説明

溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置

【課題】直接的且つ効率的に排水などの水(原水)から溶存硫化物を除去することが可能な溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置を提供する。
【解決手段】処理槽5内に活性炭層6を備えてなる装置本体1と、処理槽5内に、硫化物が溶存する原水Wを供給して活性炭層6に流通させる原水供給手段2と、処理槽5内に酸素を含む気体Sを供給して活性炭層6に流通させる気体供給手段3とを備えて除去装置Aを構成する。そして、活性炭層6に原水Wと気体Sを同時に流通し、活性炭の触媒作用を利用して溶存硫化物を酸化させ、硫黄に転換して除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に溶存している硫化物を除去するための溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水に、硫化水素(HS)などの分子態硫化物、水硫化物イオン(HS)や硫化物イオン(S2−)などのイオン態硫化物が溶存していると、硫化水素として揮散し、悪臭の発生、コンクリート腐食、金属腐食などを招くおそれがある。このため、食品加工工場、下水処理場、し尿処理場などでは、排水などからこの種の溶存硫化物を除去する対策や揮散した硫化水素を気相から除去する対策を講じるようにしている。
【0003】
そして、従来、排水などの処理原水から溶存硫化物を除去する対策には、pHを調整した原水をエアレーション(曝気)することによって溶存硫化物を強制的に揮散させ、気化した硫化物(硫化水素)を活性炭で吸着除去したり、脱硫剤で捕捉除去する方法が多用されている。
【0004】
また、揮散した硫化水素を気相から除去する方法として、活性炭で吸着除去する方法や、脱硫剤で捕捉除去する方法の他に、活性炭を触媒として用いる方法が特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された方法では、洗浄塔内の上部に設けたスプレーからアルカリ水溶液を噴出させつつ硫化水素を含む悪臭ガスを洗浄塔内に流通させ、アルカリ水溶液に硫化水素を吸収させる。そして、硫化水素を吸収して溶存硫化物を含むアルカリ水溶液に活性炭を添加してエアレーションし、活性炭による触媒作用を利用して空気酸化させることにより溶存硫化物を硫黄(単体硫黄、コロイド状の硫黄)に転換する。このように活性炭の触媒作用によって溶存硫化物を再度硫化水素に転換することのない化学的に安定な硫黄まで酸化させることができるため、このまま処理水を放流することも可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭62−4167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の処理原水から溶存硫化物を除去する方法では、エアレーションを行って気相に硫化水素を揮散させるため、処理原水の量に対し空気の量が非常に多く必要になる。これにより、処理量に対しエアレーションタンクや脱硫装置を組み合わせた装置全体(溶存硫化物の除去装置)の規模が大きくなるという問題があった。
【0007】
また、エアレーションによる処理原水からの溶存硫化物の揮散(揮散工程)と、気相からの硫化水素(気化した硫化物)の除去(除去工程)の二段の工程を要することになるため、処理効率が悪く、直接的に処理原水から溶存硫化物を除去する手法が強く望まれていた。なお、処理原水に活性炭を添加して直接的に溶存硫化物を吸着除去することも考えられるが、活性炭の吸着量には限界があり、溶存硫化物濃度が高濃度であるほどに処理効率ひいては経済性の面で問題が生じるため、実用的ではない。
【0008】
一方、特許文献1に開示された方法を利用し、活性炭の触媒作用で溶存硫化物を硫黄に酸化させて、直接的に処理原水から溶存硫化物を除去することも考えられる。しかしながら、この方法においても、処理原水に添加した活性炭をエアレーションによって撹拌しながら溶存硫化物の酸化反応を促進させるようにするため、やはり処理原水の量に対し空気の量が非常に多く必要になり、処理装置全体の規模が大きくなってしまう。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、直接的且つ効率的に排水などの原水から溶存硫化物を除去することが可能な溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0011】
本発明の溶存硫化物の除去方法は、硫化物が溶存する原水から溶存硫化物を除去する方法であって、活性炭層に前記原水とともに酸素を含む気体を流通させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の溶存硫化物の除去装置は、硫化物が溶存する原水から溶存硫化物を除去するための溶存硫化物の除去装置であって、処理槽内に活性炭層を備えてなる装置本体と、前記処理槽内に前記原水を供給して前記活性炭層に流通させるための原水供給手段と、前記処理槽内に酸素を含む気体を供給して前記原水とともに前記気体を前記活性炭層に流通させるための気体供給手段とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0013】
これらの発明においては、活性炭層に溶存硫化物を含む排水などの原水と酸素を含む気体を流通させることにより、単に活性炭に溶存硫化物が吸着されるのではなく、活性炭が触媒として作用し原水中の溶存硫化物が気体中の酸素によって酸化されて、溶存硫化物を硫黄に転換させることが可能になる。これにより、溶存硫化物を含む原水とともに酸素を含む気体を活性炭層に流通させるだけで、溶存硫化物濃度が低下した処理水を得ることが可能になる。
【0014】
本発明の溶存硫化物の除去方法においては、前記気体を微細気泡として前記原水中に分散させた状態で前記原水とともに前記気体を前記活性炭層に流通させることが望ましい。
【0015】
また、本発明の溶存硫化物の除去装置においては、前記気体供給手段が、前記気体を微細気泡として前記原水中に分散させた状態で前記原水とともに前記気体を前記活性炭層に流通させるための微細気泡発生装置を備えていることが望ましい。
【0016】
これらの発明においては、例えばマイクロバブル発生装置、ナノバブル発生装置などの微細気泡発生装置を用いて、気体を微細気泡(例えば数μm〜数十μm程度のマイクロバブル)として原水中に分散させる。そして、この状態で原水とともに気体を活性炭層に流通させることにより、原水中の気体(微細気泡)の滞留時間を著しく長くすることができるため、原水に対し気体が早期に活性炭層を流通してしまうようなことがない。これにより、確実に気体に含まれる酸素を利用して活性炭の触媒作用を発揮させることが可能になる。よって、酸化反応を促進させて確実に原水中の溶存硫化物を硫黄に転換させることができ、溶存硫化物濃度が低下した処理水を確実に得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置によれば、活性炭層に溶存硫化物を含む原水と酸素を含む気体を流通させることにより、原水中の溶存硫化物の酸化反応を気体中の酸素によって促進させ、溶存硫化物を硫黄に転換させることが可能になる。これにより、溶存硫化物を含む原水とともに酸素を含む気体を活性炭層に流通させるだけで、溶存硫化物濃度が低下した処理水を得ることが可能になる。
【0018】
そして、従来のようにエアレーションを行って溶存硫化物を除去する場合と比較し、直接的に原水中の溶存硫化物を除去することが可能であるとともに、酸素を含む気体の供給量を大幅に低減することが可能になる。このため、装置全体の規模を大幅に小さくして効率的に処理を行うことが可能になる。
【0019】
また、活性炭の吸着作用ではなく触媒作用を利用しているため、溶存硫化物が破過するようなことがない。さらに、酸化反応により生成した硫黄が活性炭層に目詰まりした場合においても例えば砂ろ過装置などと同様に逆洗や通気洗浄などを行って、活性炭層内の硫黄を洗浄除去することが可能であり、活性炭の触媒としての性能を容易に回復させる(再生する)ことが可能である。よって、この点からも処理効率の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る溶存硫化物の除去装置(及び溶存硫化物の除去方法:実証試験のケース3の除去装置及び除去方法)を示す図である。
【図2】ガラスビーズ層を備えて構成した除去装置(実証試験のケース1の除去装置及び除去方法)を示す図である。
【図3】活性炭層を備えて構成した除去装置(実証試験のケース2の除去装置及び除去方法)を示す図である。
【図4】実証試験の結果を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る溶存硫化物の除去装置(及び溶存硫化物の除去方法)の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係る溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置について説明する。本実施形態は、活性炭の触媒作用によって硫化物が溶存する排水などの原水から溶存硫化物を除去するための溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置に関するものである。
【0022】
本実施形態の溶存硫化物の除去装置Aは、図1に示すように、装置本体1と、原水供給手段2と、気体供給手段3とを備えて構成されている。
【0023】
本実施形態において、装置本体1は、例えばカラムなどの処理槽5内に粒状の活性炭を層状に充填してなる活性炭層6を備えて形成され、軸線O1方向(原水流通方向)を上下方向に配して設けられている。また、この装置本体1は、処理槽5が上端と下端を閉塞して形成され、処理槽5内の軸線O1方向中央部側に活性炭層6を設けて形成されている。これにより、処理槽5内の活性炭層6を挟んで軸線O1方向上端部側と下端部側とにそれぞれ空所5a、5bを設けて形成されている。また、処理槽5の上端部側には、略T字状の排出管7が取り付けられており、この排出管7は、一端を上方の空所5aに繋げ、他端側の気体排出口7aが上方に、処理水排出口7bが下方にそれぞれ配されるようにして取り付けられている。
【0024】
原水供給手段2は、給水管2aを介して処理槽5の下端部に繋がる送水ポンプ2bを備えて構成されている。すなわち、本実施形態の原水供給手段2は、送水ポンプ2bを駆動することにより、排水などの硫化物が溶存する原水Wを貯留した原水タンク2cから処理槽5の下方の空所5bに原水Wを供給し、この原水Wを活性炭層6に下方から上方に向けて流通させるように構成されている。
【0025】
気体供給手段3は、給気管3aを介して処理槽5の下端部に繋がる給気ポンプ3bを備えて構成されている。すなわち、本実施形態の気体供給手段3は、給気ポンプ3bを駆動することにより、処理槽5の下方の空所5bに空気(酸素を含む気体)Sを供給し、この空気Sを活性炭層6に下方から上方に向けて流通させるように構成されている。
【0026】
そして、上記構成からなる溶存硫化物の除去装置Aを用いて原水Wから溶存硫化物を除去する際には、原水供給手段2の送水ポンプ2bと気体供給手段3の給気ポンプ3bを駆動して、装置本体1の活性炭層6に原水Wと空気Sを同時に流通させる(原水Wとともに空気Sを流通させる)。このとき、例えば原水Wの量と同量程度となるように空気Sを流通させる。
【0027】
このように活性炭層6に原水Wと空気Sを流通させると、原水W中の溶存硫化物が活性炭に吸着されるのではなく、活性炭が触媒として作用し、溶存硫化物が空気S中の酸素によって酸化される。これにより、溶存硫化物を含む原水Wとともに空気Sを活性炭層6に流通させるだけで、分子態硫化物(HS)は、酸化反応によって水硫化物イオン(HS)、硫化物イオン(S2−)のイオン態硫化物に転換され、さらにイオン態硫化物(HS、S2−)が、酸化反応によって化学的に安定な単体及び/又はコロイド状の硫黄に転換される。これにより、溶存硫化物を除去した処理水W’が得られる。なお、処理水W’を適宜ろ過するなどして容易に溶存硫化物を硫黄として回収、除去でき、溶存硫化物を除去した清浄な処理水W’を得ることができる。
【0028】
ここで、本発明に係る溶存硫化物の除去方法(及び溶存硫化物の除去装置A)の優位性を確認した実証試験について説明する。
【0029】
まず、本実証試験は、図2に示すように、カラム(処理槽5)内にガラスビーズを充填してなるガラスビーズ層8を備えた除去装置10(ケース1(図2))と、図1及び図3に示すように、カラム5内に活性炭層6を備えた除去装置A、20(ケース2(図3)、ケース3(図1))とを用いて行っている。
【0030】
そして、ケース1では、図2に示すように、ガラスビーズ層8に原水Wとともに空気(酸素を含む気体)Sを流通させ、ケース2では、図3に示すように、活性炭層6に原水Wのみを流通させ、ケース3では、図1に示すように、活性炭層6に原水Wとともに空気Sを流通させている。すなわち、ケース1では、単に原水Wに加えて空気Sを流通させた場合の溶存硫化物の除去性能を確認し、ケース2では、単に活性炭層6による除去性能を確認し、ケース3では、活性炭層6に原水Wと空気Sを同時に流通させた場合の除去性能(すなわち本発明による効果)を確認している。そして、本実証試験では、これらのケース1、2、3の除去性能を比較することにより、本発明に係る溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置の優位性を確認するようにしている。
【0031】
また、原水Wは、硫化ナトリウム(NaS)を用いて溶存硫化物濃度が約90mg/Lとなるようにした。さらに、塩酸(HCl)を用いてpHを7.0に調整した。そして、本実証実験では、原水Wの処理速度(流通速度)を約10mL/minとし、SV(空間速度)が5となるようにして流通させている。また、空気Sを流通させるケース1とケース3では、原水Wに合わせて空気Sの流通速度を約10mL/minとして流通させている。
【0032】
図4は、排出管7の処理水排出口7bから順次排出される各ケースの処理水W’の溶存硫化物濃度を、検知管を用いて測定した結果を示している。そして、この図から、ガラスビーズ層8に原水Wとともに空気Sを流通させたケース1では、処理水W’の溶存硫化物濃度が原水Wとほぼ同じ濃度になり、単に原水Wとともに空気Sを流通させただけでは溶存硫化物の除去性能が発揮されないことが確認された。
【0033】
また、活性炭層6に原水Wのみを流通させたケース2では、試験開始当初は活性炭の吸着作用により溶存硫化物が除去されているが、20時間経過した段階で活性炭の吸着能力(吸着量)が限界に達し、急激に溶存硫化物濃度が上昇する破過が確認された。
【0034】
一方、活性炭層6に原水Wとともに空気Sを流通させたケース3では、30時間を超えた段階で僅かに溶存硫化物が検出されたが、70時間を超えても顕著な濃度上昇は確認されず、良好に溶存硫化物の除去性能が発揮されることが確認された。
【0035】
また、ケース2の処理水W’は無色透明であるのに対し、ケース3の処理水W’は黄白色を呈して懸濁していた。そして、これらケース2とケース3の同量の処理水W’を採取し、ガラスフィルターでろ過するとともに乾燥させ、ガラスフィルターの表面に捕捉された物質を蛍光X線分析で分析した。この結果、表1に示すように、ケース2に対しケース3で多くの硫黄が検出され、活性炭層6に原水Wとともに空気Sを流通させると、活性炭の触媒作用が発揮され、酸化反応で原水W中の溶存硫化物が化学的に安定な硫黄に転換することが確認された。なお、全てのケースにおいて処理水W’の硫酸イオン濃度の測定を行っているが、硫酸イオンは検出されていない。
【0036】
【表1】

【0037】
以上の結果から、硫化物が溶存する原水Wとともに空気(酸素を含む気体)Sを活性炭層6に流通させることにより、活性炭の触媒作用を発揮させて原水Wから溶存硫化物を好適に除去することができることが確認され、本発明に係る溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置Aの優位性が実証された。
【0038】
したがって、本実施形態の溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置Aにおいては、活性炭層6に溶存硫化物を含む原水Wと酸素を含む気体(空気S)を流通させることにより、単に活性炭に溶存硫化物が吸着されるのではなく、活性炭が触媒として作用し原水W中の溶存硫化物が気体S中の酸素によって酸化されて、溶存硫化物を硫黄に転換させることが可能になる。これにより、溶存硫化物を含む原水Wとともに酸素を含む気体Sを活性炭層6に流通させるだけで、溶存硫化物濃度が低下した処理水W’を得ることが可能になる。
【0039】
そして、従来のようにエアレーションを行って溶存硫化物を除去する場合と比較し、直接的に原水W中の溶存硫化物を除去することが可能であるとともに、酸素を含む気体Sの供給量を大幅に低減することが可能になる。このため、装置全体の規模を大幅に小さくして効率的に処理を行うことが可能になる。
【0040】
また、活性炭の吸着作用ではなく触媒作用を利用しているため、溶存硫化物が破過するようなことがなく、溶存硫化物を硫黄として回収、除去することが可能であるため、処理に伴う廃棄物コストを大幅に削減することが可能になる。さらに、活性炭を吸着材として使用する場合と比較し、本実施形態のように触媒として使用することで活性炭の寿命が長くなるため、この点からも効率的且つ経済的な処理を実現することが可能である。
【0041】
また、酸化反応により生成した硫黄が活性炭層6に目詰まりした場合においても例えば砂ろ過装置などと同様に逆洗や通気洗浄などを行うことで、活性炭層6内の硫黄を容易に洗浄除去することが可能になる。すなわち、活性炭の触媒としての性能を容易に回復させる(再生する)ことが可能である。よって、この点からも処理効率の向上、コストの削減を図ることが可能になる。
【0042】
以上、本発明に係る溶存硫化物の除去方法及び溶存硫化物の除去装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、活性炭層6に原水Wとともに空気Sを流通させるものとして説明を行ったが、本発明において、活性炭層6に流通させる気体Sは酸素を含んでいればよく、原水Wの溶存硫化物濃度や触媒としての活性炭の性能などに応じて適宜純酸素や酸素の割合を調整した気体などを用いてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、気体供給手段3の給気ポンプ3bを駆動して直接的に処理槽5の下方の空所5bに空気Sを供給するようにしているが、例えば図5に示すように、マイクロバブル発生装置、ナノバブル発生装置などの微細気泡発生装置9を備えて気体供給手段3を構成し、酸素を含む気体Sを微細気泡(例えば数μm〜数十μm程度のマイクロバブル)S1として原水W中に分散させ、この状態で原水Wとともに気体Sを活性炭層6に流通させるようにしてもよい。この場合には、原水W中の気体S(微細気泡S1)の滞留時間を著しく長くすることができるため、原水Wに対し気体Sが早期に活性炭層6を流通してしまうようなことがない。これにより、確実に気体Sに含まれる酸素を利用して活性炭の触媒作用を発揮させることが可能になる。よって、酸化反応を促進させて確実に原水W中の溶存硫化物を硫黄に転換させることができ、溶存硫化物濃度が低下した処理水W’を確実に得ることが可能になる。
【符号の説明】
【0044】
1 装置本体
2 原水供給手段
2a 給水管
2b 送水ポンプ
2c 原水タンク
3 気体供給手段
3a 給気管
3b 給気ポンプ
5 処理槽(カラム)
5a 上方の空所
5b 下方の空所
6 活性炭装置
7 排出管
7a 気体排出口
7b 処理水排出口
8 ガラスビーズ層
9 微細気泡発生装置
A 溶存硫化物の除去装置
O1 装置本体の軸線
S 空気(酸素を含む気体)
S1 微細気泡
W 原水(硫化物が溶存する水)
W’ 処理水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫化物が溶存した原水から溶存硫化物を除去する方法であって、
活性炭層に前記原水とともに酸素を含む気体を流通させることを特徴とする溶存硫化物の除去方法。
【請求項2】
請求項1記載の溶存硫化物の除去方法において、
前記気体を微細気泡として前記原水中に分散させた状態で前記原水とともに前記気体を前記活性炭層に流通させることを特徴とする溶存硫化物の除去方法。
【請求項3】
硫化物が溶存する原水から溶存硫化物を除去するための溶存硫化物の除去装置であって、
処理槽内に活性炭層を備えてなる装置本体と、前記処理槽内に前記原水を供給して前記活性炭層に流通させるための原水供給手段と、前記処理槽内に酸素を含む気体を供給して前記原水とともに前記気体を前記活性炭層に流通させるための気体供給手段とを備えて構成されていることを特徴とする溶存硫化物の除去装置。
【請求項4】
請求項3記載の溶存硫化物の除去装置において、
前記気体供給手段が、前記気体を微細気泡として前記原水中に分散させた状態で前記原水とともに前記気体を前記活性炭層に流通させるための微細気泡発生装置を備えていることを特徴とする溶存硫化物の除去装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−31228(P2011−31228A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183257(P2009−183257)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(504198164)アイダッシュ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】