説明

溶接ヒューム集塵システム

【課題】溶接ヒュームを効率的に集塵することができる。
【解決手段】建物10内に外気OAを供給する外気供給手段2と、溶接ヒューム滞留層11に気流を生成する気流形成手段3と、溶接ヒュームの滞留層11の空気から溶接ヒュームFを除去する溶接ヒューム集塵装置4と、溶接ヒュームFが除去された空気を建物10の外部に排出する排気手段5と、溶接ヒュームFが除去された空気を居住域12に還元する空気還元手段6とから構成される。居住域12の空調を行う空調設備7は別途設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接作業時などに発生した溶接ヒュームを集塵し、溶接作業スペースの環境を良好に保つためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場などにおいて溶接作業時に発生する溶接ヒュームは、空気中に長時間浮遊し滞留することで工場内の環境を悪化させ、人体にも非常に有害な物質である。溶接ヒュームは、金属が蒸発してできた粒子径0.01μm程度の煙や、この煙が空気中で冷却、凝集した粒子径0.5〜5.0μm程度の金属粉塵であり、通常FL(Floor Level)+5000〜7000mm程度の中空に浮遊している。
このような溶接ヒュームは、ルーフファンなどの換気設備で有効に除去されることは難しいため、局所的な排気設備や溶接ヒューム集塵装置によって除去されているのが一般的である。
【0003】
特許文献1によれば、溶接ヒュームを集塵する溶接ヒューム集塵装置が提案されている。この溶接ヒューム集塵装置では、上下方向に伸縮自在なダクトと、このダクトを流体圧で溶接ヒュームの中間滞留層まで上昇させる手段と、中間滞留層の溶接ヒュームを吸引する手段と、この吸引された溶接ヒュームを集塵する手段とを有して構成されている。この溶接ヒューム集塵装置では、中間滞留層の溶接ヒュームを効率的に捕集することができる。
また、溶接を行うスペースの両側に大型の吹出口および吸込口を設置して溶接を行うスペース全体に一様な気流を生成し、吸込口から吸い込んだ空気中の溶接ヒュームを溶接ヒューム集塵装置で集塵する方法が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−168623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の溶接ヒュームの集塵方法では以下のような問題があった。
溶接を行うスペース全体に均一な気流を生成し溶接ヒュームを集塵する方法では、気流を生成するための吹出用フードや吸込用フードを設置するため、設備を設置する広いスペースが必要であるという問題があった。また、溶接作業を行うスペースに気流を生成するため、障害物によって気流が一様でなくなることもあり、場合によっては溶接ヒュームを拡散させてしまうこともあった。
特に、造船工場や大型機器の溶接作業を行う大規模な工場などでは、さらに大掛かりな設備となるため広い設置スペースが必要であると共に、一様な気流の生成が容易でなく溶接ヒュームを効率的に集塵することが難しかった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、溶接ヒュームを効率よく集塵できる溶接ヒューム集塵システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る溶接ヒューム集塵システムは、溶接作業を行う工場などの建物内に構築されて、前記建物内に滞留する溶接ヒュームを集塵するシステムであって、前記溶接ヒュームの滞留層に外気を供給する外気供給手段と、前記外気を搬送し前記溶接ヒュームの滞留層に気流を生成する気流生成手段と、前記気流の下流側に設けられて、前記溶接ヒュームの滞留層の空気中から溶接ヒュームを集塵し除去する溶接ヒューム集塵手段とを備えることを特徴とするを特徴とする。
本発明では、建物の床面と天井面との間の一定の高さに滞留している溶接ヒュームの滞留層に気流生成手段で外気を搬送し気流を生成することによって、溶接ヒュームの滞留層の空気を溶接ヒューム集塵手段に流入させて、溶接ヒュームの滞留層の溶接ヒュームを集塵し除去することができる。
また、溶接ヒュームの滞留層に気流を生成することにより、溶接ヒューム滞留層の下側の居住域に溶接ヒュームが拡散することを防ぐことができる。
【0008】
また、本発明に係る溶接ヒューム集塵システムでは、溶接ヒュームが除去された前記溶接ヒュームの滞留層の空気は前記建物内に還元されることが好ましい。
本発明では、溶接ヒュームが除去された溶接ヒュームの滞留層の空気が建物内に還元されることにより、建物内外での換気量を少なくすることができるので、建物全体の空調負荷を低減させることができて省エネルギーを図ることができる。
【0009】
また、本発明に係る溶接ヒューム集塵システムでは、前記建物内の居住域では成層空調が行われることが好ましい。
本発明では、溶接ヒュームの滞留層の下側の居住域のみの空調する成層空調が行われることにより、溶接ヒューム滞留層の空気と居住域の空気とが混合して居住域に溶接ヒュームが拡散することがない。また、居住域の空調条件は溶接ヒュームの滞留層の空調条件と分けて設定することができる。
【0010】
また、本発明に係る溶接ヒューム集塵システムでは、前記溶接ヒューム集塵手段は、前記溶接ヒュームを含む空気を通過させて、比較的粒子径が大きい前記溶接ヒュームを除去する金属製フィルタと、前記金属フィルタを通過した空気中に残存していて前記金属製フィルタで除去された前記溶接ヒュームよりも粒子径が小さい溶接ヒュームを荷電し、荷電された前記溶接ヒュームを集塵電極に吸着させて除去する電気集塵機と、前記金属フィルタを振動させるバイブレータと、前記集塵電極にエアを噴射するエアノズルと、空気中から除去された溶接ヒュームが収容される溶接ヒューム収容部とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る溶接ヒューム集塵システムでは、前記金属製フィルタは粒子径が1.0μm以上の前記溶接ヒュームを除去し、前記電気集塵機は粒子径が1.0μm未満の前記溶接ヒュームを除去する構成としてもよい。
【0011】
本発明では、溶接ヒューム集塵手段に、比較的粒子径が大きい溶接ヒュームを除去する金属製フィルタと、比較的粒子径が小さい溶接ヒュームを除去する電気集塵機とを備えることにより、金属製フィルタで除去できなかった溶接ヒュームを電気集塵機で除去することができる。また、電気集塵機は、金属製フィルタで溶接ヒュームが除去された空気を処理すればよいので、電気集塵機の負荷を軽減させることができて、電気集塵機のメンテナンスを軽減させることができる。
また、金属製フィルタを振動させるバイブレータと、集塵電極にエアを噴射するエアノズルとを備えることにより、バイブレータが金属製フィルタに付着した溶接ヒュームを除去し、エアノズルが集塵電極に付着した溶接ヒュームを除去することができメンテナンスを軽減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、溶接ヒュームの滞留層に気流を生成し、溶接ヒュームの滞留層の空気を溶接ヒューム集塵手段に流入させて溶接ヒュームを効率よく集塵しているので、建物内の環境を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態による溶接ヒューム集塵システムの一例を示す図である。
【図2】図1に示す溶接ヒューム集塵システムに備える溶接ヒューム集塵装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態による溶接ヒューム集塵システムについて、図1および図2に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による溶接ヒューム集塵システム1は、溶接作業を行う工場などの建物10内に構築されている。
溶接ヒュームFは、溶接作業により発生した金属が蒸発してできた粒子径0.01μm程度の煙や、この煙が空気中で冷却、凝集した粒子径0.5〜5.0μm程度の金属粉塵で、通常FL+5000〜7000mm程度の中空に浮遊している。本実施の形態では、溶接ヒュームFが浮遊しているFL+5000〜7000mm程度の領域を溶接ヒューム滞留層11とし、人員が所在し溶接作業などを行うFL±0〜3000mm程度の領域を居住域12として以下説明する。
【0015】
本実施の形態による溶接ヒューム集塵システム1は、建物10内に外気OAを供給する外気供給手段2と、溶接ヒューム滞留層11に気流を生成する気流生成手段3と、溶接ヒューム滞留層11の空気から溶接ヒュームFを除去する溶接ヒューム集塵装置(溶接ヒューム集塵手段)4と、溶接ヒュームFが除去された空気を建物10の外部に排出する排気手段5と、溶接ヒュームFが除去された空気を居住域12に還元する空気還元手段6とから概略構成される。
居住域12には、成層空調により居住域12のみを空調する空調設備7が設けられている。
【0016】
外気供給手段2は、外気OAを取り込み建物10内に供給する公知の外気処理ユニットなどで、外気OAを建物10内に取り込む給気ファンや、ダクトなどから構成されている。外気供給手段2は、建物10の天井または天井近くの壁に設けられている。外気OAを建物10内に供給する送風口2aは、溶接ヒューム滞留層11より上方に位置していて、下方の溶接ヒューム滞留層11へ外気OAを送風している。
外気供給手段2には図示しない除塩フィルタが設けられており、建物10内に供給される外気OAは塩分が除去されている。
【0017】
気流生成手段3は、外気供給手段2の送風口2aから送風された外気OAを略水平方向に搬送するエア搬送ファンで、溶接ヒューム滞留層11が形成されるFL+5000mm〜7000mm程度の高さに設置されている。なお、本実施の形態では、FL+6000mm程度の高さに設置されている。
気流生成手段3は、外気OAを略水平方向に搬送することにより、溶接ヒューム滞留層11に略水平方向の一様な気流を生成している。気流生成手段3によって生成される溶接ヒューム滞留層11内の気流は、主にFL+5000mm〜6000mmの間に生成される。気流生成手段3は、エア搬送ファンの風向きを水平方向のみでなく所定の角度に変えることができ、外気OAと建物10内の室温との温度差によって生じる気流をコントロールすることができる。
【0018】
溶接ヒューム集塵装置4は、溶接ヒューム滞留層11内に生成された気流の下流側に設けられている。
図2に示すように、溶接ヒューム集塵装置4は、溶接ヒューム滞留層11の空気を吸込む吸込口21と、流入した空気が通過し空気中の溶接ヒュームFを除去する金属製フィルタ22と、金属製フィルタ22を通過した空気が通過し残存する溶接ヒュームFを除去する電気集塵機23と、電気集塵機23を通過した空気を排出する排出口24と、金属製フィルタ22を振動させるバイブレータ25と、電気集塵機23にエアを噴射するエアノズル26と、金属製フィルタ22および電気集塵機23によって集塵された溶接ヒュームFが収容される溶接ヒューム収容部27とから概略構成される。
【0019】
金属製フィルタ22には、パイロスクリーン(株式会社布引製作所製)を使用している。この金属製フィルタ22は、45°の角度のハニカム状の目が刻まれたステンレスまたは耐蝕アルミの板が、その目の方向を1枚ごとに90゜ずつ変えて10枚重ねられた構造である。このように、ステンレスまたは耐蝕アルミの板の目の方向性を組み合わせることによって立体的な網目構造となる。そして、溶接ヒュームFを含む気流が1m/s前後で網目構造に流入すると、気流が乱気流となり主に1.0μm以上の溶接ヒュームFは網目に衝突し気流から分離される。
なお、金属製フィルタ3には、パイロスクリーン(株式会社布引製作所製)以外のフィルタを使用してよく、例えば網目状の金属フィルタなどを使用してもよい。
金属製フィルタ22を使用しているので、繊維状のフィルタと比べて発火の恐れがなく安全である。
【0020】
電気集塵機23には、トライオン電気集塵機(株式会社山武商会製)を使用している。この電気集塵機23は、コロナ放電によって溶接ヒュームFをプラスに荷電させるイオナイザ31と、プラスに荷電した溶接ヒュームFをマイナス電気で集塵する集塵電極が設けられたコレクタプレート32とを備えている。
電気集塵機23は、空気中に含まれた溶接ヒュームFをイオナイザ31が荷電し、荷電した溶接ヒュームFがコレクタプレート32に吸着することによって、空気内の溶接ヒュームFが除去される仕組みである。電気集塵機23では、金属製フィルタ22では除去しきれない1.0μm未満の溶接ヒュームFも除去することができる。
コレクタプレート32に吸着した溶接ヒュームFは洗浄されるまで付着しており、再度空気中に浮遊することがない。
なお、電気集塵機4には、トライオン電気集塵機(株式会社山武商会製)以外の電気集塵機を使用してもよい。
【0021】
バイブレータ25は、エア駆動により金属製フィルタ22を振動させ、金属製フィルタ22に付着した溶接ヒュームFを金属製フィルタ22から分離し、金属製フィルタ22を洗浄する。
エアノズル26は、電気集塵機23のコレクタプレート32に高圧のエアを噴射し、コレクタプレート32に吸着した溶接ヒュームFをコレクタプレート32から分離し、コレクタプレート32を洗浄する。
溶接ヒューム収容部27は、金属製フィルタ22および電気集塵機23の下方に設けられていて、金属製フィルタ22および電気集塵機23から分離した溶接ヒュームFが落下し収容される。収容された溶接ヒュームFは適宜処理され、リサイクルすることもできる。
【0022】
バイブレータ25およびエアノズル26は、例えば毎日定時に自動制御により洗浄運転するように設定されていてもよい。自動制御により洗浄運転することにより省力化を図ることができ、メンテナンスの労力を軽減させることができる。
【0023】
溶接ヒューム集塵装置4から排出された空気は、図1に示すように、排気手段5によって建物10外部へ排出されると共に、空気還元手段6によって建物内へ還元される。排気手段5および空気還元手段6は、送風ファンなどを備えており、排気手段5と空気還元手段6とで送風する風量やその割合は、建物10内へ供給される外気OAの量や居住域12の空調の状況などによって任意に設定することができる。
【0024】
空調設備7は、居住域12の空気と溶接ヒューム滞留層11の空気とが交わらないように成層空調により居住域12の空調を行っている。居住域12の溶接作業を行う場所では、気流による溶接不良を防ぐために、溶接部位における気流は1.0m/s以下となるように調整される。
【0025】
次に、上述した本実施の形態の溶接ヒューム集塵システム1による溶接ヒューム集塵方法について図面を用いて説明する。
図1に示すように、溶接作業などによって発生した溶接ヒュームFは、溶接ヒューム滞留層11に浮遊している。そして、溶接ヒューム滞留層11には気流生成手段3によって一様な気流が生成されているので、溶接ヒューム滞留層11の空気は気流によって気流の下流側の溶接ヒューム集塵装置4へ流入する。
【0026】
図2に示すように、溶接ヒューム滞留層11の空気は溶接ヒューム集塵装置4に吸込口21から吸込まれて、まず、金属製フィルタ22を通過することによって、空気中の主に1.0μm以上の溶接ヒュームFが除去される。続いて、金属製フィルタ22を通過した空気は、電気集塵機23に流入することによって、金属製フィルタ22で除去されなかった主に1.0μm未満の溶接ヒュームFが除去される。そして、電気集塵機23を通過し溶接ヒュームFが除去された空気は排出口24から排出される。
溶接ヒューム集塵装置4から排出された空気は、一部が排気手段5によって建物外へ排出されて、一部は空気還元手段6によって建物10内へ還元される。
金属製フィルタ22および電気集塵機23のコレクタプレートに付着した溶接ヒュームFは、バイブレータ25およびエアノズル26によって除去され溶接ヒューム収容部27に収容されて回収される。
【0027】
次に、上述した溶接ヒューム集塵システムの作用について図面を用いて説明する。
本実施の形態による溶接ヒューム集塵システム1では、溶接ヒューム滞留層11に気流を生成し、その気流によって溶接ヒューム滞留層11の空気を溶接ヒューム集塵装置4まで搬送しているので、居住域12に溶接ヒューム滞留層11の溶接ヒュームFを拡散させることなく効率的に溶接ヒュームFを集塵することができる。
【0028】
上述した本実施の形態による溶接ヒューム集塵システム1では、溶接ヒューム滞留層11に気流を生成し、その気流によって溶接ヒューム滞留層11の空気を溶接ヒューム集塵装置4まで搬送しているので、居住域12に溶接ヒューム滞留層11を拡散させずに溶接ヒュームFを集塵させることができるので、効率よく溶接ヒュームFを集塵できて建物10内の環境を良好に保つことができる。効果を奏する。
また、溶接ヒューム滞留層11はFL+5000mm〜FL+7000mm程度なので、気流を形成しても居住域12の成層空調に影響が少ないので、居住域12の温熱環境を良好に保つことができる。
また、溶接ヒューム集塵装置4によって溶接ヒュームFが除去された空気の一部は建物10内に還元されることにより、建物10の換気量を少なくすることができ、空調負荷を低減させて省エネルギーを図ることができる。
また、屋外へ排出される空気も溶接ヒュームFが除去された空気なので、建物10外へ溶接ヒュームFを排出することがなく、周辺環境への影響を少なくすることができる。
また、溶接ヒューム集塵装置4は金属製プレートと22電気集塵機23とを備えていることにより、溶接ヒューム滞留層11内の溶接ヒュームFを除去することができる。
【0029】
以上、本発明による溶接ヒューム集塵システムの実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、溶接ヒューム滞留層11をFL+5000mm〜FL+7000mm程度としているが、これ以外の高さに溶接ヒューム滞留層11が形成された場合に、気流生成手段3や溶接ヒューム集塵装置4を溶接ヒューム滞留層11に合わせて設置してもよい。
また、上述した実施の形態では、金属製フィルタ22が粒子径1.0μm以上の溶接ヒュームFを除去し、電気集塵機23が粒子径1.0μm未満の溶接ヒュームFを除去しているが、金属製フィルタ22および電気集塵機23が除去する溶接ヒュームFの粒子径はこれに限定されるものでなく、金属製フィルタ22が比較的大きな粒子径の溶接ヒュームFを除去し、電気集塵機23が金属製フィルタ22で除去できなかった比較的小さな粒子径の溶接ヒュームFを除去する構成であればよい。
また、上述した実施の形態では、金属製フィルタ22と電気集塵機23とを備えた溶接ヒューム集塵装置4を使用しているが、金属製フィルタ22と電気集塵機23のいずれか1つを備える溶接ヒューム集塵装置や、繊維状フィルタを備える溶接ヒューム集塵装置など他の形態の溶接ヒューム集塵装置を使用してもよい。
また、上述した実施の形態では、溶接ヒューム集塵装置4より排出された空気を建物10内に還元すると共に建物10外へ排気しているが、溶接ヒューム集塵装置4より排出された空気を全て建物10内に還元してもよいし、建物10外へ排出してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 溶接ヒューム集塵システム
2 外気供給手段
3 気流生成手段
4 溶接ヒューム集塵装置(溶接ヒューム集塵手段)
5 排気手段
6 空気還元手段
11 溶接ヒューム滞留層
12 居住域
22 金属製フィルタ
23 電気集塵機
25 バイブレータ
26 エアノズル
27 溶接ヒューム収容部
F 溶接ヒューム
OA 外気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接作業を行う工場などの建物内に構築されて、前記建物内に滞留する溶接ヒュームを集塵するシステムであって、
前記溶接ヒュームの滞留層に外気を供給する外気供給手段と、
前記外気を搬送し前記溶接ヒュームの滞留層に気流を生成する気流生成手段と、
前記気流の下流側に設けられて、前記溶接ヒュームの滞留層の空気中から溶接ヒュームを集塵し除去する溶接ヒューム集塵手段とを備えることを特徴とする溶接ヒューム集塵システム。
【請求項2】
前記溶接ヒュームが除去された前記溶接ヒュームの滞留層の空気は前記建物内に還元されることを特徴とする請求項1に記載の溶接ヒューム集塵システム。
【請求項3】
前記建物内の居住域では成層空調が行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接ヒューム集塵システム。
【請求項4】
前記溶接ヒューム集塵手段は、前記溶接ヒュームを含む空気を通過させて、比較的粒子径が大きい前記溶接ヒュームを除去する金属製フィルタと、
前記金属フィルタを通過した空気中に残存していて前記金属製フィルタで除去された前記溶接ヒュームよりも粒子径が小さい溶接ヒュームを荷電し、荷電された前記溶接ヒュームを集塵電極に吸着させて除去する電気集塵機と、
前記金属フィルタを振動させるバイブレータと、
前記集塵電極にエアを噴射するエアノズルと、
空気中から除去された溶接ヒュームが収容される溶接ヒューム収容部とを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の溶接ヒューム集塵システム。
【請求項5】
前記金属製フィルタは粒子径が1.0μm以上の前記溶接ヒュームを除去し、前記電気集塵機は粒子径が1.0μm未満の前記溶接ヒュームを除去することを特徴とする請求項4に記載の溶接ヒューム集塵システム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−131131(P2011−131131A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290982(P2009−290982)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】