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湿式電子写真印刷用紙
説明

湿式電子写真印刷用紙

【課題】本発明の目的は、液体トナーを使った電子写真方式を用いて印刷する時に、転写ドラムから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性が良好で、かつ、一般的な商業印刷のオフセット印刷方式や凸版印刷方式での印刷にも好適に使用可能であり、かつ、光沢度が高く、アルバム製本の加工適性に優れた湿式電子写真印刷用紙を提供することである。
【解決手段】本発明に係る湿式電子写真印刷用紙は、基紙の両面に顔料及び接着剤を主体とする1層以上の塗工層を設けた湿式電子写真印刷用紙において、塗工層の最上層が、両面共に顔料としてカオリンクレー、炭酸カルシウム及び有機顔料を含有し、コブ吸水度(JIS P8140:1998、接触時間30秒)が、30g/m以下であり、最上層の表面の75度鏡面光沢度(JIS P8142:2005)が、60%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式電子写真印刷に用いられる印刷用紙に関する。さらに詳しくは、液体トナーを使った電子写真方式を用いて印刷する時に、転写ドラムから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性が良好な湿式電子写真印刷用紙であり、かつ、オフセット印刷方式又は凸版印刷方式での印刷にも好適に使用可能な印刷用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
商業印刷の主体は、キャスト紙、アート紙、コート紙、微塗工紙若しくは非塗工の普通紙又は板紙を用いたオフセット印刷である。しかし、近年は多品種小ロット印刷に対応するため、乾式電子写真方式、湿式電子写真方式又はインクジェット方式といった可変情報を扱えるオンデマンド印刷方式が開発されてきた。これらのオンデマンド印刷方式の中でも、湿式電子写真方式は、オフセット印刷に近い画像が得られるため、急速に需要が伸びてきている。湿式電子写真印刷の分野が、今後更に成長するためには、次に述べる液体トナーの転移性及び液体トナーの定着性などの適性の他に、専用紙ではなく、安価で入手し易い一般的に商業印刷で使用されている用紙がそのまま使用できることが重要な点となる。
【0003】
湿式電子写真方式は、感光体上に現像された液体トナーを転写ドラムへ転移させ、液体トナー中の溶剤を揮発させ、圧力などによって転写ドラムから紙へ転写して印刷を行う。湿式電子写真印刷用紙には、液体トナーの転写ドラムから用紙への転移性及び液体トナーの定着性が求められる。液体トナーの転移性が不足すると、印刷時の操業性悪化又は1枚毎に印刷情報を変える場合に汚れが発生するなどの問題が生じる。液体トナーの定着性が弱いと、印刷後の印刷面同士の擦れなどによって、印刷面からトナーが欠落する場合がある。
【0004】
液体トナーの定着性を高める方法として、用紙にイミン系化合物を塗布するいわゆるサファイヤ処理が行われてきた。サファイヤ処理した用紙は、液体トナーの定着性には有効であるが、一般紙と異なり製造コストが高い、経時で性能が劣化する、変色するなどの問題点があった。
【0005】
塗工紙タイプの湿式電子写真印刷用紙に関し、スムースター平滑度、ベック平滑度及びスムースター透気度などを規定してトナー定着性及び転移性を有し、光沢感を備えた湿式電子写真用記録シートがある(特許文献1、2、3又は4を参照。)。
【0006】
湿式電子写真方式では、用紙を枚葉の形態で供給することがある。枚葉の形態で供給する場合、乾式電子写真方式とは異なり、用紙の厚さが適正な範囲外であると、印刷機に適する曲がりが得られず、結果として転写ドラムから用紙が剥離する時の搬送不良又はデリバリー部の収納不良が発生する。
【0007】
また、湿式電子写真方式を用いて、印刷した用紙をアルバムに製本することがある。アルバム製本では糊で貼り合わせる工程があるが、用紙には、糊の適度な吸収性を持つこと及び貼り合わせ加工後の紙癖が無いことが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−134533号公報
【特許文献2】特開2005−99652号公報
【特許文献3】特開2005−134534号公報
【特許文献4】特開2005−134535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1〜4に記載の方法で得られた湿式電子写真用紙は、いずれも液体トナーの転移性及び定着性を必ずしも満足できるものではなかった。また、オフセット印刷方式又は凸版印刷方式で使用される油性インクの乾燥性が悪いなどの不具合を生じ、従来の印刷方式には不向きである問題がある。さらには、アルバム製本の加工適性を満足するものではなかった。
【0010】
本発明の目的は、前述した問題点を解消し、液体トナーを使った電子写真方式を用いて印刷する時に、転写ドラムから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性が良好で、かつ、一般的な商業印刷のオフセット印刷方式や凸版印刷方式での印刷にも好適に使用可能であり、かつ、光沢度が高く、アルバム製本の加工適性に優れた湿式電子写真印刷用紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、湿式電子写真印刷用紙適性について鋭意検討を重ねた結果、塗工層に含有させる顔料として特定の顔料を選択し、用紙厚さ、コブ吸水度及び光沢度を制限することによって、課題を達成できることを見出した。すなわち、本発明に係る湿式電子写真印刷用紙は、基紙の両面に顔料及び接着剤を主体とする1層以上の塗工層を設けた湿式電子写真印刷用紙において、前記塗工層の最上層が、両面共に顔料としてカオリンクレー、炭酸カルシウム及び有機顔料を含有し、JIS P8140:1998に従って測定したコブ吸水度(接触時間30秒)が、30g/m以下であり、前記最上層の表面をJIS P8142:2005に従って測定した75度鏡面光沢度が、60%以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る湿式写真印刷用紙では、用紙全体の厚さが、130μm以上210μm以下であることが好ましい。アルバム製本の加工適性により適した用紙とすることができる。
【0013】
本発明に係る湿式写真印刷用紙では、前記カオリンクレーのアスペクト比が1:12〜1:60であることが好ましい。光沢度がより高い用紙とすることができる。
【0014】
本発明に係る湿式写真印刷用紙では、前記炭酸カルシウムが、柱状の軽質炭酸カルシウムであることが好ましい。光沢度がより高く、液体トナーの転移性及び定着性が良好な用紙とすることができる。また、アルバム製本の加工適性により適した用紙とすることができる。
【0015】
本発明に係る湿式写真印刷用紙では、前記有機顔料が、プラスチックピグメントであることが好ましい。光沢度がより高い用紙とすることができる。また、アルバム製本の加工適性により適した用紙とすることができる。
【0016】
本発明に係る湿式写真印刷用紙では、前記有機顔料の平均粒子径が、200nm以上500nm以下であることが好ましい。光沢度がより高く、液体トナーの転移性及び定着性が更に良好な用紙とすることができる。また、アルバム製本の加工適性により適した用紙とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、液体トナーを使った電子写真方式を用いて印刷する時に、転写ドラムから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性が良好で、かつ、一般的な商業印刷のオフセット印刷方式や凸版印刷方式での印刷にも好適に使用可能であり、かつ、光沢度が高く、アルバム製本の加工適性に優れた湿式電子写真印刷用紙を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0019】
本実施形態に係る湿式電子写真印刷用紙は、基紙の両面に顔料及び接着剤を主体とする1層以上の塗工層を設けた湿式電子写真印刷用紙において、塗工層の最上層が、両面共に顔料としてカオリンクレー、炭酸カルシウム及び有機顔料を含有し、JIS P8140:1998「紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法」に従って測定したコブ吸水度(接触時間30秒)が、30g/m以下であり、最上層の表面をJIS P8142:2005「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に従って測定した75度鏡面光沢度(以降、75度光沢度又は光沢度ということもある。)が、60%以上である。
【0020】
本実施形態に係る湿式電子写真印刷用紙では、基紙の両面共に塗工層の最上層が、両面共に顔料としてカオリンクレー、炭酸カルシウム及び有機顔料を必須成分として含有することで、最上層に適度な空隙を設けることができ、転写ドラムから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性を良好とする。また、アルバム製本加工をする時に塗布する糊が適度に最上層に入り込み、加工適性が良好となる。
【0021】
本実施形態に係る湿式電子写真印刷用紙では、JIS P8140:1998に従って測定したコブ吸水度(接触時間30秒)が30g/m以下である。より好ましくは25g/m以下であり、特に好ましくは20g/m以下である。コブ吸水度が30g/mを超えると、アルバム製本加工をする時に使用する糊の用紙への浸透が過大となり、ボコ付きを生じる。また、糊の浸透が過大となると乾燥後に反り又はバックリングなどの悪影響をもたらす。
【0022】
コブ吸水度のコントロールは、例えば、内添サイズ剤で行うことができる。内添サイズ剤は、例えば、強化ロジンサイズ剤、中性ロジンサイズ剤、酸性ロジンサイズ剤、弱酸性ロジンサイズ剤などのロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)である。これらは単独で使用するか、又は2種以上を組み合わせ使用してもよい。内添サイズ剤の含有量は、内添サイズ剤の種類によって異なるが、例えば、内添サイズ剤が、各種ロジンサイズ剤である場合には、ロジンサイズ剤の含有量が、パルプの絶乾質量100質量部に対して0.20質量部以上0.80質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.25質量部以上0.70質量部以下である。また、内添サイズ剤が、アルキルケテンダイマー(AKD)又はアルケニル無水コハク酸(ASA)である場合には、AKD又はASAの含有量が、パルプの絶乾質量100質量部に対して0.05質量部以上0.20質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、0.08質量部以上0.15質量部以下である。いずれもサイズ剤の含有量が好ましい範囲よりも少ない場合には、所望するコブ吸水度とならない場合がある。また、サイズ剤の含有量が好ましい範囲よりも多い場合には、工程汚れにつながり実質生産することができない。なお、コブ吸水度の下限値は、5g/mであることが好ましい。コブ吸水度の下限値は、より好ましくは、7g/mである。コブ吸水度が5g/m未満では、用紙が糊中の水分をほとんど吸収しないため乾燥時間が膨大となる。また、用紙を製造するにあたり、サイズ剤を多量に添加する必要があり、かつ、薬品による工程汚れが発生するため製造することが困難である。コブ吸水度のコントロールにおいて、外添サイズ剤を補助的に使用してもよい。外添サイズ剤は、例えば、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、スチレン‐アクリル系サイズ剤、スチレン‐マレイン酸系サイズ剤、高級脂肪酸アミド系サイズ剤、オレフィン系、アクリレート系である。
【0023】
本実施形態に係る湿式電子写真印刷用紙では、JIS P8142:2005に従って測定した75度鏡面光沢度が60%以上である。より好ましくは65%以上であり、特に好ましくは70%以上である。75度鏡面光沢度が60%未満では、アルバム用紙として画像が写真ライクとならず高級感を出すことができない。また、75度鏡面光沢度の上限値は、85%であることが好ましい。より好ましくは80%である。75度鏡面光沢度が85%を超えると、摩擦係数が下がるため、紙山運搬の時に崩れやすくなる場合がある。また、カッター断裁の時、レーボーイ部で紙が揃わない場合がある。
【0024】
本実施形態に係る湿式写真印刷用紙では、用紙全体の厚さが100μm以上220μm以下であることが好ましい。用紙全体の厚さは、アルバム製本加工において、貼り合せ後のコックリング又はバックリングをより効果的に抑制できる点で、130μm以上210μm以下であることがより好ましく、特に好ましくは140μm以上200μm以下であり、更に好ましくは150μm以上190μm以下である。アルバム製本加工時には、用紙二枚を糊によってそれぞれ貼り合わせるが、用紙全体の厚さが100μm未満では、用紙が柔らかく高級感に乏しくなる場合がある。糊の浸透によって用紙にコックリングが発生する場合がある。また、用紙のクッション性が足りず、湿式電子写真印刷を行う時に、転写ドラムとの密着性が不良となりトナー転移性が低下する場合がある。用紙全体の厚さが220μmを超えると、アルバム加工時に用紙を二つ折りとする折り曲げ加工が困難となる場合がある。また、用紙が固くなりすぎて、糊貼り乾燥後に反り又はバックリングなどの悪影響をもたらす場合がある。なお、本明細書において、厚さは、JIS P 8118:1998年「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した値をいう。
【0025】
このように、コブ吸水度を30g/m以下とし、75度鏡面光沢度を60%以上とすることで、表裏共に所望する品質を保持することができ、使用する時にハンドリングが格段に良いものとなる。
【0026】
本実施形態に係る湿式電子写真印刷用紙は、基紙の両面に塗工層が形成された両面塗工紙である。塗工層は、1層で形成するか、又は2層以上で形成してもよい。塗工層が1層である場合には、当該層が最上層であり、塗工層を2層以上で形成する場合には、基紙から最も離れた層が最上層である。以降、塗工層を2層以上で形成する場合には、最上層以外の層を便宜上、下塗層ということもある。
【0027】
最上層は、顔料及び接着剤を主体とする。顔料としては、カオリンクレー、炭酸カルシウム及び有機顔料を必須成分する。
【0028】
カオリンクレーは、粒子の形状が平板状であり、例えば、焼成カオリン、エンジニアードカオリン、高白色カオリン、標準白色カオリン、デラミカオリンである。これらは単独で使用するか、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。この中で、シェイプエンジニアードカオリンと呼ばれる粒子径分布がシャープなカオリンクレーが特に好ましい。本実施形態に係る湿式写真印刷用紙では、最上層に用いるカオリンクレーのアスペクト比が1:12〜1:60であることが好ましい。より好ましくは、1:25〜1:50である。ここで、カオリンクレーのアスペクト比は、カオリンクレー粒子の平板の厚さ(t)と平板の直径(d)との比率(t:d)である。本明細書では、最上層を電子顕微鏡で撮影し、任意に選択したカオリンクレーの粒子100個について、厚さ(t)を1としたときの直径(d)を算出して、平均を求めた値をいう。アスペクト比が1:12未満(厚さ1に対して直径が12未満)では、75度鏡面光沢度が不足する場合がある。アスペクト比が1:60を超える(厚さ1に対して直径が60を超える)と、塗料の粘度が高くなりすぎ、生産することができない場合がある。カオリンクレーの直径(d)は、0.5μm以上2.5μm以下であることが好ましく、0.6μm以上1.5μm以下であることがより好ましい。カオリンクレーの厚さ(t)は、0.01μm以上0.06μm以下であることが好ましく、0.02μm以上0.04μm以下であることがより好ましい。カオリンクレーの含有量は、最上層中の全顔料100質量部に対して、40質量部以上90質量部以下であることが好ましい。より好ましくは50質量部以上85質量部以下である。
【0029】
炭酸カルシウムは、例えば、軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)、乾式重質炭酸カルシウム又は湿式重質炭酸カルシウムなどの重質炭酸カルシウム(粉砕炭酸カルシウム)である。これらは単独で使用するか、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。炭酸カルシウムの粒子の形状は、例えば、塊状、角状、柱状である。炭酸カルシウムの結晶構造は、特に制限はなく、例えば、三方晶系(カルサイト型)、斜方晶系(アラゴナイト型)、六方晶系(バテライト型)である。炭酸カルシウムは、柱状軽質炭酸カルシウムであることがより好ましく、アラゴナイト型の柱状軽質炭酸カルシウムであることが特に好ましい。ここで、柱状とは、短辺で囲まれた面を底面とし、該短辺よりも長さの長い長辺を側面が含んでいる形状をいい、その外形は、例えば、四角柱、五角柱若しくは六角柱などの多角柱又は円柱若しくは楕円柱である。柱状の軽質炭酸カルシウムを使用することで、光沢度をより高めることができる。また、カオリンクレー及び有機顔料と形状を異なるものとすることで、最上層に好適な空隙を設けることができ、転写ドラムから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性を更に良好とすることができる。さらには、アルバム製本加工する時に塗布する糊についても最上層に適度に入り込み加工適性が良好となる。最上層に用いる炭酸カルシウムのアスペクト比は、1:3〜1:10であることが好ましく、1:4〜1:8であることがより好ましい。ここで、炭酸カルシウムのアスペクト比は、短径(s)と長径(l)の比率(s:l)である。本明細書では、最上層を電子顕微鏡で撮影し、任意に選択した炭酸カルシウムの粒子100個について短径(s)を1としたときの長径(l)を算出して、平均を求めた値をいう。炭酸カルシウムの含有量は、最上層中の全顔料100質量部に対して、3質量部以上25質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、5質量部以上20質量部以下である。炭酸カルシウムが柱状の軽質炭酸カルシウムである場合には、柱状の軽質炭酸カルシウムの含有量は、全顔料100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、5質量部以上16質量部以下である。
【0030】
有機顔料は、例えば、プラスチックピグメント、尿素樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂である。この中で、プラスチックピグメントが特に好ましい。これらは単独で使用するか、又は2種以上を組み合わせ使用してもよい。プラスチックピグメントを使用することで、光沢をより高めることができる。また、プラスチックピグメントは、粒子の形状が球状であるため、カオリンクレー及び炭酸カルシウムと形状を異なるものとすることで、最上層に好適な空隙を設けることができ、転写ドラムから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性を良好とすることができる。また、アルバム加工する時に使用する糊についても最上層に適度に入り込み、加工適性がより良好となる。
【0031】
本実施形態に係る湿式写真印刷用紙では、有機顔料の平均粒子径が、200nm以上500nm以下であることが好ましい。より好ましくは、250nm以上450nm以下である。さらに好ましくは、有機顔料がプラスチックピグメントを含有し、かつ、プラスチックピグメントの平均粒子径が、200nm以上500nm以下である。粒子径をこの範囲とすることで、最上層に好適な空隙が設けることができ、転写ドラムから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性を更に良好とすることができる。当該プラスチックピグメントを使用することで、光沢度をより向上させることができる。有機顔料の含有量は、最上層中の全顔料100質量部に対して10質量部以上40質量部以下であることが好ましく、10質量部以上35質量部以下であることがより好ましい。
【0032】
最上層に用いる有機顔料の構造としては、例えば、密実又は中空である。この中で、密実の有機顔料がより好ましい。密実の有機顔料を用いることで、有機顔料の硬さを保持でき、糊の吸収量をよりコントロールしやすくすることができる。有機顔料は、有機顔料の硬さを保持でき、かつ、糊の吸収量をコントロールしやすくなる点で、ポリスチレン系プラスチックピグメントであることが好ましく、ポリスチレン系プラスチックピグメントのポリスチレン比率が80質量%以上であることがより好ましい。ポリスチレン比率は、より好ましくは、99質量%以上である。ポリスチレンの比率が80質量%未満では、有機顔料粒子が柔らかくなり変形しやすく、結果として糊の吸収量をコントロールし難くなる場合がある。ここで、ポリスチレン比率とは、有機顔料がスチレンモノマーと酸モノマーとの共重合体である場合に、スチレンモノマーの質量/(スチレンモノマーの質量+酸モノマーなどのその他成分の質量)で求まるものである。例えば、スチレンモノマーを85質量部と、アクリル酸を10質量部と、その他重合成分を5質量部とで共重合を行ったとすれば、ポリスチレン比率は、85質量%となる。また、有機顔料が実質的にスチレンモノマーを原料として合成された場合には、ポリスチレン比率が略100質量%である。なお、ポリスチレン比率は、スチレン‐アクリル系共重合体などのスチレン系共重合体又は変性スチレン系共重合体におけるスチレンモノマーの比率を含む。
【0033】
最上層は、板状のカオリンクレーと、塊状、角状又は柱状の炭酸カルシウムと、球状の有機顔料とを、必須成分として含み、これらの必須成分が、それぞれ特異な形状を有していることよって、所望する光沢度を保持しながら最上層に好適な空隙が設けることができる。結果として、転写ドラムから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性を良好とすることができる。また、アルバム加工する時に使用する糊についても最上層に適度に入り込み、加工適性が良好となる。
【0034】
最上層に含まれるカオリンクレー、炭酸カルシウム及び有機顔料(必須成分)の合計含有量が、最上層中の全顔料100質量部に対して70質量部以上であることが好ましい。より好ましくは、85質量部以上であり、特に好ましくは100質量部である。70質量部未満では、最上層に形成される空隙が不足して、最上層が緻密になり、転写ドラムから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性が悪化する場合がある。また、アルバム加工する時に使用する糊についても入り込みが不足する場合がある。
【0035】
本実施形態では、本発明の効果を損なわない範囲において、最上層に用いる顔料として、カオリンクレー、炭酸カルシウム及び有機顔料以外のその他の顔料を含有してもよい。その他の顔料としては、例えば、タルク、サチンホワイト、リトポン、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウムである。これらは単独で使用するか、又は2種以上を組み合わせ使用してもよい。
【0036】
最上層に用いられる接着剤としては、例えば、スチレン‐ブタジエン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル、エチレン‐酢酸ビニルなどの各種共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、燐酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、デキストリン、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの天然多糖類若しくはそのオリゴマー又はその変性体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、コラーゲンなどの天然タンパク質又はその変性体、ポリ乳酸、ペプチドなどの合成高分子又はオリゴマーである。これらは単独で使用するか、又は2種以上を組み合わせ使用してもよい。ここで最上層中の接着剤の配合量としては、最上層中の全顔料100質量部に対して5質量部以上25質量部以下であることが好ましく、9質量部以上22質量部以下であることがより好ましい。接着剤の配合量が5質量部未満では、最上層の強度が低下して印刷強度が不足する場合がある。接着剤の配合量が25質量部を超えると、最上層が緻密になりすぎて液体トナーの定着性又は糊の浸透性に悪影響を与えるおそれがある。
【0037】
最上層には、必要に応じて、分散剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤、増粘剤などの通常使用されている各種助剤、又はこれらの各種助剤をカチオン化したものを更に含有してもよい。
【0038】
最上層は、前記した顔料、接着剤など最上層に含有される各種成分を配合し、適当な固形分濃度に調整した最上層形成用塗工液を基紙上又は下塗層上に塗工後、乾燥して設けることができる。最上層形成用塗工液を塗工する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、液だまりを有するサイズプレス、メタリングサイズプレス、ゲートロール、シムサイザーなどの各種フィルムトランスファーコーター、エアーナイフコーター、ロッドコーター、ブレードコーター、ダイレクトファウンテンコーター、スプレーコーター、カーテンコーターである。
【0039】
塗工後の乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、赤外乾燥、ドラム乾燥である。
【0040】
最上層の塗工量は、片面当たり5g/m以上25g/m以下であることが好ましい。より好ましくは7g/m以上20g/m以下である。5g/m未満では、光沢度が不足する場合がある。また、インク受理不良となる場合がある。25g/mを超えると、断裁時の切り口の悪化、印刷強度の低下などが発生する場合がある。
【0041】
最上層と基紙との間には、下塗層を設けることが好ましい。下塗層は、顔料と接着剤とを含有することが好ましい。下塗層に用いる顔料としては、例えば、合成非晶質シリカ、焼成クレー、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、天然ゼオライト、合成ゼオライト、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、各種層間化合物、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイトなどの白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、各種マイクロカプセルなどの有機顔料である。この中で、重質炭酸カルシウム及びクレーが高い塗工層強度を付与できる点でより好ましい。また、合成非晶質シリカなどの比表面積が大きい顔料は使用しないことが好ましい。
【0042】
下塗層に用いる接着剤としては、例えば、最上層で用いる接着剤で例示したものである。下塗層には、必要に応じて、分散剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤、増粘剤などの通常使用されている各種助剤、又はこれらの各種助剤をカチオン化したものを更に含有してもよい。また、下塗層は、1層で形成するか、又は2層以上で形成してもよい。下塗層を2層以上で形成する場合には、各層の組成を同一とするか、又は各層の組成を異なるものとしてもよい。
【0043】
下塗層は、前記した顔料、接着剤など下塗層に含有される各種成分を配合し、適当な固形分濃度に調整した下塗層形成用塗工液を基紙上又は他の下塗層上に塗工後、乾燥して設けることができる。下塗層形成用塗工液を塗工する方法及び乾燥方式は、前記した最上層形成用塗工液を塗工する方法及び乾燥方式で例示した方法から採用できる。なお、塗工方法及び乾燥法方法は、最上層と下塗層とで同一の方法を採用するか、又は最上層と下塗層とで異なる方法を採用してもよい。
【0044】
下塗層の塗工量は、片面当たり3〜25g/mであることが好ましい。より好ましくは5〜17g/mである。下塗層の塗工量が3g/m未満では、光沢度が不足する場合がある。また、インク受理不良となる場合がある。下塗層の塗工量が25g/mを超えると、断裁時の切り口の悪化、印刷強度の低下などが発生する場合がある。なお、下塗層を2層以上で形成する場合には、下塗層の全層を合計した塗工量が、前記した範囲内となるように形成することが好ましい。
【0045】
下塗層を形成する場合には、最上層及び下塗層を含む塗工層全体の合計塗工量は、片面当たり8g/m以上30g/m以下であることが好ましい。より好ましくは12g/m以上25g/m以下である。8g/m未満では、光沢度が不足する場合がある。30g/mを超えると塗工層の強度が不足する場合がある。
【0046】
塗工層の組成、層構成又は塗工量は、基紙の両面で同一とするか、又は基紙の両面でそれぞれ異なるようにしてもよい。基紙の両面に同一の組成、層構成及び塗工量の塗工層を設けることで、両面印刷用紙とすることができる。また、基紙の両面にそれぞれ異なる組成、層構成又は塗工量を有する塗工層を設けることで、アルバム製本における印刷面と貼合面となる面にそれぞれより適した組成、層構成又は塗工量を選択することができる。
【0047】
基紙としては、主としてパルプと填料と内添サイズ剤とを含むことが好ましい。パルプとしては、例えば、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)などの木材パルプ又はケナフ、バガス、竹、コットンなどの非木材パルプである。これらは、単独で使用するか、又は2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。さらに、合成繊維を品質に支障がでない範囲において使用してもよい。また、環境保全の観点から、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Total Chlorine Free)パルプ、古紙パルプ、植林木から得られるパルプを用いることがより好ましい。特に好ましくは、LBKPを主体とし、折り加工適性を付与するために使用するパルプの全質量に対してNBKPを10質量%以下の範囲で含む形態である。
【0048】
パルプのJIS P 8121:1995年「パルプのろ水度試験方法」に従って測定したカナディアンスタンダードフリーネス(CSF)は、LBKPの場合、200ml以上550ml以下であることが好ましく、250ml以上500ml以下であることがより好ましい。フリーネスが200ml未満では、サイズ発現性が劣り、所望するコブ吸水度とならない場合がある。また、用紙が硬くなって反りなどの紙癖が発生する場合がある。550mlを超えると、紙層強度が低下して、印刷で問題が発生するおそれがある。また、塗工後にボコツキが発生し、高級感が損なわれる場合がある。
【0049】
湿式電子写真印刷用紙では、高級感を出すために印刷後、エンドレスプレス加工を行うことがあるが、パルプとしてNBKPを配合することで、適度に弾力が増し作業性を向上することができる。パルプとしてNBKPを配合する場合には、その配合量は、全パルプの絶乾質量に対して5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、7質量%以上17質量%以下である。NBKPの配合量が5質量%未満では、その効果が不足する。NBKPの配合量が20質量%を超えると、地合が悪化してボコツキが発生し、高級感が損なわれる場合がある。
【0050】
基紙に用いる填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、二酸化チタン、水酸化アルミニウムである。これらは単独で使用するか、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0051】
基紙に用いる内添サイズ剤としては、例えば、強化ロジンサイズ剤、中性ロジンサイズ剤、酸性ロジンサイズ剤、弱酸性ロジンサイズ剤などのロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)である。これらは単独で使用するか、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0052】
基紙には、パルプ、填料及び内添サイズ剤以外に、紙力増強剤、嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、硫酸バンド、湿潤紙力増強剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤、ピッチコントロール剤などを各製品に合わせて配合してもよい。紙力増強剤としては、従来公知の紙力増強剤を使用することが可能であり、例えば、澱粉系紙力増強剤、ポリアクリルアミド系紙力増強剤、ポリビニルアルコール系紙力増強剤である。
【0053】
基紙は、塗工層を形成するための塗工液が過度に浸透するのを抑えるために、サイズプレスなどで澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子を含むサイズ液を塗布することが好ましい。また、サイズ液には、助剤として、例えば、スチレン系サイズ剤、スチレン‐アクリレート系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、AKD、ASAなどの表面サイズ剤、有色顔料、有色染料、蛍光染料、消泡剤を併用してもよい。サイズ液の塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、サイズプレス、ゲートロールサイズプレス、シムサイザー、ロッドコーター、エアーナイフコーターである。
【0054】
基紙の抄紙方法は、特に限定されるものではなく、例えば、長網抄紙機、長網多層抄紙機、円網抄紙機、円網多層抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造される。抄紙方式は、例えば、酸性抄紙、中性抄紙である。
【0055】
用紙の厚さ及び所望する光沢度を制御する目的で、抄紙機のプレス、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなど公知のカレンダー装置によって処理することが好ましい。
【0056】
基紙の坪量は、特に限定されないが、60〜350g/mであることが好ましく、より好ましくは70〜250g/mである。基紙は、2層以上の多層抄きであることが好ましい。単層抄きでは、ワイヤー上での原料濃度が高くなるなど負荷が高くなり、結果として地合いが悪化しやすく、塗工後にボコツキが発生し高級感が損なわれるおそれがある。なお、基紙を多層抄きで形成する場合には、各層を同一の組成とするか、又は各層で異なる組成としてもよい。なお、本明細書において、坪量は、JIS P 8124:2011年「紙及び板紙−坪量の測定方法」に準拠して測定した値をいう。
【0057】
本実施形態に係る湿式電子写真印刷用紙は、アルバム用途しての使用に留まらず、乾式電子写真方式の複写機・プリンターの記録用紙、インクジェット方式の記録用紙、オフセット印刷方式や凸版印刷方式での印刷用紙として、好適に使用することができる。
【実施例】
【0058】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
【0059】
得られた湿式電子写真印刷用紙について、次に示す評価法に基づいて試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
<コブ吸水度>
JIS P 8140:1998年「紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法」に準拠して測定した。なお、接触時間は30秒とした。コブ吸水度の値を表1に示す。コブ吸水度が、30g/m以下を実用レベルとし、30g/mを超えた場合を実用不可レベルとした。
【0062】
<75度鏡面光沢度(75度光沢度)>
JIS P8142:2005「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に従って測定した75度鏡面光沢度」に従って、最上層の表面の75度鏡面光沢度を測定した。鏡面光沢度の値を表1に示す。75度光沢度が、60%以上を実用レベルとし、60%未満を実用不可レベルとした。
【0063】
次に、得られた湿式電子写真印刷用紙について、アルバム製本の加工適性として貼合適性、紙癖及びコックリングを、次の方法にて評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0064】
<貼合適性>
まず、A3判に切断した湿式電子写真印刷用紙に、湿式電子写真印刷機(HP Indigo5500 Digital Press:HP社製)を用いて画像を印刷後、折機(スタール:ハイデル社製)を用いて印刷面を谷折の二つ折りでA4判とし、これを10枚準備した。次に、糊丁合い機(全自動丁合い機:ミタニ社製)で糊付け及び丁合いして10枚重ねた。最後に、圧着加工後、背固め機(芳野社製)を用いて背固め加工したサンプルについて端面のずれ又は糊のはみ出しを視感評価し、貼合適性を評価した。
◎:端面のズレ又は糊のはみ出しは無く、非常にきれいにアルバム加工できる(実用レベル)。
○:端面のズレ又は糊のはみ出しはほぼ無く、きれいにアルバム加工できる(実用レベル)。
△:端面のズレ又は糊のはみ出しが多少あるが、アルバム加工できる(実用下限レベル)。
×:端面のズレ又は糊のはみ出しがあり、アルバム加工に難がある(実用不可レベル)。
【0065】
<紙癖>
貼合適性の評価で使用したサンプルを平置きとし、台からの浮き具合によって紙癖(反り)について評価した。
◎:各ページについて全く反りが無く、製本した状態でも各ページ間に全く隙間が無く良好である(実用レベル)。
○:各ページについて若干反りはあるが、製本した状態は各ページ間に全く隙間が無く良好である(実用レベル)。
△:各ページについてやや反りはあるが、製本した状態でも各ページ間に若干隙間がある程度で使用可能である(実用下限レベル)。
×:各ページについて反りが大きく、製本した状態でも各ページ間に隙間ができ、使用できない(実用不可レベル)。
【0066】
<コックリング>
得られた湿式電子写真印刷用紙のコックリングについて評価した。具体的には、糊付け加工後の印刷面を観察し、そのボコツキの程度を視感評価した。
◎:ボコツキが全く無く良好である(実用レベル)。
○:ボコツキが無く良好である(実用レベル)。
△:多少ボコツキがあるが、使用可能である(実用下限レベル)。
×:ボコツキが大きく使用できない(実用不可レベル)。
【0067】
得られた用紙について、湿式電子写真印刷適性として、液体トナー転移性及び液体トナー定着性を、次の方法にて評価を行った。評価にあたり、湿式電子写真印刷機として「HP Indigo5500 Digital Press」(HP社製)を使用し、幅320mm及び長さ460mmの寸法の用紙を用いて、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色単色印刷のベタを含む画像の印刷を行った。評価結果を表1に示す。
【0068】
<液体トナー転移性(転移性)>
6000枚印刷後の転写ドラム上のトナーの残存状況を目視で評価した。
◎:転写ドラム上にトナーの汚れが無く、良好である(実用レベル)。
○:転写ドラム上にトナーの汚れがほとんど無く、良好である(実用レベル)。
△:転写ドラム上にトナーの汚れが多少あるが、実用上問題無い(実用下限レベル)。
×:転写ドラム上にトナーの汚れが酷い(実用不可レベル)。
【0069】
<液体トナー定着性(定着性)>
印刷後、24時間経過した印刷サンプルの各色ベタ部にセロハン粘着テープ(セロテープ(登録商標)R:ニチバン社製)を貼り付け、180度剥離で約5mm/秒の速さで粘着テープを剥離した。剥離後の紙表面上の液体トナーの定着度合いを目視で評価した。
◎:粘着テープへの液体トナーの付着が無く、粘着テープの剥離跡の印刷濃度は変わらない(実用レベル)。
○:液体トナーが粘着テープに多少取られるが、粘着テープの剥離跡の印刷濃度はほとんど変わらない(実用レベル)。
△:液体トナーが粘着テープに取られ、粘着テープの剥離跡の印刷濃度がやや低下しているが、実用上問題無い(実用下限レベル)。
×:液体トナーが粘着テープに多く付着し、粘着テープの剥離跡に白く抜けた部分が発生している(実用不可レベル)。
【0070】
次に、得られた湿式電子写真印刷用紙について、オフセット印刷適性として耐刷力及びインク乾燥性を、次の方法にて評価を行った。
【0071】
<耐刷力>
オフセット印刷機として、「リスロン40(L−40)」(小森社製)を使用し、墨、藍、紅及び黄インキにて4色印刷を8500枚/時の印刷速度で印刷し、耐刷力を評価した。
◎:ブランケットの汚れがほとんど無く、良好である(実用レベル)。
○:ブランケットの汚れが多少あるが、画線部の抜けがほとんど無く、良好である(実用レベル)。
△:ブランケットの汚れが多く、画線部の抜けが有る(実用下限レベル)。
×:ブランケットの汚れが酷く、画線部の抜けも多い(実用不可レベル)。
【0072】
<インク乾燥性>
耐刷力評価と同様の方法で印刷し、5000枚重ねて一日放置した後のインク裏移りを観察し、次のように4段階で評価した。
◎:下積み1〜1000枚において4色重ねベタ部で全く裏移りが無い(実用レベル)。
○:下積み1〜1000枚において4色重ねベタ部で多少裏移りがあるが、3色重ねベタ部では裏移りが無い(実用レベル)。
△:下積み1〜1000枚において4色重ねベタ部と3色重ねベタ部で多少裏移りがあるが、2色重ねベタ部では裏移りが無い(実用下限レベル)。
×:下積み1〜1000枚において単色ベタ部でも裏移りがある(実用不可レベル)。
【0073】
(実施例1)
<基紙の形成>
フリーネスをCSF450mlに調整した広葉樹さらしクラフトパルプ(LBKP)からなるパルプスラリーに、該パルプスラリー中の絶乾パルプ100部に対して、タルク(NTL:日本タルク社製)5部と、硫酸バンド1部と、カチオン化でんぷん(ケート308:日本NSC社製)0.5部と、酸性ロジンサイズ剤(AL1212:星光PMC製)0.5部とを配合して調製した紙料を各々長網抄紙機にて抄紙し、表層40g/m、中層70g/m及び裏層40g/mの3層抄き合わせし、坪量150g/mの基紙を得た。
【0074】
<サイズ液の塗布>
酸化澱粉(王子エースA:王子コーンスターチ社製)糊液をサイズ液とし、基紙の両面に乾燥塗工量が片面当たり1g/mとなるようにサイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。次いで、スチールカレンダーを用いて線圧40kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行った。
【0075】
<塗工層(下塗層)の形成>
顔料としてカオリンクレー(ハイドラスパース:ヒューバー社製)50部及び湿式重質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ60:備北粉化工業社製)50部と、接着剤としてスチレン‐ブタジエン共重合ラテックス(0613:JSR社製)15部及び燐酸エステル化澱粉(MS#4600:日本食品加工社製)3質量部とを配合し、固形分濃度65%の下塗層形成用塗工液を調製した。下塗層形成用塗工液を、ブレードコーターを用いて基紙の両面に、片面当たりの乾燥塗工量が10g/mとなるように塗工及び乾燥し、坪量170g/mの塗工紙を得た。
【0076】
<塗工層(最上層)の形成>
顔料としてカオリンクレー(コンツァーエクストリーム:イメリス社製、シェイプエンジニアードカオリン、アスペクト比1:35)65部、柱状軽質炭酸カルシウム(TP123CS:奥多摩工業社製、アスペクト比1:6)10部及び有機顔料(L‐8900:旭化成ケミカルズ社製、スチレン系プラスチックピグメント、平均粒子径350nm、密実タイプ、ポリスチレン比率100%)25部と、接着剤としてスチレン‐ブタジエン共重合ラテックス(0613:JSR社製)10部及び燐酸エステル化澱粉(MS#4600:日本食品加工社製)1部とを配合し、固形分濃度が45%の最上層形成用塗工液を調製した。最上層形成用塗工液を、エアーナイフコーターを用いて、下塗層を形成した塗工紙の両面に、片面当たり乾燥塗工量が10g/mとなるように塗工及び乾燥した。次いで、ラスタープレスを用いて線圧100kN/m、温度80℃で平坦化処理を行い、坪量190g/m、用紙全体の厚さが167μmの湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0077】
(実施例2)
基紙の形成で紙料に配合する酸性ロジンサイズ剤の配合量を0.25部に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0078】
(実施例3)
最上層に配合するカオリンクレーの配合量を80部に変更し、かつ、柱状軽質炭酸カルシウムの配合量を5部に変更し、かつ、有機顔料の配合量を15部に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0079】
(実施例4)
最上層に配合するカオリンクレーの配合量を45部に変更し、かつ、柱状軽質炭酸カルシウムの配合量を20部に変更し、かつ、有機顔料の配合量を35部に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0080】
(実施例5)
最上層に配合する柱状軽質炭酸カルシウムの配合量を20部に変更し、かつ、有機顔料の配合量を15部に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0081】
(実施例6)
最上層に配合する炭酸カルシウムを湿式重質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ60:備北粉化工業社製、アスペクト比1:1)に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0082】
(実施例7)
最上層に配合するカオリンクレーをカピムDG(シェイプエンジニアードカオリン、イメリス社製:アスペクト比1:13)に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0083】
(実施例8)
最上層に配合するカオリンクレーをコンツァー1500(シェイプエンジニアードカオリン、イメリス社製:アスペクト比1:58)に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0084】
(実施例9)
最上層に配合する有機顔料を変性スチレン系共重合体のプラスチックピグメント(L‐8999:旭化成ケミカルズ社製、平均粒子径200nm、密実タイプ、ポリスチレン比率100%)に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0085】
(実施例10)
最上層に配合する有機顔料を変性スチレン系共重合体のプラスチックピグメント(L‐8801:旭化成ケミカルズ社製、平均粒子径500nm、密実タイプ、ポリスチレン比率100%)に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0086】
(実施例11)
下塗層を設けなかった以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。坪量120g/m、用紙全体の厚さが110μmの湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0087】
(実施例12)
基紙の形成で、パルプスラリーに配合する酸性ロジンサイズ剤の配合量を1.0部に変更して用紙のコブ吸水度を5g/mとした以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0088】
(実施例13)
表層を30g/mに、中層を40g/mに、裏層を30g/mに変更して、これらを3層抄き合わせして基紙の坪量を100g/mに変更し、用紙全体の坪量を140g/m、用紙全体の厚さを125μmとした以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0089】
(実施例14)
表層を60g/mに、中層を80g/mに、裏層を60g/mに変更して、これらを3層抄き合わせして基紙の坪量を200g/mに変更し、用紙全体の坪量を240g/m、用紙全体の厚さを213μmとした以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0090】
(比較例1)
最上層に配合するカオリンクレーの配合量を75部に変更し、かつ、柱状軽質炭酸カルシウムの配合量を0部(無添加)に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0091】
(比較例2)
最上層に配合する有機顔料の配合量を0部(無添加)に変更し、かつ、柱状軽質炭酸カルシウムの配合量を5部に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0092】
(比較例3)
最上層に配合するカオリンクレーの配合量を0部(無添加)に変更し、かつ、柱状軽質炭酸カルシウムの配合量50部に変更し、かつ、有機顔料の配合量を50部に変更した以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0093】
(比較例4)
基紙の形成でパルプスラリーに配合する酸性サイズ剤の配合量を0.1部に変更して、用紙のコブ吸水度を40g/mとした以外は、実施例1と同様に湿式電子写真印刷用紙を得た。
【0094】
表1に示すように、実施例1〜実施例14は、いずれも特定の顔料を選択して配合することで、コブ吸水度及び光沢度を制限することによって、湿式電子写真印刷でのブランケットから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性が良好な塗工紙タイプの湿式電子写真用印刷用紙が得られた。さらに、当該湿式電子写真印刷用紙は、オフセット印刷方式などの従来からの一般印刷方式を適用でき、更にはアルバム加工適性が良好である印刷用紙であることが確認できた。
【0095】
実施例1、実施例2及び実施例12を比較すると、コブ吸水度は、基紙が含有する内添サイズ剤の配合量によってコントロールできることが確認できた。
【0096】
実施例1と実施例13とを比較すると、実施例13は、実施例1と比較してコックリングが若干発生するものの、湿式電子写真印刷適性及びオフセット印刷適性は良好であることが確認できた。また、実施例1と実施例14とを比較すると、実施例14は、実施例1と比較して紙癖が若干低下するものの、湿式電子写真印刷適性及びオフセット印刷適性は良好であることが確認できた。
【0097】
比較例1、比較例2及び比較例3は、いずれも最上層に配合する顔料の必須成分が欠けているため、塗工層に好適な空隙が設けることができず、緻密になったため、転写ドラムから紙への液体トナーの転移性及び液体トナーの紙への定着性が悪化した。さらに、アルバム加工する時に使用する糊についても入り込みが不良となり、アルバム加工適性が得られなかった。比較例4は、コブ吸水度が高すぎて、糊の吸収が過大となり、用紙のコックリングが発生して、紙癖も悪化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基紙の両面に顔料及び接着剤を主体とする1層以上の塗工層を設けた湿式電子写真印刷用紙において、
前記塗工層の最上層が、両面共に顔料としてカオリンクレー、炭酸カルシウム及び有機顔料を含有し、
JIS P8140:1998に従って測定したコブ吸水度(接触時間30秒)が、30g/m以下であり、
前記最上層の表面をJIS P8142:2005に従って測定した75度鏡面光沢度が、60%以上であることを特徴とする湿式電子写真印刷用紙。
【請求項2】
用紙全体の厚さが、130μm以上210μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の湿式電子写真印刷用紙。
【請求項3】
前記カオリンクレーのアスペクト比が1:12〜1:60であることを特徴とする請求項1又は2に記載の湿式電子写真印刷用紙。
【請求項4】
前記炭酸カルシウムが、柱状の軽質炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかひとつに記載の湿式電子写真印刷用紙。
【請求項5】
前記有機顔料が、プラスチックピグメントであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の湿式電子写真印刷用紙。
【請求項6】
前記有機顔料の平均粒子径が、200nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の湿式電子写真印刷用紙。

【公開番号】特開2013−64960(P2013−64960A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204816(P2011−204816)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000241810)北越紀州製紙株式会社 (196)
【Fターム(参考)】