説明

溢れ防止用容器蓋

本発明は、各種調理用容器または加熱容器の溢れ防止用容器蓋に関するものであって、容器蓋の取っ手に溢れ防止手段を備え、内容物入りの容器を加熱したときに内容物が容器の外に溢れるのを防止し得るようにすることにより、例えばガスレンジなどの加熱手段によって起こる安全事故を予め防止し、内容物の氾濫によって加熱手段が汚くなるか毀損されることを防止するようにした溢れ防止用容器蓋に提供する。すなわち、本発明は、 加熱容器(23)の蓋本体(2)に設けられた貫通孔(2a)の上下側に一側に蒸気排出口(6)が設けられた取っ手(3)と、前記貫通孔(2a)に連通する孔が穿孔された固定板(4)を固定手段(5)によって固定した溢れ防止用容器蓋(1)において、前記蓋本体(2)に設けられた貫通孔(2a)を密閉する環状パッキング(11a)が結合した蓋板(11)と一体に設けた自動開閉具(9)と、前記自動開閉具(9)が昇降されるように取っ手(3)に設けた昇降孔(7)と、温度の変化に応じて前記自動開閉具(9)を昇降させ、蓋本体(2)に設けられた貫通孔(2a)を開放するようにする、蓋本体(2)または固定板(4)と自動開閉具(9)に設置した昇降手段(12)とを含み、昇降手段(12)として、板ばねバイメタルからなる感知片(14)または永久磁石(26)などを適用したものである。本発明によれば、加熱容器(34)内の水蒸気の排出を制御して加熱容器(34)内の内容物の氾濫を防止するようにし、同時に溢れる内容物による加熱手段の毀損及び汚染を防止するようにし、ガス漏れまたは爆破などの安全事故を防ぐことができ、昇降手段(12)によって自動的に作動する自動開閉具の作動時点をばね調節具(25)で簡便に調節することができるので、多様な調理物の調理に容易に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種調理用容器または加熱容器の溢れ防止用容器蓋に係り、より詳しくは、容器蓋の取っ手に溢れ防止手段を備え、内容物入りの容器を加熱したときに内容物が容器の外に溢れることを防止することができるようにすることにより、例えばガスレンジなどの加熱手段によって起こる安全事故を予め防止し、内容物の氾濫によって加熱手段が汚くなるか毀損されることを防止するようにした溢れ防止用容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、飲食物を調理し或いはその他に洗濯物や哺乳瓶などの内容物を消毒、殺菌するとき、容器内に内容物(=飲食物や洗濯物、哺乳瓶など)を投入し、蓋を閉じた後、例えばガスレンジや電気レンジなどの加熱手段で加熱する。この際、一定の温度以上になると、容器内の水蒸気などによって内容物が容器の外に氾濫して加熱手段を毀損及び汚染させ、加熱手段の安全事故を誘発するなどの問題が発生するため、加熱容器の蓋に、水蒸気を排出することが可能な蒸気排出孔を設けている。
【0003】
ところが、従来の加熱容器に設けられた蒸気排出孔は、その大きさが小さくて内容物が沸き始めると、蒸気を円滑に排出することができない場合が多く、蒸気によって蓋が震えて騒音が発生し或いは内容物が溢れる事例が多いため、ユーザが蓋を容器本体から分離してこぼれを防止しているが、これは、内部の蒸気が急激に流出して内容物の加熱時間が長くなるなどの問題点があった。これを解決するための多数の手段が開示されているが、大部分が実用化されていないので、これを解決することが可能な新規な手段の開発が至急要求されている。
【発明の開示】
【0004】
そこで、本発明者は、上述した従来の問題点を解決するために、本発明を研究開発した。すなわち、本発明では、容器の蓋に固着される取っ手に蒸気排出口を形成し、取っ手の内側には排出口を開閉する蓋板を昇降手段によって昇降可能に備え、容器内の水蒸気を排出し得るようにすることにより、蒸気の排出が円滑に行われるようにして内容物の氾濫を防止し、加熱手段が毀損されるかさらに汚くなるのを防止し、安全事故を防止することができるようにした溢れ防止用容器蓋を提供することを発明の技術的課題とし、本発明を完成した。
【0005】
本発明では、前記技術的課題を解決する昇降手段として、次の多様な手段を使用した。
【0006】
一つ目は、温度の変化に応じて形状が変わるバイメタル(bimetal)素材からなる感知片を蓋板の下側に設置し、温度の変化に応じて蓋板が自動的に昇降するようにした。
【0007】
二つ目は、永久磁石の磁力が熱を加えることにより、磁力が段々減少してから常温で(熱が冷えながら)磁力が復元されることに着眼し、蓋板とこれに対応する容器蓋に磁石と磁性体を設置して温度の変化に応じて蓋板が自動的に昇降するようにした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の溢れ防止用容器蓋の使用状態を示す斜視図、図2は本発明の好適な第1実施例を示す分解斜視図、図3は自動開閉具が作動する前の状態を示す、本発明の第1実施例の断面図、図4は自動開閉具が作動した後の状態を示す、本発明の第1実施例の断面図である。
【0010】
本発明で提供する溢れ防止用容器蓋1は、図示の如く、蓋本体2の中央に左右に対向するように略半円状に貫いている貫通孔2aを形成し、蓋本体2の上/下側には、一側に蒸気排出口6が設けられており且つ内側に昇降孔7が貫いている取っ手3と、貫通孔2aに連通する孔が設けられている固定板4を配置してピスなどの固定手段5で固定する。
【0011】
前記取っ手3に設けられている昇降孔7には、蓋本体2に貫いている貫通孔2aの上側には貫通孔2aを密閉する環状パッキング11aが結合した蓋板11と一体に設けられている自動開閉具9を昇降可能に挿入する。
【0012】
前述したように自動開閉具9を結合するに際して、より安定した作動性を保障するために、自動開閉具9の内側に設けられる内入部9aに挿入されるように、固定板4の中央には蓋本体2の中心を貫通する中空環棒8を一体に形成し、中空環棒8には補助ばね10を定着して自動開閉具9を弾支する。
【0013】
前記自動開閉具9の蓋板11が加熱容器から蒸気圧が発生するときに蒸気圧及び温度の変化によって開放されるようにするための昇降手段12として、温度の変化に応じて一側に撓む性質を持つ板ばねバイメタルから構成した感知片14を使用する。すなわち、自動開閉具9の上側に一字状に貫通固定される連結ピン13によって結合する昇降手段12の作動軸15の下端を中空環棒8の中空8aを介して固定板4の下方に露出させ、固定板4によって蓋本体2の下部に密着固定されている感知片14とピン16で回動自在に軸設する。
【0014】
前記感知片14は、熱膨張率の異なる2つの薄い上/下部薄板14a、14bを接合させた板ばねバイメタルからなり、温度が上昇すると、膨張率の差異によってその長さが異なって低膨張率の薄板14側に撓むものである。前記感知片14に適用される板ばねバイメタル薄板14a、14bの場合、上部薄板14aは熱膨張率が低いもの、下部薄板14bは熱膨張率が高いものであって、温度が上昇すると感知片14が上方に撓むようにして前記作動軸15を上昇させるように構成し、特に感知片14は常温で(熱が冷えながら)上方に突出するようにエンボス加工して、温度上昇の際に微細に跳ね返えされるようにする。
【0015】
この際、前記中空環棒8の中空8aの内側において作動軸15が昇降スライドされるように構成する。
【0016】
前記自動開閉具9が昇降手段12によって自動的に昇降することを所望しないとき、例えば内容物のうち飯、栗などの果実類、ジャガイモ、サツマイモなどのように沸かし時間を長らく持続しなければならない場合、水蒸気が排出されないように自動開閉具9を固定するためのスライドストッパー17を前記取っ手3の上部のスライド溝18内に設置して自動開閉具9の上側の内入溝19上にスライド挿入されるようにして自動開閉具9を固定し得るようにする。
【0017】
図5は自動開閉具が作動する前の状態を示す、本発明の第2実施例の断面図 、図6は自動開閉具が作動した後の状態を示す、本発明の第2実施例の断面図であって、前記自動開閉具9の昇降幅が大きい場合、板ばねバイメタルからなる感知片14によって作動軸15を昇降するには足りないことを補完したものである。
【0018】
すなわち、補助ばね10を弾性力に優れた高弾性材質から構成して自動開閉具9を昇降するようにするが、感知片14を上記とは反対に、上部薄板14aは熱膨張率が高いもの、下部薄板14bは熱膨張率が低いものを配置し、上側に中央部が突出するようにして両端を前記固定板4に固定する。自動開閉具9を上方に昇降させる昇降手段12は、感知片14によって作動する梃子20、及び梃子20の作動によって回動するように固定板4に設置されているストッパー22から構成する。
【0019】
前記昇降手段12は、感知片14に対向する固定板4の部分には略四角状に中央が空いている梃子20を回動自在に軸設し、前記梃子20の下部には押圧レバー21を下向きに設置し、固定板4の下部に角運動可能に軸設されたストッパー22によって作動軸15がストッピングされるようにし、前記作動軸15の下端部に係止突起15aを形成してストッパー22が係止されるようにすることにより、感知片4が熱膨張しながら梃子20を押圧するとき、作動軸15の係止突起15aでストッパー22が弛緩するようにする。
【0020】
図7は本発明の好適な第3実施例を示す分解斜視図、図8は自動開閉具が作動する前の状態を示す、本発明の第3実施例の断面図、図9は自動開閉具が作動した後の状態を示す、本発明の第3実施例の断面図である。
【0021】
本発明で提供する第3実施例は、前述したような溢れ防止用容器蓋1の構成をさらに簡素化したものである。
【0022】
すなわち、蓋本体2に設けられた貫通孔2aを密閉する環状パッキング11aが結合した蓋板11と一体に設けられている自動開閉具9を、取っ手3に設けられている昇降孔7に挿入するが、昇降孔7と自動開閉具9にはそれぞれスライド突起7aとスライド溝9bを設けて安定性のある昇降作動が行われるようにする。
【0023】
自動開閉具9の外側には、昇降孔7の下端に設けられている受け部23に定着される補助ばね10を被せる。この補助ばね10は、自動開閉具9の上端に調節スクリュー24によって結合するばね調節具25に押圧されるようにする。
【0024】
自動開閉具9を上方に移動させる昇降手段12は、蓋板11の下側にはブラケット11bを形成し、固定板4によって蓋本体2の下部に密着固定されている熱膨張率の異なる2つの薄い上/下部薄板14a、14bを接合させた板ばねバイメタルからなる感知片14の端部とピン16で回動自在に軸設して、自動開閉具9を昇降させることができるようにしたものである。
【0025】
前記自動開閉具9を固定するためのスライドストッパー17を前記取っ手3の上部に設けられたスライド溝18の内側に設置し、ばね調節具25の上側に設けられた内入溝25a上にスライドされるようにする。
【0026】
図10は本発明の好適な第4実施例を示す分解斜視図、図11は自動開閉具9が作動する前の状態を示す、本発明の第4実施例の断面図、図12は自動開閉具9が作動した後の状態を示す、本発明の第4実施例の断面図である。
【0027】
本発明で提供する第4実施例は、本発明を構成するにおいて、自動開閉具9の昇降手段12として、永久磁石26の磁力が熱を加えるにつれて磁力が段々減少してから常温で(熱が冷えながら)磁力が復元されることに着目し、蓋板11とこれに対応する容器蓋2または容器蓋2の下側に固定される固定板4に永久磁石26と磁性体27をそれぞれ設置し、温度の変化に応じて作動するようにしたものである。
【0028】
すなわち、各種内容物を加熱手段で加熱するための加熱容器の蓋本体2に設けられた貫通孔2aの上下側に、一側に蒸気排出口6が設けられた取っ手3を固定手段5によって固定した溢れ防止用容器蓋1において、蓋本体2に設けられた貫通孔2aを密閉する環状パッキング11aが結合した蓋板11と一体に設けられている自動開閉具9を取っ手3の昇降孔7に挿入し、昇降孔7と自動開閉具9にはそれぞれスライド突起7aとスライド溝9bを設け、安定性のある昇降作動が行われるようにする。
【0029】
前記自動開閉具9の外側には昇降孔7の下端に設けられている受け部23に定着される補助ばね10を被せる。補助ばね10は、自動開閉具9の上端に調節スクリュー24によって結合するばね調節具25に押圧されるようにする。
【0030】
そして、前記自動開閉具9を昇降させる昇降手段12は、蓋板11の下側に温度感知用永久磁石26を設置し、この永久磁石に対応する蓋本体2の部分に磁性体27を結合させる。
【0031】
勿論、前記取っ手3とばね調節具25には、自動開閉具9を固定するためのスライドストッパー17と内入溝25aが設けられる。
【0032】
前記温度感知用永久磁石26は、磁力保護及び損傷などを防止する目的で薄いコーティング層(図示せず)を形成するか、軟質ゴム剤などの軟質カバー28を被せることが好ましい
図13は本発明の第4実施例の他の実施例を示すものであって、これは蓋板11の縁側に少なくとも2つ以上の温度感知用永久磁石26を設置し、この永久磁石に対応する蓋本体2の部分にそれぞれ磁性体27を結合させたものである。
【0033】
前記温度感知用永久磁石26と前記磁性体27は、製造過程においてお互い反対に結合させても構わない。
【0034】
図14は第4実施例の別の実施例を示すものであって、蓋本体2の下側に固定手段5によって固定板4を固定し、この固定板4に、自動開閉具9に設置される温度調節用永久磁石26に対応する磁性体27を設置したものである。
【0035】
図示してはいないが、固定板4を磁性体材質で構成する場合、別に固定板に磁性体27を設置しなくてもよい。
【0036】
図15は本発明の好適な第5実施例を示す分解斜視図、図16は自動開閉具が作動する前の状態を示す、本発明の第5実施例の断面図、図17は自動開閉具が作動した後の状態を示す、本発明の第5実施例の断面図である。
【0037】
前記各実施例を構成するにおいて、蓋本体2に設けられた貫通孔2aを密閉する環状パッキング11aが結合した蓋板11と一体に設けられている自動開閉具9を、取っ手3に設けられている昇降孔7に挿入する。昇降孔7と自動開閉具9にはそれぞれスライド突起7aとスライド溝9bを設け、安定性のある昇降作動が行われるようにし、自動開閉具9の外側には昇降孔7の下端に設けられている受け部23に定着される補助ばね10を被せる。そして、前記自動開閉具9の上端外部にはネジ部29を設けてばね調節具25を螺合するが、ばね調節具25の下端に係止突起30を設け、取っ手3の上側には表面にばね押圧の度合いを肉眼で確認することが可能な表示部32が形成された固定カバー31を結合させ、固定カバー31にはばね調節具25の下端に設けた係止突起30に対応する固定突起33を設け、ばね調節具25の回動を制御することができるようにする。
【0038】
図面中の未説明符号34は加熱容器を示し、35は加熱容器34の容器本体を示す。
【0039】
上述したように様々な構成からなる本発明の溢れ防止用容器蓋1は、図1に示すように、加熱容器34の容器本体35に適用して調理物、洗濯物、哺乳瓶などの内容物を投入し、容器蓋1を閉じた後、ガスレンジや電気レンジなどの加熱手段によって加温するとき、内部の温度が上昇するにつれて、蓋本体2の上部に固定された取っ手3側から水蒸気が排出されるようにしたものである。以下、本発明による作用などを説明する。
【0040】
まず、第1実施例によれば、加熱容器34に調理物などを投入した状態で容器蓋1を閉じた後、取っ手3の昇降孔7に結合している自動開閉具9を手指で押し、その後加熱手段によって加熱容器34を加熱すればよい。
【0041】
上述したように自動開閉具9を押すと、中空環棒8に定着されている補助ばね10に弾支されている自動開閉具9が下方に移動しながら、板ばねバイメタルからなる感知片14を折曲状態で下方に移動させる。この際、感知片14は、補助ばね10の弾性力より大きい力で自動開閉具9を引っ張るので、自動開閉具9が下方に移動して蓋板11が蓋本体2の貫通孔2aを密閉させるのである(図3参照)。
【0042】
前記感知片14は、2つの薄板14a、14bから構成されるが、上部薄板14aは熱膨張率が低くてやや伸び、下部薄板14bは熱膨張率が高くて多く伸びるものであって、熱膨張が行われる前の状態である。
【0043】
このような状態で加熱容器34内に投入されている調理物が段々加熱されながら加熱容器34の内部に蒸気圧が発生し且つ温度が上昇すると、感知片14は徐々に熱膨張が起こる。
【0044】
感知片14が加熱されると、前述したように、互いに異なる熱膨張率を有する上/下部薄板14a、14bのうち上部薄板14aより下部薄板14bにさらに大きい熱膨張が起こりながら、自動開閉具9に連結ピン13で固定され且つ感知片14の端部とピン16で回動自在に結合している作動軸15を上方に押し上げる力が発生する。
【0045】
前述したように感知片14が熱膨張しながら、作動軸15側を上方に移動させようとする力が益々大きくなって限界点に到達すると、自動開閉具を引っ張る感知片14の力より自動開閉具9を上方に移動させようとする補助ばね10の弾性力が大きくなる。
【0046】
感知片14の引張力より補助ばね10の弾性力が大きくなって、中空環棒8に定着されている補助ばね10が復元されながら、自動開閉具9を上方に移動させ、蓋板11によって密閉されていた蓋本体内2の貫通孔2aが開放されながら、加熱容器34内の蒸気を取っ手3の蒸気排出口6を介して迅速に排出し、調理物が溢れるのを防止することができる(図4参照)。
【0047】
一方、本発明が適用された状態で栗、飯、サツマイモなどの調理物を調理するとき、自動開閉具9が自動的に昇降する作動を所望しないときは、自動開閉具9を固定した状態で調理物を調理すればよい。
【0048】
すなわち、自動開閉具9を固定しようとするときには、自動開閉具9が上昇した状態で取っ手3のスライド溝18に結合しているスライドストッパー17を自動開閉具9の上側の内入溝19(またはばね調節具25に設けられている内入溝25a)側に押し込んで自動開閉具9を取っ手3に堅く固定すればよい。
【0049】
第2実施例によれば、前述したように取っ手3の昇降孔7に結合している自動開閉具9を手指で押圧すると、自動開閉具9に連結ピン13によって固定されている作動軸15が下方に移動する。
【0050】
前述したように作動軸15が下方に移動するとき、感知片14は、熱膨張する前なので、図5のように梃子20と弛緩した状態なので、固定板4の下部に回動自在に設置されているストッパー22の一側端部が、作動軸15の下端部に設けられている係止突起15aに係止される。
【0051】
このようにストッパー22の一側端部が作動軸15の下端部に設けられている係止突起15aに係止された状態で、加熱容器34内の調理物が加熱されて蒸気圧及び温度が上昇すると、感知片が梃子20を押圧する。
【0052】
すなわち、熱膨張率の高い上部薄板14aと熱膨張率の低い下部薄板14bから構成されている感知片14が熱膨張すると、熱膨張率の高い上部薄板14aの力が熱膨張率の低い下部薄板14b側に加えられるので、感知片14に凸設した部分が梃子20の端部を押圧する作動が行われる。
【0053】
前述したように梃子20が押圧されると、梃子20の下側に突設されている押圧レバー21がストッパー22の後端を押圧して、作動軸15の端部の係止突起15aに係止されているストッパー22を回動させながら、係止突起15aとの弛緩作動が行われる。このようにストッパー22が係止突起15aと弛緩すると、補助ばね10の張力によって自動開閉具9が上方に移動し、貫通孔2aを密閉している自動開閉具9の蓋板11が開放されながら、加熱容器34内の蒸気を取っ手3の蒸気排出口6を介して迅速に排出し、調理物が沸いて溢れるのを防止することができる(図6参照)。
【0054】
そして、第3実施例によれば、自動開閉具9の作動安定性を保障しながらも構成を簡素化することができる。
【0055】
すなわち、取っ手3の昇降孔7と自動開閉具9にそれぞれスライド突起7aとスライド溝9bを設け、自動開閉具9が上下移動する過程で回動するおそれがないため、安定性のある作動を保障することができる。
【0056】
昇降孔7の下端に設けられている受け部23に定着される補助ばね10が自動開閉具9の上端に定着された状態で調節スクリューバー24によって結合するばね調節具25に押圧されるように構成されているところ、調節スクリュー24を解いたり締め付けたりする簡単な作動によって補助ばね10の張力を簡便に調節することができるため、本発明の機能性をさらに高めることができる。
【0057】
第4実施例ないし第5実施例は、自動開閉具9を昇降させる昇降手段12で熱を加えるとき、磁力の約20%を失ってから冷えた後磁力を回復する永久磁石26によって行われるようにしたものである。以下、これらの作用について説明する。
【0058】
すなわち、第4実施例によって本発明を構成した状態で取っ手3に結合している自動開閉具9を手指で押圧すると、図11に示すように、補助ばね10の弾支力が提供される自動開閉具9が下方に移動した状態で、自動開閉具9に固定されている温度感知用永久磁石26が、蓋本体2(10、図11、図12)または蓋本体2の下方(図13)に固着される固定板4に設置されている磁性体27に付着して固定される。この際、永久磁石26の磁力が補助ばね10の弾支力より大きい力を持つので、自動開閉具9の蓋板11は、蓋本体2に設けられている貫通孔2aを密閉した状態を維持する(図11参照)。
【0059】
前述した状態で加熱容器34内の調理物が加熱されながら蒸気圧及び温度が上昇するが、この際、永久磁石26は益々磁力を一部喪失する(磁力の約20%を喪失する)。
【0060】
このように永久磁石26の磁力が喪失されると、自動開閉具9に補助ばね10の弾性力が永久磁石26の磁力より大きい力で伝達されて自動開閉具9を上方に移動させ、貫通孔2aを密閉している自動開閉具9の蓋板11が開放されながら、加熱容器34内の蒸気を、取っ手3に設けられている蒸気排出口6を介して迅速に排出し、調理物が沸いて溢れるのを防止することができるのである(図12参照)。
【0061】
そして、本発明の第5実施例に適用された技術構成は、前記各実施例に適用できるものであって、調理物の種類などによって自動開閉具9の作動時点を簡便に調節することができるものである。
【0062】
すなわち、蓋本体2に設けられている貫通孔2aを密閉する環状パッキング11aが結合した蓋板11と一体に設けられている自動開閉具9を、取っ手2に設けられている昇降孔7に嵌合させるにおいて、自動開閉具9の外側には昇降孔7の下端に設けられている受け部23に定着される補助ばね10を被せ、自動開閉具9の上端外部にはネジ部29を設け、下端に係止突起30を有するばね調節具25を螺合し、取っ手3の上方には、表面にばね押圧の度合いを肉眼で確認することが可能な表示部32を備え且つ係止突起30に対応する固定突起33を設けた固定カバー31を結合した構成なので、自動開閉具9の作動時点を調節しようとするときには、固定カバー31に形成されている表示部32を見ながらばね調節具25を回動させると、自動開閉具9のネジ部29に螺合されているばね調節具25が昇降しながら補助ばね10の弾性力を調節する。
【0063】
本発明は、図1に示すように、加熱容器34に適用可能なものであって、別に示してはいないが、内容物の種類によって鍋、薬缶、フライパン、釜または蒸し器などに様々に適用可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上述べたように構成及び作用される本明細書で提供する溢れ防止用容器蓋1は、蓋本体2に固定される取っ手3の内側に自動開閉具9を昇降可能に設置し、自動開閉具9を昇降させる昇降手段12を、蓋本体2の下部に固定板4によって固定され且つ温度の変化に応じて一側に撓む性質を有する板ばねバイメタルからなる感知片14によって自動開閉具9の昇降を自動的に制御されるように構成するか、或いは自動開閉具9と蓋本体2または固定板4にそれぞれ温度感知用永久磁石26と磁性体27を設置して加熱容器34の内部温度の上昇の際に自動開閉具9の昇降を自動的に制御されるように構成したものであって、加熱容器34内の水蒸気の排出を制御して加熱容器34内の内容物の氾濫を防止するようにし、同時に溢れる内容物による加熱手段の毀損及び汚染を防止するようにし、ガス漏れまたは爆破などの安全事故を防ぐことができるなど期待以上の効果を提供する。
【0065】
また、本発明は、昇降手段12によって自動的に作動する自動開閉具の作動時点をばね調節具25で簡便に調節することができるので、多様な調理物の調理に容易に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の溢れ防止用容器蓋の使用状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の好適な第1実施例を示す分解斜視図である。
【図3】自動開閉具が作動する前の状態を示す、本発明の第1実施例の断面図である。
【図4】自動開閉具が作動した後の状態を示す、本発明の第1実施例の断面図である。
【図5】自動開閉具が作動する前の状態を示す、本発明の第2実施例の断面図である。
【図6】自動開閉具が作動した後の状態を示す、本発明の第2実施例の断面図である。
【図7】本発明の第3実施例を示す分解斜視図である。
【図8】自動開閉具が作動する前の状態を示す、本発明の第3実施例の断面図である。
【図9】自動開閉具が作動した後の状態を示す、本発明の第3実施例の断面図である。
【図10】本発明の好適な第4実施例を示す分解斜視図である。
【図11】自動開閉具が作動する前の状態を示す、本発明の第4実施例の断面図である。
【図12】自動開閉具が作動した後の状態を示す、本発明の第4実施例の断面図である。
【図13】本発明の第4実施例の他の実施例を示す斜視図である。
【図14】本発明の第4実施例の別の実施例を示す斜視図である。
【図15】本発明の好適な第5実施例を示す分解斜視図である。
【図16】自動開閉具が作動する前の状態を示す、本発明の第5実施例の断面図である。
【図17】自動開閉具が作動した後の状態を示す、本発明の第5実施例の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱容器の蓋本体(2)に設けられた貫通孔(2a)の上下側に一側に蒸気排出口(6)が設けられた取っ手(3)と、前記貫通孔(2a)に連通する孔が穿孔された固定板(4)を固定手段(5)によって固定した溢れ防止用容器蓋(1)において、
前記蓋本体(2)に設けられた貫通孔(2a)を密閉する環状パッキング(11a)が結合した蓋板(11)と一体に設けた自動開閉具(9)と、前記自動開閉具(9)が昇降されるように取っ手(3)に設けた昇降孔(7)と、温度の変化に応じて前記自動開閉具(9)を昇降させ、蓋本体(2)に設けられた貫通孔(2a)を開放するようにする、蓋本体(2)または固定板(4)と自動開閉具(9)に設置した昇降手段(12)とを含むことを特徴とする、溢れ防止用容器蓋。
【請求項2】
前記自動開閉具(9)に設けたスライド溝(9b)と、前記スライド溝(9b)に対応する取っ手(3)の昇降孔(7)に設けたスライド突起(7a)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項3】
前記自動開閉具(9)の内側に設けられた内入孔(9a)と、前記内入孔(9a)に結合するように固定板(4)の中心に一体に形成され、蓋本体(2)の中心を貫通する中空環棒(8)とを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項4】
前記中空環棒(8)の上側には、自動開閉具(9)を弾支する補助ばね(10)をさらに付加したことを特徴とする、請求項3に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項5】
前記取っ手(3)の上部に設けられたスライド溝(18)の内側に設置したスライドストッパー(17)と、前記スライドストッパー(17)が結合するように自動開閉具(9)の上側に設けた内入溝(19)とを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項6】
前記取っ手(3)の昇降孔(7)の下端に設けた受け部(23)と、前記受け部(23)に定着される補助ばね(10)と、前記補助ばね(10)を押圧するように自動開閉具(9)の上端に調節スクリュー(24)で結合したばね調節具(25)とを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項7】
前記取っ手(3)の昇降孔(7)の下端に設けられた受け部(23)と、前記受け部(23)に定着される補助ばね(10)と、前記自動開閉具(9)の上端の外部に設けたネジ部(29)に昇降可能に螺合したばね調節具(25)と、取っ手(3)の上側に結合する表面にばね押圧の度合いを肉眼で確認することが可能な表示部(32)を形成した固定カバー(31)と、前記ばね調節具(25)の下端に設けた固定突起(33)と、前記ばね調節具(25)の下端に設けた固定突起(33)に対応するように固定カバー(31)に設けた係止突起(30)とを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項8】
前記昇降手段(12)は、温度の変化に応じて上部に撓む性質を持つ板ばねバイメタルから構成した感知片(14)からなるが、
前記感知片(14)は、蓋板(11)の下側とピン(16)で回動自在に一端が固定され、他端は固定板(4)によって蓋本体(2)の下部に固定したことを特徴とする、請求項1に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項9】
前記自動開閉具(9)を昇降させる昇降手段(12)は、前記自動開閉具(9)の内部に結合した状態で上端が自動開閉具(9)と連結ピン(13)で固定された作動軸(15)と、前記固定板(4)によって蓋本体(2)の下部に固定した感知片(14)と、前記作動軸(15)の下端と感知片(14)とを回動自在に連結するピン(16)とから構成したことを特徴とする、請求項1に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項10】
前記感知片(14)は、熱膨張率の異なる2つの薄い上/下部薄板(14a)(14b)を接合させたバイメタルから構成するが、
前記上/下部薄板(14a)(14b)のうち、上部薄板(14a)は熱膨張率が低いもの、下部薄板(14b)は熱膨張率が高いものから構成し、温度が上昇すると、上部に撓むようにしたことを特徴とする、請求項8または9に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項11】
前記自動開閉具(9)を昇降させる昇降手段(12)は、温度上昇の際に下部に撓むように蓋本体(2)の下部の固定板(4)で固定した感知片(14)と、前記固定板(4)の下方に一側に回動自在に軸設され、前記感知片(14)によって押圧される梃子(20)と、前記梃子(20)の下部に下方に突出させた押圧レバー(21)と、前記押圧レバー(21)によって作動するように固定板(4)の下部に角運動可能に軸設したストッパー(22)と、前記ストッパー(22)が係止されるように作動軸(15)の下端部に設けた係止突起(15a)とから構成したことを特徴とする、請求項1に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項12】
前記感知片(14)は、熱膨張率の異なる2つの薄い上/下部薄板(14a)(14b)を接合させたバイメタルから構成するが、
前記上/下部薄板(14a)(14b)のうち、上部薄板(14a)は熱膨張率が高いもの、下部薄板(14b)は熱膨張率が低いものから構成し、温度が上昇すると、下部に撓むようにしたことを特徴とする、請求項11に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項13】
前記取っ手(3)の昇降孔(7)の下端に設けた受け部(23)と、前記受け部(23)に定着される補助ばね(10)と、前記補助ばね(10)を加圧するように自動開閉具(9)の上端に調節スクリュー(24)で結合したばね調節具(25)とを含み、
前記自動開閉具(9)を昇降させる昇降手段(12)は、前記自動開閉具(9)の蓋板(11)の下側に設置された温度感知用永久磁石(26)と、前記永久磁石(26)に対応する位置の固定板(4)に設置した磁性体(27)とから構成したことを特徴とする、請求項1または2に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項14】
前記ばね調節具(25)は、自動開閉具(9)の上端の外部に設けたネジ部(29)に昇降可能に螺合され、
取っ手(3)の上側に結合する表面にばね押圧の度合いを肉眼で確認することが可能な表示部(32)を形成した固定カバー(31)と、前記ばね調節具(25)の下端に設けた固定突起(33)と、前記ばね調節具(25)の下端に設けた固定突起(33)に対応するように固定カバー(31)に設けた係止突起(30)とを備えたことを特徴とする、請求項13に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項15】
前記永久磁石(26)と前記磁性体(27)は、複数構成したことを特徴とする、請求項13に記載の溢れ防止用容器蓋。
【請求項16】
前記磁性体は、蓋本体(2)に設置したことを特徴とする、請求項13に記載の溢れ防止用容器蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−500930(P2008−500930A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514889(P2007−514889)
【出願日】平成17年4月30日(2005.4.30)
【国際出願番号】PCT/KR2005/001258
【国際公開番号】WO2005/117528
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(506387591)
【Fターム(参考)】