湾曲面への板材固着方法とアイコネクタの回り止め構造
【課題】円筒面あるいは球面等の突出した湾曲面へ板材を簡単かつ強固に固着し、その技術をアイコネクタの回り止めに適応させる。
【解決手段】四角形状に形成され、その一端は固定部位に当接し回り止めとして機能する板材(1)に対し、コネクタ頭部(10a)の湾曲面と板材(1)との接合部に沿った形状に複数の突起部(3)を内径方向に突出して形成した孔部(2)を他端寄りに偏芯して穿設し、コネクタ頭部(10a)の湾曲面にその突出部(3)を当接させ、アイコネクタ(10)側と板材(1)側に電圧を印加して電気抵抗溶接によって両者を固着する。
【解決手段】四角形状に形成され、その一端は固定部位に当接し回り止めとして機能する板材(1)に対し、コネクタ頭部(10a)の湾曲面と板材(1)との接合部に沿った形状に複数の突起部(3)を内径方向に突出して形成した孔部(2)を他端寄りに偏芯して穿設し、コネクタ頭部(10a)の湾曲面にその突出部(3)を当接させ、アイコネクタ(10)側と板材(1)側に電圧を印加して電気抵抗溶接によって両者を固着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲面へ板材の固着方法とその方法を利用した例えば自動車用の配管やホース等の口金具として使用されるアイコネクタの回り止め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の配管に用いられるスチールチューブあるいはホース等の接続用の口金具としてアイコネクタが使用されており、このアイコネクタによる接続では、アイボルトを挿通して締め付けを行っている。しかし、その締め付けの際に、アイコネクタに連れ回りが生じる恐れがあり、締め付けられたアイコネクタの向きを規制する必要がある場合には、回り止めが必要である。
【0003】
このようなアイコネクタ10に対する回り止め手段としては、アイコネクタ10の頭部に板材による回り止め部材1を固着し、固定側の部材12に係止させる方法が一般的である。ここで、アイコネクタ頭部外周のような湾曲面に対し回り止め部材のような板材を固着する場合には、ロー付け、スポット溶接、あるいは摩擦溶接などにより固着している(図16参照)。
【0004】
しかし、アイコネクタ10頭部外周は、削り出しの場合は球面あるいは円筒面、鋳造・鍛造の場合は抜き勾配のため円錐面に形成されており、板状の回り止め部材1とは、点または線接触となり、強固な固着とならずアイボルト11による締め付け時の反力で分離してしまうという懸念がある。そのため、従来は、回り止め部材1をスポット溶接で仮付け後にロー付けするか、あるいは、球形状頭部の一部を平面に切削加工して回り止め用の別部品を溶接するなどが行われており、生産性に問題があった。
【0005】
なお、回り止めの手段の公知技術としては、アイコネクタ頭部外周に先端が二股になった回り止め部材を固着し、被締め付け部材に設けた突起をその回り止め部材の二股部で挟んで、回り止めをする技術(特許文献1参照)、あるいは、アイコネクタ頭部外周に半径方向へ突出するピンをロー付けし、そのピンを固定側の係止孔に挿入して位置決めをする技術(特許文献2参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−103255号公報
【特許文献2】特公平7−52472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、円筒面あるいは球面等の突出した湾曲面へ板材を簡単かつ強固に固着する方法を提案することを目的としている。
また、本発明の他の目的は、アイコネクタをアイボルトによって締め付ける際に連れ回り防止が図れ、簡単な構成で組み付け性の向上が図れると共に、強固に固着されるアイコネクタの回り止め構造の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の湾曲面への板材固着方法は、固着する板材(1)に、被固着部材(10)の湾曲面形状と板材(1)との接合面形状に沿った孔(2)に半径方向内方へ突出した複数の突起部(3)を有する形状に穿孔しておき、被固着部材(10)の湾曲面上にその板材(1)の突起部(3)を当接させて載置し、板材(1)と被固着部材(10)との間に電圧を印加して突起部(3)の電気抵抗による発熱で板材(1)を被固着部材(10)に溶着させることを特徴とする。
ここで、前記被固着部材(10)は、配管の端部に口金具として使用され、その頭部(10a)外周が湾曲面に形成されているアイコネクタであり、前記板材(1)は、四角形状(方形状)に形成され、その一端は固定部位(図示なし)に当接し回り止めとして機能する板材であるのが好ましい。
【0009】
上述した湾曲面への板材固着方法を用いて製造された本発明のアイコネクタの回り止め構造は、配管の端部に口金具として使用され、その頭部(10a)外周が湾曲面に形成されているアイコネクタ(10)において、四角形状(方形状)に形成され、その一端は固定部位(図示なし)に当接し回り止めとして機能する板材(1)に対し、前記コネクタ頭部(10a)の湾曲面と板材(1)との接合部に沿った形状に複数の突起部(3)を内径方向に突出して形成した孔部(2)を他端側に偏芯して穿設し、前記コネクタ首部(10a)の湾曲面にその突出部(3)を当接させ、アイコネクタ側と板材側に電圧を印加して電気抵抗溶接(プロジェクション溶接)によって両者を固着したことを特徴としている。
【0010】
また、前記板材(1)の孔部(2)に突設した突起部(3A)先端を被固着部材(10)の方向へ折り曲げて形成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被固着部材の円筒面や球面などの湾曲面に板材を強固に、かつ容易に固着することができ、従来、スポット溶接で仮付け後、ロー付けする2工程であったのを、1工程で固着することができる。
そして、その板材の固着方法を利用してアイコネクタに回り止め部材を固着すれば、強固に固着されてアイボルトによる締め付け時の連れ回りを防止することができ、かつ組み付け作業性を向上でき、さらにアイコネクタと回り止め部材が一体化されて部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】アイコネクタに回り止め部材を固着する工順における治具の準備工程を示す図である。
【図2】同上のアイコネクタを治具にセットする工程を示す図である。
【図3】同上の固着する回り止め部材を準備する工程を示す図である。
【図4】同上の回り止め部材をセットする工程を示す図である。
【図5】同上の上側の治具を準備する工程を示す図である。
【図6】同上の上下治具間に電圧を付加し、プロジェクション溶接をする工程を示す図である。
【図7】同上の溶接を終了しアイコネクタを取り出す工程を示す図である。
【図8】湾曲形状の被固着部材と板材孔部の突起との接合面を説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態の側面図である。
【図10】図9の平面図である。
【図11】突起部の変形例である。
【図12】突起部の別の変形例である。
【図13】本発明の別の実施形態の側面図である。
【図14】本発明のさらに別の実施形態の側面図である。
【図15】図14の平面図である。
【図16】従来のアイコネクタの回り止め手段の一例を示す図である。
【図17】湾曲面へ板材の固着方法を利用したその他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
まず、湾曲面へ板材を固着する方法について、後記するアイコネクタ頭部側面の湾曲面に回り止め部材である板材を固着する事例によって説明する。
【0014】
図1〜図7に被固着部材である球面形状の頭部10aを有するアイコネクタ10へ固着板材である回り止め用の板材1を固着する工程が示されている。
ここで、固着する板材1としては、図9に一例を示すように、被固着部材頭部10aの球面形状との接合面形状に沿った円形状の孔3に対し半径方向内方へ突出する直角方向4箇所の突起部3を設けた孔2を穿設しておく。
【0015】
まず、図1、図2に示すように、アイコネクタ10をその球面形状頭部10aの被固着面10bを上にして導電性の治具Jにセットする。そして、図3、4に示すように、固着板材である回り止め部材1をアイコネクタ頭部10aの被固着面10b上に載置し、その上に上側治具J1(導電性)をセットする(図5)。次に、上下治具J、J1を電源に接続して両治具間に電圧を印加する(図6)。アイコネクタ頭部10aの球面と回り止め部材の突起部3との接触部の抵抗により発熱し互いに固着(プロジェクション溶接)される(図7)。
【0016】
なお、球面と平面との接合面は円形状であり、上記例では、板材1の丸孔2から突出量の等しい突起3を4箇所設けており、各突起部3の先端は球面に接触する。突起は3箇所であっても同様である。また、被固着部が円筒状(図15参照)であれば、接合面は方形になり、その方形の孔の対向面に突起部を設ける。
すなわち、図8に示すように、孔部形状は被固着部材10(曲率半径ρの湾曲形状)との接合面Dの形状に沿わせて穿設される。そして、孔部2の内方に突出した突起部3は板材1が安定して載置できるように3箇所以上とし、その先端がすべて被固着面に接触するようにし、またその状態で固着板材1と被固着部材10との距離Cが所定値となるよう符号Aで示す孔部からの突起部3の突出量Bが選択される。
【0017】
次にアイコネクタ10の回り止め構造について説明する。
図9、図10は、頭部10aの外周形状が球面に形成されたアイコネクタ10に回り止め部材1を固着した一実施形態を示している。この例では、回り止め部材1は、略方形の板材に対し、円形状に内径方向へ突出した突起部3を直角方向4箇所に有する孔部2を穿設したものである。図示のように球形状のアイコネクタ頭部10a外周に対し、回り止め部材1の孔部2を当てがい突起部3を当接させることで接触部を小断面積とし、プロジェクション溶接によって強固に溶着している。
【0018】
図示のように、回り止め部材1の孔部2は、略方形状の板材に対しオフセットして穿設されており、アイコネクタ頭部10aから一方の側は突出し、その部位1aが被固定部位(図示省略)に当接して、アイボルトの締め付け時にアイコネクタ10が連れ回るのが防止される。
また、図11、図12は、回り止め材の孔部形状の他の例として、突起部3Aの形状の異なる例を示す。この実施形態は、突起部3Aが3箇所の例と4箇所の例が示されている。
【0019】
さらに、図13に示す実施形態は、回り止め部材1Aの孔部2の内径方向に突設された突起部3Cの先端が、コネクタ頭部10aとの接面方向に曲げられている例であり、コネクタ10の被固着面の形状により(例えば、球形状の半径が小さい、あるいは回り止めの係合位置が軸芯から遠い場合などに)選択し適用する。
【0020】
また、図14、図15に示す実施形態は、アイコネクタ10Aの頭部10Aaが円筒状の場合の例で、接合面に合わせて回り止め部材1Bには方形の孔2Cに対辺方向に突起部3Cが設けられている。
これらの例以外に、コネクタ側の湾曲形状によって孔部形状は、湾曲面と板材面との接合面に対応した形状に穿孔される。
【0021】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付言する。
例えば、本発明に係る湾曲面へ板材の固着方法は、上記アイコネクタの回り止めに適用する以外に、図17に示すようにダンパー付きのジョイントにおけるリターンスプリングのフックの係止部材の溶接等にも適用することが出来る。
【符号の説明】
【0022】
1、1A・・・回り止め部材(板材)
2、2A・・・回り止め部材の孔部
3、3A、3B、3C・・・突起部
10・・・アイコネクタ
10a・・・アイコネクタ頭部
11・・・アイボルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲面へ板材の固着方法とその方法を利用した例えば自動車用の配管やホース等の口金具として使用されるアイコネクタの回り止め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の配管に用いられるスチールチューブあるいはホース等の接続用の口金具としてアイコネクタが使用されており、このアイコネクタによる接続では、アイボルトを挿通して締め付けを行っている。しかし、その締め付けの際に、アイコネクタに連れ回りが生じる恐れがあり、締め付けられたアイコネクタの向きを規制する必要がある場合には、回り止めが必要である。
【0003】
このようなアイコネクタ10に対する回り止め手段としては、アイコネクタ10の頭部に板材による回り止め部材1を固着し、固定側の部材12に係止させる方法が一般的である。ここで、アイコネクタ頭部外周のような湾曲面に対し回り止め部材のような板材を固着する場合には、ロー付け、スポット溶接、あるいは摩擦溶接などにより固着している(図16参照)。
【0004】
しかし、アイコネクタ10頭部外周は、削り出しの場合は球面あるいは円筒面、鋳造・鍛造の場合は抜き勾配のため円錐面に形成されており、板状の回り止め部材1とは、点または線接触となり、強固な固着とならずアイボルト11による締め付け時の反力で分離してしまうという懸念がある。そのため、従来は、回り止め部材1をスポット溶接で仮付け後にロー付けするか、あるいは、球形状頭部の一部を平面に切削加工して回り止め用の別部品を溶接するなどが行われており、生産性に問題があった。
【0005】
なお、回り止めの手段の公知技術としては、アイコネクタ頭部外周に先端が二股になった回り止め部材を固着し、被締め付け部材に設けた突起をその回り止め部材の二股部で挟んで、回り止めをする技術(特許文献1参照)、あるいは、アイコネクタ頭部外周に半径方向へ突出するピンをロー付けし、そのピンを固定側の係止孔に挿入して位置決めをする技術(特許文献2参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−103255号公報
【特許文献2】特公平7−52472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、円筒面あるいは球面等の突出した湾曲面へ板材を簡単かつ強固に固着する方法を提案することを目的としている。
また、本発明の他の目的は、アイコネクタをアイボルトによって締め付ける際に連れ回り防止が図れ、簡単な構成で組み付け性の向上が図れると共に、強固に固着されるアイコネクタの回り止め構造の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の湾曲面への板材固着方法は、固着する板材(1)に、被固着部材(10)の湾曲面形状と板材(1)との接合面形状に沿った孔(2)に半径方向内方へ突出した複数の突起部(3)を有する形状に穿孔しておき、被固着部材(10)の湾曲面上にその板材(1)の突起部(3)を当接させて載置し、板材(1)と被固着部材(10)との間に電圧を印加して突起部(3)の電気抵抗による発熱で板材(1)を被固着部材(10)に溶着させることを特徴とする。
ここで、前記被固着部材(10)は、配管の端部に口金具として使用され、その頭部(10a)外周が湾曲面に形成されているアイコネクタであり、前記板材(1)は、四角形状(方形状)に形成され、その一端は固定部位(図示なし)に当接し回り止めとして機能する板材であるのが好ましい。
【0009】
上述した湾曲面への板材固着方法を用いて製造された本発明のアイコネクタの回り止め構造は、配管の端部に口金具として使用され、その頭部(10a)外周が湾曲面に形成されているアイコネクタ(10)において、四角形状(方形状)に形成され、その一端は固定部位(図示なし)に当接し回り止めとして機能する板材(1)に対し、前記コネクタ頭部(10a)の湾曲面と板材(1)との接合部に沿った形状に複数の突起部(3)を内径方向に突出して形成した孔部(2)を他端側に偏芯して穿設し、前記コネクタ首部(10a)の湾曲面にその突出部(3)を当接させ、アイコネクタ側と板材側に電圧を印加して電気抵抗溶接(プロジェクション溶接)によって両者を固着したことを特徴としている。
【0010】
また、前記板材(1)の孔部(2)に突設した突起部(3A)先端を被固着部材(10)の方向へ折り曲げて形成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被固着部材の円筒面や球面などの湾曲面に板材を強固に、かつ容易に固着することができ、従来、スポット溶接で仮付け後、ロー付けする2工程であったのを、1工程で固着することができる。
そして、その板材の固着方法を利用してアイコネクタに回り止め部材を固着すれば、強固に固着されてアイボルトによる締め付け時の連れ回りを防止することができ、かつ組み付け作業性を向上でき、さらにアイコネクタと回り止め部材が一体化されて部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】アイコネクタに回り止め部材を固着する工順における治具の準備工程を示す図である。
【図2】同上のアイコネクタを治具にセットする工程を示す図である。
【図3】同上の固着する回り止め部材を準備する工程を示す図である。
【図4】同上の回り止め部材をセットする工程を示す図である。
【図5】同上の上側の治具を準備する工程を示す図である。
【図6】同上の上下治具間に電圧を付加し、プロジェクション溶接をする工程を示す図である。
【図7】同上の溶接を終了しアイコネクタを取り出す工程を示す図である。
【図8】湾曲形状の被固着部材と板材孔部の突起との接合面を説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態の側面図である。
【図10】図9の平面図である。
【図11】突起部の変形例である。
【図12】突起部の別の変形例である。
【図13】本発明の別の実施形態の側面図である。
【図14】本発明のさらに別の実施形態の側面図である。
【図15】図14の平面図である。
【図16】従来のアイコネクタの回り止め手段の一例を示す図である。
【図17】湾曲面へ板材の固着方法を利用したその他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
まず、湾曲面へ板材を固着する方法について、後記するアイコネクタ頭部側面の湾曲面に回り止め部材である板材を固着する事例によって説明する。
【0014】
図1〜図7に被固着部材である球面形状の頭部10aを有するアイコネクタ10へ固着板材である回り止め用の板材1を固着する工程が示されている。
ここで、固着する板材1としては、図9に一例を示すように、被固着部材頭部10aの球面形状との接合面形状に沿った円形状の孔3に対し半径方向内方へ突出する直角方向4箇所の突起部3を設けた孔2を穿設しておく。
【0015】
まず、図1、図2に示すように、アイコネクタ10をその球面形状頭部10aの被固着面10bを上にして導電性の治具Jにセットする。そして、図3、4に示すように、固着板材である回り止め部材1をアイコネクタ頭部10aの被固着面10b上に載置し、その上に上側治具J1(導電性)をセットする(図5)。次に、上下治具J、J1を電源に接続して両治具間に電圧を印加する(図6)。アイコネクタ頭部10aの球面と回り止め部材の突起部3との接触部の抵抗により発熱し互いに固着(プロジェクション溶接)される(図7)。
【0016】
なお、球面と平面との接合面は円形状であり、上記例では、板材1の丸孔2から突出量の等しい突起3を4箇所設けており、各突起部3の先端は球面に接触する。突起は3箇所であっても同様である。また、被固着部が円筒状(図15参照)であれば、接合面は方形になり、その方形の孔の対向面に突起部を設ける。
すなわち、図8に示すように、孔部形状は被固着部材10(曲率半径ρの湾曲形状)との接合面Dの形状に沿わせて穿設される。そして、孔部2の内方に突出した突起部3は板材1が安定して載置できるように3箇所以上とし、その先端がすべて被固着面に接触するようにし、またその状態で固着板材1と被固着部材10との距離Cが所定値となるよう符号Aで示す孔部からの突起部3の突出量Bが選択される。
【0017】
次にアイコネクタ10の回り止め構造について説明する。
図9、図10は、頭部10aの外周形状が球面に形成されたアイコネクタ10に回り止め部材1を固着した一実施形態を示している。この例では、回り止め部材1は、略方形の板材に対し、円形状に内径方向へ突出した突起部3を直角方向4箇所に有する孔部2を穿設したものである。図示のように球形状のアイコネクタ頭部10a外周に対し、回り止め部材1の孔部2を当てがい突起部3を当接させることで接触部を小断面積とし、プロジェクション溶接によって強固に溶着している。
【0018】
図示のように、回り止め部材1の孔部2は、略方形状の板材に対しオフセットして穿設されており、アイコネクタ頭部10aから一方の側は突出し、その部位1aが被固定部位(図示省略)に当接して、アイボルトの締め付け時にアイコネクタ10が連れ回るのが防止される。
また、図11、図12は、回り止め材の孔部形状の他の例として、突起部3Aの形状の異なる例を示す。この実施形態は、突起部3Aが3箇所の例と4箇所の例が示されている。
【0019】
さらに、図13に示す実施形態は、回り止め部材1Aの孔部2の内径方向に突設された突起部3Cの先端が、コネクタ頭部10aとの接面方向に曲げられている例であり、コネクタ10の被固着面の形状により(例えば、球形状の半径が小さい、あるいは回り止めの係合位置が軸芯から遠い場合などに)選択し適用する。
【0020】
また、図14、図15に示す実施形態は、アイコネクタ10Aの頭部10Aaが円筒状の場合の例で、接合面に合わせて回り止め部材1Bには方形の孔2Cに対辺方向に突起部3Cが設けられている。
これらの例以外に、コネクタ側の湾曲形状によって孔部形状は、湾曲面と板材面との接合面に対応した形状に穿孔される。
【0021】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付言する。
例えば、本発明に係る湾曲面へ板材の固着方法は、上記アイコネクタの回り止めに適用する以外に、図17に示すようにダンパー付きのジョイントにおけるリターンスプリングのフックの係止部材の溶接等にも適用することが出来る。
【符号の説明】
【0022】
1、1A・・・回り止め部材(板材)
2、2A・・・回り止め部材の孔部
3、3A、3B、3C・・・突起部
10・・・アイコネクタ
10a・・・アイコネクタ頭部
11・・・アイボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固着する板材に、被固着部材の湾曲面形状と板材との接合面形状に沿った孔に半径方向内方へ突出した複数の突起部を有する形状に穿孔しておき、被固着部材の湾曲面上にその板材の突起部を当接させて載置し、板材と被固着部材との間に電圧を印加して突起部の電気抵抗による発熱で板材を被固着部材に溶着させることを特徴とする湾曲面へ板材の固着方法。
【請求項2】
前記被固着部材は、配管の端部に口金具として使用され、その頭部外周が湾曲面に形成されているアイコネクタであり、前記板材は、四角形状に形成され、その一端は固定部位に当接し回り止めとして機能する板材である請求項1記載の湾曲面へ板材の固着方法。
【請求項3】
配管の端部に口金具として使用され、その頭部外周が湾曲面に形成されているアイコネクタにおいて、略方形状に形成され、その一端は固定部位に当接し回り止めとして機能する板材に対し、前記コネクタ頭部の湾曲面と板材との接合部に沿った形状に複数の突起部を内径方向に突出して形成した孔部を他端寄りに偏芯して穿設し、前記コネクタ頭部の湾曲面にその突出部を当接させ、アイコネクタ側と板材側に電圧を印加して電気抵抗溶接によって両者を固着したことを特徴とするアイコネクタの構造。
【請求項4】
前記板材の孔部に突設した突起部先端を被固着部材の方向へ折り曲げて形成している請求項3記載のアイコネクタの構造。
【請求項1】
固着する板材に、被固着部材の湾曲面形状と板材との接合面形状に沿った孔に半径方向内方へ突出した複数の突起部を有する形状に穿孔しておき、被固着部材の湾曲面上にその板材の突起部を当接させて載置し、板材と被固着部材との間に電圧を印加して突起部の電気抵抗による発熱で板材を被固着部材に溶着させることを特徴とする湾曲面へ板材の固着方法。
【請求項2】
前記被固着部材は、配管の端部に口金具として使用され、その頭部外周が湾曲面に形成されているアイコネクタであり、前記板材は、四角形状に形成され、その一端は固定部位に当接し回り止めとして機能する板材である請求項1記載の湾曲面へ板材の固着方法。
【請求項3】
配管の端部に口金具として使用され、その頭部外周が湾曲面に形成されているアイコネクタにおいて、略方形状に形成され、その一端は固定部位に当接し回り止めとして機能する板材に対し、前記コネクタ頭部の湾曲面と板材との接合部に沿った形状に複数の突起部を内径方向に突出して形成した孔部を他端寄りに偏芯して穿設し、前記コネクタ頭部の湾曲面にその突出部を当接させ、アイコネクタ側と板材側に電圧を印加して電気抵抗溶接によって両者を固着したことを特徴とするアイコネクタの構造。
【請求項4】
前記板材の孔部に突設した突起部先端を被固着部材の方向へ折り曲げて形成している請求項3記載のアイコネクタの構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−115885(P2012−115885A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269159(P2010−269159)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]