説明

湿式排煙処理装置と方法

【課題】ボイラ排ガス中のSOに着目して、アルカリを用いて排ガス中のSO濃度を下げて、GGHにばいじんが付着することを防止する技術であり、特に排煙処理システムの高効率化を図ること。
【解決手段】排ガス流路に設けた集塵器4に後流側に配置される湿式排煙脱硫装置7の前流側と後流側の排ガス流路に掛け渡して配置されるGGH6の排ガス入口側の排ガス流路に粉末状のアルカリ吸収剤を噴霧することで、排煙処理設備から大気中に放出す化石燃料の燃焼排ガスに対する環境規制によるばいじん濃度規制を満足しながら、GGH6が排ガス中のばいじんなどで閉塞されることを防ぐことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は火力発電所や工場などから排出される排ガスの排煙処理システムに係り、特に排ガス中のSOx、ばいじん及びボイラ燃料中に含まれる成分や物質を低減する湿式排煙脱硫装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所における排煙処理システムの一般的な排ガス処理系統を図7に示す。なお、各図において同一機器は同一番号を付すこととする。
図7においてボイラ1からの排ガスは脱硝装置2に導入され、排ガス中の窒素酸化物が除去された後、空気予熱器3においてボイラ1へ供給する燃焼用空気21と熱交換される。空気予熱器3によりガス温度が一定温度まで低下した排ガスは、次に集塵器4に導入され、排ガス中のばいじんが除去される。その後、排ガスはファン5により昇圧されて、ガスガスヒータ(GGH)6において湿式排煙脱硫装置出口ガスと熱交換される。GGH6により、ガス温度が一定温度まで低下した排ガスは、次に湿式排煙脱硫装置7に導入され、気液接触により排ガス中の硫黄酸化物が除去される。湿式排煙脱硫装置7において飽和ガス温度にまで冷却された排ガスはGGH6において昇温されて煙突8より排出される。
【0003】
上述の従来技術において集塵器4の出口の排ガス中のばいじん濃度は発電所によって異なるものの、一般的に20〜100mg/mNである。このばいじんを含む排ガスがGGH6で熱交換され、湿式排煙脱硫装置7において噴霧される脱硫吸収液によりばいじんの一部が除去されて煙突8から排出される。ばいじんは湿式排煙脱硫装置7において一般的に5〜10mg/mN程度まで除去される。
【0004】
近年の環境規制の強化により、煙突8から排出される排ガス中のばいじん濃度を低くする必要がある。上述のように湿式排煙脱硫装置7において、ばいじんを除去することができ、規制値以下にまで下げることも可能である。しかしGGH型式として回転式GGH6を採用した場合、未処理排ガスの一部が脱硫処理排ガス側に漏れることは避けられず、回転式GGH6における未処理排ガス中のばいじん濃度が高い場合には、湿式排煙脱硫装置7でばいじん濃度を規制値以下に下げても回転式GGH6における未処理排ガス側からのばいじんの漏れ込みにより煙突8において、規制値を満足できない可能性がある。
【0005】
その対策として、回転式GGH6の前流側の排ガス流路にある集塵器4の出口排ガス中のばいじん濃度を低くすることで回転式GGH6において脱硫処理排ガス側へ漏出するばいじん量を低減することは可能である。一方で、回転式GGH6において熱交換されてガス温度が低下した未処理排ガスは、その排ガス中に含まれるSOが酸露点以下となって硫酸ミストとなる。回転式GGH6において未処理排ガス中に含まれるばいじん濃度が高い場合には硫酸ミストがばいじんに付着してもばいじんは乾いた状態のままであるが、未処理排ガス中のばいじん濃度が低い場合には湿った状態となり、GGH6の熱交換エレメント上に付着し、さらに熱交換エレメント上にばいじんが付着することで、熱交換エレメントが閉塞し、圧力損失の上昇を招くこととなる。このようにGGH6においては、ばいじんとSO濃度の割合が重要な設計因子となり、安定した運用を行うためには、このばいじんとSO濃度の比(D/S)を一定値以上で運用することが重要である。
【0006】
一方、GGH6の型式として、Tublar方式のノンリーク式GGH6を採用した場合においてもプラントの運用上、未処理排ガス中のばいじん濃度が低い場合には、ばいじんは湿った状態となり伝熱管表面付着し、圧力損失の増加を引き起こすといった問題がある。
【0007】
また、ボイラ排ガス流路に上流側から順に脱硝装置、空気予熱器、GGH、電気集塵器及び脱硫装置を配置し、脱硝装置と空気予熱器の間に炭酸カルシウムを投入する構成で排ガス中の高濃度のSOを除去する方法を開示した発明がある(特許文献1)。
【0008】
また、ボイラ排ガス流路に上流側から順に脱硝装置、空気予熱器、電気集塵器、GGH及び脱硫装置を配置し、電気集塵器とGGHの間にボイラ排ガスから得られた排塵などの粉体を投入する構成を備えた排煙処理装置において、経時的にGGHに排ガス中のばいじんが付着すること、特に排ガス温度が低下した時に湿潤化したSOがばいじんとともに付着するという問題があるので、ばいじんと同種の粉体をGGHの前流側の排ガス流路に投入することで、ばいじん類の比率を上げてSOを湿潤化させないで乾燥状態に保つことでGGHの伝熱エレメントへのばいじんの付着を防止し、またGGHの伝熱エレメントへのばいじんの付着があってもばいじんが乾燥状態で付着するので容易に掻き取ることができるという発明が開示されている(特許文献2)。
【0009】
さらにボイラ排ガス流路に上流側から順に脱硝装置、空気予熱器、GGH、乾式集塵器及び脱硫装置を配置し、GGHと乾式集塵器の間に炭酸ナトリウムなどのアルカリを投入することで、GGH出口ガス中のSOを中和して水銀を吸着し易い排ガス中のSOを減らして排ガス中の微量の水銀でも乾式集塵器で効果的に吸着除去する発明(特許文献3)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−126649号公報
【特許文献2】特開2002−204925号公報
【特許文献3】国際公開第WO2008/078721号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1〜3記載の発明は何れもボイラ排ガス中のSOに着目して、アルカリ粉粒体などを用いてSO濃度を下げて、空気予熱器、GGH又は集塵機にばいじんなどが付着することを防止する技術である。
【0012】
しかし、特許文献2記載の発明では、電気集塵器で回収した灰を再度空気予熱器手前に投入し、また電気集塵器で回収および循環させているため、再循環の動力を必要とし、電気集塵器が大容量となる。また、電気集塵器手前に灰(はいじん)を投入すると湿式排煙脱硫装置で灰(ばいじん)は回収され、副生成物の石膏の純度が低下するため、灰(ばいじん)を電気集塵器の手前で投入することは望ましくない。
【0013】
また、特許文献1記載の発明では、アルカリ粉体を使用しているが、電気集塵器上流の空気予熱器手前に投入しており、未反応(未使用)のアルカリ粉体は電気集塵器で回収して廃棄することになり、経済的な方法とはいえない。
【0014】
本発明の課題も上記特許文献記載の発明とは異なる手法により、ボイラ排ガス中のSOに着目して、アルカリを用いて排ガス中のSO濃度を下げて、GGHにばいじんが付着することを防止する技術であり、特に排煙処理システムの高効率化を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記課題は次の解決手段により達成される。
請求項1記載の発明は、ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガス中に含まれるばいじんを除去する集塵器と、排ガス中の硫黄酸化物およびボイラ燃料中に含まれる成分に起因する物質を炭酸カルシウム系脱硫剤で除去する湿式排煙脱硫装置と、該湿式排煙脱硫装置の排ガス入口側及び出口側の排ガス流路に掛け渡されて配置され、排ガスと熱交換を行うGGHを設けた排煙処理設備において、前記集塵器より後流側の排ガス流路であって、GGHへ導入される排ガスの排ガス流路に粉末状のアルカリ吸収剤を噴霧するアルカリ吸収剤投入部を設けたことを特徴とする排煙処理設備である。
【0016】
請求項2記載の発明は、前記GGHとして、前記湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部と排ガス出口部の各排ガス流路内の排ガスの熱交換を行うGGHで構成し、前記湿式排煙脱硫装置の排ガス出口部にあるGGHより後流側の排ガス流路内のばいじん濃度を測定するばいじん濃度測定装置及び前記湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部にあるGGHより前流側の排ガス流路内のSO濃度を測定するSO濃度測定装置を設け、前記2つの測定装置により測定されたSO濃度に対するばいじん濃度の比率が、予め設定された値より大きくなるように湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部の排ガス流路内に設けたアルカリ吸収剤投入部からのアルカリ吸収剤を投入する制御装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の排煙処理設備である。
【0017】
請求項3記載の発明は、ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガス中に含まれるばいじんを集塵器で除去し、さらに硫黄酸化物およびボイラ燃料中に含まれる成分に起因する物質を湿式排煙脱硫装置において炭酸カルシウム系脱硫剤で除去し、該湿式排煙脱硫装置の排ガス入口側及び出口側の排ガス流路に掛け渡されて配置されるGGHで排ガスと熱交換を行う排煙処理方法において、前記集塵器でばいじんを除去した後にGGHへ導入される排ガスの排ガス流路に粉末状のアルカリ吸収剤を噴霧することを特徴とする排煙処理方法である。
【0018】
請求項4記載の発明は、前記GGHとして、前記湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部と排ガス出口部の各排ガス流路内の排ガスの熱交換を行うGGHを用い、前記湿式排煙脱硫装置の排ガス出口部にあるGGHより後流側の排ガス流路内のばいじん濃度及び前記湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部にあるGGHより前流側の排ガス流路内のSO濃度をそれぞれ測定し、制御装置により前記測定されたSO濃度に対するばいじん濃度の比率が、予め設定された値より大きくなるようにアルカリ吸収剤を湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部の排ガス流路内に投入することを特徴とする請求項3記載の排煙処理方法である。
【0019】
(作用)
本発明の排煙処理設備と方法においてGGH上流側の排ガス流路にある集塵器において十分にばいじんが除去された排ガス中に粉末状のアルカリ吸収剤を噴霧することで、GGHで排ガス温度が露点以下となって硫酸ミストが発生しても粉末状のアルカリ吸収剤に付着することによりGGH熱交換エレメント上に硫酸ミストが付着することを防ぎ、つまりを防止することが可能となる。
【0020】
なお、前述のように、特許文献2記載の発明では、電気集塵器で回収した灰を再度空気予熱器手前に投入し、また電気集塵器で回収および循環させている。そのため、灰の再循環用の動力を必要とし、電気集塵器が大容量となるのに対して、本発明では、アルカリ粉体を電気集塵器手前に投入し、投入されたアルカリ粉体は電気集塵器を通過して湿式排煙脱硫装置で回収、SO除去に再利用されるため経済的である。
【0021】
また、電気集塵器手前に灰(はいじん)を投入すると湿式排煙脱硫装置で灰(ばいじん)は回収され、副生成物の石膏の純度が低下するため、灰(ばいじん)ではなくアルカリ粉体(炭酸カルシウムなど)が望ましい。
【発明の効果】
【0022】
請求項1、3記載の発明によれば、GGHの排ガス入口側の排ガス流路に粉末状のアルカリ吸収剤を噴霧することで、排煙処理設備から大気中に放出する化石燃料の燃焼排ガスに対する環境規制によるばいじん濃度規制を満足させながら、GGHが排ガス中のばいじんなどで閉塞されることを防ぐことが可能となる。
【0023】
請求項2、4記載の発明によれば、請求項1、3記載の発明の効果に加えて、GGHより後流側の排ガス流路内のばいじん濃度と回転式GGHより前流側の排ガス流路内のSO濃度に基づき、測定されたSO濃度に対するばいじん濃度の比率が、予め設定されたばいじん濃度/SO濃度の比率より大きくなるようにアルカリ吸収剤投入部からのアルカリ吸収剤を、GGHと湿式排煙脱硫装置の間の排ガス流路に投入することで排煙脱硫設備の出口煤塵濃度が規制値を超えることはない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明となる排煙処理システムの系統を示す図である。
【図2】本発明となる排煙処理システムのうち回転式GGH回りを示す図である。
【図3】本発明となる排煙処理システムのうちGGHおよび湿式排煙脱硫装置回りを示す図である。
【図4】本発明の応用例となる粉末状アルカリ吸収剤をGGHの入口出口側に噴霧する図である。
【図5】本発明の応用例となる粉末状アルカリ吸収剤をGGHの入口出口側に噴霧し、水をGGHの出口側に噴霧する図である。
【図6】本発明の応用例となる粉末状アルカリ吸収剤をGGHの入口側に噴霧し、粉末状アルカリ吸収剤と水の混合物をGGHの出口側に噴霧する図である。
【図7】従来の排煙処理システムの系統を示す図である。
【図8】排煙処理システムにおけるD(ばいじん濃度)/S(SO濃度)の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明による、排煙処理システムの系統図を図1に示す。
【0026】
図1においてボイラ1からの排ガスは脱硝装置2に導入され、排ガス中の窒素酸化物が除去された後、空気予熱器3においてボイラ1への燃焼用空気21と熱交換される。空気予熱器3により、ガス温度が一定温度まで低下した排ガスは、次に、集塵器4に導入され、排ガス中のばいじんが除去される。その後、排ガスはファン5により昇圧され、粉末状アルカリ吸収剤投入設備9から粉末状のアルカリ吸収剤が排ガス流路に投入されてGGH6に導入される。湿式排煙脱硫装置7の入口側の排ガスはGGH6において湿式排煙脱硫装置7の出口ガスとの熱交換により、ガス温度が一定温度まで低下し、次に湿式排煙脱硫装置7に導入され、気液接触により排ガス中の硫黄酸化物が除去される。湿式排煙脱硫装置7において飽和ガス温度にまで冷却された排ガスは湿式排煙脱硫装置7の出口でGGH6において昇温されて煙突8より排出される。
【0027】
図2には回転式GGH6周りの構成図を示す。排ガス中のSO濃度とSO濃度を計測するSO・SO濃度計16を回転式GGH6の前流側の排ガス流路に配置、また図8にD(ばいじん濃度)/S(SO濃度)のカーブを示す。
図8のDry zoneの領域では、ばいじんが乾いた状態を保ちGGH6のエレメントの詰まりなどは起こらないが、Wet zoneの領域では、ばいじんが湿った状態となりGGH6のエレメントの詰まりなどの問題が生じる。そこでGGH6の未処理排ガス入口のSO濃度を測定し、図8に示すD/Sのカーブ及び集塵器4の出口排ガス中のばいじん濃度より、ばいじんが乾いた状態を保つのに必要な粉末状アルカリ吸収剤の投入量の制御を行う。また排ガス中のSO濃度は排ガス中のSO濃度及び脱硝触媒での酸化率に依存するため、GGH6の入口側の未処理排ガス入口のSO濃度に基づきSO濃度を算出することも可能である。
【0028】
一方で前述のように図2に示す構成で回転式GGH6では未処理排ガス側から処理排ガス側への排ガスの漏れ込みは避けられず、回転式GGH6の未処理排ガス側に噴霧した粉末状アルカリ吸収剤の一部は処理排ガス側へ漏れ込み、ばいじんとして扱われる。そこで回転式GGH6の処理排ガス側の出口部に設置したばいじん濃度計10によりGGH6の出口排ガス中のばいじん濃度を測定し、万一、前記出口排ガス中のばいじん濃度が規制値を越える様な場合には、粉末状アルカリ吸収剤投入設備9からの粉末アルカリ吸収剤の噴霧量の制御装置23で行い、GGH6の出口排ガス中の出口ばいじん濃度が規制値を超えることがないようにする。
【0029】
ここで排ガス中のSO濃度とSO濃度を計測するSO・SO濃度計16を回転式GGH6の前流側の排ガス流路に配置して、GGH6入口側の排ガス中のSO・SO濃度とGGH6の出口排ガス中のばいじん濃度に基づき図8に示す関係からGGH6の出口排ガス中の出口ばいじん濃度が規制値を超えないように制御装置23により制御する。
【0030】
なお、本発明では回転式GGHでなく流体からなる熱媒体を2つのGGHの間に流す方式のTublar方式のノンリーク式GGHを用いることもできる。
【0031】
図3にGGH6と湿式排煙脱硫装置7周りの構成を示す。GGH6の前流前の排ガス流路に炭酸カルシウムなどの粉末状のアルカリ吸収剤を添加することにより、GGH6を通過する見かけ上のD/Sは増加し、排ガス中のばいじんは乾燥した状態を保持できる。また粉末状のアルカリ吸収剤は湿式排煙脱硫装置7において吸収液循環ポンプ11により噴霧された吸収液12により排ガス中から除去されて吸収液12中に取り込まれる。一方、湿式排煙脱硫装置7においても脱硫吸収剤として粉末状アルカリ吸収剤と水を混ぜたスラリ13を使用するため、湿式排煙脱硫装置7において排ガス中から吸収液12中に取り込まれた粉末状アルカリ吸収剤は脱硫吸収剤として再利用可能である。
【0032】
本発明の応用例を図4、図5及び図6にそれぞれ示す。
図4に示す応用例は回転式GGH6の入口側の排ガス流路に加えてGGH6と湿式排煙脱硫装置7の間の排ガス流路にも粉末状アルカリ吸収剤投入設備9から粉末状アルカリ吸収剤を噴霧することにより、湿式排煙脱硫装置7の入口側の排ガス流路中において硫黄酸化物の一部を除去することが可能となる。これにより湿式排煙脱硫装置7の入口側の排ガス流路中の硫黄酸化物濃度が低くなり、湿式排煙脱硫装置7で必要とされる脱硫性能を低くすることが可能となり、湿式排煙脱硫装置7の吸収液循環ポンプ11の容量を低減することが可能となる。
【0033】
また、図5に示す応用例は回転式GGH6の入口側の排ガス流路に加えてGGH6と湿式排煙脱硫装置7の間の排ガス流路にも粉末状アルカリ吸収剤投入設備9から粉末状アルカリ吸収剤を噴霧し、GGH6と湿式排煙脱硫装置7の間の排ガス流路にさらに水14を噴霧することにより、湿式排煙脱硫装置7の入口側の排ガス流路中において排ガス中の硫黄酸化物の一部を除去することが可能となる。これにより湿式排煙脱硫装置7の入口側の排ガス中の硫黄酸化物濃度が低くなり、湿式排煙脱硫装置7で必要とされる脱硫性能を低くすることが可能となり、湿式排煙脱硫装置7の吸収液循環ポンプ11の容量を低減することが可能となる。
【0034】
さらに、図6に示す応用例は回転式GGH6の入口側の排ガス流路に加えてGGH6と湿式排煙脱硫装置7の間の排ガス流路にも粉末状アルカリ吸収剤と水の混合物を投入する設備15から粉末状アルカリ吸収剤と水の混合物を噴霧することにより、湿式排煙脱硫装置7の入口側の排ガス流路中において排ガス中の硫黄酸化物の一部を除去することが可能となる。これにより湿式排煙脱硫装置7の入口側の排ガス中の硫黄酸化物濃度が低くなり、湿式排煙脱硫装置7で必要とされる脱硫性能を低くすることが可能となり、湿式排煙脱硫装置7の吸収液循環ポンプ11の容量を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1 ボイラ 2 脱硝装置
3 空気予熱器 4 集塵器
5 ファン 6 GGH(ガスガスヒータ)
7 湿式排煙脱硫装置 8 煙突
9 粉末状アルカリ吸収剤投入設備
10 ばいじん濃度計 11 吸収液循環ポンプ
12 吸収液 13 脱硫吸収剤スラリ
14 水
15 粉末状アルカリ吸収剤と水の混合物投入設備
16 SO・SO濃度計 21 燃焼用空気
23 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガス中に含まれるばいじんを除去する集塵器と、排ガス中の硫黄酸化物およびボイラ燃料中に含まれる成分に起因する物質を炭酸カルシウム系脱硫剤で除去する湿式排煙脱硫装置と、該湿式排煙脱硫装置の排ガス入口側及び出口側の排ガス流路に掛け渡されて配置され、排ガスと熱交換を行うGGHを設けた排煙処理設備において、
前記集塵器より後流側の排ガス流路であって、GGHへ導入される排ガスの排ガス流路に粉末状のアルカリ吸収剤を噴霧するアルカリ吸収剤投入部を設けたことを特徴とする排煙処理設備。
【請求項2】
前記GGHとして、前記湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部と排ガス出口部の各排ガス流路内の排ガスの熱交換を行うGGHで構成し、前記湿式排煙脱硫装置の排ガス出口部にあるGGHより後流側の排ガス流路内のばいじん濃度を測定するばいじん濃度測定装置及び前記湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部にあるGGHより前流側の排ガス流路内のSO濃度を測定するSO濃度測定装置を設け、前記2つの測定装置により測定されたSO濃度に対するばいじん濃度の比率が、予め設定された値より大きくなるように湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部の排ガス流路内に設けたアルカリ吸収剤投入部からのアルカリ吸収剤を投入する制御装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の排煙処理設備。
【請求項3】
ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガス中に含まれるばいじんを集塵器で除去し、さらに硫黄酸化物およびボイラ燃料中に含まれる成分に起因する物質を湿式排煙脱硫装置において炭酸カルシウム系脱硫剤で除去し、該湿式排煙脱硫装置の排ガス入口側及び出口側の排ガス流路に掛け渡されて配置されるGGHで排ガスと熱交換を行う排煙処理方法において、
前記集塵器でばいじんを除去した後にGGHへ導入される排ガスの排ガス流路に粉末状のアルカリ吸収剤を噴霧することを特徴とする排煙処理方法。
【請求項4】
前記GGHとして、前記湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部と排ガス出口部の各排ガス流路内の排ガスの熱交換を行うGGHを用い、前記湿式排煙脱硫装置の排ガス出口部にあるGGHより後流側の排ガス流路内のばいじん濃度及び前記湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部にあるGGHより前流側の排ガス流路内のSO濃度をそれぞれ測定し、制御装置により前記測定されたSO濃度に対するばいじん濃度の比率が、予め設定された値より大きくなるようにアルカリ吸収剤を湿式排煙脱硫装置の排ガス入口部の排ガス流路内に投入することを特徴とする請求項3記載の排煙処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−34965(P2013−34965A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174599(P2011−174599)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】