説明

湯水供給装置

【課題】
あらかじめ設定された湯張り量に対して使用者が異なる湯張り量に湯張りする場合においても、最適な銀イオン濃度の湯水を供給することができる湯水供給装置を提供する。
【解決手段】
湯水の供給路に設けられた銀製の電極を有し、湯水の供給時に動作して湯水中に銀イオンを発生させる銀イオン発生器と、銀イオン発生器の動作を制御する制御手段を備え、この制御手段は、湯水が所定の流量供給される毎に、前記銀イオン発生器を所定時間動作させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、湯水供給装置に係る。
【背景技術】
【0002】
湯水を使用場所へ供給する湯水供給装置として、貯湯タンクを備え、その貯湯タンク内の湯を使用場所である浴槽へ供給するとともに、その給湯通路内に銀イオン発生器を設けた湯水供給装置が知られている。
銀イオン発生器は、給湯通路内で相対向する一対の銀製の電極を有し、これら電極の相互間に電圧が印加されることにより両電極間に湯を介して電流が流れ、これに伴い、一方の銀電極から他方の銀電極へと移動する銀イオンを発する。この銀イオンが湯と共に浴槽へ供給される。この銀イオンは、高い抗菌力を発揮する。また、湯に含まれる銀イオンの濃度によって抗菌力が異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−145113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、銀イオン発生器を備えた湯水供給装置は、湯張り後の湯に含まれる銀イオンの濃度がある一定の濃度となるように銀イオン発生器を制御する制御手段を有している。
ここで、湯に含まれる銀イオンの濃度が高ければ高い程、湯水の抗菌力は高いことが知られており、一般的な湯水供給装置の制御手段は、湯水が高い抗菌力を発揮する銀イオン濃度となるように銀イオン発生器を制御するように設定されている。
しかし、一般的な湯水供給装置はあらかじめ設定された湯張り量に対して、銀イオン発生器を一定時間運転させるように制御されており、設定された湯張り量に満たない時点で使用者が湯張りを停止した場合に、目標の銀イオン濃度とならないことがある。
本発明の実施形態は、上記の事情を考慮したもので、その目的は、あらかじめ設定された湯張り量に対して使用者が異なる湯張り量に湯張りする場合においても、最適な銀イオン濃度の湯水を供給することができる湯水供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の実施形態の湯水供給装置は、湯水の供給路に設けられた銀製の電極を有し、湯水の供給時に動作して湯水中に銀イオンを発生させる銀イオン発生器と、銀イオン発生器の動作を制御する制御手段を備え、この制御手段は、湯水が所定の流量供給される毎に、前記銀イオン発生器を所定時間動作させるようになっている。
また、上記湯水供給装置は、供給路を流通した湯水の流量を計測する流量計測手段を備え、流量計測手段が所定の流量を検知する毎に、銀イオン発生器を所定時間動作させるようになっている。
さらに、制御手段は湯水の供給と同時に銀イオン発生器を所定時間動作させるとともに、流量計測手段が所定の流量を検知する毎に銀イオン発生器の動作を開始させ、所定時間動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施形態に係る湯水供給装置の構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る湯水供給装置の貯湯タンク及びその周辺部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施形態に係る湯水供給装置の制御部の要部を示すブロック図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る銀イオン濃度が0.05ppmに設定された場合の銀イオン発生器の動作時間を示す図。7
【図5】本発明の第1の実施形態に係る湯水供給装置の作用を説明するフローチャート。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る銀イオン濃度が0.025ppmに設定された場合の銀イオン発生器の動作時間を示す図。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る銀イオン濃度が0.0125ppmに設定された場合の銀イオン発生器の動作時間を示す図。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るLa=0に設定された場合の銀イオン発生器の動作時間を示す図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る湯水供給装置の作用を説明するフローチャート。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る銀イオン濃度が0.05ppmに設定された場合の銀イオン発生器の動作時間を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1において、1は給湯ユニットで、給水管2を介して給水源(図示しない)に接続される。この給水管2の水が給水管2上の減圧弁3で減圧されて給水管4に導かれ、その給水管4の水が逆止弁5を介して貯湯タンク10の下部に導かれる。また、減圧弁3で減圧された水の一部が給水管6およびその給水管6上の逆止弁7を介して混合栓12に導かれる。
【0008】
貯湯タンク10の上部に給湯管11を介して混合栓12が接続され、その混合栓12の出口が給湯管(湯の供給路)13、その給湯管13上のホッパ14、及び銀イオン発生器50、及び流量を計測する流量計側手段である流量計30を介して浴槽20に接続される。
流量計30は給湯管13及び銀イオン発生器5を通過する湯水の流量を計測するための流量計測手段である。
【0009】
給湯管13における銀イオン発生器50の配設箇所より下流側位置に、湯水管15およびその湯水管15上の循環ポンプ16を介して風呂熱交換器17の第1流路の入口が接続され、その第1流路の出口が湯水管18を介して浴槽20に接続される。すなわち、浴槽20につながる給湯管13の一部、湯水管15、循環ポンプ16、風呂熱交換器17の第1流路、および湯水管18により、浴槽20内の湯水を保温(追い炊きともいう)するための保温流路が形成される。
【0010】
上記給湯管11に、湯水管31およびその湯水管31上の逆止弁32を介して風呂熱交換器17の第2流路の入口が接続され、その第2流路の出口が湯水管33およびその湯水管33上の循環ポンプ34を介して貯湯タンク10の上部に接続される。
【0011】
上記給湯管11に、給湯管35およびその給湯管35上の逆止弁36を介して混合栓37が接続され、その混合栓37の出口が給湯管38を介して使用場所である台所、洗面所、風呂場シャワー等に分岐接続される。混合栓37には上記給水管2における減圧弁3を経た水が導かれており、その水が給湯管35からの湯水に混合される。
【0012】
貯湯タンク10の下部に湯水管41およびその湯水管41上の循環ポンプ42を介して熱源ユニット80の水熱交換器82の入口が接続され、その水熱交換器82の出口が湯水管43を介して上記湯水管33における循環ポンプ34の下流側位置に接続される。
【0013】
上記ホッパ14は、開閉弁14a,14b、逆止弁14c,14e、およびフローセンサ(流れ検知手段)14dを有する。フローセンサ(流れ検知手段)14dは、給湯管13における湯水の流れを検知する。
【0014】
熱源ユニット80は、図1の破線矢印で示すように、圧縮機81から吐出される冷媒を上記水熱交換器82、膨張弁83、および空気熱交換器84を介して圧縮機81に戻すヒートポンプ式冷凍サイクルを有するとともに、熱源ユニット制御部90を有し、外気から熱を汲み上げ、その汲み上げた熱を水熱交換器82の湯水(湯水管41から導かれる湯水)に与える。
【0015】
また、給湯ユニット1に給湯ユニット制御部60が設けられ、その給湯ユニット制御部60にリモートコントロール式の操作器(以下、リモコンという)70および上記熱源ユニット80の熱源ユニット制御部90が接続される。リモコン70は、浴槽20の近傍に設置され、給湯ユニット1および熱源ユニット80に対する運転条件を設定することができる。また、リモコン70には液晶表示部71と、使用者が銀イオン濃度を設定するための設定手段として操作部72が設けられている。
【0016】
上記貯湯タンク10およびその周辺部の構成を図2に示す。上記給湯ユニット制御部60は貯湯タンク10の側面部に取付けられている。
【0017】
給湯ユニット制御部60の要部を図3に示す。
給湯ユニット制御部60は、商用交流電源ACに接続された電源端子61、この電源端子61に通電路62およびその通電路62上のリレー接点65aを介して接続された駆動回路63、主制御部64、この主制御部64に接続されたリレー65、主制御部64に接続されたタイマ66を有する。そして、主制御部64に、上記リモコン70および熱源ユニット制御部90が接続される。
【0018】
上記駆動回路63は、上記銀イオン発生器50を駆動する。銀イオン発生器50は、給湯管13内に存して相対向する一対の銀製の電極51,52を有し、これら電極51,52の相互間に駆動回路63から電圧が印加されることにより動作して両電極51,52間に湯を介して電流を流し、これに伴い、一方の銀電極51から他方の銀電極52へと移動しようとする銀(Ag)イオンを発生する。この銀イオンが給湯管13内の湯と共に浴槽20へ供給される。なお、給湯管13において、銀イオン発生器50の配設位置から少なくとも湯水管15の接続部位までの区間には、漏電防止のために絶縁処理が施された、例えばアルミ三層管が使用される。
【0019】
主制御部64は、主要な機能として次の(1)〜(8)の制御手段を有する。
(1)予め定められている時間帯、たとえば深夜電力時間帯において、熱源ユニット80の熱源ユニット制御部90に運転オンを指令し、かつ循環ポンプ42を運転オンする制御手段。
【0020】
(2)浴槽20への給湯(湯張り・たし湯を含む)がリモコン70の操作により指示されると、ホッパ14の開閉弁14a,14bを開放する開放制御手段。
【0021】
(3)銀イオン発生器50の動作時間Tsをタイマ66により計時する計時手段。
【0022】
(4)操作部72が操作されることで、最終的な湯張り量と銀イオン濃度が設定され、設定された湯張り量と設定された銀イオンの濃度に基づいて銀イオン発生器50の目標動作時間Tsaを設定する設定制御手段。
なお、目標動作時間Tsaは表1に示す湯張り量に対する銀イオン発生器50の総動作時間Tallを複数に分散した時間である。
【0023】
(5)流量計測手段である流量計30により計測された湯水の積算流量Lが銀イオン発生器の動作を開始する開始湯量Laに達したことを検知すると、リレー65を付勢してそのリレー接点65aを閉成し、これにより銀イオン発生器50に通電して銀イオン発生器50を動作させ、湯張り量に応じた銀イオン発生器の目標動作時間Tsaを超えると、リレー65を消勢してそのリレー接点65aを開放し、銀イオン発生器50への通電を遮断して銀イオン発生器50の動作を停止させる通電制御手段。
【0024】
(6)流量計30を通過した湯水の運転開始からの積算流量Lを計測し、湯張り運転開始からの総湯量である湯張り量Lallが、設定された最終的な湯張り量に達するとホッパ14の開閉弁14a,14bを閉鎖する閉鎖制御手段。
【0025】
(7)上記操作部72が操作されることで設定される銀イオン濃度と、その銀イオン濃度による効能及び注意事項をリモコン70の液晶表示部71に表示し報知する報知手段。
【0026】
(8)湯張り運転中に銀イオン発生器が動作中であっても、使用者がリモコンを操作し湯張りを停止させた場合に銀イオン発生器の動作を停止させる通電制御手段。
【0027】
次に、銀イオン発生器50の作用について説明する。
本実施形態の銀イオン発生器50は、約30Lの湯水に対して1分間動作すると銀イオン濃度が0.05ppmとなるように電流値が設定されている。なお、電流値によって動作時間Tと銀イオン濃度の関係は変化する。
表1に、浴槽20の最終的な湯張り量に対する銀イオン発生器50の総動作時間Tallと銀イオン濃度との関係を示す。
【表1】

【0028】
使用者がリモコン70に設けられた操作部72を操作して銀イオン濃度を設定することにより、表1に示すように銀イオン発生器50の動作時間が設定される。湯水の銀イオン濃度は、0.05ppm、0.025ppm、0.0125ppmの3段階で設定することができる。
【0029】
ここで、表1に示される銀イオン発生器50の動作時間は、設定された最終的な湯張り量に対する総動作時間Tallである。例えば、目標となる最終的な湯張り量が130Lの場合、銀イオン発生器50の総動作時間Tallを4分間とすると略0.05ppmの湯水となり、総動作時間Tallを2分間とすると略0.025ppmとなり、総動作時間Tallを1分間とすると略0.0125ppmとなる。
【0030】
表1の銀イオン濃度の湯水を得るための湯張り運転について説明する。
深夜電力時間帯において、熱源ユニット80の圧縮機81が運転オンし、その圧縮機81から吐出される冷媒が水熱交換器82、膨張弁83、空気熱交換器84を通って循環する。これに伴い、循環ポンプ42が運転オンし、貯湯タンク10の下部の湯水が湯水管41を通って水熱交換器82に流入し加熱される。水熱交換器82から流出する湯は湯水管43および湯水管33を通って貯湯タンク10の上部に供給される。こうして、貯湯タンク10に湯が貯えられる。
【0031】
そして、リモコン70の操作により湯張り運転が開始されると、ホッパ14の開閉弁14a,14bが開放され、貯湯タンク10内の湯が給湯管11、混合栓12、給湯管13、および銀イオン発生器50を通って浴槽20に供給され湯張り運転が行われる。
【0032】
ここで、銀イオン発生器50を、湯張り運転開始時に設定された目標となる最終的な湯張り量に対する銀イオン発生器総動作時間Tallの期間だけ動作させ、湯張り運転が継続される。そして、湯張り量Lallが設定された最終的な湯張り量に達するまで湯張りを行う。
これにより、湯張り運転終了後には浴槽20内に設定された銀イオン濃度の湯水が貯留される。
【0033】
また、銀イオン発生器50に通電される電流値を変更することなく、銀イオン発生器50の動作時間を変更することで浴槽20内の湯水の銀イオン濃度を任意に設定することができる。
【0034】
ここで、具体的には目標動作時間Tsaは、例えば、湯水30Lに対する銀イオン発生器50の動作時間であり、浴槽20内に最終的な湯張り量の湯水が貯留される期間内に、銀イオン発生器50が目標動作時間Tsaで繰り返し動作し、トータルとしての銀イオン発生器50の動作時間が総動作時間Tallと略一致するものである。
【0035】
図4の下グラフに横軸を時間、縦軸を流量として給湯運転開始からの湯張り量Lallを一点鎖線で示し、積算流量Lを実線で示す。また、図4の上グラフに銀イオン発生器50の動作時間を示す。
即ち、濃度0.05ppmの場合では目標動作時間Tsaを1分間とし、30L給湯される期間毎に銀イオン発生器50を1分間動作させ、130Lが給湯されるまでの間に総動作時間Tallである4分程度となる。
ここで、銀イオン発生器50の運転を開始する開始湯量Laは、流量計30を通過する湯水の単位時間当たり流量aと目標動作時間Tsaと目標流量Ls(=30L)とした場合、La>Ls−a×Tsaと設定すると、浴槽内に供給される湯水の銀イオン濃度が設定された濃度0.05ppmに達することがない。そのため、La≦Ls−a×Tsaの関係となるように設定されるのが好ましい。これにより、目標流量Ls(=30L)が浴槽内に供給される毎に、設定された銀イオン濃度0.05ppmの湯水を得ることができる。
特に、La=Ls−a×Tsaとすることで、給湯される期間内に銀イオン濃度が0.05ppmを超えることがなく、浴槽内の黒ずみの原因となる銀イオン濃度の高濃度化を抑制することができる。
【0036】
例えば、図5のフローチャートにより、リモコン70の操作によって最終的な湯張り量が130Lで銀イオン濃度が0.05ppmである場合の動作を説明する。
【0037】
浴槽20への給湯(湯張り)がリモコン70の操作により指示されると給湯運転が開始し(ステップ101)、ホッパ14の開閉弁14a,14bが開放され、貯湯タンク10内の湯が給湯管11、混合栓12、給湯管13、および銀イオン発生器50を通って浴槽20に供給される。このとき、湯の流れがフローセンサ14dで検知され、流量計30を通過した湯水の量を検知し、積算流量L及び湯張り量Lallの計測を開始する(ステップ102)。
【0038】
次に、積算流量Lが開始湯量Laに達したか否かを判定し、積算流量Lが開始湯量Laに達するまで判定し続ける(ステップ103のNo)。
例えば、目標流量Ls=30L、単位時間当たり流量a=15L/min、目標動作時間Tsa=1分の場合、開始湯量La=15Lとなる。
これにより、湯水が30L供給される毎に、銀イオン濃度が略0.05ppmとなり、開始湯量La=15Lとする場合、浴槽内に貯留された湯水は湯張り途中であっても0.05ppmを超える銀イオン濃度になることはない。
【0039】
積算流量Lが開始湯量Laに達すると(ステップ103のYes)、(5)の通電制御手段により銀イオン発生器を動作させると同時にタイマ66による計時を開始する(ステップ104)。即ち、リレー65が付勢されてそのリレー接点65aが閉成され、この閉成により、駆動回路63が動作して銀イオン発生器50が動作される。
【0040】
そして、積算流量Lが30L未満であるか否かの判定を行い(ステップ105)、30L以上の場合(ステップ105のNo)には、タイマ66で計時された銀イオン発生器50の動作時間Tsが1分以内であるか否かの判定を行なう(ステップ109)。動作時間Tsが1分経過していない場合(ステップ109のNo)、再度、積算流量Lが30Lに達したかの判定を行ない、積算流量Lが30Lに達するか、又は動作時間Tsが1分を経過するまでステップ105、109の判定が繰り返される。
【0041】
計測時間Tsが1分を経過した場合(ステップ109のYes)、銀イオン発生器50の動作を停止して、タイマ66による計時を終了する(ステップ110)。即ち、リレー65が消勢されてそのリレー接点65aが開放され、駆動回路63および銀イオン発生器50の動作が停止する。
そして、積算流量Lが30Lに達すると(ステップ105のYes)、積算流量Lの計測をリセットする(ステップ106)。ここで、開始湯量LaがLa=Ls−a×Tsa=15Lに設定されており、単位流量aが常時一定である場合、積算流量Lが開始湯量Laに達するのと銀イオン発生器50の動作時間Tsが目標動作時間Tsa=1分経過するのが略同時になり、銀イオン発生器50の停止(ステップ110)と積算流量Lのリセット(ステップ106)が略同時となる。
これにより、給湯運転途中における浴槽20内の銀イオン平均濃度の最大値は0.05ppmを超えることがなく、銀イオン高濃度状態に生じやすい浴槽20内の黒ずみを予防することができる。
【0042】
湯張り量Lallが設定された湯張り量である130Lに達したかどうかを判定し、130Lに達していない場合には(ステップ107のNo)、ステップ102へ戻り、上述した給湯運転と銀イオン発生器50の動作を繰り返す。
【0043】
流量計30の計測により湯張り量Lallが130Lに達すると(ステップ107のYes)、湯張り量Lallの計測を終了し、給湯運転を停止する。即ち、ホッパ14の開閉弁14a,14bが閉成されて浴槽20への給湯が停止する(ステップ108)。
【0044】
上述した制御は、ステップ107において湯張り量Lallが目標値である最終的な湯張り量に達したか否かを判定したが、(6)の閉鎖制御手段はステップ101以降常に動作しており、湯張り量が設定された湯張り量Lallに達した時点で給湯運転が停止するようになっている。
【0045】
また、使用者がリモコン70を操作し、湯張り量Lallが設定された湯張り量130Lに満たないまま給湯運転を強制終了した場合、銀イオン発生器50の動作途中(ステップ109のNo)であっても、(8)の通電制御手段により銀イオン発生器50の動作を停止し、タイマ66による計時も停止される。
【0046】
上述した実施形態は、設定された銀イオン濃度が0.05ppmの場合について説明したものであるが、銀イオン濃度を変更した場合について以下に記述する。
銀イオン発生器50の目標動作時間Tsaは、銀イオン濃度が0.05ppmの湯水を得る場合には1分間であるが、図6に示すように銀イオン濃度が0.025ppmの場合には、Tsa=30秒が設定され、La=22.5lとなり、図7に示すように銀イオン濃度が0.0125ppmの場合は15秒が設定されLa=26.25lとなる。
【0047】
ここで、上述の本実施形態では設定された湯張り量Lallと、設定された銀イオン濃度における総動作時間Tallを分割し、積算流量Lが30L増加する毎に銀イオン発生器50をTsa=1分間動作させたが、例えば、積算流量Lが15L増加する毎に銀イオン発生器50をTsa=30秒間動作させるように、積算流量Lと動作時間Tsをさらに細分化して分散してもよい。
【0048】
なお、湯張り量が設定されず図示しない水位センサが目標水位を検知する場合においては、上記(6)の閉鎖制御手段における湯張り量Lallが設定された目標値に達するのではなく、水位センサの検知した値が、目標水位を超えたか否かを判定するように変更すればよく、他のステップは図5のフローチャートと同一でよい。
【0049】
次に、開始湯量La=0の場合について説明する。
このときの給湯運転の時間経過に伴う変化の様子を図8に示し、給湯運転開始からの湯水供給装置の動作について図5のフローチャートを用いて説明する。
リモコン70の操作によって目標となる最終的な湯張り量が130Lで銀イオン濃度が0.05ppmである場合の動作を説明する。
【0050】
浴槽20への給湯(湯張り)がリモコン70の操作により指示されると給湯運転が開始し(ステップ101)、ホッパ14の開閉弁14a,14bが開放され、貯湯タンク10内の湯が給湯管11、混合栓12、給湯管13、および銀イオン発生器50を通って浴槽20に供給される。このとき、湯の流れがフローセンサ14dで検知され、流量計30を通過した湯水の量を検知し、積算流量L及び湯張り量Lallの計測を開始する(ステップ102)。
【0051】
次に、開始湯量La=0であることを判定し(ステップ103のYes)、通電制御手段(5)により銀イオン発生器を動作させると同時にタイマ66による計時を開始する(ステップ104)。即ち、リレー65が付勢されてそのリレー接点65aが閉成され、この閉成により、駆動回路63が動作して銀イオン発生器50が動作される。
【0052】
そして、積算流量Lが30L未満であるか否かの判定を行い(ステップ105)、30Lに達していない場合(ステップ105のNo)には、タイマ66で計時された銀イオン発生器50の動作時間Tsが1分以内であるか否かの判定を行なう(ステップ109)。動作時間Tsが1分経過していない場合(ステップ109のNo)、再度、積算流量Lが30Lに達したかの判定を行ない、積算流量Lが30Lに達するか、又は動作時間Tsが1分を経過するまでステップ105、109の判定が繰り返される。
【0053】
計測時間Tsが1分を経過した場合(ステップ109のYes)、銀イオン発生器50の動作を停止して、タイマ66による計時を終了する(ステップ110)。即ち、リレー65が消勢されてそのリレー接点65aが開放され、駆動回路63および銀イオン発生器50の動作が停止する。
そして、積算流量Lが30Lに達すると(ステップ105のYes)、流量Lの計測をリセットする(ステップ106)。
【0054】
湯張り量Lallが目標である130Lに達したかどうかを判定し、130Lに達していない場合には(ステップ107のNo)、ステップ102へ戻り、上述した給湯運転と銀イオン発生器50の動作を繰り返す。
【0055】
流量計30の計測により湯張り量Lallが目標である130Lに達すると(ステップ107のYes)、湯張り量Lallの計測を終了し、給湯運転を停止する。即ち、ホッパ14の開閉弁14a,14bが閉成されて浴槽20への給湯が停止する(ステップ108)。
【0056】
上述した制御は、ステップ107において湯張り量Lallが130Lに達したか否かを判定したが、(6)の閉鎖制御手段はステップ101以降常に動作しており、湯張り量Lallが130Lに達した時点で給湯運転が停止するようになっている。
【0057】
また、使用者がリモコン70を操作し、設定された湯張り量Lallに満たないまま給湯運転を強制終了した場合、銀イオン発生器50の動作途中(ステップ109のNo)であっても、(8)の通電制御手段により銀イオン発生器50の動作を停止し、タイマ66による計時も停止される。
【0058】
上記のように、湯張り運転開始直後に銀イオン濃度の濃い湯水を浴槽20内に貯留することで、給湯運転直後の浴槽20内の抗菌性を高め、浴槽20内をより清潔な状態に保つことができ、給湯運転終了時には所定の銀イオン濃度に保たれている。
【0059】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、La=Ls−a×Tsaとし、積算流量Lが開始湯量Laに一致する毎に浴槽20内の銀イオン濃度となるように設定されていたが、それに限らず、第2の実施形態では開始湯量La=Lsとした場合について説明する。なお、第2の実施形態において、単位時間当たり流量aと銀イオン発生器の目標動作時間Tsaと開始湯量Laの間には、La≧a×Tsaの関係を有している。
【0060】
本第2の実施形態の湯水供給装置は第1の実施形態の湯水供給装置と同様に、図1乃至図3で示す構成を有しており、主制御部64は主要な機能として(1)〜(8)の制御手段を有する。
以下に銀イオン濃度が0.05ppmの場合について図9のフローチャートを用いて説明する。
例えば、リモコン70の操作によって湯張り量が130Lで銀イオン濃度が0.05ppmである場合の動作を説明する。
【0061】
浴槽20への給湯(湯張り)がリモコン70の操作により指示されると給湯運転が開始し、ホッパ14の開閉弁14a,14bが開放され、貯湯タンク10内の湯が給湯管11、混合栓12、給湯管13、および銀イオン発生器50を通って浴槽20に供給される。このとき、湯の流れがフローセンサ14dで検知され、流量計30を通過した湯水の量を検知し、積算流量L及び湯張り量Lallの計測を開始する(ステップ201)。そして、湯張り量Lallが130Lに達していないことを確認し(ステップ202のNo)、積算流量Lが開始湯量La=30Lに達したか否かを判定する(203)。
計測流量Lが30Lに達していない場合(ステップ203のNo)、計測流量が30Lに達するまで、湯張り量が130Lに達したかを判定する(ステップ202、203)。
【0062】
積算流量Lが30Lに達すると(ステップ203のYes)、積算流量Lのカウントをリセットし、さらに開始湯量La=30Lを計測する。通電制御手段(5)により銀イオン発生器50を動作させ、タイマ66による計時を開始する(ステップ204)。即ち、リレー65が付勢されてそのリレー接点65aが閉成され、この閉成により、駆動回路63が動作して銀イオン発生器50が動作される。
【0063】
そして、タイマ66で計時された銀イオン発生器50の動作時間Tsが1分以内であるか否かの判定を行ない(ステップ205)、動作時間Tsが1分経過するまで判定が繰り返される(ステップ205のNo)。
【0064】
計測時間Tsが1分を経過すると(ステップ205のYes)、銀イオン発生器50の動作を停止して、タイマ66による計時を終了する(ステップ206)。即ち、リレー65が消勢されてそのリレー接点65aが開放され、駆動回路63および銀イオン発生器50の動作が停止する。
そして、湯張り量Lallが130Lに達したか否かを判定し(ステップ206)、130Lに達していなければ(ステップ206のNo)、再度、積算流量Lが30Lに達したか否かの判定を行なう(ステップ203)。そして、上記したステップ202からステップ206の制御を繰り返し、湯張り量Lallが130Lに達すると(ステップ202のYes)、給湯運転を停止し湯張り量Lallの計測を終了する(ステップ207)。
【0065】
これにより、給湯運転途中における浴槽20内の銀イオン平均濃度の最大値は0.05ppmを超えることがなく、銀イオン高濃度状態に生じやすい浴槽20内の黒ずみを予防することができる。
【0066】
上述した制御は、ステップ107において湯張り量Lallが130Lに達したか否かを判定したが、閉鎖制御手段(6)はステップ101以降常に動作しており、湯張り量Lallが設定され最終的な湯張り量に達した時点で給湯運転が停止するようになっている。
【0067】
また、使用者がリモコン70を操作し、湯張り量Lallが設定された最終的な湯張り量に満たないまま給湯運転を強制終了した場合、銀イオン発生器50の動作途中(ステップ109のNo)であっても、(8)の通電制御手段により銀イオン発生器50の動作を停止し、タイマ66による計時も停止される。
【0068】
上述のように動作することで、湯水供給装置の給湯運転開始からの湯張り量Lallは図10の下グラフの一点鎖線で示されるように推移し、積算流量Lは実線で示されるように推移する。また、銀イオン発生器50の動作時間は図4の上グラフの実線で示されるように推移する。
【0069】
以上第1、第2の実施形態のとおり、湯張り動作によって、浴槽20に供給される湯水に銀イオンが加えられる。この銀イオンにより、浴槽20に供給される湯の抗菌力を高め、雑菌の増殖を抑えることができる。
【0070】
上記のように、銀イオン発生器50を給湯が行われている期間内に所定流量毎に分散させて動作させることで、湯張り運転を途中で中止する場合でも目標とする濃度により近い銀イオン濃度の湯水を得ることができ、きめ細かい銀イオンの濃度管理を行うことができる。
【0071】
なお、浴槽20内の湯の保温がリモコン70の操作により指示されると、循環ポンプ16,34が運転され、浴槽20内の湯が給湯管13、湯水管15、風呂熱交換器17の第1流路、湯水管18を通って循環するとともに、貯湯タンク10内の湯が給湯管11、湯水管31、風呂熱交換器17の第2流路、湯水管33を通って循環する。このとき、風呂熱交換器17の第2流路を通る湯の熱が、第1流路を通る浴槽循環の湯に移行する。こうして、浴槽20内の湯が保温される。
【0072】
以上、述べたように、リモコン70の操作により使用者は任意に銀イオン濃度を設定することができ、使用状況に応じて必要な銀イオン濃度の湯水を得る事ができる。
【0073】
これにより、高濃度(0.05ppm)の銀イオン湯水の使用により、浴槽における黒ずみの発生を防止し、銀イオン発生器の消耗を抑えつつ、適度な抗菌力を得たい場合には、使用者は銀イオン発生器を低濃度(0.025ppm、0.0125ppm)で動作するように設定することができる。また、白癬菌に対する高い抗菌性を発揮する0.05ppm以上の銀イオン濃度の湯水が必要な場合には使用者は銀イオン発生器が高濃度(0.05ppm)で動作するように設定することができる。
【0074】
使用者が銀イオンの濃度をリモコン70の操作部72を操作し設定すると、液晶表示部71には設定されている銀イオン濃度や、設定された銀イオン濃度での効能及び注意事項が表示され、使用者への情報提供が行われる。この情報を元に使用者は必要とする銀イオン濃度を任意に選定することができ、個々の使用状況に応じて銀イオン濃度を選択することができる。
【0075】
ここで、液晶表示部71に表示される銀イオン濃度は、0.05ppmなどの数値による表示に限定されるものではなく、高め、低めなどの程度を表す言葉による表示でも良い。
また、銀イオン濃度と効能及び注意事項などの表示は、液晶表示部71の表示の大きさや見易さを考慮して交互に表示されてもよい。
【0076】
上述した実施形態では、銀イオンの濃度を設定する操作部71と報知する報知手段である液晶表示部71を、湯張り運転を操作・設定するリモートコントロール式の操作器であるリモコン70に設けたが、独立した銀イオン設定用のリモコン装置に設けてもよい。
また、報知手段は液晶表示部71のように視覚的に報知するものに限定されず、スピーカーなどのように音声によって聴覚的に報知するものでもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、浴槽20への給湯経路に銀イオン発生器50を設けた場合を例に説明したが、台所、洗面所等への給湯経路に銀イオン発生器50を設ける場合にも、同様に実施可能である。湯だけでなく、水道水の供給路に銀イオン発生器50を設けて水道水を抗菌する場合にも、同様に実施可能である。
【0078】
その他、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。全ての構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…給湯ユニット、2,4,6…給水管、3…減圧弁、10…貯湯タンク、11,13,35,38…給湯管、12,37…混合栓、14…ホッパ、14a,14b…開閉弁、14d…フローセンサ(流れ検知手段)、30…流量計、15,18,33,41,43…湯水管、16,34,42…循環ポンプ、17…風呂熱交換器、50…銀イオン発生器、51,52…銀製の電極、60…給湯ユニット制御部、64…主制御部、65…リレー、66…タイマ、80…熱源ユニット、81…圧縮機、82…水熱交換器、84…空気熱交換器、70…リモコン、71…液晶表示部、90…熱源ユニット制御部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水の供給路に設けられた銀製の電極を有し、湯水の供給時に動作して湯水中に銀イオンを発生させる銀イオン発生器と、
前記銀イオン発生器の動作を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、湯水が所定の流量供給される毎に、前記銀イオン発生器を所定時間動作させることを特徴とする湯水供給装置。
【請求項2】
湯水の供給路に設けられた銀製の電極を有し、湯水の供給時に動作して湯水中に銀イオンを発生させる銀イオン発生器と、
前記銀イオン発生器の動作を制御する制御手段と、
前記供給路を流通した湯水の流量を計測する流量計測手段を備え、
前記流量計測手段が所定の流量を検知する毎に、前記銀イオン発生器を所定時間動作させることを特徴とする湯水供給装置。
【請求項3】
湯水の供給路に設けられた銀製の電極を有し、湯水の供給時に動作して湯水中に銀イオンを発生させる銀イオン発生器と、
前記銀イオン発生器の動作を制御する制御手段と、
前記供給路を流通した湯水の流量を計測する流量計測手段を備え、
前記制御手段は湯水の供給と同時に前記銀イオン発生器を所定時間動作させるとともに、前記流量計測手段が所定の流量を検知する毎に前記銀イオン発生器の動作を開始させ、所定時間動作させることを特徴とする湯水供給装置。
【請求項4】
前記銀イオン発生器を所定時間動作させた後に、銀イオン発生器の動作を停止し、前記流量計測手段で計測された流量をリセットし、再び流量計測を開始することを特徴とする請求項2及び3のいずれかに記載の湯水供給装置。
【請求項5】
供給された湯水の銀イオン濃度を設定する銀イオン濃度設定手段を備え、
前記銀イオン濃度設定手段の設定に基づいて、前記流量計測手段で計測された流量に対する銀イオン発生器の運転時間を変化させることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の湯水供給装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−15305(P2013−15305A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150396(P2011−150396)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(505461072)東芝キヤリア株式会社 (477)
【Fターム(参考)】