説明

溶媒抽出装置及び方法

【課題】溶媒抽出装置の溶媒抽出効率を高める。
【解決手段】伝熱隔壁14にて第1通路11と溶媒抽出室13とを熱交換可能に仕切る。気体の透過を許容し液体の透過を阻止する蒸留膜15にて溶媒抽出室13と第2通路12を仕切る。溶液を第1通路11に流し、第1通路11の下流端から端連通路22に出して、熱源2により加熱する。加熱後の溶液を第2通路12に第1通路11と対向流をなすよう流す。中間連通手段30にて第1通路11及び第2通路12の流路方向の中間部どうしを連通する。溶液の一部を中間連通手段30によって第2通路12の流路方向の中間部から第1通路11の流路方向の中間部に戻し、第1通路11の溶液に混合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、海水等の溶液から溶媒を抽出する装置及び方法に関し、特に膜蒸留法(MD;Membrane Distillation法)による溶媒抽出装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膜蒸留法は、海水等の溶液から淡水等の溶媒を抽出する方法として公知である(例えば特許文献1、2等参照)。膜蒸留法を実施する装置は、蒸留器を備えている。蒸留器の内部には2つの膜により3つの通路が形成されている。2つの膜のうち1つは、気体も液体も通さない不透過膜(伝熱隔壁)であり、もう1つは、気体は通すが液体は通さない蒸留膜である。不透過膜によって第1通路と第3通路が仕切られている。蒸留膜によって第2通路と第3通路が仕切られている。不透過膜と蒸留膜との間に第3通路が画成されている。第3通路は、溶媒抽出室を構成している。
【0003】
海水(溶液)を先ず第1通路に通す。第1通路内を流通中の海水が、第3通路すなわち溶媒抽出室の水蒸気の凝縮潜熱を不透過膜を介して受け取り、下流に向かうにしたがって温度が上昇する。第1通路を通過後の海水を太陽熱集熱器等の熱源で加熱して更に高温にする。熱源からの高温海水を第2通路に導入する。第2通路での海水は、第1通路での海水と対向流をなすように流れる。この第2通路の海水中の水蒸気が蒸留膜を透過して溶媒抽出室に入る。この水蒸気が不透過膜を介して第1通路の海水と接触して冷却し、凝縮する。これにより、溶媒抽出室から淡水を取り出すことができる。第2通路では、淡水抽出に伴って海水から蒸発潜熱が奪われ、下流になるにしたがって海水温度が低下していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−016802号公報
【特許文献2】特開昭60−34786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の溶媒抽出装置における第1通路と第2通路の連通箇所は、第1通路の下流端と第2通路の上流端の一箇所のみである。第1通路を流通中の低温海水と第2通路を流通中の高温海水とは、これら通路の流通方向の中間部で互いに混合しない構造になっている。したがって、第1通路での海水流量は、第1通路の流路方向の全区間にわたって一定である。淡水の抽出流量は海水の流量に比べて十分に小さいから、第2通路での海水流量は、第2通路の流路方向の全区間にわたって一定とみなせる。
【0006】
海水等の溶液が高温であるほど、蒸気圧が高く、淡水等の溶媒の抽出効率が高く、第2通路の溶液から第1通路の溶液への潜熱移動量も大きい。そのため、溶液流量が一定であれば、高温時の温度変化は比較的大きく、低温時の温度変化は比較的小さい。したがって、従来の溶媒抽出装置の第1通路では、上流側の部分において温度が緩やかな勾配で上昇し、下流端の近くで温度が急勾配で上昇する。第2通路の温度は、上記第1通路の下流端と同じ側の上流端の近くで急勾配で低下し、下流に向かうにしたがって低下勾配が緩やかになる。よって、溶媒抽出装置の高温領域は狭く、低温領域は広くなる傾向がある。このため、溶媒抽出装置全体の溶媒抽出流量が十分でない。蒸留膜は比較的高価であるにも拘わらず、その利用効率が低い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、本発明装置は、互いに並んで延びる第1通路及び第2通路に、溶液を第1通路、第2通路の順に対向流をなすよう流し、上記第1通路の下流端と上記第2通路の上流端とを連ねる端連通路において上記溶液を加熱し、上記第1、第2通路間に挟まれた溶媒抽出室から上記溶液の溶媒を抽出する溶媒抽出装置であって、
上記第1通路と上記溶媒抽出室とを熱交換可能に仕切る伝熱隔壁と、
上記第2通路と上記溶媒抽出室とを仕切り、気体の透過を許容し、液体の透過を阻止する蒸留膜と、
上記端連通路より小さいコンダクタンスを有して、上記第1通路及び第2通路の流路方向の中間部どうしを連通する中間連通手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
海水等の溶液を第1通路の上流端に供給し、第1通路の内部に通す。このとき、溶媒抽出室の溶媒蒸気の後記凝縮潜熱が伝熱隔壁を介して第1通路の溶液に伝わる。これにより、第1通路の溶液の温度が下流に向かうにしたがって上昇する。溶液を第1通路の下流端から端連通路に導出する。この溶液を更に加熱する。加熱後の溶液を端連通路から第2通路の上流端へ導入し、第2通路の内部に通す。第2通路の上流端は第1通路の下流端と上記流路方向の同じ側に配置されている。第2通路内の溶液の流れは、第1通路内の溶液の流れに対し対向流をなす。第2通路内の溶液中の溶媒が蒸発して蒸留膜を透過して溶媒抽出室に入る。この溶媒蒸気が、伝熱隔壁を介して第1通路の溶液によって冷却されて凝縮する。これにより、溶媒を抽出できる。第2通路内の溶液から蒸発潜熱が奪われることによって、第2通路の下流に向かうにしたがって溶液温度が低下する。したがって、第1通路及び第2通路の流路方向に第1通路の下流端及び第2通路の上流端に近い領域は高温になり、第1通路の上流端及び第2通路の下流端に近い領域は低温になる。第2通路の中間部の溶液の一部を中間連通手段によって第1通路の中間部へ戻し、第1通路の溶液と混合する。これにより、第1通路及び第2通路の上記高温の領域の流量が増え、上記低温の領域の流量が減る。したがって、高温領域において、第2通路から第1通路への潜熱移動量が大きくても、第1通路の溶液の温度上昇を小さく抑えることができ、かつ第2通路の溶液の温度低下を小さく抑えることができる。よって、第1通路及び第2通路の流路方向に高温領域を広くできる。それだけ、低温領域を狭くできる。この結果、溶媒抽出装置のトータルの溶媒抽出流量を増大させることができ、かつ蒸留膜の利用効率を高めることができる。また、低温領域での流量低減に伴い、第1通路の上流端への溶液の供給流量を低減できる。
【0009】
上記端連通路に、上記溶液を上記第1通路から上記第2通路へ向かうよう送る送液手段を設けるのが好ましい。
これにより、第2通路を第1通路より高圧にできる。したがって、第1通路の溶液が中間連通手段を逆流して第2通路へ入るのを防止でき、中間連通手段での溶液の流れ方向を確実に第2通路から第1通路へ向かう方向にすることができる。
【0010】
上記中間連通手段が、上記第1通路及び第2通路における上記流路方向の互いにほぼ同じ位置にある箇所どうしを連通していることが好ましい。
これにより、第1通路及び第2通路における流路方向の互いにほぼ同じ位置の溶液どうしを混合できる。
【0011】
上記中間連通手段は、上記第1通路及び第2通路の流路方向の中間部の単一箇所どうしだけを連通していてもよく、上記第1通路及び第2通路の中間部を上記流路方向に断続的に連通していてもよく、上記第1通路及び第2通路の中間部を上記流路方向に連続的に連通していてもよい。
上記断続的又は連続的な中間連通手段によれば、第2通路の流路方向の中間部の広い範囲から溶液を第1通路の流路方向の中間部の広い範囲に戻すことができる。したがって、第1通路の流量を下流に向かうにしたがって段階的又は連続的に増大させることができる。第2通路の流量を下流に向かうにしたがって段階的又は連続的に減少させることができる。上記断続的又は連続的な中間連通手段の全体のコンダクタンスが上記端連通路のコンダクタンスより小さいことが好ましい。上記中間連通手段のコンダクタンスは、上記第1通路及び第2通路の流路方向に一定でもよく、上記流路方向の位置に応じて異なっていてもよい。上記中間連通手段のコンダクタンスが上記流路方向の位置に応じて異ならせることによって、第2通路から第1通路への溶液の戻り流量を流路方向の位置に応じて異ならせることができる。
【0012】
上記中間連通手段が、上記流路方向に分散して配置された複数の中間連通路を含み、各中間連通路が、上記第1通路の上記中間部の一箇所と上記第2通路の上記中間部の一箇所とを連通していることが好ましい。
これにより、第2通路の流路方向の中間部の複数箇所から溶液を第1通路の流路方向の中間部の複数箇所に戻すことができる。したがって、第1通路の流量を下流に向かうにしたがって漸次増大させることができる。第2通路の流量を下流に向かうにしたがって漸次減少させることができる。
【0013】
上記第1通路の下流端及び第2通路の上流端に近い位置には上記中間連通路が相対的に疎に配置され、上記第1通路の下流端及び第2通路の上流端から遠い位置には上記中間連通路が相対的に密に配置されていることが好ましい。上記中間連通路が疎に配置されている部分では、中間連通路のコンダクタンスが小さく、上記中間連通路が密に配置されている部分では、中間連通路のコンダクタンスが大きい。
これにより、第1通路及び第2通路の流路方向の溶液流量変化を上記第1通路の下流端及び第2通路の上流端に近い位置では小さくでき、上記第1通路の下流端及び第2通路の上流端から遠い位置では大きくできる。上記中間連通路の疎密は、上記第1通路及び第2通路の流路方向の単位長さあたりの中間連通路の数又は各中間連通路の流路断面積によって調節できる。
【0014】
上記中間連通手段が、上記溶媒抽出室における溶媒抽出流量密度の最大値と最小値の差が上記中間連通手段を設けなかった場合より小さくなるよう上記流路方向に分布していることが好ましい。
これにより、溶媒抽出装置全体の溶媒抽出流量を確実に増大させることができる。たとえば、中間連通路の配置間隔又は流路断面積を上記流路方向の位置に応じて設定することによって、上記中間連通手段の分布を設定できる。
【0015】
上記中間連通手段が、上記溶媒抽出室の溶媒抽出流量密度が上記流路方向に概略一定になるよう上記流路方向に分布していることがより好ましい。
これにより、溶媒抽出装置全体の溶媒抽出流量を一層確実に増大させることができる。たとえば、中間連通路の配置間隔又は流路断面積を上記流路方向の位置に応じて設定することによって、上記溶媒抽出室の溶媒抽出流量密度が概略一定になるよう、上記中間連通手段の分布を設定できる。
【0016】
上記中間連通手段が、上記溶媒抽出室の内部に収容された環状体を含み、この環状体の中心穴が、上記第1通路と上記第2通路とを連通する中間連通路になることが好ましい。
これにより、第2通路の溶液を環状体の中心穴からなる中間連通路を経て第1通路に戻し、第1通路の溶液と混合できる。溶媒抽出室と中間連通路とを環状体によって仕切ることができ、溶液が中間連通路から溶媒抽出室へ入り込むのを防止できる。中間連通路の長さを溶媒抽出室の厚さ程度にすることができる。上記第1通路及び第2通路の流路方向の互いにほぼ同じ位置にある箇所どうしを確実に連通できる。
【0017】
上記環状体が、上記伝熱隔壁及び蒸留膜の互いに対向する面どうしを接着する接着剤であり、上記中間連通路が、上記蒸留膜と上記接着剤と上記伝熱隔壁とを貫通する貫通穴であることが好ましい。
これにより、中間連通路を容易に形成できる。第2通路の溶液を上記貫通穴からなる中間連通路を経て第1通路に戻し、第1通路の溶液と混合できる。接着剤にて伝熱隔壁と蒸留膜とを接着できるだけでなく、溶媒抽出室と中間連通路とを接着剤によって仕切ることができ、溶液が中間連通路から溶媒抽出室へ入り込むのを防止できる。接着剤によって溶媒抽出室の厚さを確保できる。
【0018】
本発明方法は、溶液から溶媒を抽出する溶媒抽出方法であって、
伝熱隔壁を介して溶媒抽出室と熱交換可能に仕切られた第1通路に上記溶液を流す第1工程と、
上記第1通路の下流端から出た上記溶液を熱源により加熱する加熱工程と、
気体の透過を許容し液体の透過を阻止する蒸留膜を介して上記溶媒抽出室と仕切られた第2通路に、上記加熱後の上記溶液を上記第1通路と対向流をなすように流す第2工程と、
上記第2工程の途中の溶液の一部を、上記第2通路の流路方向の中間部から上記第1通路の流路方向の中間部に戻して上記第1工程の途中の溶液に混合する混合工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
溶液を第1の通路に通すと(第1工程)、溶媒抽出室の溶媒蒸気の凝縮潜熱が伝熱隔壁を介して第1の通路の溶液に伝わる。これにより、第1通路の溶液の温度が下流に向かうにしたがって上昇する。第1通路を通過後の溶液を熱源で加熱し(加熱工程)、更に高温にする。加熱後の溶液を第2通路に通すと(第2工程)、溶液中の溶媒が蒸発して蒸留膜を透過して蒸発し溶媒抽出室に入る。この溶媒蒸気が、伝熱隔壁を介して第1通路の溶液にて冷却されて凝縮する。これにより、溶媒抽出室から凝縮溶媒を取り出すことができる。第2通路内の溶液から蒸発潜熱が奪われることによって、第2通路の下流に向かうにしたがって溶液温度が低下する。したがって、第1通路及び第2通路の流路方向に第1通路の下流端及び第2通路の上流端に近い領域は高温になり、第1通路の上流端及び第2通路の下流端に近い領域は低温になる。第2通路の中間部の溶液の一部を第1通路の中間部へ戻し、第1通路の溶液と混合する(混合工程)。これにより、第1通路及び第2通路の上記高温の領域の流量が増え、上記低温の領域の流量が減る。したがって、高温領域において、第2通路から第1通路への潜熱移動量が大きくても、第1通路の溶液の温度上昇及び第2通路の溶液の温度低下をそれぞれ小さく抑えることができる。よって、第1通路及び第2通路の流路方向に高温領域を広くできる。それだけ、低温領域を狭くできる。この結果、トータルの溶媒抽出流量を増大させることができ、かつ蒸留膜の機能を十分に活用することができる。また、低温領域での流量を低減できるから、第1通路の上流端への溶液の供給流量を低減できる。
【0020】
上記流路方向の複数の位置において位置ごとに上記第2通路から上記第1通路への上記溶液の戻しを行うことが好ましい。
これにより、第1通路の流量を下流に向かって段々と増大させることができる。第2通路の流量を下流に向かって段々と減少させることができる。
【0021】
上記溶媒抽出室の溶媒抽出流量密度の最大値と最小値の差が上記戻しを行わなかった場合より小さくなるよう、上記位置ごとの上記溶液の戻し流量を設定することが好ましい。
これにより、溶媒抽出装置全体の溶媒抽出流量を確実に増大させることができる。
【0022】
上記溶媒抽出室の溶媒抽出流量密度が上記流路方向に沿って概略一定になるよう、上記位置ごとの上記溶液の戻し流量を設定することが好ましい。
これにより、溶媒抽出装置全体の溶媒抽出流量を一層確実に増大させることができる。
【0023】
上記溶液は、例えば海水、塩水(かん水)、又は汚水である。
これにより、海水、塩水から淡水を製造できる。或いは、汚水から浄水を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、溶媒の抽出効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る溶媒抽出装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示し、(a)は、溶媒抽出装置の蒸留器を溶媒抽出室の厚さ方向の中央部で切断して伝熱隔壁の側を平面視した解説平面図であり、(b)は、上記蒸留器の第1通路及び第2通路内の溶液流量分布を示すグラフである。
【図3】本発明の第3実施形態を示し、溶媒抽出装置の蒸留器の流路方向の一部分を溶媒抽出室の厚さ方向の中央部で切断して伝熱隔壁の側を平面視した解説平面図である。
【図4】上記第3実施形態の中間連通手段の製造工程を、図3のIV−IV線に沿って切断して示した断面図であり、(a)は、伝熱隔壁上に中間連通手段の環状体となるべき接着剤を配置した状態を示し、(b)は、上記接着剤を介して伝熱隔壁と蒸留膜を貼り合わせた状態を示し、(c)は、伝熱隔壁と接着剤と蒸留膜とに、中間連通路となる貫通穴を形成した状態を示す。
【図5】本発明の第4実施形態に係る溶媒抽出装置の概略構成を示す断面図である。
【図6】上記第4実施形態の変形例を示す断面図である。
【図7】実施例1のシミュレーション結果を示すグラフであり、(a)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路及び第2通路内の海水流量の分布を示し、(b)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する溶媒抽出室における淡水抽出流量密度の分布を示し、(c)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路及び第2通路内の海水温度の分布を示し、(d)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路の海水と第2通路内の海水との温度差の分布を示す。グラフ中、太実線aは近似的な拡散方程式を用いたシミュレーション結果であり、二点鎖線bは最適化アルゴリズムを適用したシミュレーション結果であり、細線cは中間連通手段が無い比較例のシミュレーション結果である。
【図8】実施例2のシミュレーション結果を示すグラフであり、(a)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路及び第2通路内の海水流量の分布を示し、(b)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する溶媒抽出室における淡水抽出流量密度の分布を示し、(c)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路及び第2通路内の海水温度の分布を示し、(d)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路の海水と第2通路内の海水との温度差の分布を示す。グラフ中、太実線aは近似的な拡散方程式を用いたシミュレーション結果であり、二点鎖線bは最適化アルゴリズムを適用したシミュレーション結果であり、細線cは中間連通手段が無い比較例のシミュレーション結果である。
【図9】実施例3のシミュレーション結果を示すグラフであり、(a)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路及び第2通路内の海水流量の分布を示し、(b)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する溶媒抽出室における淡水抽出流量密度の分布を示し、(c)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路及び第2通路内の海水温度の分布を示し、(d)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路の海水と第2通路内の海水との温度差の分布を示す。グラフ中、太実線aは近似的な拡散方程式を用いたシミュレーション結果であり、二点鎖線bは最適化アルゴリズムを適用したシミュレーション結果であり、細線cは中間連通手段が無い比較例のシミュレーション結果である。
【図10】実施例4のシミュレーション結果を示すグラフであり、(a)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路及び第2通路内の海水流量の分布を示し、(b)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する溶媒抽出室における淡水抽出流量密度の分布を示し、(c)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路及び第2通路内の海水温度の分布を示し、(d)は、第1通路及び第2通路の流路方向の位置に対する第1通路の海水と第2通路内の海水との温度差の分布を示す。グラフ中、太実線aは近似的な拡散方程式を用いたシミュレーション結果であり、二点鎖線bは最適化アルゴリズムを適用したシミュレーション結果であり、細線cは中間連通手段が無い比較例のシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の第1実施形態を示したものである。第1実施形態の溶媒抽出装置1は、蒸留器10と、熱源2を備えている。
【0027】
蒸留器10は、伝熱隔壁14と、蒸留膜15と、外隔壁16,17を備えている。各隔壁ないし膜14〜17は、薄い平板状をなし、幅方向を図1の紙面と直交する方向へ向けて、図1の左右方向に長く延びている。各隔壁ないし膜14〜17の左右方向の長さは、例えば0.2m〜10m程度であり、図1の紙面と直交する幅は、例えば0.1m〜1.5m程度であるが、これに限定されるものではない。隔壁ないし膜14〜17は、互いに平行をなし、外隔壁16、伝熱隔壁14、蒸留膜15、外隔壁17の順に積層されている。
【0028】
伝熱隔壁14は、気体も液体も透過させることがなく、かつ熱伝導可能な良伝熱性の不透過膜にて構成されている。伝熱隔壁14は、アルミニウム等の金属フィルムでもよく、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの樹脂フィルムでもよい。PETフィルムなどの樹脂フィルムは、金属フィルムより腐蝕しにくくコスト面でも有利である。伝熱隔壁14の厚さは、例えば20μm〜200μm程度であるが、これに限定されるものではない。
【0029】
蒸留膜15は、例えば多孔質の膜で構成され、気体の透過を許容し、液体の透過を阻止する。蒸留膜15の材料としては、例えばPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂が挙げられる。蒸留膜15の厚さは、例えば30μm〜300μm程度であるが、これに限定されるものではない。
【0030】
外隔壁16,17は、蒸留器2の外形を保持する剛性を有し、好ましくは断熱性に優れ、更に気体及び液体の透過を阻止するものであればよく、樹脂であってもよく、ガラスやセラミックスでもよく、ステンレスやアルミニウム等の金属であってもよい。外隔壁16,17は、断熱性に優れていることが好ましい。外隔壁16,17の厚さは、伝熱隔壁14及び蒸留膜15より大きくてもよく、伝熱隔壁14及び蒸留膜15の厚さと同程度でもよい。
【0031】
これら隔壁ないし膜14〜17によって、3つの路ないし室11,12,13が形成されている。3つの路ないし室11,12,13は、互いに並んで図1の左右方向に沿って平行に延びている。
【0032】
第1通路11は、伝熱隔壁14と外隔壁16との間に形成されている。第1通路11の厚さは、例えば0.3mm〜20mm程度であるが、これに限定されるものではない。第2通路12は、蒸留膜15と外隔壁17との間に形成されている。第2通路12の厚さは、例えば0.3mm〜20mm程度であるが、これに限定されるものではない。溶媒抽出室13は、不透過膜14と蒸留膜15の間に画成されている。溶媒抽出室13の厚さは、例えば0.1mm〜2mm程度であるが、これに限定されるものではない。伝熱隔壁14が、第1の通路11と溶媒抽出室13を仕切っている。蒸留膜15が、第2の通路12と溶媒抽出室13を仕切っている。第1通路11と第2通路12の間に溶媒抽出室13が挟まれている。路ないし室11,12,13の左右方向の長さは、隔壁ないし膜14〜17の左右方向の長さとほぼ等しい。路ないし室11,12,13の幅(図1の紙面と直交する方向の寸法)は、隔壁ないし膜14〜17の幅とほぼ等しい。
【0033】
第1通路11の上流端と第2通路12の下流端は、これら通路11,12の延び方向の互いに同じ端たとえば右端に配置されている。第1通路11の下流端と第2通路12の上流端は、これら通路11,12の延び方向の互いに同じ端たとえば左端に配置されている。
【0034】
供給路21が、海水(溶液)の供給源9から引き出され、第1通路11の右端(上流端)に連なっている。海水供給源9は、海そのものでもよく、海水を貯めたタンクでもよい。供給源9の海水の温度(初期温度)は通常、常温(数℃〜30数℃)である。図示は省略するが、供給路21には海水中の不純物を除去するフィルターが設けられている。
【0035】
第1通路11と第2通路12の左端どうし、すなわち第1通路11の下流端と第2通路の上流端とが、端連通路22にて連通されている。端連通路22に熱源2が熱的に接続されている。熱源2は、例えば太陽熱集熱器にて構成されている。端連通路22の中間部分が太陽熱集熱器の集熱路を構成している。
熱源2は、太陽熱集熱器に限定されず、各種工場の設備機械やエンジン等から出る排熱の回収部であってもよく、電熱ヒーターであってもよく、熱交換器であってもよい。
【0036】
熱源2と第1通路11との間の端連通路22に送液ポンプ3(送液手段)が設けられている。送液ポンプ3は、端連通路22の海水(溶液)を第1通路11側から第2通路12側へ向かうよう送る。ひいては、海水(溶液)を供給路21、第1通路11、端連通路22、第2通路12の順に送る。第1通路11内の海水と第2通路12内の海水は、互いに対向流を構成する。海水は送液ポンプ3により加圧される。したがって、第2通路12が第1通路11より圧力が高い状態になる。
送液ポンプ3は、熱源2と第2通路12との間の端連通路22に設けられていてもよい。
【0037】
第2通路12の右端(下流端)から排出路24が延びている。
【0038】
溶媒抽出室13から出力路25が延びている。出力路25は、溶媒抽出室13における第1通路11の上流端及び第2通路12の下流端と同じ右端に接続されているが、第1通路11の下流端及び第2通路12の上流端と同じ左端に接続されていてもよい。
【0039】
更に、蒸留器10には中間連通手段30が設けられている。中間連通手段30は、第1通路11及び第2通路12の流路方向(延び方向)の中間部どうしを連通している。ここで、第1通路11の中間部は、第1通路11における供給路21との接続部より下流側(左側)かつ端連通路22との接続部より上流側(右側)の部分である。第2通路12の中間部は、第2通路12における端連通路22との接続部より下流側(右側)かつ排出路24との接続部より上流側(左側)の部分である。中間連通手段30は、第1通路11及び第2通路12における流路方向の互いにほぼ同じ位置にある箇所どうしを連通している。更に中間連通手段30は、第1通路11及び第2通路12を流路方向に断続的に連通している。
【0040】
中間連通手段30の具体的態様を説明する。
中間連通手段30は、複数の環状体(短い管)31を含む。環状体31は、軸線を溶媒抽出室13の厚さ方向(図1において上下方向)に向けて溶媒抽出室13の内部に収容されている。環状体31の外直径は、たとえば5mm〜40mm程度であり、内直径は、たとえば0.1mm〜5mm程度であるが、これに限定されるものではない。環状体31の軸長(図1の上下方向の寸法)は、溶媒抽出室13の厚さとほぼ等しい。
【0041】
環状体31の中心穴が中間連通路32になっている。中間連通路32の一端(図1において下端)は、伝熱隔壁14を貫通して第1通路11に連通している。中間連通路32の他端(図1において上端)は、蒸留膜15を貫通して第2通路12に連通している。各中間連通路32を介して第1通路11の中間部の一箇所と第2通路12の中間部の一箇所とが連通されている。第1、第2通路11,12における各中間連通路32による上記連通箇所は、これら通路11,12の流路方向のほぼ同じ位置に位置している。中間連通路32と溶媒抽出室13とは、環状体31の周壁によって隔てられている。
【0042】
複数の環状体31ひいては複数の中間連通路32は、通路11,12の流路方向に分散して配置され、かつ通路11,12の幅方向(図1の紙面と直交する方向)にも分散して配置されている。複数の環状体31の大きさは互いに等しい。複数の中間連通路32の流路断面積は互いに等しい。この実施形態では、環状体31は、通路11,12の流路方向に等間隔置きに配置され、かつ通路11,12の幅方向に等間隔置きに配置されている(図3参照)。通路11,12の流路方向に隣り合う環状体31どうしの間隔Dは、例えばD=100mm〜300mm程度であるが、これに限定されるものではない。通路11,12の幅方向(図1の紙面と直交する方向)の環状体31の配置間隔は、例えば100mm〜300mm程度であるが、これに限定されるものではない。
【0043】
各中間連通路32のコンダクタンスは、端連通路22のコンダクタンスより十分に小さい。中間連通手段30を構成する全部の中間連通路32のコンダクタンスを合計しても、端連通路22のコンダクタンスより小さい。
【0044】
環状体31ひいては中間連通路32の大きさ、数、配置間隔等は、送液ポンプ3の出力、海水の第1通路11への供給温度、熱源2からの供給熱量、海水(溶液)の粘度等に基づいて適宜設定するとよい。
【0045】
上記構成の溶媒抽出装置1の動作を説明する。
送液ポンプ3を駆動し、海水を、供給路21から蒸留器10の第1通路11の上流端に供給し、第1通路11に通す(第1工程)。第1通路11内の海水は、溶媒抽出室13における後述する凝縮潜熱を伝熱隔壁14を介して受け取る。この海水を第1通路11の下流端から端連通路22に導出する。この海水を送液ポンプ3にて加圧する。更に、海水を熱源2にて加熱する(加熱工程)。
【0046】
加熱工程後の海水を、熱源3より下流の端連絡路22を経て第2通路12に通す(第2工程)。第2通路12での海水は、第1通路11での海水に対し対向流をなすよう流れる。第2通路12内において、高温海水中の水蒸気が蒸留膜15を透過して溶媒抽出室13に入る。この水蒸気が伝熱隔壁14を介して第1通路11の海水により冷却され凝縮する。これにより、淡水が得られる。淡水は、溶媒抽出室13から出力路25を経て、種々の利用に供される。
【0047】
第1通路11では、海水が溶媒抽出室13での凝縮潜熱を受け取ることにより、第1通路11の下流すなわち左端に向かうにしたがって海水温度が上昇する。第2通路12では海水から蒸発潜熱が奪われることによって、第2通路12の下流すなわち右端に向かうにしたがって海水温度が低下する。したがって、第1通路11及び第2通路12の流路方向に、第1通路11の下流端及び第2通路12の上流端に近い左寄りの部分は高温領域になり、第1通路11の上流端及び第2通路12の下流端に近い右寄りの部分は低温領域になる。
【0048】
送液ポンプ3の加圧によって、第2通路12が第1通路11より高圧になっている。このため、第2通路12の中間部の海水の一部が、中間連通路32を通り、第1通路11の中間部へ戻り、第1通路11の海水と混り合う(混合工程)。これによって、第1通路11及び第2通路12の主に左寄りの高温領域どうし間で海水が循環するような流れが生じる。したがって、第1通路11及び第2通路12の上記高温領域の海水流量が増え、低温領域の海水流量が減る。よって、高温領域において、第2通路12から第1通路11への潜熱移動量が大きくても、第1通路11の溶液の温度上昇を小さく抑えることができ、かつ第2通路12の溶液の温度低下を小さく抑えることができる。これにより、第1通路11及び第2通路12の流路方向に高温領域を広くできる。それだけ、低温領域を狭くできる。
【0049】
第1通路11及び第2通路12の流路方向の互いにほぼ同じ位置における蒸気圧差が大きいほど、蒸留膜14からの水蒸気透過量が増大する。また、第1通路11及び第2通路12の流路方向の互いに同じ位置における温度差が一定であれば、各通路11,12の海水(溶液)の温度が高いほど、蒸気圧差が大きい。したがって、高温領域を広くすることによって蒸留膜15の広い範囲において大きな水蒸気透過量を確保できる。この結果、溶媒抽出装置1のトータルの淡水抽出流量を増大させることができる。ゆえに、蒸留膜15の機能を十分に活用することができる。
【0050】
各中間連通路32が第1通路11及び第2通路12における流路方向の互いにほぼ同じ位置にある箇所どうしを連通しているため、第1通路11及び第2通路12における流路方向の互いにほぼ同じ位置の海水どうしを混合できる。
【0051】
中間連通路32が第1通路11及び第2通路12の流路方向に分散されることによって、第1通路11及び第2通路12の高温領域側の端に向かうにしたがって海水流量を漸次増大させることができ、低温領域側の端に向かうにしたがって海水流量を漸次減少させることができる。これにより、淡水抽出流量密度の最大値と最小値の差(分布幅)を小さくでき、溶媒抽出装置1のトータルの淡水抽出流量を確実に増大させることができる。
低温領域での流量低減に伴い、供給路21から第1通路11への海水の供給流量を低減できる。
【0052】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の実施形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。
図2(a)の平面図に示すように、第2実施形態では、中間連通路32の配置密度が第1通路11及び第2通路12の流路方向(同図において左右)の位置に応じて異なっている。具体的には、第1通路11の下流端及び第2通路12の上流端に近い位置(同図において左寄りの位置)では、中間連通路32が疎に配置され、しかも中間連通路32の配置密度がほぼ一様になっている。第1通路11の上流端及び第2通路12の下流端に近い位置(同図において右寄りの位置)では、中間連通路32が密に配置され、しかも中間連通路32の配置密度が左右方向に変化し、右端に近付くにしたがって中間連通路32の配置がより密になっている。第2実施形態では、中間連通路32の左右方向すなわち通路11,12の流路方向に沿う間隔は一定であり、通路11,12の幅方向に中間連通路32の間隔が変化しているが、これに限定されるものではなく、通路11,12の流路方向に沿う中間連通路32の間隔を変化させ、通路11,12の幅方向には中間連通路32の間隔を一定にしてもよい。中間連通路32の間隔を通路11,12の流路方向にも幅方向にも変化させることにしてもよい。
【0053】
中間連通路32の配置密度は、次の手順にて設定することができる。
図2(b)のグラフの太実線の曲線Aに示すように、第1通路11及び第2通路12の理想の流量分布を設定する。理想の流量分布は、溶媒抽出室13における淡水抽出流量密度の最大値と最小値の差が中間連通手段30を設けなかった場合より小さくなるよう設定する。例えば、第1通路11の上流端での海水温度が30℃程度であり、第2通路12の上流端での海水温度が80℃程度である場合には、溶媒抽出室13における淡水抽出流量密度の最大値と最小値の差が、中間連通手段30を設けなかった場合の50%以下になるよう設定するのが好ましい。なお、中間連通手段30を設けない場合、第1通路11の下流端及び第2通路12の上流端に対応する位置で淡水抽出流量密度が最大値を示し、第1通路11の下流端及び第2通路12の上流端に対応する位置で淡水抽出流量密度が最小値を示す。より好ましくは、理想の流量分布を、淡水抽出流量密度が溶媒抽出室13の流路方向の全体で一定値(最大値と最小値の差が0)になるよう設定する(後記の実施例1〜4参照)。
【0054】
次に、図2(b)のグラフにおいて、細実線にて示す階段状の折れ線Bを上記の理想流量分布曲線Aに沿うように作成する。階段状折れ線Bには、第1通路11及び第2通路12の流路方向の中間連通路32を配置する位置ごとに段差を付ける。そして、図2(a)に示すように、第1通路11及び第2通路12の流路方向の各位置における中間連通路32の数を、図2(b)のグラフ上の対応する位置における階段状折れ線Bの段差の高さに応じて設定する。階段状折れ線Bは、第1通路11及び第2通路12の実際の流量分布に近似する。
【0055】
第2実施形態によれば、中間連通手段30のコンダクタンスを流路方向の位置に応じて異ならせることができ、第2通路12から第1通路11への海水の戻し流量を流路方向の位置に応じて異ならせることができる。これにより、第1通路11及び第2通路12の流路方向の流量変化の度合いを高温領域では小さくでき、低温領域では大きくできる。したがって、高温領域を確実に広くでき、低温領域を確実に狭くできる。よって、溶媒抽出装置1全体の淡水抽出流量を確実に増大させることができる。
【0056】
図3及び図4は、第3実施形態を示したものである。第3実施形態は、中間連通手段30の材質及び形成方法の一態様に係る。図3及び図4(c)に示すように、第3実施形態では、環状体31が接着剤41にて構成されている。接着剤41からなる環状体31が、複数、溶媒抽出室13の内部に整列して並べられている。環状体31は、第1及び第2通路11,12の延び方向(図3において左右方向)に等間隔置きに配置され、かつ幅方向(図3において上下方向)にも等間隔置きに配置されているが、第2実施形態(図2)と同様に、環状体31の配置間隔が第1及び第2通路11,12の延び方向の位置に応じて異なっていてもよい。
【0057】
図4(c)に示すように、環状体31を構成する接着剤41によって、伝熱隔壁14と蒸留膜15の互いに対向する面どうしが接着されている。接着剤41の厚さは、溶媒抽出室13の厚さに等しい。貫通穴42が、伝熱隔壁14と接着剤41と蒸留膜15を貫通するよう形成されている。この貫通穴42が中間連通路32になる。貫通穴42の伝熱隔壁14に形成された部分が、第1通路11に連なっている。貫通穴42の接着剤41を貫通する部分が、環状体31の中心穴を構成する。貫通穴42の蒸留膜15に形成された部分が、第2通路12に連なっている。接着剤41によって、中間連通路32と溶媒抽出室13とが隔てられている。
【0058】
なお、図3に示すように、溶媒抽出室13の幅方向(同図において上下方向)の両縁には、これら縁に沿って接着剤40が設けられている。伝熱隔壁14の周縁には、位置決め穴19が形成されている。図示は省略するが、接着剤40は、溶媒抽出室13の流路方向(同図において左右方向)の縁にも設けられている。接着剤40によって、伝熱隔壁14及び蒸留膜15の周縁どうしが接着されている。接着剤40は、溶媒抽出室13の周縁を塞ぐシール材になる。更に、接着剤40,41は、溶媒抽出室13の厚さを確保するスペーサとなる。
【0059】
第3実施形態における蒸留器10の製造方法を、中間連通手段30の製造工程を中心に説明する。
図4(a)に示すように、伝熱隔壁14の溶媒抽出室13側の面(図4(a)において上面)に接着剤41を塗布する。接着剤41は、中間連通路32を形成すべき各位置にスポット状に塗布する。また、図3に示すように、伝熱隔壁14の溶媒抽出室13側の面の周縁に接着剤40をスジ状に塗布する。
【0060】
次に、図4(b)に示すように、蒸留膜15を伝熱隔壁14に貼り合わせる。このとき、位置決め穴19を使って蒸留膜15及び伝熱隔壁14を位置決めする。接着剤40,41によって伝熱隔壁14と蒸留膜15を接着する。伝熱隔壁14と蒸留膜15との間には、接着剤40,41の厚さ分の隙間が形成される。この隙間が溶媒抽出室13となる。
【0061】
次に、図4(c)に示すように、伝熱隔壁14及び蒸留膜15の各接着剤41に対応する位置に貫通穴42を形成する。貫通穴42は、伝熱隔壁14と接着剤41と蒸留膜15を貫通する。この貫通穴42が中間連通路32になる。
【0062】
更に、外隔壁16,17(図1参照)を伝熱隔壁14及び蒸留膜15の両側に設けることにより、第1通路11及び第2通路12を形成する。
【0063】
中間連通手段30は、溶媒抽出室13内を貫通するのに限られず、溶媒抽出室13を迂回してもよく、蒸留器10の外部に付設してもよい。
図5は、本発明の第4実施形態を示したものである。この実施形態では、中間連通手段30として、溶媒抽出室13内の環状体31に代えて、蒸留器10の外側に複数の管33が設けられている。各管33の一端は、蒸留器10の外隔壁16に接続されている。各管33の他端は、蒸留器10の外隔壁17に接続されている。
【0064】
管33の内部空間が中間連通路32を構成する。管33の内部空間からなる中間連通路32の一端が、外隔壁16を貫通して第1通路11に連なっている。管33の内部空間からなる中間連通路32の他端が、外隔壁17を貫通して第2通路12に連なっている。管33の第1通路11との接続端と第2通路12との接続端は、第1通路11及び第2通路12の延び方向(図5において左右方向)の互いにほぼ同じ位置に配置されている。
【0065】
図5の仮想線に示すように、管33には、溶液を第1通路11側から第2通路12側へ流すポンプ等の送液手段34を設けてもよい。この場合、メインの送液ポンプ3を供給路21に設けてもよく、第2通路12が第1通路11より低圧であってもよい。管33に絞り弁等の流通抵抗調節手段35を設け、コンダクタンスを調節することもできる。
【0066】
図6に示すように、各管33の第1通路11との接続端と第2通路との接続端を通路11,12の流路方向にずらして配置することにしてもよい。
【0067】
本発明は、上記実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変をなすことができる。
例えば、蒸留器10全体の環状体31ないし管33の数が単数であってもよく、中間連通路32の数が単数であってもよい。
中間連通路32の流路断面積を変えることによって、第1通路及び第2通路12の流路方向の各位置における中間連通路32の疎密度ひいては中間連通手段30のコンダクタンスを調節してもよい。
中間連通手段30は、第1通路及び第2通路12の流路方向に連続していてもよい。中間連通路32が、第1通路及び第2通路12の流路方向に延びるスリット状になっていてもよい。
環状体31の断面は、真円形に限られず、楕円や多角形等でもよい。
【0068】
蒸留器10が、隔壁ないし膜14,15ひいては路ないし室11,12,13をそれぞれ多数(複数)有する多段積層構造になっていてもよい。多段積層構造の蒸留器10では、第1通路11の積層方向の両側にそれぞれ溶媒抽出室13が配置され、かつ第2通路12の積層方向の両側にそれぞれ溶媒抽出室13が配置され、かつ各溶媒抽出室13が第1通路11と第2通路12に挟まれていることが好ましい。積層方向の最も両外側にはそれぞれ第1通路11を介して外隔壁16又は17が配置されることが好ましい。上記多段積層構造の蒸留器10において、中間連通手段30が、各溶媒抽出室13を挟んで隣り合う第1通路11と第2通路12の中間部どうしを連通していてもよく、任意の1又は複数の第1通路11と任意の1又は複数の第2通路12の中間部どうしを連通していてもよく、すべての第1通路11とすべての第2通路12の中間部どうしを連通していてもよい。
【0069】
蒸留器10の延び方向は任意であり、左右方向に限られず、上下方向であってもよく、水平又は垂直に対し斜めの方向であってもよい。
【実施例1】
【0070】
実施例を説明する。本発明が以下の実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
実施例1では、第1通路11及び第2通路12の流量を流路方向に変化させることの効果をコンピュータシミュレーションによって確認した。
【0071】
第1通路11の流路方向の長さを30mとし、流路方向と直交する流路幅を1mとし、流路厚さを0.6mmとした。第2通路12及び溶媒抽出室13についても同様に、流路方向の長さを30mとし、流路方向と直交する流路幅を1mとし、流路厚さを0.6mmとした。
第1通路11の上流端での海水温度を30℃とした。第2通路12の上流端での海水温度を80℃とした。熱源2から海水に与えられる熱量を4800Wとした。
【0072】
淡水抽出流量密度が溶媒抽出室13の全体にわたってなるべく一定になる流量分布(図7(a))を算出し、この流量分布の算出結果から淡水抽出流量密度(図7(b))を逆算し、更に温度分布(図7(c))及び温度差分布(図7(d))を算出した。算出には近似的に下記の拡散方程式を用いた。
【0073】
【数1】

ここで、Jは、第2通路12の各位置から溶媒抽出室13への水蒸気の透過流量、すなわち淡水抽出流量密度である。Dは、水蒸気の拡散定数である。Rは、気体定数である。Tは、上記各位置における第1通路11の海水温度と第2通路12の海水温度の平均(絶対温度)である。P(T)は、温度Tにおける海水の蒸気圧である。τは、上記各位置における第2通路12の海水温度から第1通路11の海水温度を差し引いた温度差である。
【0074】
図7(a)〜(d)において、太実線aは上記近似式1を用いた算出結果であり、二点鎖線bは、更に滑降シンプレックス法による最適化アルゴリズムを適用して淡水出力流量が最大になるよう流量分布を最適化したときの算出結果である。細実線は、比較例であり、中間連通手段30を設けなかった場合、すなわち第2通路12から第1通路11への戻しを行なわなかった場合の算出結果である。横軸は、第1通路11及び第2通路12の流路方向の位置である。位置「0m」は、第1通路11の下流端及び第2通路12の上流端(高温領域側の端)を示す。位置「30m」は、第1通路11の上流端及び第2通路12の下流端(低温領域側の端)を示す。同図(c)の温度分布は、流路方向の各位置における第1通路11の海水と第2通路12の海水の平均温度(上記絶対温度Tを摂氏に換算した値)の分布である。同図(d)の温度差分布は、流路方向の各位置における第1、第2通路11,12の海水温度差(τ)の分布である。
【0075】
図7(a)及び(b)の細線cに示すように、中間連通手段30を設けなかった場合の流量は、第1通路11及び第2通路12の全区間を通じてほぼ一定であり、淡水抽出流量密度は、第1通路11の上流端及び第2通路12の下流端(「30m」の位置)へ向かうにしたがって漸減する。なお、第2通路12の流量は、淡水抽出に伴い、下流端(「30m」の位置)へ向かうにしたがって厳密には減少するが、その減少量は無視できる程度に小さい。図7(c)の細線cに示すように、中間連通手段30を設けなかった場合の流路方向の温度変化は、第1通路11の下流端及び第2通路12の上流端(「0m」の位置)に近いほど急であり、第1通路11の上流端及び第2通路12の下流端(「30m」の位置)に近いほど緩やかである。したがって、温度分布が下に凸の曲線になる。よって、高温領域が比較的狭く、低温領域が比較的広い。出力路25から取り出される淡水流量の算出値は、11.9cc/secであった(表1参照)。
【0076】
これに対し、図7(a)の太実線aに示すように、中間連通手段30を設けることによって、第1、第2通路11,12内の海水流量が、第1通路11の下流端及び第2通路12の上流端(「0m」の位置)に近い位置では大きく、第1通路11の上流端及び第2通路12の下流端(「30m」の位置)に近い位置では小さくなる。そして、図7(c)の太実線aに示すように、第1、第2通路11,12の流路方向の温度変化が、第1通路11の下流端及び第2通路12の上流端(「0m」の位置)に近いほど緩やかになり、第1通路11の上流端及び第2通路12の下流端(「30m」の位置)に近いほど急になる。したがって、温度分布が上に凸の曲線になる。よって、高温領域を、通路11,12の流量を一定とした場合すなわち中間連通手段30を設けなかった場合(図7の細線c)より広くでき、低温領域を狭くできる。図7(d)の太実線aに示すように、中間連通手段30を設けた場合の第2通路12と第1通路11の温度差は、第1通路11の下流端及び第2通路12の上流端(「0m」の位置)に近いほど小さくなり、第1通路11の上流端及び第2通路12の下流端(「30m」の位置)に近いほど大きくなる。出力路25から取り出される淡水流量は、12.3cc/secになり、中間連通手段30を設けなかった場合より大きくなった(表1参照)。
【0077】
図7(a)〜(d)の二点鎖線bにて示すように、滑降シンプレックス法による最適化アルゴリズムを適用して流量分布を設定した場合も、上記拡散の近似式1を適用した場合(図7の実線a)と似た挙動を示し、高温領域を広くでき、低温領域を狭くできる。出力路25から取り出される淡水流量は、12.4cc/secになり、中間連通手段30を設けなかった場合より大きくなった(表1参照)。
【実施例2】
【0078】
実施例2では、第1通路11、第2通路12、溶媒抽出室13の厚さをそれぞれ0.12mmとし、それ以外の条件は実施例1と同一にして、実施例1と同様のシミュレーションを行った。シミュレーション結果を図8に示す。同図(c)の太実線a及び二点鎖線bに示すように、実施例2の温度分布は、実施例1の流路厚さ0.6mmのときと比べ、より上に凸の曲線になり、高温領域がより広くなった。出力路25から取り出される淡水流量は、中間連通手段30を設けなかった場合(図8の細線c)が14.1cc/secであったのに対し、拡散の近似式1を用いて流量分布を設定した場合(図8の太実線a)が15.5cc/secになり、滑降シンプレックス法による最適化アルゴリズムを適用して流量分布を設定した場合(図8の二点鎖線b)が15.6cc/secになった(表1参照)。
【実施例3】
【0079】
実施例3では、第1通路11の上流端での海水温度を25℃とし、かつ第2通路12の上流端での海水温度を90℃とし、それ以外の条件は実施例1と同一にして、実施例1と同様のシミュレーションを行った。シミュレーション結果を図9に示す。出力路25から取り出される淡水流量は、中間連通手段30を設けなかった場合(図9の細線c)が14.0cc/secであったのに対し、拡散の近似式1を用いて流量分布を設定した場合(図9の太実線a)が14.8cc/secになり、滑降シンプレックス法による最適化アルゴリズムを適用して流量分布を設定した場合(図9の二点鎖線b)が14.9cc/secになった(表1参照)。
【実施例4】
【0080】
実施例4では、第1通路11の上流端での海水温度を25℃とし、かつ第2通路12の上流端での海水温度を90℃とし、更に第1通路11、第2通路12、溶媒抽出室13の厚さをそれぞれ0.12mmとし、それ以外の条件は実施例1と同一にして、実施例1と同様のシミュレーションを行った。シミュレーション結果を図10に示す。出力路25から取り出される淡水流量は、中間連通手段30を設けなかった場合(図10の細線c)が16.3cc/secであったのに対し、拡散の近似式1を用いて流量分布を設定した場合(図10の太実線a)が16.8cc/secになり、滑降シンプレックス法による最適化アルゴリズムを適用して流量分布を設定した場合(図10の二点鎖線b)が18.7cc/secになった(表1参照)。
【0081】
表1は、実施例1〜4における出力路25から得られる淡水流量をまとめたものである。表1の「a;式1」は、拡散近似式1を用いたシミュレーション結果(図7〜図10の太実線a)を示す。「b;最適化」は、滑降シンプレックス法による最適化アルゴリズムを適用したシミュレーション結果(図7〜図10の二点鎖線b)を示す。「c;比較例」は、通路11,12の流量を一定とした場合のシミュレーション結果(図7〜図10の細線c)を示す。
【0082】
【表1】

【0083】
何れの実施例においても、通路11,12の流量を一定とした場合すなわち中間連通手段30を設けなかった場合(「c;比較例」)より、中間連通手段30を設けて流量を変化させた場合(a;式1」及び「b;最適化」)
のほうが、淡水流量を大きくできた。特に、実施例4の最適化アルゴリズムを用いて流量分布を設定した場合、中間連通手段30を設けなかった場合に対して淡水流量の増加量が大きかった。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、例えば海水から淡水を取り出す淡水化装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 溶媒抽出装置
2 熱源
3 送液手段
10 蒸留器
11 第1通路
12 第2通路
13 溶媒抽出室
14 伝熱隔壁(不透過膜)
15 蒸留膜
16,17 外隔壁
19 位置決め穴
21 供給路
22 端連通路
24 排出路
25 出力路
30 中間連通手段
31 環状体
32 中間連通路
33 管
34 送液手段
35 流通抵抗調節手段
40 接着剤
41 接着剤
42 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並んで延びる第1通路及び第2通路に、溶液を第1通路、第2通路の順に対向流をなすよう流し、上記第1通路の下流端と上記第2通路の上流端とを連ねる端連通路において上記溶液を加熱し、上記第1、第2通路間に挟まれた溶媒抽出室から上記溶液の溶媒を抽出する溶媒抽出装置であって、
上記第1通路と上記溶媒抽出室とを熱交換可能に仕切る伝熱隔壁と、
上記第2通路と上記溶媒抽出室とを仕切り、気体の透過を許容し、液体の透過を阻止する蒸留膜と、
上記端連通路より小さいコンダクタンスを有して、上記第1通路及び第2通路の流路方向の中間部どうしを連通する中間連通手段と、
を備えたことを特徴とする溶媒抽出装置。
【請求項2】
上記端連通路に、上記溶液を上記第1通路から上記第2通路へ向かうよう送る送液手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の溶媒抽出装置。
【請求項3】
上記中間連通手段が、上記第1通路及び第2通路における上記流路方向の互いにほぼ同じ位置にある箇所どうしを連通していることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶媒抽出装置。
【請求項4】
上記中間連通手段が、上記流路方向に分散して配置された複数の中間連通路を含み、各中間連通路が、上記第1通路の上記中間部の一箇所と上記第2通路の上記中間部の一箇所とを連通していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の溶媒抽出装置。
【請求項5】
上記第1通路の下流端及び第2通路の上流端に近い位置には上記中間連通路が相対的に疎に配置され、上記第1通路の下流端及び第2通路の上流端から遠い位置には上記中間連通路が相対的に密に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の溶媒抽出装置。
【請求項6】
上記中間連通手段が、上記溶媒抽出室における溶媒抽出流量密度の最大値と最小値の差が上記中間連通手段を設けなかった場合より小さくなるよう上記流路方向に分布していることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の溶媒抽出装置。
【請求項7】
上記中間連通手段が、上記溶媒抽出室の溶媒抽出流量密度が上記流路方向に概略一定になるよう上記流路方向に分布していることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の溶媒抽出装置。
【請求項8】
上記中間連通手段が、上記溶媒抽出室の内部に収容された環状体を含み、この環状体の中心穴が、上記第1通路と上記第2通路とを連通する中間連通路になることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の溶媒抽出装置。
【請求項9】
上記環状体が、上記伝熱隔壁及び蒸留膜の互いに対向する面どうしを接着する接着剤であり、上記中間連通路が、上記蒸留膜と上記接着剤と上記伝熱隔壁とを貫通する貫通穴であることを特徴とする請求項8に記載の溶媒抽出装置。
【請求項10】
溶液から溶媒を抽出する溶媒抽出方法であって、
伝熱隔壁を介して溶媒抽出室と熱交換可能に仕切られた第1通路に上記溶液を流す第1工程と、
上記第1通路の下流端から出た上記溶液を熱源により加熱する加熱工程と、
気体の透過を許容し液体の透過を阻止する蒸留膜を介して上記溶媒抽出室と仕切られた第2通路に、上記加熱後の上記溶液を上記第1通路と対向流をなすように流す第2工程と、
上記第2工程の途中の溶液の一部を、上記第2通路の流路方向の中間部から上記第1通路の流路方向の中間部に戻して上記第1工程の途中の溶液に混合する混合工程と、
を備えたことを特徴とする溶媒抽出方法。
【請求項11】
上記流路方向の複数の位置において位置ごとに上記第2通路から上記第1通路への上記溶液の戻しを行うことを特徴とする請求項10に記載の溶媒抽出方法。
【請求項12】
上記溶媒抽出室の溶媒抽出流量密度の最大値と最小値の差が上記戻しを行わなかった場合より小さくなるよう、上記位置ごとの上記溶液の戻し流量を設定することを特徴とする請求項11に記載の溶媒抽出方法。
【請求項13】
上記溶媒抽出室の溶媒抽出流量密度が上記流路方向に沿って概略一定になるよう、上記位置ごとの上記溶液の戻し流量を設定することを特徴とする請求項11又は12に記載の溶媒抽出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−167599(P2011−167599A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31594(P2010−31594)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】