説明

溶剤として1種または複数のシクロアルカンを含む鋳造用バインダー

(a)フェノール樹脂、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アミノポリオール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリオール成分、ならびに(b)ポリイソシアネート成分を含み、成分(a)および/または(b)が、溶剤として、1種または複数のシクロアルカンをさらに含む、鋳造用バインダー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年7月16日出願の米国仮特許出願第61/266,036号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
鋳物産業において、金属部品を作製するのに使用されている手順の1つは「砂型鋳造」である。砂型鋳造において、使い捨ての鋳造用成形品、例えば、鋳型、中子、スリーブ、鋳込カップ、カバー等は、耐火性物質(一般に砂)と有機または無機バインダーとの混合物を含む鋳造用ミックスを用いて製作される。
【0003】
鋳造用成形品は、一般に、いわゆるノーベーク法、コールドボックス法、および/または熱硬化法により作製される。ノーベーク法では、液体の硬化触媒を耐火性物質およびバインダーと混合して、混合物を模型の中で成形する前に鋳造用ミックスを形成する。鋳造用砂ミックスは、それを模型の中で圧縮し、自立するまで硬化させることにより成形される。コールドボックス法では、蒸気質の硬化触媒を、骨材とバインダーとの(通常は中子取の中の)成形された混合物に通して、硬化した鋳造用成形品を形成する。熱硬化法では、成形品混合物を、硬化触媒を活性化する熱に曝露して、硬化した鋳造用成形品を形成する。
【0004】
バインダー系が効果的に作用するための要件が多く存在している。例えば、バインダーは、一般に粘度が低く、ゲルを含まず、貯蔵および使用条件下で安定なままでなければならない。鋳造用成形品の製造において高生産性を実現するために、鋳造用成形品が可能な限り早く自立し取扱可能となるように効率的に硬化するバインダーが必要である。
【0005】
ノーベーク法および熱硬化法については、より大きい中子および鋳型の製作を可能にする十分な作業時間が必要である。一方、コールドボックス法については、成形された鋳造用ミックスは、蒸気質の硬化触媒との接触時にほぼ瞬間的に硬化しなければならない。ノーベーク、コールドボックスまたは熱硬化バインダーを使用して鋳造用ミックスを用いて作製された鋳造用成形品は、十分な機械的強度、特に即時の引っ張りおよび横強度、引っ掻き硬度を有し、周囲湿度に対する耐性を示す。
【0006】
配合者が直面する最も大きな課題の1つは、鋳造用成形品が、取扱いおよび貯蔵が可能となるように、ならびに金属鋳造プロセスの間に時期尚早に崩壊しないように、それにもかかわらず凝固した鋳造金属部品の冷却後の鋳型および中子の許容される除去特性(型ばらしと呼ばれることが多い)は可能となるように作製された後でも、鋳造用成形品を一緒に保持するバインダーを配合することである。この特性がないと、鋳造鋳型および中子アセンブリから金属部品を取り出すことができるように使用済の鋳造用成形品を破壊するために、時間がかかって労働集約的な手段を適用しなければならない。効果的な鋳造用バインダーに必要な別の関連する特性は、そのバインダーを用いて作製された鋳造用成形品が、それらが作り出された模型から容易に離型されなければならないというものである。
【0007】
耐火性物質および有機バインダーから作製された鋳造用ミックスの流動性は、コールドボックス適用についてはより大きい問題となる恐れがある。なぜなら、場合によっては、バインダーの成分、特にフェノールウレタンバインダーの成分が、耐火性砂との混合後、使用されるのを待っている間に時期尚早に反応し得るためである。この時期尚早な反応が発生すると、それにより鋳造用ミックスの流動性が低減し、該バインダーから作製された鋳型および中子の機械的強度が低減する。この経時的な流動性の低減および強度の低下は、鋳造用ミックスの「可使時間」が不十分であることを示している。あるバインダーにより十分な可使時間を有さない鋳造用ミックスが生じるならば、そのバインダーの商業的価値は限定的である。
【0008】
商業的に成功した鋳造用バインダーのこれらの全ての要件の観点から、鋳造用バインダー技術の開発速度はゆっくりとしたものである。対費用効果の高い様式で関心の要件を全て満たすバインダーを開発することは容易ではない。
【0009】
さらに、優れた性能および対費用効果の他に、環境、健康、および安全性に関する規制および懸念のため、該配合の組成物に対する要求が存在し得る。商業的に使用されている鋳造用バインダーの大部分が大量の芳香族炭化水素溶剤を含有し、芳香族炭化水素溶剤は、次いでベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、ナフタレンのような化合物および他の芳香族化合物および懸念するフラクションを含み得るため、今日では、環境上の懸念が特に重要である。最近、鋳造用バインダーにおける芳香族炭化水素溶剤の使用に対する懸念が高まってきており、使用量の低減またはそれらの使用の完全な排除への関心が広がっている。
【0010】
先行技術は、フェノールレゾール樹脂およびポリイソシアネートベースの鋳造用バインダー系における芳香族炭化水素溶剤の低減および潜在的な排除が何度か探求されてきたことを開示している。例えば、欧州特許第0771569号は、芳香族炭化水素溶剤を、12個の炭素原子の炭素鎖を有する1つまたは複数の脂肪酸のメチルエステルで代替することについて記載している。そのバインダーは有用な中子および鋳型を作製するが、鋳込、冷却および型ばらしプロセスの間に煙および刺激的な臭気が生じ、これらのバインダーを用いて作製された使用済鋳型および中子から得られる砂を再生および再利用することがより困難であることが分かってきた。したがって、実際のところ、脂肪酸エステルを伝統的な芳香族炭化水素溶剤と組み合わせて補助溶剤として使用する傾向がある。
【0011】
最近になって、欧州特許第1057554号が、芳香族炭化水素溶剤を代替するためのアルキルシリケート、特に、テトラエチルシリケートの使用を開示した。この技術もいくつかの欠点(例えば、アミン硬化ガスを減少させるのに使用する酸性スクラブ溶液におけるゲル形成、および鋳造部品に堆積し、使用済の砂に蓄積するか、または空中に浮遊するようになり得る細かい白色のシリカ粒子の形成)を有する。
【0012】
非環式脂肪族溶剤、例えばケロシンおよびテトラデセンが、ポリオール−ポリイソシアネートバインダー、特にフェノールウレタンコールドボックスおよびノーベークバインダーへの少量添加により使用されてきたが、それらの強力な無極性溶解性により、バインダー配合物中のそれらの量が、バインダー全体(すなわち、パートI(ポリオール成分)およびパートII(ポリイソシアネート成分)の合計重量)で5重量パーセント未満に著しく制限されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/266,036号
【特許文献2】欧州特許第0771569号
【特許文献3】欧州特許第1057554号
【特許文献4】米国特許第3,485,797号
【特許文献5】米国特許第4,448,907号
【特許文献6】米国特許第3,409,579号
【特許文献7】WO 2004050738
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このような背景から、優れた性能および対費用効果ならびに環境、健康および安全上の懸念に対する十分な配慮を維持しながら、芳香族炭化水素溶剤を含有していないまたはそれらを非常に低減したレベルで利用する鋳造用バインダーを開発する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、(a)フェノール樹脂、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アミンポリオール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリオール成分、ならびに(b)ポリイソシアネート成分を含み、成分(a)および/または(b)が、溶剤として、1種または複数のシクロアルカンをさらに含む鋳造用バインダーに関する。本開示は、該鋳造用バインダーを用いて調製した鋳造用ミックス、該鋳造用ミックスを使用して鋳造用成形品を作製するためのコールドボックス法、ノーベーク法および熱硬化法、ならびに該鋳造用成形品および金属鋳造の方法を使用して鋳造金属部品を作製する方法にも関する。
【0016】
鋳造用バインダーを配合するときにベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、ナフタレンおよび他の芳香族化合物およびフラクションを含む芳香族炭化水素溶剤を排除または低減することができるため、本発明によるバインダーを使用することの環境、健康、および安全上利点がある。その結果、本発明によるバインダーを用いて作製された鋳造用ミックスから鋳造用成形品を作製する場合、およびこれらの鋳造用成形品を使用して金属部品を鋳造する場合、不要なガス、煙霧および臭気が低減または排除される。さらに、鋳造用成形品の作製に使用する鋳造用バインダー中でアルキルシリケートを溶剤として使用している場合に存在するシリカ粒子への潜在的な曝露は存在しない。
【0017】
定義した鋳造用バインダー中で、芳香族炭化水素溶剤の完全または部分的な代替として、溶剤としてシクロアルカンを使用することにより、(1)オゾン層に対して有害な作用を有する恐れがあり、バインダーを用いて鋳造用成形品を作製する場合、および金属鋳造プロセスの過程で鋳造用成形品を使用して金属部品を作製する場合に遊離する光化学的活性種の量を低減することができ、(2)半永久鋳型のベント装置におけるタール様の物質の形成を低減することができ(自動車のシリンダヘッドを作製するのに一般に使用される技術)、(3)鋳造用成形品から作製された鋳造金属部品の品質の向上をもたらすことができ、(4)摩擦再生砂および生砂造型装置における溶剤付着を排除または低減することにより鋳型および中子の品質を向上することができ、(5)鋳込、冷却および型ばらしの間の濃い煙の生成を低減することができると考えられる。
【0018】
ポリオールおよびポリイソシアネート、特にフェノールレゾール樹脂ベースのバインダーが溶剤の様々な特性に敏感であることが知られているため、製品貯蔵安定性ならびに中子および鋳型作製能についてバインダーの性能特性に悪影響を及ぼすことなく、伝統的にそのようなバインダー中で使用されている芳香族炭化水素溶剤を完全または部分的に代替するのにシクロアルカンを使用できることが分かったことは予想外であった。ケロシンおよびテトラデセンなどの非環式脂肪族溶剤が、高レベル、特に鋳造用バインダー中の全ての芳香族炭化水素溶剤を完全に代替するレベルではフェノール樹脂およびポリイソシアネートに適合しないことが知られているため、このことは特に予想外であった。
【発明を実施するための形態】
【0019】
バインダー系を2つのパートからなる系として包装および使用することが好ましい。
【0020】
鋳造用バインダーのポリオール成分(パートI)は、フェノール樹脂、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アミンポリオール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリオールを含む。ポリオールとして使用するのが好ましいのはフェノールレゾール樹脂である。
【0021】
該バインダーのポリイソシアネート成分(パートII)は、脂肪族ポリイソシアネートおよび芳香族ポリイソシアネートならびにそれらの混合物からなる群から選択されるポリイソシアネートを含む。ポリイソシアネートとして使用するのが好ましいのは、その入手可能性から、メチレンジフェニルイソシアネートである。
【0022】
前述の通り、好ましいポリオールは、液体または有機溶剤に可溶性のフェノール樹脂である。バインダー組成物のフェノール樹脂成分は、一般に、有機溶剤中の溶液として利用する。使用する溶剤の量は、骨材へのその均一なコーティングおよび鋳造用砂ミックス中でのポリイソシアネート成分との均一な反応を可能にする十分な粘度を有するバインダー組成物が生じるのに十分であるべきである。フェノール樹脂の具体的な溶剤濃度は、利用するフェノール樹脂のタイプおよびその分子量に応じて変動し得る。一般に、その溶剤濃度は、ポリオール成分の最大で80重量%の範囲、一般にポリオール成分の20%〜80重量%の範囲となる。
【0023】
フェノールレゾール樹脂は、アルカリ触媒または金属触媒の存在下でモル過剰のアルデヒドをフェノールと反応させることにより調製することが好ましい。フェノール樹脂は、水を実質的に含まず、有機溶剤に可溶性であることが好ましい。主題のバインダー組成物中で使用する好ましいフェノール樹脂は当技術分野においてよく知られており、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第3,485,797号に具体的に記載されている。ベンジルエーテルフェノールレゾール樹脂として知られているこれらの樹脂は、アルデヒドとフェノールとの反応生成物である。それらは、オルト−オルトベンジルエーテル架橋である、ポリマーのフェノール核を連結する圧倒的多数の架橋を含有する。それらは、金属イオン触媒、好ましくは、亜鉛、鉛、マンガン、銅、スズ、マグネシウム、コバルト、カルシウム、およびバリウムなどの二価金属イオンの存在下で、少なくとも1:1のアルデヒド対フェノールのモル比でアルデヒドとフェノールとを反応させることにより調製する。
【0024】
フェノールレゾール樹脂を調製するのに使用するフェノールとしては、フェノールそのものおよび/またはフェノール樹脂の形成においてこれまで利用されてきた、2つのオルト位または1つのオルト位およびパラ位で置換されていないフェノールの任意の1種または複数が挙げられる。そのような置換されていない位置が重合反応には必要である。フェノール環の残りの炭素原子は、いずれか1つが置換されていても、全てが置換されていても、全く置換されていなくてもよい。置換基の性質は大きく異なっていてもよく、置換基が、アルデヒドとオルト位および/またはパラ位でのフェノールとの重合を妨害しないことだけが必須である。フェノール樹脂の形成において利用する置換フェノールとしては、アルキル置換フェノール、アリール置換フェノール、シクロアルキル置換フェノール、アリールオキシ置換フェノール、およびハロゲン置換フェノールが挙げられ、前述の置換基は、1〜26個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子を含有する。
【0025】
あるいは、ノボラック樹脂を使用してもよい。ビスフェノールFは最も単純なノボラックであり、酸性条件下で大モル過剰のフェノールをホルムアルデヒドと反応させることにより調製し、それにより、o,p’異性体、p,p’異性体およびo,o’異性体を含む異性体混合物が生じる。一般的な酸触媒はシュウ酸である。
【0026】
好適なフェノールの具体例としては、フェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール、2,3,4−トリメチルフェノール、3−エチルフェノール、3,5−ジエチルフェノール、p−ブチルフェノール、3,5−ジブチルフェノール、p−アミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、3,5−ジシクロヘキシルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クロチルフェノール、3,5−ジメトキシフェノール、3,4,5−トリメトキシフェノール、p−エトキシフェノール、p−ブトキシフェノール、3−メチル−4−メトキシフェノール、およびp−フェノキシフェノールが挙げられる。4,4’−ジフェノールおよびビスフェノールAなどの複数環のフェノールも好適である。
【0027】
フェノールと反応させるのに使用するアルデヒドは、式RCHOを有し、式中、Rは水素または1〜8個の炭素原子の炭化水素基である。フェノールと反応させるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、フルフルアルデヒド、ベンズアルデヒド等、およびそれらの混合物などの、フェノール樹脂の形成においてこれまで利用されてきたアルデヒドのいずれかを挙げることができる。最も好ましいアルデヒドはホルムアルデヒドである。
【0028】
ポリエーテルポリオールは市販されており、それらの調製方法およびそれらのヒドロキシル価を求める方法はよく知られている。ポリエーテルポリオールは、当技術分野においてよく知られている方法に従って、ナトリウムメトキシドなどの適切な触媒の存在下でアルキレンオキシドを多価アルコールと反応させることにより調製する。任意の好適なアルキレンオキシドまたはアルキレンオキシドの混合物を多価アルコールと反応させてポリエーテルポリオールを調製することができる。ポリエーテルポリオールを調製するのに使用するアルキレンオキシドは、一般に、2〜6個の炭素原子を有する。代表例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アミレンオキシド、スチレンオキシド、またはそれらの混合物が挙げられる。一般にポリエーテルポリオールを調製するのに使用する多価アルコールは、一般に、2.0超、好ましくは2.5〜5.0、最も好ましくは2.5〜4.5のヒドロキシ官能価を有する。例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、およびテトラメチロールメタンが挙げられる。
【0029】
アミノポリオールもよく知られていて米国特許第4,448,907号に記載されており、通常、アルキレンオキシドとアミン化合物との反応生成物として生成される。一般に、少なくとも1種または複数の第三級アミン基を含有する任意のポリオールは、「アミノポリオール」の定義の範囲内にあると見なされる。アミンポリオールを調製するのに使用するアルキレンオキシドは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであることが好ましい。しかし、他のアルキレンオキシドを使用することも可能であると考えられる。本発明を構成するバインダー組成物中で有用なアミノポリオールを得るためにアルキレンオキシドと反応させるアミン化合物としては、第1級または第2級アミン基を有するアンモニアならびにモノおよびポリアミノ化合物が挙げられる。具体例としては、第1級アルキルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミンなどの脂肪族アミン、シクロヘキシルアミン、ピロリジン、モルホリンおよびN,N’−ジエチレンジアミンなどの脂環式アミン、アニリンなどの芳香族アミン、オルト−、メタ−、およびパラ−フェニレンジアミン、アニリン−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。アミノポリオールは、一般に、約200〜1000mg/g KOH、好ましくは約600〜800mg/g KOHのヒドロキシル価を有する。
【0030】
使用することができるポリエステルポリオールは、脂肪族および/または芳香族ポリエステルポリオールである。好ましいポリエステルポリオールは、液体芳香族ポリエステルポリオールのブレンドであり、それは、一般に、約200〜2000mg/g KOH、好ましくは200〜1200mg/g KOH、最も好ましくは250〜800mg/g KOHのヒドロキシル価;2.0以上、好ましくは2〜4の官能価;および25℃で500〜50000センチポアズ、好ましくは1000〜35000センチポアズ、最も好ましくは1500〜25000センチポアズの粘度を有する。芳香族ポリエステルポリオールは、一般に、酸性触媒による芳香族エステルとアルコールまたはグリコールとのエステル交換により調製する。一般に、芳香族ポリエステルポリオールを作製するための芳香族エステルとしてフタレートを使用する。芳香族ポリエステルポリオールを調製するのに使用するアルコールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、テトラメチロールメタン、グリセリン、およびそれらの混合物である。脂肪族ポリエステルポリオールは、一般に、酸とアルコールとの直接縮合により作製される。脂肪族ポリエステルポリオールを調製するのに使用する酸の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、クエン酸、テトラヒドロフタル酸、およびそれらの混合物である。脂肪族ポリエステルポリオールを調製するのに使用するアルコールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、テトラメチロールメタン、グリセリン、およびそれらの混合物である。
【0031】
任意の有機ポリイソシアネートをパートII、ポリイソシアネート成分において使用することができる。バインダー組成物のポリイソシアネート成分は、一般に、有機溶剤中の溶液として利用するが、パートIIが100%ポリイソシアネートからなるバインダーを使用することができる。ポリイソシアネート成分中の具体的な溶剤濃度は、パートIにおいて利用するフェノール樹脂のタイプおよびその分子量に応じて変動し得る。一般に、その溶剤濃度は、ポリイソシアネート成分の最大で80重量%までの範囲、一般に最大で50%までの範囲となる。
【0032】
使用する有機ポリイソシアネートの例としては、2以上、好ましくは2〜5の官能価を有するポリイソシアネートが挙げられる。それは、脂肪族、脂環式、芳香族、もしくはハイブリッドポリイソシアネート、またはそれらの混合物とすることができる。ポリイソシアネートの代表例は、ヘキサメチレンジイソシアネートおよび1,12−ジイソシアナトドデカンなどの脂肪族ポリイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート、ならびにメチレンジフェニルイソシアネートならびにその異性体および重合体種、2,6−トルエンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ならびにそれらの誘導体である。好適な有機ポリイソシアネートの他の例は、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、およびそれらの誘導体等である。また、化学修飾ポリイソシアネート、ポリイソシアネートのプレポリマー、およびポリイソシアネートの準プレポリマーを使用できることも企図する。有機溶剤溶液の形態の固体または粘性のポリイソシアネートを使用しなければならず、その溶剤は、一般に、溶液の最大で80重量パーセントまでの範囲、一般に最大で50%までの範囲で存在している。
【0033】
ポリイソシアネートは、第三級アミン硬化触媒で触媒した場合にフェノール樹脂の硬化を引き起こすのに十分な濃度で使用する。一般に、ポリオール成分のヒドロキシル基に対するポリイソシアネート成分のイソシアナト基の比は1.25:1〜1:1.25、好ましくは約1:1である。
【0034】
バインダーのパートIおよび/またはパートIIは、溶剤として1種または複数のシクロアルカンを含有する。シクロアルカンは、非置換シクロアルカン、置換シクロアルカン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、シクロアルカン中の炭素原子の数は5〜24であり、シクロアルカン中の個々の縮合、架橋、およびスピロ連結の環構成を含めた環の数は1〜4であり、二環式、三環式および四環式シクロアルカンの個々の環の中の炭素原子の数は3〜10、好ましくは5〜8である。バインダーのパートIおよび/またはパートIIにおいて溶剤として使用することができるシクロアルカンの例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、デカヒドロアズレン、トリシクロ[2.2.1.0]ヘキサン、テトラシクロ[5,2,2,0,0]ウンデカン、スピロ[4.5]デカン、ジスピロ[5.1.7.2]ヘプタデカン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘキシル、テルシクロデカン、1−シクロブチル−2−シクロペンチルエタン、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロフルオレン、それらの部分不飽和同族体、アルキル、アルケニルおよびアルキニル誘導体、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、使用するシクロアルカンは、最も容易におよび豊富に入手可能なシクロアルカンであるため、デカヒドロナフタレンである。
【0035】
鋳造用バインダーは他の溶剤を含有し得る。特に、鋳造用バインダーは、芳香族炭化水素溶剤、二塩基性エステル溶剤、脂肪酸エステル溶剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数の溶剤をさらに含むことができ、それらは、鋳造用バインダーのパートI、パートII、またはパートIおよびパートIIの両方の中に配合することができる。
【0036】
バインダー中の溶剤の総量は、一般に、100重量部のバインダーに対して1〜80重量部、好ましくは100重量部のバインダーに対して5〜60重量部、最も好ましくは100重量部のバインダーに対して15〜50重量部の範囲である。
【0037】
バインダー中のシクロアルカンの総量は、一般に、100重量部のバインダーに対して5〜40重量部、好ましくは100重量部のバインダーに対して5〜30重量部、最も好ましくは100重量部のバインダーに対して5〜20重量部の範囲である。
【0038】
シクロアルカンをバインダーのパートIにおいて使用する場合、パートIにおいて使用するシクロアルカンの総量は、パートIの100重量部に対して0〜30重量部、好ましくはパートIの100重量部に対して5〜25重量部、最も好ましくはパートIの100重量部に対して5〜20重量部の範囲である。
【0039】
シクロアルカンをバインダーのパートIIにおいて使用する場合、パートIIにおいて使用するシクロアルカンの総量は、一般に、パートIIの100重量部に対して0〜60重量部、好ましくはパートIIの100重量部に対して5〜40重量部、最も好ましくはパートIIの100重量部に対して5〜30重量部の範囲である。
【0040】
鋳造用ミックスは、鋳造用耐火性物質を鋳造用バインダーと混合することにより調製する。当技術分野においてよく知られている方法により鋳造用砂ミックスを調製するのに様々なタイプの耐火性物質および様々な量のバインダーを使用する。通常の成形品、精密鋳造用の成形品、および耐火性の成形品は、該バインダー系および適切な耐火性物質を使用することにより調製することができる。使用するバインダーの量および耐火性物質のタイプは当業者に知られている。鋳造用ミックスを調製するために利用するのに好ましい耐火性物質は珪砂であり、この砂の少なくとも約70重量パーセント、好ましくは少なくとも約85重量パーセントはシリカである。通常の鋳造用成形品に好適な他の耐火性物質としては、ジルコン、かんらん石、アルミノシリケート、クロマイト等が挙げられる。
【0041】
一般的な鋳造用途において、バインダーの量は、一般に、耐火性物質の重量に対して約10重量%以下であり、しばしば、約0.5%〜約7重量%の範囲内である。ほとんどの場合、通常の鋳造用成形品のバインダー含量は、耐火性物質の重量に対して約0.6%〜約5重量%の範囲である。
【0042】
バインダー組成物は、ポリオール成分を一方のパート(パートI)に有し、ポリイソシアネート成分を他方のパート(パートII)として有する2つのパートからなる系として入手可能にすることが好ましい。通常、最初に、ポリオールを耐火性物質と混合し、次いで、ポリイソシアネート成分を添加するが、添加の順番は逆にすることができる。バインダーを耐火性粒子上に分布させる方法は当業者によく知られている。
【0043】
バインダー、耐火性物質、または鋳造用ミックスにカップリング剤、流動促進剤、可使時間延長剤、離型剤、乾燥剤、脱泡剤、湿潤剤などの他の添加剤を添加できることは当業者には明らかであろう。選択される特定の添加剤は、配合者の特定の目的次第となる。
【0044】
一般に、金属部品は、鋳造される金属部品の寸法および輪郭と一致するように成形される内部キャビティならびに熱い液体金属をキャビティに供給するための湯口系を有する鋳型アセンブリを作り出すことにより作製される。鋳型および/または中子を鋳型アセンブリに挿入して、溶融金属を鋳型アセンブリに鋳込んで冷却すると金属部品が成形される外側および内側の鋳込構造を生成する。場合により、耐火性コーティングを、液体金属と接触する鋳型アセンブリの全て、または選択した要素に適用することができる。
【0045】
鋳造用成形品は、
(a)半分を超える量(a major amount)の鋳造用ミックスを模型に投入して鋳造用成形品を形成するステップと、
(b)模型中の鋳造用ミックスを蒸気質の硬化触媒と接触させるステップと、
(c)鋳造用成形品を硬化させるステップと、
(d)取扱可能になったら鋳造用成形品を模型から取り出すステップと
を含むコールドボックス法により調製する。
【0046】
コールドボックス法によるポリオール−ポリイソシアネートバインダーの硬化は、参照により本開示に組み込まれている米国特許第3,409,579号に記載の通り、鋳造用成形品を揮発性の第三級アミンの蒸気と接触させることにより実施する。使用することができる揮発性の第三級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン等が挙げられる。
【0047】
鋳造用成形品は、
(e)液体の硬化触媒を含有する半分を超える量(a major amount)の鋳造用ミックスを模型に投入して鋳造用成形品を形成するステップと、
(f)鋳造用成形品を硬化させるステップと、
(g)取扱可能になったら鋳造用成形品を模型から取り出すステップと
を含むノーベーク法により調製する。
【0048】
ポリオール−ポリイソシアネートバインダーの好ましい液体の硬化触媒は第三級アミンであり、好ましいノーベーク硬化プロセスは、参照により本開示に組み込まれている米国特許第3,485,797号に記載されている。そのような液体の硬化触媒の具体例は、一般に約5〜約11の範囲のpK値を有するアミンであり、アルキル基が1〜4個の炭素原子を有する4−アルキルピリジン、例えば4−フェニルプロピルピリジン、イソキノリン、フェニルピリジンなどのアリールピリジン、ピリジン、アクリジン、2−メトキシピリジン、ピリダジン、3−クロロピリジン、キノリン、N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、4,4’−ジピリジン、1−メチルベンズイミダゾール、1,4−チアジンおよび(3−ジメチルアミノ)プロピルアミンが挙げられる。
【0049】
鋳造用成形品は、
(h)耐火性物質、ノボラック樹脂およびポリイソシアネートを含有する半分を超える量(a major amount)の鋳造用ミックスを加熱した模型に投入して鋳造用成形品を形成するステップと、
(i)鋳造用成形品を硬化させるステップと、
(j)取扱可能になったら鋳造用成形品を模型から取り出すステップと
を含む熱硬化法により調製する。
【0050】
熱硬化法は、参照により本開示に組み込まれているWO 2004050738に記載されている。
【0051】
金属部品は、
(k)鋳造用成形品を1つまたは複数の鋳型および/または中子を有する鋳造アセンブリに挿入するステップと、
(l)金属を、液状となっている間に、前記鋳造アセンブリに鋳込むステップと、
(m)前記金属を冷却および凝固させるステップと、
(n)次いで、鋳造金属部品を前記鋳造アセンブリから分離するステップと
を含む金属部品を鋳造する方法により調製する。
【0052】
金属部品は、ねずみおよび白鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、バーミキュラ黒鉛鋳鉄および鋼などの鉄金属、ならびにアルミニウム、マグネシウム、銅、亜鉛、チタンおよびそれらの合金などの非鉄金属から鋳造することができる。溶融鉄金属の温度は、約1100℃〜約1700℃の範囲である。溶融非鉄金属の温度は、約400℃〜約1700℃の範囲である。
【0053】
「含む(comprising)」という用語(およびその文法的変形形態)は、本明細書において使用する場合、「有する(having)」または「含む(including)」を含めた意味として使用され、「のみからなる」という他のものを含まない意味では使用されていない。「a」および「the」という用語は、本明細書において使用する場合、単数形と同様に複数形も包含すると理解される。
【実施例】
【0054】
実施例A、B、1、および2
コールドボックス法により、最初に(WBB minerals、Sibelco UK Ltd.からの)Congleton HST 50珪砂を表Iに記載のバインダー配合物とKenwood Chefミキサーで1分間混合することにより試験用の鋳造用中子を作製した。バインダーのパートIにおいて使用するフェノールレゾール樹脂(RESIN)は、当技術分野においてよく知られている方法に従って酢酸亜鉛二水和物を触媒として用いて調製したポリベンジルエーテルフェノール樹脂であった。バインダーのパートIIにおいて使用するポリイソシアネートは、2.7という官能価を有するポリ(メチレンジフェニルイソシアネート)であった。等量のパートIおよびパートIIを利用し、使用したバインダー全体の量は砂の重量に対して1.2重量パーセントであった。
【0055】
得られた鋳造用ミックスを、金型に吹き付け、そこで米国特許第3,409,579号に記載のコールドボックス法により硬化することによりキャビティの中で鋳造用ミックスを圧縮して、120mm×22.4mm×6mmという寸法を有する試験用中子を製造した。試験用中子を1.4バールの圧力の窒素中でトリエチルアミン(0.25ml)の混合物と1秒間接触させ、引き続き、4バールの圧力の窒素で約18秒間パージし、それにより試験片を形成した。
【0056】
バインダーを調製したとき、および試験用中子を調製したときに不快な臭気は認められなかった。
【0057】
別段の指示がない限り、新たに調製した鋳造用砂ミックスを用いて試験用中子を作製し、試験片が形成した30秒、3分、および6分後に横強度を測定した。試験用中子の横強度の測定により、砂とバインダーとの混合物が実際の鋳造工程においてどのように作用するのかを予測することが可能となる。成形品のより低い横強度は、フェノール樹脂およびポリイソシアネートが砂との混合の間およびその後ならびに硬化の前により大規模に反応したことを示している。
【0058】
実施例1は本発明の範囲内であるが、実施例AおよびBは比較例であり、シクロアルカンを全く含有していない。
【0059】
【表1】

【0060】
表Iのデータは、デカヒドロナフタレン(DHN)を含有するバインダーを用いて作製された試験用中子の横強度が、一般的な芳香族炭化水素溶剤(AHS)系をベースにした市販されているフェノールウレタンコールドボックスバインダーを用いて作製された試験用中子、ならびに脂肪酸エステル(FAE)および二塩基性エステル(DBE)溶剤をベースにしたものを用いて作製された試験用中子の横強度に勝ることを示唆している。
【0061】
本明細書において列挙した全ての刊行物、特許および特許出願は、参照により、あらゆる目的のために、それぞれの個々の刊行物、特許または特許出願を参照により組み込まれていることが具体的および個別的に示されているかのように本明細書に組み込まれている。不一致の場合、本開示が優先する。
【0062】
本開示の前述の記載は、本開示を例示および説明するものである。さらに、本開示は、好ましい実施形態のみを示し、説明しているが、上述の通り、本開示が、様々な他の組合せ、修正、および環境において使用可能であり、上記教示および/または関連分野の技術もしくは知識に応じて、本明細書において表している概念の範囲内で変更または修正可能であることが理解されよう。
【0063】
上記の実施形態は、その実施について知られる最良の形態を説明すること、ならびに、そのような、または他の実施形態において、および特定の適用例または用途により必要とされる様々な修正と共に、当業者が本開示を利用できるようにすることをさらに意図する。したがって、該説明は、本発明を本明細書に開示された形態に限定することを意図していない。また、添付の特許請求の範囲が代替実施形態を含むと解釈されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)フェノール樹脂、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アミンポリオール、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリオール成分、
(b)ポリイソシアネート成分
を含み、成分(a)および/または成分(b)が、溶剤として、非置換シクロアルカン、置換シクロアルカン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシクロアルカンをさらに含む、鋳造用バインダー。
【請求項2】
ポリオール成分がフェノールレゾール樹脂を含む、請求項1に記載の鋳造用バインダー。
【請求項3】
シクロアルカン中の炭素原子の数が5〜24である、請求項2に記載の鋳造用バインダー。
【請求項4】
シクロアルカン中の環の数が1〜4である、請求項3に記載の鋳造用バインダー。
【請求項5】
シクロアルカンの環の中の炭素原子の数が4〜10である、請求項3に記載の鋳造用バインダー。
【請求項6】
シクロアルカンの1つまたは複数が2つの環を有する、請求項5に記載の鋳造用バインダー。
【請求項7】
シクロアルカンがシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の鋳造用バインダー。
【請求項8】
シクロアルカンがデカヒドロナフタレンを含む、請求項2に記載の鋳造用バインダー。
【請求項9】
成分(a)および/または成分(b)が芳香族炭化水素溶剤、エステル溶剤、脂肪酸エステル溶剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数の溶剤をさらに含む、請求項1、2、3、4、5、6、7、または8に記載の鋳造用バインダー。
【請求項10】
バインダー系中のシクロアルカンの量が100重量部のバインダーに対して5〜40重量部である、請求項9に記載の鋳造用バインダー。
【請求項11】
芳香族炭化水素溶剤の量が100重量部のバインダーに対して10重量部未満である、請求項10に記載の鋳造用バインダー。
【請求項12】
芳香族炭化水素溶剤を含有していない請求項11に記載の鋳造用バインダー。
【請求項13】
半分を超える量の耐火性物質および半分未満の量の請求項9に記載の鋳造用バインダーを含む鋳造用ミックス。
【請求項14】
液体の第三級アミン硬化触媒をさらに含む請求項13に記載の鋳造用ミックス。
【請求項15】
(a)半分を超える量の請求項9に記載の組成物を模型に投入して成形品を形成するステップと、
(b)成形品を第三級アミン硬化触媒の蒸気と接触させるステップと、
(c)成形品を硬化させるステップと、
(d)成形品を模型から取り出すステップと
を含む鋳造用成形品の調製のためのコールドボックス法。
【請求項16】
(a)請求項15に従って調製した鋳造用成形品を1つまたは複数の鋳型および/または中子を有する鋳造アセンブリに挿入するステップと、
(b)金属を、液状となっている間に、前記鋳造アセンブリに鋳込むステップと、
(c)前記金属を冷却および凝固させるステップと、
(d)次いで、鋳造金属部品を前記鋳造アセンブリから分離するステップと
を含む金属部品を鋳造する方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法により作製された金属鋳物。
【請求項18】
(a)半分を超える量の請求項14に記載の組成物を模型に投入して成形品を形成するステップと、
(b)成形品を硬化させるステップと、
(c)成形品を模型から取り出すステップと
を含む鋳造用成形品の調製のためのノーベーク法。
【請求項19】
(a)請求項18に従って調製した鋳造用成形品を1つまたは複数の鋳型および/または中子を有する鋳造アセンブリに挿入するステップと、
(b)金属を、液状となっている間に、前記鋳造アセンブリに鋳込むステップと、
(c)前記金属を冷却および凝固させるステップと、
(d)次いで、鋳造金属部品を前記鋳造アセンブリから分離するステップと
を含む金属部品を鋳造する方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法により作製された金属鋳物。
【請求項21】
(a)(i)耐火性物質、(ii)ノボラック樹脂および(iii)ポリイソシアネートを含む半分を超える量の鋳造用ミックスを加熱した模型に投入して鋳造用成形品を形成するステップであって、
成分(ii)および/または成分(iii)が、溶剤として、非置換シクロアルカン、置換シクロアルカン、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のシクロアルカンをさらに含むステップと、
(b)鋳造用成形品を硬化させるステップと、
(c)取扱可能になったら鋳造用成形品を模型から取り出すステップと
を含む鋳造用成形品の調製のための熱硬化法。

【公表番号】特表2012−533433(P2012−533433A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520639(P2012−520639)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/037212
【国際公開番号】WO2011/008362
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512011026)エーエスケー ケミカルズ リミテッド パートナーシップ (4)
【Fターム(参考)】