説明

溝付の能動及び受動吸着フィルタ

本発明は、性能を改良し、必要であれば一体型フィルタに複数の濾過機能を組み込むことによって、粒子状物質及び気相汚染物質のような汚染物質を、汚染されやすい電子又は光学機器のような閉じた環境から濾過するためのデバイスに関する。濾過機能には、受動吸着フィルタが含まれる。その上、筐体内部に所望される機能に応じて、再循環フィルタ、拡散チューブ、及び外部実装機能をフィルタに付与できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染の影響を受けやすい電子機器又は光学機器(例えばコンピュータディスクドライブ)のような制限された環境から、粒子状物質又は気相汚染物質のような汚染物質を濾過するための器具に関する。詳しくは、このフィルタアセンブリは、機器内部から発生した汚染物質、及び必要に応じて機器に進入する注入空気からの汚染物質を濾過する。
【背景技術】
【0002】
敏感な装置を内含する多くの筐体は、装置が適切に動作するよう非常に清浄な環境を維持しなければならない。例として以下の筐体が挙げられる:機械的、光学的、又は電気的動作と干渉しうる粒子状物質及び気体汚染物質に対して敏感な光学表面又は電気接続;粒子、有機気体、水分及び腐食性気体に対して敏感な、コンピュータハードディスクドライブのようなデータ記録デバイス;薄膜及び半導体ウェーハの加工;並びに粒子、水分の蓄積及び腐食に加えて、流体及び気体からの汚染に対して敏感でありうる、自動車及び工業用途に使用されるもののような電子制御機器。そのような筐体における汚染は、筐体の内側及び外側の両方に由来する。例えばコンピュータハードドライブでは、損傷は外部汚染物質に加えて内部源から発生する粒子及び気体からも起こりうる。ここでは、「ハードドライブ」、「ハードディスクドライブ」、「ディスクドライブ」、「ドライブ」を便宜上使用することとし、これらは汚染に敏感な装置又は材料のための任意の筐体を含むものと理解する。
【0003】
ディスクドライブは、周囲環境に見出されかつドライブに侵入しうる、多数の汚染物質から保護しなければならない。このことは、取り外し可能でかつ任意の環境に持ち運び可能なドライブ、例えばラップトップコンピュータ又はパーソナルコンピュータメモリーカード国際協会(PCMCIA)スロットで使用されるディスクドライブ、あるいは通常のデータ処理環境で使用されないであろう他のドライブに特に当てはまる。ゲームシステム、家庭用ビデオレコーダ、自動車のマッピングシステム及び他の用途で使用されるドライブは、標準的なデスクトップコンピュータ用途よりも苛酷な環境を乗り切らなければならない。
【0004】
汚染は様々な形態で起こりうる。例えば、ディスクドライブは塩素及び二酸化硫黄のような腐食性イオンに影響を受けやすく、湿度変化にも敏感な場合がある。従って様々な故障機構が存在する。コンピュータディスクドライブにおける、汚染に関係する重大な故障機構の1つは、静止摩擦又は「吸着」である。ヘッド−ディスク界面に平行な粘性抵抗が増大しつつディスクが定常状態にあると、ドライブヘッドのディスクへの付着が増大して吸着が生じる。新しい高密度ディスクはより滑らかであり、かつ潤滑剤の比較的薄い層を含むために、汚染物質起因の吸着により敏感である。ディスク上の汚染物質は表面エネルギーを変化させ、ヘッド及びディスク間の付着力を増大させて吸着を引き起こす。また吸着は、ヘッドとディスクのすき間に凝縮する気体によっても引き起こされる。持ち運び可能なコンピュータ用のより小さいディスクドライブ、及び家庭用ビデオレコーダのような他の用途に使用される低騒音ドライブについて使用される、低エネルギー・低トルクモーターは、吸着に関連する故障に対してさらに敏感である。
【0005】
汚染に関係する他の重大な故障機構はヘッドクラッシュである。ヘッドクラッシュは粒子がヘッド−ディスク界面に入り込んだときに起こりうる。現代の高密度ドライブの動作中にヘッド及びディスク間の間隔又は浮遊高さは30ナノメートル以下である。回転速度がドライブの可能な最大データ転送速度に影響するため、現代のディスクドライブの回転速度は増加している。いくつかの最近のドライブは15,000回転/分で動作し、将来のドライブはより高速度を使用することになると思われる。このような高速度及び低浮遊高さの場合、サブミクロン大の粒子であっても問題となる場合があって、粒子の上を浮遊した後に粒子又はディスクへのヘッドの衝突を引き起こし、ドライブを突然故障状態に至らしめる。また粒子はデータの完全性及びドライブの機械的信頼性に悪影響を及ぼす場合もあり、これをサーマルアスペリティ(thermal asperity)ということが多い。
【0006】
またディスクドライブは湿度変化にも影響を受けやすい。静電気が増加する、あるいは潤滑剤の厚さ又は機能が低下する場合があるため、低湿度は問題となる。しかしながら高湿度では、腐食が促進され潤滑剤が膨潤しうる。有機又は酸性気体の汚染物質から保護するのと比べて、湿度からドライブを保護するためには非常により多くの吸着材を必要とする。従って、湿度変動からの緩衝が必要なドライブは大量の吸着材を必要とする。
【0007】
汚染に関連する故障を防ぐために、様々なフィルタデバイスが使用されている。例えば、粒子がディスクドライブに入らないようにするフィルタデバイスが周知である。そのいくつかは、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、又は他のいくつかの材料のハウジングによって所定位置に保持されたフィルタ媒体からなる。他のものは、1層又は複数層の感圧接着剤を利用した自己接着性ディスク形状のフィルタ媒体からなる。いくつかのフィルタは筐体内の通気口を覆って実装及び封止され、ドライブに進入する空気から粒子状物質を濾過する。フィルタ媒体が高い濾過効率を有することだけではなく、空気流又は圧力損失に対して低抵抗であることにも濾過性能は左右される。圧力損失が高すぎると、フィルタを通って進入する代わりにガスケット、ねじ穴又は他の継ぎ目を通って濾過されない空気が筐体内に漏入する。そのようなフィルタは、外部由来の粒子状物質にはよく機能する場合があるが、気相汚染物質から生じる問題には対処しない。
【0008】
内部粒子フィルタ、すなわち再循環フィルタもまた周知である。これらフィルタは通常、ポリエステル不織裏地材に積層された延伸PTFE膜のようなフィルタ媒体の小片である。他の再循環フィルタは、エレクトレット(すなわち静電性)フィルタ媒体を含む「枕型(pillow-shaped)」フィルタである。これらのフィルタは、スロット又は「C」溝に圧入でき、コンピュータハードディスクドライブの回転するディスクの近く、又は電子制御キャビネットのファンの前などのような、能動的な空気流の中に配置される。代わりに、再循環フィルタ媒体をプラスチックフレームに入れてもよい。再循環フィルタは内部的に発生した粒子の粒子状物質除去によく機能するが、気相汚染物質の問題には対処せず、またドライブに進入する外部粒子からの保護も提供しない。
【0009】
内部吸着フィルタも周知であり、Sassaらの米国特許第4830643号に一例が記載されている。この特許は、粉末、粒子状又はビーズ状の吸着材又は吸着材混合物が外部の延伸PTFEチューブ内に封入されている、吸着フィルタを教示している。このフィルタは、W.L. Gore & Associates, Inc., Elkton, Marylandが製造し、GORE−SORBER(登録商標)モジュールの商品名で市販されている。第2の周知の内部吸着アセンブリは、Dauberらの米国特許第5593482号に記載されている。第3の内部吸着アセンブリは、2層のフィルタ媒体間に活性炭/PTFE複合体のような吸着材層を組み込んである、あるいは代わりにフィルタ媒体層に包まれており、再循環フィルタを取り付ける多くの方法でスロット又は「C」溝の間に取り付けることができるが、フィルタを通る大量の空気流を伴わない。そのようなフィルタはDauberらの米国特許第5500038号に記載されている。
【0010】
既知の内部吸着フィルタは気相汚染物質の吸着にはよく機能するが、粒子状物質を非常に良好に濾過するわけではない。粒子のフィルタへの何らかの衝突によって(すなわち粒子を含んだ空気をフィルタの周りにある速度で移動させつつ、大きい粒子を吸着フィルタに衝突、又はぶつけることによって)、又は粒子をフィルタ上に拡散することによって、これらのフィルタは粒子を収集できる。しかしながら、これらのフィルタは標準的な再循環フィルタと同等に近い性能を発揮しない。標準的な再循環フィルタは、ふるい(大きすぎてフィルタの空孔構造を通過できない粒子の機械的捕捉)、衝突(大きすぎてフィルタ又はフィルタ繊維の周りの曲がった空気流に追従できない粒子の捕捉)、遮断(空気流に追従する傾向があるが、依然としてフィルタ繊維を遮断するのに十分に大きい粒子、言い換えると直径が繊維と空気流線との間の距離以下である粒子の捕捉)、及び拡散(不規則なパターンで空気分子に叩かれて、フィルタ繊維と接触して収集されるより小さい粒子の捕捉)の組み合わせにより機能する。
【0011】
気相汚染物質に加えて内外部源の両方からの粒子を除去する必要があるため、コンビネーション吸着ブリーザフィルタが開発された。これらは、ポリカーボネート、ABS又は同様の材料のカートリッジに吸着材を充填し、フィルタ媒体をカートリッジの一端又は両端に固定し、カートリッジを容器壁の穴の上に配置することによって作ることができる。これらのフィルタは、粒子及び気体汚染物質を含んで進入する空気、並びに内部的に発生した気体汚染物質を含む内部空気を効果的に清浄にする。フィルタは内側にあるため、ドライブの汚染物質はフィルタの吸着材区域内に拡散する。このようなフィルタの例が、Osendorfの米国特許第4863499号(活性チャコール顆粒で含浸した層を有するフィルタ媒体を用いた、ディスクドライブ用の非拡散化学ブリーザ)、Beckらの第5030260号(延在する拡散経路を備えたアセンブリを含む、ディスクドライブブリーザフィルタ)、Brownらの第5124856号(有機及び腐食性汚染物質に対して保護するための、含浸活性炭素フィルタを用いた一体型フィルタ媒体)、及びBrownらの第5447695号(化学ブリーザフィルタアセンブリ)に記載されている。残念なことに、これら設計の多くは大きすぎて、今日の小型化したドライブの空間の多くを占めてしまう。
【0012】
第2のコンビネーション吸着ブリーザフィルタもまた周知であり、このフィルタは、2層のフィルタ媒体の間に含浸活性炭ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)複合体層のような吸着材が封入されており、1層又は複数層の感圧接着剤を用いて筐体の穴の上に適用される。これらのフィルタはある程度良好に機能し、現在の小さいドライブに使用できる大きさであって、ドライブに進入する空気を濾過するように通常設計されている。従って、この吸着材は通常外部環境からの有機及び腐食性気体の両方を吸着するように主に設計され、またドライブに進入する又はドライブから離れる空気からの粒子状物質のみを濾過する。内部的に発生した気体及び水分もこれらのフィルタが吸着しうるが、吸着ブリーザフィルタの大きさをより小さくできるように、他のより大きな内部吸着フィルタと一緒に使用されることが多かった。従ってそのようなフィルタは、内部的に発生した全ての汚染物質を十分に吸着するだけの吸着材を含まない場合があり、上述したように、ドライブ内部の湿度を良好に制御するのに十分な吸着材を含まないのが通常である。この場合も粒子がドライブ内部でも発生するが、これらフィルタで通常は捕捉されない。
【0013】
他の周知のコンビネーションフィルタは、上述の再循環フィルタの内側に吸着層を追加した吸着再循環フィルタである。これらはドライブ内部に置くと粒子及び気体を濾過できるが、粒子及び気体がドライブに進入することを制限しない。そのためこのフィルタは、進入する汚染物質がフィルタに収集される前にドライブヘッド又はディスクと接触することを可能にしてしまう。
【0014】
さらに、塩素及び二酸化硫黄のような腐食性化合物を吸着するためには、通常塩で処理した吸着材で汚染物質を化学吸着する。しかしながら、既知のフィルタを脱イオン水で洗浄するとこれらの塩が大量に放出される場合があり、そのためこれらのフィルタは敏感なディスクドライブ環境に許容されない。
【0015】
洗浄可能な吸着再循環フィルタが、Dauberらの米国特許第5538545号に記載されており、ここでは延伸PTFE膜又は他の疎水性材料が吸着材を封入するために使用される。しかしながら、空気がドライブに進入する時点でこれらフィルタはその空気を濾過しないため、その空気は粒子を堆積してドライブにダメージを与える機会を有している。
【0016】
単一のドライブに、様々な機能を備えたいくつかのフィルタを組み合わせることが教示されている。例えば、Beecroftの米国特許第5406431号には、ドライブ内部の特定位置に吸着ブリーザ及び再循環フィルタを含んでいる、ディスクドライブ用フィルタシステムが記載されている。また、Beckらの米国特許第4633349号には、ブリーザフィルタを取り囲む再循環フィルタアセンブリにデュアル媒体ドラム型フィルタエレメントを含んでいる、ディスクドライブフィルタアセンブリが教示されている。さらに、Boltonらの米国特許第4857087号には、ブリーザフィルタを再循環フィルタハウジングに組み込むことが教示されているが、この特許は非常により多くの部品を有し、ハウジング、開口部及びガスケットを備えた第3のフィルタエレメントを組み合わせてこの内包物を実現している。これら特許に記載された組み合わせでは、ディスクドライブの別々の領域にフィルタ部品が位置するか、あるいはドライブ内部に構成部品を配置するための嵩張る固定具が組み込まれる。
【0017】
さらに多機能の嵩張らない組み合わせもまた教示されている。これらには、再循環フィルタ、ブリーザフィルタ及び吸着フィルタを一体化して単一の一体型フィルタにした、Voightsの米国特許第6266208号、ブリーザフィルタ、吸着フィルタ及び再循環フィルタを剛直なアセンブリフィルタに組み込んだ、Azarianらの米国特許第6238467号、ブリーザフィルタ、吸着フィルタ及び再循環フィルタを成形したフィルタに組み込んだ、Gidumalの米国特許第6296691号、並びに再循環フィルタ及びブリーザフィルタを任意選択の吸着フィルタと一緒に薄型接着構造体に組み込んだ、Dauberの米国特許第6395073号が含まれる。Dauberによる最後のフィルタ設計を除いた全てはかなりの大きさのフィルタであって、2.5インチラップトップデバイスのような小さいドライブや、現在市販されている及び/又は設計中のより小さい1.8インチドライブ、1.0インチドライブ及び0.85インチドライブには適していない。
【0018】
ディスクドライブがより小さくてより安価になるにつれ、コストを低減し性能を向上するためには、ドライブにおける簡素化及び部品数の削減が必要である。しかしながら、ドライブの記憶データ密度及び容量が増大すると、湿気に対してより敏感になることを含め、粒子状物質及び気体汚染物質により敏感になる。
【0019】
現存する濾過手段はこれらの厳しい濾過要求に合致しないことが多い。これら小さいドライブに取り付けるために大きさが最も適している薄型吸着ブリーザフィルタ及び薄型多機能フィルタは、フィルタを通る空気流を必要とするために吸着材含量を犠牲にしなければならない。このように吸着材含量を犠牲にすると、非常に高密度の吸着媒体を用いて空気流が制限されるか、あるいは空気流を維持するため低密度の吸着媒体を用いるがそのために吸着容量が制限されていた。2つの最近の発明はこの欠点を克服することを試みている。Kurokiらの米国特許第6683746号では、吸着媒体の空気バイパスを可能にして空気流が増大するが、吸着媒体をバイパスする空気が多すぎると吸着性能が低下しうる。Uekiらの米国特許第6712887号は、吸着媒体に溝を用いて空気流を増大するが、対応していないフィルタ層を通る空気流がさらに制限されるとその機能性が限られる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0020】
ある態様では、本発明は、筐体内部の汚染物質を除去するための吸着アセンブリであって、接着剤;底面、上面、及び少なくとも1つの側面を有する吸着媒体;及び該吸着媒体を被覆するフィルタ媒体を含んでなり、該フィルタ媒体が該吸着媒体の該上面及び少なくとも1つの側面に隣接し、該吸着媒体が少なくとも1つの溝を含む。この態様では、前記少なくとも1つの溝の深さが、好ましくは少なくとも約1ミル(0.025mm)、より好ましくは少なくとも約5ミル(0.127mm)、最も好ましくは少なくとも約10ミル(0.254mm)である。
【0021】
他の態様では、本発明は、流体注入口/排出口を備えた筐体内部の汚染物質を除去するための吸着ブリーザフィルタであって、接着剤;底面、上面、及び少なくとも1つの側面を有して、該口と流体が連通する状態である吸着媒体;並びに該吸着媒体を被覆するフィルタ媒体を含んでなり、該フィルタ媒体が該吸着媒体の該上面及び少なくとも1つの側面に隣接し、該吸着媒体が該フィルタ媒体と隣接する少なくとも1つの溝を含む。この態様では、前記少なくとも1つの溝の深さが、好ましくは少なくとも約1ミル(0.025mm)、より好ましくは少なくとも約5ミル(0.127mm)、最も好ましくは少なくとも約10ミル(0.254mm)である。
【0022】
さらに別の態様では、本発明は接着剤の層に隣接する底面を有する吸着媒体を提供する。
【0023】
さらに別の態様では、本発明は多孔質ポリマー膜を含むフィルタ媒体を提供する。この態様では、多孔質ポリマー膜は好ましくは疎水性であり、より好ましくは、多孔質ポリマー膜にはPTFE膜が含まれる。
【0024】
他の態様では、本発明は多孔質ポリマー膜に配置されたエレクトレット粒子フィルタ層を含むフィルタを提供する。
【0025】
他の態様では、本発明はエレクトレットフィルタ層を含むフィルタ媒体を提供する。
【0026】
さらに別の態様では、本発明はPTFE及び吸着材を含む吸着媒体を提供する。この態様では、吸着材で充填されたPTFE膜を吸着媒体が含むのが好ましい。
【0027】
さらに別の態様では、本発明は成形された吸着媒体を提供する。
【0028】
さらなる態様では、本発明は吸着材を含浸した不織布を含む吸着媒体を提供する。
【0029】
他の態様では、本発明は、ファイバースクリムの少なくとも1つの面に配置された粒状材料を含む吸着媒体を提供する。
【0030】
さらに別の態様では、本発明は物理吸着材を含む吸着媒体を提供する。この態様では、物理吸着材が、活性炭;活性アルミナ;モレキュラーシーブ;シリカゲル及びこれらの組み合わせからなる群から好ましくは選択される。
【0031】
さらに別の態様では、本発明は化学吸着材を含む吸着媒体を提供する。この態様では、好ましくは化学吸着材が、過マンガン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び硫酸カルシウム、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの物質で含浸した材料である。
【0032】
さらなる態様では、本発明は、底面、上面及び少なくとも1つの側面を有する吸着媒体を提供し、該吸着媒体は、該吸着媒体の側面、該上面又は該底面に少なくとも1つの溝を含む。
【0033】
他の態様では、本発明は2つ以上の溝を含む吸着アセンブリ又はブリーザフィルタを提供する。この態様では、溝が平行であってもよく、放射状パターンを形成又は交差していてもよい。
【0034】
さらに別の態様では、本発明は、吸着媒体が2つ以上の層を含んでいる、吸着アセンブリ又はブリーザフィルタを提供する。
【0035】
さらに別の態様では、本発明は、吸着アセンブリ又はブリーザフィルタを提供し、ここで、吸着媒体は少なくとも1つの溝を有する第1層及び該第1層に隣接する第2層を含み、該第1層の該少なくとも1つの溝が該第2層と隣接するように、該第1及び該第2層が配置される。この態様では、該第2層が少なくとも1つの溝を含んでもよく、該第1層の該少なくとも1つの溝が該第2層の該少なくとも1つの溝と面するように、該第1層及び該第2層が配置されてもよい。
【0036】
さらなる態様では、本発明は第1及び第2層を含む吸着媒体を有する、吸着アセンブリ又はブリーザフィルタを提供し、該第1層及び該第2層は頂部及び谷部を形成する溝を含み、該第1層の該谷部が該第2層の該頂部と重なるように、該第1層及び該第2層が配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の吸着アセンブリフィルタ及び吸着ブリーザフィルタは、溝付の吸着媒体層、接着剤及び吸着媒体を被覆するフィルタ層を含む。ここで使用する吸着アセンブリフィルタとは、筐体から汚染物質を除去するように適合しているフィルタである。ここで使用する吸着ブリーザフィルタとは、フィルタに進入する空気から少なくとも何らかの汚染物質をそのフィルタが除去するように、開口部又は口を有する筐体での使用に適合している吸着フィルタである。吸着媒体表面の溝により濾過性能が向上する。フィルタ層は、溝付の吸着媒体の上面及び少なくとも1つの側面に隣接する。好ましくは、接着剤には、フィルタをドライブに取り付けるための接着層が含まれる。
【0038】
本発明は、2、3又はそれ以上のフィルタによって発揮されることの多かった濾過機能を、良好に機能し、取り付けが容易で、清浄で、かつ洗浄が可能な単一のフィルタに集約する。その上、当業者が容易に理解するように、1つ又は複数のガスケット、又は振動緩和材料のような追加の構成部品を含んで、最終アセンブリに必要な構成部品数をさらに低減することもできる。本発明の全実施態様に共通であるものは、最大の吸着容量及び良好な吸着性能を維持しながら良好な空気のアクセス及び空気流を可能にする、少なくとも1つの表面、及び多くの場合複数の表面に溝が形成された、非常に高密度の吸着媒体である。
【0039】
フィルタは、ドライブ筐体壁の内部又は外部の適当な位置にフィルタを取り付けるために、1層又は複数層の接着剤を含んでもよい。必要に応じてフィルタがドライブハウジング内の注入口拡散チューブ又は流路を覆ってもよく、あるいはフィルタが完全に拡散チューブを包含してもよい。進入する空気の粒子を濾過するためのフィルタ媒体層は、接着剤に対して実質的に積層した関係にされる。1層又は複数層の、任意選択のフィルタ媒体を再循環空気の濾過のために備えていてもよい。複数の表面に溝を有する1層又は複数層の吸着媒体を、接着剤及びフィルタ層の間又はフィルタ媒体層間に配置して、気体汚染物質を含んだ進入する空気流及び再循環する空気流のうち、一方又は両方を濾過する。未濾過の注入口空気がそのフィルタを通る可能性がなければ、フィルタを適当に分割して注入口空気用及び再循環空気用の流路としうる。
【0040】
吸着媒体は粒状活性炭のような1層以上の100%吸着材を含んでもよく、あるいは空隙を充填する吸着材と複合させた多孔質ポリマー材料の骨格のような、充填された製品マトリクスであってもよい。他に可能なものには、吸着材含浸不織物又はスクリム上の吸着ビーズが含まれ、この場合、不織物又はスクリムはセルロース又はポリマーであってよく、かつラテックス又は他のバインダーに加えて、多孔質鋳造物又は吸着材タブレット、及びポリマーもしくはセラミックであるフィラーを含んでもよい。吸着媒体は様々な種類の吸着材、フィラー及びバインダーの混合物であってもよい。
【0041】
適した吸着材には、物理吸着材(例えばシリカゲル、活性炭、活性アルミナ、モレキュラーシーブなど)、化学吸着材(例えば過マンガン酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、ヨウ化カリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、粉末金属又は気相汚染物質を捕集するための他の反応性物質)に加えて、これらの物質の混合物が含まれる。いくつかの用途では、多層の吸着材を使用することが望ましい場合があり、この場合、異種の汚染物質がフィルタを通過するとき又は筐体内部から放出されうるときに、その異種の汚染物質を選択的に除去するために、各層が異種の吸着材を含有している。
【0042】
吸着媒体は、Mortimer, Jr.の米国特許第4985296号(参照することにより本明細書の一部とする)が教示する、網状PTFE構造体内部に吸着材が取り込まれた吸着材充填PTFEシートを使用することが好ましい。最も好ましくは、コアに含有される活性物質量を最大にするために、互いの周囲に散在する、異なる大きさの粒子を用いて、複相性(例えば二相性又は三相性)であるように粒子を詰め込んで、粒子間の有効な空隙を可能な限り多く充填する。また、この技術は大量の吸着材を単一層に充填することも可能にする。その後、吸着材担持量及び密度を最大にするために、コアを圧縮してもよく、又は層状にして圧縮してもよい。従来は、空気流が吸着媒体を通らねばならず、空気流を可能にするためにその材料の延伸を必要としたが、本発明を用いると、材料を圧縮して複数表面に溝を形成でき、良好な空気流、良好な吸着性能、並びに最大の吸着材担持量及び密度が可能となる。
【0043】
本発明で使用可能な吸着層の他の好ましい実施態様は、特開平4−323007号で詳細が説明されている。
【0044】
ある態様の吸着媒体は、吸着媒体表面に窪み又は谷部を形成する溝を含む。谷部は、吸着媒体表面から突出した頂部と対照をなす。ここで使用する頂部又は谷部は、吸着媒体の溝形成から生じる任意形状であってもよい。例えば、溝は正方形、楕円形、三角形又は本発明から逸脱しない他の任意形状であってよい。溝の大きさ及びパターンも用途に応じて様々であってよい。溝のパターンには、平行、放射状、及び十字又は交差パターンが含まれてもよいが、これらに限られない。
【0045】
ある態様の吸着媒体は多数の層を含んでもよい。これらの層は、溝を含む1以上の層を含んでもよい。ある層の溝付表面が他の層の溝付表面と隣接するように、あるいは反対となるように、これら溝付の層を配置してもよい。隣接する層の溝の位置合せは、不規則であってもよく、整列していてもよく、あるいは整列していなくても(unaligned)よい。溝の大きさは吸着層間で様々であってよい。例えば、吸着媒体が2つの層を含んでおり、各層が四角形の溝を含んでもよい。この四角形の溝を、第1の吸着層の頂部が第2の吸着層の谷部と揃うように整列してもよい。
【0046】
ここに記載して説明する実施態様では、接着剤はフィルタを筐体壁に実装する実装接着層であるのが通常である。しかしながら接着層は異なる構造を有していてもよい。接着層は、単層の転写可能な接着剤であって、ポリエステル又はポリエチレンのような担持体又は基材上にコートされる片面接着剤、あるいはこの説明で記載するように担持体又は基材上にコートされる両面接着剤のいずれかであってよい。好ましい接着剤として、PSTC#1(Pressure Sensitive Tape Council)に従って測定したときに30オンス/インチより大きい強剥離力であり、ASTM−E595−84に従って測定したときに再凝集物質量比(CVCM)0.1%未満の低アウトガスであって、無溶剤・非発塵のアクリル系永久感圧接着剤を利用する。取り扱いがより容易なため、両面接着テープも特定の構造体に好ましい場合があり、基材はフィルタ構造体に支持及び剛直さを追加する。これら要求を満たす市販の接着剤は、Minnesota Mining & Manufacturing, Minneapolis, MNから入手できる3M 444接着剤である。他の接着剤、例えばホットメルト接着剤、UV硬化性接着剤、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又は他の硬化性もしくは活性化可能な接着剤なども適している。さらに、拡散チューブを必要とする場合、米国特許第5417743号に記載される接着剤を使用できる。拡散チューブを組み込んだここに記載する多くの用途では、第2の接着層を第1の接着層の上に重ね合わせる。この第2層もまた単に接着性であればよいが、片面接着剤(すなわち担持体又は基材の片面に接着剤を有する接着剤)又は両面接着剤が、取り扱い及び加工の容易さから好ましい。
【0047】
接着剤を保護してフィルタの取り扱いを容易にするために、ディスクドライブハウジングに取り付ける前に、露出した接着層に1つ以上の剥離ライナーを付着してもよい。剥離ライナーはディスクドライブ筐体にフィルタを組み立てる前に通常は除去される。
【0048】
吸着材を被覆するためにPTFE膜フィルタ材料を使用でき、これは濾過膜として機能する。吸着層を封止するためのそのような好ましいフィルタ媒体の1つは、Bacinoらの米国特許第4902423号(参照することにより本明細書の一部とする)に従って作られた、延伸PTFE膜の層である。このフィルタ媒体は、織物、不織物、又は延伸した多孔質材料、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミドなどの層によって構造的に支持されていてもよい。このフィルタ媒体にはいくつかの利点がある。このフィルタ媒体は、空気流の抵抗が10.5フィート/分(3.2メートル/分)で0.5mmH2O未満と透過性を非常に高くすることができ、それでもなおフィルタ内部に吸着粒子を含有している。
【0049】
TSI Inc., Minnesotaから入手できるTSI 8160 効率試験装置で測定した、この高延伸膜の粒子濾過効率もまた非常に良好(例えば0.3μmで55%を超える)であり、吸着材を包含しつつ良好な粒子濾過を提供する。好ましい支持層は、Reemay, Inc., Old Hickory, Tennesseeから入手できる、1.0オンス/平方ヤードのReemay 2014 ポリエステル不織物である。
【0050】
好ましくは吸着層を被覆又は封止するための、及びより好ましくは再循環フィルタを用いた実施態様で使用するための、第2のフィルタ媒体は、GORE−TRET(登録商標)再循環フィルタの商品名で、W.L. Gore and Associates, Inc.から完成したフィルタ形状で入手できる、静電摩擦エレクトレット材料の層である。この図示例は図14の層67である。この媒体の利点は、効率が非常に高くて(例えば0.3μmで90%を超える)、同時に非常に透過性(例えば10.5フィート/分、すなわち3.2m/分で1mmH2O未満)であることである。この媒体は脱イオン水で洗浄されている間は電荷を失うが、異種繊維の混合物の摩擦電気効果に起因して乾燥すると速やかに元の効率に回復する。
【0051】
他のフィルタ材料も使用できる。これらは、空気流に対する高効率及び低抵抗を生み出す、他のエレクトレット又は他の摩擦エレクトレット材料であってよい。またこれらは、他のフィルタ紙又はフィルタ膜、例えばポリプロピレン膜もしくはキャストポリマー膜又はフィルタ材料のいくつかの組み合わせであってもよい。必要とされる要求性能に応じてフィルタ層を使用する、及び/又は必要に応じて使用する場合はいつでも、異種の特性を備えた異種のフィルタ材料を本発明の別の実施態様で使用できる。
【0052】
フィルタに耐久性を付加するため、及び摩擦エレクトレット型フィルタ媒体又は膜フィルタ媒体用のフィルタ支持媒体のいずれかから飛び出している繊維を封じ込めるために、外部保護層を使用することもできる。典型的には、この外部保護層は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステルなどのような押出又は延伸プラスチック材料である。好ましい材料は、DelStar Technology, Inc., Middletown, DEから入手できる、Delnet 0707 延伸ポリプロピレン材料である。
【0053】
吸着層を覆うフィルタ材料としてPTFE膜を使用すると、多くの追加の利点がこの改良されたフィルタ構造体に付与される。第1にPTFEは疎水性である。この業界で使用されるいくつかの吸着材は、活性炭のような物理吸着材を含浸するために水溶性の塩を使用した、活性表面積の大きい化学吸着材である。しかしながら、水溶性の化学吸着塩はフィルタを洗浄すると除去されてしまう。PTFE膜で炭素層を被覆することにより、最終部品は防水性で洗浄可能となり、水はその部品と接触することができるが、吸着材に浸透できない。
【0054】
コンピュータディスクドライブのような腐食されやすい装置についての主な懸念事項がイオン汚染であるために、洗浄可能であることは重要である。塩素及び二酸化硫黄のような問題のイオンは容易に水中に溶解するため、脱イオン水を用いて洗浄することはドライブ内部に使用される多くの構成部品について日常的に行われている。また、一次検査に合格しなかったドライブを再生することはこの業界で一般的であり、ドライブハウジングの洗浄が再生に含まれることが多い。従って、吸着剤を封止するためにPTFEフィルタ層を利用する実施態様では、水溶性の塩処理した吸着剤を使用でき、吸着の有効性を失わずに洗浄に耐えることができる。また、吸着フィルタをハウジングから取り外すことを必要とせずに、再生を行うことができる。このように洗浄可能とするには、吸着層を取り囲むために(接着剤などのような不透過性層と一緒に)疎水性フィルタ材料を用いる。この出願で使用する「疎水性」とは、フィルタ材料が、従来の洗浄工程、例えば加熱、撹拌、超音波などの条件に耐えるのに十分な、水(又は界面活性剤を使用する場合はそれを含む水)についての進入圧力を有していることを意味する。
【0055】
上述のPTFE膜は疎水性であって洗浄できる一方で、同時にその気体透過率は高く、そのため空気中の汚染物質が膜を通って吸着媒体内に速やかかつ容易に拡散される。またPTFE膜は非常に良好な濾過効率を有するようにでき、このことはブリーザフィルタ及び吸着ブリーザフィルタ用途に特に有利である。典型的な膜は米国特許第3953566号に従って作ることができる。そのような膜の濾過効率を0.3ミクロン大の粒子で99.97%、透過性又は面速度を水圧0.5インチ(1.27cm)で7フィート/分(3.56cm/秒)とすることができる。この膜は、W.L. Gore and Associates, Inc.から完成したフィルタ形状で市販されている。
【0056】
さらにPTFEは、PTFE材料内部に吸着粒子を機械的に捕捉する吸着バインダーとして使用できる、非発塵性・非アウトガス性の不活性バインダーである。このように捕捉するため、製造中及びフィルタ寿命中の吸着材の発塵が効果的に低減する。この材料は、米国特許第4985296号に記載するような、比較的薄くて高担持量の材料にすることもできる。PTFE/吸着複合体は、溝形成前の厚さを0.001インチ未満〜0.400インチ又はそれ以上とすることもできる。このことによって、完成したフィルタ厚さ及び吸着材担持量を非常に自由にできる。さらに、完全密度の80〜95%に近い吸着材密度は、マルチモデルパッキング(multi-model packing)及び物理的圧縮を用いて可能であり、吸着材を最大量単位体積に詰め込める。アクリル、溶融プラスチック樹脂などのようなバインダーと違って、PTFEは吸着材の空孔を塞がない。
【0057】
本発明は、2、3又はそれ以上のフィルタによって発揮されることの多かった濾過機能を、良好に機能し、取り付けが容易で、清浄で、かつ洗浄が可能な単一のフィルタに集約する。その上、1つ又は複数のガスケット、又は振動緩和材料のような追加の構成部品を含んで、最終アセンブリに必要な構成部品数をさらに低減することもできる。本発明の実施態様に共通であるものは、最大の吸着容量及び良好な吸着性能を維持しながら良好な空気流及び/又は吸着材の汚染物質へのアクセスを可能にする、1つ又は複数の表面に溝が形成された、非常に高密度の吸着媒体である。
【0058】
本発明は、小型、清浄、低アウトガス(すなわち、85℃、4時間で通常20,000ng/g未満)、低発塵(すなわち、液体パーティクルカウンターを用いて試験したときに、100ミクロン大の粒子が通常50個/平方センチメートル未満)の一体型吸着アセンブリ又はブリーザフィルタを提供し、また特にフィルタが疎水性PTFE膜を含む場合は、必要に応じて洗浄可能である。本発明は、任意の適当な種類の吸着材が利用可能であり、粒子及び危険気体汚染物質について内外部源の両方から空気を濾過する場合の選択的性能に合わせて調整できる。必要な濾過及び吸着を実現するために複数の従来部品を用いることと比較して、単一ユニットとしたため、その多機能フィルタは取り付け時間を最小限にする。ブリーザ部品の性能を改良するために、フィルタをさらに任意選択の拡散チューブと組み合わせてもよい。ディスクドライブを密閉する手段を提供するために、フィルタをさらにガスケットと組み合わせてもよい。本発明の多機能フィルタは、通常の対流、拡散手段、付属ファン又はこれらの組み合わせにより空気が動く場合のフィルタに使用できる。
【0059】
Dauberの米国特許第5417743号及びTumaらの米国特許第5997614号に記載されているように、吸着ブリーザフィルタと一緒に拡散チューブが含まれてもよい。ドライブ筐体に進入する前に空気が進行する曲がりくねった又はより長い経路を作り出す、拡散チューブの形状の拡散バリアを提供することによって、拡散チューブは、ブリーザ開口部を通ってドライブに進入する気体汚染物質(湿気を含む)に対する追加の保護を提供する。拡散チューブは、筐体内部(及び/又はフィルタの位置によっては吸着媒体)に到達する汚染物質数を低減し、湿度時間定数、すなわち環境との湿度平衡に到達するのに必要な時間を長くする。便宜上ここで使用する「拡散チューブ」とは、従来の曲がりくねった経路を指す場合があり、あるいは進入する空気がフィルタに進入する前に通過する、曲がりくねっていない空洞を指す場合がある。
【0060】
本発明の別の実施態様では、通常行われるフィルタの内側実装又は内部実装とは反対に、フィルタを外部表面に又は外側から実装することもできる。これは、吸着アセンブリ又は吸着ブリーザ濾過機能のいずれについても可能である。
【0061】
図1を参照すると、ドライブ筐体ハウジング41の内壁に実装したフィルタを見下ろした状態で示される、本発明の多機能フィルタアセンブリ40のある実施態様の上面透視図が示されている。図2に、ディスクドライブ筐体ハウジング41に実装された状態で示される、本発明のフィルタアセンブリ40の他の実施態様の側方横断面図を示す。空気流の経路は21に示される。接着層42はフィルタ40をハウジング41に実装し、空気流が接着層を通過するための穴又は開口部45を備えている。層44はフィルタ媒体である。層43は吸着媒体である。この実施態様では、吸着媒体43は上面47及び底面46に溝を有する単層吸着媒体である。ここで使用する吸着媒体の底面とは開口部に近接する又は面している側である。上面は底面の反対である。第2の任意選択のフィルタ媒体層26は、フィルタ媒体が吸着媒体43を封止するように配置されている。このフィルタ媒体は取り付け中に粒子がドライブに進入することを防ぐため、そのような粒子が発生しうる吸着媒体にこの構造体は望ましい。その上フィルタ媒体が疎水性であれば、このフィルタは洗浄可能である。
【0062】
図3に、図1のフィルタアセンブリが組み込まれたコンピュータハードディスクドライブの追加の特徴部を示す。通常ドライブ内部に存在する追加の構成部品が示されており、例えば回転する磁気記憶ディスク11、読み書きヘッド12及びそのヘッドを移動するためのアーム(armatures)13である。回転するディスク11はディスクドライブ内部の空気を循環又は再循環する原動力である。
【0063】
図4A及び4Bに、複数の表面に溝を有するある実施態様の側方横断面図及び上面図をそれぞれ示し、ここでは上面及び底面に溝を有するように示されている。図4Aに示すように、フィルタ40は接着層42を含み、接着層42はその層を通って切り抜かれた穴45を備えている。上面47及び底面46に溝を有する吸着層43が接着層42に重ね合わさっている。フィルタ層44は吸着層を被覆し、かつ接着層42に接着している。
【0064】
当業者にとって当然のことながら、所望するフィルタ構造に応じて、接着剤には感圧接着剤層、1つの基材上の両面接着テープ、又は複数の基材上の多面接着剤が含まれてもよい。また接着剤には、感熱性もしくはUV硬化性、又は他の硬化性接着層が含まれてもよい。空気が筐体の穴及び接着層42の穴45を通ってドライブハウジングに進入するように、穴45は筐体の穴と位置合せされている。こうして空気は、吸着層の底面溝に沿って通過し、フィルタ層44を通り抜けるか、あるいは吸着媒体の側面に沿ってその後フィルタ媒体44を通り抜ける前にさらに吸着媒体の上面溝に沿って通過することになる。
【0065】
図5A及び5Bに、底面46及び側面48に溝があるフィルタアセンブリ40の他の実施態様の側方横断面図及び上面図をそれぞれ示す。これらの層は、図4A及び4Bに示したものと同様である。
【0066】
図6A及び6Bに、上面47、底面46及び側面48に溝を有する他の実施態様の側方横断面図及び上面図をそれぞれ示す。同様にこれらの層も、図4A及び4Bについてそれぞれ定義したものと同様に定義される。
【0067】
図7、8、9及び10に、上面及び底面に溝が使用されている吸着層について、いくつかの可能な溝パターンを示す。これらは可能性を網羅したものでは決してなく、説明する目的で示すものである。各図で吸着媒体にある溝は頂部及び谷部を形成している。図7は溝が先端で整列しているパターンを示す。図8は溝が正方形で整列しているパターンを示す。図9は溝が先端で整列していないパターンを示し、図10は溝が波形部で整列していないパターンを示す。追加のパターンも容易に想像され、上面の先端及び底面の正方形で整列したパターンのような混合パターンも使用できる。
【0068】
図11A及び11Bに、拡散チューブが吸着ブリーザフィルタ40に含まれる本発明の別の実施態様の、側方横断面図及び上面図をそれぞれ示す。層30、31及び32は両面接着剤であって、層30及び32は担持層31上にコートされた接着剤である。接着剤及び担持層30、31及び32は、これらを通って切り抜かれた穴又はスロット35を備えており、一端でディスクドライブ筐体壁41の穴36と位置合せされる。層33及び34は片面接着層を形成し、このとき層34は担持層33の接着剤となる。層32の上に、切り抜かれた穴37を備えた層33及び34を重ね合わせ、かつ、穴36の上に位置合せされた端部とは反対の穴35の端部に重ね合わせる。吸着層43はこの場合上面47、底面46及び側面48に溝を有する吸着層であって、穴37の上に重ね合わされかつ層34の部分の上にさらに延在する。層44は良好なブリーザ濾過効率のための高効率膜のようなフィルタ層であって、吸着層43を被覆し、かつ接着層34と接着する。
【0069】
図12は、本発明物を外側に実装した、本発明の別の実施態様の側方横断面図である。ここでフィルタ40は、上に示したような内側の代わりに、筐体壁41の外側に実装されている。層51は切り抜かれた穴56を有する接着層であり、単に接着剤であってもよく、あるいは上述の両面接着層であってもよい。また層51は筐体壁41の通気穴45の上に配置されている。フィルタ層53は、接着層51と接触し、吸着層43に積層又は接着されていてもよく、進入する空気の粒子状物質を濾過し、かつ炭素粒子がドライブに進入することを防ぐ。吸着層43は上面46及び底面47に溝を有して示されている。層52は、炭素を環境から保護しかつ炭素を保持する空気不透過性層である。フィルタ40は、開口部56及び45を通るアクセスによってドライブ内部の空気から汚染物質を除去し、また不透過性層52の穴55を通り、さらにフィルタを通ってドライブ内部へ通り抜ける空気から汚染物質を除去する。穴55を穴45及び56からオフセットしてもよいが、オフセットが必要な訳ではない。ここでは外部実装フィルタを平坦な筐体壁41に実装した状態で示しているが、フィルタを取り付けた際にフィルタの外側表面が外壁表面と同一平面となるように、筐体壁41を窪ませてフィルタを実装してもよい。そのような場合、必要に応じて、不透過性層52をフィルタ自身の代わりに外壁表面に実装することが可能な場合もある。必要であれば、層を積層して使用することによって、あるいは追加の接着剤又は接着層を用いることによって、吸着層43及び不透過性層52の間などに、さらに任意選択のフィルタ層を挿入してもよい。
【0070】
図13A及び図13Bに、本発明の追加の実施態様の側方横断面図及び上面図をそれぞれ示す。ここでは、フィルタが図12の実施態様と同様に筐体壁の外側に実装されているが、図11A及び11Bの実施態様と同様に拡散チューブ特徴部の中にフィルタが構築されている。フィルタ70は外側の筐体表面41に適用される。接着層42は同様に接着剤の層であってよく、あるいは穴56が筐体壁41の穴45と揃うように、穴56が切り抜かれて適用された両面接着層であってもよい。フィルタ層53は、接着層42と面して進入する空気の粒子状物質を濾過し、及び吸着層43の炭素粒子を保持する。この図では吸着層は上面、底面及び側面に溝を有している。層58は吸着層43を覆う不透過性層である。必要に応じてフィルタの組立を補助するために層58の各面に接着剤があってもよい。例えば接着剤が接着層51と面する側にあるならば、接着層51は必要に応じて片面接着剤であったとしてもよい。穴64は層58を通って切り抜かれ、外部から炭素へ、そして最終的に筐体内へと空気流が通過することを可能にする。層59、60及び61は両面接着剤であり、層59及び61は担持体60の両面にある接着剤である。穴又はスロット穴62は層59、60及び61を通って切り抜かれ、不透過性層58を通る穴64と一端が揃っている。次に不透過性層57が層61に配置される。必要に応じて層61は不透過性層57の接着層であってよく、また層59及び60は片面接着剤であってよく、こちらも同様に構造体の設計可能性が柔軟であることを示す。穴63は不透過性層57に切り抜かれ、穴又はスロット62と揃えられ、穴64が揃っているのと反対端の穴又はスロットと揃えられている。
【0071】
図14は、構造体の一部として再循環フィルタが含まれている、本発明の別の実施態様の側方横断面図である。この図の構造体は、別のフィルタ層67がフィルタ層44を覆って配置されていることを除き、図2に使用したものと同じである。フィルタ層67は通常、より多くの空気流がその層を通ることが可能なより開放した層であり、粒子を含んだこの層を通過する空気を清浄にする性能は向上している。ドライブ内部のディスクが回転すると、空気がドライブ内部を回って再循環し、そのような開放フィルタ層は通常再循環フィルタとして使用されて、粒子を含んだ筐体内部を清浄にする。必要に応じて層44及び67を単一層に組み合わせてもよい。その単一層は、再循環空気がその層を通って流れることが可能なほど十分に開放していて粒子を含んだその空気を清浄にし、かつ十分に粒子を含んだ進入する空気を清浄するのに十分効果的である。層67の構造体に可能な媒体の1つはエレクトレット材料である。
【0072】
図15は、図2に示したものと同様の、本発明の他の実施態様の側方横断面図である。ここではフィルタ及びガスケット81が結果的に同一平面で筐体内に実装されるように、筐体壁内の皿穴に埋め込まれたフィルタを覆ってフィラー及びガスケットが配置されている。これは、フィルタが空気流を攪乱することを最小限にし、かつ筐体内部でフィルタが占める空間を最小限にするのに有用な場合がある。これらの両方は、高回転ディスクドライブ及び非常に小さいディスクドライブにとって特に重要な場合がある。
【0073】
図16A及び16Bはそれぞれ、吸着層43が上面周縁部に溝77を有することを除いて図4A及び4Bと同様である、本発明の別の実施態様の横断面図及び上面図である。
【0074】
図17A及び17Bはそれぞれ、図4A及び4Bと同様の本発明のさらなる実施態様の横断面図及び上面図であり、ここでは吸着層43が複数の吸着層、この場合は層82及び83で置き換えられている。
【0075】
当業者にとって当然明白なことながら、このようなフィルタをどのように組み立てることができ、濾過機能を強化する様々な組み合わせをそのフィルタ構造体にどのように組み合わせることができるかといった点を、これらの図面は網羅したものでは決してない。
【0076】
様々な材料を図12及び13に示す不透過性層として使用することもできる。ポリエステル、ポリプロピレン又は同様のもののようなポリマー層に加えて、金属化ポリエステルのような金属化ポリマー層も使用できる。好ましい不透過性層はアルミニウム薄層である。不透過性であり、成形性であり、かつ良好な電磁シールドを提供するため、不透過性層が極軟アルミニウムであることがより好ましい。例えば、ALL FOILS Brooklyn Heights, Ohioが販売する0.003インチ厚極軟アルミニウム層が、本発明に使用するのに適当である。
【実施例】
【0077】
空気流試験:空気流の試験は固定具を作製して行い、本発明のフィルタはその固定具の穴を覆って接着可能であった。固定具の穴の大きさは直径0.08インチ(0.203cm)であった。(実装接着剤の穴及びフィルタを通して空気を流すことのできる)口を通して、空気をフィルタの背面に供給した。背圧又はフィルタを通して所定体積の空気を流すのに必要な圧力を測定するために、固定具に他の口を配置した。フィルタは全て空気流速度を30mL/分として試験した。その後様々なフィルタ構造体を試験し、空気流を比較することができた。
【0078】
吸着速度試験:吸着速度は、同量の有機化合物の上に吊されている同数の比較部分のサンプルを同一の容器内に置いて測定した。試験のため、1つのサンプルを500mL容器内でTMP(トリメチルペンタン)50mLの上に吊して、2時間にわたって15分ごとに秤量した。質量増加量を記録し、単位時間当たりの質量増加量をグラフにして計算した。
【0079】
本発明の範囲の限定を意図せずに、以下の例でどのように本発明物を作製及び使用したかを説明する。
【0080】
例1:空気流抵抗を試験するためサンプルを作製した。各サンプルは、Adhesive's Research, Glenn Rock, PAから市販されている両面アクリル接着剤を用いて作製した。吸着媒体は全て活性炭240mgが充填されたPTFEであり、米国特許第4985296号に従って作製した。吸着層をさらに圧縮して、本特許出願の詳細な説明部分に記載したような15ミル(0.381mm)の溝を形成した。フィルタ層は、W.L. Gore and Associates, Newark, DEによって製造され、完成したフィルタで供給される、0.2ミクロン等級のPTFE膜であった。上述した空気流試験固定具にフィルタを配置して試験した。以下の構成を試験した。本発明例1は図4Aと同様であって吸着媒体の上面及び底面の両方に溝を有していた。比較例1は吸着媒体の底面のみに溝を有していた。本発明例2は図5A及び5Bと同様であって吸着媒体の底面及び側面のみに溝を有していた。最後に本発明例3は図6A及び6Bと同様であって、上面、底面及び側面に溝を有していた。これらフィルタは全て、上記概要を示した空気流試験手順に従って試験した。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】
この結果は、第2面又は複数の追加面に溝を追加すると、フィルタを通る空気流抵抗を非常に改善、すなわち低減できることを示す。このことは、圧力平衡となるためより多くの空気がフィルタを容易に通過することを意味する。従って、フィルタを迂回してより低圧の漏えい経路を介して進入する代わりに、筐体に進入する空気の粒子状物質及び気体汚染物質の両方が濾過される。
【0083】
例2:吸着速度性能を試験するためにサンプルを作製した。各サンプルは、Adhesives Research, Glenn Rock, PAから市販されている両面アクリル接着剤を用いて作製した。吸着媒体は全て活性炭240mgが充填されたPTFEであり、米国特許第4985296号に従って作製した。吸着層をさらに圧縮して、本特許出願の詳細な説明部分に記載したような深さ15ミル(0.38mm)の溝を形成した。フィルタ層は、W.L. Gore and Associates, Newark, DEによって製造され、完成したフィルタ形状で供給される、0.2ミクロン等級のPTFE膜であった。以下の構成を試験した。比較例1は吸着層が平坦で溝がないことを除き、図18と同様であった。本発明例1は図18と同様で、底面に溝を有していた。フィルタを上述したように吸着速度について試験した。結果を表2に示し、グラフ1にグラフとして報告する。
【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
この結果は、吸着アセンブリの底面に溝を追加すると、吸着アセンブリの単位時間当たりの吸着質量、すなわち吸着速度を改善できることを示す。
【0087】
本発明の特定実施態様をここに説明し記載したが、本発明はそのような説明及び記載に限定されない。当然のことながら、以下の特許請求の範囲内で、変化及び変形を組み入れて本発明の一部として具現化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】ドライブハウジングに配置された状態の、本発明のフィルタユニットの実施態様の上面図である。
【図2】筐体ハウジングに見られる、本発明のフィルタユニットの実施態様の側方横断面図である。
【図3】コンピュータハードディスクドライブ内に取り付けられた本発明のフィルタユニットの実施態様を示す、コンピュータハードディスクドライブの側方横断面図である。
【図4A】吸着層の上面及び底面に溝を有する、本発明のフィルタユニットの実施態様の側方横断面図である。
【図4B】吸着層の上面及び底面に溝を有する、本発明のフィルタユニットの実施態様の上面図である。
【図5A】吸着層の側面及び底面に溝を有する、本発明のフィルタユニットの他の実施態様の側方横断面図である。
【図5B】吸着層の側面及び底面に溝を有する、本発明のフィルタユニットの他の実施態様の上面図である。
【図6A】吸着層の上面、底面及び側面に溝を有する、本発明のフィルタユニットの他の実施態様の側方横断面図である。
【図6B】吸着層の上面、底面及び側面に溝を有する、本発明のフィルタユニットの他の実施態様の上面図である。
【図7】本発明の吸着層の、上面及び底面の先端で整列した溝パターンの実施態様の側方横断面図である。
【図8】本発明の吸着層の、上面及び底面の正方形で整列した溝パターンの実施態様の側方横断面図である。
【図9】本発明の吸着層の、上面及び底面の先端で整列していない溝パターンの実施態様の側方横断面図である。
【図10】本発明の吸着層の、上面及び底面の波形部で整列していない溝パターンの実施態様の側方横断面図である。
【図11A】フィルタエレメント構造体内部に拡散チューブを含む、本発明の他の実施態様の側方横断面図である。
【図11B】フィルタエレメント構造体内部に拡散チューブを含む、本発明の他の実施態様の上面図である。
【図12】外部実装構成のフィルタエレメントを示す、本発明の他の実施態様の側方横断面図である。
【図13A】フィルタエレメント構造体内部に拡散チューブを有する外部実装構成のフィルタを示す、本発明の他の実施態様の側方横断面図である。
【図13B】フィルタエレメント構造体内部に拡散チューブを有する外部実装構成のフィルタを示す、本発明の他の実施態様の上面図である。
【図14】フィルタ構造体に内含される再循環フィルタを含む、他の実施態様の側方横断面図である。
【図15】組み立てたフィルタ及びガスケットがドライブのベースプレートと同じ高さになるように、ドライブベースプレート内に皿穴が設けられたフィルタ周りにフィラー又はガスケットを有する、他の実施態様の側方横断面図である。
【図16A】底面の溝と一緒に上面周縁部の溝を使用している、他の実施態様の側方横断面図である。
【図16B】底面の溝と一緒に上面周縁部の溝を使用している、他の実施態様の上面図である。
【図17A】2つの層の溝が互いに面している多層の吸着材を吸着媒体が含んでいる、他の実施態様の側方横断面図である。
【図17B】2つの層の溝が互いに面している多層の吸着材を吸着媒体が含んでいる、他の実施態様の上面図である。
【図18】フィルタを通る空気流がない溝付きの底面を吸着アセンブリが有する、他の実施態様の横断面図である。
【図19】溝付の底面を有する外部実装吸着アセンブリの横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内部の汚染物質を除去するための吸着アセンブリであって、
a)接着剤;
b)底面、上面及び少なくとも1つの側面を有する吸着媒体;並びに
c)該吸着媒体を被覆するフィルタ媒体
を含んでなり、該フィルタ媒体が該吸着媒体の該上面及び少なくとも1つの側面に隣接し、該吸着媒体が少なくとも1つの溝を含むことを特徴とする、吸着アセンブリ。
【請求項2】
前記底面が接着剤の層と隣接する、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項3】
前記フィルタ媒体が多孔質ポリマー膜を含む、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項4】
前記フィルタ媒体が疎水性である、請求項3に記載の吸着アセンブリ。
【請求項5】
前記フィルタ媒体がPTFEを含む、請求項3に記載の吸着アセンブリ。
【請求項6】
前記多孔質ポリマー膜に配置されたエレクトレット粒子フィルタ層をさらに含む、請求項3に記載の吸着アセンブリ。
【請求項7】
前記フィルタ媒体がエレクトレットフィルタ媒体を含む、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項8】
前記吸着媒体がPTFE及び吸着材を含む、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項9】
前記吸着媒体が吸着材で充填されたPTFE膜を含む、請求項8に記載の吸着アセンブリ。
【請求項10】
前記吸着媒体が成形されている、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項11】
前記吸着媒体が吸着材を含浸した不織布である、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項12】
前記吸着媒体がファイバースクリムの少なくとも1つの面に配置された粒状材料である、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項13】
前記吸着媒体が物理吸着材を含む、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項14】
前記物理吸着材が、活性炭、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、シリカゲル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の吸着アセンブリ。
【請求項15】
前記吸着媒体が化学吸着材を含む、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項16】
前記化学吸着材が、過マンガン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び硫酸カルシウム、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの物質で含浸した材料である、請求項15に記載の吸着アセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つの溝が前記フィルタ媒体に隣接する、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの溝が前記吸着媒体の側面にある、請求項17に記載の吸着アセンブリ。
【請求項19】
前記少なくとも1つの溝が前記吸着媒体の前記上面にある、請求項17に記載の吸着アセンブリ。
【請求項20】
前記吸着媒体が前記底面に少なくとも1つの溝をさらに含む、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項21】
前記吸着アセンブリが表面のいずれかに2つ以上の溝を含む、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項22】
前記溝が平行である、請求項21に記載の吸着アセンブリ。
【請求項23】
前記溝が放射状パターンを形成する、請求項21に記載の吸着アセンブリ。
【請求項24】
前記溝が交差している、請求項21に記載の吸着アセンブリ。
【請求項25】
前記吸着媒体が2つ以上の層を含む、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項26】
前記吸着媒体が、少なくとも1つの溝を有する第1層と、該第1層に隣接する第2層とを含み、該第1層の該少なくとも1つの溝が該第2層と隣接するように、該第1層及び該第2層が配置されている、請求項25に記載の吸着アセンブリ。
【請求項27】
前記第2層が少なくとも1つの溝を含み、前記第1層の前記少なくとも1つの溝が前記第2層の該少なくとも1つの溝と面するように、前記第1層及び前記第2層が配置されている、請求項26に記載の吸着アセンブリ。
【請求項28】
前記第1層及び前記第2層が溝を含み、前記第1層の該溝が前記第2層と隣接しかつ前記第2層の該溝が前記第1層と反対側の表面にあるように、前記第1層及び前記第2層が配置されている、請求項22に記載の吸着アセンブリ。
【請求項29】
前記少なくとも1つの溝の深さが少なくとも約1ミル(0.025mm)である、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項30】
前記少なくとも1つの溝の深さが少なくとも約5ミル(0.127mm)である、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項31】
前記少なくとも1つの溝の深さが少なくとも約10ミル(0.254mm)である、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項32】
前記吸着媒体の前記上面の周縁部を取り囲む溝をさらに含む、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項33】
前記フィルタ媒体と実質的に積層関係にある不透過性層をさらに含み、前記吸着アセンブリが前記筐体の外側に実装される、請求項1に記載の吸着アセンブリ。
【請求項34】
流体注入口/排出口を備えた筐体内部の汚染物質を除去するための吸着ブリーザアセンブリであって、
a)接着剤;
b)底面、上面、及び少なくとも1つの側面を有して、該流体注入口/排出口と流体が連通する状態である吸着媒体;並びに
c)該吸着媒体を被覆するフィルタ媒体
を含んでなり、該フィルタ媒体が該吸着媒体の該上面及び少なくとも1つの側面に隣接し、該吸着媒体が該フィルタ媒体と隣接する少なくとも1つの溝を含むことを特徴とする、吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項35】
前記底面が接着剤の層と隣接する、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項36】
前記フィルタ媒体が多孔質ポリマー膜を含む、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項37】
前記フィルタ媒体が疎水性である、請求項36に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項38】
前記フィルタ媒体がPTFEを含む、請求項36に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項39】
前記多孔質ポリマー膜に配置されたエレクトレット粒子フィルタ層をさらに含む、請求項36に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項40】
前記フィルタ媒体がエレクトレットフィルタ媒体を含む、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項41】
前記吸着媒体がPTFE及び吸着材を含む、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項42】
前記吸着媒体が吸着材で充填されたPTFE膜を含む、請求項41に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項43】
前記吸着媒体が成形されている、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項44】
前記吸着媒体が吸着材を含浸した不織布である、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項45】
前記吸着媒体がファイバースクリムの少なくとも1つの面に配置された粒状吸着材である、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項46】
前記吸着媒体が物理吸着材を含む、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項47】
前記物理吸着材が、活性炭、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、シリカゲル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項48】
前記吸着媒体が化学吸着材を含む、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項49】
前記化学吸着材が、過マンガン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び硫酸カルシウム、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの物質で含浸した材料を含む、請求項48に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項50】
前記少なくとも1つの溝が前記吸着媒体の側面にある、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項51】
前記少なくとも1つの溝が前記吸着媒体の前記上面にある、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項52】
前記吸着媒体が前記底面に少なくとも1つの溝をさらに含む、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項53】
前記吸着媒体が表面のいずれかに2つ以上の溝を含む、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項54】
前記溝が平行である、請求項53に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項55】
前記溝が放射状パターンを形成する、請求項53に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項56】
前記溝が交差している、請求項53に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項57】
前記吸着媒体が2つ以上の層を含む、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項58】
前記吸着媒体が、少なくとも1つの溝を有する第1層と、その溝付の第1吸着層に隣接する第2層とを含み、該第1層の該少なくとも1つの溝が該第2層と隣接するように、該第1吸着層及び該第2吸着層が配置されている、請求項57に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項59】
前記第2層が少なくとも1つの溝を含み、前記第1層の前記少なくとも1つの溝が前記第2層の該少なくとも1つの溝と面するように、前記第1層及び前記第2層が配置されている、請求項57に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項60】
前記第1層及び前記第2層が溝を含み、前記第1層の該溝が前記第2層と隣接しかつ前記第2層の該溝が前記第1層と反対側の表面にあるように、前記第1層及び前記第2層が配置されている、請求項59に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項61】
前記アセンブリ内部に画定された拡散流路をさらに含み、前記口と前記吸着媒体との間を流体が連通するための経路を画定するように該拡散流路が適合している、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項62】
前記口及び前記吸着媒体と流体が連通する状態である拡散流路をさらに含む、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項63】
前記少なくとも1つの溝の深さが少なくとも約1ミル(0.025mm)である、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項64】
前記少なくとも1つの溝の深さが少なくとも約5ミル(0.127mm)である、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項65】
前記少なくとも1つの溝の深さが少なくとも約10ミル(0.254mm)である、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項66】
前記吸着媒体の前記上面の周縁部を取り囲む溝をさらに含む、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項67】
前記接着剤が、少なくとも感圧接着剤、UV硬化接着剤、ホットメルト接着剤、超音波活性化ポリマー、低温接着剤及びエポキシからなる群から選択される、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項68】
不透過性層をさらに含み、前記筐体の内側の代わりに前記筐体の外側に実装される、請求項34に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項69】
前記口と前記吸着媒体との間を流体が連通するための経路を画定するように適合させた拡散流路をさらに含む、請求項68に記載の吸着ブリーザアセンブリ。
【請求項70】
a)流体注入口を備えており、かつ密閉体積を画定する筐体を用意し;
b)該筐体に隣接する底面、該底面と反対側の上面、及び少なくとも1つの側面を有しており、該流体注入口及び該密閉体積と流体が連通する状態である吸着媒体を用意し;並びに
c)該吸着媒体の少なくとも該上面及び1つの側面をフィルタ媒体で被覆する
工程を含んでなり、該吸着媒体が、該フィルタ媒体に隣接する少なくとも1つの溝を含むことを特徴とする、筐体から汚染物質を除去する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公表番号】特表2008−509808(P2008−509808A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525839(P2007−525839)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/028786
【国際公開番号】WO2006/046996
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】