説明

溶剤回収装置

【課題】工場に設置される溶剤回収装置は、広い敷地面積に設置されているので、小型化や省電力化が望まれており、また溶剤を回収するための脱着ガスが流れるダクト内に溶剤が結露して劣化が生じやすく、メンテナンスを行うための手間を軽減するとともに、結露の発生や滞留を少なくするための対策が必要であった。
【解決手段】本発明は、主送風機9と溶剤回収タンク35とが配置された第1フロア部63と、被処理ガス40から溶剤を分離する冷却システム、デミスタ5、ロータ部6とが配置された第2フロア部64と、処理ガス44の一部を取り出して加熱しロータ部6に戻す加熱器16と、ロータ部6から脱着ガス54を吸い出す副送風機19と、副送風機19から被処理ガスダクト2に吹き下ろす傾斜ダクト21とが配置された第3フロア部65を有する溶剤回収装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場などから排出された、有機溶剤を含む排気ガスから溶剤を回収する溶剤回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、電池といった電子部品では、一括大量に生産するために、インクジェット法、グラビア法、ダイコーティング法といった印刷工程や塗布工程を利用した製造方法が行われている。これらの工程では、大気圧環境で作業ができるという利点がある一方、使用する材料を液状化しなければならないという制約がある。
【0003】
材料を液状化するために、さまざまな溶剤が利用される。しかし、これらの溶剤は材料を所定の層として形成した後は不要となるため、気化蒸発させる。すなわち、塗布工程を有する工場からは、溶剤を含んだ大量の排気ガスが排出される。使用される溶剤の中には、150℃以上の高沸点の有機溶剤が含まれる場合があり、これらの有機溶剤を含んだ排気ガスをそのまま排出するのは、環境衛生上好ましくない。そこで、排気ガス中の高沸点の有機溶剤を回収する溶剤回収装置が提案されている。
【0004】
特許文献1には、溶剤回収装置の基本構成が開示されている。溶剤回収装置は、溶剤を含む被処理ガスを冷却器で冷却することでガス中の溶剤を結露させ、さらにゼオライトや活性炭からなる吸収剤を含んだデミスタを通過させることで、排気ガス中の溶剤を回収する。
【0005】
図4は、特許文献1に開示された発明の概略を示す図である。溶剤回収装置200は、第1の冷却器201と第2の冷却器202が直列に連結され、その直後にデミスタ210が連結された構成を有する。デミスタ210の直後に配置されているのはフィルタ212である。被処理ガスは、処理装置の入り口部204から入り、冷却器201,202で結露して液状となった有機溶剤がデミスタで捕捉され、さらにフィルタ212で浄化された処理ガスは、浄化ガスとして、第1冷却器201の中で60〜70℃程度に加熱され、塗工機へ戻る(205)。
【0006】
しかしフィルタ212は、所定の容量で飽和して継続使用できないので、飽和を防ぐとともに、付着した溶剤を回収する方法として、溶剤を吸脱着する回転ロータを用いて回収する溶剤回収装置が、特許文献2に開示されている。図3を参照して説明すると、溶剤回収装置100は、第1冷却システム101とロータ102と、加熱器103と、第2冷却システム104を有する。
【0007】
ロータ102は、例えばセラミック繊維等を主原料とするシートの波形に型付け加工したものと、未加工のものとを重ねてロール状に巻き上げ、それに吸着剤を担持させたハニ
カム構造のものであり、ロータ102の中心を回転軸として回転可能に設けたものである。また、ロータ102の前後に固定して配置したセパレータによって、吸着ゾーン113、脱着ゾーン111、パージゾーン112の3つの扇形領域に隔離され、ロータ102の回転に応じて、各ゾーンが順次割り当てられるものである。
【0008】
上記構成において、溶剤を含む高温の被処理ガス120は、第1冷却システム101で冷却され、露結した溶剤130が回収される。冷却された被処理ガス121は、さらにロータ102の吸着ゾーン113を通過することで、気体中の溶剤が回収される。溶剤が回収された処理ガス122は、一部は大気に放出される。なお、以後冷却システムとデミスタまたは/かつロータの組み合わせを溶剤回収系と呼ぶ。
【0009】
一方、処理ガス122の一部は抜き取られ(123)、パージゾーン112に供給される。後述するように、吸着ゾーン113で溶剤を吸収した吸着剤は脱着ゾーン111で高温に温められることで溶剤を放出する。つまり、脱着ゾーン111を抜けてきた吸着剤は温められている。そこで、パージゾーン112に冷たく溶剤を含んでいない処理ガス123を通過させることで、吸着剤を冷却し、溶剤吸着能を向上させる。
【0010】
パージゾーン112を通過したガス124は、加熱器103で加熱され、脱着用キャリアガス125として、ロータ102の吸着ゾーン111に供給される。脱着用キャリアガス125は、吸着ゾーン111にある溶剤を吸収した吸着剤を加熱し、溶剤を脱離させる。溶剤を含んだ脱着ガス126は、第2の冷却システム104で冷却され、凝結させた溶剤を回収132する。溶剤が凝結除去された再生ガス127は、再び冷却された被処理ガス121と混合され、ロータ102に送られる。なお、ロータ102を再生させるための装置と配管を再生系と呼ぶ。
【0011】
上記のような構成にすることで、ロータは循環的に再生使用することができ、また、パージ用、若しくは脱着用キャリアガスを別途用意する必要がないので、効果的に溶剤を回収することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−011953号
【特許文献2】特開平09−173758号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、工場に設置される溶剤回収装置は、特許文献1に示すように、水平方向に長い設備となり、各部をメンテナンスするために移動するには、多大な時間を要していた。また、このような溶剤回収装置の設置には長い敷地が必要となる。メンテナンスの容易さと、省スペース化の要望から、よりコンパクトな溶剤回収装置が望まれていた。
【0014】
また、メンテナンスの容易さという観点では、ダクト内での結露が課題であった。ダクト内で結露が生じ滞留してしまうと、結露液は有機溶剤を含んでいるので、ダクトの隙間から漏出したり、機能部材に浸入して腐食や動作不良につながるからである。特に、特許文献2のように、ロータを再生使用するためのダクト経路を有すると、ダクト内には高濃度の溶剤を含んだガスが通過するため、わずかな温度低下で結露を生じ滞留するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、従来の溶剤回収装置の有するメンテナンスに手間がかかり、長い設置場所が必要であるという課題に鑑みて想到されたものである。より具体的には、
工場側から排出された高沸点の有機溶剤を含む被処理ガスから前記有機溶剤を分離し処理ガスとして再度工場側に戻す溶剤回収装置であって、前記処理ガスを工場側に送る処理ガスダクトと連結された主送風機と、溶剤回収タンクとが配置された第1フロア部と、
前記被処理ガスが送られる被処理ガスダクトが連結された冷却システムと、前記冷却システムで冷却された前記被処理ガスから溶剤を脱離して処理ガスとするデミスタおよびロータ部と、が配置された第2フロア部と、
前記ロータ部から取り出される処理ガスの一部を脱着用キャリアガスとして加熱し再度前記ロータ部に戻す加熱器と、
前記ロータ部から脱着ガスを吸い出す副送風機と、前記副送風機から前記被処理ガスダクトに吹き下ろす傾斜ダクトとが配置された第3フロア部を有する溶剤回収装置を提供する。
【0016】
また、本発明の溶剤回収装置は、前記冷却システムと前記デミスタを収納する底面は略同一平面に形成され、前記溶剤回収タンクに溶剤を送る溶剤回収パイプが前記底面に形成されたことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の溶剤回収装置は、前記処理ガスダクトは、前記冷却システム内を通過後に、外気に通じる吹出口が形成されたものである。
【0018】
また、本発明の溶剤回収装置は、前記ロータ部を覆う保温シートを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の溶剤回収装置は、ロータ部の再生系を最上部に配置し、溶剤を含んだ脱着ガスを、傾斜ダクトを介して被処理ガスが通るダクトに戻すので、傾斜ダクト部分で結露しても脱着ガスの流れと重力によって、流れ落ちることで被処理ガスの流入口に戻る。そのため、ロータ部を再生するためのダクト経路のメンテナンスがフリーになる。
【0020】
また、本発明の溶剤回収装置は、主送風機と溶剤回収系とロータ部の再生系をそれぞれ1つのフロア内に配置したうえで、これらのフロアを階層構造にし、大きな送風機や回収溶剤を1階に集中させたので、メンテナンス時の移動距離が極めて短くできる。
【0021】
また、各フロアを重ねた階層構造にしたので、設置面積が少なくて済み、敷地の有効利用が可能になる。
【0022】
また、本発明の溶剤回収装置は、処理ガスをそのまま大気に返すのではなく、1次冷却機中を流れる高温の被処理ガスと熱交換をして、一部を大気に放出(換気)してから工場に返し、再利用する。したがって、外気の取込に大きなエネルギーをかける必要がなく、また、処理ガスを再度温める熱量を少なくできるので、消費電力の削減という効果を生む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の溶剤回収装置の概念図
【図2】本発明の溶剤回収装置の他の概念図
【図3】従来の溶剤回収装置の概念図
【図4】再生系を有する従来の溶剤回収装置の概念図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に本発明の溶剤回収装置1の構成を示す。本発明の溶剤回収装置1は、主送風機9と電源23および貯留用溶剤タンク35が配置された第1フロア部63と、溶剤回収系を配置した第2フロア部64と、再生系ダクト等を配置した第3フロア部65からなる。これらのフロア部は基礎工事を行った基礎部60に縦部材61を支柱として配置し、縦部材61の間に梁部材62を渡して形成される。
【0025】
第1フロア部63には、少なくとも、溶剤回収装置1の送風源である主送風機9と、回収された溶剤を貯留しておく溶剤タンク35と、装置全体の電力を制御する電源23が設置される。電源23は、主送風機9、副送風機19、吸脱着ロータ7の回転などに電力を送り、制御する。これらの設備は、比較的短期間毎にメンテナンスが必要であるので、集めて配置される。このようにすることで、メンテナンスの際に多くの距離を移動する必要がなくなる。
【0026】
第2フロア部64には、被処理ガス40を冷却し溶剤を結露させる第1〜第3冷却器3、4a、4bと、液体状の結露を除去するデミスタ5と、気体中の溶剤を吸着して分離する吸脱着ロータ7が格納されたロータ部6とが設置されている。
【0027】
第3フロア部65には、吸脱着ロータ7から溶剤を脱離させるための再生系として、脱着用キャリアガスを加熱しロータ部6に返す加熱器16、吸着剤から脱離させた溶剤を多量に含有する脱着ガス55を被処理ガス40に返すための副送風機19やダクトが設置されている。
【0028】
本発明の溶剤回収装置1は、このように3階構造にしたので、設置のための敷地面積は比較的狭くてもよい。
【0029】
次に被処理ガスの流れに従って、本発明の溶剤回収装置1の構成を説明する。工場内で発生した溶剤を含み高温の被処理ガス40は、被処理ガスダクト2を通り、第3フロア部65の上方から供給される。被処理ガスダクト2は、第2フロア部64の第1冷却器3と連通する。
【0030】
第1冷却器3の内部には、処理ガス44の流れる処理ガスダクト11が熱交換用のステンレス薄板を介して配置されており、流入してきた被処理ガス41を冷却する。高温の被処理ガス41中の溶剤の一部は、冷却されて液状になることで、第1冷却器3の壁面に凝結し、回収管31に流入する。
【0031】
第1冷却器3には第2および第3冷却器(4a及び4b)が連通されており、第1冷却器3で冷却された被処理ガス42をさらに冷却する。この冷却によって被処理ガス中の飽和水蒸気量はさらに低下し、気化できない溶剤が凝結する。この凝結によって結露した溶剤の大部分はデミスタ5に捕集され、一部は第2、第3冷却器4a、4bの壁面等に付着し、重力で下方の底面3aに流れ、回収管32、33によって回収される。なお、回収管31、32、33で回収された溶剤は回収管34で集められ、第1フロア部63に設置された溶剤タンク35に集められる。
【0032】
また、デミスタ5を抜けてきた被処理ガス43は、約20℃に冷却された飽和したガスであり、ロータ部6内に設置されている吸脱着ロータ7の吸着ゾーン25に通される。吸脱着ロータ7は、ゼオライトや活性炭といった吸着剤をハニカム構造に形成された紙材に担持させ、ロール状に巻き上げたものである。また、吸脱着ロータ7は、前後に設けたセパレータ(図示せず)で吸着ゾーン25、脱着ゾーン27、パージゾーン26に分けられ、矢印の方向にゆっくりと回転するので、被処理ガス43は、溶剤を放出した領域の、吸着ゾーン25と常に会合できる。
【0033】
被処理ガス43は、吸着ゾーン25を通過するときに、溶剤が回収されて処理ガス(浄化ガスともいえる)44となり、処理ガスダクト8を通過して第1フロア部63に設置された主送風機9に至る。処理ガス44は、主送風機9により、サイレンサ10、第1冷却器3内に設けた処理ガスダクト11、および処理ガス送出ダクト12を通り、工場に送り返される。なお、主送風機9から出力される処理ガス44は圧力が高いので、サイレンサ10を設けて消音している。
【0034】
また、処理ガス44は、冷却された乾いた空気であるので、工場に戻すときに処理ガスの温度を上げるために新たに加熱器を設置するのは、小型化と省電力の観点から好ましくない。そこで、第1冷却器3内を通過する高温の被処理ガス41との間で熱交換を行い、処理ガス44の温度を上昇させることにより、省電力効果が得られるものである。
【0035】
また、処理ガス送出ダクト12の側面に、外部へ通じる吹出口13が形成される。これにより、第1冷却器3を通過するときの主送風機9の風量を維持しつつ循環経路の換気が可能となる。すなわち、第1冷却器3での熱交換効率を下げることなく、処理ガス44中の除去されない余剰物質(CO、不活性ガス等)の増加を抑制することができる。また、生産設備のある工場への新鮮空気の取り入れに、換気設備(排気)を設ける必要がなくなり、部品削減、省電力化に寄与する。なお、新鮮空気の取り入れは、本発明の溶剤処理装置1では行わない構成としている。
【0036】
被処理ガス43の一部50は、ロータ部6に戻り、吸脱着ロータ7のパージゾーン26に分岐される。吸脱着ロータ6が矢印の方向に回転すると、脱着ゾーン27で加熱された吸着剤がパージゾーン26に回ってくる。被処理ガス50は冷却器で冷却されているので、被処理ガス50がパージゾーン26を通過することで、吸着剤は冷却される。吸着剤は温度が高いと溶剤の吸着量が低下するので、吸着剤を冷却するのは、溶剤の吸着効果を高める観点から効果がある。
【0037】
パージゾーン26を通過した被処理ガス50は、脱着用キャリアガス51として、加熱器16に送られる。脱着用キャリアガスダクト15は、ロータ部6の脱着用キャリアガス51の出口に連結される。脱着用キャリアガス51は、脱着用キャリアガスダクト15に連結された加熱器16で加熱され、脱着用加熱ガス53となり、脱着用加熱ガスダクト17によって取りまわされ、再び、ロータ部6に送られる。
【0038】
加熱された脱着用加熱ガス53は、吸脱着ロータ7の脱着ゾーン27を通過するときに吸着剤を加熱し、吸着している溶剤を脱離させる。溶剤を含んだ脱着用加熱ガス53は、脱着ガス54として、ロータ部6の出口に連結された脱着ガスダクト18へ導出される。
【0039】
脱着ガスダクト18は、副送風機19の吸引側に連通され、副送風機19の吐出側には帰還ガスダクト20が連通され、さらに下方に傾斜する傾斜ダクト21を介して被処理ガスダクト2に合流するように連通される。
【0040】
副送風機19から吐出される脱着ガス55は、副送風機19で加圧されている上に、溶剤を多量に含み、なおかつ、加熱器16からも遠いので、わずかに温度が下がるだけで、容易に結露する。すなわち、副送風機19から被処理ガスダクト2までの間のダクト内に結露が生じやすい。
【0041】
本発明の溶剤回収装置1では、この結露が生じやすいダクト部分に、上方から下方に傾斜する傾斜ダクト21を配置している。このようにすることで、ダクト内で冷却され液化した溶剤は、自重で被処理ガスダクト2を流下し、さらに第1冷却器3、底面3a、回収管31、34を通り、溶剤タンク35に流入する。従って、第3フロア部65の副送風機19の後の帰還ガスダクト20および傾斜ダクト21内で生じた結露については、メンテナンスフリーでよい。
【0042】
傾斜ダクト21は、再生系が設置されている第3フロア部65上で被処理ガスダクト2と連通されていてもよいし、被処理ガスダクト2との連通口が第2フロア部64にあってもよい。また、副送風機19の能力が許容できる範囲で、帰還ガスダクト20と傾斜ダクト21の断面積は、小さくするのが好適である。断面積を小さくすることで風速を上げ、内壁面に結露した溶剤を被処理ガスダクト2内に容易に押し出すことができるからである。
【0043】
図2には、本発明の溶剤回収装置1のロータ部6にさらに保温シート70を設置した状態を示す。ロータ部6は、冷却された被処理ガスが流入するため、冷却されており、内面は結露しにくいが、溶剤回収装置1自体が屋外に設置される場合が多く、周囲の環境温度がロータ部6より低くなる場合もある。その場合はロータ部6の内壁に結露が生じる。ロータ部6はそもそも、結露させて溶剤を回収するためのゾーンではないため、内壁に結露した溶剤が拡散または固着すると、吸脱着ロータ7の回転機構(図示せず)の故障や壁材などの腐食に繋がる。保温シート70は、そのような場合に、外気への熱放射を遮断し、ロータ部6の内壁の結露を防止することができる。
【0044】
以上のように本発明の溶剤回収装置1は、主送風機9および溶剤タンク35、電源23といった重量があり、比較的短期間毎に定期検査の必要な部品を第1フロア部63に配置したので、保守の際に長い距離を移動する必要がない。また、3階建て構造にしたので、敷地面積も狭くて済む。また、ロータ部6で再生させた脱着ガスを、第1冷却器3を通して昇温したあとに、一部を放出し、再利用するので、熱交換効率を損なわず、加熱負荷も軽減して換気機能を発揮することができる。また、脱着ガスの取りまわしダクトに傾斜ダクト21を配置しているので、ダクトの中で結露が生じても、自動的に被処理ガスダクト2から溶剤タンク35に導かれて溶剤が回収され、メンテナンスが軽減される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、液晶パネル、プラズマパネルといった表示装置や電池の製造工場内で発生する高沸点の溶剤を含む排気ガスからの溶剤回収だけでなく、化学合成を行う工場内で発生する排気から高沸点の溶剤を回収する局面においても利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
2 被処理ガスダクト
3 第1冷却器(冷却システム)
3a 底面
4a 第2冷却器(冷却システム)
4b 第3冷却器(冷却システム)
5 デミスタ
6 ロータ部
7 吸脱着ロータ
8 処理ガスダクト
9 主送風機
12 処理ガス送出ダクト(処理ガスダクト)
13 吹出口
15 脱着用キャリアガスダクト
16 加熱器
17 脱着用加熱ガスダクト
18 脱着ガスダクト
19 副送風機
20 帰還ガスダクト
21 傾斜ダクト
25 吸着ゾーン
26 パージゾーン
27 脱着ゾーン
31、32、33、34 回収管(溶剤回収パイプ)
35 溶剤タンク(溶剤回収タンク)
40、41、42、43 被処理ガス
44 処理ガス
50 被処理ガス
51 脱着用キャリアガス
53 脱着用加熱ガス
54、55 脱着ガス
60 基礎部
61 縦部材
62 梁部材
63 第1フロア部
64 第2フロア部
65 第3フロア部
70 保温シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工場側から排出された高沸点の有機溶剤を含む被処理ガスから前記有機溶剤を分離し処理ガスとして再度工場側に戻す溶剤回収装置であって、
前記処理ガスを工場側に送る処理ガスダクトと連結された主送風機と、
溶剤回収タンクと
が配置された第1フロア部と、
前記被処理ガスが送られる被処理ガスダクトが連結された冷却システムと、
前記冷却システムで冷却された前記被処理ガスから溶剤を脱離して処理ガスとする
デミスタおよびロータ部と、
が配置された第2フロア部と、
前記ロータ部から取り出される処理ガスの一部を脱着用キャリアガスとして
加熱し再度前記ロータ部に戻す加熱器と、
前記ロータ部から脱着ガスを吸い出す副送風機と、
前記副送風機から前記被処理ガスダクトに吹き下ろす傾斜ダクトと
が配置された第3フロア部を有する溶剤回収装置。
【請求項2】
前記冷却システムと前記デミスタを収納する底面は略同一平面に形成され、
前記溶剤回収タンクに溶剤を送る溶剤回収パイプが前記底面に形成された請求項1に記載された溶剤回収装置。
【請求項3】
前記処理ガスダクトは、前記冷却システム内を通過後に、外気に通じる吹出口が形成された請求項1または2のいずれかの請求項に記載された溶剤回収装置。
【請求項4】
前記ロータ部を覆う保温シートを有する請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載された溶剤回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−5956(P2012−5956A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144184(P2010−144184)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】