説明

満腹促進食品組成物

本発明は、少なくとも1重量%のタンパク質と、pH2から4の間で変性または加水分解しない0.1から5重量%のバイオポリマー増粘剤とを含む水性液体またはスプーンですくえる食用組成物であって、0.1s−1且つ37℃で少なくとも20Pa.sの胃の粘度を有し、更に前記胃の粘度が組成物の粘度より大きい組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、促進された満腹効果を有する食品組成物、特にバイオポリマー増粘剤を含む水性液体またはスプーンですくえる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
西洋風と称される食事が採用されている国における肥満の発生及び過重と考慮される人々の数は、過去十年間で劇的に増加している。肥満及び過重であることは、心臓疾患、2型糖尿病、高血圧、及びアテローム性動脈硬化症のような各種の疾患と関連することが一般的に知られているため、この増加は、医学界及び同様な関係者によって主要な健康上の関心事である。更に過重であることは、大多数の西洋の人々によって魅力的ではないと考慮されている。
【0003】
これは消費者によりその健康に対する関心の増大を導き、毎日のカロリー摂取の減少または制御、及び/または体重及び/または身体の外観の制御を補助する製品に対する需要を創り出している。
【0004】
人々がその体重を制御するように機能するいくつかの解決策が提案されている。これらの解決策の中には、例えば消化系における酵素活性を抑制するための薬剤の使用が存在する。しかしながら薬剤の使用は、医学的目的にとって厳密に必要でない場合にはしばしば好ましいものではない。
【0005】
別の提案されている解決策は、人々に特定の食事、例えば一日あたりの制限されたカロリー摂取を有する食事を処方することである。これらの食事に関する問題は、それらがしばしな健康な栄養バランスを与えないこと、及び/またはそれらが近代のライフスタイルに適応するのが困難であることである。
【0006】
体重を制御または減少するために、健康な食事の一部として代替食品も提案されている。例えばUS 5,688,547は、食物繊維、タンパク質、セルロースゴム、及びゲルを含む栄養性代替食組成物を開示している。
【0007】
これらの代替食品は一般的に、一日当たり一度か二度の食事を置換するための、バー、ドリンク等のような一回分の食品として消費されることが企図される製品である。代替食品は、一方でそれらが制限されたカロリー摂取を提供するように、他方でそれらが健康的な栄養成分のバランスを提供するようにデザインされており、人々の毎日の食事に簡便に導入される。
【0008】
しかしながら体重減少または体重維持のプランで使用することが企図される製品、例えば代替食品または低カロリースナックに関する一般的な問題は、消費の後に所望されるより早く空腹感に襲われ、及び/または得られる満腹感が所望されるほど大きくないことである。これらの考察の両者は、人々が前記プランに従うことを困難にするものであり、そこで使用される製品を消費者にアピールできないものとする可能性がある。
【0009】
効果的で簡便な満腹誘導食料品に対する要求を認識し、体重を制御または減少するための上記アプローチに関する問題に接近しようとするための研究が実施されている。
【0010】
前述の問題に接近する一つのアプローチは、満腹剤を含む食品を消費することから得られる満腹効果を増大するために、食品中に満腹剤を使用することを調査することにある。
【0011】
WO 01/17541は、タンパク質、高濃度のカルシウム、媒体または長鎖脂肪酸、及び満腹を促進するためのジャガイモから抽出されたプロテインインヒビターのソースを含む組成物を開示している。
【0012】
WO 99/02041は、長期的な満腹感を与え、特定のトリグリセリドオイルと食用乳化剤との混合物を含む食料組成物を開示している。
【0013】
WO 01/17377は、満腹効果を提供するために、水と胃腸液にあまり溶解せず、再吸収性が低いスポンジ様の構造を形成するための、互いに架橋したウロン酸含有ポリサッカリドを開示している。
【0014】
示唆されている空腹感を減少するための別のアプローチは、回腸ブレイクの原理を使用することである。回腸ブレイクの原理自体は、The Ileal Brake: A fifteen-year progress report, Current Gastronenterology Reports 1999, I: 4040-409においてGregg W. Van Cittersによって記載されており、それは消化管の一部、例えば回腸、十二指腸、または空腸への満腹剤のデリバリーに関する。
【0015】
しかしながら上記開発は、一般的に複雑であり、及び/または効果であり、及び/または所望されるほど有効ではない。
【0016】
前記タイプの食料品の処方における別の問題は、実装品に記載する場合に消費者に嫌な印象を与える成分、または例えばある種の合成ポリマーといった食料品に取り込ませるのに適さない成分を含むことがしばしば所望されない点である。
【0017】
優れた満腹効果を提供するための問題に対するより単純な解決策を提供するために、満腹を促進する目的のため食料組成物に使用するための天然繊維が開示されている。US 4,198,400は、満腹感を補助するためのジュース及びスープ組成物における食物繊維の使用を開示している。
【0018】
US 2003/0013679及びWO 02/096353は、誘導粘性繊維システムの使用によるヒトにおける食後の血糖応答の鈍化方法を開示している。前記システムは、軽く加水分解されたデンプンと、少なくとも10重量%の量で可溶性食物繊維源を含む。消化酵素が軽く加水分解されたデンプンに作用し、in vivoで前記システムの粘度の増大を生ずる。
【0019】
WO 02/096223も、誘導化粘性繊維システムを摂取することによる、ヒトにおける食後の血糖応答の鈍化方法を開示している。前記システムは、軽く加水分解されたデンプン、及びアニオン性可溶性食物繊維源と中性可溶性食物繊維源の混合物を含むが、本発明によって定義された低い胃の粘度しか示さない。
【0020】
WO 92/09212は、界面活性剤、水、及び35℃より高い曇点を有する水溶性非イオン性セルロースエーテルからなる液体組成物を開示している。前記組成物は、痩身補助として使用に適していると開示されている。
【0021】
WO 00/67592は、マルトデキストリンをコンニャク粉末と混合することによる組成物を含む低粘度グルコマンナンの生産方法を開示している。これは、初期の低粘度物質から高粘度最終製品への食品または飲料品の変換を提供すると称されている。
【0022】
Marciani等, 2000, American Society for Mutritional Sciences, p122-127による文献"Gastric Response to Increased Meal Viscosity Assessed by Echo-Planar Magnetic Response in Humans"では、高粘度の食事が低粘度の食事より高い満腹効果を有することが開示されている。ゼロの剪断で11Pa.sまでの食事の粘度が開示されている。
【0023】
Marciani等, 2001, American Journal Physiology Gastrointestinal Liver Physiology, G1227-G1223による文献"Effect of meal viscosity and mutrients on satiety, intragastric dilution and emptying assessed by MRI"では、より高い栄養素、より高い粘度の食事が、より低い栄養素、より低い粘度の食事と比較して、より大きい充足感を与えたことが開示されている。
【0024】
US 5,688,547は、タンパク質、セルロースゲル、及びゴム、並びにペクチン、アルギナート、アラビアゴム、及びグアゴムを含む食物繊維を含むシェーク、プリン、またはムースが開示されている。
【0025】
EP-A-323,510は、過食の予防に有用であることが報告されている水溶性食物繊維とタンパク質を含む食料組成物が開示されている。食物繊維とタンパク質は、組成物の水溶液が胃液と接触された際にゲルを形成するような比で使用される。組成物の粘度は胃の中で増大するが、図によると約pH4での粘度が約400cpまたは0.4Pa.sであることが示されている。
【0026】
WO 01/56404は、アルギナートから由来する0.01から5重量%の低分子量ポリマンヌロナートが、機能性飲料で使用されて良いことを開示している。
【0027】
US 5,283,076及びUS 5,324,526は、健康な食料として使用されて良い飲料製剤を開示している。前記飲料は好ましくは、5-20重量%の低分子量アルギナートを含む。肥満予防におけるこれらのアルギナートの使用が提案されている。
【0028】
US 5,866,190は、安定化剤としてペクチンとアルギナートの0.2重量%までの混合物を含む飲料を開示している。開示されている酸性飲料は、非常に低い粘度を有する。
【0029】
US 2003/134027-A1とUS 2003/0118712-A1は、動物における過重量であることの治療及び/または予防のための方法を開示している。それぞれ5または6より大きいpHを有し、20℃で100s−1の剪断速度でそれぞれ50mPasまたは600mPas未満の粘度と、37℃でそれぞれpH3または5で上述の粘度の少なくとも125%の粘度を有する液体組成物が開示されている。前記組成物は、ペクチン及び/またはアルギナート及びカルシウムを含む。US 2003-134027 A1の組成物は、1重量%未満のタンパク質を有し、低カロリー含量で高透明度を有する低粘度を提供する。US 2003-118712 A1の組成物は、本発明の胃の粘度の方法によって低い胃の粘度を与えることが見出されている。
【0030】
US 2003/125301 A1(WO 92/096223も参照)及びUS 2002/0193344は、(二重)誘導粘性繊維システムを被験者に与えることによる、食事に対する食後の血糖応答の鈍化方法を開示している。前記組成物はアルギナートとタンパク質を含んで良く、本発明の胃の粘度の方法によって低い胃の粘度を与えることが見出されている。
【0031】
US 2003/118712は、6より大きいpH、20℃で100s−1の剪断速度で600mPas未満の粘度、それ未満のpHで上述の粘度の少なくとも125%の粘度を有する液体食用組成物を開示している。
【0032】
JP 04/023,968 Aは、飢餓感を除去し、摂取される食料の量を減少することを企図した食料組成物を開示している。前記組成物は、アルギナートと、中性pHで不溶性であるカルシウム化合物を含む。
【0033】
Wolf等の文献"Glycemic and insulinemic responses of non-diabetic healthy adult subjects to an experimental acid-induced viscosity complex incorporated into a glucose beverage", Nutrition, Volume 18, numbers 7/8, 2002は、アルギナートを含む酸誘導化粘性複合体を開示している。
【0034】
試験された組成物の粘度(タンパク質を含まなかった)は、pH5と4の間で上昇したが、4未満では粘度の鋭い減少が示された。
【特許文献1】US 5,688,547
【特許文献2】WO 99/02041
【特許文献3】WO 01/17377
【非特許文献1】Gregg W. Van Citters, The Ileal Brake: A fifteen-year progress report, Current Gastronenterology Reports 1999, I: 4040-409
【特許文献4】US 4,198,400
【特許文献5】US 2003/0013679
【特許文献6】WO 02/096353
【特許文献7】WO 02/096223
【特許文献8】WO 92/09212
【特許文献9】WO 00/67592
【非特許文献2】Marciani等, 2000, American Society for Mutritional Sciences, p122-127による文献"Gastric Response to Increased Meal Viscosity Assessed by Echo-Planar Magnetic Response in Humans"
【非特許文献3】Marciani等, 2001, American Journal Physiology Gastrointestinal Liver Physiology, G1227-G1223による文献"Effect of meal viscosity and mutrients on satiety, intragastric dilution and emptying assessed by MRI"
【特許文献10】US 5,688,547
【特許文献11】EP-A-323,510
【特許文献12】WO 01/56404
【特許文献13】US 5,283,076
【特許文献14】US 5,324,526
【特許文献15】US 2003/125301 A1
【特許文献16】WO 92/096223
【特許文献17】US 2002/0193344
【特許文献18】US 2003/118712
【特許文献19】JP 04/023,968 A
【非特許文献4】Wolf等, "Glycemic and insulinemic responses of non-diabetic healthy adult subjects to an experimental acid-induced viscosity complex incorporated into a glucose beverage", Nutrition, Volume 18, numbers 7/8, 2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
しかしながら、前記組成物によって得られる満腹効果はしばしば最適なものではなく、及び/または複雑なシステムによって提供される場合があり、かくして消費者、特にカロリー摂取及び/または体重を制御することを所望する人に良好な満腹効果を提供する食用組成物について、当該技術分野でいまだ需要が存在している。
【0036】
特に、良好な満腹効果を提供し、消費者に許容可能な味覚ときめを有し、製造が簡便及び/または経済的であり、製造と貯蔵の間で安定である組成物について需要が存在している。これは特に、体重減少または体重制御プランの一部として消費されることを企図した、代替食品または他のカロリー制御製品に許容可能である。
【0037】
本発明は、前述の問題の一つ以上に接近することを探求している。
【0038】
特に本発明の目的は、良好な満腹効果を有する食品を提供することである。また本発明の目的は、肥満症、特にヒトの肥満症を予防または治療する方法において使用される食品を提供することである。
【0039】
本発明の更なる目的は、上述の問題の一つ以上に接近し、従来の、好ましくは天然の食品成分を含む食品を提供することである。
【0040】
本発明の更なる目的は、従来のタイプの食品と比較して改良された満腹効果を有する、特に代替食品及び体重減少または体重制御プランで使用される製品である食品を提供することである。
【0041】
また本発明の目的は、体重減少または体重制御プラン(例えばカロリー制御ダイエット)に直面している人を補助するための、及び/または体重を制御するための、及び/または体型または体重の見解を改良または維持するための方法及びそこで使用される食品を提供することである。
【0042】
また本発明の目的は、従来の食品加工技術及び食品調製技術によって調整可能で、それらの技術によって実質的に負に影響されない食品を提供することである。
【0043】
特に、前述問題の一つ以上に接近する体重減少または体重制御プランの一部として使用される、特に代替食品及び食料品である食品について重要が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0044】
驚くべきことに我々は、タンパク質を含む食料組成物にバイオポリマーを含ませ、胃の条件下で当該組成物の粘度を制御することにより、特に満腹効果に関して優れた結果が得られることを見出した。更に前記組成物は、従来の食料加工技術及び調製技術によって生産でき、良好な安定性を示すことができる。
【0045】
かくして第一の特徴点によれば、本発明は、少なくとも1重量%のタンパク質と、pH2から4の間で変性または加水分解しない0.1から5重量%のバイオポリマー増粘剤とを含む水性液体またはスプーンですくえる食用組成物であって、0.1s−1且つ37℃で少なくとも20Pa.sの胃の粘度を有し、更に前記胃の粘度が組成物の粘度より大きい組成物を提供する。
【0046】
第二の特徴点によれば、本発明は、食用組成物を消費する人に対して増大した満腹感を提供することにおける、及び/または体重減少または体重制御プランに直面していることを補助するための、及び/または肥満症または過重量であることを予防または治療する方法における使用のための、少なくとも1重量%のタンパク質を含み、0.1s−1且つ37℃で少なくとも20Pa.sの胃の粘度を有し、前記粘度が組成物の粘度より大きい水性液体またはスプーンですくえる食用組成物の製造における、pH2から4の間で変性または加水分解しないバイオポリマー増粘剤の使用を提供する。
【0047】
第三の特徴点によれば、本発明は、少なくとも1重量%のタンパク質と、pH2から4の間で変性または加水分解しない0.1から5重量%のバイオポリマー増粘剤とを含む水性液体またはスプーンですくえる食用組成物であって、0.1s−1且つ37℃で少なくとも20Pa.sの胃の粘度を有し、前記胃の粘度が組成物の粘度より大きい食用組成物をヒトまたは動物に投与する工程を含む、ヒトまたは動物において満腹を誘導するための方法を提供する。
【0048】
食品のタイプに依存して、前記食用組成物は、ポリサッカリド連続相の重量に基づいて好ましくは0.5から10重量%のバイオポリマー増粘剤の部分を少なくとも含む、ポリサッカリド連続相を含むことが更に好ましい。
【0049】
本発明の食用組成物におけるタンパク質の存在は、本発明に係る必要とされる粘度の形成を補助することが見出された。更に、タンパク質とバイオポリマー増粘剤の両者の存在は、おそらく小腸における栄養素のデリバリーへの変化を通じて、満腹を与える有益な効果を有すると解される。
【0050】
好ましくは、バイオポリマー増粘剤は、イオン性非デンプンポリサッカリドを含み、最も好ましくはアルギナート、ペクチン、カラギーナン、アミド化ペクチン、キサンタン、ゲラン、フルセララン、カラヤゴム、ラムサン、ウェラン、インドゴム、アラビアゴム、及びそれらの塩、またはそれらの混合物から選択される。少なくとも60%のL-グルロン酸含量を有するアルギナートが、最も好ましいイオン性非デンプンポリサッカリドである。
【0051】
前記バイオポリマー増粘剤は、中性非デンプンポリサッカリド、とりわけガラクトマンナン、グアゴム、イナゴマメゴム、タラゴム、イスパギューラ、β-グルカン、コンニャクグルコマンナン、メチルセルロース、トラガカントゴム、デタリウム、タマリンド、またはそれらの混合物を含んで良い。
【0052】
好ましくは前記食用組成物は、体重減少または体重制御プランで使用されることを企図した代替食品または他の食料組成物である。
【0053】
本発明は、食料組成物、特に体重減少または体重制御プランで使用することを企図したものに、良好な満腹効果を提供する有効で且つ簡便な方法を提供する。更に前記食品は、従来の技術によって製造でき、経済的に生産される。それらはまた、貯蔵の際に安定である。
【0054】
本発明の利点は、本発明に係る食料組成物の消費の後の良好な満腹効果;例えば増大した満腹感、食事中に直ぐに生じる満腹感、及び/または食後長期的に維持される満腹感を含む。これらの利点は、体重減少または体重制御プラン。及び/または体重及び/または体型の制御または維持でのコンプライアンスについて特に有益である。過重量であることに関する疾患の予防における補助に関連する長期的な利点も存在する。
【0055】
ここで使用される用語「代替食」または「代替食品」は、体重減少または体重制御プランの一部として一日の一回以上の従来食を代替することを企図した製品(組成物)を指す;それらは制御されたカロリー含量を有し、一般的に単一の製品または部分として食べられる。
【0056】
用語「含む」は、いずれかの後に記載されるエレメントに制限されることを意味せず、むしろメジャーまたはマイナーな機能的重要性を有する不特定のエレメントを包含することを意味する。言い換えると、記載された工程、エレメント、またはオプションは、排他的である必要はない。用語「含んでいる」または「有する」が使用された際は何時でも、これらの用語は上述の「含む」と同等であることを意味する。
【0057】
本発明に係るスプーンですくえる組成物は、典型的に20℃で以下の特徴を示す:
(a)100から300s−1の間の剪断速度から外挿される50Paより大きい降伏値(降伏応力とも称する)(Bingham)
(b)100から300s−1の間の剪断速度で500mPa.s未満のBingham粘度。
【0058】
降伏応力及びBingham粘度は、Carrimed Rheometerを利用して測定してよい。測定は4℃の円錐と平板の形状を使用して5℃で実施される。剪断ストレスはゼロから60Pa/分の速度で増大し、剪断速度は600s−1を超える値に達するまで測定される。次いで前記測定は終了する。剪断ストレスと剪断速度の関係のグラフをプロットし、100から300s−1の間の剪断速度の曲線に直線をフィットさせる。この直線の傾斜がBingham粘度である。ゼロの剪断速度にこの直線を外挿することによって、降伏応力を測定する。
【0059】
操作例及び比較例を除いて、または他に明白に記載された場合を除いて、物質の量または反応の条件、物質及び/または使用の物理的特性を指摘する本明細書中の全ての数字は、用語「約」によって修飾されるものと解されるべきである。全ての量は、他に特定されていない限り、関連する製品の全重量に基づく重量部である。
【0060】
他に記載がないまたは文脈によって必要とされていない限り、用語「脂肪」及び「オイル」は、ここで互換的に使用される。
【0061】
ここで言及されている満腹感は、食後のより大きいまたは増大された満腹感(満足感)、及び/または食後のより持続的な満腹感を意味する。そのような効果は典型的に、飢餓感を減少し、及び/または人々による食料摂取の間の時間を伸張し、単一または後の着座において消費されるより少ない量の食料及び/またはより少ないカロリーを引き起こし得る。満腹に関してのここでの言及は、食事の終了時の満腹及び食事中の満腹を含む、満足及び満腹として厳密に称されるものの両者を含む。満腹は、「充足」感、飢餓の減少、及び/または食欲の減少として人々によって知覚されても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
胃の粘度
食用組成物は好ましくは、ここで記載される特定の胃の粘度を有する。
【0063】
ここで参照される「胃の粘度」値は、以下に記載される方法による粘度の測定値であり、消費した人の胃の中で達する摂取された食用組成物の粘度をシミュレートするために使用される。本発明による胃の粘度に達した場合、食用組成物の満腹効果が増大される。
【0064】
本発明によれば、食用組成物は、0.1S−1且つ37℃で少なくとも20Pa.s、好ましくは少なくとも25Pa.s、最も好ましくは少なくとも30Pa.s、例えば少なくとも35Pa.sのここで同定される胃の粘度を有する。
【0065】
食用組成物は好ましくは、0.1S−1且つ37℃で500Pa.s、好ましくは400Pa.s、最も好ましくは300Pa.s、特に200Pa.s、例えば100Pa.sのここで同定される最大の胃の粘度を有する。「最大」の用語は、胃の粘度がこの数字以下であることを意味する。
【0066】
ここで参照される胃の粘度は、以下の試験方法によって測定される。胃の粘度は30分後に測定される。
【0067】
胃の粘度試験方法:
1.325mlの食用組成物をビーカー内に配置し、37℃で維持し、例えば磁性スターラーといった適切なスターラーを使用して攪拌する。
2.前記組成物を、1M塩化水素酸を使用してpH4.8に即座に酸性化する。以下の工程3に記載された10mlの胃液を加え、絶食時の胃で見出される条件とする。
3.それぞれ約30分の期間に亘り0.523ml/分の事前設定速度で二つの溶液をデリバリーするように蠕動性ポンプを設定し、食用組成物のpHを30分後に3.4から4.0の範囲内とする。
− 溶液1:1M塩化水素酸と、リットル当たり500kUのペプシンの混合物(Sigma Product No P7012; 活性:mgのタンパク質当たり2,500-3500ユニット)
− 溶液2:以下の塩類(リットル当たり);0.22gのCaCl、2.2gのKCl、5gのNaCl、1.5gのNaHCOからなる人工的胃液混合物。
4.工程2のpHに達した後、110mlの食用組成物を取り出し、24.4mmの半径の測定カップと、22.5mmの半径と67.5mmの長さと先端を有する粗面同心シリンダーとを有するPhysica UDS 200レオメーター(Physica Mebtechnik GmbH, Stuttgart, Germanyから入手可能)を使用して粘度を測定する。前記粗面は、試験中に生じるスリップを防止し、粘度のより正確な測定を提供する。0.1-100Paの範囲に亘り剪断ストレスを段階的に増加し、温度制御ウォーターバスを使用して37℃で温度を維持することによって粘度を測定する。粘度−剪断速度の流動曲線を、食用組成物の特性に依存して、約7乗段階の剪断(〜10-14から10-3−1)に亘りサンプルについて作成する。0.1S−1で37℃での粘度を、これらの流動曲線から採取する。
【0068】
ここで言及される「組成物の粘度」の値は、工程4の方法によって測定された組成物の粘度である。かくして同じレオロジー条件を使用するが、製品の胃の粘度を測定するために使用される酸性化工程に組成物を供することはない。
【0069】
典型的に、代替食飲料は、0.1S−1で37℃で0.005から0.5の範囲の消費前の粘度(即ち「組成物の粘度」)を有する。
【0070】
本発明の食用組成物は、消費された際に、その酸性pHのため胃の中で増粘される液体またはスプーンですくえる組成物である。
【0071】
本発明によれば、食用組成物の胃の粘度は、組成物の粘度よりも大きい。これは前記組成物が、組成物の消費の際に胃の中で生じるであろう酸性化を受けた場合に、0.1S−1で37℃で粘度が増大することを意味する。本発明に記載の制限内の粘度のこの増大は、良好な満足の利益を与えることが見出されている。
【0072】
バイオポリマー増粘剤
前記食用組成物は、組成物の重量に基づいて0.1から5重量%、より好ましくは0.4から4重量%、最も好ましくは0.5から3重量%、特に1から2重量%の量のバイオポリマー増粘剤を含む。バイオポリマー増粘剤が炭水化物である場合、以下に記載される炭水化物の量、及びそこから由来するカロリーは、組成物中に存在するバイオポリマー増粘剤の量に含まれる。
【0073】
好ましくは前記食用組成物は、バイオポリマー増粘剤の一部を少なくとも含むポリサッカリド連続相を含む。ポリサッカリド連続相の相体積は好ましくは、前記食用組成物の全体積の30から60%、より好ましくは35から50%の範囲内である。相体積は、容易に利用可能であるような適切なイメージ分析ソフトウェアーを使用して、共焦点スキャニングレーザー顕微鏡(CSLM)から計算できる。これは、ポリサッカリド連続相中のバイオポリマー増粘剤のパーセンテージを計算するために使用できる。ポリサッカリドの連続相の重量に基づいて、0.5から10重量%、より好ましくは1から7重量%、最も好ましくは1.5から5重量%のバイオポリマー増粘剤を含むことが好ましい。
【0074】
アルギナートは、ポリサッカリド連続相において好ましくは見出されるバイオポリマー増粘剤である。
【0075】
バイオポリマー増粘剤は、非デンプンポリサッカリドを含むことが好ましい。
【0076】
本発明によれば、バイオポリマー増粘剤が、イオン性、特にアニオン性、または中性の非デンプンポリサッカリドまたはそれらの混合物を含む場合に、満腹についての特に良好な結果が得られることが見出された。
【0077】
特に好ましいイオン性非デンプンポリサッカリドは、アルギナート、ペクチン、カラギーナン、アミド化ペクチン、キサンタン、ゲラン、フルセララン、カラヤゴム、ラムサン、ウェラン、インドゴム、アラビアゴム、及びそれらの塩、またはそれらの混合物である。これらの中では、アルギナートが、それら自体で、または他のバイオポリマーと組み合わせて特に好ましい。適切な塩は、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、特にナトリウム、カリウム、カルシウム、またはマグネシウム塩を含む。
【0078】
本発明の一つの特徴点によれば、組成物の全重量に基づいて0.5から3重量%の量のイオン性、特にアニオン性の非デンプンポリサッカリドが好ましい。
【0079】
これらのイオン性非デンプンポリサッカリドは、少なくとも0.5×105、より好ましくは少なくとも1×105、最も好ましくは少なくとも2×105、例えば少なくとも2.5×105の重量平均分子量を有することが好ましい。これらのアルギナートは、5×105まで、より好ましくは4.5×105まで、最も好ましくは4×105までの分子量を有することも好ましい。
【0080】
本発明の一つの実施態様によれば、アルギナート中の全ウロン酸単位の少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、最も好ましくは少なくとも67%のL-グルロン酸含量を有するアルギナートが好ましい。好ましくはアルギナートは、75%までのグルロン酸含量を有する。
【0081】
この実施態様に係る適切なアルギナートは、市場で入手可能なアルギナートProtanal LF5/60(登録商標)(FMC Biopolymer社から入手可能)及びManugel DMB(登録商標)(ISP/Kelco社から入手可能)含む。アルギナートは、L-グルロン酸とD-マンヌロン酸との天然に存在する直鎖状コポリマーである。本発明によれば、そのようなアルギナートを含む組成物は、特に良好な満腹効果を提供することが見出された。
【0082】
前記食用組成物は、別法として中性非デンプンポリサッカリドを含んでも良い。特に好ましい中性非デンプンポリサッカリドは、ガラクトマンナン、グアゴム、イナゴマメゴム、タラゴム、イスパギューラ、β-グルカン、コンニャクグルコマンナン、メチルセルロース、トラガカントゴム、デタリウム、タマリンド、またはそれらの混合物である。これらの中では、ガラクトマンナン、グアゴム、イナゴマメゴム、及びタラゴムが、それら自体として、または他のバイオポリマーと組み合わせて特に好ましい。
【0083】
イオン性非デンプンポリサッカリドと中性非デンプンポリサッカリドの混合物は、本発明に係る粘度の必要条件が満たされる限り使用されて良い。そのような混合物が使用されたならば、中性非デンプンポリサッカリドに対するイオン性非デンプンポリサッカリドの重量比は、好ましくは5:1から1;5、より好ましくは3:1から1:3、例えば2:1から1:2の範囲である。そのような混合物については、アルギナートとグアゴムとの混合物が好ましい。
【0084】
中性非デンプンポリサッカリドは、少なくとも3×105、より好ましくは少なくとも5×105、最も好ましくは少なくとも7×105の重量平均分子量を有することが好ましい。これらのバイオポリマーは、3×106まで、より好ましくは2.5×106まで、最も好ましくは2.3×106までの分子量を有することも好ましい。
【0085】
本発明によれば、前記食用組成物は、少なくとも10の重合度を有する、10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、最も好ましくは2重量%未満の加水分解化デンプンを含むことが好ましい。前記食用組成物は、加水分解化デンプンを実質的に含まないことが特に好ましい。
【0086】
二価金属イオン源
本発明の食用組成物は、二価金属イオン源を含んでも良い。本発明の組成物が、二価金属イオンの存在下でゲル化するイオン性非デンプンポリサッカリドを含む場合、前記イオンの存在は非常に好ましい。
【0087】
いずれかの適切な非可溶化二価金属イオン源が使用されて良い。例えばリン酸酸カルシウム及び炭酸カルシウムといった実質的に水不溶性である二価金属イオン塩が好ましい。
【0088】
非可溶化二価金属イオン源は、その中の別の成分の添加を通じて、例えばコロイド状リン酸カルシウムが存在するであろうミルク源の添加を通じて、前記食用組成物中に存在して良い。
【0089】
二価金属イオン源は、胃の条件下にない場合に製品中に主に溶解していないように、カプセル化によって非溶解性となっていて良い。好ましくは、非溶解化二価金属イオン源は、製品条件下(胃の条件下ではない)で主に不溶性である塩である。二価金属イオン源は、胃の条件下で主に可溶化される。
【0090】
使用される場合、二価金属イオン源は、本発明の胃の粘度を形成するのに十分な量で、好ましくはバイオポリマー増粘剤の重量に基づいて2から30重量%、より好ましくは5から20重量%、最も好ましくは7から15重量%の量で存在する。
【0091】
組成物のタイプ
本発明に係る食用組成物は、液体またはスプーンですくえる組成物である。
【0092】
前記食料組成物は、前述の物理的フォーマットを有するいずれかの所望のタイプであって良い。代替食品のような体重減少または体重制御プランの一部として使用することが企図される食料品が特に好ましい。
【0093】
本発明に係る適切なタイプの食料組成物は、ミルクまたは豆乳飲料のような乳製品または野菜ベースの飲料;水中油型エマルション(ドレッシング及びマヨネーズのような);クリーム;ムース、カスタード、ライス、または他の同様なプリン、ヨーグルト;アイスクリーム、氷菓子、シャーベット、及びフローズンヨーグルトを含む冷凍菓子類;ポリッジのような朝食用のシリアル製品;スープ、ソース、スポーツ飲料、及び果汁等を含む。
【0094】
冷凍菓子類は、それが消費される温度でここでのスプーンですくえる組成物の定義に適合するならば、スプーンですくえる食用組成物であって良い。
【0095】
前記食料組成物は、乳製品または野菜ベースの飲料、デザート、ヨーグルト、またはスープであることが好ましい。代替食用の乳製品または野菜ベースの飲料及びスープが特に好ましい。
【0096】
食料組成物は、例えば水またはミルクといった液体と混合して、本発明に係る組成物を生じるパウダーまたは濃縮物から得られても良い。
【0097】
ここで使用される用語「代替食」または「代替食品」は、体重減少または体重制御プランにおける代替食のの一部とし食べられる組成物、例えばそれら自体では完全な食事を代替することが企図されないが、他のそのような製品と共に使用して食事を代替する、またはさもなければ前記プランで使用することが企図されたスナック製品をも含む;これらの後者の製品は、一回の食事当たり50-200キロカロリーの範囲のカロリー含量を典型的に有する。
【0098】
代替食は一般的に、カロリー制御ダイエットに引き続き勝者によって使用され、特に好ましい本発明に係る食料組成物である。それらは、従来の携帯で制限されたカロリー含量と組み合わせて良好な満腹効果を提供できるのに特に適切であることが見出されている。
【0099】
体重減少または体重制御プランの一部として使用することが企図された他の食料組成物は典型的に、「ノンダイエット」の同等物より一回の食事当たり(または100gの製品当たり)より少ないカロリーを有する。これらの食品のカロリー含量は、したがって故意に制限されている。例としては、毎日の食料の低カロリーオプションと称されるものが含まれる。代替食組成物は一般的に、「フルカロリー同等物」製品ではないためこのカテゴリーには属さず、代替される食事あたりの合理的なカロリー数を提供する必要がある。
【0100】
タンパク質
本発明の組成物は、少なくとも1重量%のタンパク質を含む。
【0101】
本発明で使用して良いタンパク質の好ましい供給源は、全乳、スキムミルク、濃縮乳、蒸発乳、粉ミルク、ノンファット、及びそれらの混合物のような乳製品タンパク源;ホエータンパク質単離物及びホエータンパク質濃縮物のようなホエータンパク質、及びカゼイン;卵タンパク質;ダイズ、コムギ、コメ、またはマメ、及びそれらの混合物のような植物タンパク源;並びにゼラチンを含む動物起源のタンパク質を含む。ダイズ及び乳製品タンパク質は、飲料、プリン等のような乳製品タイプの食料組成物について本発明によって特に好ましく、動物タンパク質は、スープのような食欲をそそる組成物について好ましい。
【0102】
カロリーインパクトを最小化するために、全乳のような食料成分の一つの要素としてよりはむしろ、タンパク質そのものを添加することが特に好ましい。この点で、ホエータンパク質濃縮物、ミルクタンパク質濃縮物、ナトリウム及び/またはカルシウムカゼイナートのようなカゼイナート、ダイズタンパク質濃縮物の一つ以上のようなタンパク質濃縮物が好ましい。
【0103】
タンパク質は、単離されたタンパク質として、タンパク質濃縮物として、またはタンパク質加水分解産物として存在して良い。
【0104】
タンパク質は、適切なようにパウダーとしてまたは塊としてを含む、食用組成物のタイプに依存して、いずれかの適切な物理的形態で含まれてよい。パウダーソースは典型的に、感覚刺激的特性のため、本発明に係る使用のために最も適している。
【0105】
組成物中のタンパク質の量は、組成物のタイプに従って変化し、必要な場合、国家的または地域的法律に従って変化するであろう。
【0106】
前記組成物は、組成物の重量に基づいて少なくとも1.5重量%のタンパク質を含むことが好ましい。好ましくは前記組成物は、1.5から25重量%、好ましくは2から20重量%の量でタンパク質を含む。
【0107】
前記タンパク質は、組成物の全カロリーの75%まで、より好ましくは10%から45%の間、最も好ましくは15から40%の間を提供することが更に好ましい。
【0108】
炭水化物
本発明の組成物は、好ましくは炭水化物を含む。
【0109】
炭水化物は好ましくは、組成物の重量に基づいて2から60重量%、より好ましくは5から40重量%の量で存在する。
【0110】
食料組成物中の炭水化物の量は、組成物に従って変化し、必要であれば、国家的または地域的法律に従って変化するであろう。ここに記載される炭水化物の量、及びそれから由来するカロリーは、組成物中に存在するいずれかの炭水化物バイオポリマーの量に含まれる。
【0111】
いずれかの適切な炭水化物が、食料組成物中に含まれて良い。適切な例として、米粉、小麦粉、タピオカ粉、タピオカデンプン、及び全小麦粉、変性デンプン、またはそれらの混合物に含まれるようなデンプンが含まれる。一般的に食用組成物は天然で甘味を有し、これは炭水化物の供給源として好ましい。適切な天然甘味料は、砂糖、及びスクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、マルトース、ガラクトース、コーンシロップ(高フルクトースコーンシロップを含む)、糖アルコール、マルトデキストリン、高マルトースコーンシロップ、デンプン、グリセリン、ブラウンシュガー、及びこれらの混合物のような糖源を含む。
【0112】
砂糖及び糖源の濃度は、食用組成物の重量に基づいて好ましくは40重量%まで、好ましくは5から20重量%の糖固体濃度を引き起こす。最適な成分として、以下に記載される人工甘味料も、炭水化物源の全部または一部として使用されて良い。
【0113】
前記組成物は好ましくは、0.1から10重量%、より好ましくは0.2から7.5重量%、最も好ましくは0.5から5重量%、特に1から3.5重量%の食物繊維の全体量を含む。これらの量は、食物繊維である組成物に存在するいずれかのバイオポリマー増粘剤を含む。バイオポリマー増粘剤に加えて、本発明の食用組成物に含まれて良い適切な繊維源は、イヌリンのようなフルクトースオリゴサッカリド、ダイズファイバー、例えばリンゴといった果物ファイバー、オートムギファイバー、セルロース、及びこれらの混合物を含む。
【0114】
食用組成物中の炭水化物の全量は、組成物中の全カロリーの10から80%、より好ましくは25から75%を提供することが更に好ましい。
【0115】
脂肪
本発明の組成物は、組成物の重量に基づいて好ましくは30重量%まで、より好ましくは0.1から20重量%、最も好ましくは0.2から10重量%、特に0.5から5重量%の脂肪の量で、食用脂肪を含む。
【0116】
本発明によれば、食用組成物中のキロカロリーの50%以下が、好ましくは脂肪から提供される。キロカロリーの40%以下、より好ましくは5から20%が脂肪から提供されるのがより好ましい。
【0117】
脂肪の量は、組成物によって変化し、必要であれば国家的または地域的法律によって変化するであろう。
【0118】
例えば魚油を含む動物性脂肪、植物油、ナッツ油、タネ油を含む植物性脂肪、またはそれらの混合物といったいずれかの食用脂肪が使用されて良い。モノ不飽和及び/またはポリ不飽和の脂肪及びそれらの混合物が特に好ましいが、味覚の理由のため、例えばバターといった飽和脂肪が使用されて良いが、これらの健康上少ないことが好ましい。好ましいポリ不飽和脂肪は、オメガ3脂肪酸、特にドコサヘキサン酸(DHA、C20:5)及び/またはエイコサペンタン酸(EPA、C22:5)を含む。好ましいオメガ3脂肪酸は、C18:3、C18:4、C20:4、C20:5、C22:5、及びC22:6を含む。
【0119】
好ましくは脂肪は、植物性脂肪、例えばココアバター、イリペ、シェア、パーム、パームケルネ、サル、ダイズ、サフラワー、コットンシード、ココナッツ、レイプシード、キャノーラ、コーン、及びヒマワリオイル、リノール酸及び共役リノール酸、リノレン酸、を含むトリ及びジグリセリドオイル、並びにこれらの混合物から選択される。
【0120】
水性ベースの組成物
本発明の組成物は水を含む。好ましくは組成物中の水の量(他の成分に存在するいずれかの水を含む)は、20から95重量%、より好ましくは30から90重量%の範囲である。
【0121】
ゲル強度
本発明によれば、液体またはスプーンですくえる食用組成物が、一定量のタンパク質とバイオポリマー増粘剤とを含み、以下に記載される一定のゲル強度を有する場合、有利な満腹効果が得られることが見出された。
【0122】
本発明に係る食用組成物は、37℃且つpH2で、少なくとも10KPa、好ましくは少なくとも11KPa、最も好ましくは少なくとも15KPa、例えば少なくとも20KPaのゲル強度を有する。
【0123】
前記食用組成物は好ましくは、37℃且つpH2で、100KPa、好ましくは50KPaのここに記載される最大ゲル強度を有する。
【0124】
ここで参照されるゲル強度の値は、本発明の組成物の消費の際にヒトの胃において形成されるゲルの強度の測定値である。本発明に記載されるゲル強度の達すると、食用組成物の満腹効果が増大する。
【0125】
ここに参照されるゲル強度は、37℃での大きな変形レオロジーを使用して、以下の試験法によって測定される。
【0126】
ゲル強度試験方法:
1.食用組成物のサンプルを、十分量のグルコソ−デルタ−ラクトン(食料グレードの酸味料)を食用組成物と混合し、以下に記載される鋳型において2時間後に2のpHを生ずるように調製する。グルコノ−デルタ−ラクトンを、37℃で磁性スターラーといった適切なスターラーで攪拌しながら前記組成物に添加する。次いで混合溶液を、約12mm×12mmの事前に準備したテフロン(登録商標)鋳型(オリーブオイルを塗っておく)に注ぐ。
2.前記サンプルを37℃で2時間インキュベートし、次いで鋳型から取り出す。
3.Instron Universal Testing Machineを使用して平板圧縮試験を実施する。0.01kNのロードセルと10mm/分のクロスヘッド速度を使用して前記実験を実施する。ストレス=力/領域、及びひずみ=変位/初期長を用いて、サンプルの寸法を使用して真のストレス(Pa)/ひずみのプロットに力変位データを変換し、Pa単位でのゲル強度の結果を与える。サンプルの破壊前の最大ストレスからゲル強度を測定した。
【0127】
任意成分
本発明の食用組成物は、以下の任意成分の一つ以上を含んで良い。
【0128】
本発明の組成物は、腸内で主に放出されるカプセル化満腹剤を更に含んでも良い。適切な満腹剤は、脂質、特にモノ、ジ、またはトリグリセリド、それらの遊離脂肪酸、それらの食用塩、胃腸の酵素の存在下で加水分解可能なそれらの非グリセリルエステル、及びそれらの混合物を含む。これらの満腹剤は、いずれかの適切な架橋化カプセル剤でカプセル化されていても良く、それによってそれらは主に腸で放出される。ゼラチンと、アラビアゴム、カラギーナン、アガーアガー、アルギナート、またはペクチンとを含むカプセル材料、特にゼラチンとアラビアゴムを含むものが、非常に適切であることが見出された。これらのカプセル化満腹剤は、適切な量で含まれてよい。
【0129】
前記組成物は、一つ以上の乳化剤を含んで良い。たとえばレシチン、卵黄、卵由来の乳化剤、モノ、ジ、またはトリグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、あるいはモノ、ジ、またはトリグリセリドといった適切な乳化剤を使用して良い。前記組成物は、製品の重量に基づいて0.05から10重量%、好ましくは0.5から5重量%の乳化剤の量を含んで良い。
【0130】
穏やかで好ましい香りを与える量で、前記食用組成物に香料を添加することが好ましい。香料は、典型的に使用される市販の香料のいずれかであって良い。食欲をそそらない味が所望される場合、典型的に香料は、ココア、ピュアバニラ、または人工香料、例えばバニリン、エチルバニリン、チョコレート、モルト、ミント、ヨーグルトパウダー、エクストラクト、スパイス、例えばシナモン、ナツメグ、及びジンジャー、及びそれらの混合物等の各種のタイプから選択される。多くの香料のバリエーションが、基本的な香料の組み合わせによって得られて良い。食欲をそそる味が所望される場合、香料はハーブ及びスパイスの各種のタイプから典型的に選択される。適切な香料は、食塩のような調味料、及び擬似果物またはチョコレート香料を、単一でまたはいずれかの適切な組合せで含んでも良い。ビタミン及び/またはミネラル及び他の成分からの好ましくない味をマスクする香料が、前記食用組成物に好ましくは含まれる。
【0131】
前記食用組成物は、所望されるような従来量で、一つ以上の従来の着色料を含んでも良い。
【0132】
前記組成物は、組成物の全重量に基づいて60重量%までの果実または野菜粒子、濃縮物、ジュース、またはプーリを含んで良い。好ましくは前記組成物は、0.1から40重量%、より好ましくは1から20重量%のこれらの成分を含む。これらの成分の量は、製品のタイプに依存するであろう。例えばスープは典型的に、ミルクに基づく代替食飲料よりも高い野菜の濃度を含むであろう。
【0133】
前記組成物は、組成物の重量に基づいて0.1から5重量%の食用緩衝塩を含んでも良い。いずれかの適切な食用塩が使用されて良い。
【0134】
前記組成物は、従来量で一つ以上のコレステロール低化剤を含んで良い。例えばイソフラボン、フィトステロール、ダイズ抽出物、魚油抽出物、お茶の葉抽出物といったいずれかの適切な既知のコレステロール低化剤が使用されて良い。
【0135】
前記組成物は、適切な量で、例えばカフェイン、フラボノイド(お茶カテキン、カプサイシノイド、及びカニチンを含む)といった(食後の)エネルギー代謝と基質利用性に有益に影響する一つ以上の薬剤を任意に含んで良い。
【0136】
前記組成物は、組成物の重量に基づいて10または20重量%までの、添加ビタミン、添加ミネラル、ハーブ、スパイス、抗酸化剤、防腐剤、またはそれらの混合物から選択されるマイナー成分を含んでも良い。好ましくは前記組成物は、これらの成分の0.05から15重量%、より好ましくは0.5から10重量%の量を含む。
【0137】
前記組成物は好ましくは、ビタミンAパルミタート、チアミンモノニトラート(ビタミンB1)、リドフラビン(ビタミンB2)、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、d-カルシウムパントテナート(ビタミンB5)、ビタミンB6、ビタミンB11、シアノコバラミン(ビタミンB12)、ビオチン、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンD、トコフェリルアセタート(ビタミンE)、ビオチン(ビタミンH)、及びビタミンKの少なくとも一つから選択される添加ビタミンを含む。前記組成物はまた好ましくは、カルシウム、マグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ヨウ素、マンガン、モリブデン、リン、セレン、及びクロムの少なくとも一つから選択される添加ミネラルを含む。ビタミン及び/またはミネラルは、ビタミンプレミックス、ミネラルプレミックス、及びそれらの混合物の使用によって添加されて良く、または別法としてそれらは個々的に添加されて良い。
【0138】
カルシウムは好ましくは、体重減少のためのエネルギー制限食における使用のために企図された食料に関する1996年2月26日のEuropean Commission Directive 96/8/ECに記載された一回の食事当たり5から50%、より好ましくは約10から35%、最も好ましくは15から35%の量で前記食用組成物に存在する。いずれかの適切なカルシウム源が使用されて良い。前記カルシウム源は、非可溶化二価金属イオン源として存在するいずれかのカルシウムの一部としてまたは全部として使用されて良い。
【0139】
前記食用組成物は、特に食用組成物の一回の食事当たりすくなくとも300mg、好ましくは400-1000、最も好ましくは450-700mgの量でカリウムを含むことが好ましい。いずれかの適切なカリウム源が使用されて良い。
【0140】
前述のビタミン及びミネラルの一つ以上は、上記European Commission Directive 96/8/ECに記載された量の5から45%、特に5から40%、とりわけ10から30%の量で好ましくは存在する。
【0141】
前記組成物中に存在して良い他の成分は、ロールドオート、チョコレートチップ、または他のチョコレートピース、クッキー、及び/またはクッキー生地のピース、フルーツピース、例えばドライクランベリー、リンゴ等、植物ピース、例えばコメ、ハチミツ、及び酸味料、例えばリンゴ酸及びクエン酸を含むが、それらに制限されない。食用組成物のタイプは、使用される任意成分のタイプ及び量をもちろん支配するであろう。
【0142】
カロリー/一回分の食事サイズ
前記食用組成物は好ましくは、一回の食事当たり50キロカロリー(kcal)から500kcal、より好ましくは100kcalから400kcalの範囲のカロリー含量を有する。生かしながら、一回の食事当たりのカロリー含量は、食用組成物のタイプによって変化するであろうと解されよう。乳製品またはダイズベースの飲料またはプリンでは、カロリー含量は典型的に、一回の食事当たり50kcalから400kcal、より好ましくは100または150kcalから350kcal、最も好ましくは200kcalから350kcalの範囲である。スープについては、カロリー含量は典型的に、50kcalから350kcal、より好ましくは100kcalから250kcalの範囲である。これらの製品は、食事を代替するために(代替食品)または食事を代替することを企図しないスナック製品として消費されて良い。
【0143】
前記食用組成物が代替食品であるならば、一回の食事当たりのカロリー含量は典型的に、150から350kcalの範囲である。食用組成物がスナック製品として食されることを企図した製品(即ちそれ自体全食を代替するために企図されるものではない)であるならば、一回の食事当たりのカロリー含量は典型的に、50から150Kcalの範囲である。
【0144】
食用組成物の一回の食事のサイズは、組成物のタイプに依存するであろう。ここで言及される食用組成物の一回の食事は、典型的に一回分の着席で、単一の部分として消費されることを企図した食用組成物の量を指す。飲料及びスープについては、典型的な一回の食事のサイズは、100から500ml、好ましくは150から400ml、例えば200から350mlの範囲である。プリンについては、典型的な一回の食事のサイズは、785gから300g、好ましくは100gから250g、例えば125gから200gの範囲である。
【0145】
製造
本発明の組成物は、いずれかの適切な従来技術によって調製されて良い。そのような技術は当業者に周知であり、ここで更に記載する必要はないが、混合、ブレンド、均一化、高圧均一化、乳化、分散化、または押出しを含んで良い。前記組成物は、例えば低温殺菌またはU.H.T.処理と言った熱処理工程に供されても良い。
【0146】
満腹と組成物の消費
本発明に係る組成物の消費は、消費者の満腹感の増大及び/または長期化、及び/または食事の間の時間間隔の伸張、及び/またはその後の食事において消費されるカロリー量の減少を企図するものである。これはひいては、体重減少または体重制御プランに良く適合することに関心ある人々を補助する。本発明に係る組成物の消費は、体重を減少または制御するもののようなダイエットプランの一部として生じて良い。
【0147】
本発明の食用組成物は、所望されるように消費されて良い。好ましくは組成物は、有利な満腹効果を提供するために少なくとも毎日、より好ましくは少なくとも一日二回消費される。
【0148】
前記食用組成物は、肥満症または過重であることの治療または予防;体型の知覚の改良または維持;食事プランに従うことの補助、例えば以前の体重減少に引き続く所望の体重の維持を含む体重の制御、減少、または維持;食事を取る間に存在する時間の伸長;空腹感の抑制の一つ以上と関連して、ヒトまたは動物によって消費されて良い。かくして当該プランに引き続く主題は、例えばより長期的な期間食事プランを継続することによって、及び/またはスナックまたは過食に対する衝動をより感じずに前記プランにより緊密に接することによって、体重を減少、制御、または維持することがより可能であって良い。
【0149】
ここで使用される用語「体重制御または体重減少プラン」は、体重をコントロールすることに先行する、及び医学的理由、例えば体重を失うこと、または過重であることや肥満症に負に影響する他の健康上の問題を補助することに先行する摂生、プラン、及びダイエットを含む。
【0150】
本発明は、以下の実施例によって更に例証され、それらは非制限的なものであると解されるべきである。本発明の範囲内にある更なる実施例は、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0151】
実施例1
1.75%のProtanal LF5/60(登録商標)(69%のL-グルロン酸を有するアルギナートで1.0-1.2×105の重量平均分子量、FMC Biopolymer社から入手可能)を、325mlの飲料が5.69gのアルギナートを含むように、以下に記載の方法により、市販の代替食飲料(US SlimFast(登録商標) Chocolate Royale Ready-to-drink飲料、同じバッチの缶で市販)に添加した。前記代替食飲料は、約6.6gのタンパク質を含んだ。
【0152】
缶を振り、開口し、計量し、Wolffフードプロセッサーに供した。アルギナート、ラクチュロース(5g、腸移動時間の計算のために添加する)、及びリン酸三カルシウム(アルギナートの重量に基づき10重量%)をブレンドし、環境温度で2分間1500rpmの速度で混合した。次いで混合物を真空処理し、更に5分間混合した。Wolffジャケットを60℃の内容物となるまでスチームで加熱し、この温度で15分間1500rpmで混合した。次いで前記混合物をUHT植物プレミックスタンクに注ぎ、更なる加工の間ゆっくりと攪拌した。UHT加工を78-85℃に加熱することによって実施し、140℃で9秒間滅菌処理し、均一化工程なしで二つの工程で9℃に冷却した。次いで飲料を、約1.0-1.5kgを含む滅菌透明バッグに充填した。次いでサンプルバッグを使用まで5-7℃で貯蔵した。
【0153】
前記食用組成物の胃の粘度を、発明の詳細な説明で上述されたゲル強度試験に従って測定した。0.1s−1且つ37℃での胃の粘度は40Pa.sであった。前記胃の粘度は前記食用組成物の粘度より大きかった。
【0154】
Protanalは、共焦点顕微鏡とRaman分光光度計によって組成物のポリサッカリド連続相に存在することが測定された。ポリサッカリド連続相中のProtanalの量を、容易に利用可能である適切なイメージ分析ソフトウェアーを使用して、共焦点スキャニングレーザー顕微鏡(CSLM)によって見積もり、ポリサッカリド連続相の重量に基づいて、約4.05重量%であった。
【0155】
前記食用組成物の満腹効果を、以下の試験条件を使用して25人のヒトのボランティアで試験した。彼ら自身の自宅で標準的な朝食を消費した後、ボランティアを午前11:30に研究センターに集めた。前記食用組成物を12:00に消費し、消費前と試験食の消費後5時間で満腹感を測定した。VARS(Visual Analogue Rating Scale)問題を使用して、満腹パラメーター(充足感、飢餓感、食欲))数を測定した。
【0156】
コントロール試験食も、違う日に同じボランティによって消費してもらった。コントロール試験食は、アルギナートとリン酸三カルシウムの添加がない同じ市販の代替食飲料であった。
【0157】
図1は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された満腹を示す。
【0158】
図2は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された充足感を示す。
【0159】
図3は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された飢餓感を示す。
【0160】
図4は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された食欲を示す。
【0161】
図5は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された間食欲(スナック)を示す。
【0162】
図6は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された甘食欲を示す。
【0163】
統計的な分析を、Dunnet試験によって実施した。満腹スコアの曲線の下部の領域を測定し、全てのパラメータを回帰分析を使用して分析した。
【0164】
全ての満腹パラメータ(満腹感、飢餓感、充足感、食欲、間食欲)は、1.75%のProtanal LF5/60(登録商標)とコントロール試験食の間でP<0.05で有意に相違する。
【0165】
上記の結果は、本発明の組成物が、他の組成物と比較して満腹効果の点で有意な統計的改善を有することを示す。
【0166】
実施例2
以下の表1に記載の処方によって、コントロール組成物を調製した。全ての重量は、コントロール組成物の全重量に基づいて重量パーセンテージとして示されている。
【0167】
【表1】

【0168】
コントロール組成物を以下のように調製した。水を50℃に加熱し、事前混合スキムミルクパウダー(SMP)、化成ナート、及びスクロースを添加して混合した。この混合物を55℃に加熱し、15分間Ultra-Turraxで混合した。事前加熱脂肪相(>60℃)(オイル、レシチン、および乳化剤)を添加し、2分間混合した。この混合物を2段階;100/40バール(Niroホモジェナイザー:スループット〜14kg/時;バック圧4バール)で均一化し、スモールUHTライン(145度での加熱/維持部分、72℃での冷却部分)を使用して滅菌した。サンプルを250mlのバトルにフローキャビネットで充填し、アイスバスで冷却した。
【0169】
1.0%のManugel DMB(登録商標)(72%のL-グルロン酸含量を有するアルギナートで、2.83×105の重量平均分子量、ISP/Kelcoから入手可能)を、325mlの組成物が3.25gのアルギナートを含むように、以下に記載の方法によってコンとトール製剤に添加した。これは本発明に係る組成物を提供した。SMPは、アルギナートの重量に基づいて8.32%の濃度で非可溶性二価金属源(SMP中に天然に存在する各種の塩の混合物であった)を提供した。
【0170】
コントロール組成物を磁性スターラーを使用して攪拌し、Manugel DMB(登録商標)アルギナートを室温で溶液にまいた。次いで前記組成物を80℃で10分加熱し、次いで温度を37℃に下げ、連続攪拌しながら2時間維持した。
【0171】
コントロール組成物は約7.9gのタンパク質を含んだ。
【0172】
アルギナートを含む組成物の胃の粘度を、詳細な説明で上述の胃の年度試験によって測定した。0.1s−1且つ37℃での胃の粘度は600Pa.sであり、それは前記食用組成物の粘度より大きかった。
【0173】
食用コントロール組成物に対するManugel DMB(登録商標)アルギナートの添加は、共焦点顕微鏡とRaman分光光度計によって測定されたポリサッカリド連続システムを生じた。
【0174】
前記食用組成物の満腹効果を、以下の試験条件を使用して12人のヒトのボランティアで試験した。ボランティアを一晩絶食し、24時間前からアルコールを控え、18時間前からカフェインと激しい運動を控えさせた。Latin Squares法に従って試験食をランダムとした。食事の消化前と消化後4時間で満腹試験を実施した。試験食の消化後2時間で、500mlの水を消化した。その結果は、数多くの時点で満腹スコア(飢餓感、充足感、食欲)について統計的に有意であった(図参照)。
【0175】
図7は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された充足感を示す。
【0176】
図8は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された飢餓感を示す。
【0177】
図9は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された食欲を示す。
【0178】
表2:1%のManugel DMB(登録商標)とコントロール食を比較した標準化試験時間のシリーズ曲線の下部の領域についてのWilcoxon Signed Ranks試験から得たP値
【表2】

【0179】
上述の結果は、本発明の食用組成物が、コントロール組成物と比較して試験被験者における満腹効果について統計的に有意な改良を有することを示す。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された満腹を示す。
【図2】図2は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された充足感を示す。
【図3】図3は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された飢餓感を示す。
【図4】図4は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された食欲を示す。
【図5】図5は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された間食欲(スナック)を示す。
【図6】図6は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された甘食欲を示す。
【図7】図7は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された充足感を示す。
【図8】図8は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された飢餓感を示す。
【図9】図9は、本発明の組成物とコントロール食の消費の後の経時的な被験者の報告された食欲を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1重量%のタンパク質と、pH2から4の間で変性または加水分解しない0.1から5重量%のバイオポリマー増粘剤とを含む水性液体またはスプーンですくえる食用組成物であって、0.1s−1且つ37℃で少なくとも20Pa.sの胃の粘度を有し、更に前記胃の粘度が組成物の粘度より大きい組成物。
【請求項2】
0.1s−1且つ37℃で少なくとも35Pa.sの胃の粘度を有する、請求項1に記載の食用組成物。
【請求項3】
0.1s−1且つ37℃で200Pa.sの最大胃の粘度を有する、請求項1または2に記載の食用組成物。
【請求項4】
バイオポリマー増粘剤の部分を少なくとも含むポリサッカリド連続相を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の食用組成物。
【請求項5】
ポリサッカリド連続相が、ポリサッカリド連続相の重量に基づいて0.5から10重量%のバイオポリマー増粘剤を含む、請求項4に記載の食用組成物。
【請求項6】
バイオポリマー増粘剤が非デンプンポリサッカリドを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の食用組成物。
【請求項7】
バイオポリマー増粘剤がイオン性非デンプンポリサッカリドを含む、請求項6に記載の食用組成物。
【請求項8】
イオン性非デンプンポリサッカリドが組成物の重量に基づいて0.5から3重量%の量で存在する、請求項7に記載の食用組成物。
【請求項9】
イオン性非デンプンポリサッカリドがアルギナート、ペクチン、カラギーナン、アミド化ペクチン、キサンタン、ゲラン、フルセララン、カラヤゴム、ラムサン、ウェラン、インドゴム、アラビアゴム、及びそれらの塩、またはそれらの混合物を含む、請求項7または8に記載の食用組成物。
【請求項10】
アルギナートがアルギナート中の全ウロン酸単位の少なくとも60%のL-グルロン酸含量を有する、請求項9に記載の食用組成物。
【請求項11】
アルギナートが少なくとも0.5×105の分子量を有する、請求項9または10に記載の食用組成物。
【請求項12】
バイオポリマー増粘剤が中性非デンプンポリサッカリドを含む、請求項6に記載の食用組成物。
【請求項13】
中性非デンプンポリサッカリドがガラクトマンナン、グアゴム、イナゴマメゴム、タラゴム、イスパギューラ、β-グルカン、コンニャクグルコマンナン、メチルセルロース、トラガカントゴム、デタリウム、タマリンド、またはそれらの混合物を含む、請求項12に記載の食用組成物。
【請求項14】
中性非デンプンポリサッカリドが少なくとも3×105の重量平均分子量を有する、請求項12または13に記載の食用組成物。
【請求項15】
非可溶化二価金属イオン源を更に含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の食用組成物。
【請求項16】
非可溶化二価金属イオン源がバイオポリマー増粘剤の重量に基づいて2から30重量%の量で存在する、請求項15に記載の食用組成物。
【請求項17】
2から20重量%のタンパク質を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の食用組成物。
【請求項18】
20から95重量%の量で水を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の食用組成物。
【請求項19】
体重減少または体重制御プランにおける使用のための代替食または他の食料品である、請求項1から18のいずれか一項に記載の食用組成物。
【請求項20】
食用組成物を消費する人に対して増大した満腹感を提供することにおける、及び/または体重減少または体重制御プランに直面していることを補助するための、及び/または肥満症を予防または治療する方法における使用のための、少なくとも1重量%のタンパク質を含み、0.1s−1且つ37℃で少なくとも20Pa.sの胃の粘度を有し、更に前記粘度が組成物の粘度より大きい水性液体またはスプーンですくえる食用組成物の製造における、pH2から4の間で変性または加水分解しないバイオポリマー増粘剤の使用。
【請求項21】
少なくとも1重量%のタンパク質と、pH2から4の間で変性または加水分解しない0.1から5重量%のバイオポリマー増粘剤とを含む水性液体またはスプーンですくえる食用組成物であって、0.1s−1且つ37℃で少なくとも20Pa.sの胃の粘度を有し、前記胃の粘度が組成物の粘度より大きい食用組成物をヒトまたは動物に投与する工程を含む、ヒトまたは動物において満腹を誘導するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−503822(P2007−503822A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525063(P2006−525063)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009287
【国際公開番号】WO2005/020718
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】