説明

測定装置

【課題】不使用の状態が長時間継続したときに電力供給を自動的に切断する機能を維持しつつ使用中における電力供給の停止を防止する。
【解決手段】本体部3に接続される測定用プローブ2a,2bと、本体部3に配設された操作部24と、本体部3に収容されると共に測定用プローブ2a,2bを介して入力出力する電気信号に基づいて物理量を操作部24に対する操作に従って測定する測定部22と、電力供給を行う電力供給部21と、規定時間内に操作部24に対する予め決められた操作がされなかったときに電力供給部21による電力供給を停止させる制御部26と、測定用プローブ2a,2bに配設されて測定用プローブ2a,2bの移動を検出する加速度センサ11とを備え、制御部26は、加速度センサ11によって規定時間内に検出された加速度Am1が予め決められた条件を満たしたときに電力供給部21による電力供給を継続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定用プローブを介して入力出力する電気信号に基づいて物理量を測定する測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の操作が所定時間されなかったときに電力の供給を遮断するオートパワーオフ機能を備えた装置として、特開平5−80896号公報に開示されている電子機器が知られている。この電子機器は、キー入力がされる毎に電源電圧を検出し、検出した電源電圧に応じてオートパワーオフ時間を調整する(例えば、電源電圧が低いときには、オートパワーオフ時間を短縮する)。そして、この電子機器では、オートパワーオフ時間内にキー入力が1回もされなかったときに電力供給が停止(遮断)される。つまり、この電子機器では、不使用の状態が長時間継続したときに電力供給を自動的に切断することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−80896号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この上記の電子機器が有するオートパワーオフ機能を例えば測定装置に適用した場合には、以下の課題が生じる。すなわち、この種のオートパワーオフ機能を備えた測定装置では、例えば測定開始を指示するキーのキー入力がされたときにタイマがリセットされ、そのキー入力時点からオートパワーオフ時間が経過するまでの間に、何らかのキー入力がされたときには、タイマが再びリセットされる。一方、キー入力時点からオートパワーオフ時間が経過するまでの間に次のキー入力がされなかったときには、電力供給が停止される。このため、この測定装置では、キー入力時点からオートパワーオフ時間が経過するまでの間に、測定用プローブを測定対象体に接触させて測定を行う必要がある。しかしながら、例えば、測定対象の構造や測定対象の設置位置によっては、測定対象体に測定用プローブを接触させ難く、測定用プローブを接触させるのに時間を要することがあり、このようなときには、測定が完了しないうちに電力供給が停止されることがあるという課題が生じる。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、不使用の状態が長時間継続したときに電力供給を自動的に切断する機能を維持しつつ使用中における電力供給の停止を防止し得る測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、本体部に接続される測定用プローブと、前記本体部に配設された操作部と、前記本体部に収容されると共に前記測定用プローブを介して入力出力する電気信号に基づいて物理量を前記操作部に対する操作に従って測定する測定部と、電力供給を行う電力供給部と、予め規定された規定時間内に前記操作部に対する予め決められた操作がされなかったときに前記電力供給部による電力供給を停止させる制御部とを備えた測定装置であって、前記測定用プローブに配設されて当該測定用プローブの移動を検出する第1検出部を備え、前記制御部は、前記第1検出部によって前記規定時間内に検出された第1検出値が予め決められた条件を満たしたときに前記電力供給部による前記電力供給を継続させる。
【0007】
また、請求項2記載の測定装置は、請求項1記載の測定装置において、前記本体部に配設されて当該本体部の移動を検出する第2検出部を備え、前記制御部は、前記第1検出値と前記第2検出部によって検出された第2検出値との差分値が予め規定された第1基準値以上のときに前記条件を満たしたとして電力供給部による前記電力供給を継続させる。
【0008】
また、請求項3記載の測定装置は、請求項1記載の測定装置において、前記制御部は、前記第1検出値が予め規定された第2基準値以上のときに前記条件を満たしたとして前記電力供給部による前記電力供給を継続させる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の測定装置では、第1検出部によって規定時間内に検出された第1検出値が予め決められた条件を満たしたときに電力供給部による電力供給を継続させる。このため、この測定装置によれば、第1検出部によって規定時間内に検出された第1検出値がある程度大きく、測定装置が使用中である可能性が高いときには、規定時間内に操作部に対する予め決められた操作がされなかった場合においても、電力供給部による電力供給を継続させることができる。したがって、この測定装置によれば、不使用の状態が長時間継続したときに電力供給を自動的に停止する機能を維持しつつ、使用中における電力供給の停止を確実に防止することができる。
【0010】
また、請求項2記載の測定装置では、測定用プローブに配設された第1検出部によって検出された第1検出値と本体部に配設された第2検出部によって検出された第2検出値との差分値が予め規定された第1基準値以上のときに電力供給部による電力供給を継続させる。このため、この測定装置によれば、例えば、スイッチを切り忘れた状態で、測定装置を車両に積み込んで走行したとしても、測定用プローブおよび本体部の双方が同様に振動(移動)して各第1検出部によって検出される第1検出値および第2検出部によって検出された第2検出値の差分値が小さいため、規定時間を経過したときに電力供給が自動的に停止される。したがって、この測定装置によれば、比較的大きな振動が発生するような場所にスイッチを切り忘れた状態で置かれた場合においても、長時間に亘って電力供給が継続される事態を確実に防止することができる。
【0011】
また、請求項3記載の測定装置では、測定用プローブに配設された第1検出部によって検出された第1検出値が予め規定された第2基準値以上のときに電力供給部による電力供給を継続させる。このため、この測定装置によれば、本体部に検出部を配設することなく測定用プローブにのみ第1検出部を配設すればよいため、測定装置の構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】絶縁抵抗計1の構成を示す構成図である。
【図2】絶縁抵抗計1の構成を示す斜視図である。
【図3】電力供給停止処理50のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
最初に、絶縁抵抗計1の構成について、図面を参照して説明する。図1,2に示す絶縁抵抗計1は、測定装置の一例であって、測定対象体の絶縁抵抗(物理量の一例)を測定可能に構成されている。具体的には、絶縁抵抗計1は、図1に示すように、測定用プローブ2a,2b(以下、区別しないときには「測定用プローブ2」ともいう)および本体部3を備えて構成されている。
【0015】
各測定用プローブ2は、本体部3に接続された状態で測定対象体に接触(接続)されることにより、本体部3から出力される測定用信号(電気信号)を測定対象体に供給すると共に、測定対象体に生じる電気信号を本体部3に入力させる。この場合、この絶縁抵抗計1では、図2に示すように、各測定用プローブ2の一方(この例では、測定用プローブ2a)が、指先で保持した状態で先端部を測定対象体に接触させるペン型に構成され、各測定用プローブ2の他方(この例では、測定用プローブ2b)が、測定対象体を挟んで接続させるクリップ型に構成されている。
【0016】
また、この絶縁抵抗計1では、図1に示すように、測定用プローブ2aに加速度センサ11が配設されている。この場合、加速度センサ11は、第1検出部の一例であって、測定用プローブ2aが移動したときに、その移動に伴う加速度Am1(測定用プローブ2aの移動速度の変化であって、第1検出値に相当する)を検出して検出信号Sd1を出力する。
【0017】
本体部3は、図1に示すように、電力供給部21、測定部22、表示部23、操作部24、加速度センサ25および制御部26を備えて構成されている。また、本体部3には、測定用プローブ2a,2bの各接続端子をそれぞれ接続可能な入力端子3a,3bが配設されている。
【0018】
電力供給部21は、操作部24の切替えスイッチ31(図2参照)に対する操作によって切替えスイッチ31の先端部がオフ(OFF)状態を示す位置から、測定用信号の電圧値を示す4つの位置のうちのいずれかの位置に回動させられたときに絶縁抵抗計1を構成する各構成要素に対する電力供給を開始する。また、電力供給部21は、制御部26の制御に従って測定用信号(例えば、直流電圧信号)を生成して出力する。この場合、この絶縁抵抗計1では、一例とし電圧値が異なる4種類の直流電圧信号を出力可能に構成されている。
【0019】
測定部22は、制御部26の制御に従い、測定用プローブ2を介して入出力する電気信号に基づいて測定対象体の絶縁抵抗を測定し、測定データを出力する。
【0020】
表示部23は、図2に示すように、一例として、本体部3の正面パネルに配設された液晶ディスプレイで構成され、制御部26の制御に従い、測定部22によって測定された絶縁抵抗の測定値を表示する。
【0021】
操作部24は、図2に示すように、本体部3の正面パネルに配設された切替えスイッチ31、メジャースイッチ32および設定キー33を備えて構成されている。
【0022】
加速度センサ25は、第2検出部の一例であって、本体部3が移動したときに、その移動に伴う加速度Am2(本体部3の移動速度の変化であって、第2検出値に相当する)を検出して検出信号Sd2を出力する(図1参照)。
【0023】
制御部26は、操作部24に対する操作に従って絶縁抵抗計1を構成する各構成要素を制御する。具体的には、制御部26は、操作部24のメジャースイッチ32(図2参照)に対する操作(押圧操作)が行われたときに、電力供給部21を制御して測定用信号を出力させる。また、制御部26は、測定部22による絶縁抵抗の測定を制御し、表示部23による絶縁抵抗の測定値の表示を制御する。
【0024】
また、制御部26は、図3に示す電力供給停止処理50を実行する。この電力供給停止処理50では、制御部26は、予め規定された規定時間Tr内に切替えスイッチ31に対する操作(予め決められた操作の一例)およびメジャースイッチ32に対する操作(予め決められた操作の他の一例)のいずれもが行われなかったときには電力供給部21による電力供給を停止させ、規定時間Tr内にこれらいずれかの操作が行われたときには電力供給を継続させる処理(オートパワーオフ)を行う。なお、以下の説明において、切替えスイッチ31に対する操作およびメジャースイッチ32に対する操作を「測定操作」ともいう。
【0025】
また、制御部26は、規定時間Tr内に上記した測定操作が行われなかった場合においても、測定用プローブ2aに配設された加速度センサ11によって規定時間Tr内に検出された加速度Am1、および本体部3に配設された加速度センサ25によって規定時間Tr内に検出された加速度Am2が後述する継続条件(予め決められた条件)を満たしたときには、電力供給部21による電力供給を継続させる。
【0026】
また、この絶縁抵抗計1では、電力供給停止処理50において用いる基準値Ar1(第1基準値に相当する)を、操作部24の設定キー33を操作することによって任意に変更することが可能となっており、制御部26は、基準値Ar1が変更されたときには、変更された基準値Ar1を図外のメモリに記憶させる。
【0027】
次に、絶縁抵抗計1を用いて測定対象体の絶縁抵抗を測定する方法、およびその際の絶縁抵抗計1の動作について、図面を参照して説明する。
【0028】
測定を開始する際には、オフ(OFF)を示す位置(初期状態の位置)に先端が位置している操作部24の切替えスイッチ31を操作(回動操作)し、測定用信号(直流電圧信号)の電圧値を示す4つの位置のうちの所望の位置(この例では、1000Vを示す位置)にその先端を位置させて、測定用信号の電圧値を選択する(図2参照)。この際に、電力供給部21が、絶縁抵抗計1を構成する各構成要素に対する電力供給を開始する。これにより、絶縁抵抗計1がオフ状態からオン状態に切り替えられる。
【0029】
次いで、測定対象体における1つの被接触部位をクリップ型の測定用プローブ2bで挟み、その被接触部位に測定用プローブ2bを接触(接続)させる。続いて、ペン型の測定用プローブ2aを指先で保持し、測定対象体における他の1つの被接触部位に測定用プローブ2aの先端部を接触させる。
【0030】
次いで、操作部24のメジャースイッチ32に対する操作(押圧操作)を行う。これに応じて、制御部26は、電力供給部21を制御して、上記した切替えスイッチ31に対する操作によって選択された電圧値(この例では、1000V)の測定用信号を出力させる。この際に、測定用信号が測定用プローブ2a,2bを介して測定対象体に供給される。
【0031】
続いて、制御部26は、測定部22に対して測定処理を実行させる。この測定処理では、測定部22は、測定用信号の供給によって測定対象体に生じる電気信号(この例では、電流)を測定用プローブ2a,2bを介して入力し、測定用信号および入力した電気信号に基づいて測定対象体の絶縁抵抗を測定して測定データを出力する。次いで、制御部26は、測定部22から出力された測定データによって特定される絶縁抵抗の値を表示部23に表示させる。
【0032】
また、制御部26は、絶縁抵抗計1がオン状態に切り替えられたとき(各構成要素に対する電力供給が開始されたとき)に、図3に示す電力供給停止処理50を実行する。この電力供給停止処理50では、制御部26は、絶縁抵抗計1がオン状態に切り替えられた時点からの経過時間Tpを例えば内部タイマのカウント値に基づいて計測(計時)する処理を開始する(ステップ51)。
【0033】
続いて、制御部26は、測定操作(切替えスイッチ31に対する操作およびメジャースイッチ32に対する操作)が行われたか否かを判別する(ステップ52)。この場合、制御部26は、このステップ52において測定操作が行われていないと判別したときには、測定用プローブ2aに配設された加速度センサ11によって検出された加速度Am1、および本体部3に配設された加速度センサ25によって検出された加速度Am2が予め決められた継続条件を満たしたか否かを判別する(ステップ53)。
【0034】
具体的には、制御部26は、このステップ53において、測定用プローブ2aに配設された加速度センサ11から出力された検出信号Sd1に基づいて加速度Am1を特定すると共に、本体部3に配設された加速度センサ25から出力された検出信号Sd2に基づいて加速度Am2を特定する。次いで、制御部26は、加速度Am1,Am2の差分値Adを算出する。続いて、制御部26は、差分値Adが予め規定された基準値Ar1(第1基準値)以上であることを上記の継続条件として、この継続条件を満たすか否かを判別する。
【0035】
この場合、制御部26は、このステップ53において、継続条件を満たしていないと判別したときには、経過時間Tpが予め決められた規定時間Tr(例えば、10分)に達したか否かを判別する(ステップ54)。制御部26は、このステップ54において経過時間Tpが規定時間Trに達していないと判別したときには、ステップ52を実行する。
【0036】
一方、ステップ54において、経過時間Tpが規定時間Trに達したと判別したとき、つまり、経過時間Tpが規定時間Trに達するまでに(規定時間Tr内に)測定操作が行われず、かつ加速度センサ11,25によって検出された加速度Am1,Am2が継続条件を満たしていないときには、制御部26は、電力供給部21による電力供給を停止させて(ステップ55)、電力供給停止処理50を終了する。
【0037】
また、制御部26は、上記したステップ52において測定操作が行われたと判別したとき、つまり、経過時間Tpが規定時間Trに達するまでに測定操作が行われたときには、経過時間Tpをリセット(経過時間Tpを0に設定)し(ステップ56)、続いて、経過時間Tpの計測を新たに開始する(ステップ51)。このため、規定時間Tr内に測定操作が行われる状態が繰り返される状態においては、ステップ51,52、56が繰り返して実行され、これによって電力供給部21による電力供給が継続される。
【0038】
また、制御部26は、上記したステップ53において、加速度センサ11,25によって検出された加速度Am1,Am2が上記した継続条件を満たすと判別したときには、経過時間Tpをリセットして(ステップ56)、経過時間Tpの計測を新たに開始する(ステップ51)。つまり、この絶縁抵抗計1では、規定時間Tr内に測定操作が行われなかった場合においても、加速度センサ11,25によって規定時間Tr内に検出された加速度Am1,Am2が予め決められた継続条件を満たしたときには、電力供給部21による電力供給が継続される。
【0039】
ここで、加速度センサ11,25によって検出された加速度Am1,Am2が予め決められた継続条件を満たしたとき、つまり、上記した差分値Adが基準値Ar1(第1基準値)以上のときには、例えば、本体部3を床や台の上に置いた状態で測定用プローブ2aを移動させている可能性、すなわち絶縁抵抗計1が使用中である可能性が高い。この場合、この絶縁抵抗計1では、上記したように、規定時間Tr内に測定操作が行われなかった場合においても、加速度センサ11,25によって検出された加速度Am1,Am2が予め決められた継続条件を満たしたときには、電力供給部21による電力供給が継続される。このため、この絶縁抵抗計1では、規定時間Tr内に測定操作がされない場合においても、このような形態で使用しているときには、電力供給が継続される。したがって、この絶縁抵抗計1では、不使用の状態が長時間継続したときに電力供給を自動的に停止する機能を維持しつつ、使用中における電力供給の停止が確実に防止される。
【0040】
一方、例えば、切替えスイッチ31に対する操作によって絶縁抵抗計1をオフ状態に切り替えることなく電力供給を継続させた状態(つまり、スイッチを切り忘れた状態)で、絶縁抵抗計1を車両に積み込んで走行したときには、車両の振動によって測定用プローブ2aおよび本体部3の双方が振動し、この振動による加速度Am1,Am2を加速度センサ11,25が検出することがある。この場合、例えば、測定用プローブ2aによって検出される加速度Am1が予め決められた基準値以上であることをだけを継続条件とする構成では、車両の振動が大きいときには、その基準値以上の加速度Am1が検出され続けて、電力供給が長時間に亘って継続されることがある。
【0041】
これに対して、この絶縁抵抗計1では、差分値Adが基準値Ar1以上であることを継続条件としているため、このような状態においても、長時間に亘る電力供給が継続される事態が防止される。具体的には、絶縁抵抗計1を積載した車両が走行したときに、測定用プローブ2aの振動の状態(振幅等)と本体部3の振動の状態とには大きな差が生じないため、加速度センサ11,25によって検出される加速度Am1,Am2にも大きな差が生じず、この結果、差分値Adが基準値Ar1よりも小さくなる。したがって、この絶縁抵抗計1では、スイッチを切り忘れた状態においても、差分値Adが基準値Ar1以上であるとの継続条件を満たすことなく、経過時間Tpが規定時間Trに達したときに電力供給が自動的に停止される。
【0042】
このように、この絶縁抵抗計1では、加速度センサ11,25によって規定時間Tr内に検出された加速度Am1,Am2が継続条件を満たしたときに電力供給部21による電力供給を継続させる。このため、絶縁抵抗計1によれば、加速度センサ11によって規定時間Tr内に検出された加速度Am1がある程度大きく、絶縁抵抗計1が使用中である可能性が高いときには、規定時間Tr内に測定操作が行われなかった場合においても、電力供給部21による電力供給を継続させることができる。したがって、この絶縁抵抗計1によれば、不使用の状態が長時間継続したときに電力供給を自動的に停止する機能を維持しつつ、使用中における電力供給の停止を確実に防止することができる。
【0043】
また、この絶縁抵抗計1では、測定用プローブ2aに配設された加速度センサ11によって検出された加速度Am1と本体部3に配設された加速度センサ25によって検出された加速度Am2との差分値Adが予め規定された基準値Ar1以上のときに電力供給部21による電力供給を継続させる。このため、この絶縁抵抗計1によれば、例えば、スイッチを切り忘れた状態で、絶縁抵抗計1を車両に積み込んで走行したとしても、測定用プローブ2aおよび本体部3の双方が同様に振動(移動)して各加速度センサ11,25によって検出される加速度Am1,Am2の差分値Adが小さいため、経過時間Tpが規定時間Trに達したときに電力供給が自動的に停止される。したがって、この絶縁抵抗計1によれば、比較的大きな振動が発生するような場所にスイッチを切り忘れた状態で置かれた場合においても、長時間に亘って電力供給が継続される事態を確実に防止することができる。
【0044】
なお、測定装置の構成は、上記した構成に限定されない。例えば、加速度Am1,Am2を検出する加速度センサ11,25を検出部として用いる例について上記したが、他のセンサを検出部として用いることができる。例えば、ジャイロスコープや光ファイバジャイロなどの角速度を検出する角速度センサ、および磁気抵抗効果素子等を備えて方位を検出する方位センサなどを、測定用プローブ2aや本体部3の移動を検出する検出部として用いることができる。
【0045】
また、測定用プローブ2aおよび本体部3に加速度センサ11および加速度センサ25をそれぞれ配設し、各加速度センサ11,15によって検出された加速度Am1,Am2の差分値Adが基準値Ar1以上のときに電力供給を停止させるか継続させるかの判定を行う構成例について上記したが、この判定を加速度センサ11によって検出された加速度Am1のみに基づいて判定する構成を採用することもできる。具体的には、規定時間Tr内に検出された加速度Am1が基準値Ar2(第2基準値に相当する)以上のときには、電力供給を継続させる構成を採用することもできる。この構成によれば、測定用プローブ2aにのみ加速度センサ11を配設すればよいため、構成を簡略化することができる。
【0046】
また、加速度センサ11によって検出された加速度Am1が基準値Ar2以上のときに電力供給を継続させる構成では、操作部24の設定キー33を操作することで、基準値Ar2を任意に変更可能な構成を採用することもできる。このような構成を採用した場合には、例えば、加速度センサ11の感度が高すぎたり周囲のノイズが大きいことに起因して加速度Am1が誤検出され、これによって絶縁抵抗計1を使用していない状態でも電力供給が継続されるときには、基準値Ar2を大きい値に変更することで、この状態を容易に解消することができる。
【0047】
また、これとは逆に、加速度センサ11の感度が低すぎることに起因して、絶縁抵抗計1を使用しているにも拘わらず加速度Am1が基準値Ar2よりも小さい値となって電力供給が停止されるときには、基準値Ar2を小さい値に変更することで、この状態を容易に解消することができる。
【0048】
また、2つの測定用プローブ2a,2bのうちの測定用プローブ2aだけをペン型に構成し、その測定用プローブ2aにのみ加速度センサ11を配設した構成例について上記したが、測定用プローブ2a,2bの双方をペン型に構成し、各測定用プローブ2a,2bに加速度センサ11をそれぞれ配設する構成を採用することもできる。この構成では、2つの加速度センサ11によって検出された各加速度Am1の一方(例えば、任意に選択した一方、値が大きい一方、および値が小さい一方)と加速度センサ25によって検出された加速度Am2との差分値Adが基準値Ar1以上のときに電力供給を継続させることもできる。また、2つの加速度センサ11によって検出された各加速度Am1の一方(例えば、任意に選択した一方、値が大きい一方、および値が小さい一方)が基準値Ar2以上のときに電力供給を継続させることもできる。
【0049】
また、絶縁抵抗計1に適用した例について上記したが、電圧や電流などの絶縁抵抗以外の各種の物理量を測定する測定装置に適用することができ、この構成においても、上記した絶縁抵抗計1の効果と同様の効果を実現することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 絶縁抵抗計
2a,2b 測定用プローブ
3 本体部
24 操作部
11 加速度センサ
21 電力供給部
22 測定部
25 加速度センサ
26 制御部
31 切替えスイッチ
32 メジャースイッチ
33 設定キー
Ad 差分値
Am1 加速度
Am2 加速度
Ar1 基準値
Ar2 基準値
Tr 規定時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部に接続される測定用プローブと、前記本体部に配設された操作部と、前記本体部に収容されると共に前記測定用プローブを介して入力出力する電気信号に基づいて物理量を前記操作部に対する操作に従って測定する測定部と、電力供給を行う電力供給部と、予め規定された規定時間内に前記操作部に対する予め決められた操作がされなかったときに前記電力供給部による電力供給を停止させる制御部とを備えた測定装置であって、
前記測定用プローブに配設されて当該測定用プローブの移動を検出する第1検出部を備え、
前記制御部は、前記第1検出部によって前記規定時間内に検出された第1検出値が予め決められた条件を満たしたときに前記電力供給部による前記電力供給を継続させる測定装置。
【請求項2】
前記本体部に配設されて当該本体部の移動を検出する第2検出部を備え、
前記制御部は、前記第1検出値と前記第2検出部によって検出された第2検出値との差分値が予め規定された第1基準値以上のときに前記条件を満たしたとして電力供給部による前記電力供給を継続させる請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1検出値が予め規定された第2基準値以上のときに前記条件を満たしたとして前記電力供給部による前記電力供給を継続させる請求項1記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−40870(P2013−40870A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178817(P2011−178817)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】