説明

湯水混合弁装置及び温水洗浄装置

【課題】電源を用いることなく、混合水温度が所定温度以上であることを視認することができる湯水混合弁装置と、この湯水混合弁装置を備えた温水洗浄装置を提供する。
【解決手段】湯水混合弁装置4には、内部の弁体62の位置を視認するための透視部4aが設けられている。ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が設定温度以上となっているときには、透視部4aに弁体62のみが視認される。ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が設定温度よりも低いときには、弁体62が透視部4aから退避し、該弁体62の側面に設けられた開口Lが該透視部4aに露呈する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水混合弁装置に係り、特に混合水の温度が所定温度以上になったことを視認することができるよう構成された湯水混合弁装置に関する。また、本発明は、便器に設置され、人体臀部を洗浄するための温水洗浄装置に係り、特にかかる湯水混合弁装置を備えた温水洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器に設けられた温水洗浄装置は、温水源からの温水を洗浄ノズル先端から噴出させて人体臀部を洗浄するよう構成されている。この洗浄ノズルに供給される水の温度が低いときには、この水を便器等に捨て、所定温度の水(湯)を洗浄ノズルに導くようにした捨て水機構を設けることがある。特開2005−320694には、人体が便座に着座すると、捨て水用電磁弁を開とし、サーモスタットミキシングバルブから混合水を便器へ排出することが記載されている。また、この混合水の水温を温度センサで検知し、水温が定常温度にまで上昇してきた場合には捨て水用電磁弁を閉とすること、この捨て水動作中には捨て水動作を表示灯の点滅によって表示すること、捨て水動作終了後はこの点滅を停止することがそれぞれ記載されている。
【0003】
なお、同号公報には、捨て水用電磁弁の上流側に形状記憶合金製バネによって流路を絞る開度可変管路を設け、混合水の温度が上昇してきたときには捨て水流量を減少させることが記載されているが、この形状記憶合金バネは捨て水の動作切替を行うものではない。
【特許文献1】特開2005−320694
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開2005−320694では、サーモスタットミキシングバルブからの混合水の温度を温度センサで検出し、この検出温度に応じて捨て水電磁弁を開閉させるようにしている。
【0005】
かかる構成の温水洗浄装置は、電気制御方式であるため、電源が必須である。
【0006】
なお、管の外面に感温テープを貼り、該管内を流れる水の温度を感温テープの色変化によって表示することがあるが、管内の水の温度が管を介して感温テープに伝わるまで時間がかかると共に、感温テープは動作の俊敏性に劣る。
【0007】
本発明は、電源を用いることなく、混合水温度が所定温度以上であることを視認することができる湯水混合弁装置と、この湯水混合弁装置を備えた温水洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の湯水混合弁装置は、湯の流入口、水の流入口及び混合水の流出口を有するケーシング内に弁体及び感温部材が配置されており、該感温部材は混合水と接触するように配置され、混合水の水温に応じて伸縮して前記弁体を移動させて湯水の混合割合を変化させる湯水混合弁装置において、前記ケーシングに前記弁体の位置を視認するための透視部を設けたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の湯水混合弁装置は、請求項1において、混合水の水温が所定温度よりも高くなると、前記弁体が該透視部に露呈するか又は該透視部から退避し、混合水の水温が該所定温度よりも低くなると、該弁体が該透視部から退避するか又は該透視部に露呈するように該透視部が配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の湯水混合弁装置は、請求項1において、前記弁体に高温表示部が設けられており、混合水の水温が所定温度よりも高くなると、該高温表示部が該透視部に露呈し、混合水の水温が該所定温度よりも低くなると、該高温表示部が該透視部から退避するように該高温表示部及び透視部が配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の湯水混合弁装置は、請求項3において、該高温表示部は、該弁体の外面に設けられた暖色面であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5の湯水混合弁装置は、請求項1において、前記弁体に低温表示部が設けられており、混合水の水温が所定温度よりも低くなると、該低温表示部が該透視部に露呈し、混合水の水温が該所定温度よりも高くなると、該低温表示部が該透視部から退避するように該低温表示部及び透視部が配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6の湯水混合弁装置は、請求項5において、該低温表示部は、該弁体の外面に設けられた寒色面であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7の温水洗浄装置は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の湯水混合弁装置と、該湯水混合弁装置からの水を洗浄ノズルに導く主流路と、該主流路から分岐した捨て水流路と、該温水源からの水を捨て水するための捨て水弁装置とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜4の湯水混合弁装置によると、従来の一般的な湯水混合弁装置と同じく、混合水の温度が低いときには、湯の流入量を増加させるように弁体が位置し、混合水の温度が上昇してくると、水の流入量を増加させるように弁体が移動する。弁体は、感温部材の伸縮によって上記のように移動する。感温部材としては、一般的な湯水混合弁装置と同じく、感温伸縮体又は形状記憶バネ等が用いられる。
【0016】
請求項1の湯水混合弁装置においては、弁体の位置を透視部を透して視認することができ、これにより現状での混合水の温度を認識することができる。即ち、水の流入量を少なくする方に弁体が位置していることが視認されるならば、混合水の温度は比較的低いことになり、湯の流入量を少なくする方に弁体が移動したことが視認されるならば、混合水の温度が上昇したことになる。
【0017】
このように、本発明の湯水混合弁装置によると、電気回路によることなく、混合水温度を知得することが可能である。
【0018】
なお、通常は、湯水混合弁装置の弁体は、ケーシングの内面に沿って移動するよう構成されている。
【0019】
そこで、請求項2の通り、混合水の温度が所定温度よりも高くなったときには弁体が透視部に露呈し、混合水温度が所定温度よりも低くなったときには弁体が透視部から退避するように構成することにより、弁体が見える場合には混合水温度が高いこと、及び、弁体が見えないときには混合水温度が低いことが認識可能となる。
【0020】
この場合、逆に、混合水温度が所定温度よりも高いときには弁体が透視部から退避し、所定温度よりも低いときには弁体が透視部に露呈するよう構成してもよい。この場合、弁体が見えるときには混合水温度が低いことになり、弁体が見えないときには混合水温度が高いことになる。
【0021】
請求項3の湯水混合弁装置では、弁体に設けられた高温表示部が透視部に露呈するか透視部から退避するかによって、混合水温度が所定温度よりも高いか低いかを知ることができる。この高温表示部としては、弁体の外面に設けた赤色などの暖色面が好適である(請求項4)。
【0022】
請求項5の湯水混合弁装置では、弁体に設けられた低温表示部が透視部に露呈するか透視部から退避するかによって、混合水温度が所定温度よりも低いか高いかを知ることができる。この低温表示部としては、弁体の外面に設けた青色などの寒色面が好適である(請求項6)。
【0023】
本発明の温水洗浄装置にあっては、上記の湯水混合弁装置を備えているため、透視部からの視認状況に基づいて、湯水混合弁装置からの水の温度が高くなったことが使用者に知覚可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0025】
第1図は実施の形態に係る湯水混合弁装置を備えた温水洗浄装置の系統図、第2図はダイヤフラム弁の断面図、第3図及び第4図は捨て水弁装置の断面図、第5図〜第7図は湯水混合弁装置の断面図、第8図はこの温水洗浄装置を備えた洋風便器の斜視図である。なお、第5図は混合水の温度が設定温度以上となっている状態における湯水混合弁装置の全体断面図、第6図はこの湯水混合弁装置の温度設定部の断面図、第7図は混合水の温度が設定温度よりも低い状態における湯水混合弁装置の全体断面図である。
【0026】
第8図に示す通り、この実施の形態では、洋風便器Yの後部上面に便座ボックスBが設置され、この便座ボックスBの前面に、便座Z及び便蓋Fが起倒方向(上下方向)回動自在に取り付けられている。この便座ボックスB内に、便器使用者の臀部を温水で洗浄するための温水洗浄ノズル10を備えた温水洗浄装置が設置されている。なお、便座ボックスB内には、この温水洗浄装置と共に、脱臭ファンや暖房装置などの各種トイレ機器(図示略)が設置されてもよい。
【0027】
この実施の形態では、洋風便器Yは、ホテルなど、温水配管が壁などに引き回されたトイレルームに設置されている。温水がこの温水配管から供給されるため、この洋風便器Yの温水洗浄装置にはヒータ付き温水タンクは設けられていない。ただし、本発明はヒータ付き温水タンクを有する温水洗浄装置にも適用可能である。
【0028】
トイレルームの壁などに設けられた給湯止水栓及び給水止水栓にそれぞれ給湯配管1と給水配管2が連結されており、給湯配管1から温水(湯)が逆止弁3を介してサーモスタット湯水混合弁装置(以下、単に湯水混合弁装置と略すことがある。)4に導入可能とされ、給水配管2から常温の水が該湯水混合弁装置4に導入可能とされている。この実施の形態では、該湯水混合弁装置4は、便座ボックスBの袖部(側方張出部)S内に設けられている。
【0029】
この湯水混合弁装置4には、内部の弁体62の位置を視認するための透視部4aが設けられている。この湯水混合弁装置4の構成については後に詳述する。この透視部4aは、便座ボックスBの袖部Sの上面に設けられた操作パネルPに露出しており、便座Zに座った便器使用者によって上方から視認しうるようになっている。
【0030】
湯水混合弁装置4で湯と水とが混合された混合水は、配管5、減圧弁付き高温遮断弁6、配管7、洗浄強さ調節用のつまみ8aを有した流量調節弁8、配管9を介して洗浄ノズル10へ導入可能とされている。この洗浄ノズル10は、導入された温水をノズル10aの先端から人体臀部に向けて斜め上方へ噴出させるよう構成されている。
【0031】
配管7からは捨て水用の配管11が分岐している。この配管11はダイヤフラム弁20の流入口21に接続されている。ダイヤフラム弁20の流出口22には、捨て水用配管12が接続され、冷水を便鉢へ排出するように引き回されている。ダイヤフラム弁20の背圧室出口23には、背圧室24からの水を前記配管12に導くように配管13、捨て水弁装置30、配管14がこの順に接続されている。
【0032】
第2図に示す通り、ダイヤフラム弁20内には、流入口21と流出口22とを隔てるように円筒形の弁座25が立設されると共に、この弁座25に上方から着座するようにダイヤフラム弁体26が設置されている。ダイヤフラム弁体26によってダイヤフラム弁20内が主流路27と背圧室24とに区画されている。弁体26には、主流路27と背圧室24とを連通する小孔26aが設けられている。背圧室24内には、弁体26を弁座25へ着座する方向に付勢する背圧バネ28が配置されている。
【0033】
第3,4図に示す通り、捨て水弁装置30は、略円筒状であり、筒軸心方向を上下方向とした弁箱31と、該弁箱31内に上下方向移動可能に配置された弁体34と、該弁体34の下側に配置された、形状記憶材料製のバネ35等を有している。
【0034】
この弁箱31内は、下部が上部よりも内径が大きい大径部31aとされ、上部が下部よりも内径が小さい小径部31bとされている。この大径部31aに流入口32が設けられ、小径部31bに流出口33が設けられている。該流入口32にダイヤフラム弁20からの配管13が接続されている。また、流出口33に、前記捨て水用配管12に合流する配管14が接続されている。
【0035】
弁体34は、外径が該小径部31bの内径と略同等となっている。第4図のように、この弁体34が大径部31a内に位置しているときには、該弁体34の外周面と大径部31aの内周面との間の隙間を通って流入口32から流出口33へ水が流通可能であり、捨て水弁装置30が開弁状態となる。また、第3図のように、この弁体34が小径部31b内に係合すると、該流入口32から流出口33への水の流通が遮断され、捨て水弁装置30が閉弁状態となる。符号34aは、この弁体34の外周面と小径部31bの内周面との間をシールするパッキンを示している。
【0036】
この弁体34の下面と弁箱31の底面31cとの間に前記バネ35が配置されている。このバネ35は弁箱31内に露呈しており、前記流入口32から弁箱31内に流入した水がこのバネ35に直に接する。
【0037】
このバネ35は、該バネ35と接する水の温度が前記形状記憶材料の変態温度よりも低い場合には縮短(上下方向に縮んで短くなること)状態となり、この水の温度が該形状記憶材料の変態温度よりも高い場合には伸長(上下方向に伸びて長くなること)状態となる。弁体34は、このバネ35が縮短状態にあるときには該バネ35によって引き下げられて大径部31a内に位置し、このバネ35が伸長状態にあるときには該バネ35によって押し上げられて小径部31b内に係合する。
【0038】
このバネ35の形状記憶材料としては、変態温度が33〜37℃程度の形状記憶合金が好適である。
【0039】
弁体34の上側には軸体36が設けられている。この軸体36は、軸心方向を上下方向として配置され、下端が該弁体34に連なり、上端が弁箱31の上面開口31dから上方即ち弁箱31外へ突出している。符号36aは、この軸体36の外周面と弁箱31の上面開口31dの内周面との間をシールしたパッキンを示している。この軸体36は、弁体34と一体的に上下動する。この軸体36の軸心方向の長さは、弁体34が下降限まで下降しても、その上端側が弁箱31から上方に突出しうる寸法となっている。
【0040】
該軸体36の上端には、捨て水操作時に操作者によって押される押釦37が連なっている。
【0041】
この捨て水弁装置30は、前記便座ボックスBの袖部S内に設置されている。軸体36は、該袖部Sの上面の操作パネルPから上方に突出しており、便座Zに座った便器使用者が手で押釦37を押して弁体34を押し下げることができるようになっている。
【0042】
この実施の形態では、前記サーモスタット湯水混合弁装置4は、感温部材としてワックスサーモを用いたタイプのものとなっている。以下に、第5〜7図を参照してこの湯水混合弁装置4の構成について説明する。
【0043】
第5,7図に示すように、この湯水混合弁装置4は、水温の温度設定を行なうための温度設定部Oと、水と湯とを混合して、この温度設定部Oで設定された温度の混合水とする温度制御部Oとを備えている。
【0044】
該湯水混合弁装置4は、略筒状のケーシング41を有している。前記透視部4aは、このケーシング41の側面に設けられている。第5〜7図においては、該ケーシング41は、その軸心線方向を図の左右方向として図示されている。
【0045】
温度設定部Oは、このケーシング41の軸心線方向の一端側(第5,7図における右端側)から該ケーシング41内に内嵌した温調ケース54と、該温調ケース54内に、該軸心線方向に進退可能に収容された温調スプール55と、該温調スプール55を進退させる温調スピンドル53等を備えている。
【0046】
温調スピンドル53は、ケーシング41と同軸状に延在しており、その先端側が温調ケース54内に配置され、後端側は該ケーシング41の前記一端側から該ケーシング41外へ突出している。この温調スピンドル53は、温調ケース54に対し、その軸心線周りに回転可能に支持されている。第6図に示すように、この温調スピンドル53の先端側の外周面には雄螺子53Aが周設されており、この雄螺子53Aが、温調スプール55の後端側の内周面に周設された雌螺子55Aに螺合している。
【0047】
この温調スピンドル53を回転させることにより、温調スプール55が該温調スピンドル53に沿ってケーシング41の軸心線方向に螺進する。なお、温調スプール55の外周面及び温調ケース54の内周面は六角形断面形状となっており、これにより、該温調スプール55は、温調スピンドル53と共回りすることなく、該軸心線方向に進退しうるようになっている。
【0048】
この温調スピンドル53の後端側には、止めネジ52により温調ダイヤル51が固定されている。この実施の形態では、第8図に示すように、該温調ダイヤル51は、前記操作パネルPに露出しており、便座Zに座った便器使用者が上方から手や指で該温調ダイヤル51を回転させて温度設定を行うことができるようになっている。
【0049】
第6図に示される通り、温調スプール55の先端面の開口55aを通って該温調スプール55内に筒状のホルダ56が挿入されている。温調スピンドル53の先端面からは円形の凹穴53aが穿設されており、ホルダ56の挿入方向先端側はこの凹穴53a内に入り込んでいる。このホルダ56の挿入方向後端側の外周面からは鍔部56aが突設されており、この鍔部56aが温調スプール55の開口55aの周縁に係止されている。
【0050】
第6図のように、該ホルダ56内に鍔付カップ形状のストッパカップ57とリリーフスプリング58とが設けられている。リリーフスプリング58の一端は、該ホルダ56の前記挿入方向先端側の内周面に挿着されたEリング58Eに当接している。また、リリーフスプリング58の他端は、該ストッパカップ58の鍔部57aに当接しており、これにより、該ストッパカップ57がホルダ56の前記挿入方向後端側のエンドプレート部56bに押し付けられている。
【0051】
このエンドプレート部56bの中央の開口56cに、後述する感温伸縮体63の細軸63cの先端部63aが挿入されている。この先端部63aは、ストッパカップ57の最奥部に当接している。なお、該細軸63cは、ガイド部材59によってケーシング41に対し該ケーシング41の軸心線方向に移動可能に保持されている。
【0052】
ケーシング41の軸心線方向の他端側(第5,7図の左端側)は、エンドプラグ60によって封止されている。
【0053】
温度制御部Oは、ケーシング41内の前記温度制御部Oよりも該他端側に、該ケーシング41の軸心線方向に移動可能に収容された筒状の弁体62と、該弁体62に固着された感温部材としての感温伸縮体63等を備えている。この実施の形態では、該感温伸縮体63は、ワックスサーモである。
【0054】
即ち、該感温伸縮体63は、太筒状の本体63b内に細軸63cを封挿したものであって、内部には感温材料が封入されている。この感温材料は高温流体に接触すると膨張し、低温流体に接触すると収縮する性質を有するものであり、周囲を流れる温水の温度が設定温度よりも高いと細軸63cが本体63bから圧出され、逆に設定温度よりも低いと、細軸63が本体63b内に引っ込むようになっている。
【0055】
感温伸縮体63は、第6図の通り、本体63bが弁体62内に配置され、細軸63cの先端部63a側が、弁体62の前記温度設定部O側の端面の開口(符号略)を通って該弁体62外に延出している。この細軸63cの先端部63aは、前述の通り、温調スプール55内のストッパカップ57に当接している。この細軸63cは、Eリング63eによって弁体62に固定されている。
【0056】
第5,7図の符号62aはケーシング41内に収容されているリターンスプリングである。このリターンスプリング62aは、一端が前記エンドプラグ60に当接し、他端が、弁体62内に設置されたバッフル部材62bに当接している。即ち、このリターンスプリング62aは、該バッフル部材62bを介して弁体62を温度設定部O側へ付勢している。温調スプール55がケーシング41の軸心線方向にシフトするときには、弁体62がこのリターンスプリング62aによって温調スプール55に押し付けられることにより、該弁体62と温調スプール55とが一体的にシフトする。
【0057】
第5,7図の通り、ケーシング41の内壁面には、該ケーシング41の軸心線方向に間隔をおいて突壁42,43,44が周設されている。該突壁42,43の内周面は、それぞれ、弁体62の外周面に対し摺動可能に且つ水密的に接している。突壁44の内側には、前記ガイド部材59が水密的に嵌合している。これにより、前記エンドプラグ60と突壁42との間、突壁42,43同士の間及び突壁42,43同士の間にそれぞれ湯室H、水室L及び混合水室Mが画成されている。
【0058】
ケーシング41には、この湯室Hへの湯の流入口(図示略)、水室Lへの水の流入口(図示略)、及び混合水室Mからの混合水の流出口(符号略)が設けられている。図示は省略するが、この湯の流入口に前記給湯配管1が接続され、水の流入口に前記給水配管2が接続されている。第5,7図の通り、混合水室Mからの混合水の流出口には前記減圧弁付き高温遮断弁6への配管5が接続されている。
【0059】
弁体62のエンドプラグ60側の端面と該エンドプラグ60との間には、湯の通過用の隙間Hが設けられている。また、弁体62の長手方向中央部には、突壁43の側縁との間に水の通過用の隙間Lが設けられている。この隙間Lは、弁体62の側面に設けられた開口Lを介して該弁体62内のミキシングゾーン62mに連通している。このミキシングゾーン62mは開口64を介して混合水室Mに連通している。
【0060】
この湯水混合弁装置4においては、給湯配管1から湯室Hに温水が導入され、この温水は、該湯室Hから隙間Hを通ってミキシングゾーン62mに流入する。また給水配管2から水室Lに常温の水が導入され、この水は該水室Lから隙間L及び開口Lを通ってミキシングゾーン62mに流入する。ミキシングゾーン62m内において、バッフル部材62bによって水と湯とが十分に混合される。混合水は、感温伸縮体63と接触した後、開口64から混合水室M内に流れ込み、配管5に流入する。
【0061】
温調ダイヤル51を回転させることにより、温調スピンドル53を介して温調スプール55がケーシング41の軸心線方向に進退し、これと一体的に弁体62がケーシング41の軸心線方向に移動する。これにより、湯通過用の隙間H及び水通過用の隙間Lの幅がそれぞれ変化してミキシングゾーン62m内に流入する水と湯との割合が変化し、この結果、混合水の温度が変化する。温調ダイヤル51の側周面には温度目盛りが設けられており、所望の温度の目盛りまで温調ダイヤル51を回転させることにより、所望の温度の混合水を生成することができるようになっている。
【0062】
この湯水混合弁装置4にあっては、ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が温調ダイヤル51による設定温度よりも低い場合には、感温伸縮体63が、この温度差に対応する長さ分だけ縮短(ケーシング41の軸心線方向に長さが短くなること。)する。この感温伸縮体63の縮短に伴い、第7図のように、弁体62が前記温度設定部O側へシフトする。この結果、湯通過用の隙間Hの幅が大きくなると共に、水通過用の隙間Lの幅が小さくなり、ミキシングゾーン62m内への湯の流入量が増加して該ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が上昇する。
【0063】
また、ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が温調ダイヤル51による設定温度よりも高い場合には、感温伸縮体63が、この温度差に対応する長さ分だけ伸長(ケーシング41の軸心線方向に長さが長くなること。)する。この感温伸縮体63の伸長に伴い、第5図のように、弁体62が前記エンドプラグ60側へシフトする。この結果、湯通過用の隙間Hの幅が小さくなると共に、水通過用の隙間Lの幅が大きくなり、ミキシングゾーン62m内への水の流入量が増加して該ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が低下する。
【0064】
このようにして、湯水混合弁装置4は、ミキシングゾーン62m内で生成される混合水が設定温度の温水となるように動作する。
【0065】
この実施の形態では、前記透視部4aは、第7図の通り、弁体62が隙間Lを狭める方向へ移動し、該隙間Lの幅が所定幅よりも狭くなったときに、該弁体62の前記開口Lがこの透視部4aに露呈しうるように配置されている。
【0066】
なお、この透視部4aは、ケーシング41の側面に、該ケーシング41をその外周面から内周面まで貫通する孔を設け、この孔に透明樹脂やガラスなどの透明部材を封入することにより形成されている。ただし、透視部4aの形成方法はこれに限定されない。
【0067】
この実施の形態では、ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が設定温度以上となっているときには、第5図のように、隙間Lの幅が前記所定幅以上となり、透視部4aに開口Lが露呈しないようになっている。このとき、透視部4aの全体に弁体62の外周面が重なっており、該透視部4aを通して弁体62のみが視認される。
【0068】
また、ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が設定温度よりも低いときには、弁体62は、隙間Lの幅が前記所定幅よりも小さくなるまで、該隙間Lの幅を小さくする方向へ移動する。これに伴い、徐々に弁体62が透視部4aから退避し、開口Lが該透視部4aに露呈してくる。そして、第7図のように、隙間Lが閉鎖されるまで弁体62が移動したときは、透視部4aの全体に開口Lが重なった状態となり、これにより、透視部4aを通して弁体62が全く視認されなくなる。
【0069】
即ち、この実施の形態では、透視部4aを通して弁体62のみが視認されるときには、ケーシング41内の混合水の温度が設定温度以上となっており、透視部4aを通して隙間Lが視認されるときには、ケーシング41内の混合水温度が設定温度よりも低くなっていることを示している。
【0070】
このように構成された湯水混合弁装置4を備えた温水洗浄装置の使用方法及び作動について説明する。
【0071】
便器使用者の臀部を洗浄ノズル10で洗浄する場合、まず便座ボックスBの袖部S上面の操作パネルPに露出した透視部4aを目視し、この透視部4aを通して湯水混合弁装置4の弁体62が視認されるか確認する。
【0072】
前述の通り、該湯水混合弁装置4のミキシングゾーン62m内の混合水の温度が、予め温調ダイヤル51により設定された設定温度よりも低い場合には、透視部4aを通して少なくとも部分的に隙間Lが視認される。この場合、洗浄ノズル10による洗浄スイッチ70(第8図)を操作する前に、捨て水弁装置30の押釦37を押して該捨て水弁装置30の弁体34を押し下げ、該捨て水弁装置30を開弁させる。
【0073】
このとき、第4図に示す通り、該捨て水弁装置30の弁箱31内の水の温度が前記バネ35の形状記憶材料の変態温度よりも低い状態では、押釦37を押し下げた後、この押釦37への押圧力を解除しても、弁体34の下側の該バネ35は縮短したままとなっており、捨て水弁装置30の開弁状態が継続する。
【0074】
この捨て水弁装置30が開弁することにより、配管13を介してダイヤフラム弁20の背圧室24から水が流出するため、該背圧室24内の水圧が主流路27内の水圧よりも低くなり、この水圧差によりダイヤフラム弁体26が弁座25から離反し、該主流路27内から流出口22及び配管12を通って水が便鉢へ排出される。また、このとき、該主流路27内の水の一部は、小孔26aを通って背圧室24に流入し、この背圧室24から配管13、捨て水弁装置30、配管14を経て配管12へ流出する。
【0075】
この捨て水に伴い、給湯配管1及び給水配管2から湯水混合弁装置4にそれぞれ湯と水とが供給され、ミキシングゾーン62m内で混合水が生成される。このミキシングゾーン62m内の混合水の温度が前記設定温度よりも低い状態では、その分だけ感温伸縮体63が縮短して弁体62が湯通過用の隙間Hを大きくするように位置している。これにより、ミキシングゾーン62mへの湯の流入量が増加し、該ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が上昇する。
【0076】
そして、このケーシング41内の混合水の温度が設定温度まで上昇すると、その分だけ感温伸縮体63が伸長して弁体62が水通過用の隙間Lを大きくする方向へ移動し、水のミキシングゾーン62mへの流入量を適宜増加させる。これにより、該ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が設定温度に保たれるようになる。
【0077】
ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が設定温度以上になると、前述の通り、透視部4aを通して開口Lが視認されなくなり、弁体62のみが視認されるようになる。これにより、該ミキシングゾーン62m内の混合水の温度が設定温度以上になったことが便器使用者に知得される。
【0078】
この湯水混合弁装置4で生成された温水は、捨て水に伴って配管5へ供給される。
【0079】
この温水は、配管5、減圧弁付き高温遮断弁6、配管7,11、ダイヤフラム弁20、配管12の順に流れる。また、この温水の一部は、ダイヤフラム弁体26の小孔26aから背圧室24及び配管13を通って捨て水弁装置30の弁箱31内にまで流れ込み、弁箱31内の水温を上昇させる。そして、この弁箱31内のバネ35に接する水の温度が該バネ35の形状記憶材料の変態温度以上になると、該バネ35が伸長する。
【0080】
このバネ35の伸長により、弁体34が上昇して弁箱31の小径部31b内に係合し、捨て水弁装置30が閉弁状態となる。この結果、ダイヤフラム弁20の背圧室27から捨て水弁装置30への水の流出が停止するため、小孔26aを通って主流路27から背圧室24に流入する水によりダイヤフラム弁体26が徐々に下降し、遂にはダイヤフラム弁体26が弁座25に着座してダイヤフラム弁20も閉弁される。これにより、捨て水が停止する。
【0081】
なお、小孔26a、背圧室24及び配管13を介して弁箱31内に伝達される温水の水圧によって弁体34の上昇状態が保たれる。この状態は、次に押釦37を押すまで継続する。
【0082】
前記透視部4aを通して弁体62が視認されるようになった後、洗浄ノズル10による洗浄スイッチ70を操作する。このとき、湯水混合弁装置4からは設定温度の温水が供給されており、且つ温水洗浄装置の主流路内の捨て水は終了しているので、洗浄開始直後から設定温度の温水が便器使用者の臀部に噴出される。
【0083】
以上のように、この湯水混合弁装置4を備えた温水洗浄装置にあっては、透視部4aを通して該湯水混合弁装置4内の弁体62の位置が視認され、これにより湯水混合弁装置4内の混合水の温度が設定温度以上であるか否かを知得することができるので、電気回路を用いることなく、該混合水の温度が設定温度以上であるか否かを知得することが可能である。
【0084】
なお、上記実施の形態では、湯水混合弁装置4内の混合水の温度が設定温度以上のときには、弁体62が透視部4aに露呈しており、混合水の温度が設定温度よりも低くなったときには、弁体62が透視部4aから退避して隙間Lが透視部4aに露呈してくるように透視部4aが配置されているが、これとは逆に、混合水の温度が設定温度以上のときには、隙間Lが透視部4aに露呈しており、混合水の温度が設定温度よりも低くなったときには隙間Lが透視部4aから退避して弁体62が透視部4aに露呈するように透視部4aを配置してもよい。
【0085】
上記実施の形態では、透視部4aを開口Lに臨むように配置しているが、この透視部4aを湯室H側の隙間Hに臨むように配置し、この隙間Hが透視部4aに露呈しているか、あるいは弁体62の該隙間H側の端部が透視部4aに露呈しているかを視認することにより、該弁体62の位置、即ち湯水混合弁装置4内の混合水の温度が設定温度以上であるか否かを知得しうるように構成してもよい。
【0086】
なお、透視部4aは、上記以外の位置に配置されてもよい。
【0087】
上記実施の形態では、湯水混合弁装置4は、感温部材としてワックスサーモを用いたタイプのものとなっているが、本発明においては、湯水混合弁装置は、ワックスサーモ以外の感温部材を用いたタイプのものであってもよい。以下に、第9,10図を参照して、感温部材として形状記憶材料製バネを用いた湯水混合弁装置の構成例について説明する。
【0088】
第9,10図は感温部材として形状記憶材料製バネを用いた湯水混合弁装置の断面図であり、第9図は混合水の温度が設定温度以上となっている状態を示し、第10図は混合水の温度が設定温度よりも低くなっている状態を示している。
【0089】
この実施の形態の湯水混合弁装置4Aは、筒状のバルブボディー80内に水シート84と湯シート85とが設けられ、該バルブボディー80の軸心線方向に進退可能な弁体86が該水シート84及び湯シート85に接離可能とされ、該弁体86を湯シート85接近方向に付勢する感温バネ88と、該弁体86を水シート84接近方向に付勢するバイアスバネ89と、このバイアスバネ89を進退させるための温調ダイヤル(図示略)とが設置されている。
【0090】
該バルブボディー80の側周面に水の流入口81と湯の流入口82とが設けられ、軸心線方向の一端側(第9,10図の右端側)に混合水の流出口83が設けられている。水の流入口81は、湯の流入口82よりも該一端側に位置している。これらの流入口81,82の間において、バルブボディー80内周面を凹陥(拡径)させることにより、その内側を弁体86が摺動するシート部80aが設けられている。このシート部80aの、水の流入口81側の段差面が水シート84となっており、湯の流入口82側の段差面が湯シート85となっている。
【0091】
弁体86は、バルブボディー80の軸心上に位置する中央軸部86Cと、該中央軸部86Cに対しセンターフランジ86Dを介して連結された筒部86Eと、該筒部86Eの外周に装着され、バルブボディー80の内周面に水密的に摺接しているシールリング87と、該センターフランジ86Dに設けられた透口86dとを有している。
【0092】
この弁体86は、形状記憶材料製の感温バネ88によって湯シート85側へ押圧可能とされ、非感温性の弾性材料よりなるバイアスバネ89によって水シート84側へ押圧可能とされている。このバイアスバネ89をバルブボディー80の軸心線方向に進退させるために、回転軸90及び進退軸91が配置されている。
【0093】
回転軸90の後端側の温調ダイヤル取付部90aは、バルブボディー80の流出口83と反対側の端面に設けられた軸挿通孔92から該バルブボディー80の外部に突出しており、この温調ダイヤル取付部90aに、温調ダイヤル(図示略)が固着される。この温調ダイヤル取付部90aのネック部分にEリング93が嵌着されることにより、回転軸90はバルブボディー80の軸心線方向に進退不能となっている。94は、回転軸90と軸挿通孔92との間をシールしたOリングを示す。
【0094】
この回転軸90の先端側は筒状となっており、その内周に雌ネジ90bが設けられている。筒状の進退軸91の後端側の外周に設けられた雄ネジ91bが該雌ネジ90bに螺合しており、回転軸90の回転により進退軸91がバルブボディー80の軸心線方向に進退する。
【0095】
弁体86の外周には溝(符号略)が周設され、この溝には高摺動性のフッ素樹脂よりなる前記シールリング87が装着されている。このシールリング87がバルブボディー80のシート部80aの内周面に水密的に摺接している。詳しい図示は省略するが、シールリング87にはリングを斜めにカットする形状のスリットが設けられ、これによりシールリング87は拡径及び縮経方向に弾性変形可能となっている。この弾性によってシールリング87の外周面がシート部80aの内周面に弾性的に押し付けられている。
【0096】
この湯水混合弁装置4Aにおいては、温調ダイヤルを回すことにより、回転軸90を介して進退軸91がバルブボディー80の軸心線方向に進退し、これによりバイアスバネ89による弁体86に対する付勢力が変更され、混合水の設定温度が変更される。
【0097】
即ち、進退軸91を弁体86から離反方向へ退動させると、バイアスバネ89による付勢力が低下するので、弁体86は湯シート85に接近すると共に水シート84から離隔する。これにより、湯の流入量が減少すると共に水の流入量が増加し、設定温度が低下する。逆に、進退軸91を弁体86に対し接近方向へ前進させると、バイアスバネ89による付勢力が増大し、弁体86は湯シート85から離隔すると共に水シート84に接近する。これにより、湯の流入量が増加すると共に水の流入量が減少し、設定温度が高くなる。
【0098】
この湯水混合弁装置4Aにあっては、バルブボディー80内の混合水の温度が温調ダイヤルによる設定温度よりも低い場合には、感温バネ88が、この温度差に対応する長さ分だけ縮退(バルブボディー80の軸心線方向に長さが短くなること。)する。この感温バネ88の縮短に伴い、第10図のように、弁体86がバイアスバネ89に押されて水シート84側へシフトする。この結果、バルブボディー80内への湯の流入量が増加して該バルブボディー80内の混合水の温度が上昇する。
【0099】
また、バルブボディー80内の混合水の温度が温調ダイヤルによる設定温度よりも高い場合には、感温バネ88が、この温度差に対応する長さ分だけ伸長(バルブボディー80の軸心線方向に長さが長くなること。)する。この感温バネ88の伸長に伴い、第9図のように、弁体86がバイアスバネ89からの付勢力に抗して湯シート85側へシフトする。この結果、バルブボディー80内への水の流入量が増加して該バルブボディー80内の混合水の温度が低下する。
【0100】
このようにして、湯水混合弁装置4Aは、バルブボディー80内で生成される混合水が設定温度の温水となるように動作する。
【0101】
この実施の形態では、透視部4a’は、第9図の通り、弁体86が水シート84側へ移動し、該弁体86と水シート84との間隔が所定幅よりも狭くなったときに、該弁体86の水シート84側の端部がこの透視部4a’に露呈しうるように配置されている。
【0102】
この実施の形態では、バルブボディー80内の混合水の温度が設定温度以上となっているときには、第9図のように、弁体86と水シート84との間隔が前記所定幅以上となり、透視部4a’に弁体86が露呈しないようになっている。そして、バルブボディー80内の混合水の温度が設定温度よりも低くなると、弁体86は、該弁体86と水シート84との間隔が前記所定幅よりも小さくなるまで該水シート84側へ移動し、該弁体86が透視部4a’に露呈するようになる。
【0103】
即ち、この実施の形態では、透視部4a’を通して弁体86が視認されないときには、バルブボディー80内の混合水の温度が設定温度以上となっており、透視部4a’を通して弁体86が視認されるときには、バルブボディー80内の混合水温度が設定温度よりも低くなっていることを示している。
【0104】
このように構成された湯水混合弁装置4Aにあっても、透視部4a’を通して該湯水混合弁装置4A内の弁体86の位置が視認され、これにより湯水混合弁装置4A内の混合水の温度が設定温度以上であるか否かを知得することができるので、電気回路を用いることなく、該混合水の温度が設定温度以上であるか否かを知得することが可能である。
【0105】
なお、上記実施の形態では、湯水混合弁装置4A内の混合水の温度が設定温度以上のときには弁体86が透視部4a’から退避しており、混合水の温度が設定温度よりも低くなったときには弁体86が透視部4a’に露呈するように透視部4a’が配置されているが、これとは逆に、混合水の温度が設定温度以上のときには弁体86が透視部4a’に露呈しており、混合水の温度が設定温度よりも低くなったときには弁体86が透視部4a’から退避するように、透視部4a’を湯シート85側に配置してもよい。
【0106】
なお、湯水混合弁装置内は暗く、且つ弁体の移動量はごく僅かであるため、透視部からこの弁体の位置を視認しにくい場合がある。そこで、本発明では、第11図のように、透視部に凸レンズを設け、この弁体の位置を拡大して視認しうるように構成してもよい。
【0107】
第11図の実施の形態は、第5〜7図の湯水混合弁装置4において、このように透視部に凸レンズを設けた構成を示している。
【0108】
この第11図の実施の形態においては、透視部4a’’は、ケーシング41の側面に、該ケーシング41をその外周面から内周面まで貫通し、且つ該外周面側ほど大径となる擂鉢形の孔100を設け、この孔100に凸レンズ101を嵌め込むことにより形成されている。
【0109】
このように透視部4a’’に凸レンズ101を設けたことにより、この凸レンズ101を通して弁体62の位置を拡大して見ることができるため、該弁体62の位置を容易に視認することができる。
【0110】
なお、第9,10図の湯水混合弁装置4Aにおいても、透視部4a’に凸レンズを設けた構成としてもよい。
【0111】
上記の各実施の形態では、透視部に弁体が露呈するか又は弁体が透視部から退避することによって該弁体の位置を視認するように構成されているが、第12図のように、弁体の位置を表示する表示部を設け、この表示部が透視部に露呈するか又はこの表示部が透視部から退避することによって弁体の位置を視認しうるよう構成してもよい。
【0112】
第12図の実施の形態は、第5〜7図の湯水混合弁装置4において、弁体62に、該弁体62の位置を視認させるための表示部を設けた構成例を示している。なお、この第12図の実施の形態では、弁体62の位置を視認するための透視部として、第11図の実施の形態と同様、凸レンズ101が設けられた透視部4a’’が設けられている。
【0113】
この第12図の実施の形態においては、弁体62の外周面に、高温表示部としての赤色(暖色)面102と、低温表示部としての青色(寒色)面103とが互いに隣接して設けられている。この赤色面102及び青色面103の形成方法に特に制限はないが、例えば、弁体62の外周面に印刷や塗装を施したり、シール等を貼り付けたり、あるいは弁体62を成形する際に多色成形を行うことなどが挙げられる。なお、この実施の形態では、該赤色面102及び青色面103はそれぞれ弁体62の全周にわたって設けられているが、該弁体62の周方向において部分的に設けられていてもよい。
【0114】
該赤色面102は、青色面103よりも湯通過用の隙間H側に配置され、青色面103は、赤色面102よりも水通過用の隙間L側に配置されている。
【0115】
この実施の形態では、ケーシング41内の混合水の温度が設定温度以上となっているときには、弁体62が水通過用の隙間Lの幅を大きくするように第12図の左側へ移動しており、透視部4a’’に赤色面102が露呈している。また、ケーシング41内の混合水の温度が設定温度よりも低いときには、弁体62が湯通過用の隙間Hの幅を大きくするように第12図の右側に移動し、これにより、透視部4a’’に青色面103が露呈するようになる。
【0116】
この第11図の実施の形態のその他の構成は、第5〜7図と同様である。
【0117】
この実施の形態にあっても、透視部4a’’に赤色面102が露呈しているか青色面103が露呈しているかを視認することにより、ケーシング41内の混合水の温度が設定温度以上であるか否かを知得することができるので、電気回路を用いることなく、該混合水の温度が設定温度以上であるか否かを知得することが可能である。
【0118】
なお、上記実施の形態では、高温表示部としての赤色面102と低温表示部としての青色面103の両方を設けているが、本発明においては、高温表示部としての赤色面102のみを設け、赤色面102が透視部4a’’に露呈しているか退避しているかによってケーシング41内の混合水の温度が設定温度よりも高いか低いかを識別しうるように構成してもよい。あるいは、低温表示部としての青色面103のみを設け、青色面103が透視部4a’’に露呈しているか退避しているかによってケーシング41内の混合水の温度が設定温度よりも低いか高いかを識別しうるように構成してもよい。
【0119】
赤色面102と青色面103との間に、黄色面などの中間色面を設けて表示面をグラデーションにしてもよい。
【0120】
高温表示部及び低温表示部としては、HOT及びCOLD等の文字や、記号などが設けられてもよい。
【0121】
上記の各実施の形態はいずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の各実施の形態に限定されない。例えば、本発明の湯水混合弁装置は、図示の構成に限定されない。
【0122】
上記の各実施の形態では、温水洗浄装置は、ダイヤフラム弁20と、該ダイヤフラム弁20の背圧室24の下流側に設けられた、温水源からの水の温度に応じて捨て水動作する捨て水弁装置30とを備えているが、本発明においては、温水洗浄装置は、ダイヤフラム弁20が省略されると共に、捨て水弁装置として、手動ハンドルにて開閉される捨て水弁バルブが設けられ、便器使用者がこの手動ハンドルを操作することにより捨て水が行なわれるように構成されてもよい。
【0123】
上記の各実施の形態では、湯水混合弁装置に、温調ダイヤルにより混合水の温度を任意に設定可能な温度設定部が設けられているが、本発明の湯水混合弁装置は、温度設定部(温調ダイヤル)が省略され、生成される混合水の温度が一定温度に固定された構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】実施の形態に係る湯水混合弁装置を備えた温水洗浄装置の系統図である。
【図2】ダイヤフラム弁の断面図である。
【図3】捨て水弁装置の断面図である。
【図4】捨て水弁装置の断面図である。
【図5】湯水混合弁装置の断面図である。
【図6】湯水混合弁装置の断面図である。
【図7】湯水混合弁装置の断面図である。
【図8】温水洗浄装置を備えた洋風便器の斜視図である。
【図9】感温部材として形状記憶材料製を用いた湯水混合弁装置の断面図である。
【図10】感温部材として形状記憶材料製を用いた湯水混合弁装置の断面図である。
【図11】透視部の別の構成例を示す斜視図である。
【図12】湯水混合弁装置の弁体位置の表示方法の別の一例を示す部分透視斜視図である。
【符号の説明】
【0125】
4,4A サーモスタット湯水混合弁装置
4a,4a’,4a’’ 透視部
6 減圧弁付き高温遮断弁
8 流量調節弁
10 洗浄ノズル
20 ダイヤフラム弁
30 捨て水弁装置
31 弁箱
32 流入口
33 流出口
34 弁体
35 形状記憶材料製バネ
37 押釦
62,86 弁体
63 感温伸縮体
88 形状記憶材料製感温バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯の流入口、水の流入口及び混合水の流出口を有するケーシング内に弁体及び感温部材が配置されており、
該感温部材は混合水と接触するように配置され、混合水の水温に応じて伸縮して前記弁体を移動させて湯水の混合割合を変化させる湯水混合弁装置において、
前記ケーシングに前記弁体の位置を視認するための透視部を設けたことを特徴とする湯水混合弁装置。
【請求項2】
請求項1において、混合水の水温が所定温度よりも高くなると、前記弁体が該透視部に露呈するか又は該透視部から退避し、混合水の水温が該所定温度よりも低くなると、該弁体が該透視部から退避するか又は該透視部に露呈するように該透視部が配置されていることを特徴とする湯水混合弁装置。
【請求項3】
請求項1において、前記弁体に高温表示部が設けられており、混合水の水温が所定温度よりも高くなると、該高温表示部が該透視部に露呈し、混合水の水温が該所定温度よりも低くなると、該高温表示部が該透視部から退避するように該高温表示部及び透視部が配置されていることを特徴とする湯水混合弁装置。
【請求項4】
請求項3において、該高温表示部は、該弁体の外面に設けられた暖色面であることを特徴とする湯水混合弁装置。
【請求項5】
請求項1において、前記弁体に低温表示部が設けられており、混合水の水温が所定温度よりも低くなると、該低温表示部が該透視部に露呈し、混合水の水温が該所定温度よりも高くなると、該低温表示部が該透視部から退避するように該低温表示部及び透視部が配置されていることを特徴とする湯水混合弁装置。
【請求項6】
請求項5において、該低温表示部は、該弁体の外面に設けられた寒色面であることを特徴とする湯水混合弁装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の湯水混合弁装置と、
該湯水混合弁装置からの水を洗浄ノズルに導く主流路と、
該主流路から分岐した捨て水流路と、
該温水源からの水を捨て水するための捨て水弁装置と
を備えたことを特徴とする温水洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−92117(P2009−92117A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262375(P2007−262375)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】