状態を解除すると、測定対象には、0μAから100μAまでの電流が、過渡的に流れることになるが、100μAを超える電流が流れることは無く、過電圧・過電流で測定対象が破壊されてしまうことは無いということがわかる。
【0029】
しかしながら、測定の際にSW1及びSW2を開閉する作業やワニグチクリップを装着したり、取り外したりする作業は、非常に煩雑であるし、スイッチの開閉操作の順序を間違えてしまった場合には、結局、測定対象を破壊してしまう可能性があるという問題点がある。
【0030】
このような、測定対象にテスト棒を接触させて測定対象の抵抗値を測定する従来の類似技術として、特許文献1に開示された絶縁抵抗計100がある。図7は、この従来の絶縁抵抗計100の構成を示す回路図である。
【0031】
図7に示すように、絶縁抵抗計100は、測定スイッチ111、及び測定回路102を内蔵した計器本体101、この計器本体101に接続ケーブル105を介して電気的に接続される測定極用のテスト棒103、接地極用リード線107、及びクリップ109から構成されている。
【0032】
また、絶縁抵抗計100の測定用テスト棒103の内部は、測定スイッチ(切り替えスイッチ)110が備えられており、測定スイッチ110の可動接点110aを固定接点110b側、及び固定接点110c側に適宜移動させることにより、測定側と接地側とへの接続の切り替えが、手元のスイッチ操作で行なえるようになっている。
【特許文献1】実開平5−81741号公報(平成5年11月5日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
ここで、特許文献1に開示された測定対象Mの電荷を放電させるという目的とは異なるものの、前記従来の絶縁抵抗計100は、可動接点110aを固定接点110b側に切り替えた場合には、接続ケーブル105と接地極用リード線107とが短絡状態となるので、上述した、テスターのテスト棒のそれぞれをワニグチクリップで挟むようにして、一時的に両方のテスト棒間の電位差を0Vにした状態に相当する機能を有しているものと考えられる。
【0034】
よって、絶縁抵抗計100の構成を利用すれば、過電圧・過電流で測定対象が破壊されないようにすることは可能であると考えられる。
【0035】
しかしながら、図5(a)に示すように、IC等が測定対象の場合には、最大でも5cmとかなり小さいものであるので、前記従来の絶縁抵抗計100では、手元のスイッチ操作とは言え、測定作業が非常に困難かつ煩雑となってしまうという問題点がある、また、特許文献1には開示されていないが、測定用テスト棒103のサイズによっては、測定作業自体が不可能となってしまう場合も考えられる。
【0036】
また、複数の測定を繰り返す際に、測定の前段階でのスイッチ操作による短絡状態に切り替える作業を失念してしまった場合、結局、測定対象を破壊してしまうことになるという問題点もある。
【0037】
なお、スイッチの開閉操作の順序を間違えるといった誤操作を防止する方法としては、スイッチの開閉操作のような短絡状態・非短絡状態の切り替えの面倒な手作業をなくす方法か、或いは、短絡状態から非短絡状態に切り替える作業を行わない限り、短絡状態を維持する方法が、考えられる。また、この手作業は、単純であることが好ましい。
【0038】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、測定装置のテスト棒に装着するだけで、測定装置のテスト棒間を短絡状態にすることができ、非短絡状態への切り替えが簡単に行えると共に、確実に過電圧・過電流で測定対象が破壊されないようにすることができるテスト棒に装着可能な測定装置用アダプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明の測定装置用アダプターは、前記課題を解決するために、測定対象に接触させて、その電気的特性を計測するための極性の異なる第1テスト棒及び第2テスト棒と、前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒間にあらかじめ定められた一定電流を流すための定電流源とを備えた測定装置に装着される測定装置用アダプターであって、前記第1テスト棒に電気的に接続される第1接続部と、前記第2テスト棒に接続される第2接続部とを備えており、前記第2接続部は、前記第2テスト棒に電気的に接続されるプローブを備えており、該プローブが、前記測定対象に接触していない場合に、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通している状態となり、前記プローブが、前記測定対象に接触した場合に、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通していない状態となることを特徴としている。
【0040】
ここで、測定装置用アダプターが装着される測定装置は、測定対象に接触させて、その電気的特性を計測するための極性の異なる第1テスト棒及び第2テスト棒と、前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒間にあらかじめ定められた一定電流を流すための定電流源とを備えるものである。
【0041】
よって、第1テスト棒及び前記第2テスト棒を測定対象に接続した定常状態では、定電流源の動作により、前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒間にあらかじめ定められた一定電流が流れる。したがって、測定対象に流れる一定電流を、あらかじめ測定対象の定格電流以下に設定しておけば、測定対象を破壊しないようにすることが可能である。
【0042】
ここで、定電流源は、測定対象の抵抗に関係なく、一定の電流を流す機能を持つものである。そうすると、抵抗が小さければ、電圧も小さいが、抵抗が大きければ、電圧も大きくなる。測定装置が測定対象と接続されていない状態は、無限大の抵抗を持つ測定対象に接続されていると看做すことができ、この場合のテスト棒の両端の電圧は、ほぼ、測定装置の電圧源の電圧に等しくなってしまう。
【0043】
そこで、本発明の測定装置用アダプターは、前記第1テスト棒に電気的に接続される第1接続部と、前記第2テスト棒に接続される第2接続部とを備えており、前記第2接続部は、前記プローブが、前記測定対象に接触していない場合に、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通している状態(以下、「短絡状態」とも言う)となり、前記プローブが、前記測定対象に接触した場合に、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通していない状態(以下、「非短絡状態」とも言う)となるように構成されている。
【0044】
ここで、前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒を本発明の測定装置用アダプターに装着した場合に、前記第1接続部は、前記第1テスト棒に電気的に接続され、前記プローブは、前記第2テスト棒に電気的に接続されるようになっている。
【0045】
なお、前記第1接続部の構成としては、ネジ止め式、クリップ式、及び差し込み式など、前記第1テスト棒と前記第1接続部とを常時接続するものでも良い。この場合、測定の際に、測定対象に接触させるのは、第1接続部及び前記プローブ、又は前記第1接続部が接続された前記第1テスト棒及び前記プローブのいずれかとなる。
【0046】
以上説明したように、本発明の測定装置用アダプターは、測定前は、前記第1接続部(又は前記第1テスト棒)及び前記第2接続部の前記プローブが、前記測定対象に接触していない場合であり、この場合には、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通している状態なので、前記第1接続部及び前記プローブ間(前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒間)の電位差は0Vに保持されている。
【0047】
また、測定の際には、前記第1接続部(又は前記第1テスト棒)及び前記第2接続部の前記プローブが、前記測定対象に接触した場合であり、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通していない状態となるように構成されている。
【0048】
よって、前記第1接続部(又は前記第1テスト棒)及び前記プローブを測定対象に接触させた瞬間の前記第1接続部及び前記プローブ間(第1テスト棒及び第2テスト棒間)の電位差の初期条件は0Vであるため前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒間を流れる電流も0Aであり、前記第1接続部及び前記プローブ間が、導通していない状態になると、前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒間に流れる電流は過渡的に増加し、最終的に定電流源の一定電流まで上昇し、定常状態に達する。
【0049】
ここで、「該プローブが、前記測定対象に接触していない場合に、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通している状態となり」については、本発明の所期の目的を達成するような使用に際しては、前記第2接続部の前記プローブ及び前記第1接続部(又は前記第1テスト棒)の両方を測定対象に接触させる必要があるが、機能的には、前記第2プローブが測定対象に接触すると、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通していない状態となるように構成されていれば十分であることを意味する。
【0050】
よって、前記第1接続部(又は前記第1テスト棒)及び前記プローブをいきなり測定対象に接触させたとしても上記定格電流以上の電流が測定対象に流れることは無いので、過電圧・過電流で測定対象が破壊されることは無い。
【0051】
また、前記プローブが、前記測定対象に接触している場合に、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通していない状態となるように構成されているので、測定装置の第1テスト棒及び第2テスト棒間の短絡・非短絡状態の切り替えをスイッチ操作などの面倒な手作業で行なう必要がなく、確実に過電圧・過電流で測定対象が破壊されないようにすることができる。
【0052】
以上より、測定装置のテスト棒に装着するだけで、測定装置のテスト棒間を短絡状態にすることができ、非短絡状態への切り替えが簡単に行えると共に、確実に過電圧・過電流で測定対象が破壊されないようにすることができるテスト棒に装着可能な測定装置用アダプターを提供することができる。
【0053】
また、本発明の測定装置用アダプターは、前記構成に加えて、前記第2接続部は、前記第2テスト棒を、前記プローブと電気的に接続可能に嵌挿するための被嵌挿口が設けられている棒受けを備えており、前記棒受けの前記被嵌挿口に対向する側には、前記プローブが設けられており、前記棒受けは、導体で構成されており、前記第1接続部と導通可能な導線が接続されている端子と、前記棒受けを、前記嵌挿方向に摺動可能に収容する筐体と、前記棒受けを、前記端子に接触させるように弾性力が作用する第1弾性体とを備えていても良い。
【0054】
前記構成によれば、本発明の測定装置用アダプターは、前記第2テスト棒を、前記プローブと電気的に接続可能に嵌挿するための被嵌挿口が設けられている棒受けを備えている。また、前記棒受けの前記被嵌挿口に対向する側には、前記プローブが設けられている。なお、棒受けは導体で構成されている。
【0055】
また、本発明の測定装置用アダプターは、前記第1接続部と導通可能な導線が接続されている端子と、前記棒受けを、前記嵌挿方向に摺動可能に収容する筐体と、前記棒受けを、前記端子に接触させるように弾性力が作用する第1弾性体とを備えている。
【0056】
よって、前記第2テスト棒を前記棒受けの被嵌挿口に嵌挿し、測定装置用アダプターを測定装置に装着しただけで、前記プローブと、前記第1接続部とを導通した状態にすることができる。
【0057】
また、測定の際には、前記第1接続部(又は前記第1テスト棒)及び前記第2接続部の前記プローブを、前記測定対象に接触させて、前記第1弾性体の弾性力に逆らって、前記端子と前記棒受けとを分離させれば、前記第1接続部及び前記プローブ間の導通状態を解除できる。
【0058】
本発明の測定装置用アダプターは、前記構成に加えて、前記第1弾性体は、前記筐体内において、前記棒受けの前記プローブが設けられている側を、前記端子に接触させるように弾性力が作用する位置に設けられており、前記第2接続部は、前記第2テスト棒を装着した場合に、前記第2テスト棒の先端と、前記棒受けに設けられた前記被嵌挿口の前記プローブ側の内面との間に隙間が生じるように構成されていても良い。
【0059】
以上の構成によれば、本発明の測定装置用アダプターを測定装置に装着した状態(測定前)では、第1弾性体の弾性力の作用により前記棒受けの前記プローブが設けられている側が、前記端子に接触している状態であり、また、上述したように、前記端子には、前記第1接続部と導通可能な導線が接続されている。これにより、前記第1接続部と前記プローブとを短絡状態とすることが可能となる。
【0060】
また、本発明の測定装置用アダプターは、前記第1弾性体は、前記筐体内において、前記棒受けの前記プローブが設けられている側を、前記端子に接触させるように弾性力が作用する位置に設けられており、前記第2接続部は、前記第2テスト棒を装着した場合に、前記第2テスト棒の先端と、前記棒受けに設けられた前記被嵌挿口の前記プローブ側の内面との間に隙間が生じるように構成されていている。
【0061】
このため、測定の際には、前記第1テスト棒及び第2テスト棒を手に持って、前記第1接続部(又は前記第1テスト棒)及び前記プローブを測定対象に接触させ、前記筐体内で、前記第1弾性体の弾性力にさからって、前記隙間が埋まるように、前記棒受けを前記第2テスト棒側に摺動させることで、前記棒受けの前記プローブが設けられている側を、前記端子に接触してない状態にすることができる。
【0062】
これにより、前記第1接続部と前記プローブと(前記第1テスト棒と前記第2テスト棒と)が非短絡状態となる。なお、第1弾性体は、つるまきばね、板バネなどの金属性のバネであっても良く、ゴムなどの非金属の弾性体であっても良い。
【0063】
以上より、本発明の測定装置用アダプターを測定装置に装着すれば、第1弾性体の弾性力の作用により、測定前は、前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒(前記第1接続部及び前記プローブ)間の短絡状態を保持し、測定の際に、前記第1接続部(又は前記第1テスト棒)及び前記プローブを測定対象に接触させ、前記筐体内で、前記第1弾性体の弾性力にさからって、前記隙間が埋まるように、前記棒受けを前記第2テスト棒側に摺動させるという簡単な作業で、前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒(前記第1接続部及び前記プローブ)間を非短絡状態にすることができる。
【0064】
本発明の測定装置用アダプターは、前記構成に加えて、前記端子は、金属製の第2弾性体で構成されており、該第2弾性体は、前記隙間が無くなって前記第2テスト棒と前記棒受けとが接触する前に、弾性変形していない状態となることが好ましい。
【0065】
前記構成によれば、前記隙間が無くなって前記第2テスト棒と前記棒受けとが接触する前において、前記第2弾性体が、弾性変形している間は、前記棒受けの前記プローブが設けられている側と前記端子とは、接触した状態が維持される。
【0066】
従って、前記第2弾性体が、弾性変形している間は、前記棒受けの前記プローブが設けられている側と前記端子との接触状態が保持される。
【0067】
よって、前記棒受けの前記プローブが設けられている側と前記端子とが接触している状態から分離した状態となるまでの間に所定の猶予期間を設けることができる。
【0068】
この所定の猶予期間は、前記端子を構成する第2弾性体の弾性変形の程度によって適宜調整することが可能である。
【0069】
以上によれば、前記第1接続部及び前記プローブ間が短絡状態から非短絡状態となるまでの間に所定の猶予期間を設けることができ、当該猶予期間中は短絡状態を解除できないため、前記第1接続部(又は前記第1テスト棒)及び前記プローブ間の電圧が測定装置の電圧源の電圧レベル程度に戻ってしまった状態で前記第1接続部(又は前記第1テスト棒)及び前記プローブが前記測定対象に接触して過電圧・過電流が生じてしまうといった誤動作を防止することができる。
【0070】
本発明の測定装置用アダプターは、前記構成に加えて、前記第1弾性体は、前記筐体内において、前記棒受けの前記被嵌挿口が設けられている側を、前記端子に接触させるように弾性力が作用する位置に設けられており、前記筐体は、絶縁体で構成されていると共に、前記プローブが軸方向に嵌挿される中空部が形成された筒状体を備えており、前記中空部の軸方向の長さは、前記棒受けの前記被嵌挿口が設けられている側が、前記端子に接触しているときには、前記プローブが前記中空部内にあり、当該プローブの先端が前記中空部の前記測定対象側の出口に達したときには、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通していない状態となるように設定されていても良い。
【0071】
以上の構成によれば、本発明の測定装置用アダプターを測定装置に装着した状態(測定前)では、第1弾性体の弾性力の作用により前記棒受けの前記被嵌挿口が設けられている側が、前記端子に接触している状態であり、また、上述したように、前記端子には、前記第1接続部と導通可能な導線が接続されている。これにより、前記第1接続部と前記プローブとを短絡状態とすることが可能となる。
【0072】
また、前記筐体は、絶縁体で構成されていると共に、前記プローブが軸方向に嵌挿される中空部が形成された筒状体を備えている。
【0073】
また、前記中空部の軸方向の長さは、前記棒受けの前記被嵌挿口が設けられている側が、前記端子に接触しているときには、前記プローブが前記中空部内にあり、当該プローブの先端が前記中空部の前記測定対象側の出口に達したときには、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通していない状態となるように設定する。
【0074】
よって、前記棒受けの前記被嵌挿口が設けられている側が、前記端子に接触しているときには、前記プローブが前記中空部内にあり、前記第1接続部と前記プローブとが短絡状態となる。
【0075】
ここで、「前記プローブが前記中空部内にある」とは、前記中空部の前記プローブが嵌挿される側を「入口」とし、前記中空部の「入口」と対向する側を「出口」(前記中空部の前記測定対象側の出口)としたとき、前記プローブが「入口」から嵌挿されており、かつ前記プローブの先端が出口に達していない状態を意味する。すなわち、「出口」と、前記プローブの先端とが所定距離だけ離れていることを意味する。
【0076】
一方、当該プローブの先端が前記中空部の前記測定対象側の出口に達したときには、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通していない状態(非短絡状態)となる。
【0077】
なお、第1弾性体は、つるまきばね、板バネなどの金属性のバネであっても良く、ゴムなどの非金属の弾性体であっても良い。
【0078】
以上より、本発明の測定装置用アダプターを測定装置に装着すれば、第1弾性体の弾性力の作用により、測定前は、前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒(前記第1接続部及び前記プローブ)間の短絡状態を保持し、測定の際に、当該プローブの先端が前記中空部の前記測定対象側の出口に達して、前記測定対象に接触するようにするという単純な作業で、前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒(前記第1接続部及び前記プローブ)間を非短絡状態にすることができる。
【0079】
以上より、測定装置のテスト棒に装着するだけで、測定装置のテスト棒間を短絡状態にすることができ、非短絡状態への切り替えが簡単に行えると共に、確実に過電圧・過電流で測定対象が破壊されないようにすることができるテスト棒に装着可能な測定装置用アダプターを提供することができる。
【発明の効果】
【0080】
本発明の測定装置用アダプターは、以上のように、前記第1テスト棒に電気的に接続される第1接続部と、前記第2テスト棒に接続される第2接続部とを備えており、前記第2接続部は、前記第2テスト棒に電気的に接続されるプローブを備えており、該プローブが、前記測定対象に接触していない場合に、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通している状態となり、前記プローブが、前記測定対象に接触した場合に、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通していない状態となるものである。
【0081】
それゆえ、測定装置のテスト棒に装着するだけで、測定装置のテスト棒間を短絡状態にすることができ、非短絡状態への切り替えが簡単に行えると共に、確実に過電圧・過電流で測定対象が破壊されないようにすることができるテスト棒に装着可能な測定装置用アダプターを提供するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0082】
本発明の一実施形態について図1〜図4(d)及び図6(a)に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0083】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態であるテスター用アダプター(測定装置用アダプター)10について図1、図2、及び図6(a)を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0084】
まず、図1及び図2に基づき、本発明の一実施形態であるテスター用アダプター10の構成について説明する。
【0085】
図1は、テスター用アダプター10がテスターなどの測定装置(図示せず)に装着された時の状態を示す横断面図である。ここでは、紙面に向かって右側の測定対象に接触させる前の状態を示している。
【0086】
前提として、テスター用アダプター10が装着されるテスターは、測定対象に接触させて、その電気的特性を計測するための極性の異なるテスターリード(第1テスト棒)TL−aと、テスターリード(第2テスト棒)TL−bと、テスターリードTL−a及びテスターリードTL−b間にあらかじめ定められた一定電流を流すための定電流源(図6(a)など参照)とを備えるものである。
【0087】
よって、テスターリードTL−a及びテスターリードTL−bを測定対象に接続した定常状態では、定電流源の動作により、テスターリードTL−a及びテスターリードTL−b間にあらかじめ定められた一定電流が流れる。したがって、測定対象に流れる一定電流を、あらかじめ測定対象の定格電流以下に設定しておけば、測定対象を破壊しないようにすることが可能である。
【0088】
ここで、定電流源は、測定対象の抵抗に関係なく、一定の電流を流す機能を持つものである。そうすると、抵抗が小さければ、電圧も小さいが、抵抗が大きければ、電圧も大きくなる。測定装置が測定対象と接続されていない状態は、無限大の抵抗を持つ測定対象に接続されていると看做すことができ、この場合のテスターリードTL−a及びテスターリードTL−b間の電圧は、ほぼ、測定装置の電圧源の電圧に等しくなってしまう。
【0089】
以上のような問題点を解決するための本実施形態のテスター用アダプター10は、図1に示すように、テスターリードTL−aに電気的に接続されるアダプター(第1接続部)10a、及びテスターリードTL−bに電気的に接続されるアダプター(第2接続部)10b、及び導線9を備える構成である。
【0090】
また、アダプター10aは、テスターリード受け(棒受け)1a、探針(プローブ)2a、コイルスプリング(第1弾性体)4a、カバー(筐体)5a、板バネ6a、端子7a、及び引き出し部(端子)8aを備える構成である。
【0091】
また、アダプター10bは、テスターリード受け(棒受け)1b、探針(プローブ)2b、コイルスプリング(第1弾性体)4b、板バネ(端子、第2弾性体)4c(図2参照)、カバー(筐体)5b、板バネ6b、端子7b、及び引き出し部(端子)8bを備える構成である。なお、本実施の形態においては、板バネ4cを設ける構成としているが、板バネ4cを設けない構成を採用しても構わない。
【0092】
ここで、以下で説明するように、アダプター10bは、テスターリードTL−bに電気的に接続される探針2bを備えており、探針2bが、測定対象に接触していない場合に、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間が導通している状態(以下、「短絡状態」とも言う)となり、探針2bが、測定対象に接触した場合に、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間が導通していない状態(以下、「非短絡状態」とも言う)となるように構成されているものである。
【0093】
まず、アダプター10aの各構成要素について説明し、次に、アダプター10bの各構成要素について説明する。
【0094】
テスターリード受け1aは、図1に示すように、テスターリードTL−aを、探針2aと電気的に接続可能に嵌挿するための被嵌挿口(図1の紙面に向かって左側)が設けられている。また、テスターリード受け1aの被嵌挿口に対向する側(図1の紙面に向かって右側)には、探針2aが設けられており、さらに、テスターリード受け1aは、導体で構成されている。
【0095】
よって、テスターリードTL−aをテスターリード受け1aの被嵌挿口に嵌挿して、テスター用アダプター10をテスターに装着することにより、探針2aとテスターリードTL−aとを電気的に接続することができる。
【0096】
なお、被嵌挿口の形状としては、筒型の穴であれば良く、例えば、円柱を取り除いて形成された円筒状の穴や、直方体などを取り除いて形成された角筒状の穴などが考えられる。
【0097】
探針2aは、測定対象の電気的特性を調べるために測定対象に接触させるものである。
【0098】
コイルスプリング4aは、端子7aと当接している。なお、コイルスプリング4aは、端子7aに当接させても良いし、接着、溶着等させても良い。これにより、本実施形態では、コイルスプリング4aを介してテスターリード受け1aと端子7aとが常時接続された状態となる。
【0099】
なお、本実施形態では、アダプター10aとアダプター10bとの部品の共通化の観点から、コイルスプリング4aを有する構成としているが、コイルスプリング4aを設けず、テスターリード受け1aと端子7aとを直接接続する構成を採用しても良い。
【0100】
また、テスターリードTL−aと、端子7aを常時接続できればよいので、アダプター10aのようなプローブ付きアダプターという構成を採用する必要はない。このような、観点から、以下の実施の形態3では、プローブ付きアダプターでない形態について説明している。
【0101】
カバー5aは、絶縁体で構成されたケースであり、テスターリード受け1aを、テスターリードTL−aの嵌挿方向(紙面に向かって左右方向)に動かない(テスターリードTL−aと端子7aとが分離しない)ように固定できれば、どのような構成を採用しても良い。
【0102】
板バネ6aは、テスターリード受け1aの被嵌挿口の内周側側面の突起部を形成しており、テスターリードTL−aを圧接して固定するために弾性変形可能となっている。本実施の形態では、板バネ6aは、3つ設けられているが、1つ以上設けられていれば良い。
【0103】
これにより、テスター用アダプター10を、テスターリードTL−aに装着すると、テスターリード受け1aの被嵌挿口の内周側側面に設けらた弾性変形可能な板バネ6aが、弾性力の作用により、装着されたテスターリードTL−aを圧接して固定するため、テスター用アダプター10と測定装置との装着状態が簡単に解除されることを防止できる。また、テスターリードTL−aと探針2aとの電気的接続状態をより良くすることができる。
【0104】
端子7a及び引き出し部8aは、互いに電気的に接続されており、さらに、引き出し部8aには、探針2bと導通可能な導線9が接続されている。
【0105】
次に、テスター用アダプター10において、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)を短絡状態にしたり、非短絡状態にする機能の主要部分であるアダプター10bの各構成要素について説明する。
【0106】
テスターリード受け1bには、図1に示すように、テスターリードTL−bを、探針2bと電気的に接続可能に嵌挿するための被嵌挿口(図1の紙面に向かって左側)が設けられている。
【0107】
また、テスターリード受け1bの被嵌挿口に対向する側(図1の紙面に向かって右側)には、探針2bが設けられており、さらに、テスターリード受け1bは、導体で構成されている。
【0108】
探針2bは、測定対象の電気的特性を調べるために測定対象に接触させるものである。
【0109】
コイルスプリング4bは、カバー5b内で、テスターリード受け1bの被嵌挿口側(紙面に向かって左側)に当接しており、端子7bとテスターリード受け1bとを接触させるように弾性力が作用するようになっている。
【0110】
また、コイルスプリング4bは、押しバネであり、バネの一端側から(紙面に向かって左側から右側に)押したときに元に戻ろうとする力、すなわち、コイルスプリング4bの弾性力を利用して、テスターリード受け1bの探針2bが設けられている側(紙面に向かって右側)を端子7bに接触させるように弾性力が作用するようになっている。
【0111】
コイルスプリング4bは、このテスターリード受け1bを紙面に向かって右側に押し戻そうとするバネである。なお、本実施形態では、コイルスプリング4bを用いて弾性体を構成したが、弾性体は、つるまきばね、板バネなどの金属性のバネであっても良く、ゴムなどの非金属の弾性体であっても良い。
【0112】
テスターリード受け1bとコイルスプリング4bとは、接着させていても良いし、互いに当接させた状態としていても良い。但し、測定前において端子7bとテスターリード受け1bとの導通が確保されることが条件である。
【0113】
カバー5bは、絶縁体で構成されたケースであり、テスターリード受け1bを、テスターリードTL−bの嵌挿方向(紙面に対して左右方向)に、摺動可能に収容するものである。
【0114】
板バネ6bは、テスターリード受け1bの被嵌挿口の内周側側面の突起部を形成しており、テスターリードTL−bを圧接して固定するために弾性変形可能となっている。本実施形態では、3つの板バネ6bが設けられているが、1つ以上設けていれば良い。
【0115】
これにより、テスター用アダプター10を、テスターリードTL−bに装着すると、テスターリード受け1bの被嵌挿口の内周側側面に設けらた弾性変形可能な板バネ6bが、弾性力の作用により、装着されたテスト棒を圧接して固定するため、テスター用アダプター10とテスターリードTL−bとの装着状態が簡単に解除されることを防止できる。また、テスターリードTL−bと探針2bとの電気的接続状態をより良くすることができる。
【0116】
端子7b、及び引き出し部8bは、互いに電気的に接続されており、さらに、引き出し部8bには、探針2aと導通可能な導線9が接続されている。本実施形態では、コイルスプリング4bの弾性力により、テスターリード受け1bの探針2bが設けられている側(紙面に対して右側)が、端子7bに当接(接触)する状態が保持されている。
【0117】
また、テスターリードTL−bをアダプター10bに装着した状態では、テスターリードTL−bの先端と、テスターリード受け1bの右端の内面との間に隙間Aが存在している。
【0118】
以上の構成によれば、テスター用アダプター10を測定装置に装着した状態(測定前)では、コイルスプリング4bの弾性力の作用によりテスターリード受け1bの探針2bが設けられている側が、端子7bに接触(当接)している状態であり、また、上述したように、端子7bには、アダプター10aと導通可能な導線9が接続されている。
【0119】
これにより、テスターリードTL−bをテスターリード受け1bの被嵌挿口に嵌挿し、テスター用アダプター10を測定装置に装着しただけで、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間を導通した状態にすることができる。
【0120】
また、測定の際には、アダプター10aの探針2a及びアダプター10bの探針2bを、測定対象に接触させて、コイルスプリング4bの弾性力に逆らって、端子7bとテスターリード受け1bとを分離させれば、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間の導通状態を解除できる。
【0121】
ここで、コイルスプリング4bは、図1に示すように、カバー5b内において、テスターリード受け1bの探針2bが設けられている側を、端子7bに接触させるように弾性力が作用する位置に設けられており、アダプター10bは、テスターリードTL−bを装着した場合に、テスターリードTL−bの先端と、テスターリード受け1bに設けられた被嵌挿口の端子7b側の内面との間に隙間Aが生じるように構成されている。
【0122】
このため、測定の際には、テスターリードTL−a及びテスターリードTL−bを手に持って、探針2a及び探針2bを測定対象に接触させ、カバー5b内で、コイルスプリング4bにさからって、隙間Aが埋まるように、テスターリード受け1bをテスターリードTL−b側に摺動させることで、テスターリード受け1bの探針2bが設けられている側を、端子7bに接触してない状態にすることができる。これにより、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間が非短絡状態となる。
【0123】
以上より、テスター用アダプター10を測定装置に装着すれば、コイルスプリング4bの弾性力の作用により、測定前は、テスターリードTL−a(探針2a)及びテスターリードTL−b(探針2b)間の短絡状態を保持し、測定の際に、探針2a及び探針2bを測定対象に接触させ、カバー5b内で、コイルスプリング4bにさからって、隙間Aが埋まるように、テスターリード受け1bをテスターリードTL−b側に摺動させるという簡単な作業で、テスターリードTL−a(探針2a)及びテスターリードTL−b(探針2b)間を非短絡状態にすることができる。
【0124】
ここで、図2に示すように、金属製の弾性体で構成された板バネ4c(端子、第2弾性体)を設け、板バネ4cが、隙間Aが無くなってテスターリードTL−bとテスターリード受け1bとが接触する前に、弾性変形していない状態となるように構成することが好ましい。
【0125】
以上の構成によれば、隙間Aが無くなってテスターリードTL−bとテスターリード受け1bとが接触する前において、板バネ4cが、弾性変形している間は、テスターリード受け1bの探針2bが設けられている側と板バネ4cとは、接触した状態が維持される。
【0126】
従って、板バネ4cが、弾性変形している間は、テスターリード受け1bの探針2bが設けられている側と板バネ4c(従って端子7b)との接触状態が保持される。
【0127】
よって、テスターリード受け1bの探針2bが設けられている側と板バネ4cとが接触している状態から分離した状態となるまでの間に所定の猶予期間を設けることができる。
【0128】
この所定の猶予期間は、板バネ4cの弾性変形の程度によって適宜調整することが可能である。
【0129】
以上によれば、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間が短絡状態から非短絡状態となるまでの間に所定の猶予期間を設けることができ、当該猶予期間中には、短絡状態を解除できないため、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間の電圧が測定装置の電圧源の電圧レベル程度に戻ってしまった状態でアダプター10aの探針2a及びアダプター10bの探針2bが測定対象に接触して過電圧・過電流が生じてしまうといった誤動作を防止することができる。
【0130】
なお、本実施形態のテスター用アダプター10のようなプローブ式のアダプターの場合、アダプター10aとアダプター10bとはなるべく同一の部品から構成されるようにすることが好ましい。この場合、アダプター10aと、アダプター10bとで部品の共通化を図れるので、生産コストを低減させることが可能となる。
【0131】
以上説明したように、テスター用アダプター10は、測定前は、アダプター10aの探針2a及びアダプター10bの探針2bが、測定対象に接触していない場合であり、この場合には、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間が導通している状態なので、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間の電位差は0Vに保持されている。
【0132】
また、測定の際には、アダプター10aの探針2a及びアダプター10bの探針2bが、測定対象に接触した場合であり、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間が導通していない状態となるように構成されている。
【0133】
よって、アダプター10aの探針2a及びアダプター10bの探針2bを測定対象に接触させた瞬間のアダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間の電位差の初期条件は0VであるためテスターリードTL−a及びテスターリードTL−b間を流れる電流も0Aであり、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間が、導通していない状態になると、テスターリードTL−a及びテスターリードTL−b間に流れる電流は過渡的に増加し、最終的に定電流源の一定電流まで上昇し、定常状態に達する。
【0134】
よって、アダプター10aの探針2a及びアダプター10bの探針2bをいきなり測定対象に接触させたとしても上記定格電流以上の電流が測定対象に流れることは無いので、過電圧・過電流で測定対象が破壊されることは無い。
【0135】
また、探針2bが、測定対象に接触している場合に、アダプター10aの探針2a(テスターリードTL−a)及びアダプター10bの探針2b(テスターリードTL−b)間が導通していない状態となるように構成されているので、測定装置のテスターリードTL−a及びテスターリードTL−b間の短絡・非短絡状態の切り替えを、スイッチ操作などの面倒な手作業で行なう必要がなく、確実に過電圧・過電流で測定対象が破壊されないようにすることができる。
【0136】
以上より、測定装置のテスト棒に装着するだけで、測定装置のテスト棒間を短絡状態にすることができ、非短絡状態への切り替えが簡単に行えると共に、確実に過電圧・過電流で測定対象が破壊されないようにすることができるテスト棒に装着可能なテスター用アダプター10を提供することができる。
【0137】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態であるテスター用アダプター(測定装置用アダプター)20について図3(a)及び図3(b)を参照して説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、その説明を省略する。
【0138】
なお、ここでは、アダプター(第1接続部)20a(不図示)及びアダプター(第2接続部)20b間の短絡状態・非短絡状態の切り替えにおいて重要な、アダプター20bについてのみ説明する。
【0139】
図3(a)は、アダプター20bに関し、テスター用アダプター20に測定装置が装着される前の状態を示す横断面図であり、図3(b)は、探針22bを測定対象に接触させたときの状態を示す横断面図である。
【0140】
図3(a)及び図3(b)に示すように、アダプター20bのコイルスプリング24bは、カバー25b内において、テスターリード受け21bの被嵌挿口が設けられている側を、端子27bに接触させるように弾性力が作用する位置に設けられている。
【0141】
また、図3(a)に示すように、カバー25bは、絶縁体で構成されていると共に、探針22bが、軸方向に嵌挿される中空部が形成された筒状体を備えている。
【0142】
また、前記中空部の軸方向の長さは、図3(a)に示すように、テスターリード受け21bの被嵌挿口が設けられている側が、端子27bに接触しているときには、探針22bが前記中空部内にあり、図3(b)に示すように、探針22bの先端が前記中空部の測定対象側の出口に達したときには、テスターリードTL−a(探針22a:不図示)及びテスターリードTL−b(探針22b)間が導通していない状態となるように設定する。
【0143】
よって、テスターリード受け21bの前記被嵌挿口が設けられている側が、端子27bに接触しているときには、探針22bが前記中空部内にあり、テスターリードTL−a(探針22a)及びテスターリードTL−b(探針22b)が短絡状態となる。
【0144】
ここで、「探針22bが前記中空部内ににある」とは、前記中空部の探針22bが嵌挿される側を「入口」とし、前記中空部の「入口」と対向する側を「出口」としたとき、探針22bが「入口」から嵌挿されており、かつ探針22bの先端が出口に達していない状態を意味する。すなわち、「出口」(前記中空部の測定対象側の出口)と、探針22bの先端とが所定距離だけ離れていることを意味する。
【0145】
一方、探針22bの先端が前記中空部の測定対象側の出口に達したときには、テスターリードTL−a(探針22a)及びテスターリードTL−b(探針22b)間が導通していない状態(非短絡状態)となる。
【0146】
なお、コイルスプリング24bは、つるまきばね、板バネなどの金属性のバネであっても良く、ゴムなどの非金属の弾性体であっても良い。
【0147】
以上より、本発明の測定装置用アダプターを測定装置に装着すれば、コイルスプリング24bの弾性力の作用により、測定前は、アダプター20aの探針22a(テスターリードTL−a)及びアダプター20bの探針22b(テスターリードTL−b)間の短絡状態を保持し、測定の際に、探針22bの先端が前記中空部の測定対象側の出口に達して、測定対象に接触するようにするという単純な作業で、アダプター20aの探針22a(テスターリードTL−a)及びアダプター20bの探針22b(テスターリードTL−b)間を非短絡状態にすることができる。
【0148】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施形態であるテスター用アダプターについて図4(a)〜図4(d)を参照して説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、その説明を省略する。
【0149】
ここでは、短絡状態・非短絡状態の切り替えを行なわない、テスターリードTL−aに装着される第1接続部の別の構成例について説明する。
【0150】
図4(a)は、測定装置用アダプターにおける第1接続部を差込式とした場合の構成例を示す模式図であり、図4(b)は、前記第1接続部をネジ止め式とした場合の構成例を示す模式図であり、図4(c)は、前記第1接続部をクリップ式とした場合の構成例を示す模式図であり、図4(d)は、前記第1接続部をU字型接続部とした場合の構成例を示す模式図である。
【0151】
上述したように、テスターリードTL−aに装着される第1接続部は、プローブ式のアダプター10bなどと同様の短絡状態・非短絡状態解除機能を持たせる必要はなく、第2接続部からの導線とテスターリードTL−aとが常時接続されていても良い。
【0152】
したがって、このような第1接続部については、様々な構成例を考えることができる。
【0153】
例えば、図4(a)に示すように、差込部30a、引き出し部38a、及び導線39から構成される第1接続部が考えられる。差込部30aは、テスターリードTL−aを差し込むための孔が設けられていれば、どのような形状を採用しても良い。ただし、利便性の観点からは、差込部30aのサイズはなるべく小さいほうが好ましい。以下同様のサイズに関する説明は省略する。
【0154】
他の例としては、図4(b)に示すように、雌ネジ40a、雄ネジ48a、及び導線49から構成される第1接続部も考えられる。
【0155】
また、さらに他の例としては、図4(c)に示すように、クリップ50a及び導線59から構成される第1接続部が考えられ、また、図4(d)は、テスターのテスターリードの先端部のテスト棒は、ネジ止め式になっている場合が多い点に鑑み、U字型接続部60aと導線69とからなる第1接続部を構成した例を示している。
【0156】
なお、第1接続部の形態は、以上の構成例に限られる訳ではなく、第2接続部からの導線とテスターリードTL−aとが常時接続できる構成であれば、どのような構成を採用しても良い。
【0157】
以上の各実施形態で説明した構成によれば、測定装置のテスト棒に装着するだけで、測定装置のテスト棒間を短絡状態にすることができ、非短絡状態への切り替えが簡単に行えると共に、確実に過電圧・過電流で測定対象が破壊されないようにすることができるテスト棒に装着可能な測定装置用アダプターを提供することができる。
【0158】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、測定対象に接触させて、その電気的特性を計測するための極性の異なる第1テスト棒及び第2テスト棒と、前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒間にあらかじめ定められた一定電流を流すための定電流源とを備えた測定装置であれば、どのような装置に対しても適用可能なアダプターである。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明における測定装置用アダプターの一実施形態に関し、測定装置に装着したときの状態を示す横断面図である。
【図2】前記測定装置用アダプターにおける測定対象に接触させたときの状態を示す横断面図である。
【図3】(a)は、本発明における測定装置用アダプターの他の実施形態に関し、前記測定装置用アダプターに測定装置が装着される前の状態を示す横断面図であり、(b)は、前記測定装置用アダプターに測定装置が装着された後で、プローブを測定対象に接触させたときの状態を示す横断面図である。
【図4】(a)は、前記測定装置用アダプターにおける第1接続部の一構成例を示す模式図であり、(b)は、前記第1接続部の他の構成例を示す模式図であり、(c)は、前記第1接続部のさらに他の構成例を示す模式図であり、(d)は、前記第1接続部のさらに他の構成例を示す模式図である。
【図5】(a)は、テスターによりIC等の試料の電気的特性を測定する場合の様子を示す概略図であり、(b)は、その等価回路を示す図である。
【図6】(a)は、テスターによりIC等の試料の電気的特性を測定する場合の問題点を説明するための回路図であり、(b)は、テスターの両テスト棒を直接測定対象に接触させた状態を説明するための等価回路を示す回路図であり、(c)は、テスターの両テスト棒を一端短絡させてから、測定対象に接触させた状態を説明するための等価回路を示す回路図である。
【図7】従来の絶縁抵抗計の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0161】
1a テスターリード受け(棒受け)
1b,21b テスターリード受け(棒受け)
2a 探針(プローブ)
2b,22b 探針(プローブ)
4a コイルスプリング(第1弾性体)
4b,24b コイルスプリング(第1弾性体)
5a カバー(筐体)
5b,25b カバー(筐体)
6a 板バネ
6b,26b 板バネ
7a 端子
7b,27b 端子
8a 引き出し部(端子)
8b,28b 引き出し部(端子)
4c 板バネ(端子、第2弾性体)
9,29,39,49,59,69 導線
10,20 テスター用アダプター(測定装置用アダプター)
10a アダプター(第1接続部)
10b,20b アダプター(第2接続部)
30a 差込部(第1接続部)
40a 雌ネジ(第1接続部)
48a 雄ネジ(第1接続部)
50a クリップ(第1接続部)
60a U字型接続部(第1接続部)
A 隙間
TL−a テスターリード(第1テスト棒)
TL−b テスターリード(第2テスト棒)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象に接触させて、その電気的特性を計測するための極性の異なる第1テスト棒及び第2テスト棒と、前記第1テスト棒及び前記第2テスト棒間にあらかじめ定められた一定電流を流すための定電流源とを備えた測定装置に装着される測定装置用アダプターであって、
前記第1テスト棒に電気的に接続される第1接続部と、前記第2テスト棒に接続される第2接続部とを備えており、
前記第2接続部は、前記第2テスト棒に電気的に接続されるプローブを備えており、該プローブが、前記測定対象に接触していない場合に、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通している状態となり、前記プローブが、前記測定対象に接触した場合に、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通していない状態となることを特徴とする測定装置用アダプター。
【請求項2】
前記第2接続部は、
前記第2テスト棒を、前記プローブと電気的に接続可能に嵌挿するための被嵌挿口が設けられている棒受けを備えており、
前記棒受けの前記被嵌挿口に対向する側には、前記プローブが設けられており、
前記棒受けは、導体で構成されており、
前記第1接続部と導通可能な導線が接続されている端子と、
前記棒受けを、前記嵌挿方向に摺動可能に収容する筐体と、
前記棒受けを、前記端子に接触させるように弾性力が作用する第1弾性体とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の測定装置用アダプター。
【請求項3】
前記第1弾性体は、前記筐体内において、前記棒受けの前記プローブが設けられている側を、前記端子に接触させるように弾性力が作用する位置に設けられており、
前記第2接続部は、
前記第2テスト棒を装着した場合に、前記第2テスト棒の先端と、前記棒受けに設けられた前記被嵌挿口の前記プローブ側の内面との間に隙間が生じるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の測定装置用アダプター。
【請求項4】
前記端子は、金属製の第2弾性体で構成されており、該第2弾性体は、前記隙間が無くなって前記第2テスト棒と前記棒受けとが接触する前に、弾性変形していない状態となることを特徴とする請求項3に記載の記載の測定装置用アダプター。
【請求項5】
前記第1弾性体は、前記筐体内において、前記棒受けの前記被嵌挿口が設けられている側を、前記端子に接触させるように弾性力が作用する位置に設けられており、
前記筐体は、絶縁体で構成されていると共に、前記プローブが軸方向に嵌挿される中空部が形成された筒状体を備えており、
前記中空部の軸方向の長さは、
前記棒受けの前記被嵌挿口が設けられている側が、前記端子に接触しているときには、前記プローブが前記中空部内にあり、当該プローブの先端が前記中空部の前記測定対象側の出口に達したときには、前記第1接続部及び前記プローブ間が導通していない状態となるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の測定装置用アダプター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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